特許第6067471号(P6067471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6067471
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】ゲートウェイ装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/46 20060101AFI20170116BHJP
   H04L 12/66 20060101ALI20170116BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   H04L12/46 100C
   H04L12/66 A
   G06F13/00 353C
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-91386(P2013-91386)
(22)【出願日】2013年4月24日
(65)【公開番号】特開2014-216764(P2014-216764A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田畠 広泰
(72)【発明者】
【氏名】稲田 徹
(72)【発明者】
【氏名】大瀧 尚厳
【審査官】 速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−178118(JP,A)
【文献】 特開2011−066623(JP,A)
【文献】 伊藤 俊夫、他3名,通信エンドの負荷ピークを低減するためのビル設備情報収集スケジュール作成手法,電子情報通信学会技術研究報告 IN2011-76,日本,社団法人電子情報通信学会,2011年 8月25日,第111巻 第197号,pp.77-82
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/46
G06F 13/00
H04L 12/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを定周期的に収集する収集周期がデータ識別子毎に設定された収集周期情報を記憶する収集周期情報記憶手段と、
一時記憶手段と、
前記収集周期情報に設定されている収集周期に従い、収集対象となるデータ識別子のデータを収集して前記一時記憶手段に記憶させる収集手段と、
前記収集手段により新たに収集されたデータと同じデータ識別子のデータが前記一時記憶手段にすでに存在していた場合、前記収集手段により新たに収集されたデータの前記一時記憶手段にすでに存在していたデータに対する変化量が予め設定された閾値を上回る場合には現在設定されている収集周期より短い収集周期を新たに設定し、前記変化量が前記閾値を下回る場合には現在設定されている収集周期より長い収集周期を新たに設定し、その新たに設定した収集周期で前記収集周期情報記憶手段に記憶されている当該データ識別子に対応する収集周期情報を変更する変更手段と、
データ送信要求に応じて、送信対象とするデータ識別子のデータが、前記一時記憶手段に記憶されている場合には前記一時記憶手段に記憶されている当該データ識別子の最新のデータを要求元へ送信し、前記一時記憶手段に記憶されていない場合には当該データ識別子のデータを前記収集手段に収集させ、その収集されたデータを要求元へ送信する送信手段と、
データ識別子と、当該データ識別子におけるデータの変更条件値と、前記収集手段により収集されたデータの値が前記変更条件値に合致した場合に収集周期の変更対象とするデータ識別子と、当該変更対象とするデータ識別子に設定された収集周期変更情報と、が対応付けして設定された連係情報を記憶する連係情報記憶手段と、
を有し、
前記変更手段は、前記収集手段により収集されたデータの値が、前記連係情報に設定された当該データ識別子に対応する変更条件値に合致した場合、当該連係情報に設定された収集周期変更情報に従い当該変更対象とするデータ識別子に設定されている収集周期を変更することを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項2】
前記変更手段は、予め設定された範囲内において収集周期を設定することを特徴とする請求項1に記載のゲートウェイ装置。
【請求項3】
前記収集手段は、前記収集周期情報に収集周期が設定されていないデータ識別子が存在する場合、当該データ識別子のデータを定周期的に収集しないことを特徴とする請求項1に記載のゲートウェイ装置。
【請求項4】
データを収集する収集周期がデータ識別子毎に設定された収集周期情報を記憶する収集周期情報記憶手段と、一時記憶手段と、データ識別子と、当該データ識別子におけるデータの変更条件値と、収集手段により収集されたデータの値が前記変更条件値に合致した場合に収集周期の変更対象とするデータ識別子と、当該変更対象とするデータ識別子に設定された収集周期変更情報と、が対応付けして設定された連係情報を記憶する連係情報記憶手段と、を有するゲートウェイ装置に搭載されたコンピュータを、
前記収集周期情報に設定されている収集周期に従い、収集対象となるデータ識別子のデータを収集して前記一時記憶手段に記憶させる前記収集手段、
前記収集手段により新たに収集されたデータと同じデータ識別子のデータが前記一時記憶手段にすでに存在していた場合、前記収集手段により新たに収集されたデータの前記一時記憶手段にすでに存在していたデータに対する変化量が予め設定された閾値を上回る場合には現在設定されている収集周期より短い収集周期を新たに設定し、前記変化量が前記閾値を下回る場合には現在設定されている収集周期より長い収集周期を新たに設定し、その新たに設定した収集周期で前記収集周期情報記憶手段に記憶されている当該データ識別子に対応する収集周期情報を変更する変更手段、
データ送信要求に応じて、送信対象とするデータ識別子のデータが、前記一時記憶手段に記憶されている場合には前記一時記憶手段に記憶されている当該データ識別子の最新のデータを要求元へ送信し、前記一時記憶手段に記憶されていない場合には当該データ識別子のデータを前記収集手段に収集させ、その収集されたデータを要求元へ送信する送信手段、
として機能させ
前記変更手段は、前記収集手段により収集されたデータの値が、前記連係情報に設定された当該データ識別子に対応する変更条件値に合致した場合、当該連係情報に設定された収集周期変更情報に従い当該変更対象とするデータ識別子に設定されている収集周期を変更することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲートウェイ装置及びプログラム、特に機器から外部に送信されるデータを中継するゲートウェイ装置及びそのゲートウェイ装置に搭載されたコンピュータを機能させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルに設置された機器からのデータをインターネット経由で外部に送信することによってビル所有者等のユーザに閲覧させるシステムにおいては、ビル側にゲートウェイ装置を設置するのが一般的である。ゲートウェイ装置は、機器からデータを定期的に収集、蓄積しておき、ユーザからの各機器へのデータ送信要求に対し、要求先の各機器を代理して、当該機器から収集して蓄積しておいたデータを要求元へ送信することで応答していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−059000号公報
【特許文献2】特開2012−059001号公報
【特許文献3】特開平5−211686号公報
【特許文献4】特開2004−348319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した機器からデータを定期的に収集する方法では、ネットワークにかかる通信負荷とリアルタイム性とがトレードオフになる。すなわち、機器からデータを収集する周期を相対的に長くすると、ゲートウェイ装置と各機器とを接続するネットワークにかかる通信負荷を軽減することができるが、データ送信要求時点より前の時点においてすでに収集したデータを送信することにもなりうるので送信要求に対してリアルタイムに応答しているとは言い難くなる。リアルタイムなデータを送信していないということは、データの信憑性が懸念される。その一方、機器からデータを収集する周期を相対的に短くすると、データの信憑性は相対的に担保されるものの、ゲートウェイ装置と機器とを接続するネットワークにかかる通信負荷が相対的に高くなってしまう。
【0005】
本発明は、従来に比して各機器を接続するネットワークにかかる通信負荷の軽減とデータの信憑性の担保との両立を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るゲートウェイ装置は、データを定周期的に収集する収集周期がデータ識別子毎に設定された収集周期情報を記憶する収集周期情報記憶手段と、一時記憶手段と、前記収集周期情報に設定されている収集周期に従い、収集対象となるデータ識別子のデータを収集して前記一時記憶手段に記憶させる収集手段と、前記収集手段により新たに収集されたデータと同じデータ識別子のデータが前記一時記憶手段にすでに存在していた場合、前記収集手段により新たに収集されたデータの前記一時記憶手段にすでに存在していたデータに対する変化量が予め設定された閾値を上回る場合には現在設定されている収集周期より短い収集周期を新たに設定し、前記変化量が前記閾値を下回る場合には現在設定されている収集周期より長い収集周期を新たに設定し、その新たに設定した収集周期で前記収集周期情報記憶手段に記憶されている当該データ識別子に対応する収集周期情報を変更する変更手段と、データ送信要求に応じて、送信対象とするデータ識別子のデータが、前記一時記憶手段に記憶されている場合には前記一時記憶手段に記憶されている当該データ識別子の最新のデータを要求元へ送信し、前記一時記憶手段に記憶されていない場合には当該データ識別子のデータを前記収集手段に収集させ、その収集されたデータを要求元へ送信する送信手段と、データ識別子と、当該データ識別子におけるデータの変更条件値と、前記収集手段により収集されたデータの値が前記変更条件値に合致した場合に収集周期の変更対象とするデータ識別子と、当該変更対象とするデータ識別子に設定された収集周期変更情報と、が対応付けして設定された連係情報を記憶する連係情報記憶手段と、を有し、前記変更手段は、前記収集手段により収集されたデータの値が、前記連係情報に設定された当該データ識別子に対応する変更条件値に合致した場合、当該連係情報に設定された収集周期変更情報に従い当該変更対象とするデータ識別子に設定されている収集周期を変更するものである。
【0007】
また、データ識別子と、当該データ識別子におけるデータの変更条件値と、前記収集手段により収集されたデータの値が前記変更条件値に合致した場合に収集周期の変更対象とするデータ識別子と、当該変更対象とするデータ識別子に設定された収集周期変更情報と、が対応付けして設定された連係情報を記憶する連係情報記憶手段を有し、前記変更手段は、前記収集手段により収集されたデータの値が、前記連係情報に設定された当該データ識別子に対応する変更条件値に合致した場合、当該連係情報に設定された収集周期変更情報に従い当該変更対象とするデータ識別子に設定されている収集周期を変更するものである。
【0008】
また、前記変更手段は、予め設定された範囲内において収集周期を設定するものである。
【0009】
また、前記収集手段は、前記収集周期情報に収集周期が設定されていないデータ識別子が存在する場合、当該データ識別子のデータを定周期的に収集しないものである。
【0010】
本発明に係るプログラムは、データを収集する収集周期がデータ識別子毎に設定された収集周期情報を記憶する収集周期情報記憶手段と、一時記憶手段と、データ識別子と、当該データ識別子におけるデータの変更条件値と、収集手段により収集されたデータの値が前記変更条件値に合致した場合に収集周期の変更対象とするデータ識別子と、当該変更対象とするデータ識別子に設定された収集周期変更情報と、が対応付けして設定された連係情報を記憶する連係情報記憶手段と、を有するゲートウェイ装置に搭載されたコンピュータを、前記収集周期情報に設定されている収集周期に従い、収集対象となるデータ識別子のデータを収集して前記一時記憶手段に記憶させる前記収集手段、前記収集手段により新たに収集されたデータと同じデータ識別子のデータが前記一時記憶手段にすでに存在していた場合、前記収集手段により新たに収集されたデータの前記一時記憶手段にすでに存在していたデータに対する変化量が予め設定された閾値を上回る場合には現在設定されている収集周期より短い収集周期を新たに設定し、前記変化量が前記閾値を下回る場合には現在設定されている収集周期より長い収集周期を新たに設定し、その新たに設定した収集周期で前記収集周期情報記憶手段に記憶されている当該データ識別子に対応する収集周期情報を変更する変更手段、データ送信要求に応じて、送信対象とするデータ識別子のデータが、前記一時記憶手段に記憶されている場合には前記一時記憶手段に記憶されている当該データ識別子の最新のデータを要求元へ送信し、前記一時記憶手段に記憶されていない場合には当該データ識別子のデータを前記収集手段に収集させ、その収集されたデータを要求元へ送信する送信手段、として機能させ、前記変更手段は、前記収集手段により収集されたデータの値が、前記連係情報に設定された当該データ識別子に対応する変更条件値に合致した場合、当該連係情報に設定された収集周期変更情報に従い当該変更対象とするデータ識別子に設定されている収集周期を変更するものである。

【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来に比して各機器を接続するネットワークにかかる通信負荷の軽減とデータの信憑性の担保との両立を図ることができる。
【0012】
また、複数のデータ識別子を連係させて収集周期を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るゲートウェイ装置を有するビル監視システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】実施の形態1におけるゲートウェイ装置に搭載されたコンピュータのハードウェア構成図である。
図3】実施の形態1におけるゲートウェイ装置のブロック構成図である。
図4】実施の形態1における収集周期テーブル記憶部に記憶される収集周期テーブルの構成例を示す図である。
図5図4に示した収集周期テーブルの設定例に従ってデータ収集を行うタイミングを示す図である。
図6】実施の形態1におけるデータ収集処理を示すフローチャートである。
図7】実施の形態1におけるデータ送信処理を示すフローチャートである。
図8】実施の形態2におけるゲートウェイ装置のブロック構成図である。
図9】実施の形態2における連係情報記憶部に記憶される連係情報のデータ構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明に係るゲートウェイ装置を有するビル監視システムの全体構成の一例を示す図である。図1には、ビル3の所有者や管理者等のユーザにより使用されるユーザ端末装置1と、ユーザ端末装置1とビル3に設置されたゲートウェイ装置10とを接続するインターネットなどのWAN(Wide Area Network)2と、ユーザにより監視対象とされる空調、照明等の電気設備機器(以下、「機器」)4と、ゲートウェイ装置10と各機器4とを接続する専用のネットワーク5と、が示されている。
【0016】
ユーザは、各機器4から発せられる、温度、湿度、センサ出力値等のデータを取得、参照することによって各機器4の状態監視等を行うが、ゲートウェイ装置10は、各機器4からのデータを中継する。
【0017】
図2は、本実施の形態におけるゲートウェイ装置10に搭載されたコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態においてゲートウェイ装置10に搭載されたコンピュータは、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、図2に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24を接続したHDDコントローラ25、通信手段として設けられたネットワークコントローラ26を内部バス27に接続して構成される。なお、保守、各種設定等のために、入力手段としてマウスとキーボード、表示装置としてディスプレイ、あるいは他の情報処理装置を必要により接続できるように構成してもよい。
【0018】
図3は、本実施の形態におけるゲートウェイ装置10のブロック構成図である。本実施の形態におけるゲートウェイ装置10は、要求受信部11、データ収集部12、収集周期調整部13、データ提供部14、制御部15、収集データキャッシュ部16及び収集周期テーブル記憶部17を有している。図3では、データの流れを実線で示している。なお、本実施の形態に用いない構成要素については図3から省略している。
【0019】
要求受信部11は、ユーザ端末装置1から送信されてくるデータ送信要求を受信する。データ収集部12は、収集手段として設けられ、収集周期テーブル記憶部17に記憶された収集周期テーブルに設定されている収集周期に従い、収集対象となるデータ種別のデータを該当する機器4から収集し、収集データキャッシュ部16に書き込むことで記憶させる。収集周期調整部13は、変更手段として設けられ、収集周期テーブル記憶部17に記憶された収集周期テーブルの設定内容を変更する。変更する内容、タイミング等の詳細についてはデータ収集処理の説明と合わせて後述する。データ提供部14は、送信手段として設けられ、要求受信部11が受信したデータ送信要求に応じて、機器4から収集したデータを要求元であるユーザ端末装置1に送信する。制御部15は、各構成要素11〜14と連携動作することで、ゲートウェイ装置10に、本実施の形態において特徴的な機器4からのデータを外部のユーザ端末装置1へ送信する際のデータ中継機能を発揮させる。
【0020】
収集データキャッシュ部16は、一時記憶手段として設けられ、データ収集部12により収集されたデータを一時記憶する。本実施の形態においては、単に「キャッシュ」とも称する。収集周期テーブル記憶部17は、収集周期情報記憶手段として設けられ、機器4からデータを収集する収集周期がデータ種別毎に設定された収集周期情報をテーブル形式にて記憶する。
【0021】
図4は、本実施の形態における収集周期テーブル記憶部17に記憶される収集周期テーブルの構成例を示す図である。収集周期テーブルは、収集周期情報をテーブル形式にて保持している。収集周期テーブルには、データ識別子と収集周期と待ち周期数とが対応付けて設定される。機器4からは、機器4によって温度、センサ検出値等のデータが出力されるが、データ識別子には、各機器4から出力されるデータを識別するための情報としてデータ識別子が設定される。全ての機器4が1種類のデータのみを出力する場合には、データ識別子の代わりに機器を識別する情報を用いてもよい。データ収集部12は、制御部15による制御のもと定周期的に、例えば10秒ごとに機器4からデータを収集するデータ収集処理を実施するが、収集周期には、実際にデータの収集を行う周期の間隔が設定される。待ち周期数は、データの収集を実際に行うタイミングを特定するために用いられる。
【0022】
ゲートウェイ装置10における各構成要素11〜15は、ゲートウェイ装置10に搭載されたコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、収集データキャッシュ部16及び収集周期テーブル記憶部17は、HDD24またはRAM23にて実現される。
【0023】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、接続した情報処理装置を介して、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムは、情報処理装置を利用してコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPU21がプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0024】
次に、本実施の形態における動作について説明するが、最初に収集周期テーブルの設定内容の変更方法及び収集周期テーブルの設定内容に基づいたデータ収集タイミングの特定方法について図4及び図5を用いて説明する。
【0025】
図5は、図4に示した収集周期テーブルの設定例に従って各データ識別子のデータの収集を行うタイミングを示す図である。図5において、“○”は当該周期において対応するデータ識別子のデータの収集を行うタイミングを示し、“×” は当該周期において対応するデータ識別子のデータの収集を行わないタイミングを示している。収集周期調整部13は、収集周期テーブルの設定内容を変更して収集周期を調整するが、この収集周期の調整は、待ち周期数を増減させることで行っている。
【0026】
例えば、図4においてデータ識別子“データB”の収集周期情報に着目すると、このデータ識別子には、収集周期として“3”が設定されている。つまり、3周期毎にデータ収集を行うことを意味している。収集周期調整部13は、データ収集部12による1周期のデータ収集が終了するたびに待ち周期数が0になるまで1ずつ減算する。図4には、待ち周期数“2”が設定されている。データ収集部12は、待ち周期数が“0”のデータ識別子をデータ収集対象としているので、データ識別子“データB”のデータは、今回の周期(図5における1周期目)ではデータ収集の対象としない。1周期目におけるデータ収集が終了すると、収集周期調整部13は、待ち周期数を1減算することで待ち周期数を“1”に変更する。待ち周期数は“0”ではないので、データ収集部12は、次の周期(図5における2周期目)でもデータ収集の対象としない。2周期目におけるデータ収集が終了すると、収集周期調整部13は、待ち周期数を1減算することで待ち周期数を“0”に変更する。これにより、待ち周期数は“0”になったので、データ収集部12は、更に次の周期(図5における3周期目)では、データ識別子“データB”のデータを収集する。データが収集されると、収集周期調整部13は、待ち周期数が“0”の場合、待ち周期数を収集周期の設定値“3”で更新する。そして、更新後、待ち周期数から1減算して、待ち周期数を“2”に変更する。
【0027】
このように、データ識別子“データB”に関しては、収集周期に設定された3周期毎にデータ収集が実施される。データ識別子“データC”に関しても同様にして、収集周期に設定された5周期毎にデータ収集が実施される。図4に示したデータ識別子“データC”の設定例によると、待ち周期数は“1”なので、データ識別子“データC”のデータは、2周期目に、続いて7周期目に収集される。データ収集部12によるデータ収集が10秒ごとに実施される場合、つまり、1周期が10秒の場合、データ識別子“データB”のデータは30秒ごとに収集され、データ識別子“データC”のデータは50秒ごとに収集されることになる。
【0028】
データ識別子“データA”に関しては、収集周期に“1”が設定されているので、1周期毎、すなわち、10秒ごとにデータ収集が実施される。
【0029】
データ識別子“データD”の収集周期には“0”が設定されている。これは、収集周期が設定されていないことを意味する。このように、データ識別子に収集周期が設定されていない場合、データ収集部12は、当該データ識別子のデータを周期的に収集しない。
【0030】
以上のことから理解できるように、収集周期に“1”が設定されると、データの収集は毎周期行われる。また、データの収集を周期的に行わない場合、管理者等は収集周期に“0”を設定することになる。なお、詳細は後述するように、収集周期に“0”が設定されているデータ識別子以外のデータ識別子の収集周期は、データが収集されるたびに変更されうるので、基本的には定周期的にデータが収集されるとは限らない。
【0031】
なお、本実施の形態では、全てのデータ識別子に対する収集周期情報が収集周期テーブルに設定されていることを想定しているが、収集周期テーブルに登録されていないデータ識別子のデータ収集は、取り決めによって毎周期行うようにしてもよいし、周期的にデータ収集を行わないようにしてもよい。
【0032】
続いて、本実施の形態におけるデータ収集処理について図6に示したフローチャートを用いて説明する。
【0033】
計時機能を有する制御部15は、前回のデータ収集から10秒経過したことを検知すると、データ収集部12を起動する。データ収集部12は、起動されることでデータ収集を開始する。具体的には、収集周期テーブルから未処理の収集周期情報を1つずつ読み出す(ステップ101)。例えば、収集周期テーブルの先頭から順にデータ識別子に設定されている情報を読み出せばよい。読み出したデータ識別子に対応する待ち周期数が“0”の場合、データの収集対象と判断し、“0”以外の場合、今回の周期でのデータの収集対象外と判断する。但し、収集周期が“0”であるデータ識別子は、前述したように常に周期的なデータ収集の対象外となる。今回の周期ではデータを収集しないと判断した場合(ステップ102でN)、全ての収集周期情報に対する処理が終了するまで(ステップ108でN)、次の収集周期情報に処理を移行する(ステップ101)。
【0034】
読み出したデータ識別子のデータを収集対象と判断した場合(ステップ102でY)、データ収集部12は、該当する機器4に対して当該データ識別子のデータの送信要求を送信する。そして、この送信要求に応じて機器4から送信されてくるデータを受信することで収集すると(ステップ103)、収集データキャッシュ部16に書き込むことで保存する(ステップ104)。
【0035】
収集データが収集データキャッシュ部16に書き込まれると、制御部15は、収集周期調整部13を起動する。収集周期調整部13は、起動されると、今回の周期においてデータ収集部12により新たに収集されたデータ(以下、「新データ」ともいう)と同じデータ識別子のデータ(以下、「旧データ」ともいう)が収集データキャッシュ部16にすでに存在しているかどうかを確認する。なお、同じデータ識別子の新旧は、データ収集部12が収集したデータを収集データキャッシュ部16に書き込むときに付加された収集日時により判断してもよい。新データと同じデータ識別子の旧データが収集データキャッシュ部16に存在しない場合(ステップ105でN)、全ての収集周期情報に対する処理が終了するまで(ステップ108でN)、次の収集周期情報に処理を移行する(ステップ101)。
【0036】
一方、新データと同じデータ識別子の旧データが収集データキャッシュ部16にすでに存在していた場合(ステップ105でY)、収集周期調整部13は、次のようにして収集周期を自動的に調整する(ステップ106)。すなわち、収集周期調整部13は、まず新データと旧データとを比較し、各データ値の差異を確認する。そして、各データ値の差異、換言すると新データの旧データに対する変化量が予め設定された閾値を上回る場合、現在設定されている収集周期より短い収集周期を新たに設定する。本実施の形態では、現在の収集周期の値から1を減算する。一方、新データの旧データに対する変化量が上記閾値を下回る場合、現在設定されている収集周期より長い収集周期を新たに設定する。本実施の形態では、現在の収集周期の値に1を加算する。更に、収集周期調整部13は、待ち周期数“0”を、当該データ識別子に設定されている収集周期の値で更新する。
【0037】
なお、変化量が閾値と一致した場合は、加算しても減算してもよい。あるいは、現在の収集周期の設定値をそのまま維持してもよい。また、ここでは、識別子に設定する収集周期を、1ずつ加算若しくは減算することで調整したが、必ずしも加減値を1とする必要はなく、また加算値と減算値を同値とする必要はない。
【0038】
以上のようにして収集周期が調整されると、制御部15は、当該データ識別子の旧データを削除する(ステップ107)。
【0039】
以上の処理を全ての収集周期情報に対して実施するまで繰り返す(ステップ108でN)。そして、全ての収集周期情報に対する処理が終了したことを認識すると(ステップ108でY)、制御部15は、収集周期調整部13に、収集周期テーブルに登録されている全てのデータ識別子に対応する待ち周期数から1減算する(ステップ109)。
【0040】
このように、本実施の形態におけるゲートウェイ装置10は、機器4からデータ識別子毎に設定された収集周期に従いデータを周期的に収集して、蓄積する。
【0041】
ところで、収集周期を増減させる判断基準として設けている閾値は、データ識別子毎に設定している。データは、温度などの計測により得られる数値データとは限らず、照明のオン(=1)/オフ(=2)のデータも存在する。また、収集対象のデータが温度の場合と電力使用量の場合とでは、当然ながら取り扱う数値の範囲や桁数が異なる場合もある。従って、各データ識別子に設定すべき閾値は異なる。また、同じ温度等同じ種別のデータであれば同じ閾値を用いてもよいが、機器4の設置環境等に応じて適切な閾値を機器毎(データ識別子毎)に設定してもよい。
【0042】
続いて、ユーザ端末装置1からデータ送信要求が送信されてきたときに実施するデータ送信処理について図7に示したフローチャートを用いて説明する。
【0043】
ユーザ端末装置1からデータ送信要求が送られてくると、要求受信部11は、その要求を受信することで受け付ける(ステップ121)。ユーザ端末装置1は、送信対象とするデータ識別子毎にデータ送信要求を送信してもよいし、一のデータ送信要求に送信対象とする複数のデータ識別子を個別に指定して送信してもよい。あるいは、全てのデータ識別子のデータを送信対象として、データ識別子を指定せずにデータ送信要求を送信してもよい。ここでは、データ送信要求の形態がどのようであれ、全てのデータ識別子のデータが送信対象とされているものとして説明する。
【0044】
要求受信部11がデータ送信要求を受け付けると、制御部15は、そのデータ送信要求をデータ提供部14を起動する。データ提供部14は、起動されると、各機器4にデータ送信要求を配信せずに、次のようにして各データ識別子のデータを取得して要求元のユーザ端末装置1に送信する。
【0045】
データ提供部14は、収集周期テーブルあるいは全てのデータ識別子のリストが登録されている図示しないデータベースを参照し、送信対象とするデータ識別子を特定する。そして、例えば、データ識別子のリストの先頭から順に処理対象として当該データ識別子のデータを取得する。まず、データ提供部14は、未処理のデータ識別子を特定することで処理対象を特定すると(ステップ122)、当該データ識別子のデータが収集データキャッシュ部16に記憶されているかを確認する。ここで、送信対象とするデータ識別子のデータが収集データキャッシュ部16に記憶されている場合(ステップ123でY)、収集データキャッシュ部16から当該データ識別子の最新のデータを読み出し、要求元となるユーザ端末装置1へ送信する(ステップ125)。一方、送信対象とするデータ識別子のデータが収集データキャッシュ部16に記憶されていない場合(ステップ123でN)、データ提供部14は、データ収集部12に、当該データ識別子のデータを収集させ(ステップ124)、その収集されたデータを取得して、要求元となるユーザ端末装置1へ送信する(ステップ126)。
【0046】
以上の処理を全てのデータ識別子に対して終了するまで(ステップ127でN)、繰り返し実行する。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態においては、新旧データの差異が相対的に小さいデータに関しては、データの収集周期を相対的に長くすることによって機器4からのデータ収集にかかる通信負荷を軽減するようにした。つまり、軽視できる程度の差異となるデータであれば、ユーザに提供するデータの信憑性を大きく崩すものではないと考え、通信負荷を優先するようにした。一方、新旧データの差異が相対的に大きいデータに関しては、データの収集周期を相対的に短くすることによって当該データの信憑性を担保するようにした。つまり、軽視できないほど差異が生じているデータに関しては、通信負荷よりデータの信憑性の担保を優先することにした。このことから、図6に示したステップ106において、収集周期を増減させる判断基準として設けている閾値には、新旧データの差異が軽視できる程度か否かの判断基準となる数値が設定されることになる。
【0048】
本実施の形態によれば、全てのデータ識別子のデータを毎周期ごと(上記10秒ごと)に必ずしも機器4から収集する必要がなくなるためゲートウェイ装置10と機器4とを接続するネットワーク5にかかる通信負荷を軽減することができると共に、軽視できない程度の差異が生じているデータに関しては、データ送信要求に対してリアルタイムにデータを収集することによってデータの信憑性を担保することができる。
【0049】
なお、図6に示したステップ106において新データと比較する旧データ(収集データキャッシュ部16にすでに存在していたデータ)は、基本的には新データの直前に収集されたデータを想定している。しかし、旧データは、必ずしも直前のデータと限定する必要はなく、新データが収集された時間帯、曜日、時節等の日時情報に応じて特定してもよい。あるいは、旧データを、新データと同じデータ識別子の、過去に収集された複数のデータの平均値を算出するなどして作成してもよい。例えば、閾値が1とした場合、新旧データの差異が0.9であれば、閾値を上回らないので収集周期は相対的に長くなる。0.9の差異が連続して発生すると、収集周期は更に長くなる一方である。しかし、例えば5周期連続して0.9の差異が生じていた場合、結果として当初の旧データと比較して(0.9×5=)4.5の差異が生じていることになる。直前のデータのみを旧データとして取り扱うと、このようなケースが発生しうるので、過去に収集された複数のデータに基づき旧データを作成するようにしてもよい。なお、このような場合に対応するために、図6のステップ107では、旧データを即座に削除しないで、ある一定期間保存しておくようにしてもよい。
【0050】
実施の形態2.
図8は、本実施の形態におけるゲートウェイ装置10のブロック構成図である。実施の形態1と同じ構成要素には、同じ符号を付け説明を省略する。本実施の形態におけるゲートウェイ装置10は、実施の形態1に示した構成に、連係情報記憶部18を追加した構成を有している。
【0051】
図9は、本実施の形態における連係情報記憶部18に記憶される連係情報のデータ構成例を示す図である。連係情報記憶部18は、連係情報記憶手段として設けられ、予め設定された連係情報を記憶する。連係情報には、データ識別子と、当該データ識別子におけるデータの変更条件値と、データ収集部12により収集されたデータの値が変更条件値に合致した場合に収集周期の変更対象とするデータ識別子(連係データ識別子)と、当該連係データ識別子に設定された収集周期変更情報と、が対応付けして設定される。
【0052】
ビル設備管理では、例えば、ある部屋に機器4として照明設備と空調設備とが設置されている場合、その部屋の照明のONと連動して、その部屋の空調のデータの収集を始めるなど、ある機器のデータの値に応じて、関連する機器の収集周期を連係して制御したい場合がある。このように、本実施の形態では、機器4から収集されるデータを連係して収集制御するために連係情報を用いるようにした。
【0053】
次に、本実施の形態における動作について説明するが、本実施の形態におけるデータ収集処理は、実施の形態1において説明した処理に加えて連係情報を用いた処理が付加されることになる。すなわち、図6において、あるデータ識別子のデータが収集されると(ステップ103)、収集周期調整部13は、その収集されたデータの値と連係情報に設定された当該データ識別子に対応する変更条件値とを比較する。そして、収集されたデータの値が変更条件値に合致した場合、収集周期調整部13は、当該データ識別子及び合致した変更条件値に対応する連係データ識別子に対応する収集周期変更情報に従い、収集周期テーブルに設定されている、当該連係データ識別子に設定されている収集周期を変更する。例えば、図4及び図9に示した設定例によると、収集されたデータ識別子“データA”のデータの値が“OFF”の場合、データ識別子“データC”に設定されている収集周期“5”を、“収集周期+1”と設定された収集周期変更情報に従い1加算することで“6”と変更する。
【0054】
この連係情報を用いた収集周期の変更処理は、図6においてデータ収集(ステップ103)の直後からステップ105の直前の間、あるいはステップ108の直前に実施すればよい。
【0055】
本実施の形態におけるデータ送信処理は、実施の形態1と同じでよいので説明を省略する。
【0056】
なお、図9に例示したように、一のデータ識別子に対して変更条件値毎に連係データ識別子及び収集周期変更情報の組を設定することができる。更に、データ識別子及び変更条件値の組に対して、複数の連係データ識別子及び収集周期変更情報の組を設定してもよい。
【0057】
ところで、上記実施の形態1,2においては、前述したように新旧データの差異に応じて、換言すると新データの旧データに対する変化量に応じてデータ識別子に対応させて設定した収集周期を増減させるようにした。ただ、新旧データの差異が閾値を上回る状態が継続すると、収集周期がいずれ“0”になってしまい、定周期によるデータ収集の対象外となってしまう。本実施の形態では、収集周期が“0”になると、その後はずっと収集周期の変更対象外となってしまう。また、新旧データの差異が閾値を下回る状態が継続すると、収集周期の値が大きくなりすぎ、新旧データの差異が閾値を上回るような状態になったとしても、データを定周期では収集できなくなってしまう可能性が生じる。そこで、本実施の形態では、収集周期の上下限値を予め設定しておき、その上下限値により決められた範囲内において収集周期を設定するようにしてもよい。この場合、下限値として例えば“1”が設定されているとすると、新旧データの差異が閾値を上回る状態が継続したことで収集周期が“1”まで小さくなった後は、新旧データの差異が閾値を上回ったとしても当該データ識別子の収集周期は“1”のままとなる。
【0058】
上記各実施の形態においては、ビルに設置の機器4として照明や空調などの電気設備機器を想定して説明したが、電気設備機器の種類はこれに限るものではなく、またゲートウェイ装置10の設置場所は家庭などでもよくビルに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0059】
1 ユーザ端末装置、2 WAN、3 ビル、4 機器、5 ネットワーク、10 ゲートウェイ装置、11 要求受信部、12 データ収集部、13 収集周期調整部、14 データ提供部、15 制御部、16 収集データキャッシュ部、17 収集周期テーブル記憶部、18 連係情報記憶部、21 CPU、22 ROM、23 RAM、24 ハードディスクドライブ(HDD)、25 HDDコントローラ、26 ネットワークコントローラ、27 内部バス。
図1
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