特許第6067577号(P6067577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6067577
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
   B01L 3/00 20060101AFI20170116BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20170116BHJP
   B65D 43/22 20060101ALI20170116BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   B01L3/00
   A61J1/00 315Z
   B65D43/22 A
   G01N1/10 N
【請求項の数】21
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-545059(P2013-545059)
(86)(22)【出願日】2010年12月23日
(65)【公表番号】特表2014-507256(P2014-507256A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】EP2010007907
(87)【国際公開番号】WO2012083995
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2013年9月30日
【審判番号】不服2015-18320(P2015-18320/J1)
【審判請求日】2015年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】591121683
【氏名又は名称】エッペンドルフ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Eppendorf AG
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(72)【発明者】
【氏名】レーン・ユルゲン
【合議体】
【審判長】 渡邊 豊英
【審判官】 高橋 祐介
【審判官】 蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−267756(JP,A)
【文献】 特開昭60−183362(JP,A)
【文献】 実開昭50−149402(JP,U)
【文献】 実開昭54−145502(JP,U)
【文献】 実開昭60−179608(JP,U)
【文献】 特開2010−155637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 3/00 , A61J 1/05 315Z, B65D 43/22 A, G01N 1/10 N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部において容器基部(5)を、上部において容器開口部(6)を、前記容器開口部(6)の下方で内壁状に封止領域(8)を有する管状容器(2)と、
蓋ベース(12)と前記蓋ベースの内側から突出する栓(13)とを有する蓋(11)と、
前記蓋(11)を前記容器(2)に解除可能に係止する係止手段と
を備え、
前記係止手段は、
前記容器の上縁で半径方向外側に突出する少なくとも1つのラッチ突起(9.2)と、
前記蓋ベース(12)の底面から突出する少なくとも1つの柔軟で弾力性のあるタブ(20)と、
前記タブ(20)から外側方に突出するボタン(21)とを備え、
前記栓(13)は前記容器開口部(6)を通して前記封止領域(8)における封止位置の中に挿入され、
前記係止手段において、
前記蓋ベース(12)と前記タブ(20)との接続部の縦方向に下方で前記蓋ベース(12)から離れてラッチ縁(23)が配置され、
前記タブ(20)は前記ボタン(21)の上方で、複数の平行なタブストリップ内に凹部(22)を有し、
前記凹部(22)は底部において、前記ボタン(21)の内側上縁により区切られており、前記ラッチ縁(23)を形成しており、
栓(13)が差し込まれると、前記ラッチ縁(23)が前記ラッチ突起(9.2)に到達し、前記タブ(20)が前記容器(2)の方にはねて、前記ボタン(21)の内縁が前記ラッチ突起(9.2)の下方に係合し、
下方から前記ボタン(21)を押すことで、前記タブ(20)は外向きに回動し、前記蓋ベース(12)と前記タブ(20)との接続部を中心にして円弧状に前記ラッチ縁(23)が回動することで、前記ラッチ縁(23)の前記ラッチ突起(9.2)へのラッチ係合が解除する
プラスチック製の実験用蓋付き容器。
【請求項2】
前記容器に向けて上方へ傾斜された面取り部(30)を底面に有し、前記容器の上縁で半径方向外側に突出する少なくとも1つのラッチ突起(9.2)を備え、
前記タブ(20)の前記蓋ベースへの接続部よりもさらに外側に配置された部分(31.1)を有する前記ラッチ突起(9.2)の最下部領域(32)の下に接触領域(31)が配置できるようにラッチ縁(23)を有する前記接触領域(31)が、前記蓋ベース(12)から離れて前記容器と面している側に配置され、
前記蓋ベース(12)の底面に縦方向に力が作用すると、前記接触領域(31)が前記面取り部(30)に寄りかかる
請求項1におけるプラスチック製の実験用蓋付き容器。
【請求項3】
前記蓋ベース(12)の底面から突出し、間隔を置いて配置された柔軟で弾力性のある複数のタブ(20)とを備え、
前記タブのそれぞれに、ラッチ縁(23)が前記蓋ベース(12)から離れて配置される
請求項1または2におけるプラスチック製の実験用蓋付き容器。
【請求項4】
前記ラッチ突起(9.2)が、前記容器(2)の上縁の周囲を少なくとも部分的に囲むフランジ(9.1)上に形成される
請求項1ないし請求項3のいずれかにおけるプラスチック製の実験用蓋付き容器。
【請求項5】
前記栓(13)が前記容器(2)の中へ差し込まれると前記タブ(20)が側方に次第にそれるように、前記ラッチ突起(9.2)の外側および前記タブ(20)の内側の少なくともいずれかに、前記ラッチ縁に隣接する外側および内側の少なくともいずれかの面取り部(28,24)を有する
請求項1ないし請求項4のいずれかにおける蓋付き容器。
【請求項6】
前記ラッチ突起(9.2)の上端および前記タブ(20)の下端の少なくともいずれかに放射状領域(27,25)を有する
請求項1ないし請求項5のいずれかにおける蓋付き容器。
【請求項7】
封止するために前記封止領域(8)の中へ前記栓(13)が挿入される際、横方向外側に突出し、前記ラッチ突起(9.2)を越えて放射状に延びる蓋突起(18)を前記蓋ベース(12)が有する
請求項1ないし請求項6のいずれかにおける蓋付き容器。
【請求項8】
封止するために前記栓(13)が前記封止領域の中へ挿入される際、前記蓋突起(18)が、半径方向外側に少なくとも前記ボタン(21)まで延びる
請求項1ないし請求項7のいずれかにおける蓋付き容器。
【請求項9】
前記蓋(12)と前記容器(2)との間にヒンジ(14)が配置された
請求項1ないし請求項8のいずれかにおける蓋付き容器。
【請求項10】
前記ヒンジ(14)は、容器(2)が前記蓋(11)と一体的に接続される手段を利用したストラップヒンジである
請求項1ないし請求項9のいずれかにおける蓋付き容器。
【請求項11】
前記タブ(20)において下縁の前記ラッチ縁(23)が切欠き(22)である
請求項1ないし請求項10のいずれかにおける蓋付き容器。
【請求項12】
前記タブ(20)は、前記蓋ベース(12)と上端で、前記ボタン(21)と下端で接続する2つの側部タブストリップ(20.1,20.2)を有し、
前記切欠き(22)はそれらの間にあり、
前記ボタン(21)の内側上縁が前記ラッチ縁(23.1)を形成する
請求項11における蓋付き容器。
【請求項13】
前記タブ(20)は、単一のタブストリップ(20.3)を有し、
前記タブストリップは、上端で前記蓋ベース(12)と接続し、下端で前記タブストリップ(20.3)よりも幅広な前記ボタン(21)と接続し、
前記タブストリップ(20.3)から横に突出する前記ボタン(21)の少なくとも1つの内側上縁が、前記ラッチ縁(23.2,23.3)を形成する
請求項1ないし請求項12のいずれかにおける蓋付き容器。
【請求項14】
前記蓋突起(18)において適合する蓋切欠き(26)の下方に、前記ボタン(21)が前記栓(13)の挿入方向に配置されている
請求項7における蓋付き容器。
【請求項15】
前記蓋突起(18)の幅が前記蓋突起(18)の外端に向けて減少する
請求項7または請求項14における蓋付き容器。
【請求項16】
開位置において前記ヒンジ(14)の隣に前記蓋(11)を係止する手段(15,16)を有する
請求項9における蓋付き容器。
【請求項17】
前記容器開口部(6)周辺の前記容器(2)は、前記栓(13)と下方の前記封止領域(8)のために、前記容器(2)の上縁に向けて広がる挿入領域(7)を有する
請求項1ないし請求項16のいずれかにおける蓋付き容器。
【請求項18】
前記栓(13)が中空円筒である
請求項1ないし請求項17のいずれかにおける蓋付き容器。
【請求項19】
前記栓(13)が外周上に周囲封止ビード(13.2)を有する
請求項1ないし請求項18のいずれかにおける蓋付き容器。
【請求項20】
ポリオレフィンから作り出される
請求項1ないし請求項19のいずれかにおける蓋付き容器。
【請求項21】
プラスチックから射出成形される
請求項1ないし請求項20のいずれかにおける蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実験に用いられるプラスチック製の蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したタイプの蓋付き容器は、一般的に、10分の1ミリリットル、または、10分の数ミリリットル、または、1ミリリットル、またはそれ以下の容量がある。
【0003】
既に知られている実験に用いられるプラスチック製の蓋付き容器は管状容器を有する。管状容器は底部に容器基部を、上部に容器開口部を、容器開口部の下方に、内壁上に封止領域を有する。蓋ベースと蓋ベースの内側から突出している栓とを有する蓋は、封止領域における密閉部内へ、容器開口部を介して挿入される。蓋は、容器において栓の締め付け力により密閉されて保持される。容器の中に充填された試料液が加熱されて蒸気圧が増加する用途がある。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術において、試料が蓋付き容器内で、例えば90℃以上の温度に、繰り返し加熱される。栓の締め付け力は、十分な気密性が確保され、蓋が増加した蒸気圧により解除されないようなものでなければならない。この結果、栓を有する蓋を容器内に押し込むために強い力を加えることが必要である。蓋を開けるために使用者は、蓋ベースの突出縁の下方端縁に対して堅く押圧しなければならない。
【0004】
上述したタイプの蓋付き容器がEP0841093A2およびUS5,863,791において開示され、そこにおいて、容器と蓋とが、ストラップヒンジにより回動可能な方法で一体的に互いに接続される。蓋は下方へ突出する係止フックを備える。蓋フランジから側方へ突出し、容器開口部に隣接した容器は係止カムを有し、係止カムの裏側で係止フックが閉じた位置において係合される。蓋が閉じられると、蓋フランジの弾性変形により、堅い係止フックが係止カムの裏側にはめられる。それによって、蓋が閉鎖位置において固定される。蓋を開けるために、使用者は、前記蓋フランジが上向きに曲げられるように蓋フランジを押し上げなければならない。そして、係止フックが係止カムから解除される。この目的で、係止フックと係止カムは少しの重複部分を有するだけである。例えば、容器内の内圧が上がると、少しの重複部分のために、係止フックは係止カムから不注意に解除される場合がある。蓋が開く際に、係止フックが係止カムから急に解除され、その結果、液体試料が容器から噴きだすおそれがある。
【0005】
容器開口部から約180°離れて回動した初期位置と閉鎖位置との間の中間位置において、容器開口部に蓋を安定させる支持手段を蓋付き容器は有する。
【0006】
蓋付き容器の1実施態様において、ヒンジストラップの間に、2本の平行したフォークアームが容器フランジから延びて、それらの間にヒンジストラップと平行な溝が形成される。フォークアームはラッチ縁を有する。ラッチラグが溝に向けて配置され、その先端で蓋フランジに接続され、その基部で両側にラッチ突起を有する。そのラッチ突起が蓋フランジに垂直になるようにラッチラグが指向されている。蓋が容器開口部の方向に閉じられると、ラッチラグがフォークアームの間の溝に入り、前記フォークアームをそれらのラッチ突起でわずかに離す。ラッチ突起がフォークアームのラッチ縁より下に来ると、前記フォークアームが共にわずかに締まる。それから、蓋が解除されると、ラッチ突起がラッチ縁により引きとめられ、蓋が到達された回動位置において固定される。射出成形の間、微細なフォークアームがそれらの大きさにより換気することが困難である流路端を形成することが、これの欠点である。流路端の気泡が、不完全なフォークアームの形成に至るおそれがある。しかしながら、完全なフォークアームの形成が上述した回動位置に必要である。
【0007】
さらなる実施態様において、容器フランジの面から上方へ突起したフックとして形成されるラッチラグを支持手段が備える。一端が容器フランジに、他端が蓋フランジに接続される、2本の平行なヒンジストラップの柔軟な中心部の間にラッチラグが配置されている。回動面に垂直な方向を指向するヒンジストラップの間にラッチ縁を有するラッチラグ、または、ヒンジストラップそれぞれの柔軟性により、蓋が閉じられる際に、蓋フランジは、ラッチラグの端を越えてラッチ縁が上がることができる。それから蓋が解除されると、中心部の弾性の結果、ラッチ縁によりラッチラグに対して蓋が押されて、容器が開いているこの安定した回動位置に蓋が維持される。容器を閉めるために、蓋はさらに閉鎖位置へ回動され、係止カムの後方で係止フックにより留められる。ヒンジストラップの柔軟性により中間位置に到達するのが困難であることが、これの欠点である。蓋を閉鎖位置に回動する場合、使用者は蓋フランジの外縁を上から押して、ヒンジストラップの柔軟性により蓋を下方に移動させる。この結果、ラッチ縁がラッチラグと最下点で接触するようになり、強い力を加えることにより、ラッチラッグの端を越えて押すことが可能となる。
【0008】
蓋の開位置の安定性がストラップ部の弾性によるところが両方の実施態様における欠点である。例えば、蓋の繰り返しの開閉により、または、容器を加熱または冷却それぞれにより、弾性が弱まると、蓋が予め定められた中間位置から不注意に動くおそれがあり、完全にまたは部分的に容器開口部を閉じるおそれがある。これは、蓋付き容器の充填および空にすることを害するおそれがある。
【0009】
さらなる実施態様において、2本の平行なヒンジストラップが容器フランジと蓋フランジとの間に配置され、前記ヒンジストラップの柔軟性が、回動軸の狭い定められた領域に実質的に集中する。容器フランジと蓋フランジとは、ヒンジストラップの間に配置されたさらなるヒンジストラップにより接続される。さらなるヒンジストラップは、一端に容器フランジとのジョイントを有し、他端に蓋フランジとのジョイントを有する。2つの前記ジョイントの間でヒンジストラップは比較的細い構成であり、その結果、弾性的方法により伸ばすことができる。蓋付き容器を射出成形した後に、蓋は、容器開口部から約180°後ろへ曲げられる。この初期位置において、さらなるヒンジストラップは引っ張られていない。ここで、蓋が回動軸周りで閉じられると、ジョイント間の距離が大きくなり、さらなるヒンジストラップは、回動軸に配置されるまでわずかに弾性的に引っ張られて、蓋が容器に対して回動するおそれがある。それから、蓋が閉鎖位置へとさらに回動されると、さらなるヒンジストラップが、初期の長さになるまで、再びわずかに収縮する。これは、容器開口部に対して、約90°の蓋の配置のケースである。この安定した回動位置において、蓋は、さらなるヒンジストラップにより容器に対して安定している。蓋がさらに閉じられると、さらなるヒンジストラップが外側に曲げられる。蓋が閉じると、ラッチフックはラッチカムと協同して蓋が開くのを防止する。ロック解除後に、蓋は再びその安定した回動位置、または、初期位置へと戻ることができる。
【0010】
この発明の封止カラーを容器開口部へ差し込む際に、回動軸の狭く定められられた領域のために、ヒンジストラップがいかなる補償運動もできないことが、この蓋付き容器の欠点である。この結果、蓋を閉じるのがより困難である。しかしながら、ヒンジストラップの柔軟な中央部を備える例示的実施態様において、柔軟な中央部は容器内へ封止カラーの同軸の差し込みを平易にする補償運動をすることができる。
【0011】
EP1731443A1は、レバー機構を用いて開けることができる蓋を有する反応容器が記載されている。上方からレバーを押さなければならない。したがって、例えば、完全に搭載された遠心分離機または完全に搭載された管ラックから蓋付き容器を取り出す際に、誤った操作が発生するおそれがある。さらにまた、蓋の栓が短いので、容器はわずかな蒸気密度しか有せない。栓が長くなると、容易に開けるためにレバーを長くしなければならず、これは誤った操作の危険性をさらに増加させる。
【0012】
US3,934,722は、レバー機構を用いて開けることができる、無菌の針用のパッケージが記載されている。レバーがフィルムヒンジにより容器のへりに明瞭に記載され、レバーの内側レバーアームを容器フランジに配置することができる。レバーアームの外側の底面を押すことにより、容器から蓋栓がてこで動かされる。容器内の栓の締め付け力により、蓋が閉鎖位置に固定されるだけである。レバーは容器を開けるのに使われるだけである。
【0013】
US5,270,011は、可撓性タブとロックピンを備えるロック機構により、閉鎖位置に保持するだけの蓋付きの反応容器が記載されている。可撓性タブを曲げて、ロックピンを用いてそれを留めることは難しく、概して、両手での使用を必要とする。同じことが、ロック機構を外すことにも当てはまる。
【0014】
US5,674,456は、スナップロックを用いて開閉可能な蓋を有する、医療用の試料のための実質的に矩形の容器が記載されている。ロックが蓋の前面に取り付けられている。それは、縦方向の2つのアームレバーを有し、アームレバーは蓋のへりに中央で接続している。下部のレバーアームは、蓋が閉鎖位置の際に、容器のへりの突起の下部と係合するフックを有する。上部のレバーアームは外側へ突出するボタンを備えている。ボタンが下から押されると、フックがラッチ突起の下のラッチ係合位置から持ち上げられる。ボタンが露出しているので、誤った操作が全く起こり得る。
【0015】
US6,398,067B1は、不正操作ができない蓋付き容器が記載され、上縁にて、容器は、フックを有する解除可能な突起と破壊点とを備える。突起を受けることができる第1および第2の溝を有するタブとジョイントとを蓋は備える。第2の溝はロック機構である。容器が空で封止状態のときに、突起は第1の溝に配置される。充填された封止状態では、突起は第2の溝に配置されて、不正操作ができない封止を形成するために、フックがロック機構に係止する。蓋を開けるために、使用者は、解除可能な突起がその破壊点を引きはがすために十分な力で下方からタブを押さなければならない。封止を解除するために必要な大きな力と無駄となる解除可能な突起とが不利益な点である。
【0016】
WO95/13137A1は、容器に対して蓋を回転させることにより作動する閉鎖ロックを有する蓋付き容器が記載されている。蓋付き容器を開けるために、蓋を容器に対して反対方向に回転させなければならず、そうすると、栓とともに容器から蓋が引かれる。これは両手の使用を必要とする。
【0017】
ネジ止め可能な蓋を有する公知の蓋付き容器は、しっかりと確実に封止する。しかしながら、ねじ蓋は、片手による蓋付き容器の開閉を困難にまたは不可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
この背景に対して、本発明の目的は、容易に閉鎖することができ、確実に封止し、容易に開けることができるプラスチック製の実験用蓋付き容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、請求項1の特徴を有する蓋付き容器により達成される。蓋付き容器の有益な実施態様は従属請求項に挙げられる。
【0020】
本発明によるプラスチック製実験用蓋付き容器は、
底部において容器基部を、上部において容器開口部を、前記容器開口部の下方で内壁状に封止領域を有する管状容器と、
蓋ベースと前記蓋ベースの内側から突出する栓とを有する蓋と、
前記蓋を前記容器に解除可能に係止する係止手段と
を備え、
前記係止手段は、
前記容器の上縁で半径方向外側に突出する少なくとも1つのラッチ突起と、
前記蓋ベースの底面から突出する少なくとも1つの柔軟で弾力性のあるタブと、
前記タブから外側方に突出するボタンとを備え、
前記栓は前記容器開口部を通して前記封止領域における封止位置の中に挿入され、
前記係止手段において、
前記蓋ベースと前記タブとの接続部の縦方向に下方で前記蓋ベースから離れてラッチ縁が配置され、
前記タブは前記ボタンの上方で、複数の平行なタブストリップ内に凹部を有し、
前記凹部は底部において、前記ボタンの内側上縁により区切られており、前記ラッチ縁を形成しており、
栓が差し込まれると、前記ラッチ縁が前記ラッチ突起に到達し、前記タブが前記容器の方にはねて、前記ボタンの内縁が前記ラッチ突起の下方に係合し、
下方から前記ボタンを押すことで、前記タブは外向きに回動し、前記蓋ベースと前記タブとの接続部を中心にして円弧状に前記ラッチ縁が回動することで、前記ラッチ縁の前記ラッチ突起へのラッチ係合が解除する。
【0021】
本発明による蓋付き容器は、栓を有する蓋を容器開口部へ差し込み、蓋を封止領域における封止位置に動かすことにより、従来通りの方法で閉じることができる。使用者は、このことにより、堅い蓋ベースを押圧することができる。蓋が閉じられると、可撓性タブのラッチ縁、または、隣接する輪郭が、ラッチ突起をスライドして、これにより、可撓性タブが側方へいくらかそれる。それから、ラッチ縁がラッチ突起の下縁に達して、弾性のタブによりラッチ突起の底面の下で回動する。これにより、蓋が容器に係止され、意図せずに開かれるのを防ぐために固定される。タブに柔軟性が与えられているので、ラッチを有さない従来の蓋付き容器を閉めるのよりも、蓋付き容器を閉じるのにあまり大きな力を必要としない。この目的で、蓋を閉じる際、タブが容易にそれるように、タブを特にフレキシブルに構成することができる。ラッチ縁がラッチ突起の下縁に達すると、ラッチ縁が自然とラッチ突起の下に回動することを、タブの十分な弾性が確実にする。タブの蓋ベースへの接続の縦方向下方にラッチ縁が配置されており、蓋ベースにかかる縦方向の力により引っぱられる方向にだけタブが曲げられ、ラッチ縁はラッチ突起からすべり抜けない。使用者にとって、柔軟なタブを外向きに回動することで蓋付き容器を開けることは、容易である。可撓性タブが外向きに回動すると、ラッチ縁がラッチ突起から解除される。上方に押すことで、係止されていない蓋が栓と共に容器から動かされて、容器が開けられる。
【0022】
片手だけで開閉をすることができる。大きな重複部分または封止栓と容器との間のそれぞれの締め付け力は、関係のない開き動作に対する十分な固定に必要とされない。開閉の関連するより大きな力は回避される。比較的小さい締め付け力により封止位置に栓を取り付けることができる。この締め付け力は十分な気密性を確保するために設定され得る。小さな締め付け力であるので、ラッチ係合が解除された後、蓋が突然に上方へ飛んで、液体が溢れる、または、エアゾールが放出されるということ無しに、蓋を容易に持ち上げることができる。使用者は、蓋ベースの上を押し下げることにより従来の方法で蓋付き容器を閉じ、タブを蓋に対して下方から外側に押すことにより従来のと近い方法で蓋付き容器を開けることができることは特に有益である。
【0025】
本発明による蓋付き容器は、栓を有する蓋を容器開口部へ差し込み、蓋を封止領域における封止位置に動かすことにより、従来通りの方法で閉じることができる。使用者は、このことにより、堅い蓋ベースを押圧することができる。蓋が閉じられると、可撓性タブのラッチ縁、または、隣接する輪郭が、ラッチ突起をスライドして、これにより、可撓性タブが側方へいくらかそれる。それから、ラッチ縁がラッチ突起の下縁に達して、弾性のタブによりラッチ突起の底面の下で回動する。これにより、蓋が容器に係止され、不注意に開かれるのを防ぐために固定される。タブに柔軟性が与えられているので、ラッチを有さない従来の蓋付き容器を閉めるのよりも、蓋付き容器を閉じるのにあまり大きな力を必要としない。ボタンの底面を押すことで蓋付き容器を開けることは使用者にとって容易である。これにより、可撓性タブは外向きに回動し、ラッチ縁がラッチ突起から解除される。ボタンはタブから横に突出しているので、ボタンが押されると、タブの外向きの回動動作は、特に制御される。これは、ラッチ縁がラッチ突起から突然解除されるのを防ぎ、液体試料が容器から飛び散るのを防ぐことができる。上方に押し続けることで、係止されていない蓋が栓と共に容器から動かされて、容器が開けられる。
【0026】
片手だけで開閉をすることができる。大きな重複部分または封止栓と容器との間のそれぞれの締め付け力は、関係のない開き動作に対する十分な固定に必要とされない。開閉の関連するより大きな力は回避される。比較的小さい締め付け力により封止位置に栓を取り付けることができる。この締め付け力のレベルは十分な気密性を確保するために設定され得る。小さな締め付け力であるので、ラッチ係合が解除された後、蓋が突然に上方へ飛んで、液体が溢れる、または、エアゾールが放出されるということ無しに、蓋を容易に持ち上げることができる。使用者は、蓋ベースの上を押し下げることにより従来の方法で蓋付き容器を閉じ、蓋を下方から押すことにより従来のと近い方法で蓋付き容器を開けることができることは特に有益である。これにより、使用者は蓋ベースの底面を直接押すのではなく、下に配置されたボタンを押し、このことが、ラッチ係合を解除させて蓋を持ち上げる。蓋ベースの下方にボタンを配置することで、誤った使用が防止される。
【0028】
本目的は請求項2の特徴を有する蓋付き容器によっても達成される。蓋付き容器の有益な実施態様は従属請求項に挙げられる。
【0029】
本発明によるプラスチック製実験用蓋付き容器は、
前記容器に向けて上方へ傾斜された面取り部を底面に有し、前記容器の上縁で半径方向外側に突出する少なくとも1つのラッチ突起を備え、
前記タブの前記蓋ベースへの接続よりもさらに外側には位置された部分を有する前記ラッチ突起の最下部領域の下に接触領域が配置できるようにラッチ縁を有する前記接触領域が、前記蓋ベースから離れて前記容器と面している側に配置され、前記蓋ベースの底面に縦方向に力が作用すると、前記接触領域が前記面取り部に寄りかかる。
【0030】
本発明による蓋付き容器は、栓を有する蓋を容器開口部へ差し込み、蓋を封止領域における封止位置に動かすことにより、従来通りの方法で閉じることができる。使用者は、このことにより、堅い蓋ベースを押圧することができる。蓋が閉じられると、可撓性タブのラッチ縁、または、隣接する輪郭が、ラッチ突起をスライドして、これにより、可撓性タブが側方へいくらかそれる。それから、ラッチ縁がラッチ突起の下縁に達して、弾性のタブによりラッチ突起の底面の下で回動する。タブの蓋ベースへの接続よりもさらに外側に配置された部分を有する接触領域は、これにより、ラッチ突起の最下部領域よりも下方に延びる。この部分は、個々の点、線、狭い片、または、接触領域の表面の一部でよい。これにより、蓋が容器に係止され、意図せずに開かれるのを防ぐために固定される。タブに柔軟性が与えられているので、ラッチを有さない従来の蓋付き容器を閉めるのよりも、蓋付き容器を閉じるのにあまり大きな力を必要としない。容器の内圧の増加により蓋が持ち上げられる際や、蓋ベースに縦方向に作用する力が増加する際、ラッチ突起の最下部領域が接触領域を押圧し、接触領域がラッチ突起の底面上の面取り部に寄りかかる。接触領域は、好ましくは、面取り部に対して平坦に配置されている。しかしながら、接触領域は、例えば、ラッチ縁といった単一ポイントまたは領域でのみ面取り部に対して寄りかかるようになることができる。これは、この部分がタブの蓋ベースへの接続よりもさらに外側に配置されているのと、タブの柔軟性および場合によっては接触領域によるからである。面取り部に寄りかかる接触領域の領域のために、この部分が、タブの蓋ベースへの接続の中央よりもさらに外側に配置されることで十分である。これにより、蓋は、それぞれ、容器に固定される。使用者が、容器から間隔を置いて配置された可撓性タブを外側へ押して蓋付き容器を開けることは容易である。可撓性タブが外側へ回動すると、ラッチ縁がラッチ突起から解除される。必要に応じて、前もって、使用者は、面取り部から接触領域をはずすために蓋の上側を押してもよい。上方に押すことで、ロックがかかっていない蓋が栓とともに容器の外に動かされて、容器が開く。
【0031】
片手だけで開閉をすることができる。大きな重複部分または封止栓と容器との間のそれぞれの締め付け力は、関係のない開き動作に対する十分な固定に必要とされない。開閉の関連するより大きな力は回避される。比較的小さい締め付け力により封止位置に栓を取り付けることができる。この締め付け力のレベルは十分な気密性を確保するために設定され得る。小さな締め付け力であるので、ラッチ係合が解除された後、蓋が突然に上方へ飛んで、液体が溢れる、または、エアゾールが放出されるということ無しに、蓋を容易に持ち上げることができる。使用者は、蓋ベースの上を押し下げることにより従来の方法で蓋付き容器を閉じ、タブを蓋に対して下方から外側に押すことにより従来のと近い方法で蓋付き容器を開けることができることは特に有益である。
【0032】
有益な実施態様によれば、請求項2の蓋付き容器は、請求項1の蓋付き容器の特徴を有する。
【0033】
本目的は請求項3の特徴を有する蓋付き容器によっても達成される。蓋付き容器の有益な実施態様は従属請求項に挙げられる。
【0034】
本発明によるプラスチック製実験用蓋付き容器は、
前記蓋ベースの底面から突出し、間隔を置いて配置された柔軟で弾力性のある複数のタブとを備え、前記タブのそれぞれに、ラッチ縁が前記蓋ベースから離れて配置される。
【0035】
本発明による蓋付き容器は、栓を有する蓋を容器開口部へ差し込み、蓋を封止領域における封止位置に動かすことにより、従来通りの方法で閉じることができる。使用者は、このことにより、堅い蓋ベースを押圧することができる。蓋が閉じられると、可撓性タブのラッチ縁、または、隣接する輪郭が、少なくとも1つのラッチ突起をスライドして、これにより、可撓性タブが側方へいくらかそれる。それから、ラッチ縁がラッチ突起の下縁に達して、弾性のタブによりラッチ突起の底面の下で回動する。これにより、蓋が容器に係止され、不注意に開かれるのを防ぐために固定される。タブに柔軟性が与えられているので、ラッチを有さない従来の蓋付き容器を閉めるのよりも、蓋付き容器を閉じるのにあまり大きな力を必要としない。
【0036】
蓋の複数のラッチ係合を容器に与えることで、係止力を増加することができる。容器に均一な封止が達成されることは、特に有益である。例えば、容器へのラッチ係合が1つだけの蓋は、周囲圧力に関連して容器の上昇した内圧により、ラッチから離れて持ち上げられる。このことは、特に、ラッチに加えて、フレキシブルなストラップヒンジの形のヒンジにより蓋が容器に接続されていると、ストラップヒンジがたわむので起こり得る。本発明によれば、蓋付き容器は、特に、複数のラッチを有するヒンジを備えるように構成されている。
【0037】
これは、蓋領域の大きさの拡大をもたらす。複数のラッチは特に、大容量の(10ミリリットルまたはそれ以上のような)容器の場合に特に有益である。
【0038】
さらに、本発明は、蓋と容器との間にヒンジがなく、複数のラッチにより蓋が容器に接続されている蓋付き容器に関連がある。容器に蓋を均一に密閉するために、複数のラッチは、好ましくは、蓋付き容器の外辺部の周囲に均等に配置される。
【0039】
使用者が、可撓性タブを容器から外向きの離れた方向へ押すことにより、蓋付き容器を開けることは容易である。可撓性タブが外向きへ回動すると、ラッチ縁がラッチ突起から解除される。上方へ押すことにより、ロックがかかっていない蓋が、栓と共に容器の外へ動かされて、容器が開けられる。
【0040】
片手だけで開閉をすることができる。大きな重複部分または封止栓と容器との間のそれぞれの締め付け力は、関係のない開き動作に対する十分な固定に必要とされない。開閉の関連するより大きな力は回避される。比較的小さい締め付け力により封止位置に栓を取り付けることができる。この締め付け力のレベルは十分な気密性を確保するために設定され得る。小さな締め付け力であるので、ラッチ係合が解除された後、蓋が突然に上方へ飛んで、液体が溢れる、または、エアゾールが放出されるということ無しに、蓋を容易に持ち上げることができる。
【0041】
有益な実施態様によれば、請求項3の蓋付き容器は、請求項1または請求項2の蓋付き容器の特徴を有する。
【0042】
以下の実施態様は、上述した全ての発明に全般的に適用する。
【0043】
1実施態様によれば、前記ラッチ突起が、前記容器の上縁の周囲を少なくとも部分的に囲むフランジである。容器の上縁はフランジにより安定する。フランジは、好ましくは、容器の上縁の周囲を完全に延びる。
【0044】
他の実施態様によれば、前記栓が前記容器の中へ挿入されると前記タブが側方に次第にそれるように、前記ラッチ突起の外側および前記タブの内側の少なくともいずれかに、前記ラッチ縁に隣接する外側および内側の少なくともいずれかの面取り部を有する。この結果、容器の閉鎖が単純化される。
【0045】
1実施態様によれば、前記ラッチ突起の上端および前記タブの下端の少なくともいずれかに放射状領域を有する。これにより、タブがラッチ突起に配置された際に、最初にタブをそらすのが容易になる。
【0046】
他の実施態様によれば、封止するために前記封止領域の中へ前記栓が挿入される際、横方向外側に突出し、前記ラッチ突起を越えて放射状に延びる蓋突起を前記蓋ベースが有する。蓋をつかむことにより容器が持ち上げられる際、蓋突起は、タブまたはボタンのそれぞれが不注意に動かされるのを予防している。封止するために前記栓が前記封止領域の中へ挿入される際、前記蓋突起が、好ましくは、半径方向外側に少なくとも前記ボタンまで延びる。
【0047】
1実施態様によれば、前記蓋はヒンジによって容器に接続されている。この実施態様において、蓋は着脱不可能に容器に接続されている。蓋付き容器は、容器に対して蓋を単に回動することで開閉することができる。栓は、容器開口部に特に位置合わせする必要はない。
【0048】
他の実施態様によれば、前記ヒンジは、容器が前記蓋と一体的に接続される手段を利用したストラップヒンジである。ストラップヒンジは、少なくとも部分的に柔軟性のある1つまたはそれ以上のヒンジストラップを備えてもよい。ストラップヒンジは、フィルムヒンジと類似しているが、回動方向に対して、より長い垂直な領域にわたってフレキシブルでもよい。長手方向の少なくとも1つの領域に柔軟性のある少なくとも1つのヒンジストラップを有するストラップヒンジは、補償運動ができるようになるので、円筒形容器の容器開口部への栓の挿入を単純化する。蓋に対する容器の、ストラップヒンジによる単一部片接続は、蓋付き容器が単一の射出成形工程で射出成形されるのを可能とする。1つまたはいくつかのプラスチックから複数の射出成形工程において、単一の部分として、蓋付き容器は射出成形され得る。蓋ベースは、好ましくは、容器の上縁とフィルムヒンジにより接続される。
【0049】
1実施態様によれば、前記ラッチ縁は前記タブにおける切欠きの下縁である。この構成により、蓋突起の下方に完全に配置される特に大きなボタンを備えることを容易にする。これにより、蓋付容器の使用が容易になる。このことは、それぞれを妨げることのない遠心分離機ロータ、管ラック、または、他の装置においてそれぞれの隣に配置される複数の蓋付き容器の割に十分に小さい蓋の大きさに都合がよい。あるいは、ラッチ縁は、タブの内側から容器に向けて突起する、タブのラッチ突起上に形成することができる。
【0050】
他の実施態様によれば、前記タブは、前記蓋ベースと上端で、前記ボタンと下端で接続する2つの側部タブストリップを有し、前記切欠きはそれらの間に配置されている。2つのタブストリップは、タブの高い柔軟性を確実にする。切欠きの下縁がボタンの内側上縁と同様であるように、ボタンは下端で切欠きを制限する。
【0051】
他の実施態様によれば、前記タブは、1個のタブストリップを有し、前記タブストリップは、上端で前記蓋ベースと接続し、下端で前記タブストリップよりも幅広な前記ボタンと接続し、前記タブストリップから横に突出する前記ボタンのが、前記ラッチ縁を形成する。この実施態様において、容器のラッチ突起の下方で、1個のタブストリップから横に突出する少なくとも1つの内側上縁によりボタンが、係止される。
【0052】
他の実施態様によれば、前記蓋突起において適合する蓋切欠きの下方に、前記ボタンが前記栓の挿入方向に配置されている。この実施態様により、軸方向に射出モールドの部分を離れて動かすことにより、蓋を型抜きすることができる。
【0053】
他の実施態様によれば、前記蓋突起の幅は蓋突起の外端に向けて減少する。これは、遠心分離機、管ラック、または他の装置において、それぞれに隣り合ういくつかの容器のスペースの取らない配置に都合が好い。
【0054】
他の実施態様によれば、開位置において前記蓋を係止する手段が前記ヒンジの隣にある。係止手段は、参考文献によりここに含まれるEP0841093A2およびUS5,863,791において記載されているように構成されてもよい。さらに、以下の例示的実施態様にて説明するように構成されてもよい。
【0055】
さらなる実施態様によれば、前記容器開口部周辺の前記容器は、前記栓と下方の前記封止領域のために、前記容器の上縁に向けて広がる挿入領域を有する。この結果、蓋付き容器の閉鎖が単純化される。
【0056】
さらなる実施態様によれば、栓が中空円筒である。この結果、栓は特に柔軟になり、これによって、蓋付き容器の開閉が更に単純化される。
【0057】
さらなる実施態様によれば、栓が外周上に周囲封止ビードを有する。この結果、蓋付き容器の気密性がより改良される。
【0058】
好ましい実施態様によれば、蓋付き容器は射出成形により作り出される。ヒンジの無い蓋付き容器の場合、蓋と容器とを別々に射出成形することができる。
【0059】
本発明による蓋付き容器は、1つまたは複数のプラスチック材料から作り出される。さらなる実施態様によれば、蓋付き容器の全体が、1つ以上の弾性プラスチックから作り出される。蓋付き容器が1つ以上の弾性プラスチックから作り出されると、少なくとも1つのタブが、好ましくは、蓋および容器の少なくとも1つよりもより弾力性を有する。このことにより、特に、タブ壁が蓋および容器の少なくとも1つよりも薄い場合、タブを適切な形状にすることができる。さらに、このことは、タブに対して特に弾性プラスチックを選択することにより達成することができる。蓋が開閉される際に、主に、または単独にタブが弾性的に変形するためにタブは、十分に弾力性を有するのが好ましい。
【0060】
さらなる実施態様によれば、蓋付き容器は1つまたはそれ以上のポリオレフィンから作り出される。好ましくは、蓋付き容器は、ポリプロピレンおよびポリエチレンの少なくとも1つからなる。参考文献として本願明細書に含まれているUS2003/0102323A1で記載されているように、より硬くてより柔軟な部分を備えた異なるプラスチック材料で作られた栓を有する蓋付き容器を生産することも可能である。蓋付き容器は、特に、多成分射出成形方法により作られてもよい。
【0061】
本発明は、例示的実施形態の添付の図面によって、更に説明される。図面の説明は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本発明による、閉鎖状態の蓋付き容器の側面図。
図2】閉じた前記蓋付き容器の縦断面図。
図3図3(a)は閉鎖状態の前記蓋付き容器の斜視図であり、図3(b)は図3aのbの拡大詳細図である。
図4】閉鎖状態における前記蓋付き容器の蓋ラッチの部分拡大縦断面図。
図5】閉じた前記蓋ラッチの下方から斜めに見た部分斜視図。
図6図6(a)は開状態の前記蓋付き容器の側面図であり、図6(b)はその平面図であり、図6(c)は図6(b)のcの拡大詳細図である。
図7図7(a)は開状態の前記蓋付き容器の斜視図であり、図7(b)は図7(a)のbの拡大詳細図である。
図8図8(a)は中間位置において蓋が係止された前記蓋付き容器の斜視図であり、図8(b)は図8(a)のbの拡大詳細図である。
図9図9(a)は中間位置において蓋が係止された前記蓋付き容器の側面図であり、図9(b)は図9(a)のbの拡大詳細図である。
図10】ラッチ係合過程の開始時の前記蓋ラッチの部分拡大縦断面図。
図11】ラッチ係合過程が完了する前の前記蓋ラッチの部分拡大縦断面図。
図12】開いている前記蓋ラッチの下方から斜めに見た部分斜視図。
図13】フランジを有し尖端状突起を有さないさらなる蓋付き容器の下方から斜めに見た部分斜視図。
図14】容器の内側と外側の圧力が釣り合う場合における、ラッチ突起の底面上に面取り部を有する改良された蓋付き容器の蓋ラッチの部分拡大縦断面図。
図15】内圧の方が高い場合における、同じ蓋ラッチの部分拡大縦断面図。
図16】係止状態において、ボタン上方の蓋突起の無い蓋付き容器の上側方から斜めに見た部分斜視図。
図17】前記蓋付き容器の蓋ラッチの部分拡大縦断面図。
図18】両側に単一のタブストリップとボタン突起を備える蓋ラッチを有する蓋付き容器の側面図。
図19】前記蓋付き容器の同じ側方からの部分拡大図。
図20】蓋と容器との間にボタンとヒンジを有し、複数のラッチを有する蓋付き容器の上側方から斜めに見た斜視図。
図21】前記蓋付き容器の同じ側方からの部分拡大斜視図。
図22】蓋が開いた状態でヒンジのない、かなり縮小したボタンを有し複数のラッチを有する他の蓋付き容器の上側方から斜めに見た斜視図。
図23】閉鎖状態における前記蓋付き容器の下側方から斜めに見た部分拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0063】
本出願において、「上部で」および「下部で」の用語は、「上面」および「下面」と同様に、閉じた状態における蓋付き容器の配置に関連する。管状容器は縦に配置されて容器基部が下部に配置され蓋が上部に配置される。
【0064】
図1から12における蓋付き容器1.1は、円形断面を有する管状容器2を備える。管状容器2は、上部に中空円筒部3を有し、下部に円錐部4を有する。最下部において、容器2は、カップ状底部5を有する。最上部において、容器2は容器開口部6を有する。中空円筒部3において、その下に、容器は、下方に円錐形に先細りになる挿入領域7と、その下に円筒状封止領域8とを有する。
【0065】
上縁において、容器2は、円板形状に半径方向外側に突出する周縁フランジ9.1を有する。ラッチ突起9.2がフランジ9.1に形成されている。
【0066】
容器2の外面上のフランジ9.1の下方に、一連の頂点状の突起10.1が任意に配置され、容器ホルダのへりを支持するのに有用である。
【0067】
蓋付き容器1.1は蓋11を備え、蓋11は蓋ベース12と蓋ベース12の下方から突出する栓13を有する。栓13は、中空円筒栓部13.1を有する。栓部13.1の下端において、栓は 周囲外側に突出する密閉ビード13.2を有する。
【0068】
蓋ベース12は栓13の側面全体にわたって突出する。蓋ベース12はほぼ楕円の輪郭12.1を有する。楕円輪郭12.1の長軸方向における蓋ベース12の範囲は、2本のほぼ直線状の蓋縁12.2,12.3により規定される。蓋縁12.2,12.3は楕円輪郭12.1の短軸と平行に延びる(図6b)。
【0069】
蓋ベース12の外縁部は、ストラップヒンジ14を介して容器2の上縁に接続される。ストラップヒンジ14は、長い直線の蓋縁12.2に接続される。ストラップヒンジ14は、互いに間隔を置いて配置される2個の平行なヒンジストラップ14.1,14.2を備える(図8)。ヒンジストラップ14.1,14.2は、いずれの場合においても容器2の上縁に接続される第1堅部14.11,14.21と、それに隣接して、いずれの場合においても柔軟な弾性部14.12,14.22と、それに隣接して蓋ベース12の外縁に接続される第2堅部14.13、14.23とを備える。
【0070】
ヒンジストラップ14.1,14.2は、射出成形により上記容器部分と一体的に接続されていることが好ましい。
【0071】
ヒンジストラップ14.1,14.2は、可撓部14.12,14.22と第2堅部14.13,14.2.3との間の内側にそれぞれ、軸係合手段を形成する肩15.1,15.2を有する(図6b、c)。ヒンジストラップ14.1,14.2の間に、V型ラッチ受け部16.1,16.2が、容器2の側面に突出している支持器17の両側に配置されている。V型ラッチ受け部16.1,16.2のそれぞれは、上部において開放されており、ヒンジストラップ14.1,14.2に隣接する側へも開放されている。それらは蓋11の回転経路に放射状に指向された受け部縁16.11,16.12,16.21,16.22により規制されている。(図6c,7b)。ラッチ受け部はさらに軸係合手段を構成する。
【0072】
支持器17は、容器の縁から半径方向に突出する支持部17.1を備える。支持部17.1は、上部において狭くなるか、円板形状か、または、リブ形状の支持部17.2を支持する。円板型支持部17.2は、ラッチ受け部16.1,16.2のある平坦な外面の両方に設けられている(図6)。
【0073】
フィルムヒンジ14の反対側に、蓋ベース12の一部が栓13の上で横方向に突出して蓋突起18を形成する。蓋突起18は蓋ベース12の外縁に向けて先細りになっている。蓋突起18は短い蓋直線縁12.3により規制される。ラッチ手段19が蓋突起18の下方に配置されている。
【0074】
ラッチ手段19は、蓋突起18の底面と上部において接続する可撓性タブ20を有する。タブ20は、2個の平行なタブストリップ20.1,20.2を備え、それらは互いに離れて間隔を置いて配置される。タブストリップ20.1,20.2は共に、側面の外側に突出する板状ボタン21を介して、下端において接続される。凹部22が、ボタン21の上方に、タブストリップ20.1,20.2内にある。凹部22は底部において、ボタン21の内側上縁により区切られている。この縁は、ラッチ縁23を形成する。その下に、ボタン21は、内側に面取り部24を備え、その下に放射状領域25を有する。
【0075】
図4および5に示されるように、歪んでいない状態において、ボタン21は、蓋突起18において適合またはわずかに大きな蓋凹部26の下方に配置されている。この結果、1回の射出成形過程において、蓋付き容器1.1全体の一体的な製造が、単一の型により可能となる。
【0076】
図4および5を参照すると、閉じた状態における蓋11は容器2にラッチ係合される。これは、尖端状突起10.1の無い、ラッチ突起9.2を形成する領域においてラッチ縁23がフランジ9.1の下方に係合することにより達成される。ラッチ突起9.2の上部に放射状領域27を有し、さらにその下に面取り部28を有する。
【0077】
蓋付き容器1.1は、図6および7に示されるように、開いた配置で射出成形により製造される。アンダーカットの無い形状により、蓋付き容器1.1はスライドの無い単一の射出モールドにより生産されることが可能であり、その金型部分は、型抜きするために1軸方向に沿ってのみ離れて移動するだけでよい。
【0078】
蓋11は、図6および7に示される開位置から閉鎖位置に、回転することで閉じることができる。この目的で、使用者は蓋ベース12の外面に対して押圧する。図8および9に示される中間位置において、蓋11は肩15.1,15.2をラッチ受け部16.1,16.2の中へ圧入することで固定することができる。この場合、肩15.1,15.2の側方および後方外側のずれは、肩15.1,15.2およびストリップ領域14.12,14.22の柔軟性により許容される。肩15.1,15.2がラッチ受け部16.1,16.2の領域に入るとすぐに、肩15.1,15.2およびストリップ領域14.12,14.22の弾性により、それらがラッチ受け部16.1,16.2に入る。この保持位置において、肩は、受け部縁16.11,16.21の後方で係合し、蓋11は、保持位置において、ヒンジストリップ14.1,14.2の弾性力により保持される。
【0079】
完全に閉じるために、使用者は、蓋ベース12の外面に対して再び押圧する。この結果、蓋11は保持位置からさらに回転する。
【0080】
かくして、肩15.1,15.2はラッチ受け部16.1,16.2の開口部から出てきて、受け部縁16.12,16.22と衝突しない。肩15.1,15.2が閉鎖位置へ回転し、ラッチ受け部16.1,16.2が肩15.1,15.2を確実に受ける領域に、受け部縁16.12,16.22が位置するように、受け部縁16.12,16.22は、その他の方法で配置されてもよい。この目的で、肩15.1,15.2は、蓋11を閉鎖位置へ回転するために、ラッチ受け部16.1,16.2からそれらの柔軟性を利用することで圧入されなければならない。
【0081】
蓋11は回転容器開口部6の中へ栓13を入れながら回転する。それは、拡張する挿入領域7により容易にされる。次に、密封ビード13.2が封止領域8の中へ挿入される。かくして、その放射状領域25を有するボタン21は、図10に示されるように、ラッチ突起9.2の放射状領域27と接触する。蓋11がさらに閉まるように押されると、タブ20が側方外側にそれる。タブ20およびボタン21の面取り部24、28およびラッチ突起9.2の柔軟性により、これは、少し強くした力で十分である。ラッチ縁23がラッチ突起9.2のラッチ縁29へ到達すると(図11参照)、タブ20が容器2の方にはねて、ボタン21の内縁がラッチ突起9.2の下方に係合する(図4、5)。この結果、ラッチ係合が完全となり、蓋11が容器2上に固定される。
【0082】
蓋11を開けるために、使用者は下方からボタン21に対して押圧し、その結果、図11および12に示されるように、前記ボタンが側方にそれる。ボタン21を押すことで、蓋11は容器開口部6から栓13と共に移動して開けられる。開位置において、肩15.1,15.2がラッチ受け部16.1,16.2に係合することで、蓋11は安全に固定される(図8、9)。
【0083】
図13における蓋付き容器1.2は、フランジ9.1の底部が尖端状突起10.1により固定されるのではなく、ラッチ突起9.2の領域だけ中断した、単一の部分的周囲ビード状突起10.2による点で、1.1より上で記載されたものと異なる。
【0084】
図14におけるラッチ係合は上述された蓋ラッチ係合と、ラッチ突起9.2が底面に面取り部30を有する点で異なる。面取り部30は、容器2に対して上方へ傾斜する。
【0085】
閉鎖状態において、ラッチ縁23から少し離れた部分31.1を有するボタン21の上面の接触領域が、ラッチ突起9.2の最底領域32に割り当てられ、または、載置される。このことが、図14に示されている。容器2に関して、部分31.1は、タブ20.1,20.2の蓋ベース12への接続よりもさらに外側に配置されている。容器2に関して、タブ20.1,20.2の蓋ベース12への接続の中央よりもさらに外側に部分31.1が配置されれば、十分である。図14は、このことを、容器内部の圧力が周囲圧力に対応する状況において示している。
【0086】
図15は、容器2内部の圧力が周囲圧力よりも高い状況における蓋付き容器1.3を示す。増大した内圧または蓋ベース12の外側から及ぶ力により、蓋11が上方へ押される。部分31.1がタブ20.1,20.2の接続よりもさらに外側に位置するので、曲げモーメントがボタン21に作用する。そうすると、その接触領域31が面取り部30に対して平坦な状態となる。これは、ボタン31がラッチ突起9.2から抜けるのを防止し、さらに、容器2上の蓋11をしっかり固定する。この実施例において、容器内で増大した圧力または縦方向に作用する力は、容器2に蓋11をラッチ係合するのを補助する。
【0087】
図16および17における蓋付き容器1.4は、図1−12における蓋付き容器1.1と、蓋突起18を有しない点で異なる。この構造の効果は、材料および設備の費用を削減するので、製造がより経済的である。
【0088】
図1から12における蓋付き容器1.1とは対照的に、図17および18における蓋付き容器1.5は、下端において板状ボタン21と接続する1個のタブストリップ20.3を有するだけである。ボタン21はタブストリップ20.3よりも幅広で、タブストリップ20.3の両側から突出している。ボタン21の内側、上縁はラッチ縁23.2,23.3を形成する。その下で、ボタン21は、内側に面取り部24.2,24.3を、下方に放射状領域25.2,25.3を有する。ラッチ縁22.2,22.3は、ラッチ突起9.3の底面に係止される。ラッチ縁23.2,23.3がラッチ突起9.3の下で係合する際、タブストリップ20.3が係合するタブストリップにあてがわれた縦方向の切欠き9.4を、ラッチ突起9.3は有する。
【0089】
図20および21における蓋付き容器1.6は、外縁周囲に均一に配置される3個の蓋ラッチ9.2,19を有する。前記蓋ラッチはそれぞれ、図1から12の蓋付き容器のふたラッチ9.2,19にしたがって形成される。蓋11と容器2との間にヒンジがある。
【0090】
蓋11は、3個の蓋ラッチ9.2,19により均一に容器2にラッチ係合することができる。これは、不注意に容器が開くことに対しての予防となり、封止を増強する。これは、比較的大きい直径を有する(例えば10ミリリットルおよびそれ以上の容積を有する)蓋付き容器に、特に当てはまる。
【0091】
蓋11は、全てのラッチがラッチ係合されるまで容器2上にそれを縦方向に押圧することで閉じる。開けるために、全てのボタン21を同時に動かすことができる、または、第1第2ボタン21それから他のボタン21,または、ボタン21を順次動かして、容器2のフランジ9.1上のラッチ突起9.2から蓋11を段階的に解除することができる。
【0092】
図22および23は、上述した構造よりも目立たなくしたボタン21.2を有する蓋付き容器1.7を示す。適用できる場合、ボタン21.2は、親指により動かすことができる。この蓋付き容器1.7により、同様に、上方へ押すことで容器2から蓋11を解除することができる。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a-9b】
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23