特許第6067493号(P6067493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6067493
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】タッチ操作入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/044 20060101AFI20170116BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20170116BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   G06F3/044 120
   G06F3/041 560
   B60R16/02 630L
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-133113(P2013-133113)
(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公開番号】特開2015-7918(P2015-7918A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2015年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】河村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岩下 明暁
(72)【発明者】
【氏名】名和 佑記
(72)【発明者】
【氏名】清水 智巨
【審査官】 岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/136528(WO,A1)
【文献】 特開2009−217731(JP,A)
【文献】 特開2008−238952(JP,A)
【文献】 特開2006−047534(JP,A)
【文献】 特開2010−149617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/00−17/02
G06F 3/041− 3/0489
G06F 3/14− 3/153
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ操作位置を検出するための複数の電極を含むタッチパネルと、
前記複数の電極を走査して選択された電極からの信号を検出して、前記タッチパネルへのタッチ操作により発生する前記複数の電極間に生じる静電容量変化に基づいてタッチ操作位置を検出する検出処理と、車両用シートへの乗員の着座を検出するための着座電極と前記検出処理において選択された電極との間の静電容量変化に基づいて、前記検出処理によるタッチ操作位置の検出とは異なるタイミングで操作者を特定する特定処理と、を時分割で行い、かつ前記検出処理にて選択された電極を予め規定された電極から切り替えるタイミングで前記特定処理を行う処理手段と、
を備えたタッチ操作入力装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記特定処理により操作者が特定された場合に、連続操作中の前記特定処理による操作者の特定を停止して、前記検出処理によるタッチ操作位置の検出のみを行う請求項1に記載のタッチ操作入力装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記特定処理によって操作者を特定した後に、前記検出処理によるタッチ操作位置の検出を行う請求項1に記載のタッチ操作入力装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記検出処理によってタッチ操作位置を検出した後に、前記特定処理による操作者の特定を行う請求項1に記載のタッチ操作入力装置。
【請求項5】
前記特定処理は、前記複数の電極のうちの1つの電極と前記着座電極との静電容量変化、或いは前記複数の電極の全部又は一部と前記着座電極との静電容量変化に基づいて、操作者を特定する請求項1〜4の何れか1項に記載のタッチ操作入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載された種々の機器の操作と、操作者の特定とを行うことが可能なタッチ操作入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載された機器を操作する場合、運転中の操作を制限することが好ましいため、操作者を特定する必要がある。操作者の特定は、例えば、特許文献1に記載の技術が提案されている。
【0003】
特許文献1では、コンソール等に設けられた押しボタン式のスイッチに電極を設けて、運転席を通って電極に通電されたのか、助手席を通って電極に通電されたのかを判断することにより、操作者を特定することが提案されている。
【0004】
一方、自動車に搭載された機器の操作は、タッチパネル等のタッチ操作入力装置などが一般的に普及している。
【0005】
タッチ操作入力装置においても、操作者を特定する必要があるため、例えば、特許文献2〜4に記載の技術が提案されている。
【0006】
特許文献2では、タッチパネルの前面に透明な導電体を設けて、特許文献1と同じように、操作者を特定している。
【0007】
また、特許文献3、4では、シートセンサを設けてシートセンサによって乗員の着座を検知した場合に、運転席と助手席とで異なるパルス信号を送信して、タッチパネルを介して受信することで、パルス信号の種類で操作者を特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−163611号公報
【特許文献2】特開2007−94612号公報
【特許文献3】特開2008−233064号公報
【特許文献4】特開2006−47534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2〜4に記載のタッチ操作入力装置において、タッチパネルを介して信号を受信することで操作者を検出するためには、特許文献2に記載されているように、別の電極(導電体)をタッチパネルに設ける必要がある。別の電極を設けるとタッチパネルの検出に影響を与えるため、改善の余地がある。
【0010】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、タッチ操作位置の検出に影響を与えることなく、電極を共用してタッチ操作位置の検出と操作者の特定の双方を行うことが可能なタッチ操作入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、タッチ操作位置を検出するための複数の電極を含むタッチパネルと、前記複数の電極を走査して選択された電極からの信号を検出して、前記タッチパネルへのタッチ操作により発生する前記複数の電極間に生じる静電容量変化に基づいてタッチ操作位置を検出する検出処理と、車両用シートへの乗員の着座を検出するための着座電極と前記検出処理において選択された電極との間の静電容量変化に基づいて、前記検出処理によるタッチ操作位置の検出とは異なるタイミングで操作者を特定する特定処理と、を時分割で行い、かつ前記検出処理にて選択された電極を予め規定された電極から切り替えるタイミングで前記特定処理を行う処理手段と、を備えている。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、タッチパネルは複数の電極を備えており、複数の電極によりタッチ操作位置の検出が行われる。
【0013】
また、処理手段では、複数の電極を走査して選択した電極からの信号を検出して、タッチパネルへのタッチ操作により発生する複数の電極間に生じる静電容量変化に基づいてタッチ操作位置を検出する検出処理と、検出処理によるタッチ操作位置検出とは異なるタイミングで、車両用シートへの乗員の着座を検出するための着座電極と検出処理において選択された電極との間の静電容量変化に基づいて、操作者を特定する特定処理と、が行われる。
【0014】
検出処理では、複数の電極を走査して選択された電極からの信号を検出して、複数の電極へのタッチ操作により発生する複数の電極間の静電容量変化に基づいてタッチ操作位置が検出される。例えば、複数の電極を行列状に配置してタッチ操作によって生じる電極間の静電容量変化を検出することで、タッチ操作位置の検出が可能である。
【0015】
特定処理では、着座電極とタッチパネルとの間の静電容量変化に基づいて、検出処理によるタッチ操作位置の検出とは異なるタイミングで操作者が検出される。
【0016】
すなわち、タッチ操作位置の検出と操作者の特定とを異なるタイミングで行うので、タッチ操作位置の検出を行うための電極を、操作者を特定するための電極と共用することができる。これによって、タッチ操作位置の検出に影響を及ぼすことなく、電極を共用してタッチ操作位置の検出と操作者の特定の双方を行うことが可能となる。
【0017】
処理手段は、検出処理によるタッチ操作位置の検出と前記特定処理による操作者の特定とを時分割で行い、かつ検出処理にて選択された電極を予め規定された電極から切り替えるタイミングで特定処理を行うことにより、タッチ操作位置の検出に影響を及ぼすことなく、タッチ操作位置の検出と操作者の特定との双方を電極を共用して行うことができる。
【0018】
また、処理手段は、請求項に記載の発明のように、特定処理により操作者が特定された場合に、連続操作中の前記特定処理による操作者の特定を停止して、前記検出処理によるタッチ操作位置の検出のみを行うようにしてもよい。これによって、処理負荷の低減と処理時間の短縮が可能となる。
【0019】
或いは、処理手段は、請求項に記載の発明のように、特定処理によって操作者を特定した後に、前記検出処理によるタッチ操作位置の検出を行うようにしてもよいし、請求項に記載の発明のように、検出処理によってタッチ操作位置を検出した後に、前記特定処理による操作者の特定を行うようにしてもよい。
【0020】
なお、特定処理は、請求項に記載の発明のように、複数の電極のうちの1つの電極と着座電極との静電容量変化、或いは複数の電極の全部又は一部と着座電極との静電容量変化に基づいて、操作者を特定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、タッチ操作位置の検出に影響を与えることなく、電極を共用してタッチ操作位置の検出と操作者の特定の双方を行うことが可能なタッチ操作入力装置を提供することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態に係るタッチ操作入力装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係るタッチ操作入力装置のタッチ操作位置の検出及び操作者の特定を説明するための図である。
図3】操作者が特定されたところで操作者の特定を省略する例を示す図である。
図4】(A)は運転席の操作者のみを特定する場合を示す図であり、(B)は走査電極と着座電極間の静電容量を検出することで操作者を特定する場合を示す図であり、(C)は始めに着座電極を固定して走査電極を順次走査して操作者の特定を行った後に、通常のタッチ操作位置の検出を行う場合を示す図であり、(D)は着座電極を固定して選択電極を順次切り替えることにより、始めに操作者の特定を行ってからタッチ操作位置の検出を行う場合を示す図である。
図5】(A)は全ての選択電極と着座センサとの静電容量を検出することにより操作者を特定する一例を示す図であり、(B)は全ての走査電極と着座センサとの静電容量を検出することにより操作者を特定する一例を示す図である。
図6】本発明の実施の形態に係る一軸のタッチ操作入力装置の概略構成を示す図であり、(B)は一軸のタッチ操作入力装置のタッチ操作位置の検出を説明するための図であり、(C)は一軸のタッチ操作入力装置の操作者の特定とタッチ操作位置の検出を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るタッチ操作入力装置の構成を示す図である。
【0024】
本実施の形態に係るタッチ操作入力装置10は、自動車に搭載された各種機器(例えば、ナビゲーション装置、空調装置、オーディオ装置等)の操作を行うためのタッチパネル12を備えている。
【0025】
タッチパネル12には、複数の走査電極14と、複数の選択電極16とが配置されている。それぞれの電極は、本実施の形態では、図1に示すように、菱形が連なった形状の電極がそれぞれの菱形がマトリクス状になるように配置されたものを適用するが、形状はこれに限るものではなく、一般的な短冊形状のそれぞれの電極を行列状に配置することにより、交点がマトリクス状に配置されるようにしたものを適用するようにしてもよい。
【0026】
また、タッチ操作入力装置10には、タッチ操作を制御するためのコントローラ22が接続されている。
【0027】
コントローラ22は、CPU24、ROM26、RAM28、及びI/O(入出力インタフェース)30がそれぞれバス32に接続されたマイクロコンピュータを含んで構成されている。
【0028】
ROM26には、タッチパネル12へのタッチ操作位置を検出すると共に、操作者を特定するためのプログラムが記憶されており、ROM26に記憶されたプログラムをRAM28に展開してCPU24が実行することにより、タッチ操作位置の検出と、操作者の特定を行うようになっている。
【0029】
I/O30には、複数の走査電極14が接続された走査電極ドライバ18、及び複数の選択電極16が接続された選択電極ドライバ20が接続され、コントローラ22の指示によって、それぞれのドライバが制御される。
【0030】
本実施の形態では、CPU24が、走査電極ドライバ18及び選択電極ドライバ20を制御することにより、タッチ操作位置を検出するようになっている。具体的には、選択電極ドライバ20がパルス信号を流す選択電極16を選択し、走査電極ドライバ18が、人がタッチパネル12に触れることによる静電容量変化を検出する走査電極14を順次走査するように制御する。そして、各選択電極16について走査電極14を順次変更しながら静電容量変化を検出することでタッチ操作位置を検出するようになっている。なお、本実施の形態では、選択電極ドライバ20側からパルス信号を流すようにしたが、走査電極ドライバ18側からパルス信号を流すようにしてもよい。
【0031】
また、本実施の形態では、自動車の運転席及び助手席のシートクッションに着座電極34が設けられており、着座電極34が走査電極ドライバ18に接続されている。
【0032】
本実施の形態では、選択電極ドライバ20から所定の信号(例えば、パルス信号)を出力することにより、選択電極ドライバ20から出力された所定の信号は、乗員がタッチパネル12に触れたときに、着座電極34及び着座乗員を介してタッチパネル12へ通電するので、タッチパネル12で所定の信号を検出することができる。
【0033】
ここで、タッチパネル12で信号検出する場合には、タッチ操作と着座電極34からの信号の検出とを同時に行ったのでは、タッチ操作位置の検出に影響し、タッチ操作位置を正確に検出できない。
【0034】
そこで、本実施の形態では、コントローラ22が選択電極ドライバ20を制御して選択電極16を選択する際に、選択電極以外に着座電極34を選択するように制御している。更に具体的には、タッチ操作位置の検出は、選択電極ドライバ20からのパルス信号を走査電極14の走査よって検出し、選択電極ドライバ20が選択電極16を切り換える際に、タッチ操作位置の検出とは異なるタイミングとして、着座電極34と選択電極16間の静電容量を検出するタイミングを走査電極14の走査間等に設けて、選択電極ドライバ20からの信号を検出するようにしている。これによって、タッチ操作位置の検出と異なるタイミングで操作者の検出が行われるので、タッチパネル12の電極を共用しても、タッチ操作に影響を与えることなく、タッチ操作位置の検出と操作者の検出の双方の検出を行うことが可能となる。

【0035】
続いて、上述のように構成された本実施の形態に係るタッチ操作入力装置10におけるタッチ操作位置及び操作者の検出方法の一例について説明する。
【0036】
図2は、本実施の形態に係るタッチ操作入力装置のタッチ操作位置の検出及び操作者の特定を説明するための図である。なお、以下の説明では、選択電極ドライバ20に接続された複数の選択電極16図1に示すように、1、2、3、4の数字で示し、走査電極ドライバ18に接続された複数の走査電極14図1に示すように、a、b、c、d、e、fのアルファベットで示すが、各電極の数は簡易的にしたものであり、実際には、タッチパネル12の検出分解能に応じた数となる。
【0037】
図2の例では、まず、コントローラ22は、選択電極16の1を選択してパルス信号を出力するように選択電極ドライバ20を制御すると共に、走査電極ドライバ18が運転席の着座電極34を選択するように制御する。すなわち、選択電極ドライバ20から出力されたパルス信号が運転席の着座乗員及び運転席の着座電極34を介して1の操作電極ドライバ18へ通電される。ここで、運転席の乗員が1の選択電極16上をタッチしているときとしていないときとで、選択電極と着座電極34間の静電容量が異なるので、走査電極ドライバ18を介して得られる信号が予め定めた閾値以上か否かを判定する。これにより、運転席からの操作か否かを特定することができる。このときは走査電極14の走査を行わず、タッチ操作位置の検出を行っていないので、タッチ操作位置の検出に影響することになく運転席からの操作者を特定できる。
【0038】
続いて、コントローラ22は、選択電極16の1を選択してパルス信号を出力するように選択電極ドライバ20を制御すると共に、走査電極ドライバ18が助手席の着座電極34を選択するように制御する。すなわち、選択電極ドライバ20から出力されパルス信号が助手席の着座乗員及び着座電極34を介して1の走査電極14へ通電される。ここで、助手席の乗員が1の選択電極16上をタッチしているときとしていないときとで、選択電極16と着座電極34間の静電容量が異なるので、走査電極ドライバ18を介して得られる信号が予め定めた閾値以上か否かを判定することで、助手席からの操作か否かを検出することができる。このときは、走査電14の走査を行わず、タッチ操作位置の検出を行っていないので、タッチ操作位置の検出に影響することになく助手席からの操作者を特定できる。
【0039】
続いて、コントローラ22は、選択電極16の1を選択した状態で、パルス信号を通電する走査電極14をaからfまで順次走査するように走査電極ドライバ18を制御する。ここで、1の選択電極16とa〜fの走査電極14との各交点をタッチ操作している場合としていない場合とで静電容量が異なるので、走査電極ドライバ18を介して得られる信号が予め定めた閾値以上か否かを判定することで、タッチ操作位置を検出することができる。
【0040】
次に、選択電極16を2、3・・・に順次切り換えて、選択電極を切り換える毎に、上記と同様に、運転席及び助手席の着座電極34の選択と走査電極14の走査とを順次繰り返すようにコントローラ22が制御する。そして、タッチパネル12の全面の走査が終了したところで、上記の一連の流れ(図2)を順次繰り返す。これにより、タッチ操作位置の検出と操作者の特定とを同時に行うことができる。
【0041】
すなわち、本実施の形態では、走査電極14の走査と、着座電極34からの信号の検出とを時分割で行うことによって、異なるタイミングでタッチ操作位置の検出と操作者の特定の双方を行う。これによって、タッチパネル12の電極(本実施の形態では、選択電極16)を共用しても、タッチ操作位置の検出と操作者の特定とをそれぞれに影響を及ぼすことなく行うことができる。
【0042】
図2の例では、運転席側から操作している例を示す。すなわち、図2では、運転席の乗員が2の選択電極16上をタッチ操作している例を示しており、運転席の着座電極34(図2の走査電極のD)と、2の選択電極16間で静電容量が閾値(図2の点線)以上となる。従って、これを検出することで操作者が運転者であることを特定できる。また、タッチ操作位置については、図2の例では、dの走査電極14との選択電極16との間で静電容量が大きくなっており、これが閾値以上否かを判定することで、それぞれの交点をタッチ操作していることを検出することができる。
【0043】
なお、上記の図2の例では、各選択電極16毎に、操作者の特定(運転席と助手席の着座電極34からの信号検出)と、タッチ操作位置を検出するための走査電極14の走査と、を常に行うようにしたが、これに限るものではなく、例えば、図3に示すように、予め定めた短時間のタッチなしを含む連続操作中は、操作者が検出されたところで操作者の特定を停止して、以降は操作者の特定は省略するようにしてもよい。図3の例では、図3上段の1回目のタッチパネル12全体の走査では操作者が特定されず、2回目のタッチパネル12全体の走査で操作者が運転者であることが特定されるので、図3の下段に示すように、連続操作中の場合には操作者の特定を省いてタッチ操作位置の検出ができなくなるまでタッチ操作位置の検出のみを行うようにしてもよい。これにより、処理負荷の低減と処理時間の短縮が可能となる。或いは、操作者を特定した時点で次の選択電極16の切換時から操作者の特定を省略するようにしてもよい。
【0044】
また、上記の実施の形態では、運転席と助手席の両方に着座センサ34を設けて各着座電極34からの信号を検出するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、運転席のみに着座センサ34を設けて、図4(A)に示すように、運転席の着座電極34からの信号検出(図4(A)のD)のみを行って、タッチ操作を検出したが操作者が特定されない場合には運転席以外からの操作であると判断するようにしてもよい。
【0045】
また、上記の実施の形態では、選択電極16と着座電極34間の静電容量を検出することで操作者の特定を行うようにしたが、これに限るものではなく、走査電極14と着座電極34間の静電容量を検出することで操作者を検出するようにしてもよい。例えば、図4(B)に示すように、走査電極毎にタッチ操作位置(走査電極14と選択電極16間の静電容量)の検出と操作者の特定(走査電極と着座電極34間の静電容量)の検出を行うようにしてもよい。
【0046】
また、上記の実施の形態では、タッチ操作位置の検出と操作者の特定とを順に行うようにしたが、これに限るものではなく、例えば、操作者の特定をタッチパネル12全面に対して始めに行ってからタッチ操作位置の検出を全面に対して行うようにしてもよい。例えば、走査電極14と着座電極34間の静電容量変化で操作者を特定する場合には、図4(C)に示すように、始めに着座電極34を固定して走査電極14を順次走査して操作者を特定した後に、通常のタッチ操作位置の検出を行う。また、着座電極34と選択電極16間の静電容量変化で操作者を検出する場合には、図4(D)に示すように、着座電極34を固定して選択電極16を順次切り替えることにより、始めに操作者の特定をタッチパネル12全面に対して行ってからタッチ操作位置の検出を行う。
【0047】
また、上記の実施の形態では、操作者の特定を行う際に、単一の選択電極16又は走査電極14と、着座センサ34との静電容量を検出するようにしたが、図5(A)に示すように、全ての選択電極16と着座センサ34との静電容量を検出することにより操作者を特定するようにしてもよいし、図5(B)に示すように、全ての走査電極14と着座センサ34との静電容量を検出することにより操作者を特定するようにしてもよい。或いは、全部ではなく一部の選択電極16又は走査電極14と、着座センサ34との静電容量を検出、すなわち、複数の選択電極16又は複数の走査電極14と、着座センサとの静電容量を検出することにより操作者を特定するようにしてもよい。
【0048】
なお、上記の図4(B)〜(D)及び図5(A)、(B)では、図4(A)のように、助手席の検出を省略した例を示すが、上記の実施の形態のように助手席の検出(P)を行うようにしてもよい。
【0049】
また、上記の実施の形態では、タッチパネル12を例に挙げて説明したが、これに限るものではなく、例えば、図5(A)に示すように、一軸のタッチ操作入力装置に適用するようにしてもよい。
【0050】
図5(A)の例では、接地されたコントローラ23に複数の走査電極14(図6(A)ではa〜f)が接続されていると共に、上記の実施の形態同様に、自動車の運転席及び助手席のシートクッションに着座電極34が設けられている。そして、各座席の着座電極34がコントローラ23に接続されている。
【0051】
図6(A)に示すような一軸のタッチ操作入力装置では、タッチ操作位置の検出は、図6(B)に示すように行う。具体的には、コントローラ23から所定のパルス信号を発生して走査電極a〜fを順に走査する。これにより、タッチ操作中の走査電極に静電容量変化が生じるので、タッチ操作位置を検出することができる。
【0052】
このような一軸のタッチ操作入力装置においても、上記の実施の形態と同様に、操作者を特定することができる。例えば、図6(C)に示すように、タッチ操作位置の検出を行う走査電極a〜f の走査毎に、操作者の特定を行うタイミングを、タッチ操作位置の検出タイミングとは異なるタイミングとして設ける。これにより、操作者を特定するタイミングで、コントローラ23から出力される所定の信号を操作者及び着座電極34を介して走査電極14で受信すれば、操作者がタッチしている走査電極14と着座電極34との間に静電容量変化が発生するので、これを検出することにより操作者を特定することができる。ここで、図6(C)では、図4(A)〜(D)と同様に、助手席の検出(P)を省略した例を示すが、上記の実施の形態ように、助手席の検出(P)を追加するようにしてもよい。
【0053】
なお、上記の実施の形態における操作者の特定とタッチ操作位置の検出は、最初にタッチ操作位置を検出するまで操作者の特定を実行しないようにしてもよいし、最初に操作者が特定されるまで、タッチ操作位置の検出を実行しないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 タッチ操作入力装置
12 タッチパネル
14 走査電極
16 選択電極
18 走査電極ドライバ
20 選択電極ドライバ
22、23 コントローラ
34 着座電極
36 出力装置
図2
図3
図4
図5
図6
図1