(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6067555
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】窒素及び/又は酸素を含むガスを使用するアルミナイジングされた鋼部用のハイブリッド・アーク/レーザ溶接方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/348 20140101AFI20170116BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20170116BHJP
B23K 9/16 20060101ALI20170116BHJP
B23K 9/23 20060101ALI20170116BHJP
B23K 9/173 20060101ALI20170116BHJP
B23K 9/00 20060101ALI20170116BHJP
B23K 26/14 20140101ALI20170116BHJP
B23K 103/04 20060101ALN20170116BHJP
B23K 103/10 20060101ALN20170116BHJP
B23K 103/16 20060101ALN20170116BHJP
【FI】
B23K26/348
B23K26/21 N
B23K9/16 K
B23K9/16 J
B23K9/23 K
B23K9/173 A
B23K9/00 501C
B23K26/14
B23K103:04
B23K103:10
B23K103:16
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-519128(P2013-519128)
(86)(22)【出願日】2011年5月5日
(65)【公表番号】特表2013-532070(P2013-532070A)
(43)【公表日】2013年8月15日
(86)【国際出願番号】FR2011051015
(87)【国際公開番号】WO2012007663
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2014年4月14日
(31)【優先権主張番号】1055691
(32)【優先日】2010年7月13日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】ブリアン、フランシス
(72)【発明者】
【氏名】デュベ、オリビエ
【審査官】
篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−018470(JP,A)
【文献】
特開2001−340981(JP,A)
【文献】
特開2005−205497(JP,A)
【文献】
欧州特許第2593267(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/348
B23K 9/00
B23K 9/16
B23K 9/173
B23K 9/23
B23K 26/14
B23K 26/21
B23K 103/04
B23K 103/10
B23K 103/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに組み合わされる電気アークとレーザ・ビームを使用するレーザ/アークハイブリッド溶接法であって、アルミニウムを主成分とした表面被覆を含んだ少なくとも1つの鋼の部分又は部品上に溶融池が生成され、溶融金属が消費可能なワイヤを溶かすことにより提供され、さらにシールドガスが用いられ、前記シールドガスはアルゴン及びヘリウムから選ばれた少なくとも1つの主な混合物、及び、窒素と酸素から選ばれた少なくとも1つの追加混合物を1容積%から20容積%まで含むことを特徴とする、レーザ/アークハイブリッド溶接法。
【請求項2】
前記シールドガスは、前記少なくとも1つの追加混合物を2容積%から10容積%まで含んでいることを特徴とする請求項1に記載のレーザ/アークハイブリッド溶接法。
【請求項3】
前記シールドガスは、追加混合物として窒素のみを含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ/アークハイブリッド溶接法。
【請求項4】
前記シールドガスは、追加混合物として4容積%から7容積%まで窒素を含んでいることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のレーザ/アークハイブリッド溶接法。
【請求項5】
前記シールドガスはヘリウム/Ar/N2あるいはAr/N2の混合であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のレーザ/アークハイブリッド溶接法。
【請求項6】
前記鋼の部分又は部品は、アルミニウムを主成分とし、5〜100μmの間の厚さである表面被覆を含んでいることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のレーザ/アークハイブリッド溶接法。
【請求項7】
前記鋼の部分又は部品は、アルミニウム及びシリコンを主成分とした表面被覆を備えた鋼からなり、前記表面被覆がアルミニウムを70重量%以上含んでいることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のレーザ/アークハイブリッド溶接法。
【請求項8】
前記消費可能なワイヤは、アークで溶解されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のレーザ/アークハイブリッド溶接法。
【請求項9】
前記消費可能なワイヤは、炭素及び/又はマンガン(最低0.1%の炭素及び最低2%のマンガン)を含んでいることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載のレーザ/アークハイブリッド溶接法。
【請求項10】
溶接される前記部分又は部品は、テイラードブランク材、パイプ、又は、マフラーの部品であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載のレーザ/アークハイブリッド溶接法。
【請求項11】
前記部品は、I型突合せ形状で、配置され、溶接されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載のレーザ/アークハイブリッド溶接法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
その発明は、アルミニウムを主成分とした表面被覆(特にアルミニウムとシリコンの被覆)を備えた鋼部の窒素又は酸素が少ない比率で加えられたアルゴン及び/又はヘリウムから作られたシールドガスを使用したレーザ/アークハイブリッド溶接のプロセスに関する。
【0002】
軽量化が望まれる時、それらがアルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とした合金で被覆されることでアルミナイジングされたある鉄鋼、例えばUSIBOR(登録商標)鉄鋼は、熱間引抜の後に非常に高い機械的性質を持っているため、ますます自動車製造の分野の中で使用される。
【0003】
確かに、これらの鉄鋼は、熱処理され、そして熱間引抜オペレーション中に焼入れされるように設計され、そしてその結果、機械的性質により、標準高耐力鋼と比較して乗り物の重量が非常に軽くなることを可能にする。
【0004】
それらは主として、バンパー梁、ドア強化材、センターピラー、ウィンドウピラー等の製造のために用いられる。
【0005】
文献EP1878531は、レーザ/アークハイブリッド溶接法の使用によってこのタイプのアルミナイジングされた鉄鋼を溶接することを提案する。
【0006】
レーザ/アークハイブリッド溶接原理は先行技術においてよく知られている。
【0007】
しかしながら、ヘリウム/Ar混合で形成された保護雰囲気で、アルミニウム又はアルミニウム合金(特にAl/Siタイプの合金)で覆われた鋼部で、及び、920°Cの熱間引抜した後、ツール(30°C/s)中の焼入れを含む溶接後熱処理を行うハイブリッド溶接のためのオペレーションの後、ベース金属より低い抗張力を
有し、溶接部より
低い抗張力を有する相が、しばしば溶接継手に現われることが、実際上観察された。
【0008】
しかしながら、このより低い抗張力を有する相は、下に説明されるように、このように得られた溶接部の脆い領域を構成する。
【0009】
これらより多くの脆い領域がマルテンサイト領域内に表面層から始まるアルミニウムの白い相を含んでいる粒状の島の形をして現われる。
【0010】
分析後、引抜前の熱処理の間において鋼のオーステナイト変換を生じない相(すなわち、この相がデルタ・フェライトの形で残り、その結果が、マルテンサイト/ベイナイトの変換を経験した残りの部分よりも、低硬度である)が、アルミニウムの大きなパーセンテイジ(2%以上)を含むことが判った。
【0011】
しかしながら、マルテンサイト相に変化しない相は、溶接後の継ぎ手の機械的性質向上、及び、熱処理後の引抜きは、クラック、又は、溶接継手のせん断による断裂においてさえ、溶着金属に比べてアルミニウムの編入されたこれらの領域がより低抵抗であるという結果を生じるだろう。
【0012】
したがって、直面する問題は、アルミニウムを含む層で被覆された鋼部を溶接するオペレーション中に、溶接継手の機械的性質を改善するアーク/レーザハイブリッド溶接法を提案することである。
【0013】
より具体的には、その問題は、溶接部において、マルテンサイトの均質の微細構造を得ることができる、すなわち溶接継手において、熱間引抜(典型的に920℃)の後に、引抜きツールによる焼入れ(典型的に800℃と500℃との間の冷却速度30℃/sの状態)を行う。
【0014】
その発明の解決法は、互いに結合するアークとレーザ・ビームと、アルミニウムを主成分とした表面被覆を含んだ少なくとも1つの鋼部上で生成される特に1つの溶融池を用い、その溶接池は、消費可能なワイヤを溶かすことにより提供され、さらにシールドガスを用いて生成し、前記シールドガスはアルゴン及びヘリウムから選ばれた少なくとも1つの主な混合物、及び、窒素と酸素から選ばれた少なくとも1つの追加混合物を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、溶接されるべき部品の、特に端部と端部の突合せによって形成される接合部において、溶接されるべき部分又は部品の金属を融解するために、互いに組み合わされるレーザ・ビームと電気アークの同時作用の下で構成鋼を融解することによって、溶融池、続いて溶接継手が得られ、他方、追加的な溶融金属の供給が、好ましくは電気アークによって融解される消費可能なワイヤによって更に得られ、このようにして溶融金属が、組み立てられるべき部分又は部品上で形成された溶融池に蓄えられて、得られる。
【0016】
その発明によれば、前述の問題を解決するために、溶接領域、特に溶融池の保護雰囲気の1つのガス混合において、一方では、アルゴン、ヘリウムあるいはガス混合の主成分としての2つ、及び、他方では窒素又は酸素又は混合物としての2つの追加混合物として、Ar/N
2、Ar/O
2、ヘリウム/O
2、あるいはヘリウム/N
2タイプの二種混合ガス、Ar/ヘリウム/N
2あるいはAr/ヘリウム/O
2タイプの三種混合ガス、あるいはAr/ヘリウム/O
2/N
2タイプの4のガス混合などの使用がなされる。
【0017】
全ての場合に、主な混合物(つまりAr又はヘリウム)の割合あるいは主な混合物(つまりArとヘリウム)の大きさの合計は、追加混合物(つまりN
2又はO
2)の割合あるいはガス混合の中にある追加混合物(つまりN
2とO
2)の大きさの合計より大きい。
【0018】
使用することができるこれらの様々な混合ガスの中で、すなわち、下に説明されるように、それらが非常に好結果に結びつくとともに、2つの混合ガスが特に好ましい、すなわち、窒素が高々10容積%を含んでいるAr/N
2あるいはAr/ヘリウム/N
2混合物、そして窒素におよそ3%から7%が有利である。
【0019】
一般に、本発明の条件は、もし、他の方法で示されなかったならば、全てのパーセンテージ(%)は、容積(容積%)によるパーセンテージで与えられる。
【0020】
確かに、アーク/レーザハイブリッド溶接法の実行は、一方ではアルゴン及び/又はヘリウム作られたシールドガス混合物を使用し、他方では窒素及び/又は酸素を使用することで、アルミナイジングされた鋼部の組立中に、白っぽいフェライト・アイランドが無い、あるいは、実質無いマルテンサイトの微細構造の溶接継手を可能にするのは、O
2、あるいはN
2の追加が表面層から起因するアルミニウムのトラップと、アーク、及びレーザ・ビームの影響の下の前記層の融解中に解放されるためである。
【0021】
O
2又はN
2の混合物によるアルミニウムのトラッピングは、Al
2O
3かAlNタイプの混合物の形成に結びつくことで、フェライト、あるいは他の有害な金属間化合物の形成をこのように回避する。
【0022】
実際、酸化アルミニウム又は窒化物は、このように池の表面でフロートを形成し、それにより、溶融池中のアルミニウムの溶解を防いだ。
【0023】
この結果は、抑制あるいは少なくとも溶接部の中へのアルミニウムの編入のかなり大きい減少である。したがって、白っぽいデルタ・フェライト相の完全か、事実上完全な消失による抗張力の改善は、慣習的に観察された。
【0024】
その場合によれば、その発明の方法は、次の特性の1つ以上を含んでもよい:
・前記シールドガスは、前記少なくとも1つの追加混合物が1容積%から20容積%まで含んでいる。
【0025】
・前記シールドガスは、前記少なくとも1つの追加混合物が1容積%から15容積%まで含んでいる。
【0026】
・前記シールドガスは、前記少なくとも1つの追加混合物が少なくとも2容積%含んでいる。
【0027】
・前記シールドガスは、前記少なくとも1つの追加混合物が高々10容積%含んでいる。
【0028】
・前記シールドガスは、追加混合物として窒素のみを含んでいる。
【0029】
・ 前記シールドガスは、少なくとも4容積%の追加混合物として窒素を含んでいる。
【0030】
・前記シールドガスは、少なくとも5容積%の追加混合物として窒素を含んでいる。
【0031】
・前記シールドガスは、高々8容積%の追加混合物として窒素を含んでいる。
【0032】
・前記シールドガスは、高々7容積%の追加混合物として窒素を含んでいる。
【0033】
・前記シールドガスは、少なくとも5.5容積%で、かつ、高々6.5容積%を含んでいる。
【0034】
・前記シールドガスはヘリウム/Ar/N
2あるいはAr/N
2の混合である。
【0035】
・前記鋼部又は部品は、アルミニウムを主成分とし、5〜100μm、好ましくは50μm以下の間の厚さである表面被覆を含んでいる。
【0036】
被覆は、部分又は部品の少なくとも1つの表面を覆うが、好ましくは、例えば、シートの端のような、前記部分あるいは部品の端部の端の上では、アルミニウムを主成分とした被覆が無いか、若しくは実質的に存在しない。
【0037】
・前記金属部又は部品は、アルミニウム及びシリコンを主成分とした表面被覆を備えた鋼からなり、好ましくは前記表面被覆がアルミニウムを70重量%以上含んでいる
・前記金属部分又は部品は、実質的にアルミニウム及びシリコン(Al/Si)から成る表面被覆を備えた鋼からなる。
【0038】
・金属部分又は部品は、シリコンよりアルミニウムが5〜100倍の間で多い割合で、アルミニウム及びシリコンを主成分にした表面被覆を含んでおり、例えば90重量%のアルミニウム割合、及び、10重量%のシリコン割合、すなわち、表面被覆はシリコンの9倍のアルミニウムを有している。
【0039】
・金属部分又は部品は、シリコンよりアルミニウムが5〜50倍の間で多い割合で、アルミニウム及びシリコンを主成分にした表面被覆を含んでおり、特に、シリコンよりアルミニウムが5〜30倍の間で多い割合、格別には、シリコンよりアルミニウムが5〜20倍の間で多い割合を有している。
【0040】
・いくつかの部品(典型的には2つの部品)は互いに溶接される;これは、特に、形・厚さの術語において、同一又は異種の前記部品にとって可能である。
【0041】
・部品は、高度合金鋼(合金要素が5重量%超)、弱い合金鋼(合金要素が5重量%未満)あるいは純粋な鋼(例えばカーボンスチール)から形成される。
【0042】
・前記溶接ワイヤは、固体ワイヤ又はフラックス入りワイヤである。
【0043】
・前記溶接用ワイヤの直径は、0.5〜5mmの間、典型的には約0.8〜2.5mmの間である。
【0044】
・前記消費可能なワイヤは、アーク、好ましくはMIG溶接トーチによって得られたアークで溶解される。
【0045】
・前記消費可能なワイヤは、炭素及び/又はマンガン(最低0.1%の炭素及び最低2%のマンガン)を含んでいる。
【0046】
・前記溶接される部分又は部品は、テイラードブランク及びパイプから選ばれる。
【0047】
・前記溶接される部分又は部品は、マフラーの部品である。
【0048】
・前記部品は、I型突合せ形状で、位置決めされ、溶接される。
【0049】
・ アークはMIG(金属不活性ガス)タイプの溶接トーチによって生成される。
【0050】
・前記レーザビームは、レーザ生成装置又は炭酸ガス、YAG、ファイバ(特に、イッテルビウム又はエルビウムファイバ)又はディスクタイプの装置により、生成される。
【0051】
・前記レーザビームは、溶接の方向を考慮した時、前記MIGアークより先行する。
【0052】
・MIG溶接型は、短アークタイプである。
【0053】
・溶接電圧は、20V未満であり、典型的には11〜16Vである。
【0054】
・溶接強度は、200A未満であり、典型的には118〜166Aである。
【0055】
・溶接速度は、20m/分未満であり、典型的には4〜6m/分である。
【0056】
・溶接される部分又は部品は、0.8〜2.5mm、好ましくは1.8〜2.3mmの間で厚さである。
【0057】
製造される接続平面、つまり、例えば、溶接される部分又は部品の一端縁のように、溶接継ぎ目を形成するために金属を溶解する場合における位置において、厚さは考慮される。
【0058】
・溶接継手は、マルテンサイト構造を有している。
【0059】
・前記ガスの圧力は、2〜15bar(例えば約4bar)の間にある。
【0060】
・前記ガスの吐出量は、10〜40リットル/分(典型的には約25リットル/分)である。
【0061】
・前記レーザ・ビームの焦点は、溶接される部分上に、及び3〜6mmの間の範囲の中で集中する。
【0062】
・ 溶接ワイヤとレーザ・ビームの間の距離は2〜3mmでなければならない。
【0063】
・いくつかの部品(典型的には2つの部品)は、他のものと溶接される。
【0064】
・本発明の条件内で使用される混合ガスは、直接サイト上で、要求された比率で構成物質
をガス混合器を使用して混合することにより、あるいは、販売前に包装されたフォーム、すなわち、パッケージ工場で生産され、続いて輸送され、溶接ガスシリンダのように、適切なガスボンベに輸送されたものを使用する。
【0065】
その発明は、発明のアーク/レーザハイブリッド溶接法の有効性を示すために行なわれた、次の記述及び例によって、今一層よく理解されるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0066】
例
その発明によるレーザ/アークハイブリッド溶接法によれば、それぞれの比率が90重量%及び10重量%のアルミニウム/シリコン合金の約30μmの層で覆われた鋼部に、炭酸ガスタイプのレーザ源及びMIGアーク溶接トーチを使用するハイブリッド溶接を実行することで、好結果を与えた。
【0067】
溶接された部品の厚さは2.3mmである。
【0068】
実行された試験の条件内では、使用されるガス(それは25リットル/分の吐出量、及び4barの圧力で供給される)は、次の通りである:
・ テストA(比較例):70%のヘリウム及び30%のアルゴンから生成されたARCAL 37混合物、
・ テストB:6%のN
2が加えられるARCAL 37混合物。
【0069】
・ テストC:3%のO
2が加えられるARCAL 37混合物。
【0070】
A RCAL 37混合物はエアリキッド社によって販売されている。
【0071】
使用されるトーチは、直径が1.2mmであるNic 535タイプ(0.7%のC及び2%のMn)の溶接ワイヤによって供給された参照OTCのMIGトーチであり、それは3m/分の割合で供給される。
【0072】
溶接電圧はほぼ15Vである。また、強度はおよそ139Aである。それは、エア・リキッド・ウエルディング・フランスで販売された共同モード(EN131)のDigi@wave500タイプ(短いアーク/短いアーク+)のジェネレータによって得られる。
【0073】
レーザ源は12kWの出力を有する炭酸ガスレーザ発振器である。
【0074】
達成された溶接速度は4m/分である。
【0075】
溶接される部品は、Usibor 1500(登録商標)タイプのアルミナイジングされた鋼(Al/Si)からなるI型突合せ形状を配置したテイラードブランク材である。
【0076】
アルゴン/ヘリウム混合物中のN
2の存在が、シールドガス中に窒素がない試験より多くのよい結果ヘ導く兆候が得られた。
【0077】
同様に、アルゴン/ヘリウム混合物中の僅かなO
2の存在は、溶接部中のアルミニウムの存在によって引き起こされるオーステナイトの変換を抑える効果に逆らうことを可能にする。
【0078】
確かに、その発明によるAr及び/又はヘリウム、及び、N
2及び/又はO
2混合物の使用は、したがって、結果において著しい改善が観察され、その改善度は、混合物におけるN
2又はO
2の含有量に比例して増加する。
【0079】
確かに、顕微鏡写真図は、両方の場合において、白い相が完全に消え、それがARCAL 37混合の場合だけでないことを示す。
【0080】
さらに、O
2又はN
2の追加により、オーステナイト化及び焼入れ後における継ぎ目の断裂に対する抵抗は、ベース金属のそれと等価である。
【0081】
試験中に得られた結果は、アルミニウム/シリコン合金の表面層で覆われた鉄鋼の溶接の質、特に、溶着金属領域におけるマルテンサイト型の均質の微細構造、を非常に改善するのをアルゴン及び/又はヘリウムへの窒素の追加が可能にすることを示す。
【0082】
窒素分増加、但し10容積%未満の最適量において改善はさらに顕著であり、アルゴンあるいはアルゴン/ヘリウム中で窒素の約6%から7%の使用を促進するだろう。
【0083】
窒素分増加、但し10容積%未満の最適量において改善はさらに顕著であり、アルゴンあるいはアルゴン/ヘリウム中で窒素の約3%から5%の使用を促進するだろう。
【0084】
発明のプロセスは、自動車製造の分野におけるテイラードブランク、特に乗り物のためのマフラー部品の溶接、及び、パイプの溶接に特に適してい
る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]互いに結合するアークとレーザ・ビームと、アルミニウムを主成分とした表面被覆を含んだ少なくとも1つの鋼部上で生成される溶融池を用い、その溶接金属は、消費可能なワイヤを溶かすことにより提供され、さらにシールドガスを用いて生成し、前記シールドガスはアルゴン及びヘリウムから選ばれた少なくとも1つの主な混合物、及び、窒素と酸素から選ばれた少なくとも1つの追加混合物を含むことを特徴とするレーザ/アークハイブリッド溶接法。
[2]前記シールドガスは、前記少なくとも1つの追加混合物が1容積%から20容積%まで含んでいることを特徴とする[1]で請求される方法。
[3]前記シールドガスは、前記少なくとも1つの追加混合物が2容積%から10容積%まで含んでいることを特徴とする前項のいずれか1つで請求される方法。
[4]前記シールドガスは、追加混合物として窒素のみを含んでいることを特徴とする前項のいずれか1つで請求される方法。
[5]前記シールドガスは、4容積%から7容積%まで追加混合物として窒素を含んでいることを特徴とする前項のいずれか1つで請求される方法。
[6]前記シールドガスはヘリウム/Ar/N2あるいはAr/N2の混合であることを特徴とする前項のいずれか1つで請求される方法。
[7]前記鋼部又は部品は、アルミニウムを主成分とし、5〜100μm、好ましくは50μm以下の間の厚さである表面被覆を含んでいることを特徴とする前項のいずれか1つで請求される方法。
[8]前記金属部又は部分は、アルミニウム及びシリコンを主成分とした表面被覆を備えた鋼からなり、好ましくは前記表面被覆がアルミニウムを70重量%以上含んでいることを特徴とする前項のいずれか1つで請求される方法。
[9]前記消費可能なワイヤは、アーク、好ましくはMIG溶接トーチによって得られたアークで溶解されることを特徴とする前項のいずれか1つで請求される方法。
[10]前記消費可能なワイヤは、炭素及び/又はマンガン(最低0.1%の炭素及び最低2%のマンガン)を含んでいることを特徴とする前項のいずれか1つで請求される方法。
[11]前記溶接される部分又は部品は、テイラードブランク材、パイプ、又は、マフラーの部品であることを特徴とする前項のいずれか1つで請求される方法。
[12]前記部品は、I型突合せ形状で、配置され、溶接されることを特徴とする前項のいずれか1つで請求される方法。