(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6067581
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】メータネットワークのためのマルチバンドチャネル容量
(51)【国際特許分類】
H04W 72/08 20090101AFI20170116BHJP
H04W 4/04 20090101ALI20170116BHJP
【FI】
H04W72/08
H04W4/04 190
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-546375(P2013-546375)
(86)(22)【出願日】2011年12月21日
(65)【公表番号】特表2014-500693(P2014-500693A)
(43)【公表日】2014年1月9日
(86)【国際出願番号】US2011066518
(87)【国際公開番号】WO2012088284
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年12月19日
(31)【優先権主張番号】61/426,746
(32)【優先日】2010年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512311982
【氏名又は名称】センサス ユーエスエー インク.
【氏名又は名称原語表記】SENSUS USA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100091410
【弁理士】
【氏名又は名称】澁谷 啓朗
(72)【発明者】
【氏名】サンダーフォード, エイチ., ブリトン
【審査官】
鬼塚 由佳
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−035068(JP,A)
【文献】
特開2004−040643(JP,A)
【文献】
特開2008−066778(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/018462(WO,A1)
【文献】
特開2000−101578(JP,A)
【文献】
特開2008−141654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがバックエンドサーバと通信する複数のゲートウェイを含む通信システムで、複数のメータのそれぞれに対して通信チャネルを選択する方法であって、
最初の通信チャネルから最後の通信チャネルまで転送又は伝送速度が増加していくとともに、メッセージデュレーションが短くなっていく複数の通信チャネルを連続的に変化するように(in a continuous sequence)設けるステップと、
最初に前記複数のメータのそれぞれにデフォルトの通信チャネルを割り当てるステップと、
前記メータのそれぞれからの複数のメッセージを前記デフォルトの通信チャネルを用いて送信する(relaying)ステップと、
前記複数のメータのそれぞれに対して、ゲートウェイそれぞれで受信されたメッセージの信号対ノイズ比を測定するステップと、
前記メータによって送信された複数のメッセージの、いずれかのゲートウェイでの最も高い信号対ノイズ比に基づいて変調速度及びメッセージデュレーションを最適化するために、メータそれぞれに対して複数の通信チャネルの1つを選択するステップと、
前記複数のメータそれぞれに選択された通信チャネルを割り当てるステップと、を備え、
前記デフォルトの通信チャネルは前記複数のメータのすべてに対して同一である、ことを特徴とする通信チャネルを選択する方法。
【請求項2】
それぞれがバックエンドサーバと通信する複数のゲートウェイを含む通信システムで、複数のメータのそれぞれに対して通信チャネルを選択する方法であって、
最初の通信チャネルから最後の通信チャネルまで転送又は伝送速度が増加していくとともに、メッセージデュレーションが短くなっていく複数の通信チャネルを連続的に変化するように(in a continuous sequence)設けるステップと、
最初に前記複数のメータのそれぞれにデフォルトの通信チャネルを割り当てるステップと、
前記メータのそれぞれからの複数のメッセージを前記デフォルトの通信チャネルを用いて送信する(relaying)ステップと、
前記複数のメータのそれぞれに対して、複数の前記ゲートウェイそれぞれで受信されたメッセージの信号対ノイズ比を測定するステップと、
前記メータによって送信された複数のメッセージに対して最も高い信号対ノイズ比を有するゲートウェイを選択するステップと、
選択された前記ゲートウェイで信号対ノイズ比に基づいて変調速度及びメッセージデュレーションを最適化するために、メータそれぞれに対して複数の通信チャネルの1つを選択するステップと、
前記複数のメータそれぞれに選択された通信チャネルを割り当てるステップと、を備え、
前記デフォルトの通信チャネルは前記複数のメータのすべてに対して同一である、ことを特徴とする通信チャネルを選択する方法。
【請求項3】
前記デフォルトの通信チャネルは、デフォルトの変調速度とデフォルトのメッセージデュレーションを有している、ことを特徴とする請求項1又は2の方法。
【請求項4】
前記複数の通信チャネルからの1つの選択は転送又は伝送速度が最大でメッセージデュレーションが最小となるように行なわれる、ことを特徴とする請求項1、2又は3の方法。
【請求項5】
前記メータの少なくとも1つによって送信されたメッセージを受信し、受信したメッセージを前記ゲートウェイの少なくとも1つに中継するよう動作可能な、少なくとも1つの中間メータをさらに備える、ことを特徴とする請求項1、2、3又は4の方法。
【請求項6】
割り当てられるチャネル数が3つになるようにトライバンド(tri−band)でのオペレーションが使用され、第1のチャネルは最適なリンクマージンのゲートウェイに対する信号対ノイズ比(SNR)が低いエンドポイントにのみ割り当てられ、第2のチャネルは最適なリンクマージンのゲートウェイに対するSNRが中くらいのエンドポイントにのみ割り当てられ、また、第3のチャネルは最適なリンクマージンのゲートウェイに対するSNRが高いエンドポイントにのみ割り当てられる、ことを特徴とする請求項1又は2の方法。
【請求項7】
前記第1、第2及び第3のSNRのチャネルは、トラフィックが均等になるように、トラフィックの全体のオンタイム又はデューティサイクルを正規化する方法で、エンドポイントトラフィックに割り当てられる、ことを特徴とする請求項6の方法。
【請求項8】
前記第1、第2及び第3のSNRのチャネルは、時間単位あたりより多くのメッセージを処理することができるので、トラフィックがSNRの高いチャネルで最大になるように、トラフィックの全体のオンタイム又はデューティサイクルを正規化する方法で、エンドポイントトラフィックに割り当てられる、ことを特徴とする請求項6の方法。
【請求項9】
前記複数のメータそれぞれから前記選択された通信チャネルを介して1つ以上のゲートウェイに複数のメッセージを送信するステップと、
前記複数のゲートウェイそれぞれが受信したメッセージの信号対ノイズ比を計測し、前記複数のゲートウェイによって受信された前記メッセージのこの信号対ノイズ比が増加又は減少すると、そのメータに前記複数の通信チャネルのうちの別の1つの通信チャネルを選択するステップと、をさらに備えている、ことを特徴とする請求項1又は2の方法。
【請求項10】
前記複数の通信チャネルの少なくとも1つは優先チャネルとして設けられ、前記複数のメータそれぞれは、このメータに割り当てられた通信チャネルに加えてこの優先チャネルで選択的に通信する、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかの方法。
【請求項11】
前記複数の通信チャネルに連続して優先チャネルが設けられ、前記複数のメータそれぞれは、このメータに割り当てられた通信チャネルに加えてこの優先チャネルで選択的に通信する、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかの方法。
【請求項12】
前記優先チャネルは、警告サブチャネルと応答サブチャネルの両方を備えている、ことを特徴とする請求項10又は11の方法。
【請求項13】
警告メッセージは前記警告サブチャネルを介して前記複数のメータそれぞれに送信され
(relayed)、応答は前記応答サブチャネルを介して前記複数のメータそれぞれから通信される、ことを特徴とする請求項12の方法。
【請求項14】
前記複数のメータは、信号対ノイズ比が同じようなメータが同じ通信チャネルに割り当てられるように、前記複数の通信チャネルそれぞれに分配される、ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかの方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願についてのクロスリファレンス)
本出願は、2010年12月23日に出願された米国仮特許出願第61/426,746号に基づくものであり、その優先権を主張する。
【0002】
(発明の背景)
本開示は概略的には、複数のフィールドエンドポイント(ユーティリティのメータの場合もある)と、中央に配置されたネットワーク制御装置とのさらなる通信を行う固定ロケーション(fixed location)のゲートウェイのネットワークと、の間のデータメッセージの無線通信を制御する方法に関する。より具体的には、本開示は、メッセージ送信の全有効容量を増やすために、複数のエンドポイントそれぞれによる通信チャネルの使用を最適化し、また、ゲートウェイとエンドポイントの直接通信を増やしてシングルティアの通信を可能にするために必要な方法に関する。
【0003】
現在、電気、ガス及び水道メータ等のメータが中間ゲートウェイを介してバックエンドサーバに消費情報を伝送できる自動検針(AMR)システムが開発されている。典型的には、中間ゲートウェイはRF通信を使い多数のメータと通信し、インターネット等の公衆通信回線で受信したデータを再送信する。米国センサスが提供しているFlexNet(R)AMIシステムのようなこうしたシステムは、中央の遠隔地でメータのデータを取得及び処理するのに効果的であることが判明しているが、このようなシステムの一般的な普及は、AMIやスマートグリッドシステムに対する需要を高めている。一例として、200のゲートウェイと数百万の個別のメータを含むシステムでは、メータとゲートウェイの間で通信が行われることによって、1時間当たり総計百万超えのメッセージがゲートウェイによって受信されるという実施結果となった。利用(applications)の拡大により、将来的にはスマートグリッドシステムは1日あたり10億超えのメッセージをやり取りすると予想される。このようにメータとゲートウェイ間でますます大量の通信が行われるので、通信システム内のさまざまな機器間の通信を向上させるために、使用可能な帯域幅をより効率的に使う技術が求められている。さらに、グリッドを保護し自動的に故障状態に応答するためにリアルタイム制御が求められているので、応答待ち時間(response time latency)を最小にすることも重要である。これには、データをハンドオフしなければならないノードの数を減らすことが一番である。ハンドオフでは、ハンドオフごとに、ノードがメッセージを受信し、このメッセージを復調し、エラーの修正と、場合によってはデータの暗号解読とを行い、メッセージを再パッケージし、送信ハードウェアを作動させてメッセージを再送信しなくてはならず、各工程で処理時間がかかる。メッシュ構造のシステムはノード間のデータの多数のハンドオフを利用しているが、本開示の目的は、ハンドオフの数を最小に抑えて待ち時間を改善することである。最小のティアの数(minimal number of tiers)は1つであることが知られている。したがって、本開示の目的はシングルコミュニケーションティアで信頼できるオペレーションを提供することである。
【0004】
現在、ネットワークシステムにメータが設置されると、個々のメータには、メータとそのメータと物理的に近いゲートウェイそれぞれの間で行われる通信の通信チャネルが割り当てられる。オペレータがこのようなシステムを設定するとき、それぞれのメータには通信が行われる特定のチャネルが割り当てられる。熟練者はメータとゲートウェイの近さ、あるいはメータと特定のゲートウェイの間の信号対ノイズ比の予想に基づいて通信チャネルを選択しようとするが、いったんメータが設置されると、設置者がメータを再構成しないかぎり、あるいは、ネットワーク制御装置バックエンドでの追加の設定が必要にならない限り、通信チャネルの周波数は一般的には変わらない。だから、オペレータは設置の際にシステムを最適化しようとするかもしれないが、そのエリアの物理的特性が変われば、あるいは他の可変のもの(variables)が修正されるなら、システムは最適な状態ではなくなり、望ましくないこととなる。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、通信システム内に含まれる多数のエンドポイント(水道、ガス又は電気メータ、負荷制御装置、PCT、ユーティリティのディスプレイ等の場合がある)と、シングルティアの中間ゲートウェイとの間のデータ通信を制御するシステム及び方法に関する。このシステムは、通信しにくい場所すなわち信号対ノイズ比(SNR)が低い場所にあるエンドポイントに対しても、メータそれぞれが確実に最大速度でデータを伝送すると同時に最小限の「サービスの質(quality of service)」と信頼性を損なわないように、メータとゲートウェイ間のデータの伝送に使われる通信チャネルを最適化するものである。
【0006】
通信システムでメータを最初にインストールする際、それぞれのメータには最初に、メータとゲートウェイ間の通信用のデフォルトの通信チャネルが割り当てられる。メータとゲートウェイの間の信号対ノイズ比は最初は分かっていないし、メッセージデュレーション(duration)が長ければリンクマージンSNRが改善されるので、このデフォルトの通信チャネルは、メッセージのデュレーションが比較的長くなるように選択される。
【0007】
メータが通信システムにインストールされると、メータは1つ以上のゲートウェイとの間で通信メッセージを送信する。多くの場合、メータそれぞれは通信システムの複数のゲートウェイと通信できる。このゲートウェイは信号の質を計測する手段を備えている。この手段は、SNR、信号強度、ノイズ抑圧(quieting)、メッセージサクセスにおける未処理%(raw % message sucess)等を対象とする。ゲートウェイは、この情報を中央ネットワーク制御装置に送る。
【0008】
一連のメッセージが各メータと受信ゲートウェイ間で送信されると、ネットワーク制御装置は個別のメータそれぞれから各ゲートウェイが受信したメッセージの解析を行う。具体的には、好ましい実施の形態では、システムはメータと受信ゲートウェイとの間で送信されたメッセージの信号対ノイズ比を測定する。ネットワーク制御装置はまた、コミュニケーションサクセスにおける未処理%(raw % communication success)及び/又はメッセージ伝送における断絶(gaps)の解析も行う。
【0009】
必要な数のメッセージが受信されると、あるいは所定の時間が経過すると、システムは各エンドポイントと、そのエンドポイントと関連する最適の受信ゲートウェイとの間の信号対ノイズ比を測定する。この最適の受信ゲートウェイとは個別のメータからのメッセージを受信する、信号対ノイズ比が最大のゲートウェイである。
【0010】
ゲートウェイそれぞれで受信されたメッセージの信号対ノイズ比に基づいて、システムはメータに割り当てられた通信チャネルが最も好ましいものかどうか判断する。メータとゲートウェイの通信の信号対ノイズ比が比較的高い場合は、システムはそのメータに、SNRが高いメータに使われる(is associated with)通信チャネルを割り当てることとなる。エンドポイントは、複数の異なる通信チャネルで1つ又は複数のゲートウェイと通信できるように、ネットワーク制御装置からのコマンドによってプログラム可能であることが好ましい。本開示の好ましい実施の形態では、典型的には3つのゲートウェイ受信チャネル(three gateway receive channels)のセットを使用している。このチャネルは、チャネルに割り当てられるエンドポイントの種類によって区別される。最適なサーバに対して信号強度が高いエンドポイントが1つの通信チャネルに割り当てられ、最適なサーバに対して信号強度が中くらいのエンドポイントには別の通信チャネルが割り当てられ、最適なサーバに対してSNRが低いエンドポイントは、さらに3つ目の通信チャネルが割り当てられる。このように、SNRが弱いメータはSNRが強いメータと競合せず、したがって、弱いメータが本来有している、通信に利用可能なSNRを低下させ、弱いメータの信頼性を損なうノイズの増加が避けられる。
【0011】
さらに本開示は、より高いレベルのSNRが利用可能な場合のより高い高次変調の利用を教示する。「シャノンバウンド」の発見以来、SNRは一定のビットエラー率(BER)信頼性に対して送信できる最大データ転送速度と関係があるということが知られている。したがって、好ましい実施の形態のネットワーク制御装置は、より高いデータ転送速度で転送する変調をサポートするのに十分なSNRをエンドポイントが示しているなら、エンドポイントにその変調を使用するよう命令する。本開示ではデータ転送速度のこの増加を達成するためにN−FSKを使用しているが、ここではNが2、4、8及び16であり、Nそれぞれに対して同じ帯域幅が使用されている。本開示は同様に、ASK、PSK等の他の変調形態にも適用できる。したがって、一定の帯域幅では、SNRを工夫するのみで有効なデータ転送速度は増す。SNRがより高いエンドポイントそれぞれは、24時間の間により多くのメッセージを送信することができるのでネットワークの全容量を効果的に増やす。したがって、好ましい実施の形態ではまた、使用される周波数チャネルごとに変調方式を分けている。複数の異なる通信チャネルはそれぞれ、結果的に、異なるメッセージデュレーションと伝送レートを有している。例えば、SNRが低いチャネルでは、SNRが強いチャネルほどのデータ容量を搬送できない。これは根本的には、エンドポイントからの広範囲にわたるSNRを最適に使用することにより、最低限必要なサービスの質(BER)を維持しつつ、メッセージの有効な正味容量を動的に増やすことを意味する、と考えられている。
【0012】
メータそれぞれに割り当てられる通信チャネルは、そのメータと最適なサーバTGBとの間の信号対ノイズ比に基づいて決定される。信号対ノイズ比が高ければ、システムはメッセージデュレーションが最も短い通信チャネルを割り当てる。通信チャネルそれぞれは、通信チャネルがメータに割り当てられるために必要な信号対ノイズ比の上限値及び下限値(an upper threshold value and a lower threshold value)を有している。
【0013】
システムが作動している間に、個別のメータからゲートウェイに送信されているメッセージの信号対ノイズ比が変化すると、システムは訂正された信号対ノイズ比に基づいて通信チャネルを再度割り当てる。一例では、信号対ノイズ比が増加すると、システムはメッセージデュレーションがより短く伝送速度が速い通信チャネルを割り当てることとなる。同様に、信号対ノイズ比が減少すると、システムは通信速度がもっと遅くメッセージデュレーションがもっと長い通信チャネルを選択することとなる。通信速度が最も遅くメッセージデュレーションが最も長い通信チャネルがメータにすでに割り当てられているなら、システムは、ゲートウェイからポーリングメッセージを送信し、保存及び送信能力を備えた中間エンドポイントを介してゲートウェイにメッセージを返すように構成できる。
【0014】
本開示にしたがえば、メータから最適なゲートウェイに送信されたメッセージの信号対ノイズ比に基づいてシステムは個別のメータそれぞれに通信チャネルを割り当てる。使用中に信号対ノイズ比が変化したら、システムは訂正された信号対ノイズ比に基づいて通信チャネルを再度割り当てる。
【0015】
システムのすべてのチャネルはポーリング応答方式(poll−respondfashion)又は「セルフイニシエーション(self−initiated)」ALOHA方式で使用することができる。
【0016】
本開示ではまた、二方向オペレーションについても記載されている。本開示では、目標のエンドポイントに到達するのに必要なパワーしか使われないように、第1のゲートウェイからの送信RFパワーを制御するように構成できる。RFパワーのこの管理によって、近くの第2のゲートウェイと通信し、第1のゲートウェイの送信メッセージの受信用ではない離れたエンドポイントの受信機へのRFパワーの影響を減らすことができる。先行技術ではパワー制御の多くの方法を説明しているが、(QUALCOMMによって使われている、エンドポイントのRF送信パワーのリアルタイム制御を提供するためにチャネル容量を消費するような)かなりの複雑さにつながるものである。本開示は、エンドポイントからゲートウェイまでのリンクマージンが強く、ゲートウェイからそのエンドポイントに通信するのに逆の量(inverse amount)のパワーが必要な場合に、信号の相互依存により(due to signal reciprocity)、シンプルで主に静的な関係を使用するものである。したがって、ゲートウェイからのポーリングメッセージがエンドポイントに送信されるとき、メッセージは少ないパワーで送信される。加えて、過剰なSNRが利用可能なので、(ゲートウェイへの着信メッセージについて上記で説明したように)ポーリングメッセージをより高いデータ転送速度でゲートウェイから送信することができる。
【0017】
さらに、好ましい実施例では、ゲートウェイからエンドポイントへの送信チャネルを、この逆のパワー関係に基づいて割り当てている。この方法で、すべての“強い”SNRのエンドポイントは、さらに高いデータ転送速度での変調に設定できるチャネルで受信し、ゲートウェイが少ないパワーを伝送したとしても、高品質のサービス(high quality of service)を生み出すこととなる。例えば、エンドポイントで、エンドポイントに設定された変調を復調するのに必要なSNRより20db多い場合は、ゲートウェイは20db少ない送信パワーを伝送する。これは、実際には、4倍遠いエンドポイントでのゲートウェイの送信の影響を減らす。
【0018】
送信パワーが減ることにより、より大きい周波数を再利用でき、これにより全体のネットワーク容量を増加させ、また、ノイズが減少することによりエンドポイントの受信機のSNRが増加し、したがって提供されるサービスの質を上げることができる。ゲートウェイが通信のメッシュ状の中間ティアを使う必要がなく、通信が届きにくいメータに通信するために、より多くの送信RF伝送パワーを使用することができる、といった、SNRが低いエンドポイントに対して同様のメリットが発生する。本開示は、さらに一歩先を行き、それによって、ゲートウェイはリンクマージンからリンクマージンへのバランス(balance from−to link margin)に必要な分を超えた追加の10dbの送信パワーを備える。これによって、ゲートウェイがポーリングメッセージを発して建物の中に到達させるので、エンドポイントがゲートウェイに応答することができるようになる。そのポーリング送信を行うゲートウェイが応答を聞き取れないとしても、好ましい実施の形態では、すべてのゲートウェイが常にすべての周波数を受信する。したがって、ポーリングメッセージを送信しなかったゲートウェイも、エンドポイントからの応答を受信でき、その応答をネットワーク制御装置に送信できる。これは、ゲートウェイが故障した際に特に有用である。
【0019】
本開示では、故障したゲートウェイの隣の隣接エリアのどのゲートウェイからもポーリングメッセージを送信でき、どの隣接するゲートウェイもその応答を受信できるので、即時のシームレスな復帰を行うことができる。加えて、前のポーリングトランザクションが失敗した場合、ネットワークコントローラポーリングアルゴリズムが自動的にゲートウェイから伝達されるRFパワーを増やす。さらに、エンドポイントは、ポーリングメッセージが同時に(dynamically)呼び出すいくつかの応答モードを有している。例えば、高いSNRのチャネルで失敗したポーリングは、低いSNR変調で応答するためにネットワーク制御装置によって自動的に再送信され、したがって必要なSNRを減らし、こうして有効なリンクマージンを増やす。これは、ゲートウェイが機能しなかったり、ネットワークの信号経路に影響を与える可能性のある他の条件があるときでさえ、良質なサービスを動的に確実にする非常に効果的な方法である。例えば、好ましい実施の形態では、データ転送速度(data rate)を25kb/sから4kb/sに下げることによって、同じ信号帯域幅を使用して15dbの動的なリンク割当量を提供することができる。さらにデータを下げる(reduction in data)ことによって、さらに10dbのリンクマージン“リーチ(reach)”を提供することができる。この特徴は、メッシュネットワークでは実行不可能であり、多数のティアの必要性を無くすのに役立ち、単一のティアでのオペレーションを可能にする。
【0020】
このネットワークコントローラはホームネットワーク、ビルネットワーク、地域(neighborhood)、都市、州、国の一部であり得ることに注意されたい。
【0021】
本発明のさまざまな他の特徴、目的及び効果は、図面を参照してなされる以下の記載から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面は現在考えられる本開示の実施の一態様を示している。
【
図1】複数のメータからバックエンドデータ蓄積装置へメータ情報を中継する通信システムの概略図である。
【
図2】メータと中間ゲートウェイ間の通信に使われる個々のチャネルの概略図である。
【
図3】通信システムの動作の一実施形態を説明するフローチャートである。
【
図4】メータと受信タワーの間での通信状態が強い場合及び弱い場合の図解である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(発明の詳細な説明)
図1は、複数のメータ12と、バックエンドデータ蓄積サイト又はサーバ14間の通信用の通信システム10を示している。
図1に示された実施の形態では、メータ12は、どのような種類のユーティリティメータであってもよく、例えば、電気メータ、ガスメータ又は水道メータとすることができ、データ蓄積サーバ14は、メータの蓄積されたデータを受信し、分析、課金その他の目的のためにそのデータを処理するユーティリティ、第三者データ蓄積会社又はその他の場所(location)に設置することができる。
図1に示された通信システム10には、米国センサスから入手できるFlexNet(R)通信システムを用いることができるであろう。しかしながら、他の異なる種類の通信システムも本開示の範囲内のものとして利用が可能であると考えられる。
【0024】
図1に示された実施の形態では、メータ12それぞれが複数のゲートウェイ16のひとつと又は中間メータ18と情報を通信している。中間メータ18は、エンドポイントメータ12それぞれから1つ以上のゲートウェイ16に情報を中継している。したがって中間メータ18はゲートウェイ16の1つと直接通信できないメータ12それぞれに、追加的な通信範囲(range of communication)を提供している。
【0025】
図1に示されているように、各メータ12とゲートウェイの1つとの間の通信は、1つ以上の無線通信経路20を介して行われる。メータ12とゲートウェイ16間の無線通信はRFデータ伝送信号を用いて行われる。
【0026】
そしてゲートウェイ16それぞれは公衆広域ネットワーク(WAN)22を介して通信することができる。図示の実施の形態では、公衆WAN22はインターネットである。したがって、ゲートウェイ16それぞれは、知られているように、公衆WAN22を介して1つ以上のデータ蓄積サイト14と通信することができる。
【0027】
中間メータ18に加えて、
図1に示されている通信システム10はまた、個々のメータ12からの情報を、ゲートウェイ16を介して又は直接公衆WAN22を介して送信する(communicate)ために使うことができるリピータ24を備えることもできる。
【0028】
図1に示されているように、メータ12それぞれは、もし何らかの理由でゲートウェイ16との通信経路20の1つが遮断されてもなおメータ12が別のゲートウェイ16と通信できるように、複数のゲートウェイ16と通信できることが好ましい。メータ12それぞれとゲートウェイ16の間の通信を冗長化することにより通信システムをより強固(robust)で信頼性のあるものにしやすくなる。
【0029】
図1で示されているシステムでは、5つの個別のゲートウェイ16が含まれているが、比較的大規模なシステムでは、システムは数ダース又は数百の個別のゲートウェイ16を含むことができ、ゲートウェイそれぞれが多数のメータ12にサービスを提供することを理解されたい。
図1は、本開示を理解しやすくするために単純化して描かれている。
【0030】
図1に示されている概略図では、個々のメータ12と1つ以上のゲートウェイ16間の通信は、
図1で参照符号A−Eで示され、また参照番号26−34が付されている5つの個別の通信チャネルの1つを介して行うことができる。個別のチャネル26−34それぞれは、通信システム10が個々のメータ12と複数のゲートウェイ16の間の通信を最適化できるように若干異なる通信プロトコルにすることができる。5つのチャネルA−Eに加えて、通信システムはまた、2つのサブチャネルに分けられる6番目のチャネル36も含んでいる。このチャネル36は、ゲートウェイ16からメータへの応答通信用に加えて、メータとゲートウェイ16の間の優先通信又は警告通信用の優先チャネルである。
図1では、優先チャネルは参照番号36、参照符号PRで示されている。
【0031】
さて、
図2を参照すると、チャネルそれぞれと、それぞれのチャネルの動作特性が概略的に示されている。通信チャネルそれぞれの具体的な特性が示されているが、本開示の範囲内で作動するかぎり、チャネルそれぞれの特性は変更することができることを理解されたい。
【0032】
通信帯域幅38は、個々のメータ12とゲートウェイ16間の通信に使われる全帯域幅である。図示の実施の形態では、通信帯域幅38は150kHzである。前に説明したように、通信帯域幅38は、個々のチャネルA−E及び優先チャネル36に分割されている。チャネル26−34それぞれは、25kHzの帯域幅を有している。
【0033】
この通信システムが最初に設定される際には、個別のメータ12それぞれに含まれている制御装置は、デフォルトのチャネル26を介してゲートウェイと通信するようにプログラムされている。メータ12は、RF通信技術を使ってメッセージの送受信両方を行うための、制御装置との通信用の受信機を備えている。この制御装置は、現地で又はRF通信を使う遠隔操作のいずれかで選択的にプログラムすることができる。こうして制御装置はメータ12からメッセージを伝送する方法を命令する。
【0034】
デフォルトのチャネル26は、メータが1つ以上のゲートウェイに約107.6msでメッセージを送信できるように、8kb/sの通信速度を有している。ゲートウェイはこのような速度で、1秒あたり9のメッセージを受信することができる。行40に示されているように、メータ12とゲートウェイ16間の通信の信号対ノイズ比が低いときには、チャネル26が特に望ましい。
【0035】
通信チャネル28は隣接する25kHzの帯域幅を占有し、行42に示された異なる変調技術を使用している。チャネル28は個別のメッセージそれぞれが約56.7msで送信されるように16kb/sのデータ転送速度を有している。このような速度では、ゲートウェイは1秒に約18のメッセージを受信することができる。
図2で理解できるように、メータがチャネルAではなくチャネルBで通信する場合、個々のメッセージそれぞれを中継するのに必要な時間は実質的に短くなる。しかしながら、このように送信時間が短くなると、信号に含まれているノイズの全体の影響が大きくなる。したがって、チャネルBは中レベルの信号対ノイズ比の送信により適している。
【0036】
通信チャネルCは、その次の25kHzを占有し、16又は24kb/sのデータ転送速度を有することができる。このような速度では、約40.8msで各メッセージが送信され、各ゲートウェイによって1秒当たり24のメッセージが受信される。各メッセージが送信されるのに必要な時間がさらに短くなるので、チャネルCを介した送信はノイズの影響をより受けやすい。したがって、チャネルCは、メータと個々のゲートウェイ間の通信の信号対ノイズ比がチャネルA又はBを用いる場合と比較してより高いときに使用される。
【0037】
チャネルDはその隣の25kHzを占有し、これも16又は24kb/sでデータを転送する。メータがチャネルDでデータを送信する(relaying)場合は、各メッセージが完了するのに約25.5msかかる。この場合もやはりメッセージの完了に要する時間が短くなっているため、メッセージはノイズの影響をより受けやすい。そこで、チャネルDは、チャネルCを用いる場合と比較してわずかに高い信号対ノイズ比を有するメッセージに対して有用である。
【0038】
最後に、最大の信号対ノイズ比を有する通信に対してはチャネルEが有用である。チャネルEでの通信は36kb/s以下で行われ、個別のメッセージそれぞれは20.2msで通信される(relayed)。このような通信では、1秒に49.5のメッセージをゲートウェイで受信できる。チャネルEの高い信号対ノイズ条件は、チャネルEの通信がゲートウェイに物理的に近いメータに対して、あるいはメータとゲートウェイの間の通信を妨げるものがあまりない場合に特に望ましいということを示している。
【0039】
図1に示された優先チャネル36は、参照番号46及び48で示されている2つのサブチャネルに分割されている。第1のサブチャネル46は、ゲートウェイのいずれかが発するポーリングリクエストに応答するために各メータが使用する応答用チャネルである。応答用チャネル46では4kb/sの低データ転送速度となり、約215.2msで各メッセージが完了する。ポーリング応答は使用頻度が低いので、比較的長いメッセージデュレーションは、前に説明した他のチャネルにおいてほど致命的(vital)とはならない。
【0040】
サブチャネル48もまた、12.5kHzを占有しているが、代わりに、各メッセージが24.5msで受信されるように、16kb/sのより速いデータ転送速度を使用する。サブチャネル48は、メータ12からゲートウェイ16に、アラーム状態及び他の緊急メッセージを送信する(relay)ために使用される。
【0041】
メータ12とゲートウェイ16の間でメッセージを送信するために使われるチャネルの上記説明によって理解できるように、チャネル26から左端のチャネル34に向かって右へ移動して個別のチャネルを選ぶことによって各メッセージを送信するのに要する時間を短縮するが、こうすることが一般的には望ましいと言える。しかしながら、この伝送時間の短縮のために、確実にメッセージが正しく受信されるのに必要な信号対ノイズ比は、チャネルEは信号対ノイズ比が最大のメータとのみ使用されるべきで、一方、チャネルAは信号対ノイズ比がより低いメッセージを送信するメータと使用されるべきである、ことを示している。本開示のシステムは、以下に説明する方法で、各メータ12とゲートウェイ16の間でどのチャネルを介して通信が行われるべきかを選択するように構成されている。
【0042】
さて、
図3を参照すると、ステップ50に示されているように、システムが最初に設定されたとき、個別のメータそれぞれの制御装置はデフォルトのチャネルAを介してゲートウェイにメータデータを送信するように構成される。
図2を参照して説明したように、チャネルAは、メッセージデュレーションが最も長い25kHzの通信チャネルである。メッセージデュレーションが長いことにより、通信チャネルAは信号対ノイズ比が低いメッセージの送信に特に適したものである。チャネルAはもっとも丈夫(robust)でSNRが比較的低い伝送(transmissions)を扱うことができるので、チャネルAはデフォルトとして各メータに割り当てられている。
【0043】
いったん個別のメータが通信システム10内に設置されると、メータ12は
図1に示されている通信経路20を介してメッセージを伝送する。この個別のメータ12それぞれによって伝送されたメッセージは、
図1にも示されているように多数のゲートウェイによって受信することができる。
図3に示されているように、ステップ52で個別のメータそれぞれはゲートウェイにメッセージを送信し、ステップ54に示されているように1つ以上のゲートウェイがメッセージを受信する。
【0044】
各ゲートウェイ16がメッセージを受信すると、そのゲートウェイはメータから受信した各メッセージの信号対ノイズ比を測定する。この信号対ノイズ比はメータのデータとともに公衆WAN22を介してデータ通信サイト14に送信される。ステップ56では、メッセージを受信するゲートウェイ16それぞれで、複数のメータから受信したメッセージそれぞれに対して信号対ノイズ比が測定される。信号対ノイズ比とは、信号のパワー対信号を破損する信号パワーの比率と定義されている測定量(measurement)である。信号対ノイズ比が高ければ高いほど、信号に含まれているノイズに対する信号のパワーは高くなる。したがって、信号対ノイズ比が高ければ、信号受信器が破損された信号を受信することがあまりないので、より短い時間でメッセージを伝送できる。
【0045】
図1に戻って参照すると、データ蓄積サイト14がゲートウェイ16を介してメータ12それぞれからデータを受信すると、データ蓄積サイト14はどのゲートウェイ16がメータそれぞれからメッセージを受信したかを判断し、そして、どのゲートウェイ16が一番高い信号対ノイズ比でそのメッセージを受信しているかを判断することができる。具体例を挙げると、
図1に示された左端のメータ12は左端の2つのゲートウェイ16と通信する。各ゲートウェイ16は、受信したメッセージをデータ蓄積サイト14に中継する。このデータ蓄積サイト14はそれから、左端のメータ12からのメッセージを受信した2つのゲートウェイのどちらが高い信号対ノイズ比でメッセージを受信しているかを判断することができる。
【0046】
ステップ58では、システムは、メータ12から受信したメッセージに対して最大の信号対ノイズ比を有しているゲートウェイ16を選択する。
【0047】
ステップ58でいったんシステムがどのゲートウェイ16がいちばん高い信号対ノイズ比を有しているかを判断すると、システムはそれから所定の時間帯の信号対ノイズ比の平均値を求めることができる。一定の時間帯の信号対ノイズ比の平均値を求めることにより、メータがゲートウェイに送信するメッセージに対して、より正確な信号対ノイズ比を算定することができる。
【0048】
ステップ60に示されているように、いったん信号対ノイズ比が最も高いゲートウェイをシステムが選択すると、システムはメータからゲートウェイへのデータ伝送の信号対ノイズ比を分析する。
図2に示されているチャネル26乃至34それぞれの上限値及び下限値(upper and lower threshold)とこの平均の信号対ノイズ比を比較する。チャネル26乃至34それぞれは、チャネルそれぞれの送信に必要な信号対ノイズ比の最小値及び最大値(a minimum threshold value and a maximum threshold value)を有していることが好ましい。前に説明したように、チャネルそれぞれでメッセージデュレーションが減少しているので、個別のメータそれぞれに対して適切なチャネルを選択することが重要である。
【0049】
いったん信号対ノイズ比の値が個別のチャネルそれぞれのさまざまなしきい値と比較されたら、ステップ62に示されているように、このシステムは望ましいチャネルを選択する。前に説明したように、メータからゲートウェイへの通信に対して計算された信号対ノイズ比に基づいて、システムはもっとも短いメッセージデュレーションを有するチャネルを選択しようとする。いったんシステムがメータに望ましいチャネルを選択すると、この選択されたチャネルがメータの制御装置に送信される。この望ましいチャネルはステップ64でメータに割り当てられる。新しいチャネルが割り当てられると、システムはステップ52に戻り、個別のメータそれぞれに設けられている制御装置は、新しく割り当てられたチャネルでゲートウェイへのメッセージの送信を開始する。このプロセスは継続的に繰り返され、メータの性能が変化したり、あるいはメータとゲートウェイの間にさらなる干渉が入り込んだら、異なるチャネルを介して情報を送信するようにメータを更新することができるようになっている。
【0050】
図3に示されている実施の形態では、ステップ60に示されている、SNRと各チャネルのしきい値との比較は、好ましい間隔でのみ行なわれると考えられる。例えば、ステップ60は1日に一度だけ行うのでもよい。そして、システムオペレーションを複雑にしないために、1日に1回を超えて新しいチャネルがメータに割り当てられることはないだろう。メータの物理的構成及びメータとゲートウェイの間にある干渉がまれに変化することがあるので、1日にわずか1%未満のメータでのみ、メータに割り当てられたチャネルの変更が行われることが判明している。しかしながら、本開示によるシステムオペレーションでは、メータとゲートウェイの間の干渉でなんらかの変化があったら、個別のメータそれぞれの構成を自動的に調整することが可能である。
【0051】
ステップ60で、信号対ノイズ比が
図2に示されているチャネルAの下限値を下回るとシステムが判断した場合、システムはそれから個々のメータがゲートウェイ16と直接通信できないと判断する。このような状況では、個別のメータそれぞれの制御装置は、それから
図1に示された中間メータ18の1つと通信するように設定される。
【0052】
図3を参照して説明したように、もっとも望ましいゲートウェイへのメータの通信の信号対ノイズ比がこのメータに割り当てられた現在のチャネルのしきい値より高いと判断すると、システムはそのメータを
図2に示された現在のチャネルの左のチャネルの1つに移動する。他方で、割り当てられたチャネルを
図2の右へ移動させると、ボーレートが高くなり、メッセージ送信時間が短くなる。したがって、メータをもっとも望ましいチャネルに移動させることによりシステムの作動性が改善される。メータがすでに中間メータ18を介して通信するように割り当てられていた場合、そのメータをゲートウェイ16の1つと直接通信するように再設定することができる。
【0053】
あるいは、ステップ60で、メータに割り当てられた現在のチャネルが、メータの信号対ノイズ比を超えているとシステムが判断した場合、システムはメータに割り当てられたチャネルを
図2の左に移動させてボーレートを下げ、メッセージ送信時間を長くする。メータがすでにチャネルAにある場合、そのときシステムは、メータがゲートウェイ16と直接ではなく中間メータ18の1つと通信する「バディ」モードにメータを再設定する。
【0055】
図4は、3基のタワー、A、B、Cを備えたシステムに、3つの代表的なメータが示されている実施例を図示している。各メータの伝送エリアは方程式πR
2で求められる。ここで、半径Rはメータからの距離である。したがって、タワー、A、B、Cの3基すべてが強いメータの通信半径内にある場合には、あるレベルの信号強度では、約27基のタワーが影響を受けることとなる。先行技術のシステムでは、エンドポイントでのパワー制御を利用して、いずれかのタワーで受信されたパワーの
正規化を試みることによってこの影響を少なくしている(QUALCOMM)。これによって制御チャネル帯域幅を使い尽くし、データの衝突が起こらなかったとしても遠隔のタワーで実際には信号冗長が減少する。
【0056】
本開示は、メッセージ受信の間、受信パワーレベル等を継続してモニタすることにより、通信の(on−air)コリジョンの間での目的の(intended)メッセージのロスを回避している。最初のメッセージが完了する前にメッセージの衝突が生じ、衝突メッセージが復調に十分なCI比(C to I)の信号レベルを有していると、その後リザーブが第1のメッセージを「アボート(aborts)」し、第2の復調を試みる。一実施の形態では、2つのDSP復調器が同時に第1及び第2の衝突メッセージを復調しようとし、メッセージCRC又は暗号の畳み込み符号化(convolution encoding of encryption)を使用してどのメッセージが成功したかを確認する(validate)。
【0058】
より大きいCI比及びアボート機能があるため常にコリジョンに勝ることとなる強いSNR及び中くらいのSNRのメータに対して、弱いメータは常に不利である。弱いエンドポイントの場合、これらの統計値を
正規化するために、SNRが弱いエンドポイントは最適なサーバタワーに対してさえ分離したチャネルに配置するが、ここではSNRが弱い他のメータとのみ競合する。時間基準のないALOHAシステムでは、一般的なレベルの10〜15dBのフェージングが起きる、エンドポイント間のコリジョンの場合を除いてスロット化は行われない。1つの信号が減衰し、CI比がエンドポイントを復調するのに有用となると、タイミング信号がなかったとしても、アボート機能によってALOHAシステムにスロット化同等機能がもたらされる。
【0059】
この方法で使われる最小限のチャネル構成は、SNRが低いもの1つとSNRが高いもの1つである。前に説明したように、データ蓄積サイト14は日ベースで、エンドポイントの構成を最適化すると考えられる。さらに、再構成の際であっても、メータの1%未満が信号対ノイズ比の変化に基づいて再構成されることとなることを理解されたい。