特許第6067504号(P6067504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6067504-トラックの速度測定方法 図000002
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  • 特許6067504-トラックの速度測定方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6067504
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】トラックの速度測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01P 3/36 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
   G01P3/36 C
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-157630(P2013-157630)
(22)【出願日】2013年7月30日
(65)【公開番号】特開2015-28437(P2015-28437A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2016年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】片山 三郎
(72)【発明者】
【氏名】江田 正敏
(72)【発明者】
【氏名】栗原 庸聡
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−283734(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/051595(WO,A1)
【文献】 特開昭63−40862(JP,A)
【文献】 特開平11−211438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックの走行方向に向けて線状のラインを撮影できるラインセンサを使用し、
ラインセンサで得た光信号量が大きく変化する運転席屋根の上部空間に位置するシートキャリアと、
シートキャリアと一体の荷台の段差を検知し、
この段差の位置を追跡して速度を計測することを特徴とする、
トラックの速度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトラックの速度測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラックが積載している土量を正確に計測することは、コスト管理、施工量管理、ストック量管理などの基礎情報であるから重要である。
そのために重量を測定して行う管理が簡単であるが、積載物は砂も岩も粘性土も混在しており、その比重が異なるから正確な計測はできない。
その点を改良した方法として、ラインセンサを用いてトラックの積み荷を輪切りにして積分する方法も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−283734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図2に示すような、ラインセンサaを用いてトラックbの積み荷を輪切りにして積分して積載量を計測する方法にあっては、次のような問題点が存在している。
<1> ラインセンサaを設置したゲートcをトラックbが通過することでトラックbの積み荷dを、進行方向に直交する方向に輪切りにして、輪切りにした断面積から体積を求める方法である。
<2> その方法では、ひとつの断面と次の断面との間隔を正確に把握することが不可欠である。
<3> なぜならこの方法では、トラックbがゲートc下を走行して形状を測定している時間中は、一定の速度で走行してくることが前提となっているからである。
<4> そのために計測中にトラックbの速度に変化があった場合には図3に示すように、計測精度が低下してしまい、多量の土砂の移動を伴う工事では、その累積が大きな誤差となってしまう。
<5> そこで本発明では、積載量の計測以前の問題である、計測中にトラックbの速度に変化があった場合にも、その速度を正確に測定することができ、その結果断面間隔の精度よい計算ができる方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような課題を解決する本発明のトラックの速度測定方法は、トラックの走行方向に向けて線状のラインを撮影できるラインセンサを使用し、ラインセンサで得た光信号量が大きく変化する運転席屋根の上部空間に位置するシートキャリアと、シートキャリアと一体の荷台の段差を検知し、この段差の位置を追跡して速度を計測することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のトラックの速度測定方法は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<1> 速度の検出を、ラインセンサから得られる点群のデータを活用することで検出する方法である。
<2> その際に、トラックの1点を追跡することで速度を計測するから、トラックの走行中に速度が変化しても、その時の速度を算出することが可能であり、断面間隔の精度のよい計算が可能となる。
<3> 追跡する点がトラックのフロント部分であると、ある位置を通過した後に運転台などの陰になり、ラインセンサによる追跡が不可能となる。
<4> その点で本発明の方法は、トラックにおいて多少の違いがあるとしても、荷台の前部のシートキャリアの位置が最も高く、シートキャリアと荷台との鉛直方向の距離が最も大きいことに着目してなされたものであり、この位置の前後における光信号量の急激な変化を検出してその点を追跡して走行速度の算出に資する方法である。
<5> このようにシートキャリア部分と荷台との高低差による光信号量の急激な変化を検出すればよいから、機種ごとにシートキャリアの高さの違いがあっても、その数値や機種を問う必要がなく、トラックのIDを入力するような手数を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のトラックの速度測定方法の説明図。
図2】従来のトラックの速度測定方法の説明図。
図3】従来の方法の問題点の説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図面を参照にしながら本発明のトラックの速度測定方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0009】
<1>全体の構成
本発明のトラックの速度測定方法は、ラインセンサ1とその検出装置によって構成する。
【0010】
<2>ラインセンサ
ラインセンサ1はラインスキャンカメラを使用して画像を連続処理することで高速の検出が可能なセンサである。
ラインスキャンカメラは主にCCDイメージングセンサ素子又はCMOSイメージング素子とレンズドライバ−、コントロール回路によって構成する公知の装置である。
この構成によって、対象物の映像をレンズによって素子面に結像させて、光の量をビデオパルス信号に変換して出力することができる。
このビデオパルス信号は時系列パルスとして取り出されるが、移動体に対して一定ピッチ毎に平均した積分値が出力される。
【0011】
<3>ラインの方向
一般にラインセンサ1のラインは、測定物の移動方向と直交する方向に設定する。
しかし本発明の測定方法では、ラインセンサ1のラインは、トラック2の走行方向と平行に設定する。
こうしてトラック2のある1点を追跡して速度を計測するのであるが、前記したように追跡点がトラック2のフロント部分であると、ある位置を通過した後に運転台21などの陰になり、ラインセンサ1による追跡が不可能となるという問題があった。
【0012】
<4>追跡点の決定
追跡する点を決定するには、どの機種のトラック2においても間違いなく選択できる点を探さなければならない。
【0013】
<4−1>最高点の選択
トラック2は無数のタイプのものが存在し、独自の寸法で構成してあるから、ラインセンサ1にいずれかの1点を認識させることは困難であり、そのために前記したようにトラック2ごとに認識番号を入力するような作業が必要となる。
それでは効率的な計測が不可能なので、本発明では荷台22の前部の鉛直の壁面上部に水平に取り付けたルーフキャリヤ、シートキャリア23と称する張り出し部に着目した。
以下「特許請求の範囲」の記載を含めて、名称の統一上、シートを積めるか否かにかかわらず、この張り出し部を「シートキャリア23」と称することにするが、このシートキャリア23は、荷台22と一体の構造であり、かつ運転席21の天井面よりも上の空間に張り出して位置している。
したがって、どの種類のトラック2においても、このシートキャリア23が一番高い位置に存在することになる。
【0014】
<4−2>信号量の急激な変化
このように、シートキャリア23の上部の位置がトラック2の中で最も高く、シートキャリア23の後部の荷台22の位置との間に大きな鉛直方向の高低差が存在している。
するとラインセンサ1で検知した場合に、このシートキャリア23と荷台22との間において、光信号量の急激な変化が発生することになる。
この急激な変化の発生は、トラック2の種類を問わずどの機種においても常に発生する。
そこでトラック2の中で最も高いシートキャリア23の上部の位置と、シートキャリア23の後部の荷台22の位置との間の高低差を、追跡する対象とする点として決定する。
【0015】
<5>追跡
前記したようにラインセンサ1は光の量をラインセンサ1のビデオ信号に変換して出力するものである。
したがって追跡する点を、トラック2の種類によらずに、シートキャリア23と荷台22との高低差という、常に安定して決定できる点とすれば、時系列パルスとして取り出して、各パルスごとに一点の位置を追跡して出力することができる。
【0016】
<6>積載量の計測
前記したように本発明は積載量を計測する場合に、ゲートを通過するトラック2の速度が変化した場合にも正確な速度を計測する発明である。
この発明の方法から得られた速度をもとに、他の公知の方法によって輪切りにした測定断面を積分して体積算出することができる。
【符号の説明】
【0017】
1:ラインセンサ
2:トラック
23:シートキャリア
図1
図2
図3