(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6067526
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】車の電動ミラーに適したクラッチ
(51)【国際特許分類】
B60R 1/06 20060101AFI20170116BHJP
F16D 7/02 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
B60R1/06 D
F16D7/02 D
F16D7/02 F
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-202991(P2013-202991)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2014-73830(P2014-73830A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2016年9月15日
(31)【優先権主張番号】12382383.3
(32)【優先日】2012年10月2日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513245750
【氏名又は名称】フィコ ミラーズ ソシエダッド アノニマ
【氏名又は名称原語表記】FICO MIRRORS,S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】モーシェ カバジェーロ タピア
【審査官】
谷治 和文
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第2017127(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0020387(US,A1)
【文献】
実開昭53−142649(JP,U)
【文献】
実開平5−14653(JP,U)
【文献】
特開平6−127310(JP,A)
【文献】
実開昭63−80330(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/06
F16D 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動ミラーに適したクラッチであって、
長手軸(X)に沿って延び、少なくとも第1接触面(1.2)と第1規制壁(1.1)を外周面に有し、拡径するように構成された一端(1.3)を有するシャフト(1)と、
第1部材(4)と、
第2部材(2)と、を備え、
前記第1部材(4)は、前記長手軸(X)に沿って延在する第1ギヤ(4.1)と、前記長手軸(X)に本質的に垂直な第1摩擦面(4.2)と、前記シャフト(1)の一部分を収容する孔(4.3)と、前記第1接触面(1.2)に当接して前記第1部材(4)の前記シャフト(1)に対する少なくとも一方向への移動を防ぐ第2接触面(4.4)とを有し、
前記第2部材(2)は、前記長手軸(X)に沿って延在する第2ギヤ(2.1)と、前記第2部材(2)が前記長手軸(X)に関して、前記第1部材(1)と、前記シャフト(1)の拡径されるように構成された前記端(1.3)との間に配置されるようにシャフト(1)の一部を収容する孔(2.2)とを有し、
前記孔(2.2)と前記シャフト(1)は、前記シャフト(1)と前記第2部材(2)とをロックするために協働する回転ロック手段及び軸方向ロック手段を有し、
前記孔(2.2)は、前記拡径するように構成されたシャフト(1)の端(1.3)の拡径部を収容するように構成された凹部(2.4)を有し、
前記シャフト(1)は、前記シャフト(1)の前記端(1.3)の拡径により前記第2部材に対して軸方向にロックされ、
前記孔(2.2)は、前記シャフト(1)の第1規制壁(1.1)に当接するように構成された第2規制壁(2.3)を有し、
前記第2部材(2)又は前記シャフト(1)に設けられて第2回転ロック手段(2.5)を有する台座部と、
前記第2部材(2)と前記シャフト(1)の第1摩擦面(4.2)との間で圧縮されるように、前記第2部材(2)又は前記シャフト(1)の第2回転ロック手段(2.5)によってロックされた弾性座金(3)と、をさらに備え、
前記弾性座金の圧縮のレベルは第2部材(2)のシャフト(1)に対する軸方向変位量によるものであり、この軸方向変位量は、前記シャフト(1)の第1規制壁(1.1)と前記第2部材(2)の第2規制壁(2.3)との当接によって決まる、クラッチ。
【請求項2】
前記第1接触面(1.2)と前記第2接触面(4.4)は円錐状の摩擦面である、請求項1に記載のクラッチ。
【請求項3】
前記シャフト(1)と、前記孔(2.2)又は前記第2部材(2)は、回転ロック手段として好ましくは六角形である多角形形状を有する、請求項1又は2に記載のクラッチ。
【請求項4】
前記第2部材(2)又は前記シャフト(1)の前記台座部は、好ましくは六角形である六角形形状とされた第2回転ロック手段を有し、前記弾性座金(3)も、第2回転ロック手段として、対応する多角形形状を有する、請求項1、2又は3に記載のクラッチ。
【請求項5】
前記第2部材(2)又は前記シャフト(1)は複数のリブ(2.6)を有し、前記弾性座金(3)は複数のスロット孔(3.1)を有し、前記複数のリブ(2.6)は前記複数のスロット孔(3.1)に収容されて前記回転ロック力を向上する、請求項4に記載のクラッチ。
【請求項6】
前記シャフト(1)の拡径するように構成された前記端(1.3)は、前記拡径の前の状態で円錐状の凹部(1.3.1)を有する、請求項1に記載のクラッチ。
【請求項7】
前記シャフト(1)の拡径するように構成された前記端(1.3)は、超音波によって拡径されるものである、請求項1又は6に記載のクラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは車の電動ミラーに適したクラッチに関する。電動ミラーはユーザによって命令されたシグナルに応じてミラーを方向付ける電動モータを有する。ミラーがそのストロークの端に到達した時にモータのトルクが上がり、この装置の他の部品のギヤが破損し得る。動きをモータからミラーに伝達する装置の機構に加えられる最高トルクを規制するためにクラッチは用いられる。
【0002】
このトルクが最高値に達する時、クラッチのいくつかの内部部品が滑り、これら部品の摩擦によりそのエネルギーが消失する。
この発明は、クラッチの構造がとても簡単で安価な製造工程を実現可能である点で特徴を有する。
【背景技術】
【0003】
ミラーの方向を調整する装置は車のドアミラーで用いられている。これらの装置は、伝達手段を介してミラーと接続されたシャフトを有する電動モータを有する。
【0004】
欧州特許出願公開第2017127号公報は、車のミラーの方向を調整する装置であって、第1及び第2の電動モータと前記第1及び第2の電動モータによってそれぞれ駆動される第1及び第2のギヤを収容するハウジングと、2つの揺動軸に関して前記ハウジングに軸支されているミラーサポートとを備え、前記ミラーサポートには前記ギヤと係合する2つのギヤの受けひざが設けられ、第1の受けひざが前記第1のギヤと係合して前記ミラーサポートを第1の揺動軸周りに揺動し、第2の受けひざが前記第2のギヤと係合して前記ミラーサポートを第2の揺動軸周りに揺動する。
【0005】
この装置は、オーバーロード状態において、シャフトに対してギヤを滑らせるクラッチ機構を有する。このクラッチ機構は、その入力ギヤと一体又は該入力ギヤに接続されたクラッチギヤの対応する摩擦面に対し押し付けられる摩擦面を有する弾性座金を備え、前記入力ギヤは前記第1又は第2のモータによって駆動される前記第1又は第2のギヤに係合している。
【0006】
このクラッチ機構は、さらに、前記弾性座金(又はディスクスプリング)を圧縮状態に保持する弾力保持部を有し、この弾力保持部は、前記ギヤの受けひざに回転を伝達する出力ギヤに設けられた機械要素によって変形させられると、ロックされる。
【0007】
前記引用された先行技術では、前記弾力保持部は何らかの突起を乗り越えるものとして紹介されている。もし前記突起が大きすぎれば、弾力保持部は恒久的に損傷を受け、もし前記突起が小さすぎれば、前記弾性保持部が前記突起を逆に乗り越えて元の位置に戻り、前記弾性座金が外れてしまう。
【0008】
この発明は、前記欠点を防ぎ、より堅牢なクラッチを実現し、時間のかからない簡単な組立工程を実現するものである。
【発明の概要】
【0009】
本発明は好ましくは車のドアミラーに使われるクラッチ機構に関し、このクラッチ機構は、高い耐久性を有し、その構成に基づいて、時間のかからない簡単な方法で、前もって定められた圧縮レベルに到達することを許容するものである。
このクラッチ機構は、
長手軸に沿って延び、少なくとも第1接触面と第1規制壁を外周面に有し、拡径するように構成された一端を有するシャフトと、
第1部材と、
第2部材と、を備え、
前記第1部材は、前記長手軸に沿って延在する第1ギヤと、前記長手軸に本質的に垂直な第1摩擦面と、前記シャフトの一部分を収容する孔と、前記第1接触面に当接して前記第1部材の前記シャフトに対する少なくとも一方向への移動を防ぐ第2接触面とを有し、
前記第2部材は、前記長手軸に沿って延在する第2ギヤと、前記第2部材が前記長手軸に関して、前記第1部材と、前記シャフトの拡径されるように構成された前記端との間に配置されるようにシャフトの一部を収容する孔とを有し、
前記孔と前記シャフトは、前記シャフトと前記第2部材とをロックするために協働する回転ロック手段及び軸方向ロック手段を有し、
前記孔は、前記拡径するように構成されたシャフトの端の拡径部を収容するように構成された凹部を有し、
前記シャフトは、前記シャフトの前記端の拡径により前記第2部材に対して軸方向にロックされ、
前記孔は、前記シャフトの第1規制壁に当接するように構成された第2規制壁を有し、
前記第2部材又は前記シャフトに設けられて第2回転ロック手段を有する台座部と、
前記第2部材と前記シャフトの第1摩擦面との間で圧縮されるように、前記第2部材又は前記シャフトの第2回転ロック手段によってロックされた弾性座金と、をさらに備え、
前記弾性座金の圧縮のレベルは第2部材のシャフトに対する軸方向変位量によるものであり、この軸方向変位量は、前記シャフトの第1規制壁と前記第2部材の第2規制壁との当接によって決まるものである。
【0010】
多くの応用において、前記第2ギヤはモータによって駆動される入力ギヤである。前記第2ギヤは、例えば両方が多角形形状であるカップリングによって、シャフトと回転方向に一体となっている。
【0011】
前記シャフト、又は前記モータによって駆動される第2ギヤを有する前記第2部材は、前記第2回転ロック手段によって弾性座金を駆動する台座部を有する。
【0012】
前記シャフトは、多くの場合出力ギヤである前記第1ギヤを有する前記第1部材の孔の中に収容されている。このクラッチは、前記第2ギヤから前記第1ギヤに摩擦力を介して動きを伝達する。前記第1部材の第1ギヤは前記弾性座金によって押される第1摩擦面も有する。第2ギヤに加えられるトルクは、前記座金と前記第1摩擦面との間の摩擦力によって前記第2ギヤに伝達される。しかし、最高摩擦力に達すると、前記座金が前記摩擦面で滑り、前記最高トルクを抑制する。
【0013】
前記長手軸に関して、前記第1部材は前記軸方向に移動されない。これは、前記第1部材の前記第2接触面が前記シャフトの前記第1接触面に当接しているからである。
【0014】
クラッチを組み立てる前に、前記シャフトの第1規制壁と前記第2部材の第2規制壁との当接が行われるまで、前記第2部材は前記シャフトに沿って軸方向にずれた位置に配置される。そして、前記座金に加えられる圧力が、このクラッチによって伝達されるべき最高トルクに屈する場合は、例えば溶接によって前記第2部材と前記シャフトとが連結される。
【0015】
溶接工程は前記シャフトの端までおよび、前記第2部材が外れることを防止する。前記第2部材は凹部を有し、この凹部は、前記長手軸に関して、前記シャフトの端の拡径範囲の位置に配置されている。前記シャフトの端が拡径されると、拡径部は前記凹部内に配置され、前記第1部材の前記シャフトに対する軸方向移動を防止する大径部分を提供し、前記弾性座金の押圧力を維持する。
【0016】
特許請求される発明は、溶接工程時に、前記弾性座金に前もって設定された押圧力が提供されるものであり、前記シャフトや他の部品の変形を避けるものである。
【0017】
この発明は、実施例であって本発明を限定するものではない例として示される添付の図面を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、拡径されるように構成されたシャフトの端が拡径される前の状態における、シャフトの軸を含むこの装置の縦方向断面を示す図である。
【
図2】
図2は、拡径されるように構成されたシャフトの端が拡径された後の状態における、シャフトの軸を含むこの装置の縦方向断面を示す図である。
【
図3】
図3は、この装置の概略横方向の部分拡大斜視図である。
【
図4】
図4は、シャフト又は第2部材の複数のリブを収容する複数のスロット孔を有する弾性座金である。
【
図5】
図5は、弾性座金が第2部材と第1摩擦面との間で圧縮されている時の、両ギヤの間におけるトルク伝達をあらわす概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第一の態様に基づくこの発明は電動ミラーに適したクラッチであり、このクラッチは中心要素としてシャフト(1)を有し、このシャフト(1)は、例えば第1部分(4)、第2部分(2)等のクラッチの他の要素間の位置関係を作るリファレンス要素である。その長軸、つまり軸(X)も、クラッチ部品の個々の構成と方向を確定するために用いられるリファレンスである。
【0020】
図1の実施形態に示されるように、シャフト(1)の1つの先端、具体的にはこの図の左側に配置された先端は、シャフト(1)の拡径するように構成された端(1.3)である。
図1の実施形態において、この端は内部円錐凹部(1.3.1)を有し、この凹部は、例えば溶接を生じさせる超音波装置の導入や、溶接火口の導入に用いられる。一方、
図2は、前記拡径が行われたシャフト(1)の端(1.3)を示し、このため、軸(X)に沿った軸方向移動が不可能な状態になっている。
【0021】
シャフト(1)は、さらに、シャフト(1)の端(1.3)と反対側に拡径するように構成された端と、拡径するよう構成されたシャフト(1)の端(1.3)と反対の方向への軸(X)に沿った第1部材(4)の移動を制限する第1接触面(1.2)とを有する。この
図1及び
図2に示されるような、ある実施形態では、シャフト(1)の第1接触面(1.2)と第1部材(4)の第2接触面(4.4)は円錐形状を有し、1方向への相対移動の規制はこれら接触面間の溶接の結果である。
【0022】
シャフト(1)は、入力ギヤである第2ギヤ(2.1)を含む第2部材(2)と一体である。第1部材(4)は第1ギヤ(4.1)を含む。このギヤは出力トルクを伝達する。第1部材(4)とシャフト(1)は回転方向に一体ではなく、互いに自由に回転することができる。一方、第2部材(2)の第2ギヤ(2.1)によって受けられた入力トルクは、トルク量によらず、完全に第1ギヤ(4.1)に伝達される。
【0023】
このクラッチによれば、入力トルクが所定の閾値よりも低い時に、入力トルクが第1ギヤ(4.1)に伝達され、前記所定の閾値は、出力トルクが例えばドアミラーの機構を損傷させ得る値を超えないようにするものである。
【0024】
入力トルクが前記閾値となる場合、出力トルクが制限され、入力トルクの一部が後述の内部部品間の摩擦によって消費される。この制限されたトルク伝達は、弾性を有する座金(3)がその部品であることにより達成され、座金(3)は、シャフト(1)と回転方向に一体である第2部材(2)の回転運動を、第1部材(4)に繋ぐものである。
【0025】
弾性座金(3)と第2部材(2)との接続に関して、この弾性座金(3)は第2部材(2)及びシャフト(1)と回転方向に一体である。なぜならば、弾性座金(3)はシャフト(1)又は第2部材(2)の台座部の第2回転ロック手段(2.5)によってロックされているからである。
【0026】
さらに、弾性座金(3)と第1部材(4)との接続については、弾性座金(3)は第1部材(4)の第1摩擦面(1.2)と摩擦接触している。弾性座金(3)の第1摩擦面(1.2)への接触力に応じて、前記トルクの閾値は可変である。接触力が大きくなれば、前記閾値も大きくなる。
【0027】
シャフト(1)、第2部材(2)及び弾性座金(3)から成る部品セットがトルクを第1部材(1)に伝達する。この実施形態では、前記伝達は、主に、弾性座金(3)と第1摩擦面(1.2)の間の摩擦力と、シャフト(1)の第1接触面(1.2)と第1部材(4)の第2接触面(4.4)の間の摩擦力によって行われる。
【0028】
第1部材(4)と第2部材(2)の両方は、前記の説明から推測され、
図1及び2からわかるように、それらの中心部がシャフト(1)を収容するために中空である。これらの孔は、第2部材(2)の孔(2.2)と第1部材(4)の孔(4.3)と称されている。
図1及び2を参照すると、第2部材(2)の孔(2.2)は、その左先端に凹部(2.4)を有し、この凹部(2.4)は拡径されるシャフト(1)の端(1.3)が適合するところであり、これにより、前記拡径が実際に行われた際にシャフト(1)が第2部材(2)に対して軸方向にロックされる。
【0029】
前述のように、シャフト(1)と第1部材(4)とは異なり、シャフト(1)と第2部材(2)は回転方向に一体であり、このために、第2部材(2)の孔(2.2)とシャフト(1)は回転ロック手段を有する。本発明を限定するものではない
図3の実施形態では、前記回転ロック手段は孔(2.2)とシャフト(1)が多角形状であり、これは明確にこれらの相対回転を妨げる。
図3において、第1部材(4)の孔(4.3)とシャフト(1)の孔(4.3)に収容される部分はその相対回転を許容するために円形であることがわかる。より具体的な実施例では、
図3に示されるように、この多角形状は六角形である。
【0030】
同様に、前述の第2回転ロック手段(2.5)はシャフト(1)又は第2部材(2)の台座部に配置され、座金(3)をこれら部品と回転方向に一体に保つ。1つの実施形態では、前記台座部の形状と座金(3)の内部中空部の形状の両方は多角形状である。
図3及び
図4の実施形態に示されるように、多角形状は前の段落に示されるように六角形である。この最後の実施形態では、
図3及び
図4に示されるように、弾性座金(3)は複数のスロット孔(3.1)を有し、
図2及び
図3に示されるように、第2部材(2)又はシャフト(1)の台座部は複数のリブ(2.6)を有し、これらは前記スロット孔に嵌め合されて前記回転ロックを向上し強化する。
【0031】
このクラッチの製造の間、弾性座金(3)が圧縮されるまでは、シャフト(1)は第2部材(2)の孔(2.2)内で、軸方向に位置をずらされて収容されている。
図1及び
図2に示されているように、シャフト(1)は第1規制壁(1.1)を有し、第2部材(2)は第2規制壁(2.3)を有し、シャフト(1)に対する第2部材(2)の、シャフト(1)の拡径するように構成された端(1.3)と反対の方向への移動を規制するように、第1規制壁(1.1)と第2規制壁(2.3)が当接する。この構成による技術的利点は、これら2つの部品を前記溶接前に時間をかけずに組立てられ、軸方向の位置調整のために複雑な制御手段が必要ないことであり、これは、クラッチの寸法設計の時に前記圧縮の程度が決められる状態である。なぜなら、前記壁(1.1,2.3)が前もって設定された圧縮状態の座金(3)に寄り掛かる時、前記規制壁によるこの肩部が第2部材(2)の座金(3)側への移動を規制し、これにより前もって設定された最高トルク伝達値が達成される。この結果、このような構成が、組立工程の入念なコントロールを必要とせずに、素早い組立を可能とし、所定の最高トルク伝達値をもたらす。