【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1に係る電力変換装置1の一例でその斜視図である。図示した電力変換装置1は、インバータ部又はコンバータ部などを有して構成されるスタックユニット10及びコンデンサユニット20などを1相分として、3相分(U相、V相、W相)配置された場合を示している。電力変換装置1本体は、相ごとに、各ユニットの組込み、取外しが可能になるように、ステー12、13などを用いたラック構造に構成されている。
【0012】
各相のスタックユニット10は、コンデンサユニット20の上部に配置され、スタックユニット10とコンデンサユニット20を接続する接続部(接続手段)は、コンデンサユニット20の導電性盤に接続される(詳細は、後述する。)。また、スタックユニット10には、取手15、15が取り付けられており、電力変換装置1に対する当該スタックユニット10の取付け、取外しを容易に行うことができる。
【0013】
図2は、
図1に係るスタックユニット10及びコンデンサユニット20の要部斜視図である。
【0014】
図3は、
図2に係るスタックユニット10及びコンデンサユニット20の構成図である。
図3(1)は正面図で、同図(2)は平面図で、同図(3)は右側面図で、同図(4)は左側面図である。以下、これらの図面を参照してスタックユニット10の説明を行う。
【0015】
スタックユニット10は、平型半導体素子12、水冷フィン12a、平型半導体素子12及び水冷フィン12aを圧接しながら固定する固定具13、コンデンサユニット20との接続部14及び取手15などを有して構成される。
【0016】
平型半導体素子12は、供給される直流電源(図示しない)に対して複数個直列に接続される。実施例では、当該平型半導体素子12を冷却するための水冷フィン12a、12aの間に平型半導体素子12が配置される。
図2は、このように構成された水冷フィン12a及び平型半導体素子12を単位として複数個直列に配置された場合の一例である。
【0017】
上記水冷フィン12aの表面は導電材で構成されており、平型半導体素子12と一体になって用いられるため、発明の要部が平型半導体素子と水冷フィンにある場合を除けば、水冷フィン12aは平型半導体素子12の一部と見なすこともできるため、本実施例では、特別に必要な場合を除いて水冷フィン12aは平型半導体素子12に含まれるものとして説明する。その場合、コンデンサユニット20との接続部14は、低インダクタンス化のために、直列接続された複数個の平型半導体素子12、12・・の接触抵抗を低減するため、両端に配置された固定具13、13によって圧接される。
【0018】
固定具13は、圧接板13a・13a、ステー13b・13b、弾性体13d・13dなどで構成される。圧接板13a、13a間に配置された平型半導体素子12、12・・、及び弾性体13d、13dは、ステー13b、13bの長軸方向の距離を定めるナット13c、13cを正回転することにより、上記ステー13b、13bの軸方向内側に圧接される。圧接力は、弾性体13d、13dのバネ力により設定される。
【0019】
固定具13・13にはそれぞれ取手15、15が取り付けられ、当該スタックユニット10はこの取手15、15を持ち、電力変換装置1に組み込むことができる。
【0020】
コンデンサユニット20は、2個のコンデンサ21、21で構成される。各コンデンサ21、21間は、導電性盤(BUS)23(23a、23b、23cの総称)により電気的に接続される。なお、導電性盤23a、23b、23cは銅板などの導体で構成される。
【0021】
図4は、
図2に係るコンデンサユニット20及び導電性盤23の斜視図である。
図5は、
図4に係るコンデンサユニット20の構成図である。
図5(1)は正面図で、同図(2)は平面図である。
【0022】
本実施例1に係るコンデンサユニット20は、底板22上に2個のコンデンサ21、21が配置され固定される。これら2個のコンデンサ21、21の端子(図示しない)は、導電性盤23により電気的に接続される。
【0023】
導電性盤23は、後述する挟込挟手段(
図6参照)としての挟込固定板14aと挟込可動板14dの間に挿入の際に、挟込ボルト14e及び回転止ピン14fが当該挿入の妨げになるのを防止する切り欠きを有する。また、当該切り欠きは、当該挿入に伴う挟込ボルト14e及び回転止めピン14fの移動経路に切り欠き有し、特に、挟込ボルトの移動口を大きな切り欠きとし、奥になるに従って狭く、かつ、直線状スリットに構成してある。
【0024】
このような構成にすることにより、コンデンサユニット20に対してスタックユニット10を設置する際、挟込ボルト14eを上記切り欠き部分に挿入し易く、挿入後はスタックユニット10を電力変換装置1本体側に押し出すことにより、挟込切ボルト14eが切り欠きの経路に沿って導電性盤23に進入するため、スタックユニット10の設置位置の位置決めが簡単に行われる。この結果、コンデンサユニット20に対してスタックユニット10を接続する際に、導電性盤23の上下に挟込固定板14a及び挟込可動板14dがスムーズに挿入される。
【0025】
なお、スタックユニット10に対してコンデンサユニット20を設置する場合は、挟込固定板14a及び挟込可動板14dの間に導電性盤23が上述したようにスムーズに挿入される。
【0026】
また、導電性盤23はそれぞれ接続導体24a、24b、24cを介してインバータ部(図示しない)に接続される。
【0027】
以上の構成により、導電性盤23a、23b、23Cはそれぞれ、上述したスタックユニット10の接続部14に接続される。
【0028】
図6は、
図2に係るスタックユニット10の接続部14の斜視図である。接続部14は、スタックユニット10の下部に配置され、挟込手段及び圧接手段を有して構成される。
【0029】
挟込手段は、スタックユニットに取り付けられた挟込固定板14a、この挟込固定板14aの下部に配置された挟込可動板14d、挟込固定板14aを支持する支持板14c及び支持補助板14dなどで構成される。
【0030】
挟込固定板14aは、L文字状銅板などの導体で構成され、絶縁材で構成された支持板14c及び支持補助板14dの間に固定される。
【0031】
圧接手段は、挟込固定板14aと挟込可動板14bの間に挿入された導電性盤23を挟込固定板14a及び挟込可動板14bとで圧接する挟込ボルト14eと、当該圧接の際、挟込可動板14bの回転を防止する回転止ピン14fなどで構成される。
【0032】
挟込可動板14bは、挟込ボルト14eにより、挟込固定板14aから導電性盤23が挿入可能な所定の距離、離間して連結され、上述した圧接手段としての挟込ボルト14eを正回転することにより、当該挟込ボルト14eの軸方向の距離を短くする方向に移動する。この移動によって挟込固定板14a及び挟込可動板14b間に挿入された導電性盤23を圧接する。また、挟込ボルト14eを逆回転することにより、当該挟込ボルト14eの軸方向の距離を長くする方向に移動することにより上記圧接を開放する。
【0033】
また、上述した構造を有していることにより、挟込固定板14aと挟込可動板14dの間は、コンデンサユニット20の導電性盤23が所定の厚みを有している場合であっても容易に挿入可能な隙間になっている。
【0034】
回転止ピン14fは、挟込固定板14a及び挟込可動板14bの間に挿入されたコンデンサユニット20の導電性盤23を挟み込んでこれらを圧接するためにボルト14eを回転してボルト締めする際、挟込可動板14bが空転し接不良になることを防止する。この結果、低インダクタンス化のために、ボルト14eの長さも極力短くすることができるのみならず、ボルト締めの際スパナによる片手作業が可能になる。
【0035】
上述した実施例1は、電力変換装置1を構成するスタッカユニット10がインバータ部を配置した場合を例に説明したが、本実施例に限定するものではなく、電力変換装置の容量、仕様により、上述したスタッカユニットに配置される平型半導体素子の個数及びコンデンサユニットに配置されるコンデンサの個数が変化することにより、スタッカユニットの接続部及びコンデンサユニットの導電性盤の構成が変更になることがある。その場合であっても、本実施例に係る発明を適用することは可能であり、その場合も上述と同様の効果を得ることが可能である。
【0036】
以上、説明したように本実施例1によれば、スナバ回路レス化、スタックユニット10とコンデンサユニット20との接続の低インダクタンス化及びスタックユニット10とコンデンサユニット20の着脱が容易な電力変換装置を提供することができる。