(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
〔実施形態1〕
図1は本発明による防塵ネット取付構造の一実施形態が適用された建設機械の背面側からみた斜視図である。
図1に示されるように、本実施形態では、建設機械として小旋回タイプの小型油圧ショベル10を例に挙げて説明する。この小旋回タイプの小型油圧ショベル10は、運転室12に対しエンジン室14の後部側の延出量が小さく設定されている。
【0012】
小型油圧ショベル10は、大略すると自走可能なクローラ式の下部走行体20と、この下部走行体20上に旋回可能に搭載された上部旋回体30とにより略構成されている。また、上部旋回体30の前部側には、運転室12と、作業アタッチメント40とが設けられている。
【0013】
この作業アタッチメント40は、ブーム42、及びアーム、バケット等を有している。尚、アーム、及びバケットは、図示を省略する。ブーム42は、後述の旋回フレーム45に俯仰動可能に取り付けられている。
【0014】
また、上部旋回体30の後部側には、エンジン室14が設けられている。エンジン室14は、鉄製のカバー50により覆われており、カバー50の左側には吸気側開口16を開閉する開閉ドア60が水平方向に回動可能に設けられている。尚、開閉ドア60は、閉止された場合にエンジン室14と連通する複数の吸気口62が設けられている。
【0015】
エンジン室14の吸気側開口16の内側には、エンジン及びその他の機器を冷却するラジエータユニット70が搭載されている。また、ラジエータユニット70は、ラジエータ72の吸気側に、エアコン用コンデンサ80と燃料クーラ90とが取り付けられている。さらに、ラジエータ72とエアコン用コンデンサ80との間には、防塵ネット100が側方(後方)に取出し可能に取り付けられている。
【0016】
図2は建設機械10の後部から防塵ネット100を引き出した状態を示す斜視図である。
図2に示されるように、防塵ネット100は、ラジエータ72の上流側(吸込み側)に取り付けられており、吸気口から吸込まれた空気に含まれる異物(例えば、木屑、落ち葉、粉塵など)の侵入を防止するフィルタである。
【0017】
また、防塵ネット100は、異物の吸込み量によって目詰まりするため、定期的に清掃が行われる。この防塵ネット100の清掃方法としては、防塵ネット100を吸気側開口16から後方(X1方向)に取出して防塵ネット100に付着した異物を洗浄又は拭き取る。尚、防塵ネット100は、作業者が地面に立った姿勢で簡単に取出すことができるので、防塵ネット100に付着した異物が多い場合でも、例えば、洗浄液や水道水により効率良く除去できる。
【0018】
〔エンジン室14内の内部構成〕
図3は建設機械10のエンジン室14の内部を示す図である。
図3に示されるように、エンジン室14は、運転室12及び作業アタッチメント40の後方に配置されており、カバー50により覆われている。エンジン室14の内部には、エンジン18と、ラジエータユニット70と、バランスウエイト110などが搭載されている。また、エンジン室14には、油圧ポンプ、インタークーラ等の各機器も搭載されている。
【0019】
さらにラジエータ72とエアコン用コンデンサ80との間には、防塵ネット100のスライド方向をガイドする防塵ネット取付構造120が設けられている。防塵ネット取付構造120は、後述するように防塵ネット100の取出し操作及び装着操作をガイドする構成であり、作業者が地面に立った姿勢で容易に操作することを可能にしている。
【0020】
エンジン室14の吸気側開口16には、左側方に回動する開閉ドア60が設けられている。この開閉ドア60は、左側のヒンジ62により回動可能に支持され、右側縁部がカバー50の縁部に嵌合することで吸気側開口16を閉止する。従って、防塵ネット100を清掃する際は、先ず開閉ドア60を実線で示す開位置Dに回動させ、防塵ネット100のロック(後述する固定部材による固定)を外して防塵ネット100を後方(X1方向)に引き出す。
【0021】
尚、開閉ドア60は、全開位置まで回動させる必要がなく、少なくとも防塵ネット100を後方(X方向)に引き出すための隙間が開いていれば良いので、例えば、全開できないような狭い場所でも防塵ネット100の清掃作業が可能となる。
【0022】
また、ラジエータ72の下流(エンジン側)には、エンジン18のファン17が収納されるシュラウド73が取り付けられている。そして、エンジン18の後方のカバー50内壁には、バランスウエイト110が取り付けられている。このバランスウエイト110は、作業アタッチメント40の動作に伴う重量バランスをとるため、作業アタッチメント40に応じた所定の重さが設定される。一方、本実施形態では、カバー50の左側に防塵ネット100を後方に引き出す構成であるので、吸気側開口16より左側にバランスウエイトを設けることができない。そのため、バランスウエイト110は、吸気側開口16を閉塞しない形状とされており、概略、カバー50内壁に固定される円弧状の第1ウエイト112と、エンジン18の上方に延在する第2、第3ウエイト114、116とを有する。
【0023】
〔ラジエータユニット70の構成〕
図4はエンジン室14に搭載されたラジエータユニット70を示す斜視図である。
図5はラジエータユニット70を吸気側からみた正面図である。
図6はラジエータユニット70を左側方からみた側面図である。
図7はラジエータユニット70を上方からみた平面図である。
【0024】
図4〜
図7に示されるように、防塵ネット取付構造120は、ラジエータ72のフレーム74に固定された一対のガイドレール130、132と、防塵ネット100の右側縁部106を固定する固定機構(固定手段)140とを有する。
【0025】
一対のガイドレール130、132は、それぞれラジエータ72のフレーム74の前側に固定されており、右側方からみると、クランク形状に形成されている。そのため、各ガイドレール130、132とフレーム74との間に形成された隙間に、防塵ネット100の上側縁部102、下側縁部104が嵌合することで、防塵ネット100の移動方向(X1、X2方向)がガイドされる。
【0026】
また、エアコン用コンデンサ80の右側は、防塵ネット取付構造120の前方に配置されるため、ラジエータ72のフレーム上部に連結され下方に延在形成された第1ブラケット150と、ラジエータ72のフレーム下部に連結され上方に延在形成された第2ブラケット152とにより右端側を支持されている。また、エアコン用コンデンサ80の左側面は、ラジエータ72のフレーム74の左端より前方に突出する板状の第3ブラケット154により支持される。
【0027】
第1ブラケット150は、ラジエータ72のフレーム74の上方から防塵ネット取付構造120を跨ぐように下方に延在形成される。また、第2ブラケット152は、ラジエータ72のフレーム74の下方から防塵ネット取付構造120を跨ぐように上方に延在形成されている。そのため、防塵ネット100は、一対のガイドレール130、132のガイド方向にスライドする際、第1、第2ブラケット150、152に接触せずに移動することが可能になる。
【0028】
燃料クーラ90は、エアコン用コンデンサ80の前側に配置されており、上部ブラケット92、94及び下部ブラケット96、98によりエアコン用コンデンサ80のフレーム82、84に固定されている。
【0029】
また、ラジエータ72の前面下側には、下側防塵ネット160が防塵ネット取付構造170により取り付けられている。防塵ネット取付構造170は、下側防塵ネット160の下側縁部の2箇所に設けられたガイド部材172、174と、下側防塵ネット160の上側縁部の2箇所に設けられた固定ピン176、178とを有する。また、防塵ネット取付構造170は、ラジエータ72のフレーム74の左右両側から前側(吸込み側)に突出するストッパ76、78を有する。
また、防塵ネット取付構造170は、下側防塵ネット160を外す際は、固定ピン176、178のロックを解除した後、下側縁部をガイド部材172、174から外してX1方向に引き出すことでラジエータ72から外すことができる。また、固定ピン176、178のロックを解除した後、下側防塵ネット160の上端縁部をラジエータ72から離間させるように傾斜させて下端縁部をガイド部材172、174から外しからX1方向に引き出すようにしても良い。
【0030】
また、下側防塵ネット160に付着した異物を除去した後、当該下側防塵ネット160を装着する場合は、下端縁部をガイド部材172、174に係合させると共に、左右両側をストッパ76、78により下側防塵ネット160の挿入位置が規制される。このように、下側防塵ネット160の挿入位置がガイド部材172、174と、ストッパ76、78とにより取付位置をガイドされることで、固定ピン176、178を挿入する固定穴との位置合わせが容易に行える。
【0031】
尚、ストッパ76、78は、フレーム74からの突出量(突出寸法)が下側防塵ネット160の厚さ分に相当するため、下側防塵ネット160の取出し操作、及び挿入操作に妨げにならないように設けられている。
【0032】
〔固定機構140の構成〕
図8は防塵ネット100の固定機構140を示す斜視図である。
図8(A)に示されるように、固定機構140は、防塵ネット100の右縁部106のほぼ中間位置に取り付けられた可動側L字状金具142と、可動側L字状金具142に設けられたワンタッチ方式の固定ピン(固定部材)144と、フレーム74の右側面のほぼ中間位置に設けられた固定側L字状金具146とからなる。固定側L字状金具146は、防塵ネット100が一対のガイドレール130、132にガイドされることで可動側L字状金具142と同じ高さ位置になるように取り付けられている。また、固定側L字状金具146は、フレーム74の右側面より右側方に突出しており、固定ピン144を固定する固定クリップ146aを有する。
【0033】
固定ピン144は、可動側L字状金具142に回動操作可能に取り付けられている。また、固定ピン144は、可動側L字状金具142のX1方向側に位置する操作ツマミ144aと、可動側L字状金具142の端面から防塵ネット100のスライド方向(X2方向)に突出する係合部144bとを有する。係合部144bは、軸の左右方向(水平方向)に左右対称となる一対の突部を有する。尚、係合部144bを軸方向からみた形状は、左右対称な曲線形状であるが、これに限らず、他の凸形状でも良い。
【0034】
固定側L字状金具146は、金属板を曲げ加工した固定クリップ146aが嵌合固定されている。この固定クリップ146aは、固定側L字状金具146の側方から嵌めることで固定されており、平面部分には係合部144bに対応する鍵穴146bが設けられている。この鍵穴146bは、固定ピン144の係合部144bの凸形状に対応する穴形状に形成されている。そのため、防塵ネット100を清掃する際は、固定ピン144の操作ツマミ144aを回して係合部144bを鍵穴146bに一致させる。これで、固定ピン144による防塵ネット100に対するロックが解除されて防塵ネット100をX1方向に引き出すことが可能になる。
【0035】
また、清掃が終了した防塵ネット100をラジエータ70の前側に取り付ける場合は、防塵ネット100の上側縁部102、下側縁部104をガイドレール130、132の溝内に嵌合させることで防塵ネット100をX2方向にスライドさせることが可能になる。その際、係合部144bの軸回りの回動位置が鍵穴146bに一致するように固定ピン144の操作ツマミ144aの回動位置を調整する。
【0036】
図8(B)に示されるように、清掃が終了した防塵ネット100が一対のガイドレール130、132にガイドされてX2方向に戻されると共に、固定ピン144の係合部144bが固定側L字状金具146の鍵穴146bに挿通される。
【0037】
そして、固定ピン144の係合部144bが固定クリップ146aの鍵穴146bに挿通された状態で操作ツマミ144aを時計方向又は反時計方向に所定角度(例えば、90°)回動操作する。これで、固定ピン144の係合部144bは、鍵穴146bに対して回動してX1方向への移動を阻止すると共に、防塵ネット100をラジエータ72に対してロック(固定)する。このように、防塵ネット100は、上側縁部102、下側縁部104がガイドレール130、132との嵌合により保持され、右側縁部106が固定機構140により固定されるため、がたつきの無い状態に固定される。
【0038】
また、固定機構140は、防塵ネット100の右端側の中央付近に設けられているため、1個の固定ピン144を所定角度回すにより固定することができ、複数設ける場合よりも部品点数を削減して製造コストを安価に抑えることができると共に、ロック操作及びロック解除操作も1回で済み、操作回数が少なくて済む。
【0039】
〔バランスウエイト110の構成〕
図9はバランスウエイト110の形状を示す斜視図である。
図9に示されるように、バランスウエイト110は、カバー50内壁に固定される円弧状の第1ウエイト112と、エンジン18の上方に延在する第2、第3ウエイト114、116とを有する。第1ウエイト112は、エンジン18の後部に配置されており、エンジン18とカバー50内壁との間に収納されている。第2、第3ウエイト114、116は、夫々第1ウエイト112より上方に延在するように形成され、且つ上端から水平方向にも突出する突出部114a、116aを有するL字状に形成されている。
【0040】
これにより、第2、第3ウエイト114、116は、エンジン室14の吸気側開口16を塞がないように配置され、エンジン室14の限られたスペースに収納できる。また、バランスウエイト110は、各ウエイト112、114、116をエンジン室14の空きスペースに応じて立体的な形状とすることで、作業アタッチメント40の動作に伴う前後方向の重量バランスが釣り合うように所定の質量が確保されるように構成されている。
【0041】
尚、バランスウエイト110は、各ウエイト112、114、116を鋳造により一体成型しても良いし、各ウエイト112、114、116を個別に鋳造して締結部材を用いて結合させる構成のものでも良い。
【0042】
〔防塵ネット100の取出し操作手順〕
図10は防塵ネット100をラジエータユニット70の右側方にスライドさせた状態を示す図である。尚、
図10において、エアコン用コンデンサ80及び燃料クーラ90を省略して示す。
【0043】
(手順1)まず、
図1〜
図3に示されるように、上部旋回体30の後部側エンジン室14の開閉ドア60を開方向に回動させる。開閉ドア60の回動によりエンジン室14の吸気側開口16が開放される。このとき開閉ドア60の回動角度(開く角度)は、防塵ネット100の固定解除操作が行える角度であれば良いので、全開位置まで回動させずに防塵ネット100を取出すことが可能である。
【0044】
(手順2)
図8(B)に示すロック状態において、防塵ネット100をラジエータ72に固定する固定機構140の操作ツマミ144aを回動操作して係合部144bの回動位置を鍵穴146bに一致させる。これで、防塵ネット100のロックが解除される。
【0045】
(手順3)次に、
図10に示されるように、防塵ネット100をX1方向にスライドさせる。このとき、防塵ネット100は、上側縁部102、下側縁部104がガイドレール130、132にガイドされてスムーズに移動できる。
【0046】
(手順4)防塵ネット100を吸気側開口16から外部に取出す。そして、防塵ネット100に付着した異物を洗浄又は拭き取り、清掃を行う。
【0047】
(手順5)清掃が終了した防塵ネット100を吸気側開口16から挿入して防塵ネット100の上下側縁部102、104をガイドレール130、132に嵌合させる。そして、防塵ネット100をX2方向にスライドさせて、防塵ネット100をラジエータ72の前面側に対向する所定位置に移動させる。このとき、防塵ネット100は、上下側縁部102、104がガイドレール130、132にガイドされてX2方向に移動すると共に、
図8(A)に示されるように、固定ピン144の係合部144bの回動位置を固定側L字状金具146に固定された固定クリップ146aの鍵穴146bに一致させる。そのため、固定ピン144の係合部144bと鍵穴146bとの位置合せは比較的簡単に行えるので、防塵ネット100の取付作業は比較的容易に行える。
【0048】
(手順6)
図8(B)に示されるように、固定ピン144の操作ツマミ144aを回動操作する。これにより、固定クリップ146aの鍵穴146bに挿通された固定ピン144の係合部144bが回動し、鍵穴146bに対してX2方向への引き抜き操作が阻止される。これで、防塵ネット100は、固定側L字状金具146から離脱不可状態になり、防塵ネット100をラジエータ72の前面側(吸気側)にロック(固定)される。その結果、防塵ネット100は、上側縁部102、下側縁部104がガイドレール130、132との嵌合により保持され、右側縁部106が固定機構140により固定されるため、がたつきの無い状態に固定される。
【0049】
(手順7)この後、開閉ドア60を閉じて防塵ネット100の清掃に関する一連の作業が完了する。このように、作業者は、後部側エンジン室14の上面に昇る必要がなく、建設機械10の地面に立ったまま防塵ネット100を取出して清掃することができ、清掃作業を短時間で行うことができる。
【0050】
尚、上記説明では、防塵ネット100の清掃と共に、下側防塵ネット160の清掃作業を行うのは言うまでもない。また、上記防塵ネット清掃作業を行う際に、エンジン室14に搭載された他の機器のメンテナンスを行うことも可能である。