特許第6067638号(P6067638)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6067638
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】薄膜トランジスタとその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20170116BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20170116BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20170116BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20170116BHJP
   H01L 21/283 20060101ALI20170116BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   H01L29/78 618B
   H01L29/78 619A
   H01L29/78 616V
   H01L29/50 M
   H01L21/28 301B
   H01L21/283 C
   H05B33/14 A
   H01L29/78 616U
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-193283(P2014-193283)
(22)【出願日】2014年9月24日
(65)【公開番号】特開2015-79956(P2015-79956A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2014年9月24日
(31)【優先権主張番号】10 2013 111 501.2
(32)【優先日】2013年10月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500493551
【氏名又は名称】ユニベルシテート・シユトウツトガルト
【氏名又は名称原語表記】Universitaet Stuttgart
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト・フリューアウフ
【審査官】 竹口 泰裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−062549(JP,A)
【文献】 特開2012−109546(JP,A)
【文献】 特開2013−080769(JP,A)
【文献】 特開2011−142316(JP,A)
【文献】 特開2009−231613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/336、29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物半導体チャネルと金属又は酸化物のゲート接点、ドレイン接点及びソース接点とを備えた、アクティブマトリックス表示用の薄膜トランジスタにおいて、
酸化物半導体チャネル(3)とドレイン接点及びソース接点(6)の間には、酸化物半導体チャネル(3)とドレイン接点及びソース接点(6)との間の酸素の交換を阻止する少なくとも二つの障壁層(4,5)が配置されており、
これらの障壁層(4,5)の中の一つが、酸化物半導体チャネル(3)と直に接触する導電層(4)から構成され、これらの障壁層(4,5)の中の別の一つが、酸化物半導体チャネル(3)と接触しない電気絶縁体或いはシリコン酸化物又はシリコン窒化物から構成される、
ことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】
当該のドレイン接点及びソース接点(6)も、酸化物半導体チャネル(3)と直に接触する層(4)の材料から構成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
当該の酸化物半導体チャネル(3)と直に接触する層(4)が、ドーピングされた酸化物半導体及び/又はドーピングされていない酸化物半導体から構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
当該の酸化物半導体チャネル(3)と直に接触する層(4)が、少なくとも部分的に酸化亜鉛化合物から構成されることを特徴とする請求項3に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
当該の酸化亜鉛化合物がアルミニウム酸化亜鉛化合物であることを特徴とする請求項4に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項6】
当該の酸化物半導体チャネル(3)が酸化亜鉛化合物から構成されることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の薄膜トランジスタ。
【請求項7】
当該の酸化亜鉛化合物がインジウムガリウム酸化亜鉛化合物であることを特徴とする請求項6に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一つに記載の薄膜トランジスタの製造方法において、
当該障壁層(4,5)の中の少なくとも一つをバックチャネルエッチング工程により構造化し、当該の障壁層(4,5)の中の一つを酸化物半導体チャネル(3)と直に接触する導電層(4)から構成し、当該の障壁層(4,5)の中の別の一つを酸化物半導体チャネル(3)と接触しない電気絶縁体、或いはシリコン酸化物又はシリコン窒化物から構成することを特徴とする方法。
【請求項9】
当該のバックチャネルエッチング工程を湿式化学により実行することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
当該の一つ以上の障壁層(4,5)を接点材料(6)の目的通りの酸化により製造することを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも一つの障壁層(4)として、酸化物半導体材料から成る層を酸化物半導体チャネル(3)上に成膜して、その層が半導体チャネル(3)と接点(6)の間の電気的なブリッジを形成するように構造化することを特徴とする請求項8から10までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
このトランジスタの層(1〜6)の全体で三回のフォトリソグラフィによる構造化を行なうことを特徴とする請求項8から11までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
先ずは、基板上にゲート材料(1)を成膜して、フォトリソグラフィにより構造化した後、少なくとも、一つのゲート誘電体(2)、一つのチャネル用酸化物半導体材料(3)及び少なくとも一つの障壁層(4,5)から成る一連の層を順番に成膜して、この少なくとも一つの障壁層(5)をフォトリソグラフィにより構造化し、次に、接点材料(6)を成膜して、フォトリソグラフィにより構造化した後、この構造化された接点材料(6)をバックチャネルエッチング工程におけるマスクとして使用して、一つ以上の障壁層(4)を構造化することを特徴とする請求項8から12までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
チャネルに対する更に別のフォトリソグラフィマスクを使用して、当該の酸化物半導体材料(3)を構造化した後、当該の少なくとも一つの障壁層(4,5)と接点材料(6)を成膜して、構造化することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物半導体チャネルと金属又は酸化物のゲート接点、ドレイン接点及びソース接点とを備えた、特に、アクティブマトリックス表示用の薄膜トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、シリコンベースの薄膜トランジスタを製造するために、所謂バックチャネルエッチング工程が実行されており、そのために、大量生産品では、有利には、プラズマエッチングプロセスが用いられている。そのようなプロセスは、例えば、特許文献1に記載されている。そこでは、金属の接点材料と本来のシリコン半導体の間にショットキー効果を防止するための高濃度にドーピングされたシリコン層を配置して、そのシリコン半導体に直接エッチングしている。
【0003】
従来のエッチングストッパープロセスと比べてマスクを節約できるようにするため、例えば、酸化亜鉛化合物から成る酸化物半導体チャネルを備えた薄膜トランジスタを製造する際でも、バックチャネルエッチング工程を使用したいとの要望が有る。そのような薄膜トランジスタは、アモルファスシリコンから成るチャネルを備えたトランジスタと比べて、より速い荷電粒子移動度とより少ない電力消費量を特徴としている。
【0004】
しかし、エッチングストッパープロセスも、プラズマ又は湿式化学により実行されるバックチャネルエッチング工程も、酸化物半導体チャネルを備えた薄膜トランジスタを製造する際に金属接点又は酸素親和性を有する導電接点と酸化物半導体の遭遇に起因する問題を抱えている。それらの接点と酸化物半導体の間で酸素の交換が起こり、それが、材料の選択に応じて、酸化物境界層の厚さを持続的に増大させる。その場合、そのような境界層の形成は、接触抵抗を高くするだけでなく、酸化物半導体組織から酸素を奪うことにより、閾値電圧、荷電粒子移動度などの酸化物半導体の特性も変化させて制御できなくする。そのようなトランジスタの電気特性は、酸化物半導体材料内の酸素欠乏箇所に大きく依存する。そのため、そのような酸化物境界層の形成又は持続する成長が、薄膜トランジスタの負荷(電流の流れ、温度など)に大きく依存するので、薄膜トランジスタの長期安定性も保証されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,406,928号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のことから、本発明の課題は、酸化物半導体材料と接点材料の間の酸素の交換を阻止した、酸化物半導体チャネルを備えた薄膜トランジスタ及びその製造方法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本課題は、酸化物半導体チャネルと金属又は酸化物のゲート接点、ドレイン接点及びソース接点とを備えた、特に、アクティブマトリックス表示用の薄膜トランジスタにおいて、酸化物半導体チャネルとドレイン接点及びソース接点の間に、酸化物半導体チャネルとそれ以外の層、特に、ドレイン接点及びソース接点との間の酸素の交換を阻止する少なくとも一つの障壁層が配置されていることを特徴とする薄膜トランジスタによって解決される。
【0008】
本発明による薄膜トランジスタでは、この少なくとも一つの障壁層が、より大きなエネルギー投入量、即ち、より大きな電流及び/又はより高い温度でも、接点材料と酸化物半導体チャネルの間の酸素の交換を阻止する。この場合、酸化物半導体と接点材料の間の酸素の交換を阻止する度合いは、この少なくとも一つの障壁層の材料、厚さ、製造プロセスでの析出方法及び層スタック内の位置に依存する。酸素の交換の防止又は阻止のために、接点材料が酸化物半導体との直接的な境界面を持たず、酸化物半導体から一定の有効な間隔を開けて配置されるように、層スタック内に障壁を挿入する。この場合、この少なくとも一つの障壁層は、例えば、電気絶縁層又はそれどころか導電層の外に、例えば、金属接点材料の使用時に、その材料の酸化物から構成することが可能な絶縁体、半導体又は導体の金属酸化物層から構成することもできる。そのため、この金属接点材料の更なる寄生酸化を阻止する(層の厚さに応じて反応を弱める)か、それどころか材料の選択に応じて、停止することができる。この場合、酸素雰囲気内での熱供給により接点材料をその下に有る層を用いて目的通り寄生酸化させることによる接点材料の加速制御式プリエイジングなどの、この金属酸化物から成る障壁を直接析出させて構造化することが同じく考えられ、その場合には、酸化物半導体チャネルの特性を変化させないことに留意しなければらない。閾値温度を定義することができ、その温度以上では、酸素を含む雰囲気内での加熱工程時に、接点を介して酸化物半導体組織から奪われる酸素よりも多くの酸素がその酸化物半導体組織に取り込まれる。
【0009】
トランジスタ内での酸素移動の停止又は阻止によって、エネルギー投入下でのトランジスタの短期及び長期安定性の向上が達成される。それは、酸素親和性の非常に大きい材料の使用時でも達成される。それによって、高い温度下での製造工程も寄生効果を低減した形で使用することができる。
【0010】
有利には、これらの障壁層又はこれらの障壁層の一つは、取り去られる形で構造化された、酸化物半導体チャネルと直に接触する導電層から構成することができる。この層は、単一の障壁層とするか、或いは別の障壁層と組み合わせることができる。
【0011】
一種の第二の接点材料として作用する、このチャネルの酸化物半導体と直に繋がる層は、一方では、例えば、障壁層の配備により、目的通り作り出された、接点材料と酸化物半導体の間における大きな直列抵抗又は開路を防止するためのブリッジとしての役割と、他方ではバックチャネルエッチング工程でのエッチングすべき材料としての役割とを果たす。
【0012】
ドレイン接点及びソース接点も、この酸化物半導体チャネルと直に接触する層と同じ材料から製造することができる。
【0013】
この酸化物半導体チャネルと直に接触する層は、有利には、ドーピングされた酸化物半導体及び/又はドーピングされていない酸化物半導体から構成することができる。この層は、導体又は半導体であるが、それと同時に接点材料と半導体チャネルの間の酸化力の有る絶縁性ブリッジである。酸化物半導体は、遮断状態で非常に良好な絶縁特性を有し、フェムトアンペア範囲内の遮断電流は珍しくないので、ブリッジすべき間隔が比較的短い場合のチャネルまでの導線抵抗が薄膜トランジスタの接触抵抗を明らかに下回るように、この非常に大きな電気抵抗を酸化物半導体のドーピングにより低下させることができる。この縮退酸化物半導体とチャネル材料との出来る限り良好な適合を実現するために、有利には、少なくとも構成要素としてチャネル材料内にも存在する、それと同じ酸化力の有る真性半導体材料が使用される。
【0014】
特に、酸化亜鉛化合物から成るチャネル用酸化物半導体に対して、この酸化物半導体チャネルと直に接触する層のための材料として、同じく、亜鉛酸化物、特に、アルミニウム亜鉛酸化物が考えられる。アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)は、有利に使用可能なチャネル用酸化物半導体材料であるインジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)上でのバックチャネルエッチング工程において、湿式化学プロセスを用いて、8:1よりも大きい選択性によりエッチングすることができると同時に、非常に良好な電気的適合を提供し、そのため、トランジスタ製造時のその後の加熱工程を低下した温度で行なうことができる。
【0015】
しかし、これらの障壁層又はこれらの障壁層の一つは、電気絶縁体、特に、シリコン酸化物又はシリコン窒化物から構成することもできる。そのような障壁用材料の選択により、障壁が、薄膜トランジスタの製造プロセス中にエッチングストッパーとしての追加機能を果たすことができる。それは、様々なプロセスにより構造化できる様々な接点材料の使用を可能とする。別の考えられる障壁層用材料は、モリブデン酸窒化物、アルミニウム酸化物、クロム酸化物又はポリマーである。
【0016】
更に、本発明は、本発明による薄膜トランジスタの製造方法において、少なくとも前記の一つ以上の障壁層がバックチャネルエッチング工程により構造化されて、このバックチャネルエッチング工程が、有利には、湿式化学により実行できることを特徴とする方法に関する。
【0017】
本方法の別の変化形態では、前記の一つ以上の障壁層が、接点材料の目的通りの酸化によって製造することができる。従って、接点と半導体チャネルの間の酸素の交換を阻止するために、いずれにせよ製造中に寄生して形成される酸化物の境界層を目的通り障壁として用いることができる。それらは、トランジスタの個々の層の析出中に一緒に挿入するか、或いは後処理工程で、酸素雰囲気内での閾値温度以上による接点のプリエイジングによって、酸化物半導体チャネルの特性を大きく変えること無く、目的通り作り出すことができる。特に、クロム酸化物は、酸素障壁として極めて適している一方、それにも関わらず、大きな面積の接点のために、接触抵抗は小さいままである。
【0018】
少なくとも一つの障壁層として、導電性の酸化物半導体材料から成る層を酸化物半導体チャネル上に成膜して、その層が半導体チャネルと接点の間のブリッジを形成するように構造化した場合、更に別の利点が得られる。このブリッジは、垂直方向に延びることができる。しかし、接点材料が半導体チャネルに対して一定の間隔を開けて中断され、障壁層がその中断部を塞いで、半導体チャネルに対する横方向のブリッジを形成するように、この酸化物半導体と直に接触する材料から成る障壁層を構造化することも考えられる。
【0019】
本方法は、トランジスタの層の少なくとも三回のフォトリソグラフィによる構造化によって実施することができる。そのような三回の工程により、漸く本発明による薄膜トランジスタの製造が可能となる。更に、更に別のフォトリソグラフィによる工程を実行した場合、半導体チャネルを事前に構造化することができる。しかし、四つのマスク及びフォトリソグラフィによる構造化により、本発明による薄膜トランジスタを用いたブラックマトリックスを有する完全な単色のAM−LCD又はAM−OLEDディスプレイを漸く製造することもできる。この構造化は、ゲートマスク、障壁用のマスク、接点用のマスク及び薄膜トランジスタを不活性化する役割を同時に果たすことができる画素電極又はブラックマトリックス用の第四のマスクを有する。
【0020】
本方法の有利な実施構成では、先ずは基板上にゲート材料を成膜して、フォトリソグラフィにより構造化した後、少なくとも、一つのゲート誘電体、一つのチャネル用酸化物半導体材料及び少なくとも一つの障壁層から成る一連の層を順番に成膜して、この少なくとも一つの障壁層をフォトリソグラフィにより構造化し、次に、接点材料を成膜して、フォトリソグラフィにより構造化する。これらの障壁層の中の一つが半導体チャネルと直に接触する酸化物半導体である場合、その層は、最終的にバックチャネルエッチング工程において、マスクとしての構造化された接点材料を用いて構造化することができる。それに代わって、接点を形成するために、酸化物半導体材料を使用することもできる。
【0021】
本方法の変化形態では、チャネルに対する更に別のフォトリソグラフィマスクを用いて、酸化物半導体材料を事前に構造化した後、この少なくとも一つの障壁層と接点材料を成膜して、構造化することができる。
【0022】
以下において、図面と関連して本発明による薄膜トランジスタの有利な実施例を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1a】二つの第一のトランジスタの断面図
図1b】二つの第一のトランジスタの上面図
図1c】二つの第一のトランジスタの下面図
図2】第三のトランジスタの断面図
図3】第四のトランジスタの断面図
図4a】四つの別のトランジスタの断面図
図4b】四つの別のトランジスタの断面図
図4c】四つの別のトランジスタの断面図
図4d】四つの別のトランジスタの断面図
図5】更に別のトランジスタの断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1〜5の断面図では、同じ材料から成る層は、それぞれ同じ符号を付与されている。全ての構造は、詳しく図示されていない基板上に成膜される。
【0025】
図1a,1b,1cに図示されたトランジスタは、漸く三回のリソグラフィ工程により製造することができる。ここでは、第一の工程で、基板にゲート材料1を成膜して、フォトリソグラフィにより構造化する。ゲート誘電体2の製造後、それに続いて直ぐに、その後のチャネルのための酸化物半導体3、その酸化物半導体と直に繋がる材料4及び障壁層5を全面に析出させる。次に、これらの順番に析出された層の一番上でもある障壁層5をフォトリソグラフィにより構造化する。薄膜トランジスタの接点又は導線を製造するための接点材料6から成る最後の層を析出させた後、その層6から成る接点を構造化するための第三のリソグラフィ工程を実行する。ここで出来上がった構造は、構造化された障壁5と共に、薄膜トランジスタの導線上における、酸化物半導体3と直に繋がる層4と酸化物半導体3自体をエッチングするためのマスクとしての役割を果たす。ここで、更に、同じ構造に関して、酸化物半導体3の上の障壁層5は、その下に有る、酸化物半導体と直に繋がる材料4に対して選択的にエッチングされる一方、接点材料6の下に存在したまま残って、それにより、障壁作用を提供することもできる。ここで、接点6のエッチング時に依然として障壁5により保護されていた、酸化物半導体と直に繋がる層4が露出して、バックチャネルエッチング工程により取り去られる形で取り除かれる。最終的に、酸化物半導体3は、直接的な距離に関して障壁5により接点材料6から保護されるか、或いは接点材料6から一定の有効な距離を開けて配置されるとともに、使用する接点材料6に応じて、酸化物半導体材料3とより良好に適合させることができる、酸化物半導体と直に繋がる材料4と電気的にブリッジされることが完了する。それによって、この薄膜トランジスタは、例えば、電流の流れ、高い温度、それらと同等の状況などの負荷の下で、より高い安定性を示す。この構造は、障壁層5を好適に選択した場合、様々な接点材料6を様々なエッチングプロセスと組み合わせるのに適した構造となる。
【0026】
このプロセスを実行する場合、酸化物半導体3が接点材料6よりも横方向に広く実現された図1bの構造が優先される。そのようにして、図1cと異なり、例えば、ゾーン2+3+4+6との遷移域における活性酸化物半導体領域1+2+3の四つの角などに、接点材料6と酸化物半導体3の有効な距離を下に向かって最小限に限定できない部分領域が構造内に出来上がることを保証している。しかし、図1b,1cによる二つのトランジスタ構造では、図1aと同じ横断面構成が得られる。
【0027】
図2からは、追加のマスクを用いて製造した事前に構造化された島状半導体による前述した製造プロセスの変化形態を読み取ることができる。このトランジスタの製造プロセスは、ここでは、トランジスタの縁の二層の導線だけによって、その二層をエッチングするために湿式化学式エッチングプロセスを用いた場合でも、様々な層材料のアンダーカットの作成に関して、より良好に制御することができる。
【0028】
図3は、酸化物半導体3と直に繋がる材料4が障壁としての役割を果たす、薄膜トランジスタの別の変化形態を図示している。しかし、この構造は、ここでは、障壁4を非常に厚く実現しなければならず、バックチャネルエッチング工程を良好に制御し難いとの欠点を伴う。
【0029】
図4a〜4dでは、四つのリソグラフィマスクを用いて製造可能なトランジスタと、酸化物半導体3と直に繋がる、横方向における酸化物半導体チャネル3と接点6の間の障壁としての材料4との別の変化形態を見ることができる。
【0030】
同様に、図5による五つのリソグラフィマスクを用いた薄膜トランジスタの製造プロセスを考えることができる。この場合、酸化物半導体3と直に繋がる材料4は、酸化物半導体3の構造化後に、バックチャネルエッチング工程を用いて構造化される。障壁層5には、接点材料6を酸化物半導体3と直に繋がる材料と接続するための孔が実現されている。この場合、接点材料6と酸化物半導体3と直に繋がる材料4の間の接触抵抗は、主に、比較的小さいオーバーラップ面(孔の大きさ)によって決まる。
【符号の説明】
【0031】
1 ゲート材料
2 ゲート誘電体
3 酸化物半導体
4 酸化物半導体3と直に繋がる材料
5 障壁層
6 接点材料
図1a
図1b
図1c
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5