(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6067551
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】発電装置の最大電力点追従
(51)【国際特許分類】
G05F 1/67 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
G05F1/67 A
G05F1/67 B
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-506423(P2013-506423)
(86)(22)【出願日】2011年4月26日
(65)【公表番号】特表2013-525908(P2013-525908A)
(43)【公表日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】CA2011000476
(87)【国際公開番号】WO2011134058
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2014年4月17日
(31)【優先権主張番号】61/327,782
(32)【優先日】2010年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515234200
【氏名又は名称】スパルク システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】カージェホディン サイード アリ
(72)【発明者】
【氏名】ジェーン プラビーン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】バクシャイ アリレザ
【審査官】
田村 耕作
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−227324(JP,A)
【文献】
特開昭61−285519(JP,A)
【文献】
特開平10−117440(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0137688(US,A1)
【文献】
特許第4491622(JP,B2)
【文献】
特開2000−047741(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0141773(US,A1)
【文献】
特開2002−270876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置の出力電圧および出力電流を受け取る入力回路を提供する工程と、
(i)該入力回路のスイッチング装置の1スイッチング周期の第1の切り替えの際(t1)および第2の切り替えの際(t2)における発電装置の瞬時出力電圧および瞬時出力電流をサンプリングして第1および第2の電力サンプルを得る工程であって、
(t1)における瞬時出力電圧もしくは瞬時出力電流が(t2)における瞬時出力電圧もしくは瞬時出力電流よりも常に大きいか、または
(t1)における瞬時出力電圧もしくは瞬時出力電流が(t2)における瞬時出力電圧もしくは瞬時出力電流よりも常に小さい、工程と、
(ii)第1および第2の電力サンプルの差から基準電圧信号または基準電流信号を生成する工程と、
(iii)基準電圧または基準電流を発電装置の瞬時出力電圧または瞬時出力電流と比較し、該入力回路の少なくとも一つのスイッチング装置のための少なくとも一つのゲート信号を生成する工程と、
(iv)第1および第2の電力サンプルの差を最小化するように(i)〜(iii)を繰り返す工程と
を含み、
該少なくとも1つのゲート信号が、発電装置の出力電圧および出力電流の大きさに影響を及ぼし、かつ
第1および第2の電力サンプルの差が最小化されるときに最大電力点が追従される、
発電装置の最大電力点を追従する方法。
【請求項2】
第1および第2の電力サンプルの差から基準電圧信号または基準電流信号を生成する工程が、比例-積分(PI)コントローラを使用することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
複数の最大電力点の範囲について発電装置の出力電圧を掃引する工程、大域的な最大電力点を決定する工程、および最大電力点追従のための開始点を該大域的な最大電力点の可能な限り近くに設定する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
発電装置が、光電池、風力タービン、または燃料電池である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
発電装置が、少なくとも一つの光電池を備えている、請求項1記載の方法。
【請求項6】
発電装置の出力電圧および出力電流を受け取る入力回路と、
(i)該入力回路のスイッチング装置の1スイッチング周期の第1の切り替えの際(t1)および第2の切り替えの際(t2)における発電装置の瞬時出力電圧および瞬時出力電流をサンプリングして第1および第2の電力サンプルを得るサンプリング回路であって、
(t1)における瞬時出力電圧もしくは瞬時出力電流が(t2)における瞬時出力電圧もしくは瞬時出力電流よりも常に大きいか、または
(t1)における瞬時出力電圧もしくは瞬時出力電流が(t2)における瞬時出力電圧もしくは瞬時出力電流よりも常に小さい、サンプリング回路と、
(ii)第1および第2の電力サンプルを減算して差信号を生成する減算器と、
(iii)該差信号から基準電圧信号または基準電流信号を生成する回路と、
(iv)基準電圧信号または基準電流信号を発電装置の瞬時出力電圧または瞬時出力電流と比較することによって、該入力回路の少なくとも一つのスイッチング装置のための少なくとも一つのゲート信号を生成する回路と
を備えており、
該少なくとも1つのゲート信号が、該発電装置の出力電圧および出力電流の強度に影響を及ぼし、かつ
該差信号が最小化されるときに最大電力点が追従される、
最大電力点追従装置。
【請求項7】
基準電圧信号または基準電流信号を生成する回路が、比例-積分(PI)コントローラを備えている、請求項6記載の最大電力点追従装置。
【請求項8】
複数の最大電力点の範囲について発電装置の出力電圧を掃引し、大域的な最大電力点を決定し、かつ最大電力点追従のための開始点を該大域的な最大電力点の可能な限り近くに設定する回路を備える、請求項6記載の最大電力点追従装置。
【請求項9】
発電装置が、光電池、風力タービン、または燃料電池である、請求項6記載の最大電力点追従装置。
【請求項10】
発電装置が、少なくとも一つの光電池を備えている、請求項6記載の最大電力点追従装置。
【請求項11】
請求項6記載の最大電力点追従装置と、
電力変換器と
を備える発電装置用のマイクロインバータ。
【請求項12】
電力変換器が、DC-DC変換器およびDC-ACインバータを備えている、請求項11記載のマイクロインバータ。
【請求項13】
電力変換器が、発電装置の出力から正弦波出力電流を生成する、請求項11記載のマイクロインバータ。
【請求項14】
発電装置が、光電池、風力タービン、または燃料電池である、請求項11記載のマイクロインバータ。
【請求項15】
発電装置が、少なくとも一つの光電池を備えている、請求項11記載のマイクロインバータ。
【請求項16】
請求項11記載のマイクロインバータと、
少なくとも一つの発電装置と
を備える、発電システム。
【請求項17】
発電装置が、光電池、風力タービン、または燃料電池である、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
発電装置が、少なくとも一つの光電池を備えている、請求項16記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、発電装置から電力を得るための回路、システム、および方法に関する。特に、本明細書に記載の回路、システム、および方法を、発電装置から得られる電力を最大化するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
背景
グリッド接続発電システムは、典型的には、2つの主要部分、すなわち電力を生成する発電装置と、電力を受け取り調節して配電網へと注入するインバータとを備えている。発電装置として、例えば光電池(PVセル)および風力タービンが挙げられる。
【0003】
発電装置を、集中型、ストリング、マルチストリング、およびACモジュール/セル技術として構成することができる。風力タービンにおける風の条件の違い、PVセルの一部分への影、またはPVセル間の不整合などの種々の条件下で、発電装置の全体としての効率を高めるために、別個独立した制御および電力の抽出が、各発電装置について必要である。このために、各発電装置について個別のインバータ(すなわち、マイクロインバータ)を使用する必要がある。最大電力点追従(MPPT)が各発電装置について独立して実行されるならば、各発電装置からの電力の抽出を向上させることが可能である。
【0004】
特に、PVセルの最大電力点追従は、電流-電圧特性が非線形であること、および照射源の状態が常に変化していることから、難題である。従来のMPPTシステムは、最適動作点を発見して基準信号または論理演算子および関係演算子を生成するアルゴリズムを使用し、試行錯誤または探索(seek and find)にもとづいて最適動作点を見つけている。これらを、マイクロプロセッサ上で動作するソフトウェアにて実現することができる。このような手法は、システムの全体としての効率に悪影響を及ぼす最適点の周囲での振動につながる可能性がある。さらに、試行錯誤の手法では、高速に変化する状況において効率が低下する。このような手法のこの欠点および低速性が、照射レベルの単調かつ高速な上昇などの状況において、問題となる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
概要
(i)第1の瞬間における瞬時電圧および瞬時電流が第2の瞬間における瞬時電圧および瞬時電流よりも常に大きいかまたはその反対である、第1の瞬間および第2の瞬間における発電装置の瞬時出力電圧および瞬時出力電流をサンプリングして第1および第2の電力サンプルを得る工程、(ii)第1および第2の電力サンプルの差から基準電圧信号または基準電流信号を生成する工程、(iii)基準電圧または基準電流を発電装置の瞬時電圧または瞬時電流と比較し、少なくとも一つのゲート信号を生成する工程、および(iv)第1および第2の電力サンプルの差を最小化するように(i)〜(iii)を繰り返す工程を含んでおり、ゲート信号が、発電装置の出力電圧および出力電流の大きさに影響を及ぼし、差信号が最小化されるときに最大電力点が追従される、最大電力点追従方法が、本明細書において説明される。一態様においては、第1および第2の電力サンプルの差から基準電圧信号または基準電流信号を生成する工程が、比例-積分(PI)コントローラを使用する工程を含むことができる。
【0006】
この方法は、複数の最大電力点の範囲について発電装置の出力電圧を掃引する工程、大域的な最大電力点を決定する工程、および最大電力点追従のための開始点を大域的な最大電力点の可能な限り近くに設定する工程を含むことができる。
【0007】
さらに、(i)第1の瞬間における瞬時電圧および瞬時電流が第2の瞬間における瞬時電圧および瞬時電流よりも常に大きいかまたはその反対である、第1の瞬間および第2の瞬間における発電装置の瞬時出力電圧および瞬時出力電流をサンプリングして第1および第2の電力サンプルを得るサンプリング手段と、(ii)第1および第2の電力サンプルを減算して差信号を生成する減算器と、(iii)差信号から基準電圧信号または基準電流信号を生成する手段と、(iv)基準電圧信号または基準電流信号を発電装置の瞬時電圧または瞬時電流と比較することによって少なくとも一つのゲート信号を生成する手段とを備えており、ゲート信号が、第1および第2の電力サンプルの差を最小化し、差信号が最小化されるときに最大電力点が追従される、最大電力点追従装置も、本明細書において説明される。一態様においては、基準電圧信号または基準電流信号を生成する手段が、比例-積分(PI)コントローラを備えることができる。
【0008】
一態様においては、最大電力点追従装置が、複数の最大電力点の範囲について発電装置の出力電圧を掃引する手段、大域的な最大電力点を決定する手段、および最大電力点追従のための開始点を大域的な最大電力点の可能な限り近くに設定する手段を備える。
【0009】
さらに、上述の最大電力点追従装置と電力変換器とを備える発電装置用のマイクロインバータも、本明細書において説明される。電力変換器は、DC-DC変換器およびDC-ACインバータを備えることができる。電力変換器は、発電装置の出力から正弦波出力電流を生成することができる。
【0010】
また、上述のマイクロインバータと、少なくとも一つの発電装置とを備える発電システムも、本明細書において説明される。
【0011】
本明細書に記載の方法、回路、およびシステムにおいて、発電装置は、光電池、風力タービン、または燃料電池であってもよい。
[本発明1001]
(i)第1の瞬間および第2の瞬間における発電装置の瞬時出力電圧および瞬時出力電流をサンプリングして第1および第2の電力サンプルを得る工程であって、
第1の瞬間における瞬時電圧および瞬時電流が第2の瞬間における瞬時電圧および瞬時電流よりも常に大きいか、または
第1の瞬間における瞬時電圧および瞬時電流が第2の瞬間における瞬時電圧および瞬時電流よりも常に小さい、工程と、
(ii)第1および第2の電力サンプルの差から基準電圧信号または基準電流信号を生成する工程と、
(iii)基準電圧または基準電流を発電装置の瞬時電圧または瞬時電流と比較し、少なくとも一つのゲート信号を生成する工程と、
(iv)第1および第2の電力サンプルの差を最小化するように(i)〜(iii)を繰り返す工程と
を含み、
該ゲート信号が、発電装置の出力電圧および出力電流の大きさに影響を及ぼし、
差信号が最小化されるときに最大電力点が追従される、
最大電力点追従方法。
[本発明1002]
第1および第2の電力サンプルの差から基準電圧信号または基準電流信号を生成する工程が、比例-積分(PI)コントローラを使用することを含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
複数の最大電力点の範囲について発電装置の出力電圧を掃引する工程、大域的な最大電力点を決定する工程、および最大電力点追従のための開始点を該大域的な最大電力点の可能な限り近くに設定する工程を含む、本発明1001の方法。
[本発明1004]
発電装置が、光電池、風力タービン、または燃料電池である、本発明1001の方法。
[本発明1005]
発電装置が、少なくとも一つの光電池を備えている、本発明1001の方法。
[本発明1006]
(i)第1の瞬間および第2の瞬間における発電装置の瞬時出力電圧および瞬時出力電流をサンプリングして第1および第2の電力サンプルを得るサンプリング手段であって、
第1の瞬間における瞬時電圧および瞬時電流が第2の瞬間における瞬時電圧および瞬時電流よりも常に大きいか、または
第1の瞬間における瞬時電圧および瞬時電流が第2の瞬間における瞬時電圧および瞬時電流よりも常に小さい、手段と、
(ii)第1および第2の電力サンプルを減算して差信号を生成する減算器と、
(iii)該差信号から基準電圧信号または基準電流信号を生成する手段と、
(iv)基準電圧信号または基準電流信号を発電装置の瞬時電圧または瞬時電流と比較することによって少なくとも一つのゲート信号を生成する手段と
を備えており、
該ゲート信号が、第1および第2の電力サンプルの差を最小化し、
該差信号が最小化されるときに最大電力点が追従される、
最大電力点追従装置。
[本発明1007]
基準電圧信号または基準電流信号を生成する手段が、比例-積分(PI)コントローラを備えている、本発明1006の最大電力点追従装置。
[本発明1008]
複数の最大電力点の範囲について発電装置の出力電圧を掃引する手段、大域的な最大電力点を決定する手段、および最大電力点追従のための開始点を該大域的な最大電力点の可能な限り近くに設定する手段を備える、本発明1006の最大電力点追従装置。
[本発明1009]
発電装置が、光電池、風力タービン、または燃料電池である、本発明1006の最大電力点追従装置。
[本発明1010]
発電装置が、少なくとも一つの光電池を備えている、本発明1006の最大電力点追従装置。
[本発明1011]
本発明1006の最大電力点追従装置と、
電力変換器と
を備える発電装置用のマイクロインバータ。
[本発明1012]
電力変換器が、DC-DC変換器およびDC-ACインバータを備えている、本発明1011のマイクロインバータ。
[本発明1013]
電力変換器が、発電装置の出力から正弦波出力電流を生成する、本発明1011のマイクロインバータ。
[本発明1014]
発電装置が、光電池、風力タービン、または燃料電池である、本発明1011のマイクロインバータ。
[本発明1015]
発電装置が、少なくとも一つの光電池を備えている、本発明1011のマイクロインバータ。
[本発明1016]
本発明1011のマイクロインバータと、
少なくとも一つの発電装置と
を備える、発電システム。
[本発明1017]
発電装置が、光電池、風力タービン、または燃料電池である、本発明1016のシステム。
[本発明1018]
発電装置が、少なくとも一つの光電池を備えている、本発明1016のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0012】
次に、本発明のよりよい理解のため、および本発明をどのように実行に移すことができるのかをより分かり易く示すために、いくつかの態様を、添付の図面を参照して、あくまでも例として説明する。
【
図1a】マイクロインバータシステムの一般化したブロック図である。
【
図1b】マイクロインバータシステムの一般化したブロック図である。
【
図2】
図2(a)は、PVセルの典型的な電流-電圧特性および電力-電圧特性ならびに最大電力点を示した図である。
図2(b)は、特性が照射量に応じてどのように変化するかを示した図である。
【
図3a】
図3(a)および(b)は、2つの態様による最大電力点追従の仕組みの図である。
【
図3b】
図3(a)および(b)は、2つの態様による最大電力点追従の仕組みの図である。
【
図4-1】
図4(a)〜(d)は、最大電力点に対する種々の動作点についてPVセルの波形を示した図である。
【
図4-2】
図4(a)〜(d)は、最大電力点に対する種々の動作点についてPVセルの波形を示した図である。
【
図5】
図5(a)〜(c)は、それぞれ(a)20msおよび(b)40msにおける照射レベルの階段状の変化および正弦波状の変化について、
図3(a)の態様のシミュレーションの結果を示した図であり、誤差信号が(c)に示されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
態様の詳細な説明
発電装置から電力を得るためのシステム、回路、および方法が、本明細書において説明される。発電装置は、例えば、風力タービン、燃料電池、または光電池であってもよい。発電装置は、分散型の発電装置であってもよい。本明細書においては、システム、回路、および方法の態様が、主として光電池に関して説明されるが、システム、回路、および方法が光電池に限定されないことは理解されるであろう。
【0014】
本明細書において説明されるシステム、回路、および方法を、発電装置のためのマイクロインバータにおいて使用することができる。本明細書において使用される場合、用語「マイクロインバータ」は、発電装置と負荷(配電網など)とを接続する装置を指す。マイクロインバータを備えるシステムが、
図1(a)の一般化されたブロック図に示されている。マイクロインバータ20が、発電装置10から電力を受け取り、負荷30へと電力を出力する。マイクロインバータ20は、例えばDC-DC変換、DC-AC変換、またはこれらの組み合わせなどの一つまたは複数の機能を実行することができる電力部200を備えることができる。マイクロインバータは、例えば、発電装置の最大電力点追従および/または電力部200へのゲート信号の供給などの一つまたは複数の機能を実行することができる制御部300を備えることができる。ゲート信号は、発電装置の電圧および/もしくは電流ならびに/または負荷の電圧および/もしくは電流を検出することによって決定することができる。
【0015】
図1(b)の一般化されたブロック図が、発電装置10から電力を受け取る電力変換部210(例えば、DC-DC変換器)と、変換部210から電力を受け取って出力電力を生成するインバータ部220とを備えるマイクロインバータの態様を示している。出力電圧は、任意で、負荷30(例えば、配電網)に適合するように調整(例えば、フィルタ処理)250されることができる。任意で、一つまたは複数の受動部品(例えば、コンデンサおよび/またはインダクタ)を、電力変換部210の入力および/または電力変換部210とインバータ部220との間(すなわち、それぞれ230および240)に使用することができる。フィルタ250を、任意でインバータ部220の出力に使用することができる。第1のコントローラ310が、発電装置の電圧および/または電流を検出し、電力変換部210のスイッチのためのゲート信号を生成することができる。第1のコントローラが、最大電力点追従を実行することができる。第2のコントローラ320が、負荷へともたらされる電圧および/または電流を検出し、インバータ部220のスイッチのためのゲート信号を生成することができる。
【0016】
本明細書に記載のマイクロインバータは、種々の状況および条件下での発電装置の全体としての効率を向上させる。例えば、PVセル、またはPVモジュールを形成するPVセルストリングの場合に、PVセルの一部分の影またはPVセル間の不整合により、システムの全体としての効率が低下する可能性がある。しかしながら、各PVセルまたは各PVセルストリングもしくはモジュールについてマイクロインバータを使用することで、各PVセルまたはPVセルストリングもしくはモジュールを別個独立に制御して電力を抽出することが可能になり、個々のPVセル、ストリング、またはモジュールの条件の相違にもかかわらず、システムの効率を最大にすることができる。
【0017】
本明細書に記載のマイクロインバータは、発電装置(例えば、PVセルの背面)に取り付けられるようにコンパクトである。マイクロインバータは、極端な温度および湿度などの幅広い範囲の環境条件に曝露されるため、信頼性および保守が大きな問題である。この曝露は、インバータの予想寿命および性能にも悪影響を及ぼす。これらの要因により、堅牢な設計および構造が必要であり、製造コストの上昇につながるより高価な部品が必要になる可能性がある。したがって、マイクロインバータの設計における課題は、例えば回路部品の数を減らし、サイズを小さくすることによって、コンパクトさおよび低コストを達成することである。好都合には、本明細書に記載のマイクロインバータは、高価につく高電圧の部品および配線を必要としない。コントローラシステムの全体または一部は、個別の構成部品を使用し、デジタル技術を(例えば、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または特定用途向け集積回路(ASIC)デバイスにおいて)使用し、またはこれらの組み合わせを使用して、実現することができる。例えば、コントローラの一つまたは複数の構成部品は、例えば超高速集積回路(VHSIC)、ハードウェア記述言語(VHDL)、レジスタ転送言語(RTL)、またはVerilogなどの適切なハードウェア言語を使用するアルゴリズムにて実現することができる。そのようなアルゴリズムを、例えば、FPGAもしくはASICデバイスまたは他の適切な論理デバイスにおいて実現することができる。デジタル技術の使用は、コンパクトかつ堅牢なコントローラをもたらす。
【0018】
本明細書に記載のマイクロインバータは、最大電力点追従(MPPT)を含むことができる。結果として、MPPTを、各発電装置について独立に実行することができる。PVセルの使用における課題は、
図2(a)および(b)に示されるように電力-電圧(P-V)曲線上に固有の最大電力点(MPP)をもたらすPVセルの非線形な電流-電圧(I-V)特性に起因する。したがって、一部分が影に入ることを避けることができないPVセルの場合において、MPPTが、あらゆる瞬間的な状況において各PVセルについて最大の電力を取り出すことを可能にする。MPPTは、システム内のPVセル間のあらゆる不整合の損失を取り除く。さらに、本明細書に記載のマイクロインバータは、分散型の発電装置にモジュール性をもたらし、分散型の発電システムにおける発電装置の使用に「プラグアンドプレイ」の手法を可能にする。
【0019】
本明細書において使用される場合、用語「最大電力点追従(MPPT)」と「最大電力点追従装置(MPP追従装置)」とは異なる。「MPPT」はアルゴリズムを指し、「MPP追従装置」はハードウェア(すなわち回路)を指す。MPPTは、発電装置の最適動作点を計算し、システムを最適動作点へと導くためのMPP追従装置のための基準点をもたらす。
【0020】
本明細書において使用される場合、用語「光電池」は、光子を吸収して光電効果によって電子を生成するための光吸収材料を有しているあらゆる電池を指す。光電池の例は、これに限られるわけではないが、太陽電池である。光吸収材料は、例えば、地表に届く太陽光の波長、および/または地球の大気を超える太陽光の波長を含む任意の波長または波長の組み合わせの光を吸収することができる。特定の光吸収波長を有する2つ以上の光吸収材料を、異なる光吸収および電荷の分離の機構を好都合に利用するために、組み合わせて使用することができる。光吸収材料を、例えば、バルク材料、薄膜(例えば、無機物層、有機染料、および有機ポリマー)、および/またはナノ結晶として構成することができる。光電池を、アレイ、ストリング、モジュール、またはパネルに組み合わせることができる。
【0021】
本明細書において使用される場合、用語「光電池ストリング」は、直列、並列、直並列、または他の構成にて接続された複数の光電池を指す。PVセルストリングは、PVセルモジュールを形成することができる。
【0022】
本明細書において説明される最大電力点追従を、例えば、共振モード変換器、電圧形変換器、電流形変換器、などの任意の変換器において使用することができる。
【0023】
MPP追従装置およびMPPTの仕組みの例示的な態様が、
図3(a)および3(b)に示されている。以下の説明においては、
図3(a)に示した態様を、
図4(a)〜(d)に示した種々の動作点における例示的な波形を参照して説明する。
図3(b)に示した態様の動作は、後述される動作の原理にもとづいて、当業者にとって容易に明らかであろう。
【0024】
図3(a)および
図4(a)〜(d)を参照すると、発電装置10の例としてPVセルを使用して、動作の原理を以下のように説明することができる。この態様においては、入力コンデンサC
1が、DC-DC変換部210の入力部に設けられている。DC-DC変換器がPVセルから電力を引き出すことがないような位置に変換器210のスイッチがある場合、PVセルは入力コンデンサC
1を充電する。
図4(c)に示されるように、動作点における平均のPVセル電圧が最大電力点(MPP)よりもはるかに低い場合、電力曲線は、電圧と同じ傾斜を有する(反対の状況が、
図4(a)に示されている)。しかしながら、
図4(b)および(d)に示されるように、PVセルの電圧が高くなる場合、PVセルの電力が増加し、次いで減少し、MPPを通過する。したがって、
図4(d)に示されるように、制御の戦略によってPVセルがP
pv(t
1)=P
pv(t
2)を満たす場合、MPPが常に追従される。PVセルの電圧および電流のサンプリングを、t
1からt
2までPVセルの電圧が上昇するように実行することができる。
図3(b)についても同様に、PVセルの電圧および電流のサンプリングを、PVセルの電流がt
1からt
2まで増加するように実行することができる。サンプリングは、後述のとおりのタイミング回路によって制御される。
【0025】
図3(a)または(b)に示した制御部310の態様は、閉ループフィードバック制御を含んでいる。例えば、図に示されているような比例積分(PI)コントローラ371によって制御を実現することができる。上述のように、制御部のすべてまたは一部を、アナログおよび/またはデジタル(ハードウェア/ソフトウェア)プラットフォームにて実現することができる。例えば、デジタルでの実現におけるアルゴリズムが、PIコントローラを含むことができる。
図3(a)または(b)に示した態様においては、PVセルの瞬時電圧および瞬時電流がサンプリングされ、PVセルからの瞬時電力P
inが321において決定される。2つの遅延/サンプリングブロック341、361を使用して、電圧が単調に上昇する2つの切り換えの際(t
1およびt
2)に、PVセルからの瞬時電力P
inがサンプリングされる。サンプリングの時点は、タイミング回路351によって制御される。これら2つの電力の値(P
in(t
1)およびP
in(t
2))の差が、381において決定され、MPPへと向かう正しい方向を与える。すなわち、差が負である場合、PIコントローラ371は、2つの値(P
pv(t
1)およびP
pv(t
2))が等しい点へと設定点V
pvrefを増加させ、逆もまた同様である(すなわち、差が正である場合、PIコントローラ371は、2つの値(P
pv(t
1)およびP
pv(t
2))が等しい点へと設定点V
pvrefを減少させる)。目標は、この差をゼロにすることである。制御/タイミングブロック391が、変換器210のスイッチのためのゲート信号を生成する。制御/タイミングブロック391は、電力の切り離しをもたらすこともできる。設定点V
pvrefの増加または減少が、振動の可能性を最小限にし、または回避しつつ、短い時間間隔のうちに実行される。この方法が、きわめて高速な応答時間をもたらし、試行錯誤またはいかなる論理/関係演算も使用せず、したがってこれまでの方法に典型的な誤った方向へと導く結果を避けることを、理解できるであろう。
【0026】
本明細書に記載の態様が、小さなC
1の値の使用を可能にすることに、留意されたい。結果として、コンデンサの充電/放電時間が短くなることで、きわめて高速な最大電力点追従が促進される。
【0027】
図3(a)および(b)の態様を、実質的に図示のとおりに使用することができ、またはDC負荷もしくはDC配電系統において使用されるDC出力電力を生成するための他の回路とともに使用することができる。また、
図3(a)および(b)の態様を、AC負荷とともに使用され、または配電網へと注入されるAC出力電力(例えば、50または60Hz)を生成するためのインバータ回路および適切な整流/フィルタ回路などのさらなる回路(すなわち、
図1(b)の部位220、240、250、および320のうちの一つまたは複数)とともに使用することもできる。
【0028】
いくつかの場合には、PVセルの特性が、2つ以上の最大電力点を有する可能性がある。これは、本明細書に記載の電力点追従方法が、アルゴリズムの開始点に応じて局所的な最大電力点に捕捉される状況につながりかねない。そのような状況を避けるために、この方法は、MPPの範囲についてPVセルの電圧を掃引する工程、大域的な最大電力点を決定する工程、および大域的な最大電力点の可能な限り近くに開始点を設定する工程を含んでもよい。これは、MPPTアルゴリズムが常に大域的な最大電力点を追従することを保証する。PVセルの電圧範囲の掃引の間隔は、プログラム可能であってもよく、PVセル/モジュールの構成などの因子に依存してもよい。掃引をきわめて高速に実行することができ、この状況は通常は頻繁には生じないため、大域的な最大電力点の探索は、システムの全体としての効率に影響しない。このような状況が、本明細書に記載の方法に特有というわけではなく、むしろあらゆるMPPTアルゴリズムが同様の影響を被る可能性があることに触れておく価値がある。
【0029】
以下の非限定的な例が、本発明をさらに説明するために提示される。
【実施例】
【0030】
図3(a)に示したMPP追従装置およびMPPT制御の仕組みの類似のシミュレーションを、PSIM(商標)version 9(マサチューセッツ州WoburnのPowersim Inc.)においてPVセルモデルを使用して、PVセルについて実行した。照射を、階段状の変化および20Hzの正弦波状の変化を使用して変化させた。
図5(a)〜(c)が、種々の照射レベルにおけるシミュレーション結果を示している。
図5(c)から、きわめて高速に変化する照射(階段状の変化)について、誤差がきわめて低いレベルに保たれたことを見て取ることができる。これは、システムの全体としての効率を改善する。
【0031】
本明細書において言及されたすべての参考文献の内容は、参照により本明細書に明白に組み入れられる。
【0032】
均等物
当業者であれば、本明細書に記載の態様の変形例を認識でき、または突き止めることができるであろう。そのような変形例は、本発明の技術的範囲に包含され、添付の特許請求の範囲によって保護される。