(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
導電性繊維性材料が、比較的導電性の低いマイクロスケールの材料を含み、その繊維が比較的導電性の高いコーティングを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉛酸電池又はセル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、ダイナミックな電荷受容性、容量エネルギー密度、利用性若しくは電池寿命、又は、電池性能のその他の側面の一つ以上に関して良好な性能を有する鉛酸電池又はセルを提供することである。
大まかに態様の1つでは、本発明は、
50ミクロン未満の繊維間の平均繊維間間隔を持つ繊維を含むフィラメント及び/又は
単繊維であり、単繊維間の平均繊維間間隔が50ミクロン未満であるフィラメントを含む導電性繊維性材料を集電子として含む少なくとも1つの電極を含む鉛酸電池又はセルを含む。
【0004】
大まかに別の態様では、本発明は、
50ミクロン未満の繊維間の平均繊維間間隔を持つ繊維を含むフィラメント及び/又は
単繊維であり、単繊維間の平均繊維間間隔が50ミクロン未満であるフィラメントを含む導電性繊維性材料を集電子として含む少なくとも1つの電極を形成することを含む鉛酸電池又はセルを製造する方法を含む。
【0005】
大まかに別の態様では、本発明は、材料の主面で長さと幅の寸法を及び材料の前記主面に垂直の深さを有し、
50ミクロン未満の繊維間の平均繊維間間隔を持つ繊維を含むフィラメント及び/又は
単繊維であり、単繊維間の平均繊維間間隔が50ミクロン未満であるフィラメントを含む導電性繊維性材料を集電子として含む鉛酸電池又はセルを含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一部の実施形態では、平均繊維間間隔は20ミクロン未満である。
【0007】
好ましくは、前記平均繊維間間隔は、材料の少なくとも主要分画にわたり、さらに好ましくは、材料のすべてに実質的にわたる。
【0008】
集電子繊維性材料は、少なくとも0.2mm又は少なくとも1mmの材料の平均深さを有し得る。
【0009】
集電子は、導電性繊維性材料の多重層を含み得る。
【0010】
好ましくは、集電子材料は、10Ωmm未満の、好ましくは1Ωmm又は0.1Ωmm未満のバルク抵抗率を有する。
【0011】
電極材料は、織物材料(交差布及び横糸布を含む)、編み物材料、又は不織布材料、たとえば、織布、編み布又は不織布であってもよい。
【0012】
正極、負極又は双方は、導電性繊維性材料の1以上の層で形成され得る。
【0013】
好ましくは、導電性繊維性材料はまた鉛よりも軽い。
【0014】
集電子材料は、たとえば、織布、編み布又は不織布の炭素繊維布のような炭素繊維材料を含み得る。
【0015】
炭素繊維の集電子材料は、その電気伝導性を高めるのに十分な温度に熱処理され得る。
【0016】
大まかに別の態様では、本発明は、その抵抗性を下げるように熱処理された炭素繊維材料を集電子として含む少なくとも1つの電極を含む鉛酸電池又はセルを含む。熱処理はアーク放電であってもよい。
【0017】
本発明のマイクロスケールの電極構築では、導電性繊維性集電子材料の繊維間の平均繊維間距離は、たとえば、材料を織る又は編むのに使用される炭素マルチフィラメント糸のような多繊維フィラメントの個々の繊維間、又はたとえば、モノフィラメントから織られる又は編まれる材料のモノフィラメント間のいずれかで、50ミクロン未満であり、20ミクロン未満であってもよい。電池又はセルの形成、その後の放電及び再充電のサイクルの間に、各粒子は、電荷を受け取る又は反応によって電荷を送達することができる前に電気的に直接又は間接的に、近隣の粒子と、及び電極の集電子に結合しなければならない。本発明のマイクロスケールの電極構築では、相対的に少ない粒子が連結して近傍の集電子繊維に接続しなければならない。たとえば、最も近傍の集電子繊維表面への粒子の伝導鎖における活性粒子の最も遠い距離は25ミクロン未満又は10ミクロン未満であり得る。これは、利用性と容量を高め、最初のセル形成に必要な時間も減らし、活性粒子の電気的隔離の機会を減らし得る(粒子はそれらがそうする前にPbSO
4に変換している隣接粒子によって隔離され得る−PbSO
4は電気的に絶縁している)。
【0018】
セル又は電池の構築の間、炭素繊維材料のような集電子材料は、加圧下にてペーストに含浸されてもよく、たとえば、ペーストは硫酸鉛粒子と希硫酸の混合物を含む。
【0019】
大まかに別の態様では、本発明は、導電性繊維性材料を集電子として含む少なくとも1つの電極に、硫酸鉛粒子及び希硫酸の混合物を含むペーストを塗布することを含む電池又はセルを製造する方法を含む。
【0020】
用語「comprising」は本明細書で使用されるとき、「少なくとも部分的に成る」を意味する。用語「comprising」を含む本明細書の各言及を解釈する場合、その用語によって前置きされるもの以外の特徴も存在してもよい。たとえば、「comprise」及び「comprises」のような関連する用語は同様に解釈されるべきである。
例示の目的で添付の図面を参照して本発明をさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、その平均繊維間間隔が50ミクロン未満又は20ミクロン未満であるマイクロスケールの導電性繊維性の材料を集電子として含む少なくとも1つの電極を含む鉛酸電池を含む。
【0023】
集電子材料は、織った材料、編んだ材料又は不織布の材料、たとえば、織った又は編んだ又は不織布の布であってもよい。材料は、材料の主面にて一方向性に延びるフィラメントを含み、各フィラメントは複数の繊維から構成され、任意で接続する糸はフィラメントを横に横切って延びて機械的にフィラメントに接続する。
【0024】
セル又は電池の負極、正極又はその双方は、各電極の集電子としての導電性繊維性材料の1又は2以上の層で形成されてもよい。
【0025】
好まれる実施形態では、電極繊維は、たとえば、金属のようなさらに導電性の材料で被覆して導電性を高めることを必要とすることなく本質的に導電性であり、一部の実施形態では導電性を高めるように処理されてもよい炭素繊維であってもよいが、他の実施形態では、電極繊維は、その繊維が導電性又はさらに導電性のコーティングで被覆されるあまり導電性ではないマイクロスケールの材料であってもよい。一部の実施形態では、集電子の繊維はPb又はPb系の材料で被覆されてもよい。たとえば、負極はPbで被覆され、正極はPb、次いでその上にPbO
2で被覆されてもよい。
【0026】
電極集電子材料として使用するための炭素繊維は、電気伝導性を高めるのに十分な高い温度で熱処理されてもよい。熱処理はまた、材料の熱伝導性を高めてもよく、それは使用中の電極にて局所的なホットスポットを妨げるのに十分なはずである。炭素繊維は一般に炭化水素系であり、製造中1100℃前後又はそれ以上に加熱される(「炭化される)。本発明の電池又はセルにて集電子材料として使用するために、炭素繊維材料を一般に2200〜2800℃にさらに加熱し、炭素繊維から非黒鉛炭素の分画の少なくとも一部又は主要分画を蒸発させることによって、炭素のすでに芳香性又は黒鉛である領域を拡大して電気伝導性を高め、黒鉛炭素のわずかな微小分画を拡大してもよい。
【0027】
電気的な及び/又は熱的な伝導性を高める熱処理は、アーク放電によってもよいし、又はたとえば、抵抗加熱した炉においてでもよい。
【0028】
マイクロスケールの集電子材料を処理してその表面積を増し、キャパシタンスを高めてもよい。一部の実施形態では、炭素繊維の電極材料を活性化し、材料の表面積を増して電池による内部キャパシタンスを高める。材料は、たとえば、約3600Kを超える表面温度に加熱してもよい。アーク処理の前に炭素繊維材料上にNi(NO
3)
2溶液を塗布し、乾燥させることも表面積の変化を高める(明らかに酸化を介して)。アーク放電によって材料を熱処理してもよい。或いは、約1000℃の温度にて蒸気又は二酸化炭素のような物理的活性化によって、又はたとえば、アルキル溶液による化学的活性化によって材料を活性化してもよい。活性化は通常、材料にて又は材料の表面上でナノスケールの、さらに通常では直径50nmまでの孔を創る。1nm前後より小さい多数の孔を持つ材料は良好な電子導体ではないかもしれない。1nm〜10nm前後の孔は十分な容量に必要とされる表面積を提供するが、10nmを超えて上手く分布する孔もまた適当な電解液の導電性のためのイオンの容易な拡散アクセスを提供するのに必要とされる。必要とされるのはまた、固形物内での十分な電気伝導性である。
【0029】
一部の実施形態では、炭素繊維材料は、それに結合したカーボンナノチューブ(CNT)を有する。CNTを持つ材料は、炭素繊維材料のアーク放電処理によって、又は代わりに触媒の存在下、低温にて化学蒸着によって製造され得る。
【0030】
好ましくは、集電子材料とその繊維は可撓性であり、電池循環の間、集電子材料に結合した活物質の収容容積の変化に役立ち、マイクロスケールの繊維はまた活物質を強化してもよく、双方共、使用中、電極からの活物質の中断(「脱落」)を軽減するのに役立つ。
【0031】
集電子材料は機械的に支持されてもよく、支持している機械的なフレームはまた各電極又は極板の電池端子への電気的接続を提供してもよい。たとえば、集電子材料の1以上の四角形又は長方形の隣接層を支持して全側面における又は2つの向かい合った側面における対向する金属フレーム要素間での周辺金属フレームによって平面の電池板を形成してもよい。或いは、たとえば、各セルの同軸円筒状の正極板及び負極板は、各円筒末端にて円状の金属フレームにより支持されたマイクロスケールの集電子の円筒部を含んでもよい。
【0032】
好ましくは、電極材料のフィラメント/繊維の実質的にすべて又は少なくとも大半は金属フレームとの間の電極を横切って又は金属フレーム若しくは繊維の両端若しくは一端が電気的に接続されるフレーム要素に向かって連続的に延びる。連続繊維の織布が最適であってもよい。炭素繊維と導電性フレームの間の電気的接続は、最少限の抵抗接合であるべきであり、好まれる形態では、電池又はセルの構築の間、繊維端を金属フレームに物理的に固定し、電気的に接続する溶融金属で各繊維端が取り囲まれる。金属フレーム又はフレーム要素はそれ自体、電極材料の1以上の端部に沿って溶融金属片を冷却し、繊維端を取り囲み、埋めることによって形成されてもよい。任意で、繊維又は布は、1以上の端部で1以上のフレーム要素を越えて連続し、別の隣接する電極又は電極部を形成することができる。好ましくは、材料の一方向又は面軸にて電極繊維のすべて又は少なくとも大半は、活物質にて繊維が出発するところ又は材料の対向する端部から100nm〜10mmを超えずに離れて金属フレーム要素に電気的に接続される。各集電子材料部のこの距離又は大きさ又は面積は主として、最も伝導性の大きい方向での集電子材料のバルク抵抗率によって決定される。布のたった1つの端部だけが金属フレーム要素に電気的に接続されるのであれば、好ましくは、布におけるこの最も伝導性の大きい方向は、接続端部に垂直で配置されて全体の抵抗性をできるだけ抑える。有意な容量損失なしで最高の電流密度を得るには、接続端部からの布の長さは約50〜100mmまでであってもよい。金属フレームは或いは、材料の片面又は両面にて開口部を持ち、電流を運ぶ炭素繊維だけに開口部又はウインドウを託し、それらが運ぶ活物質から回収する金属シートを含んでもよい。たとえば、高さ200mmの電極フレームは、端部周辺に残した伝導性織物を伴った各高さ60mmの3つのウインドウを含んでもよい。これらウインドウ領域のそれぞれについては、金属の横棒にて及び端部にて炭素布を広げ、連結することができる。
【0033】
通常、電池又はセルの構築の間、マイクロスケールの集電子材料は加圧下にて、ペーストに含浸され、好まれる形態では、ペーストは硫酸鉛(PbSO
4)
粒子と希硫酸の混合物を含む。硫酸鉛の粒子は、10ミクロン
以下の平均サイズを有してもよい粉砕した又は化学的に形成された粒子を含んでもよく、サイズ分布は、導電性ネットワークの形成ではなく電荷生成又は電荷受容性のために最適化されてもよい。好まれる実施形態では、硫酸鉛ペーストは実質的に活物質ペーストにおける鉛の唯一の供給源である。或いは、ペーストは若干のPb及びPbOを含んでもよい。再び或いは、他の実施形態では、ペーストはPbとPbOと希硫酸の混合物を含んでもよい。ペーストは任意で、たとえば、カーボンブラック、硫酸マグネシウム及びスルホン酸塩のようなほかの添加物を含有してもよい。
【0034】
セル又は電池の構築の後、最初のセル形成(最初の充電と放電のサイクルでその間に活性粒子の結合が形成する)の間、ペーストが酸化Pbのミックスを含む従来のペースト型正極電池では、導電性フレームワークを作り上げ、通常、数ミリメートル(端から端までおそらく1000を超えるミクロンの大きさの粒子のヒモを接続する)の長さを超える負極活物質にてPbのほとんどを溶解することによってセル形成が先ず生じる。この段階はまたPbSO
4の小さな粒子を生じる。二番目に、これらのさらに小さな粒子が導電性フレームに結合して電流を提供し、受け取る。本発明のこの態様によれば、Pbフレームワークはマイクロスケールの繊維性集電子で置き換えられ、ペーストはPbSO
4粒子を含み、形成の間、マイクロスケールの導電性集電子材料における最も近傍の繊維にこれらPbSO
4粒子を結合することのみを実質的に必要とする。形成の間、充電電流が周期的にパルスされることは有利であり得る。集電子材料の繊維表面は、酸化物粒子又は酸素を持つ化学基を繊維に連結するように処理することによってPbSO
4粒子(少なくとも鎖における最初の粒子)の連結を高めるように処理された表面であってもよい。アーク処理した炭素繊維布のアノード酸化は、それを親水性材料に変換し得る。これは、材料を介した活性粒子の均一な分布及び双極子−双極子間引力によるPb(酸化物基で変換され)の炭素への最初の引力を助けてもよい。
【0035】
内部表面積を持つ本発明に係るマイクロスケールの電極は、電気化学的な寄与に加えて電荷受容性に加えるのに十分なキャパシタンスを提供し得る。酸性電解液でよく濡らされ、それに接近しやすい電極面積は、鉛酸電池の負極における従来の全表面積により付与されるものよりも一桁大きいキャパシタンスを提供し得る。それは、数秒の高い電流を吸収する又は送達するのに十分な電解二重層容量を有し得る。或いは、本発明の電池は、別々の表面積の大きな電極を含んでもよく、それは、負若しくは正のセル電極、又はそのそれぞれに並行して本明細書に記載されるようなアーク処理した炭素繊維材料を含んでキャパシタンスを加えてもよいし、又はキャパシタンスを高めてもよい。
【0036】
特定の実施形態では、材料を活性化するのに十分な温度にてアークが電極と材料の間に存在するように、2つの電極間のギャップにおけるアーク又は電極を通り過ぎたギャップにおけるアークのいずれかを介して反応チャンバー内で炭素繊維材料を移動させることによるアーク放電によって炭素繊維材料を処理してもよい。
図1では、参照番号1は放電アークが創られる反応器チャンバーを指す。電極2及び3は反応器チャンバー1に突き出て、アノードであってもよい電極3及びカソードであってもよい電極2の位置(アノードとカソードの位置は反転してもよい)が、アークを創るように及び操作中アークを維持し、又は必要に応じてアークを調整するように調整されてもよいように、通常、当該技術で知られるような電極給電メカニズム4によって取り付けられる。各電極に巻き付き、それを介して水が循環する銅チューブコイルから成る冷却システム5も配置して電極を冷却してもよい。炭素繊維材料8は、示したように電極2と3の間を通り、反応器の操作中、アークを通過する。このことは
図2でさらに詳細に示される。電流は、非黒鉛炭素を気化させるのに十分であるが、有害な局在するアーク付着モードを誘発すべきではない。10Aと20Aの間での操作が推奨される。材料は、反応器チャンバーのスリット12を介して反応器チャンバーに入り、電極の別の側で反応器チャンバーの類似の出口スリット13を介して出て行く。反応器チャンバーを通って材料を搬送するようにメカニズムが提供される。たとえば、反応器の操作中、適当な制御系と共に電気モータに結合されるギアボックスによって駆動される巻枠9から基質がほどかれてもよい。操作中、反応器の内側は好ましくは、大気圧又はそれよりやや高く、スリット13を介して反応器チャンバーから出る気体流はドラフト等によって抽出される。たとえば、窒素、アルゴン又はヘリウムのような不活性気体は、たとえば、反応器の底の開口部11を介して制御された気体流を反応器チャンバー1内に導入することによって反応器チャンバーを洗い流す。さらに又は代わりに、多孔性炭素アノード3を介して気体流をタングステンチューブ7に向かわせ、炭素蒸気を流し去る及び/又はアーク処理の間、基質を冷却する。多孔性炭素3を介した冷却流は、アーク放電の間の材料の溶落ち及び過剰な炭素蒸気の除去を回避するのに役立つが、ほかの入口11の操作は酸化を制御するのに役立つ。テープを駆動する巻枠と同様にアノードも好ましくは接地させる。それが反応器チャンバーを通過した後、基質を回収する溶解メカニズムも好ましくは、反応器の外殻同様に接地させる。
図2を参照して、図ではアノード3であるが、模式的に示すように基質がそれを過ぎて移動するにつれて、基質はその電極に対して張力がかかるように基質8に作用するように位置付けることが一方の電極にとって好ましくてもよい。基質を冷却する気体流10は、タングステンチューブ7に固定された円筒状の炭素アノード支持体6の中に格納された炭素アノードプラグ3に直接向けられてもよい。
【0037】
導入された金属添加物の存在下で方法を実施してもよい。好適な添加剤はNi−Co、Co−Y、Ni−Y、又は代わりに、たとえば、Fe若しくはBのような低コスト添加剤若しくはPb添加剤であってもよい。
実験
【0038】
例示を目的として限定することを意図しないで提供される以下の実験の記載によって本発明をさらに説明する。
実施例1:アーク処理した炭素繊維電極材料の製造
【0039】
商品名KoTHmexのもとで台湾のTaiCarbonによって製造され、比重が220g/mm
2、厚さが0.7mm、炭素含量が99.98%であるポリアクリルニトリル(PAN)系の炭素織物繊維テープCW1001を幅25mmの小片に切断した。
図3は、その材料の切片の顕微鏡写真である。材料は、それぞれ6〜7μmの平均直径の多数の炭素繊維を含むフィラメントから織られた。
図4はその材料の単一の多繊維フィラメントの一部を横切るSEM画像である。
【0040】
図1及び
図2を参照して記載されたものと同様の巻枠9からスリット12を介してその材料の小片を反応器チャンバーに搬送した。テープは出口スリット13を介して反応器を出た。電極先端間の距離は約5〜6mmに設定した。操作中、10L/分に設定した窒素によって反応器を洗い流し、電極支持体の周りの冷却コイルを介して冷却水を循環させた。アークを起こすには、放電が生じるまでカソードを前に移動させ、次いでカソードをやや引き出してアークを成立させた。電流はおよそ16Aに設定した。材料を3mm/秒の速度で搬送した。多孔性炭素アノード3を介して追加の冷却気体を導入し、アーク付着帯に近い材料を冷却した(
図2に示すように)。所望の長さの炭素材料が反応器を通過した後、電源を落として放電を止めた。さらに5分間、気体で反応器を洗い流し、排気ガスを除いた。
実施例2:炭素繊維電極材料の抵抗率に対するアーク処理の効果
【0041】
実施例1に記載したような炭素織物繊維材料を実施例1に記載したようなアーク反応器にて3秒間処理した。アークにて測定された処置温度は3700〜3800Kの間だった。抵抗に設定したマルチメータの探査子に連結した、10mmの長さの平面接触を伴った2つのバネ仕掛けの止め具を用いて、材料の10mm幅の小片の2つの異なった長さの抵抗を高めることによって布の抵抗率を測定した。差異による接触抵抗を除くことによって単位長さ当たりの抵抗を計算することができた。これに材料の厚さと小片の幅を乗じることによって抵抗率が得られた。アーク処理前の布は、未処理の布と繊維についてそれぞれ1.18Ωmと0.135Ωmの抵抗を有した。アーク処理した布が0.1Ωmの布抵抗率を有したということは、結果的に0.010Ωmの繊維抵抗率を生じた(布抵抗率は布の全容積に基づくが、繊維抵抗率は布の炭素の容積に基づく)。
実施例3:炭素繊維電極材料の容量性電位に対するアーク処理の効果
【0042】
実施例1に記載されたような及び実施例1のようにアーク処理された炭素繊維材料を内部表面積及び有効な電解容量について検討した。
【0043】
芳香族蒸気吸収:室温にて大気圧の窒素のもとで5ppmのベンゼン蒸気によるベンゼン吸収分析は、100m
2/gのBET表面積の活性炭によって吸収されるものに一致する3.5マイクロモル/gの炭素布を得た。アーク処理なしでの同一炭素布についての比較のベンゼン吸収分析は、炭素布のg当たり0.5マイクロモルのベンゼンを生じた。
【0044】
窒素吸収(BET):アーク処理なしでの材料は220m
2/g前後のBET表面積を示したが、ほとんど測定不能の孔容積と非常に微細な孔(<1mm)を伴った。アーク処理した布のBET測定は50〜100m
2/g炭素の範囲の値を生じた。
【0045】
有効な電解容量:1.28s.g.の硫酸に浸漬した2つの同一の炭素布電極におけるサイクリックボルタンメトリーは、以下に言及する浸漬された炭素布の単位質量当たり有効なキャパシタンスを生じた。Hg/HgSO
4の参照電極に関して−0.7〜−1.3Vの間の負極の個々の電位を掃引し、電流を充電し、次いで放電することをサイクル周囲に統合し、セルの2×総電圧掃引範囲で割って電極のキャパシタンスを得た。0.5mV/s〜1000mV/sの間の掃引電圧速度についてこれを行った。10mV/s以上の掃引電圧速度については、充電と放電の比率は1.13だった。次いで特定の電極キャパシタンスを得るには、電極当たりの炭素の平均質量で電極キャパシタンスを割った。得られた電極キャパシタンスを以下に列記する。
【表1】
アーク処理した布の方が大きなキャパシタンスを有した。また、アーク処理したものとアーク処理しないものの比は掃引速度が増すにつれて大きくなり、BET測定におけるさらに大きい孔サイズを反映した。
実施例4:アーク処理した炭素アーク処理した繊維材料の負極集電子を伴った電池
【0046】
先ず、ポリプロピレンの先端を切り落とすことによって、使い始めの2Ah容量の小型3セル9Vのオートバイ用鉛酸蓄電池を分解した。各セルは2つの負極の間の正極1つで構成された。正極は、いずれかの側で電解液にアクセス可能な格子に負荷された活物質を有した。各負極も同様に構築され、繊維性のセパレータによって正極から分離された。元々の各電極のサイズは幅56mm、高さ44mmで面積26.4cm
2だった。並行に作用する2つの活性表面と共に、各セルの負極/正極の総面積は(2)(26.4)=52.8cm
2だった。元々の各活性層の厚さは2mm前後だった。
【0047】
セル1つの負極1つを取り除き、以下に記載するように構成されたさらに小さな負極で置き換えた。他方の負極は充電回路からの接続を断った。
【0048】
さらに小さな負極は、実施例1に記載されたようにアーク処理された実施例1に記載されたような、それぞれ10mm×45mm×0.5mm厚さの織物炭素布の4層で構成された(特性、150g/m
2、厚さ0.5mm、0.23Ω/ロールに沿った平方、0.37Ω/ロールを横切る平方を生じる)。ほどかれたロールの幅方向にて長辺を持つ炭素布のロールから層を切り取った。これらの層のうち、35mmの長さを活性面積として用い、10mmを電気接触面積として用いた。アーク処理に先立って、Pb(NO
3)
2水溶液で材料を完全に濡らし、2質量%のPbが堆積するように一晩乾燥させた。アーク処理は材料を黒鉛化し、繊維すべてにわたる滑らかなコーティングに鉛を分配した。SEM顕微鏡写真は、マイクロプローブ元素分析によってPbO
2であることが示される、繊維上で100nm前後の厚さの均一な層を示した。
【0049】
次いでそのような4つの層を、それらがすべて鉛シムに結合してその末端の1つで接続ラグを形成するように重ね合わせて組み立てた。樹脂フラックスコアを組み込んでいる直径0.8mmの鉛ハンダワイヤ(60%Sn、40%Pb)を4つの層の間の3つのギャップにジグザグ形態で置いた。金属鉛の20mm幅のリボン(厚さ0.6mm)を次いで4つの層の末端の外側の周りで包み、各層の先端10mmを覆った。スポット溶接機の2つの電極の間に鉛の覆いを押し込む一方で、電流を通して集合体を溶融し、炭素繊維とハンダ及び鉛との間の良好な接触を提供した。このように、電流の先端でラグを形成し、さらなる処理のために自由に動き回ることができる炭素布層を接続し、保持した。
【0050】
活物質を作るために、PbSO
4粉末(粉砕後4〜5μmの平均サイズ)を低濃度の硫酸(s.g.<1.05)と混合して78質量%のPbSO
4(0.37容積分画)のペーストを作った。炭素布の各層の自由な露出部分にゴムヘラでこのペーストを押し込む一方で、超音波洗浄槽(180W、4L、53kHz)に浸漬したガラス容器の平面底にその層を押し付けた。次いで各ペースト化した層を擦り落として余分なペーストを除いた。これらのペースト化した層をこの時点で一緒に軽く押し付け、依然濡れたままで互いに良好に接触させた。
【0051】
電極全体は、3.5cm
2の表面上の活性面積(PbSO
4が負荷されている)を有し、2mmの厚さだった。この電極を乾燥させてPbSO
4の乾燥質量を測定できるようにし、次いで元々の電池の大きな負極の代わりに挿入し、そのとき、セルは、従来の26.4cm
2の単一正極に対向した新しい3.5cm
2の電極によってのみ制限される。
【0052】
セルに負極を挿入した後、制御された45mAの電流の期間、次いで2.4Vでの制御されたセル電圧の時間を用いたCadexC7200−C電池アナライザ(カナダ、ブリティッシュコロンビアのCadex Electronics)を用いて直ちに充電を開始した。生成電荷と放電の後、45mAの当初充電電流と17mAの放電電流を伴ったさらなる4回の完全なサイクルを実施して電極容量を安定化させた。さらなるサイクルは、45mA(負極の活性質量におけるPbのkg当たり39A前後)で充電し、40、195、256、655、800mAの連続して高くなる電流で放電し、次いで同一の値にわたって落としていった。放電の間の電流を時間に関して統合し、mAhにおける各サイクルについての容量を推定した。これらの容量と電流を電極における鉛の質量(PbSO
4の乾燥質量から推定した)で割った。
図5は、負極活物質(NAM)における比容量Al/kgPbに対するNAMにおける特定の電流A/kgPbに特異的な戻りシーケンス点−三角データ点の「ラゴン」型プロットである。
【0053】
図6は、上述で記載されたように、しかし、4層の代わりに炭素繊維負極における3つの炭素繊維層と共に構成され、接続ラグにて3層のうち2層の切り口がすべてハンダで完全に取り囲まれた電池についての
図5と同様のプロットである。高い容量はこの接続での低い抵抗性によるものであり得る。
実施例5:アーク処理されていない炭素繊維材料の負極集電子を伴った電池
【0054】
実施例4に記載されたとおりに、しかし、炭素繊維材料の最初のアーク処理を行わずに電池を構築した。実施例4に記載されたように容量を測定した。これらの容量−電流の測定値を再び負極の活物質における鉛の質量で割り、
図5にてプロットした−四角データ点。
【0055】
アーク処理した繊維電極を持つ実施例4の電池の方が特に高い電流密度で優れた容量性能を有した。
実施例6:アーク処理した炭素繊維材料の負極集電子−サイクル寿命
【0056】
ペーストに添加剤を加えずに実施例4に記載したようなアーク処理したPAN系炭素繊維布によって電極を構築し、完全に充電した電池で開始し、次いで50Aで1分間放電し、放電時間の終了時セル電圧がセル当たり1.75V前後より低下するまで継続する軽度のハイブリッド車における充電(PSOC)義務の部分的な状態を概算する加速寿命試験に供した。充電は一定の50Aで開始し、セル電圧が2.35Vに上昇するまで行い、この後、落として充電電圧を一定に維持した。この試験にはCadexC7200−C電池テスターも使用した。放電終了時セル電圧をサイクル数に対して図
7にプロットし−暗いプロット、機能停止前に約11,000サイクルが達成されたことを理解することができる。6000サイクル直後の突然の低下は地震による10日間の電源切断によるものだった。典型的な従来の鉛酸電池、ISS電池及び「ウルトラバッテリ」についても典型的な寿命を示した。
実施例7:アーク処理していない炭素繊維材料の負極集電子−サイクル寿命
【0057】
アーク処理していない炭素繊維によって実施例6に記載されたように電極を構築し、実施例6に記載されたのと同様の加速寿命試験に供したが、さらに活性の材料は伴わなかった。放電終了時セル電圧をサイクル数に対して
図7にプロットしたが−明るいプロット、それはちょうど9000サイクルを超える寿命を示した。
【0058】
実施例6のアーク処理した布電極の方が長い寿命を有した(高い電流密度を有するにもかかわらず)。
実施例8:アーク処理した炭素繊維材料の負極集電子−電荷受容性
【0059】
実施例4の試験に先立って電流の範囲にわたる電荷受容性について実施例4の電池を調べた。充填試験は実施例4に記載した充電と放電のサイクルに従ったが、電流はその試験に選択した167mAより下に下げ、それより上に上げた。電池をほぼ完全に充電した。充電と放電の時間は再び1分とした。CadexC7200−Cを再び用いた。充電電流の1回の測定のタイミングは電流によって異なった。試験開始で設定した充電電流は、最初の450サイクルが120mA、次の200サイクルが180mA及び最後の1000サイクルが240mAだった。デジタルの電流計で分かるように電流を設定レベルまで上げるのに数秒かかった。測定された電流をサイクルの全数に対して
図8でプロットした。120mAサイクルでの充電の開始後約60秒にて(90mAで測定)、180mAサイクルの開始後19秒にて(180mAで)及び240mA開始後23秒にて(238mAで)、電流を測定した。従って、充電電流は、1分間かけて120から90mAに低下し、19秒間で180mAからほとんど低下せず、23秒かけて240mAからちょうど2mA低下した。
【0060】
調べた最大の比充電率は活物質中の鉛のkg当たり295A(240mA/0.81g)であったが、電極は少なくとも20秒間前後(ハイブリッド車における再生充電に十分な)これを受容することができる。多分、最高の電流についても充電電流は1分間高いのを継続した。試験が進むにつれて充電の状態は幾分低下するが、さらなる充電を受容することが可能である。
【0061】
前述はその好ましい形態を含む本発明を記載しているが、当業者に明白であるような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲で定義されるようなその範囲に組み入れられることが意図される。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕鉛酸電池又はセルであって、
50ミクロン未満の繊維間の平均繊維間間隔を持つ繊維を含むフィラメント及び/又は
単繊維であり、単繊維間の平均繊維間間隔が50ミクロン未満であるフィラメントを含む導電性繊維性材料を集電子として含む少なくとも1つの電極を含む鉛酸電池又はセル。
〔2〕鉛酸電池又はセルであって、
材料の主面で長さと幅の寸法を及び材料の前記主面に垂直の深さを有し、
50ミクロン未満の繊維間の平均繊維間間隔を持つ繊維を含むフィラメント及び/又は
単繊維であり、単繊維間の平均繊維間間隔が50ミクロン未満であるフィラメントを含む導電性繊維性材料を集電子として含む鉛酸電池又はセル。
〔3〕材料の平均深さが少なくとも0.2ミリメールである前記〔2〕に記載の鉛酸電池。
〔4〕材料の平均深さが少なくとも1ミリメールである前記〔2〕に記載の鉛酸電池。
〔5〕集電子の材料がそれぞれ複数の繊維で構成されるフィラメントで実質的に構成される前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔6〕導電性繊維性材料にて平均繊維間間隔が20ミクロン未満である前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔7〕平均繊維間間隔が材料の少なくとも主要分画にわたる前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔8〕平均繊維間間隔が材料の実質的すべてにわたる前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔9〕繊維性の集電子の材料が織物材料である前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔10〕繊維性の集電子の材料が編み物材料である前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔11〕繊維性の集電子の材料が、材料の主面で一方向に延び、それぞれ複数の繊維で構成されるフィラメントを含む前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔12〕繊維性の集電子の材料又はその繊維が可撓性である前記〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔13〕繊維性の集電子の材料が炭素繊維材料を含む前記〔1〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔14〕炭素繊維材料が、レーヨン、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂又はピッチ材料である、それを含む又はそれに由来する前記〔13〕に記載の鉛酸電池。
〔15〕炭素繊維材料が熱処理されてその電気伝導性を高める前記〔13〕又は前記〔14〕のいずれかに記載の鉛酸電池。
〔16〕炭素繊維材料がアーク放電によって熱処理される前記〔13〕〜〔15〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔17〕アークが電極と炭素繊維材料の間に存在するように2つの電極間のギャップにて又は電極を通り過ぎて炭素繊維材料とアークの間で相対的な移動を生じることによるアーク放電によって炭素繊維材料が熱処理されている前記〔16〕に記載の鉛酸電池。
〔18〕炭素繊維材料の非黒鉛炭素の主要分画と黒鉛炭素のわずかな微小分画を気化するアーク放電によって炭素繊維材料が熱処理されている前記〔16〕又は前記〔17〕のいずれかに記載の鉛酸電池。
〔19〕繊維性の集電子の材料が10Ωmm未満のバルク抵抗率を有する前記〔1〕〜〔18〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔20〕繊維性の集電子の材料が1Ωmm未満のバルク抵抗率を有する前記〔1〕〜〔18〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔21〕繊維性の集電子の材料が表面活性化されて表面積を増やし、キャパシタンスを高める前記〔1〕〜〔20〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔22〕前記少なくとも一方の電極が、集電子材料を支え、且つ集電子材料のフィラメントが電気的に接続される導電性フレーム又はフレーム要素を含む前記〔1〕〜〔21〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔23〕フィラメントの端部又は別の部分が埋め込まれて、製造時フィラメントへの塗布の際、溶融される金属要素によって金属フレーム又はフレーム要素に集電子材料のフィラメントが電気的に接続される前記〔22〕に記載の鉛酸電池。
〔24〕フィラメントの端部又は別の部分が埋め込まれて、製造時フィラメントへの塗布の際、溶融される金属要素によって、集電子材料が支えられ、集電子材料のフィラメントが電気的に接続される前記〔1〕〜〔21〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔25〕電池又はセルの構築の間、繊維性の集電子材料が、硫酸鉛粒子と希硫酸の混合物を含むペーストに含浸されている前記〔1〕〜〔24〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔26〕ペースト中の硫酸鉛が実質的に電池又はセルの活性物質における鉛の唯一の供給源である前記〔25〕に記載の鉛酸電池。
〔27〕前記少なくとも一方の電極が負極である前記〔1〕〜〔26〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔28〕前記少なくとも一方の電極が前記繊維性集電子材料の多重層を含む前記〔1〕〜〔27〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔29〕アーク放電によって熱処理された炭素繊維材料を集電子として含む少なくとも1つの電極を含む鉛酸電池又はセル。
〔30〕アークが電極と炭素繊維材料の間に存在するように2つの電極間のギャップにて又は電極を通り過ぎて炭素繊維材料とアークの間で相対的な移動を生じることによるアーク放電によって炭素繊維材料が熱処理されている前記〔29〕に記載の鉛酸電池。
〔31〕炭素繊維材料の非黒鉛炭素の主要分画と黒鉛炭素のわずかな微小分画を気化するアーク放電によって炭素繊維材料が熱処理されている前記〔29〕又は前記〔30〕のいずれかに記載の鉛酸電池。
〔32〕炭素繊維材が10Ωmm未満のバルク抵抗率を有する前記〔29〕〜〔31〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔33〕炭素繊維材が1Ωmm未満である前記〔29〕〜〔31〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔34〕炭素繊維材が表面活性化されて表面積を増やし、キャパシタンスを高める前記〔29〕〜〔33〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔35〕炭素繊維材料が織物材料である前記〔29〕〜〔34〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔36〕炭素繊維材料が編み物材料である前記〔29〕〜〔34〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔37〕炭素繊維材料が、レーヨン、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂又はピッチ材料を含む又はそれに由来する前記〔29〕〜〔36〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔38〕電池又はセルの構築の間、炭素繊維材料が、硫酸鉛粒子と希硫酸の混合物を含むペーストに含浸されている前記〔29〕〜〔37〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔39〕ペースト中の硫酸鉛が実質的に電池又はセルの活性物質における鉛の唯一の供給源である前記〔38〕に記載の鉛酸電池。
〔40〕前記少なくとも一方の電極が負極である前記〔29〕〜〔39〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔41〕前記少なくとも一方の電極が前記炭素繊維材料の多重層を含む前記〔29〕〜〔40〕のいずれか1項に記載の鉛酸電池。
〔42〕鉛酸電池又はセルを製造する方法であって、
50ミクロン未満の繊維間の平均繊維間間隔を持つ繊維を含むフィラメント及び/又は
単繊維であり、単繊維間の平均繊維間間隔が50ミクロン未満であるフィラメントを含む導電性繊維性材料を集電子として含む少なくとも1つの電極を形成することを含む方法。
〔43〕鉛酸電池又はセルを製造する方法であって、
材料の主面で長さと幅の寸法を及び材料の前記主面に垂直の深さを有し、
50ミクロン未満の繊維間の平均繊維間間隔を持つ繊維を含むフィラメント及び/又は
単繊維であり、単繊維間の平均繊維間間隔が50ミクロン未満であるフィラメントを含む導電性繊維性材料を集電子として含む少なくとも1つの電極を形成することを含む方法。
〔44〕材料の平均深さが少なくとも0.2ミリメールである前記〔43〕に記載の方法。
〔45〕材料の平均深さが少なくとも1ミリメールである前記〔43〕に記載の方法。
〔46〕集電子がそれぞれ複数の繊維で構成されるフィラメントで実質的に構成される前記〔42〕〜〔45〕のいずれか1項に記載の方法。
〔47〕平均繊維間間隔が20ミクロン未満である前記〔42〕〜〔46〕のいずれか1項に記載の方法。
〔48〕平均繊維間間隔が材料の少なくとも主要分画にわたる前記〔42〕〜〔47〕のいずれか1項に記載の方法。
〔49〕平均繊維間間隔が材料の実質的すべてにわたる前記〔42〕〜〔47〕のいずれか1項に記載の方法。
〔50〕繊維性材料が織物材料である前記〔42〕〜〔49〕のいずれか1項に記載の方法。
〔51〕繊維性材料が編み物材料である前記〔42〕〜〔49〕のいずれか1項に記載の方法。
〔52〕導電性繊維性材料が材料の主面で一方向に延び、それぞれ複数の繊維で構成されるフィラメントを含む前記〔42〕〜〔49〕のいずれか1項に記載の方法。
〔53〕繊維性材料又はその繊維が可撓性である前記〔42〕〜〔52〕のいずれか1項に記載の方法。
〔54〕繊維性材料が炭素繊維材料を含む前記〔42〕〜〔53〕のいずれか1項に記載の方法。
〔55〕炭素繊維材料が、レーヨン、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂又はピッチ材料を含む又はそれに由来する前記〔54〕に記載の方法。
〔56〕炭素繊維材料を熱処理してその電気伝導性を高めることを含む前記〔54〕又は前記〔55〕のいずれかに記載の方法。
〔57〕アーク放電によって炭素繊維材料を熱処理することを含む前記〔54〕〜〔56〕のいずれか1項に記載の方法。
〔58〕アークが電極と炭素繊維材料の間に存在するように2つの電極間のギャップにて又は電極を通り過ぎて炭素繊維材料とアークの間で相対的な移動を生じることによるアーク放電によって炭素繊維材料を熱処理することを含む前記〔57〕に記載の方法。
〔59〕炭素繊維材料の非黒鉛炭素の主要分画と黒鉛炭素のわずかな微小分画を気化するように炭素繊維材料を熱処理することを含む前記〔57〕又は前記〔58〕のいずれかに記載の方法。
〔60〕導電性繊維性材料が10Ωmm未満のバルク抵抗率を有する前記〔42〕〜〔59〕のいずれか1項に記載の方法。
〔61〕導電性繊維性材料が1Ωmm未満のバルク抵抗率を有する前記〔42〕〜〔59〕のいずれか1項に記載の方法。
〔62〕繊維性材料を表面活性化して表面積を増やし、キャパシタンスを高めることを含む前記〔42〕〜〔61〕のいずれか1項に記載の方法。
〔63〕硫酸鉛粒子と希硫酸の混合物を含むペーストに導電性繊維性材料を含浸することを含む前記〔42〕〜〔62〕のいずれか1項に記載の方法。
〔64〕ペースト中の硫酸鉛が実質的に電池又はセルの活性物質における鉛の唯一の供給源である前記〔65〕に記載の方法。
〔65〕導電性フレームの中に又は導電性フレーム要素の間に集電子材料を入れて集電子材料を支持し、集電子材料のフィラメントをフレーム又はフレーム要素に電気的に接続することを含む前記〔42〕〜〔64〕のいずれか1項に記載の方法。
〔66〕フィラメントの端部又は別の部分を溶融金属に埋め込み、溶融金属を固化させることによって金属フレーム又はフレーム要素に集電子材料のフィラメントを電気的に接続することを含む前記〔65〕に記載の方法。
〔67〕フィラメントの端部又は別の部分を溶融金属に埋め込み、溶融金属を固化させることによって集電子材料のフィラメントを電気的に接続することを含む前記〔42〕〜〔64〕のいずれか1項に記載の方法。
〔68〕電池又はセルを製造する方法であって、導電性繊維性材料を集電子として含む少なくとも一方の電極に硫酸鉛粒子と希硫酸の混合物を含むペーストを塗布することを含む方法。
〔69〕ペースト中の硫酸鉛が実質的に電池又はセルの活性物質における鉛の唯一の供給源である前記〔68〕に記載の方法。