(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、水性媒体中での化学的還元が、本発明により、優れた安定性(24ヶ月以上)を示すことができ、かつ極めて低い比電気抵抗率(例えば、2.5×10
−6Ω以下)を有する銀薄膜の生成も可能にし得る(最大で75重量%の)濃縮ナノ銀粒子分散系の工業規模の生産に最も高い可能性を有し得ることを見出した。しかし、典型的には希釈分散系として生成されたナノ銀粒子が、分散系の濃度が増大するに従い、また、洗浄および溶媒置換が行われるに従い、不都合な凝集および他の変換を経ないことを確実にするためには、種々の追加の処理工程が必要とされ得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の教示により、ナノ銀粒子の濃縮分散系であって、第1溶媒と;大部分が単結晶銀粒子であり、30〜300nmの範囲内の平均二次粒径(d
50)を有し、該溶媒中に置かれている複数のナノ銀粒子と;少なくとも1種の分散剤とを含み、該分散系中の銀粒子の濃度が、30重量%〜75重量%の範囲内であり、分散剤の濃度が、銀粒子の濃度の0.2重量%〜30重量%の範囲内である、該分散系を提供する。
【0012】
記載の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によると、分散剤濃度は、最大で20%、15%、10%、7%、5%、3%、または2%である。
【0013】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、分散系の粘度は、25℃において、2000cP、1000cP、600cP、300cP、または120cP未満であり、多くの場合において、80cP、60cP、45cP、35cP、25cP、または20cP未満である。
【0014】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、平均二次粒径は、少なくとも40nm、少なくとも50nm、少なくとも60nm、または少なくとも75nmである。
【0015】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、ナノ銀粒子の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、または少なくとも90%が単結晶銀粒子である。
【0016】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、平均二次粒径は、最大で250nm、最大で200nm、最大で150nm、最大で120nm、最大で100nm、または最大で80nmである。
【0017】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、少なくとも1種の分散剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、アラビアガム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアリルアミン(PAAm)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS)、3−(アミノプロピル)トリメトキシシラン(APS)、脂肪酸、ラウリルアミン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、およびテトラオクチルアンモニウムブロミド(TOAB)からなる分散剤の群から選択される。
【0018】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、分散剤は、PVPを含む。PVPの平均分子量は、少なくとも8,000g/モル、少なくとも10,000g/モル、10,000g/モル〜1,600,000g/モルの範囲内、または10,000g/モル〜200,000g/モルの範囲内である。
【0019】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、第1溶媒は、実質的に水からなる、または水からなる。
【0020】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、第1溶媒は、アルコールを含む。
【0021】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、分散系中の水の濃度は、25重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、7重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、または2重量%未満である。
【0022】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、第1溶媒は、少なくとも1種の揮発性有機溶媒を含む。
【0023】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、第1溶媒は、少なくとも1種の不揮発性有機溶媒を含む。
【0024】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、第1溶媒は、少なくとも1種の揮発性有機溶媒および少なくとも1種の不揮発性有機溶媒を含む。
【0025】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、第1溶媒は、水および少なくとも1種の揮発性有機溶媒を含み、ここで、揮発性有機溶媒が、第1溶媒の少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、または少なくとも90重量%を構成する。
【0026】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、銀粒子の比電気抵抗率は、標準焼結後、最大で4×10
−5Ω・cm、6×10
−6Ω・cm、最大で5×10
−6Ω・cm、最大で4×10
−6Ω・cm、最大で3.5×10
−6Ω・cm、最大で3×10
−6Ω・cm、または最大で2.5×10
−6Ω・cmである。
【0027】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、分散系は、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、または少なくとも55重量%のナノ銀粒子を含有する。
【0028】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、体積基準での粒子の少なくとも90%の二次粒径(d
90)は、最大で500nm、最大で300nm、最大で200nm、最大で150nm、最大で120nm、最大で100nm、最大で80nm、または最大で70nmである。
【0029】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、分散剤の平均分子量は、少なくとも8,000g/モル、10,000g/モル〜1,600,000g/モルの範囲内、または10,000g/モル〜200,000g/モルの範囲内である。
【0030】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、第1溶媒は、アルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アルキルアミン;エチレンジアミン、ジメチルアセトアミド、1,4−ブタンジオール、ギ酸、酢酸、グリコールまたはグリコール誘導体、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、酢酸ブチルカルビトール、およびエポキシ樹脂からなる溶媒の群から選択される少なくとも1種の溶媒を含む。
【0031】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、グリコールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、およびトリプロピレングリコールの少なくとも1種を含む。
【0032】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、グリコール誘導体は、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TP)、およびジエチレングリコールモノメチルエーテル(DGME)の少なくとも1種を含む。
【0033】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、アルコールは、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、およびテルピネオールの少なくとも1種を含む。
【0034】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、アルキルアミンは、ブチルアミンを含む。
【0035】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、分散系は、70重量%未満のナノ銀粒子を含有する。
【0036】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、本発明の分散系は:(a)第1分散剤の存在下、水性媒体において少なくとも1種の可溶性銀化合物をアルカリ金属水酸化物と反応させて、1200nm未満の平均二次粒径を有する酸化銀固体を生成する工程と;(b)第2分散剤の存在下、水性媒体において酸化銀固体を少なくとも1種の還元剤と反応させて、1000nm未満の平均二次粒径を有する銀粒子を生成する工程と;(c)ナノ銀粒子の濃度が30重量%〜75重量%の範囲内である、濃縮分散系における銀粒子を付与する工程とを含むプロセスによって生成される。
【0037】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、還元剤は、過酸化物および水素化ホウ素ナトリウムからなる群から選択される還元剤を含む、またはこれから実質的になる。
【0038】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、還元剤は、過酸化水素を含む、またはこれから実質的になる。
【0039】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、第1および第2分散剤の少なくとも一方が、PVPを含む。
【0040】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、第2分散剤は十分量で添加され、銀粒子が、最大で250nm、最大で200nm、最大で150nm、最大で100nm、または最大で80nmの平均二次粒径を有する。
【0041】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、第1分散剤は十分量で添加され、酸化銀固体が、最大で200nmの平均二次粒径を有する。
【0042】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、アルカリ金属水酸化物および可溶性銀化合物が水酸化物対可溶性銀化合物の化学量論比で反応し、アルカリ金属水酸化物および可溶性銀化合物の量が、化学量論比の最大で1.2倍、0.98倍、または0.95倍である特定の比で添加される。
【0043】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、工程(b)に続いて、銀粒子が洗浄および濃縮され、これにより水性媒体が粒子から部分的にのみ除去されて(最大で90%、最大で80%、最大で75%、または最大で70%)、濃縮物を形成する。
【0044】
本発明の別の態様によると、ナノ銀粒子の分散系を生成するための方法であって:(a)第1分散剤の存在下、水性媒体において少なくとも1種の可溶性銀化合物をアルカリ金属水酸化物と反応させて、1200nm未満の平均二次粒径を有する酸化銀固体を生成する工程と;(b)第2分散剤の存在下、水性媒体において酸化銀固体を少なくとも1種の還元剤と反応させて、300nm未満の平均二次粒径を有する銀粒子の第1分散系を生成する工程と;(c)水性媒体の少なくとも1部分を粒子から除去して分散系を生成する工程とを含む方法を提供する。
【0045】
記載の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によると、該方法は、粒子を濃縮して、第1分散系よりも濃縮された第2分散系を形成することをさらに含む。
【0046】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、第2分散系は、少なくとも10%かつ75重量%未満の濃度を有する。
【0047】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、工程(c)は、銀粒子を洗浄および濃縮することを含み、これにより、水性媒体が粒子から部分的に除去されて、銀粒子の大部分を含有する濃縮物を形成する。
【0048】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、該方法は、水性媒体の大部分を少なくとも1種の揮発性有機溶媒によって置換することをさらに含む。
【0049】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、該方法は、揮発性有機溶媒の大部分を少なくとも1種の追加の有機溶媒によって置換することをさらに含む。
【0050】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、分散系中のナノ銀粒子の濃度は、30重量%〜75重量%の範囲内である。
【0051】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、上記特性のいずれかを有する分散系は、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、または少なくとも24ヶ月間熟成されている。
【0052】
記載の好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によると、酸化銀固体の反応が第2分散剤の存在下に実施され、その過剰分が工程(c)において除去される。
【0053】
以上の議論は、添付の図(1〜6)と併せて、本発明の以下の詳細な記載からより容易に理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明のナノ銀粒子の安定な分散系およびかかる分散系を生成する本発明の方法の原理は、図および添付の記載を参照することにより、さらに理解することができる。
【0056】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、以下の詳細な説明に記載するまたは図に示す構成および構成要素の配置の詳細への適用に限定されないことが理解されよう。本発明は、他の実施形態が可能であり、または種々の方法で実施もしくは行われ得る。また、本明細書において使用されている表現および用語は、説明目的であって、限定的であるとされるべきではない。
【0057】
本発明者らは、粒子の大部分が単結晶であるナノ銀粒子を生成する方法を発見した。しかし、本発明者らは、これらのナノ銀粒子の安定な分散系の生成が、極めて複雑であり、時折直観に反することであることを見出した。安定な分散系の生成は、かかる分散系を、最終生成物の分散系において用いられ得る種々の有機溶媒において直接生成するときに特に問題であり得る。加えて、予め作製された(例えば、市販の)ナノ銀粒子からの安定な分散系の生成もまた、極めて困難で予測不可能であることも見出した。
【0058】
これらの課題にもかかわらず、本発明者らは、安定な分散系を維持しながらもかかるナノ微粒子を精製する方法を驚くべきことに発見し、これにより、単結晶ナノ銀粒子が、問題となる有機溶媒との接触またはこれとの置換の間であっても、ならびに、少なくとも30重量%の銀、より典型的には、重量基準で、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、または少なくとも55重量%の銀を有する濃縮分散系の形成の間であっても、その単結晶の性質を保持する。
【0059】
さらに、本発明の方法は、少なくとも30nm、より典型的には、少なくとも40nm、少なくとも50nm、少なくとも60nm、または少なくとも75nmの平均粒径を有する単結晶銀粒子を概ねまたは主に含有する濃縮分散系を有利に生成することができる。本発明者らは、銀粒子の単結晶化度が、焼結後、低い比電気抵抗率値を達成する際の決定的要因であると考える。本発明者らは、銀粒子の単結晶化度が、相当の凝集を経ることなく、銀ナノ粒子の高度濃縮分散系の形成を可能にするとさらに考える。
【0060】
典型的には、生成される濃縮分散系は、最大で10重量%の超微細粒子を含有する。そのため、本発明の濃縮分散系は、少なくとも20nmまたは少なくとも25nm、より典型的には、少なくとも30nm、少なくとも35nm、または少なくとも40nmのd
10を有し得る。
【0061】
他の方法に従って銀単結晶を生成することが可能であり得るが、本発明の分散系は、以下を含めたいくつかの手段の少なくとも1つにおいて区別され得る:
1.平均粒径
2.微細粒分(d
10)
3.分散系中の銀粒子の濃度
4.銀粒子中の単結晶の重量%。
【0062】
1.平均粒径
本発明の濃縮分散系において、30〜300nmの範囲内の平均二次粒径(d
50)を有するナノ銀粒子。これらの分散系は、単結晶銀粒子を概ねまたは主に含有する。
【0063】
60nmの直径を有する単結晶の生成は、10nmの直径を有する単結晶サイズの200倍を超える[(60/10)^3=216]ことが重視されなければならない。10nm〜60nmの直径を有する単結晶を溶媒中で成長させるには、10nmの単結晶を最初に形成するのに必要とされたよりも、10nmの単結晶上への過飽和銀の堆積の200倍超が必要とされる。
【0064】
結晶化プロセスにおいて、核形成および凝集を含めた競合メカニズムは、結晶成長を妨げる場合も、これより優位である場合もある。反応性析出プロセスの場合、難溶性材料などが反応性プロセスにおいて溶液から析出され、これらの競合プロセスは、特に、極めて高い全体的な過飽和レベル、およびなおより高い局所的な過飽和レベルの点において、かなり有利である場合がある。これらの競合プロセスは、固体反応体粒子の存在に起因してさらに有利である場合があり、ここで、局所的な過飽和が、なおより高い場合がり、結晶成長よりも核形成および凝集が有利である。本発明の方法において、銀粒子は、かかる反応性プロセスにおいて、溶液から析出される。したがって、概ねまたは主に単結晶銀粒子である銀粒子の生成は、少なくとも予測されていないと考えられる。30nm、典型的にはこれを超えるd
50を有する単結晶銀生成物の生成は、驚くべきことである。
【0065】
2.微細粒分(d
10)
本発明の分散系における銀粒子は、少量の微細銀粒子をさらに特徴とすることができる。Brookhaven90Plus粒径分析器を用いると、本発明の分散系は、少なくとも25nm、より典型的には少なくとも30nm、少なくとも35nm、いくつかの場合においては少なくとも40nmのd
10を示した。Brookhaven粒径分析器からのデータは、高分解走査電子顕微鏡(HRSEM)画像に基づく測定によって続いて確認した。
【0066】
したがって、本発明の分散系中の少なくとも90重量%の銀粒子は、少なくとも25〜40nmの直径を有する。
【0067】
3.分散系中の銀粒子の濃度
本発明の濃縮分散系中のナノ銀粒子の濃度は、典型的には30重量%〜75重量%の範囲内である。ナノ粒子の生成が典型的には実施され、比較的希釈された分散系が得られる。希釈分散系の構築は、洗浄、溶媒添加および/または置換などを含み得、銀ナノ粒子の凝集に主に寄与し得る。以下に記載のように、本発明プロセスにおいて、銀ナノ粒子の凝集が大きく回避される。
【0068】
4.銀粒子中の単結晶の重量%
本発明の濃縮分散系において、ナノ銀粒子は、重量基準で概ねまたは主に単結晶銀粒子であってよい。単結晶の存在を電子後方散乱回折(EBSD)によって量的に実証した。以下により詳細に記載するように、結果の定量化を、ランダムに選択した点において複数の走査を実施することによって達成した。本発明者らは、本発明分散系において、ナノ銀粒子の少なくとも50%または少なくとも70%が単結晶であり、より典型的には、少なくとも80%または少なくとも90%が単結晶であることを見出した。
【0069】
ここで図を参照すると、
図1は、本発明の一態様による、ナノ銀生成物を生成する方法の概略ブロック図である。該方法は、以下の工程を含んでよい:
工程1:第1分散剤の存在下、水性媒体において少なくとも1種の可溶性銀化合物をアルカリ金属水酸化物と反応させて、1200nm未満の平均二次粒径を有する酸化銀固体を生成する工程;
工程2:第2分散剤の存在下、水性媒体において酸化銀固体を少なくとも1種の還元剤と反応させて、500nm未満、より典型的には、300nm未満の平均二次粒径を有する銀粒子を生成する工程;
工程3:工程2の銀粒子を水による洗浄によって生成する工程において;水性媒体を粒子から部分的に除去して、銀粒子の大部分を含有する濃縮物を形成していてもよい工程;
工程4:精製された銀粒子に、少なくとも1種の揮発性有機溶媒を導入し、これによって、水性媒体の大部分を置換する工程;
工程5:揮発性有機溶媒の大部分を、少なくとも1種の、典型的には不揮発性の有機溶媒によって置換する工程。
【0070】
ナノ銀生成物を生成する本発明の方法の種々の実施形態をここでさらに詳細に記載する。
工程1
【0071】
少なくとも1種の可溶性銀化合物を水性溶媒に溶解し、第1溶液を形成する。次いでアルカリ性水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムまたはカリウム)を激しく撹拌しながら該第1溶液に添加してよい。しかし、アルカリ性水酸化物の第2溶液を調製することが有利であり得る。次いで、第2溶液を、激しく撹拌しながら分散剤の存在下に第1溶液に導入し、微細な酸化銀析出物を形成することができる。得られた分散系を好ましくは振とうし、消泡剤を添加して発泡を防止または低減させてよい。
【0072】
激しい混合を超音波浴において行ってよく、典型的には10℃〜35℃の温度範囲内に維持する。
【0073】
種々の多様な分散剤が、本発明ナノ銀生成物の性質に寄与するように用いられてよく、例として、ポリビニルピロリドン(PVP)、アラビアガム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアリルアミン(PAAm)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS)、3−(アミノプロピル)トリメトキシシラン(APS)、脂肪酸、例えばステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸など;ラウリルアミン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、テトラオクチルアンモニウムブロミド(TOAB)が挙げられる。
【0074】
PVPの使用が特に有利であることが見出された。最大で約2,000,000g/モルの平均分子量を有するPVPが用いられてよい一方で、本発明者らは、多くの場合において、PVP分子が、約8,000g/モル超の平均分子量、より典型的には、10,000g/モル〜200,000g/モルの範囲内の平均分子量が特に効果的であることを見出した。PVP対銀粒子の重量比は、工程1において、典型的には0.01〜10の範囲内、より典型的には、0.1〜5の範囲内である。
【0075】
消泡剤は、プロセス工程のいずれかにおいて発泡を制御するために必要に応じて導入されてよい。
工程2
【0076】
還元剤を、激しく混合しながら、微細な酸化銀粒子を含有する分散系に添加してよく、これにより、酸化物粒子が還元され、ナノ銀粒子を含有する第2分散系を生成する。工程2における分散剤の存在は、凝集を低減または実質的に阻害することができる。分散剤は、工程1からの先に添加された分散剤であってよく、または、工程1からの先に添加された分散剤と新たに添加された分散剤との混合物であってよい。新たに添加された分散剤は、工程1で用いた分散剤と同一であってよく、または異なる化学種であってよい。
【0077】
激しい混合を超音波浴において行ってよく、典型的には10℃〜35℃の温度範囲内に維持する。
【0078】
本発明者らは、本発明のナノ銀粒子の分散系を生成する際に、工程1において記載したような、好適な分散剤の存在下に析出される新しく析出される酸化銀固体を還元することが必須であり得ることを見出した。市販の酸化銀固体を工程2の原料として用いることにより工程1を回避する本発明者らの試みにおいて、ナノ銀粒子の分散系は、本発明の方法により得られるものとは異なる概して不利な物性を有した。本発明者らは、このことが、好適な分散剤が工程2の(市販の酸化銀固体を含有する)反応混合物に予め導入されるときであっても当てはまることを見出した。
【0079】
好ましくは、還元反応を、周囲温度範囲内(典型的には10℃〜35℃)で行い、所望のナノ銀粒子分散系を得る。しかし、還元反応温度は、得られる生成物の特性に悪影響を与えることなく約60℃まで上昇させることができる。本発明者らは、この温度範囲内では、アルコール(例えばエタノールまたはエチレングリコール)が銀イオンを銀(O)に変換することが不可能であり、その結果、還元が、単に還元剤のみによって達成されることに注目する。
【0080】
これらの還元剤として、過酸化物、アスコルビン酸、糖類、例えばグリコール、金属水素化物、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン水和物、ホルムアルデヒド、および単糖類、またはこれらの還元剤の化学族に属する還元剤を挙げることができる。過酸化水素は、その分解が水および酸素の形成を最終的に導く点においてグリーン試薬とみなされ得、好ましい過酸化物であり得る。
【0081】
本発明の方法を簡素化するために、工程1で用いた分散剤を工程2の分散剤として再利用することができる。工程1に関して先に言及した分散剤を含めたさらなる分散剤を工程2に導入してよい。
【0082】
収率および経済的考察により、工程1において反応したアルカリ水酸化物と可溶性銀塩(例えば硝酸銀)との間で少なくとも1対1の化学量論比が決定されるとみられる。このように、酸化銀中間体生成物の収率は、最も高い。しかし、驚くべきことに、本発明者らは、化学量論過剰のアルカリ水酸化物を用いることが、銀粒子の重度な凝集を最終的にもたらし得ることを発見した。実験室において、水酸化物対可溶性銀化合物の化学量論比に対して50%過剰のアルカリ性水酸化物(例えば水酸化カリウム)は、不利な銀粒子凝集をもたらした。同様の結果が、アルカリ性水酸化物対硝酸銀の化学量論比に対して20%過剰に近いアルカリ性水酸化物について得られた。
【0083】
本発明者らは、長期にわたる実験過程の後、0.8〜1.0、より典型的には、0.8〜0.98または0.8〜0.96の狭い範囲内の水酸化物対可溶性銀化合物の化学量論比で工程1を操作することが有利であることを見出した。この範囲内で、銀の収率は実際により低いが、高い質の生成物の収率が大きく増加され得る。
【0084】
工程2において、反応混合物中の銀粒子の濃度は、典型的には0.5重量%〜5重量%、より典型的には、1重量%〜3重量%である。
【0085】
水の他に、追加の溶媒を工程1および/または工程2において導入することができる。典型的には、追加の溶媒として、極性溶媒、例えば極性有機溶媒が挙げられる。追加の溶媒は、比較的揮発性であって水溶性であること、および相当量の使用分散剤を溶解することが一般に有利である。
【0086】
好ましくは、メタノール、エタノール、およびイソプロピルアルコール(IPA)のようなアルコールを極性溶媒として用いることができる。しかし、種々のグリコールなどを用いてもよい。
工程3
【0087】
典型的には、水および水性溶媒を、工程2の得られた分散系を好適な精製システムにおいて精製するのに用いてよい。水または水性溶媒の精製システムへの導入は、銀粒子の濃度を、いかなるときでも、設定値未満(90重量%未満、好ましくは80%未満、70%未満、または60%未満)に維持しながら、使用済みの水性溶液を置換するように制御される。結果として、形状を有害に変化させることなく、または銀粒子を凝集させることなく、水性溶液中の実質的に全ての塩および大部分の分散剤を除去する。
【0088】
水性溶媒は、水の他に、有機溶媒、例えば極性有機溶媒を含有していてよい。工程3において生成されるストリームは、大部分のナノ銀粒子を含有する濃縮物と、より低濃度の銀ナノ粒子を含有する、好ましくは銀ナノ粒子を実質的に含有しない比較的希釈されたストリームとを典型的には含む。工程3において、形成された銀粒子と共に存在する、実質的に全ての塩、一部の分散剤、および一部の液体を除去する。通常、塩の(銀重量基準)、分散剤の(銀重量基準)、および銀粒子の(分散系重量基準)特定の最終濃度値を設定し、これらの設定値が満たされるときに工程3の操作が終了したとみなす。
【0089】
本発明者らは、工程3が、精密濾過システム、例えば、プロセスを経済的に実行不可能にする水相中の銀粒子フラクションを失うことなく水性溶液から銀粒子を分離することが可能である少なくとも1種の膜を有する膜精製システムにおいて行われ得ることを見出した。代替的または付加的には、工程3は、少なくとも1種の遠心分離機、例えばデカンタ遠心分離機を有する遠心分離精製システムにおいて行われてよい。
【0090】
本発明に概して関連する精密濾過システムおよび方法は、Paganaらにより、Applied Pilot−Scale Studies on Ceramic Membrane Processes for the Treatment of Wastewater Streams (Global NEST Journal、Vol.8、No.1、pp23−30、2006)に開示されており、あたかも本明細書に完全に記載されているかのように、参照によりその全体が組み込まれる。
【0091】
膜精製システムの少なくとも1つの膜は、分散系中のナノ銀粒子を濾去することが可能であるべきである。この目的のために、該膜の特徴的な孔径は、ナノ銀粒子を保持するのに好適である範囲内であり得る。膜は、金属材料、セラミック材料、ポリマー材料、または当業者に公知であり得る他の材料からなっていてよい。
工程4
【0092】
揮発性有機溶媒は、工程3で利用した方法と同様の方法で、工程3で得られた精製された分散系の大部分の水性溶液を置換することができる。同じ精製システムを用いてよい。水性溶液を置換する際、銀粒子のさらなる精製が達成され、これは、種々の生成物および用途に必須であり得る。
【0093】
揮発性有機溶媒は、有利には水溶性であり得、工程3から残存する分散剤を容易に溶解することができる。種々の溶媒は、単独でまたは少なくとも1種の追加の溶媒と混合されて、プロセスの工程4の溶媒として適切であり得る。これらの溶媒として、限定されないが、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、およびブタノール、例えば1−ブタノール;アセトニトリル;ジメチルスルホキシド(DMSO);アルキルアミン、例えばブチルアミン;エチレンジアミン;ジメチルアセトアミド;1,4−ブタンジオール;ギ酸;ならびに酢酸が挙げられる。
【0094】
工程5
第2有機溶媒は、その同一性および特性が市場の要件によって決定されてよく、工程4で得られた分散系の揮発性有機溶媒の大部分、典型的には少なくとも80%、または少なくとも90%もしくは95%を置換するのに用いられ得る。溶媒の置換または置き換え方法は、工程3および/または工程4で利用した方法と同様であってよく、精製システムは、同様であっても同一であってもよい。
【0095】
しかし、第2有機溶媒は、銀粒子の濃度を特定の所望の値未満に維持するために、揮発性有機溶媒を蒸発させる蒸発システムにおいて、揮発性有機溶媒を同時添加の所望の有機溶媒で置換してもよい。典型的には、銀粒子の濃度は、最大で90%、最大で85%、または最大で80%である。
【0096】
種々の溶媒は、単独でまたは少なくとも1種の追加の溶媒と混合されて、プロセスの工程5の溶媒として適切であり得る。これらの溶媒として、限定されないが、エチレングリコールおよびその誘導体(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(DGME)、ジプロピレングリコール(DPG)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、およびトリプロピレングリコールメチルエーテル(TPM));N−メチル−2−ピロリドン(NMP);エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、およびテルピネオールを含めた種々のアルコール;酢酸ブチルカルビトール;ならびに特定のエポキシ樹脂が挙げられる。1種の適切な溶媒混合物は、TPM/NMPであり、典型的には最大で約85:15の重量比で用いられ得る。
【0097】
アセテート、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PMA)を含めた種々の溶媒は、工程5での使用にあまり好適でないまたは好適でないことが見出され、ある一定の分散剤または界面活性剤と併用したときに銀粒子の凝集を引き起こした。
【0098】
このように、工程1および2に記載のナノ銀粒子を調製することによって、工程3〜5に記載の構築手順を行うことによって、本発明のナノ銀分散系は、並外れた安定性(少なくとも9ヶ月、より典型的には、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月または少なくとも24ヶ月の持続期間が保証される)を達成することができる。本発明分散系は、ASTM手順F390−98(再承認2003)に従って測定された、非常に低い比抵抗値(最大で6×10
−6Ω・cm、最大で5×10
−6Ω・cm、最大で4×10
−6Ω・cm、最大で3.5×10
−6Ω・cm、最大で3×10
−6Ω・cm、または最大で2.5×10
−6Ω・cm)を特徴とし得る。
【0099】
本発明の別の実施形態において、本発明者らは、第1精製工程(工程3)が、ナノ分離膜を用いたナノ分離またはナノ濾過によって有利に行われ得ることを発見した。かかるプロセスは、濾液種のサイズが膜の細孔または開口部のサイズに近づくとき、過度かつ非実際的に遅い場合がある。さらに、ナノ濾過膜プロセスは、濾液種のサイズが膜開口部のサイズ以上であるとき、実質的に不可能であり得る。おそらく、かかるナノ分離プロセスの使用のさらなるより優位な阻止は、ナノセパレータ(例えばナノ膜)によって妨げられる粒子または種と、ナノセパレータを通過するとされる種との間の相対的なサイズに関連する。本発明者らは、ある一定の分散剤、例えばPVPが、細長いまたは針状の構造を有し得ることを発見した。かかる分子は特徴的な長い寸法または直径があまりに大きすぎてナノセパレータの開口部を通過できず、銀ナノ粒子自体よりもかなり大きい場合がある一方で、かかる分子の特徴的な小さな寸法または直径は、桁違いに小さい場合がある。このように、分散剤の構造は、銀ナノ粒子からの分散剤のナノ分離を有利に行うためのプロセス要件を満たすよう適合され得る。
【0100】
このように、本発明の好ましい一実施形態によると、PVP分散剤は、銀粒子に関して、および膜の開口部の特徴的な直径に関して、少なくとも1つの小さな特徴的な寸法/直径を有する。分散剤のこの小さな特徴的な寸法/直径は、好ましくは、銀粒子の平均二次粒径の半分よりも小さい。
【0101】
このように、ポリビニルピロリドンの平均分子量は、種々の好適なナノ膜を通過するために、典型的には約200,000g/モル未満の平均分子量を有するべきである一方で、ポリビニルピロリドンの平均分子量は、反応工程のいずれかまたは両方において反応性および/または相溶性の問題を回避するために、好ましくは約8,000g/モルを超えるべきである。分離効率が低減されるにも関わらず、PVPが少なくとも15,000、少なくとも20,000、または少なくとも25,000g/モルの平均分子量を有することが一般に好ましい。
【0102】
例えば極めて微細な銀粒子が生成されるまたは高い分離速度が望ましいいくつかの用途において、PVPは、好ましくは約100,000g/モル未満、より好ましくは約80,000g/モル未満の平均分子量を有するべきである。
【0103】
セラミック製ナノ濾過膜が有利に使用されてきたが、ポリマーおよび/または金属ナノ濾過膜も基本的には好適であり得る。膜システムは静的であっても動的であってもよい(例えば、分離を促進するための振動メカニズム)。
【0104】
本発明の方法と併せて使用するための典型的なセラミック製ナノ分離またはナノ濾過膜は、典型的には円筒形である1個以上の細孔を有し、長さ対幅のアスペクト比が高く、水/溶媒および微細分が通過することができる。多くの場合において、膜は、典型的には長い円筒様の形状であるが、他の幾何学的形状も実用可能である。
【0105】
本発明者らは、200nm未満の孔径を有するナノ膜が本発明のプロセスでの使用に好適であり得ることを見出した。いくつかの用途において、好ましい孔径は、150nm未満、120nm未満または100nm未満である。一般に、膜の孔径または名目上の孔径は、少なくとも20nm、多くの場合、少なくとも30〜50nmであってよく、種々の種が膜開口部を通過することを可能にし、分離速度がひどく遅くならないようにする。
【0106】
本発明の別の好ましい実施形態によると、分散剤のサイズおよび形状、ならびに膜開口部の形状およびサイズは、銀ナノ粒子が開口部を通過するように選択されてよい一方で、分散剤の開口部の通過は、妨げられ、または実質的に防止される。
【0107】
分離工程の下流では、かなり小さな膜開口部が選択されてよく、その結果、銀ナノ粒子の開口部の通過が、妨げられ、または実質的に防止される一方で、より小さな分子、例えば、水、エタノールなどが、比較的容易に開口部を通過する。本発明のこの実施形態は、銀生成物の平均粒径が特に小さい、または相当分の銀生成物が小さな平均二次粒径(例えば、30nm未満、または50nm未満)を有する用途において特に有効であり得る。
【0108】
本発明の別の好ましい実施形態において、酸化銀の形成および酸化銀の還元による銀ナノ結晶の生成は、単一のプロセス工程において実施される。しかし、具体的な条件ならびに好ましい試薬および分散剤は、二段階反応プロセスに関して先に提供したものと実質的に同様である。例として、水酸化カリウムを含有する水溶液は、激しく撹拌しながら、可溶性銀化合物、例えば硝酸銀、分散剤、例えばPVP、および還元剤、例えば過酸化水素を含有する第2水溶液に導入されてよい。この場合、銀イオンの還元は、水酸化物溶液が第2水溶液と混合するときにのみ開始する。
実施例
【0109】
先の記載と共に、以下の実施例をここで参照して、本発明を非限定的に示す。
【0110】
これらの実施例を行うのに用いた化学薬品を以下に特定する:
AgNO
3−Aldrich
AgNO
3(63.6%のAgを含有)−Saxonia(Germany)
KOH−Aldrich
過酸化水素(33%水溶液)−Makhteshim(Israel)
ポリビニルピロリドン(PVP)、MW=55,000−Aldrich
ポリビニルピロリドン(PVP)、MW=8,000−Aldrich
消泡剤Contraspum1012−Zschimmer&Schwarz(Germany)
無水エタノール−Aldrich
イソプロピルアルコール(IPA)−Aldrich
トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPM)−Aldrich
酢酸ブチルカルビトール(BCA)−Aldrich
カプリル酸−Aldrich
Epoxy XY8000−Japan Epoxy Resins Co.,Ltd(日本)。Epoxy XY8000は、CASNo.30583−72−3によって特定され得、化学名がシクロヘキサノール、4,4−(1−メチルエチリデン)ビス−、(クロロメチル)オキシランとのポリマーである。
【0111】
水溶液を、lonex水精製システム(PuriTech、Dessel、Belgium)を用い、脱イオン水を用いることによって調製した。全ての試薬および溶媒をさらに精製することなく用いた。
【0112】
実施例に関連して用いた機器を以下に特定する:
Brookhaven90Plus粒径分析器(Brookhaven Instruments Corporation、Holtsville、New York)を用いて粒径分析(d
50)を実施した。
Malvern Master Sizer2000を用いて、実施例3における粒径分析(d
50)を実施した。
HRSEM Ultra Plus Zeiss Gemini(lnlens Detector)を用いて、高分解走査電子顕微鏡(HRSEM)画像を一般的に得た。
E−SEM Quanta(商標)200(FEI、Hillsboro、Oregon)を用いて電子後方散乱回折(EBSD)パターンを得た。機器に、方位像顕微鏡(OIM)Channel5(Oxford Instruments、England)の取り付け具を備え付けた。
加熱浴(BUCHI Labortechnik AG、Flawil、Switzerland)を備え付けたR−215Rotavapor(登録商標)を用いて蒸発を実施した。
セラミック膜(JM Separations BV、The Netherlands)を含む膜システムを用いることにより、分散系の濾過を行った。
実施例1
【0113】
52gのAgNO
3および3.3gのPVP(MW=55,000)を780mlのエタノールおよび80mlの水の混合物に溶解した(溶液A)。17gのKOHを140mlの水に溶解した(溶液B)。溶液Bを超音波浴において周囲温度で激しく撹拌しながら溶液Aに注ぎ入れ、Ag
2Oのコロイド状の析出物を形成した。分散系を10分間撹拌した後、180mlのH
2O
2(33%)を約25℃〜約60℃の範囲の温度で撹拌下に分散系にゆっくりとポンピングし、銀ナノ粒子を形成した。分散系をさらに15分間撹拌し、貯蔵槽に移して、さらなる処理を待った。
【0114】
粒径分析により、約80nmの平均粒径(d
50)を得た。
実施例2
【0115】
53gのAgNO
3および54gのPVP(MW=55,000)を860mlの水に溶解した(溶液A)。5滴の消泡剤も導入した。17gのKOHを140mlの水に溶解した(溶液B)。溶液Bを周囲温度で激しく撹拌しながら溶液Aに注ぎ入れ、コロイド状のナノAg
2O析出物(60nm未満のd
50)を形成した。分散系を10分間撹拌した後、180mlのH
2O
2(33%)をインサイチュで撹拌下に分散系に直接ゆっくりポンピングし、酸化銀を銀に還元して、このとき、反応混合物を約25℃から約60℃に加熱した。分散系をさらに15分間撹拌し、貯蔵槽に移し、さらなる処理を待った。
【0116】
銀粒子の粒径分析により、約50nmの平均粒径(d
50)を得た。
実施例3
【0117】
170g/lのAgNO
3および90g/lの過酸化水素(33%)を含有する2リットルの水溶液を、56g/lの濃度を有する1リットルのKOH水溶液に強い撹拌下に滴下し、このとき、反応混合物を約25℃から約60℃に加熱した。生成した銀粒子は凝集体であった。
【0118】
粒径分析により、約1.5ミクロン(1500nm)の平均粒径(d
50)を得た。
実施例4
【0119】
56g/lの濃度を有する1リットルのKOH水溶液を、170g/lのAgNO
3、90g/lの過酸化水素(33%)および170gのPVP(W=55,000)を含有する2リットルの水溶液に強い撹拌下に滴下した。反応の間、温度は約25℃から約60℃の範囲で上昇した。分散系をさらに15分間撹拌し、貯蔵槽に移し、さらなる処理を待った。
【0120】
銀粒子の粒径分析により、約90nmの平均粒径(d
50)を得た。
実施例5
【0121】
53gのAgNO
3および100gのPVP(MW=8,000)を850mlの水に溶解した(溶液A)。5滴の消泡剤も導入した。17gのKOHを140mlの水に溶解した(溶液B)。溶液Bを激しく撹拌しながら溶液Aに注ぎ入れ、コロイド状のナノAg
2O析出物を形成した。分散系を10分間撹拌した後、180mlのH
2O
2(33%)をインサイチュで撹拌下に分散系に直接ゆっくりポンピングし、約25℃から約60℃の温度範囲で酸化銀を銀に還元した。
【0122】
生成した銀粒子は凝集体であった。
実施例6
【0123】
実施例2を繰り返したが、3倍の量を用いた。159gのAgNO
3および162gのPVP(MW=55,000)を2580mlの水に溶解した(溶液A)。15滴の消泡剤も導入した。51gのKOHを420mlの水に溶解した(溶液B)。溶液Bを激しく撹拌しながら溶液Aに注ぎ入れ、コロイド状のナノAg
2O析出物を形成した。分散系を10分間撹拌した後、540mlのH
2O
2(33%)をインサイチュで撹拌下に分散系に直接ゆっくりポンピングし、約25℃から約60℃の温度範囲で酸化銀を銀に還元した。分散系をさらに15分間撹拌し、貯蔵槽に移し、さらなる処理を待った。
【0124】
生成した銀粒子の粒径分析により、比較的狭い分布の約50nmの平均粒径(d
50)を得た。
実施例7:分散系の濃縮
【0125】
約25gのナノ銀粒子を含有する、実施例6からの1000mlの生成物分散系を、混合することなく維持されている貯蔵槽の頂部からポンピングし、大きな粒子がある場合には、確実に、貯蔵槽の底部に析出させて後の処理において回避させた。約20リットルの水を膜システムに徐々に連続的に供給することにより、同時に、同体積の使用済みの水溶液を膜システムから、銀粒子の濃度が重量基準で決して90%を超えないように(好ましくは60%未満)して徐々に連続的に引き出すことにより、膜分離システムにおいて分散系を洗浄した。膜システムは、100nmの名目上の孔径を有する分離細孔または毛細管を有するセラミック膜(J Separations BV)を含んだ。水を添加し、イオン分および分散剤が選択的に膜を通通して、分散系にナノ銀粒子を残した。
【0126】
分散系の塩が実際に排除されるまで洗浄プロセスを続け、分散剤を、予め設定した、銀粒子の重量の3%の濃度まで低減させた。
【0127】
効率的な洗浄操作を行うために、また、濃縮された分散系を得るために、膜システムへの水の供給と膜システムから流出する使用済みの水溶液との質量バランスを、この洗浄工程に沿って意図的に変化させると、得られた洗浄済みの銀分散系は重量基準で約25%の固体を含有した。洗浄済みの銀粒子の粒径分析により、約50nmの平均粒径(d
50)を得;未洗浄のナノ銀生成物と洗浄済みのナノ銀生成物との間の粒径の有意な変化は観察されなかった。
【0128】
得られたナノ粒子のHRSEM画像を
図2に提供し(機器の倍率=×100,000;画像表示倍率=×40000)、これらの銀粒子の電子後方散乱回折(EBSD)パターンを
図3に与える。これらの図により、銀粒子に関して以下の特徴が明らかとなる:
1.大部分が単結晶銀粒子である(EBSD補正により求め、典型的には、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%);
2.単結晶粒子は、三角形面、四角形面、六角形面、および七角形面を有する粒子を含む;
3.三角形面を有する単結晶粒子は、粒子数(SEM領域中の粒子の手動計数によって求めた)を基準にして少なくとも2%、少なくとも5%、典型的には、2%〜15%の銀粒子を提示する。
実施例8:揮発性有機溶媒による水の置換
(水−エタノール溶媒交換)
【0129】
実施例7と同様に調製した、約150gの銀粒子を含有する、1000mlの部分の水中銀粒子分散系を、実施例7と同じ膜分離システムを用いて500mlに濃縮した。次いで400mlのエタノールを添加し、必要体積の液体を引き出すことによって分散系を再度500mlに濃縮した。400mlのエタノールを添加し約400mlのエタノール−水混合物を引き出すこのサイクルを、エタノールの濃度が94〜95重量%(エタノール−水の共沸混合物の組成に近い)に達するまで繰り返した。得られた500mlの銀分散系は、約150gのナノ銀および約300gのエタノール−水混合物を含有した。
【0130】
水−エタノール交換後の銀分散系の粒径分析により、約80nmの平均粒径(d
50)を得た。
【0131】
得られた粒子の大部分が単結晶であった。
実施例9:揮発性有機溶媒(IPA)による水の置換
【0132】
実施例8をエタノールの代わりにイソプロピルアルコール(IPA)によって置換した。
【0133】
水−イソプロピルアルコール交換後の銀分散系の粒径分析により、約90nmの平均粒径(d
50)を得た。
【0134】
得られた粒子の大部分が単結晶であった。
実施例10:有機非揮発性溶媒による揮発性有機溶媒の置換(エタノール−TPM溶媒交換)
【0135】
約150gの銀粒子および約300gの溶媒(エタノール−水混合物)を含有する、実施例8からの銀分散系500mlを1リットルのフラスコに移した。150gのトリプロピレングリコールメチルエーテル(TPM)をフラスコに添加した(約50重量%の固体を含有する最終分散系を最終的に得るため)。フラスコをRotavapor(登録商標)装置に接続し、エタノールを真空下に蒸発させた(20mmHg;60℃;80rpm)。得られたTPM中の銀分散系は、平均粒径(d
50)が約50nmの49.5%(重量基準)の銀(ならびに微量のエタノールおよび水)を含有した。この特定の分散系は、1年を超える(2年さえも超える)持続期間を示した。さらに、乾燥および熱焼結後、ASTM標準手順F390−98に従って測定した比抵抗は、4×10
−6Ω・cm未満であり、これは、導電性インクなどの適用に優れた値であるとみられる。
【0136】
得られたナノ銀粒子を示すHRSEM画像を
図4に提供する(機器倍率=×100,000;画像表示倍率=×40000)。銀粒子の全体的な外観は、実施例7で得られた粒子と著しく変化しなかったことが明らかである。
【0137】
種々の銀粒子濃度で(金属負荷)分散系の粘度を測定した。結果を表1に付与する。
【表1】
実施例11:有機溶媒−BCAによる揮発性有機溶媒(IPA)の置換(PA−CA溶媒交換)
【0138】
約150gの銀粒子および約300gの溶媒(IPA−水混合物)を含有する、実施例9からの500mlの銀分散系を1リットルのフラスコに移した。150gの酢酸ブチルカルビトール(BCA)をフラスコに添加した(約50重量%の固体を含有する、最終的な、最終分散系を得るため)。フラスコをRotavapor(登録商標)装置に接続し、IPAを真空下に蒸発させた(20mmHg;60℃;80rpm)。得られたBCA中の銀分散系は、平均粒径(d
50)が約60nmの49.7%(重量基準)の銀(ならびに微量のエタノールおよび水)を含有した。銀分散系はIPAおよび水も含有した。
実施例12:エポキシ樹脂による揮発性有機溶媒(IPA)の置換
(IPA−エポキシ樹脂交換)
【0139】
約150gの銀粒子および約300gの溶媒(IPA−水混合物)を含有する、実施例9からの500mlの銀分散系を1リットルのフラスコに移し、15gのカプリル酸を添加した。フラスコをRotavapor(登録商標)装置に接続し、50℃、80rpmで15分間回転させた)。その後、150gのEpoxy XY8000樹脂をフラスコに添加した(約50重量%の固体を含有する、最終的な最終分散系を得るため)。Rotavaporを再活性化し(20mmHg;80℃;80rpm)、1時間後、IPA−水溶媒の大部分を蒸発させた。
【0140】
得られたエポキシ樹脂中の銀分散系は、平均粒径(d
50)が約70nmの、48%(重量基準)の銀粒子を含有した。銀分散系はIPAおよび水も含有した。
【0141】
得られた粒子の大部分が単結晶であった。
実施例13
【0142】
単結晶の存在を、電子後方散乱回折(EBSD)によって定性的に実証した。
【0143】
EBSDは、銀ナノ粒子のサンプルの表面から回折パターンを生成する。EBSDの当業者に容易に理解される手順は以下の通りである:
1.サンプルを、典型的には18mmの作動距離、20eVで走査電子顕微鏡(SEM)Quanta(商標)200を用いて走査し、回折パターンまたは画像を得る。スポットサイズは4.5であり;プローブ電流が約0.5nAであり;EBSDパターンで収集:300msec;積分:50。
2.回折画像の回折を機器のソフトウェアを用いて実施する(基本的な、銀の結晶学的データを比較);
3.回折の「解」と一致させ、結晶の方位を描写し、菊池線を格子内の適合する結晶学的平面と相関させた。菊池線と結晶学的平面(理論データによる)との間で完全一致であるとき、回折が単結晶の方位を決定する。
【0144】
ナノ銀粒子の場合、完全な溶液を常には得ることができない;溶液が全く存在しない場合がある。これは、光束が粒界にあることを示唆し得る。代替的には、光束が2個の粒の間にあるとき、完全な溶液を得ることができない。
実施例14
【0145】
実施例13の基本的な手順の後、本発明者らは、ナノ銀の各サンプル内でナノ銀単結晶の存在を定量化した。定量化を、複数(少なくとも5、好ましくは少なくとも10)の走査をランダムに選択した点において実施することによって達成した。本発明の種々の分散系を試験する際に、走査の少なくとも30%または少なくとも50%が、銀単結晶に関して実質的に完全な一致を生じる。より典型的には、走査の少なくとも80%、少なくとも90%、または実質的に100%が、銀単結晶に関して実質的に完全な一致を生じる。
【0146】
本発明者らは、走査の少なくとも30%が銀単結晶に関して実質的に完全な一致を生じるとき、(粒子の数を基準にして)ひいてはナノ銀粒子の大部分が単結晶であることを見出した。走査の少なくとも50%が銀単結晶に関して実質的に完全な一致を生じるとき、ひいてはナノ銀粒子の少なくとも60%、典型的には少なくとも70%が単結晶である。走査の少なくとも60%が銀単結晶に関して実質的に完全な一致を生じるとき、ひいてはナノ銀粒子の少なくとも70%、典型的には少なくとも80%が単結晶である。走査の少なくとも80%が銀単結晶に関して実質的に完全な一致を生じるとき、ひいてはナノ銀粒子の少なくとも90%、典型的には少なくとも95%が単結晶である。
【0147】
これらの定量的なEBSD走査方法は、理論上は、サンプルの上層または断面の定量的評価を提供することができる。しかし、実際には、この定量的評価は、特に極めて幅広い粒径分布を有さないサンプルについて、単結晶特性を有する銀粒子分をよく反映している。
実施例15
【0148】
図5は、本発明により生成したナノ銀粒子を含有するサンプルのSEM画像である。サンプル中のランダムに選択した位置を走査した。6個の位置のうち5個で、銀単結晶に関して完全な一致が得られた。
【0149】
図6は、完全一致が得られた5個の位置での3D結晶方位の5個の図示を提供する。生じた回折の各1個が異なる方位を有した。さらに、得られた方位分布は、理論的なランダムな分布に非常に近く、サンプルのナノ銀粒子において好ましい方位を示唆しなかった。
実施例16
【0150】
本発明の銀粒子分散系を比抵抗試験用に以下のように調製した:
分散系を、約3cm×3cmの寸法を有するガラス基材上に、ピペットを用いて、基材が完全に被覆されるまで滴下する。熱処理(空気中)を130℃で10分間、その後640℃で20分間行う。熱的に焼結したサンプルをオーブンから直ちに除去する。典型的には、フィルム厚は約10μmである。
【0151】
4点プローブ測定を用いて、比抵抗を得る。
実施例17
【0152】
本発明の、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPM)中の銀粒子分散系を、実施例16で提供した手順に従って、比抵抗試験用に調製した。サンプルは、約50%の金属負荷を有した。
【0153】
実施例16で提供した手順に従って求めた比抵抗は、約3.5×10
−6Ω・cmであり、バルク状の銀の比抵抗のちょうど僅かに2倍であった。
【0154】
本明細書および後に続く特許請求の範囲において用いた用語「平均二次粒径」は、酸化銀および銀粒子に関して用いており、酸化銀および銀粒子の平均直径を称し、凝集した粒子の直径を含むことを具体的に意図している。
【0155】
本明細書および後に続く特許請求の範囲において用いるとき、用語「平均直径」は、酸化銀および銀粒子に関して用いており、等価球状粒径(d
50)を称し、Stokes−Einstein方程式を用いて、Brookhaven90Plus粒径分析器(Brookhaven Instruments Corporation、Holtsville、New York)によって、または、入手不可能であるならば、5〜2000nmの範囲全体の等価球形粒径を測定するのに適した機能的に等価な粒径分析器によって算出される。
【0156】
この平均直径を求める際、粒径分析を、粒径分析器を用いて専門的かつ再生可能な方法で、粒径分析器を操作するのに馴れていて適格とされる者によって、以下の条件で実施する:
(1)固体粒子(酸化銀、銀)の代表的なサンプルを採取する;
(2)分析をそれぞれの液体中の固体粒子の分散系において実施する;
(3)分析を室温で実施する;
(4)走査角度は90度である。
【0157】
本明細書および後に続く特許請求の範囲において用いるとき、PVPとしても公知である、用語「ポリビニルピロリドン」は、以下の分子構造を有するまたは含む水溶性ポリマーを称する:
【化1】
PVPは、以下の構造
【化2】
を有するビニルピロリドンモノマーから典型的には作製される。
【0158】
PVP分散剤の市場は、他の部位にPVPを付着(例えばグラフト化)することによって生成されるポリマーを含む。本明細書および後に続く特許請求の範囲において用いるとき、用語「ポリビニルピロリドン」は、かかる分散剤を含む。
【0159】
本明細書および後に続く特許請求の範囲において用いるとき、用語「銀化合物」等は、無機銀塩、有機銀塩、または有機銀錯体を含むことを意味する。
【0160】
本明細書および後に続く特許請求の範囲において用いるとき、用語「可溶性銀化合物」等は、25℃において水またはエタノール中、少なくとも10g/lの溶解度を有する銀化合物を称する。可溶性銀化合物は、好ましくは、25℃において水またはエタノール中、少なくとも25g/lの溶解度、より好ましくは、25℃において水またはエタノール中に少なくとも50g/lの溶解度を有する。
【0161】
本明細書および後に続く特許請求の範囲において用いるとき、用語「揮発性溶媒」、例えば有機揮発性溶媒は、純粋な形態で、大気または周囲圧において105℃未満、典型的には100℃以下の沸点を有する溶媒を称する。
【0162】
本明細書および後に続く特許請求の範囲において用いるとき、用語「不揮発性溶媒」、例えば有機不揮発性溶媒は、大気または周囲圧において105℃超、典型的には110℃超の沸点を有する溶媒を称する。
【0163】
本明細書および後に続く特許請求の範囲において用いるとき、用語「単結晶」などは、銀粒子に関して、上記実施例13に記載の標準の電子後方散乱回折(EBSD)法によって決定された単結晶銀粒子を称する。サンプル内の単結晶粒子分または百分率の定量的な評価は、本明細書および後に続く特許請求の範囲において用いるとき、実施例14に記載の定量的なEBSD決定法に従って実施してよい。この定量的なEBSD走査法は、理論上は、サンプルの上層または断面の定量的評価を付与するが、この評価は、実際には、特に、極めて幅広い粒径分布を有さないサンプルについて、単結晶特性を有する銀粒子分をよく反映している。
【0164】
したがって、本明細書および後に続く特許請求の範囲において用いるとき、銀粒子に関して、用語「大部分」は、以下のうちの少なくとも1つを称する:ランダムに選択したEBSD走査の少なくとも30%が、実施例14に記載の手順に従って、銀単結晶銀に関して実質的に完全な一致、または銀粒子の数を基準にして銀粒子の50%超を生じる。
【0165】
本明細書および後に続く特許請求の範囲において用いるとき、用語「標準焼結」または「標準的な熱焼結」は、実施例16に記載の焼結手順を称する。
【0166】
明確のために別個の実施形態の文脈において記載されている本発明のある一定の特徴は、単一の実施形態と併せて提供されてもよいことが認識されよう。反対に、簡潔のために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の種々の特徴もまた、別個にまたは任意の好適な準組み合わせで提供されてよい。同様に、1個以上の特定の請求項に従属する請求項の文脈は、一般に、いずれの特定の明白な不適合もなく、他の非特定の請求項に従属していても、その文脈と組み合わされていてもよい。
【0167】
本発明をその特定の実施形態と併せて記載したが、多くの代替、変更および変形が当業者に明らかであろう。したがって、添付の請求項の精神および幅広い範囲内にある全てのかかる代替、変更および変形を包含することが意図される。米国特許第6,277,169号およびWO特許公開公報第2003/080231号を含めた、本明細書において言及した全ての公開公報、特許および特許出願は、あたかも個々の各公開公報、特許および特許出願が参照により本明細書に組み込まれると具体的かつ個々に示唆されたかのように、その全体がここで参照により本明細書に組み込まれる。加えて、本願におけるいずれの参照文献の列挙または特定も、かかる参照文献が本発明に対する先行技術として利用可能であるという承認として解釈されてはならない。