(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記加熱手段を作動させて前記再生ガスを前記吸着塔に供給した後、前記加熱手段の作動を停止して前記再生ガスを前記吸着塔に供給する、請求項1に記載の吸着材の再生装置。
前記被精製ガスである二酸化炭素を前記吸着材で処理して得られる二酸化炭素が、半導体デバイス製造プロセスで使用されるか、あるいは、半導体デバイス製造プロセスで使用された二酸化炭素が、前記被精製ガスとして前記吸着塔に供給される、請求項1から3のいずれか1項に記載の吸着材の再生装置。
前記再生ガスを前記置換ガスで置換する前に、前記再生ガスを前記吸着塔に供給しながら、前記再生ガスまたは前記吸着塔の前記加熱を停止するステップをさらに含む、請求項6に記載の吸着材の再生方法。
前記被精製ガスである二酸化炭素を前記吸着材で処理して得られる二酸化炭素が、半導体デバイス製造プロセスで使用されるか、あるいは、半導体デバイス製造プロセスで使用された二酸化炭素が、前記被精製ガスとして前記吸着塔に供給される、請求項6または7に記載の吸着材の再生方法。
前記置換ガスで置換するステップが、前記被精製ガスである二酸化炭素を前記吸着材で処理して得られる二酸化炭素の純度と同等以上の純度の二酸化炭素を前記吸着塔に供給することを含む、請求項6から8のいずれか1項に記載の吸着材の再生方法。
前記置換ガスで置換するステップが、前記被精製ガスである二酸化炭素を前記吸着材で処理して得られる二酸化炭素の純度と同等以上の純度の二酸化炭素を前記吸着塔に供給することを含む、請求項12に記載の二酸化炭素精製方法。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素(CO
2)は、気体状態で様々な用途に使用されるほか、液体状態あるいは超臨界状態で、例えば、洗浄や乾燥などの工程に使用されている。近年では、半導体デバイスの製造プロセスにおける洗浄工程を、液体CO
2や超臨界CO
2を用いて行うことが提案されている。
【0003】
半導体デバイスの製造プロセスにおいて液体CO
2や超臨界CO
2を使用するためには、ユースポイント(例えば洗浄装置)に対して、不純物量が極めて少なく高純度に精製された液体CO
2や超臨界CO
2を連続的に供給する必要がある。例えば、特許文献1には、循環精製型の流体供給システムが開示されている。このシステムでは、液体CO
2を気化させ、そのCO
2ガスを凝縮させて再び液体CO
2にする循環系が用いられ、この循環系内でCO
2の気化と凝縮とを繰り返すことによってCO
2の純度が高められている。
【0004】
一方、半導体デバイスの製造プロセスでは、ユースポイントで使用されたCO
2を回収して精製し、同じ製造プロセスで再利用することも求められている。例えば、特許文献2には、洗浄装置や乾燥装置で使用された超臨界CO
2または液体CO
2を回収して再生させる再生回収装置が開示されている。
【0005】
ところで、上述のような循環系では、ガスボンベなどのCO
2供給源から、循環系内にCO
2が随時供給されるが、CO
2供給源からのCO
2には、水分、油分、または揮発性不純物などが含まれている。また、半導体デバイス製造プロセスで用いられる洗浄装置や乾燥装置から回収されるCO
2にも、同様の不純物質が含まれている。特許文献1に記載の流体供給システムや特許文献2に記載の再生回収装置では、気液分離手段やフィルタなどの濾過手段などを用いてCO
2の精製が行われているが、これらの手段だけでは、上述の不純物質を十分に除去することが困難である。
【0006】
そこで、CO
2に含まれる、水分、油分、または揮発性不純物などの不純物質を確実に除去し、高純度のCO
2を精製する方法として、吸着材を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献3,4参照)。この方法では、除去対象物質や処理条件などにより吸着材を適宜選択することで、さまざまな不純物質を除去することが可能となる。
【0007】
ただし、吸着材の吸着能力には限界があり、吸着能力が限界に近づいたり、吸着量が一定以上になったりすると、CO
2に含まれる不純物質を十分に取り除くことができなくなる。そのため、吸着量が一定以上になった時点で、吸着材の再生を行う必要がある。このような吸着材の再生方法として、例えば、特許文献5には、吸着材が充填された吸着塔に、不活性ガスを再生ガスとして導入する方法が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
本発明は、二酸化炭素(CO
2)に含まれる不純物質、特に、水分、油分、または揮発性不純物などを吸着させて除去するための吸着装置、およびそれを備えた二酸化炭素精製装置に好適に適用される。このような二酸化炭素精製装置としては、半導体デバイスの製造プロセスにおける二酸化炭素精製装置、特に、CO
2を循環させながら精製し、精製したCO
2をユースポイントに供給する循環精製装置や、ユースポイントにおいて使用されたCO
2を回収して粗精製を行う回収精製装置が挙げられる。
【0021】
図1は、本発明が適用される二酸化炭素精製装置を備えた、半導体デバイス製造プロセスのCO
2供給システムの構成例を示す概略図である。以下では、ユースポイントとして、半導体デバイスの洗浄装置を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、半導体デバイスの乾燥装置であってもよい。
【0022】
CO
2供給システム1は、ユースポイントとしての洗浄装置2に高純度のCO
2を供給するシステムであり、CO
2を循環させながら精製し、精製したCO
2を洗浄装置2に供給する循環精製装置3と、洗浄装置2で使用されたCO
2を回収して粗精製を行う回収精製装置4と、を有している。回収精製装置4により粗精製されたCO
2は、循環精製装置3へと送られ、そこで最終的に洗浄装置2に供給可能な高純度のCO
2に精製されるようになっている。また、CO
2供給システム1は、循環精製装置3にCO
2を供給するための、ガスボンベなどのCO
2供給源5が設けられている。
【0023】
循環精製装置3は、液体CO
2を気化させる蒸発器、気化したCO
2ガスを再び液化する凝縮器、および液化した液体CO
2を貯留する貯槽(いずれも図示せず)などから構成された循環ライン3aを有している。循環ライン3aには、液体CO
2やCO
2ガスに含まれる微粒子を除去するための複数のフィルタ(図示せず)が設けられている。洗浄装置(ユースポイント)2には、フィルタを通過した後の液体CO
2が、循環ライン3aから分岐して供給されるようになっている。また、CO
2供給源5からのCO
2は、循環ライン内の凝縮器に供給されるようになっている。蒸発器の代わりに、液体CO
2を気化させる他の手段が設けられていてもよい。
【0024】
一方、回収精製装置4は、洗浄装置2から回収されたCO
2中の不純物の一部を場合によっては液化した上で分離除去する気液分離器、分離されたCO
2ガスを再び液化する凝縮器、および液化した液体CO
2を貯留する貯槽(いずれも図示せず)などから構成された回収ライン4aを有している。回収ライン4aには、液体CO
2やCO
2ガスに含まれる微粒子を除去するための複数のフィルタ(図示せず)が設けられている。回収ライン4aは、フィルタを通過した後の液体CO
2が循環精製装置3の蒸発器に供給されるように、循環精製装置3の蒸発器の前段に接続されている。
【0025】
さらに、循環精製装置3の循環ライン3aおよび回収精製装置4の回収ライン4aには、それぞれ、CO
2に含まれる不純物質、特に、水分、油分、または揮発性不純物などを吸着させて除去するための吸着装置6,7が設けられている。吸着装置6,7は、循環精製装置3では蒸発器の後段に、回収精製装置4では気液分離器の後段にそれぞれ設けられ、蒸発器で気化されるか、気液分離器で粗精製されたCO
2ガスに含まれる不純物質を吸着材に吸着させて精製するようになっている。これらの吸着装置6,7に本発明が適用される。
【0026】
図2は、本発明が適用される吸着装置の一実施形態を示す概略図である。なお、精製装置3および回収精製装置4のそれぞれの吸着装置6,7の基本的な構成は同じであり、
図2に示す構成をいずれの吸着装置6,7も含んでいる。
【0027】
図2を参照すると、吸着装置10は、CO
2に含まれる不純物質を吸着させる吸着材が充填された吸着塔11と、精製されるCO
2ガスを吸着塔に導入するための被精製ガス導入ライン12と、吸着塔11で精製されたCO
2ガスを排出するための精製ガス排出ライン13と、を有している。被精製ガス導入ライン12は、上流側が蒸発器や気液分離器(図示せず)に接続され、精製されるCO
2ガスを吸着塔に導入するようになっている。精製ガス排出ライン13は、下流側がフィルタ(図示せず)に接続され、精製されたCO
2ガスをフィルタを介して凝縮器に供給するようになっている。
【0028】
吸着塔11に充填される吸着材としては、CO
2に含まれる、水分、油分、または揮発性不純物などが吸着するものであればよく、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭などが挙げられる。例えば、回収精製装置4の吸着装置7で用いられる場合、洗浄装置2から回収されるCO
2には、特にイソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール類が含まれている。その場合、吸着材としては、ゼオライト、活性アルミナ、活性炭が好適に用いられる。
【0029】
さらに、吸着装置10は、吸着材を再生するための吸着材再生装置20を有している。
【0030】
吸着材再生装置(以下、単に「再生装置」ともいう)20は、吸着塔11に、後述する再生ガスまたは置換ガスを導入するためのガス導入ライン21と、吸着塔に導入された再生ガスまたは置換ガスを排出するためのガス排出ライン22と、を有している。ガス排出ライン22には、ガス排出弁22aが設けられている。
【0031】
また、再生装置20は、再生ガスを供給する再生ガス供給ライン23と、置換ガスを供給する置換ガス供給ライン24とを有している。再生ガス供給ライン23および置換ガス供給ライン24は、それぞれ再生ガス供給弁23aおよび置換ガス供給弁24aを介して、ガス導入ライン21に接続されている。再生ガス供給弁23aおよび置換ガス供給弁24aの開閉を切り替えることで、再生ガスおよび置換ガスのいずれかを、吸着塔11に選択的に導入することができる。
【0032】
再生ガス供給ライン23は、ボンベなどの再生ガス供給源(図示せず)から再生ガスを供給するようになっている。本実施形態では、再生ガスとして、窒素(N
2)ガスが用いられる。しかしながら、これに限定されることはなく、アルゴンガスなどの他の不活性ガスを用いることもできる。また、再生ガス供給ライン23には、再生ガスを加熱するためのヒーター(加熱手段)25が設けられている。
【0033】
一方、置換ガスの導入は、後述するように、吸着材を再生するために吸着塔11に導入された再生ガスを置換するために、吸着塔11によるCO
2精製工程(吸着処理)を再開する前に行われる。したがって、本実施形態では、置換ガスとして、当該吸着塔11で精製されるガス、すなわちCO
2ガスが用いられる。また、同様の理由で、置換ガス(CO
2ガス)の純度は、できるだけ高純度であることが好ましく、例えば、吸着処理の再開後の通常運転により得られる高純度CO
2ガス、すなわち精製ガス排出ライン13から排出されるCO
2ガスの純度と同等かそれ以上であることが好ましい。そのため、置換ガス供給ライン24は、精製ガス排出ライン13に接続されていてよく、あるいは、より高純度のCO
2ガスの供給源に接続されていてよい。
【0034】
また、再生装置20は、吸着塔11から排出された再生ガスまたは置換ガスを吸着塔11に戻すためのガス戻りライン26を有している。ガス戻りライン26は、ガス排出弁22aの上流側のガス排出ライン22と、ガス導入ライン21とを接続し、これにより、吸着塔11を含む閉じた循環経路30が形成されることになる。さらに、再生装置20は、ガス戻りライン26に設けられ、再生ガスまたは置換ガスを循環経路30に沿って循環させる循環ポンプ(ガス循環手段)27と、同様にガス戻りライン26に設けられ、循環経路30内を循環する再生ガスまたは置換ガスを冷却する冷却装置(冷却手段)28と、を有している。冷却装置28は、循環ポンプ27の上流側に設けられているが、循環するガスを冷却するようになっていればよく、循環ポンプ27の下流側に設けられていてもよい。また、ガス戻りライン26には、ガス戻り弁26aが設けられている。
【0035】
さらに、再生装置20は、以下に示す再生方法に従って、再生装置20による吸着材の再生動作を制御するコントローラ(制御手段)29を有している。
【0036】
次に、本実施形態の吸着材再生装置において実施される吸着材の2つの再生方法について説明する。
【0037】
(第1の再生方法)
図3は、本実施形態の吸着材再生装置における吸着材の第1の再生方法を示すフローチャートである。
【0038】
第1の再生方法は、被精製ガス導入ライン12から吸着塔11への被精製ガス(CO
2ガス)の供給を停止し、吸着塔11によるCO
2精製工程を停止した後、開始される。このとき、再生装置20の全ての弁22a、23a,24a,26aは、閉止されている。
【0039】
まず、吸着材の再生工程を行う。具体的には、再生ガス供給弁23aを開放するとともに、ガス排出弁22aを開放して、再生ガス供給ライン23から吸着塔11に再生ガス(N
2ガス)を供給する(ステップS1)。それと同時に、ヒーター25を作動させ、再生ガスを230℃まで加熱する(ステップS2)。すなわち、加熱した再生ガスを吸着塔11に流通させることで、吸着材を加熱し、吸着材に吸着した不純物質を脱着させる。このとき脱着した不純物質は、再生ガスと共に、ガス排出ライン22を介して外部へ排出される。
【0040】
一定時間、加熱した再生ガスを吸着塔11に流通させた後、ヒーター25による再生ガスの加熱を停止して(ステップS3)、吸着材の再生工程を終了する。この終了時点は、ガス排出ライン22に設けられた濃度計などにより、排出される再生ガスに含まれる除去対象物質の濃度を測定することで、判断することもできる。その後、再生ガスの吸着塔11への供給は継続して行い、徐々に冷却する再生ガスで吸着塔11を通気することにより、吸着材を冷却する。
【0041】
その後、ガス排出弁22aおよび再生ガス供給弁23aを閉止し、吸着塔11への再生ガスの供給を停止する(ステップS4)。そして、ガス戻り弁26aを開放した後、循環ポンプ27を作動させ、吸着塔11を含む循環経路30に沿って再生ガスを循環させる(ステップS5)。それと同時に、冷却装置28を作動させて再生ガスを冷却し(ステップS6)、再生ガスを冷却しながら循環させることにより、吸着材をさらに冷却する。
【0042】
吸着材が所定の温度まで低下したら、再生ガスの循環および冷却を停止する(ステップS7)。具体的には、冷却した再生ガスの循環を一定時間行った後、あるいは、吸着塔11に設けられた温度計により吸着材の温度を測定し、その測定値が所定値を下回った場合に、循環ポンプ27および冷却装置28の運転を停止し、ガス戻り弁26aを閉止する。
【0043】
再生ガスの循環を停止した後も、再生ガスは吸着塔11内に残存した状態となる。この状態で吸着塔11によるCO
2精製工程を再開させると、吸着塔11に残存した再生ガスが精製ガス(CO
2ガス)中に含まれてしまい、所望の純度が得られなくなる。したがって、CO
2精製工程の再開前に、吸着塔11内に残存した再生ガスを高純度のCO
2ガスで置換する置換工程が必要となる。
【0044】
このために、置換ガス供給弁24aおよびガス排出弁22aを開放して、置換ガス供給ライン24から吸着塔11に置換ガス(高純度CO
2ガス)を供給する(ステップS8)。これにより、吸着材に吸着していた再生ガス(N
2ガス)は、高純度CO
2ガスにより置換され、ガス排出ライン22を介して外部へ排出される。その結果、CO
2精製工程の再開後に、再生ガスが精製ガス中に含まれてしまうことを防止することができる。
【0045】
置換ガスの流通により吸着塔11内の再生ガスがほぼすべて置換された後で、置換ガス供給弁24aおよびガス排出弁22aを閉止して、吸着塔11への置換ガスの供給を停止する(ステップS9)。具体的には、置換ガスを一定時間流通させた後、あるいは、ガス排出ライン22に設けられた濃度計などにより測定された、排出される置換ガスに含まれる再生ガスの濃度が所定濃度を下回った場合に、吸着塔11への置換ガスの供給を停止する。
【0046】
こうして、第1の再生方法は終了し、被精製ガス導入ライン12から吸着塔11への被精製ガス(CO
2ガス)の供給を再開して、吸着塔11によるCO
2精製工程を再開する。
【0047】
以上、第1の再生方法によれば、再生ガスを冷却循環させることで、再生工程により高温状態となった吸着材を迅速に冷却することができる。このとき、冷却のための再生ガスを無駄にすることがないため、コストアップのおそれもない。
【0048】
(第2の再生方法)
吸着材によっては、CO
2ガスそのものが吸着したときに発熱を伴うものがある。例えば、吸着材が吸着塔に充填されているとすると、吸着塔のサイズや構造、吸着塔へのCO
2ガスの供給量にもよるが、吸着材がゼオライトの場合には50〜130℃程度、吸着材が活性炭の場合には40〜60℃程度まで、それぞれ塔内温度が上昇することがある。そのような吸着材を用いた場合、次のような問題が生じる可能性がある。すなわち、例えば第1の再生方法の置換工程のように再生ガスをCO
2ガスで置換すると、吸着材にCO
2ガスそのものが吸着し、冷却された吸着材が再び高温状態となってしまう。この問題に対して、吸着材が十分に冷却するまで置換ガスを吸着塔に流通させることも考えられるが、そのためには大量の置換ガス、すなわち大量の高純度CO
2ガスを消費することになり、コストへの影響が大きくなる。また、発熱した吸着材を放熱により再冷却するには、かなりの時間が必要となり、時間的ロスが問題となる。
【0049】
第2の再生方法は、このような問題に対処するためのものであり、上述のような吸着材を用いた場合に特に有効である。
【0050】
以下、
図4に示すフローチャートに沿って、本実施形態の吸着材再生装置における吸着材の第2の再生方法について説明する。
【0051】
第2の再生方法は、第1の再生方法と同様に、被精製ガス導入ライン12から吸着塔11への被精製ガス(CO
2ガス)の供給を停止し、吸着塔11によるCO
2精製工程を停止した後、開始される。このとき、再生装置20の全ての弁22a、23a,24a,26aは、閉止されている。
【0052】
まず、吸着材の再生工程を行う。具体的には、再生ガス供給弁23aを開放するとともに、ガス排出弁22aを開放して、再生ガス供給ライン23から吸着塔11に再生ガス(N
2ガス)を供給する(ステップS11)。それと同時に、ヒーター25を作動させ、再生ガスを230℃まで加熱する(ステップS12)。
すなわち、加熱した再生ガスを吸着塔11に流通させることで、吸着材を加熱し、吸着材に吸着した不純物質を脱着させる。このとき脱着した不純物質は、再生ガスと共に、ガス排出ライン22を介して外部へ排出される。
【0053】
一定時間、加熱した再生ガスを吸着塔11に流通させた後、ヒーター25による再生ガスの加熱を停止して(ステップS13)、吸着材の再生工程を終了する。この終了時点は、ガス排出ライン22に設けられた濃度計などにより、排出される再生ガスに含まれる除去対象物質の濃度を測定することで、判断することもできる。その後、再生ガスの吸着塔11への供給は継続して行い、徐々に冷却する再生ガスで吸着塔11を通気することにより、吸着材を冷却する。
【0054】
その後、再生ガス供給弁23aを閉止し、吸着塔11への再生ガスの供給を停止する(ステップS14)。次いで、置換ガス供給弁24aを開放し、置換ガス供給ライン24から吸着塔11に置換ガス(高純度CO
2ガス)を供給する(ステップS15)。このとき、ガス排出弁22aは開放されており、吸着塔11の内部に残存した再生ガス(N
2ガス)は、高純度CO
2ガスにより置換され、ガス排出ライン22を介して外部へ排出される。
【0055】
高純度CO
2ガスの流通により吸着塔11内の再生ガスがほぼすべて置換された後で、ガス排出弁22aおよび置換ガス供給弁24aを閉止して、吸着塔11への高純度CO
2ガスの供給を停止する(ステップS16)。具体的には、高純度CO
2ガスを一定時間流通させた後、吸着塔11への置換ガスの供給を停止する。あるいは、ガス排出ライン22に設けられた濃度計により、排出される高純度CO
2ガスに含まれる再生ガスの濃度を測定し、その濃度が所定濃度を下回った場合、もしくは、排出される高純度CO
2ガスの濃度が所定濃度を上回った場合に、吸着塔11への置換ガスの供給を停止する。
【0056】
このとき、吸着塔11内の吸着材には、置換ガスである高純度CO
2ガスが吸着した状態となる。そのため、吸着材として、上述したような吸着材が使用されている場合、吸着材は発熱することになる。この発熱を抑制するために、置換ガス(高純度CO
2ガス)の冷却循環を行う。具体的には、ガス戻り弁26aを開放した後、循環ポンプ27を作動させ、吸着塔11を含む循環経路30に沿って高純度CO
2ガスを循環させる(ステップS17)。それと同時に、冷却装置28を作動させて高純度CO
2ガスを冷却し(ステップS18)、高純度CO
2ガスを冷却しながら循環させる。これにより、置換工程において高純度CO
2ガスが吸着することで発生した上述の吸着材の発熱を除去することができる。
【0057】
高純度CO
2ガスの冷却循環を一定時間行った後、あるいは、吸着塔11に設けられた温度計により吸着材の温度を測定し、その測定値が所定値を一定時間下回った場合に、循環ポンプ27および冷却装置28の運転を停止する。その後、ガス戻り弁26aを閉止し、高純度CO
2ガスの循環および冷却を停止する(ステップS19)。
【0058】
ステップS15において、吸着材に吸着している再生ガスの一部が排出されない等の理由により、再生ガスが完全には置換されない可能性があり、その場合には、ステップS19まで実行した後でも、再生ガスが吸着塔11の内部に残存してしまう可能性がある。そのため、吸着塔11内の再生ガスを確実に外部へ排出するために、ステップS15〜19を繰り返し実行することもできる。
【0059】
こうして、第2の再生方法は終了し、被精製ガス導入ライン12から吸着塔11への被精製ガス(CO
2ガス)の供給を再開して、吸着塔11によるCO
2精製工程を再開する。
【0060】
以上、第2の再生方法によれば、置換ガス(高純度CO
2ガス)が吸着材に吸着したときに発熱を伴う場合であっても、置換ガスを冷却循環させることで、吸着材を迅速に冷却することができる。このとき、冷却のための置換ガスを無駄にすることがないため、コストアップのおそれもない。
【0061】
なお、上述した実施形態では、吸着装置には1つの吸着塔が設けられていたが、複数の吸着塔が設けられていてもよい。その場合、吸着塔同士は、直列、並列、またはそれらの任意の組み合わせで接続されていてよい。また、それぞれの吸着塔に吸着材再生装置が設けられていてもよく、あるいは、複数の吸着塔に対して1つの吸着材再生装置が設けられていてもよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、再生ガス供給ラインおよび置換ガス供給ラインは共に、ガス導入ラインに接続され、ガス導入ラインを介して吸着塔に接続されていたが、それぞれ吸着塔に直接接続されていてもよい。同様に、ガス戻りラインも、吸着塔を含む閉じた循環経路を形成するようになっていればよく、ガス導入ラインとガス排出ラインとに接続する代わりに、吸着塔に直接接続されていてもよい。
【0063】
また、再生ガスおよび置換ガスの吸着塔への供給には、吸着塔の上部に接続された精製ガス排出ラインを利用することもできる。すなわち、ガス導入ラインが、吸着塔にではなく、精製ガス排出ラインに接続されていてよく、あるいは、再生ガス供給ラインおよび置換ガス供給ラインが、ガス導入ラインに接続される代わりに、それぞれ精製ガス排出ラインに接続されていてよい。この場合、ガス戻りラインは、精製ガス排出ラインに接続することができる。同様に、再生ガスおよび置換ガスの外部への排出には、吸着塔の下部に接続された被精製ガス導入ラインを利用することができる。すなわち、ガス排出ラインが、吸着塔にではなく、被精製ガス導入ラインに接続されていてよく、この場合、ガス戻りラインも、被精製ガス導入ラインに接続されていてよい。
【0064】
さらに、上述した実施形態では、加熱した再生ガスを吸着塔に流通させることで、吸着材の再生工程を行っていたが、再生ガスを加熱する代わりに、吸着塔を加熱し、加熱した吸着塔に再生ガスを流通させることで、吸着材を再生するようになっていてもよい。この場合、ヒーターなどの加熱手段は、吸着塔そのものを加熱するようになっていればよく、例えば、吸着塔の外面を覆うように設けられていてもよい。なお、吸着材の再生工程終了後、吸着塔の加熱を停止した後にも、再生ガスの吸着塔への供給を継続して行うのは、再生ガスを加熱する場合と同様である。