特許第6067672号(P6067672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6067672
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】アプリケータ
(51)【国際特許分類】
   A61M 35/00 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
   A61M35/00 Z
【請求項の数】30
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2014-501711(P2014-501711)
(86)(22)【出願日】2012年3月8日
(65)【公表番号】特表2014-516606(P2014-516606A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】GB2012050518
(87)【国際公開番号】WO2012131320
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年3月9日
(31)【優先権主張番号】61/467,610
(32)【優先日】2011年3月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509251257
【氏名又は名称】レオ ファーマ エイ/エス
【氏名又は名称原語表記】LEO PHARMA A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】ウィルコックス,アラン
(72)【発明者】
【氏名】スプラーダ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】クルック,アレクサンドラ・ルイーザ・ファラデイ
(72)【発明者】
【氏名】マクレラン,スティーブン・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】レイシー,グラハム・キース
(72)【発明者】
【氏名】スワン,ジュリアン・フランシス・ラルフ
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−229461(JP,A)
【文献】 特開2009−039509(JP,A)
【文献】 特表2011−502656(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0206987(US,A1)
【文献】 国際公開第96/022037(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半固形薬剤を局所に塗布するためのアプリケータであって、
アプリケータ本体と、
薬剤を皮膚に広げるためのアプリケータ面を有するアプリケータヘッドと、
前記アプリケータ面における封止可能な開口と、
動機構とを備えるアプリケータであって、
前記駆動機構が、駆動部材に沿って前記アプリケータヘッドに向かってピストンを前進させ、薬剤が充填されたカートリッジから薬剤を押し出すことで所定投与量の薬剤を前記開口から前記アプリケータ面に供給するために、前記アプリケータの長手軸を中心に回転可能なダイヤルノブを備え、
前記アプリケータヘッドが、前記カートリッジの供給端を収容するために前記アプリケータ面の背面にカートリッジポートを含み、
前記アプリケータ本体が、前記カートリッジの少なくとも主要部分を収容するために前記アプリケータヘッドから伸長し、
前記アプリケータ面が、前記アプリケータの前記長手軸に対して傾斜しており、さらに、前記アプリケータ面が、前記カートリッジポート周辺の前記アプリケータヘッドの直径よりも大きな直径を有することで、前記アプリケータ面上の薬剤及び皮膚に塗布された薬剤からユーザの指を保護するために前記アプリケータ面背後にショルダ部を形成することを特徴とするアプリケータ。
【請求項2】
更に、前記ダイヤルノブと、前記ダイヤルノブが回転可能に取付けられたダイヤル本体とを含むダイヤルアセンブリを備えることを特徴とする請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項3】
前記アプリケータヘッドから伸長する前記アプリケータ本体が、前記ダイヤル本体と連携して前記カートリッジを収容、前記ダイヤル本体が前記カートリッジの挿入及び取り出しを可能にするために前記アプリケータ本体に取外し可能に取付け可能であることを特徴とする請求項に記載のアプリケータ。
【請求項4】
前記カートリッジの非供給端が、前記カートリッジポートに嵌合されたとき、前記アプリケータ本体の端部を越え且つ前記ダイヤル本体内に延出するように、前記アプリケータ本体が前記カートリッジの一部を収納可能なように構成されたことを特徴とする請求項に記載のアプリケータ。
【請求項5】
前記ダイヤルノブが、前記駆動部材の往復移動を可能とし且つ前記ダイヤルノブと共に前記駆動部材が回転するように、前記駆動部材の一端部を捕捉するように構成されたことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項6】
前記ダイヤルノブが、前記駆動部材の端部と線形結合するために外側ダイヤルリング及び内側スピンドルを備え、前記内側スピンドルは、前記駆動部材が前記ダイヤルノブの操作によって前記内側スピンドルと共に回転されるように、前記駆動部材の外形と相補的な外形を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項7】
前記内側スピンドルが、軸方向に整合する駆動ロッドの前記端部を収容するための穴を有し、前記穴が多角形又はスプライン付き断面など非円形断面を有することを特徴とする請求項に記載のアプリケータ。
【請求項8】
前記アプリケータが前記駆動部材の逆方向への長手方向移動範囲を制限するための当接部を含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項9】
前記当接部が前記ダイヤルアセンブリの前記ダイヤル本体に停止フランジを備えることを特徴とする請求項に記載のアプリケータ。
【請求項10】
前記ダイヤルノブが、前記アプリケータをプライミングし且つ前記アプリケータを供給モードにするために前進方向に前記アプリケータの長手軸を中心に回転可能であり、且つ前記アプリケータを非供給又は保管モードに戻すために逆方向に回転(巻き戻し)可能であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項11】
前記ダイヤルノブが、前記保管中に起こり得る薬剤の熱膨張に対応するために1回転又はそれ以上の回転数だけ逆方向に回転可能であることを特徴とする請求項10に記載のアプリケータ。
【請求項12】
更に、前記アプリケータが供給モードであるか保管モードであるかを示す巻き戻し状態のインジケータ機構を備えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項13】
前記ダイヤルノブの巻き戻しによって前記駆動部材を前進させたときに第1の保管状態が示され、前記ダイヤルノブを前進方向に回転させることによって前記駆動部材を後退させたときに第2の供給状態が示されるように、前記インジケータ機構が前記駆動部材によって動作可能であることを特徴とする請求項12に記載のアプリケータ。
【請求項14】
前記インジケータ機構がダイヤルアセンブリ内、好ましくは前記ダイヤルノブ内に収納されることを特徴とする請求項12又は13に記載のアプリケータ。
【請求項15】
前記インジケータ機構、前記アプリケータがプライミングされて使用可能な状態にあるとき前記駆動部材によって前記ダイヤルノブの端面に対して押圧され、前記アプリケータが前記保管モードにあるときスプリング手段などによって前記端面より上方に上昇されるインジケータ部材を備えることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項16】
前記インジケータ機構が、更に、前記インジケータ部材と前記ダイヤルノブの前記端面との間に置かれたインジケータスプリングを備え、それによって、前記ダイヤルノブが前進方向に回転されると、前記駆動部材が前記端面に対して前記インジケータ部材を押圧し、前記ダイヤルノブが反対方向に回転又は巻き戻しされると、前記スプリングが前記端面から前記インジケータ部材を離間させることを特徴とする請求項15に記載のアプリケータ。
【請求項17】
前記ダイヤルノブの前記端面が、前記インジケータ部材の位置を観察するために透光性又は透明であることを特徴とする請求項15又は16に記載のアプリケータ。
【請求項18】
前記ダイヤルノブの前記端面が、その内表面にクリアである中心のレンズリングを有するエンドキャップを備え、前記レンズリングが、前記レンズリングに近接した前記表面の色を前記エンドキャップの外表面上に反映し、前記インジケータ部材が、前記アプリケータがプライミングされたとき前記駆動ロッドの動作によって前記端面に対して押圧される前記レンズリングと同心の色付きリングを備え、インジケータリングの色がエンドキャップの前記端面の外面に反映されることを特徴とする請求項17に記載のアプリケータ。
【請求項19】
前記開口を封止する弁、好ましくは一方向弁と、前記弁を封止位置と開放位置との間で切替する弁スイッチとを更に備えることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項20】
前記弁がピン弁を備え、前記アプリケータが、更に、前記弁を上昇して前記開口を閉塞し、前記弁を下降して前記開口を開放するために前記弁によって操作可能な弁上昇部材を備えることを特徴とする請求項19に記載のアプリケータ。
【請求項21】
更に、いつ1回分の投与量が供給されたかを示す投薬インジケータを備えることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項22】
前記投薬インジケータが、前記ダイヤルノブを1回転させる毎に一定数の可聴クリック音を生じるためのクリッカー機構を備えることを特徴とする請求項21に記載のアプリケータ。
【請求項23】
更に、前記カートリッジを完全に挿入された位置で前記アプリケータヘッドに固定するための保持機構、好ましくは、前記カートリッジ上の相補的バヨネットマウントを保持するための一対の対向スロットを備えることを特徴とする請求項1乃至22のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項24】
前記カートリッジポートが、前記カートリッジ上の相補的なコード化特徴と共にコード化するためのコード化特徴を含み、この必須のコード化特徴を有する前記カートリッジのみが前記カートリッジポートに嵌合されるようにしたことを特徴とする請求項1乃至23のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項25】
更に、薬剤が充填されたカートリッジを備えることを特徴とする請求項1乃至24のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項26】
前記カートリッジ
前記アプリケータの前記カートリッジポートと連携する第1の排出端部、及び第2の端部を有する管などの細長い容器と、
前記容器内で長手方向に伸びる駆動ロッドと、
前記駆動ロッドに取付けられ、前記容器に沿って前進して前記アプリケータのダイヤルノブによる前進方向への前記駆動ロッドの回転によって前記排出端部から薬剤を供給するために前記容器の内壁と封止接触したピストンとを備え、
前記駆動ロッドが、前記ピストンを越えて突出した一端部を含み、この一端部が、前記アプリケータの前記ダイヤルノブと結合するように構成され、それによって、前記駆動ロッドが、前記ダイヤルノブとともに回転され、プライミング動作及び巻き戻し動作中に前記ダイヤルノブに対して前記駆動ロッドを上昇又は下降するために前記ダイヤルノブのシャフトに対して相対的軸方向移動ができるように、前記駆動ロッドが前記ダイヤルノブに対して回転可能に固定されたことを特徴とする請求項25に記載のアプリケータ
【請求項27】
皮膚疾患の治療に用いるアプリケータキットであって、請求項1乃至26のいずれか一項に記載のアプリケータと、前記アプリケータの操作方法を提供する患者情報リーフレットとを備えることを特徴とするアプリケータキット。
【請求項28】
更に、保管目的で、カートリッジが嵌合されているか否かを問わず、前記アプリケータの前記アプリケータヘッドを収容するための中空の凹みを有するスタンドを備えることを特徴とする請求項27に記載のアプリケータキット。
【請求項29】
更に、前記カートリッジポートを介して前記アプリケータヘッドに嵌合するための薬剤を充填した1つ以上の取り替え可能カートリッジを備えることを特徴とする請求項27又は28に記載のアプリケータキット。
【請求項30】
ユーザの皮膚を塗布するために1回分の投与量の半固形薬剤を供給する方法であって、
(i)薬剤用のカートリッジを請求項1乃至26のいずれか一項に記載のアプリケータの前記カートリッジポートに嵌合し、前記カートリッジの前記駆動ロッドを前記ダイヤルノブと結合するステップと、
(ii)前記ダイヤルノブを前進方向に回転させて前記アプリケータをプライミングするステップと、
(iii)更に前記ダイヤルノブを前進方向に1回転、又は複数回転又はわずかに回転させ、前記アプリケータ面を使用して治療対象の皮膚領域に前記薬剤を広げるために、前記開口を通して前記アプリケータ面に1回分の投与量の薬剤を供給するステップと、
任意選択により、(iv)前記ダイヤルノブを逆方向に回転させて前記駆動ロッドを上昇させ、前記アプリケータを保管モードにするステップとを備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に、特に、例えば乾癬患者の皮膚に、医薬用製剤を塗布するためのアプリケータに関する。より具体的には、本発明は、交換用薬剤カートリッジと共に使用するためのアプリケータ、及びそのアプリケータと共に使用するためのカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
乾癬は通常の皮膚細胞の置換周期が加速した場合に発生する。乾癬は、それ自体皮膚疾患として現れるが、近年、乾癬の原因は免疫システムにあることが立証されている。通常、皮膚細胞はそれ自体を再生するのに約21〜28日かかるが、乾癬患者は皮膚細胞が2〜6日という速い間隔で再生する。この加速によって、結果的に皮膚表面上に皮膚細胞が蓄積され、これはしばしば乾癬プラークと呼ばれる。
【0003】
乾癬斑、又はプラークは、身体のほぼ全ての個所に起こりえるが、肘、膝、腰、及び頭皮に最も頻繁に発生する。典型的には、銀白色の鱗屑で覆われた、盛り上がった紅色皮膚斑として現れる。鱗屑は剥がれ落ちるのを待っている皮膚細胞が蓄積したものであり、生成量が増加した細胞を支持するのに必要な血管数が増加した結果として紅斑が生じる。
【0004】
プラークは、しばしば痒みを伴う不快なものであり、もっとひどい時は痛みを伴い、症状を緩和するために様々な治療法が利用されている。治療法の選択肢としては、局所療法、光線療法、全身投薬、及び生物学的注射が挙げられる。治療法は症状の程度に従って選択されるが、大抵の場合、局所療法が、よりリスクが低く、患者にとってより利便性が高いため少なくとも初期段階では好まれる。
【0005】
多くの乾癬患者にとって、局所療法、即ち、皮膚に直接塗布される製剤は、症状を抑制するのに十分である。従来の製剤としては、ビタミンD、コールタール、ジトラノール、ビタミンA、及びステロイドのうちの1つ以上に基づく製剤が挙げられ、半固形剤として提供されている。
【0006】
通常、製剤は、塗布量と塗布頻度を規定した投薬計画と共に医療従事者によって処方される。薬剤は一般的にチューブに入れて提供されており、このチューブから治療中の皮膚領域に塗布するように一回分の量が絞り出される。塗布量はフィンガーチップユニット(FTU)として規定される場合が多く、1FTUは成人の指の先端からその指の第1関節までの距離であり、塗布FTU数は塗布面積によって異なるので、1回分の塗布量は治療する皮膚面積に従って決定する。
【0007】
出願人を代表してインタビューを受けた多くの乾癬患者は、信頼性の高い投薬が大きな問題であると述べている。FTUは個人差があるため不確かな測定単位である。患部面積が僅かであれば、副次的FTUが必要となり、この場合もやはり測定するのが難しい。当然のことながら、塗布量が不十分だと、患部は、正しい塗布量の場合と同じようには緩和又は治癒されない。その一方、処方用量を越える薬剤の塗布はより重大な結果を生じかねない。例えば、局所療法の過剰投薬は激しい刺激や炎症を引き起こす可能性がある。ステロイドクリームなどの製剤の過剰投薬は、皮膚から吸収され、ステロイドを全身投与した場合に生じる可能性のある副作用のような望ましくない副作用が生じる可能性がある。
【0008】
ステロイドの常用による一般的な副作用の1つが皮膚の菲薄化又は弱化である。たとえステロイドクリームを正しいFTU投薬量で乾癬領域に塗布しても、クリームが指先に擦り込まれることによって指先の皮膚はしばしば弱化する。この問題を回避するために手袋を着用してステロイド薬を塗布することが推奨されているが、ユーザはこれを煩わしい、面倒臭い、且つ実用的ではないと感じている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、出願人は、上記問題点の1つ以上を克服する又は少なくとも緩和する、乾癬軟膏などの半固形剤を皮膚に塗布するための薬剤アプリケータに対するニーズを特定した。
【0010】
本明細書で使用される薬剤又は製剤という用語は、流れて又は押し出されて伸ばされて局所塗布することができる薬用クリーム、ジェル、軟膏などを含むものとする。これらの用語は、本明細書を通して交換可能な意味で使用されており、従って、軟膏などに言及した場合、他の形状の半固形剤を含むものと解釈するものとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第一の態様から、本発明は、半固形薬剤を局所に塗布するためのアプリケータであって、
薬剤を皮膚に広げるためのアプリケータ面を有するアプリケータヘッドと、
前記アプリケータ面における封止可能な開口と、
前記開口から薬剤を押し出すための駆動機構と、を備えアプリケータであって、前記アプリケータヘッドが、薬剤が充填されたカートリッジの供給端を収容するために前記アプリケータ面の背面にカートリッジポートを含み、前記駆動機構が、駆動部材に沿って前記アプリケータヘッドに向かってピストンを前進させ前記カートリッジから薬剤を押し出し、それによって所定投与量の薬剤を前記アプリケータ面に供給するためのアプリケータの長手軸を中心に回転可能なダイヤルノブを備える、アプリケータに存する。
【0012】
当然のことながら、このアプリケータは一旦プライミングされると、ダイヤルノブを前進方向に1回転させることによって、ピストンが駆動部材の上方に所定距離前進し、再現可能な量の薬剤を供給する。駆動ロッドのねじ山のピッチは、例えばダイヤルノブを1回転させると典型的な単位投与量の薬剤が供給されるように選択されてもよい。例えば、1回転毎に、一般的にFTUと考えられている0.5gの薬剤が供給されるようにしてもよい。当然のことながら、1回分の投与量をもっと少なくする必要がある場合、ダイヤルノブは、4分の1又は反回転など1回転未満の量だけ回転させる必要がある。いずれの場合も、前進方向に1回転又は1回転未満回転させる毎に、既知量の薬剤が供給される。
【0013】
本発明を用いることによって、ユーザは、ダイヤルノブを1回転又は複数回転又は1回転未満手動で回転させることによって計量した薬剤を供給することができ、この薬剤は開口を通してアプリケータ面に供給され、このアプリケータ面では薬剤が治療対象の皮膚に塗布され広げられ得る。その際、薬剤とユーザの指が接触する必要はない。従って、乾癬の軟膏などの塗布に関して、ユーザは、正確な量の軟膏が塗布されることだけでなく、指先の皮膚が軟膏と繰り返し接触することによって傷むことがないことにも安心する。
【0014】
アプリケータ面は、好ましくは、供給された薬剤が全て治療対象の皮膚に移されるように、また、皮膚を擦る表面を心地よいものにするために、平滑である。更に、平滑な表面は、清潔な状態を維持するために、使用後に拭き取ったりきれいにしたりするのが容易である。アプリケータ面は、略平面状、又は、薬剤を塗布する間アプリケータヘッドをわずかに転がす動作が容易になるように緩やかな凸面状としてもよく、外周は、好ましくは、塗布中の皮膚への当たりが心地よくなるように曲線である。
【0015】
乾癬を患う皮膚は頻繁に炎症を起こしたり痛みを生じたりするため、アプリケータ面は金属から構成してもよい。このようにすれば、アプリケータヘッドは、薬剤の塗布と同時に皮膚に清涼感を与えることができる。アプリケータ面は、アルミニウム、ステンレススチール、又は銀等の金属、又は合金製でもよく、或いは、金属コーティングを有する又は金属化合物を組み込んだポリマー材料を含む、天然又は合成のポリマー材料製でもよい。この点に関して、銀化合物は、その固有の抗菌作用及び治癒力から特に有益である。更にアプリケータ面に使用される材料としては、ガラス、天然及び合成繊維、ケイ素、シリコーン、炭素、及びセラミックが挙げられる。
【0016】
本発明のアプリケータを使用した薬剤の塗布をより快適にするため及び/又はユーザにとって塗布しにくい身体の領域への薬剤の塗布をより容易にするため、アプリケータ面はアプリケータの長手軸に対して傾斜していることが好ましい。
【0017】
アプリケータヘッドの直径は、例えば、アプリケータ面がカートリッジポート周辺のアプリケータヘッドの直径よりも大きな直径を有し、それによって、アプリケータの使用中にアプリケータ面上の薬剤から及び皮膚に塗布された薬剤からユーザの指を保護するためにアプリケータ面後方のショルダ部を形成するように、アプリケータ面に向かって拡大していると有益である。ショルダ部は、アプリケータ面によって皮膚をマッサージする際に指先から所望の強さの圧力を得るのにも有用である。
【0018】
アプリケータが使用されないときにアプリケータ面の汚染を回避するため、アプリケータ面用のカバーを設けることが好ましい。このように、本発明に従うアプリケータは、更に、アプリケータ面全体に嵌合してアプリケータヘッド上に保持される取外し可能なカバーを備えるようにしてもよい。この取り外し可能なカバーは、摩擦嵌合によってアプリケータヘッド上に保持されるようにしてもよく、又は、積極的な係合のためにアプリケータヘッド上の形成物と相補的な形成物、例えば、アプリケータヘッド又はその一部の周囲の外側溝と係合するためにカバー周縁に内側突起を備えるようにしてもよい。取外し可能なカバーは、可撓性又は弾力性を有し、嵌合の際、カバーを変形させたり引き伸ばしたりしてアプリケータヘッド全体に被せるようにしてもよい。
【0019】
ユーザがカバーを嵌めたり取り外したりしやすいように、カバーから延出するタブを設けてもよく、例えば、タブに下向きの圧力を加えることによって、カバーの裏面上の、典型的にはタブから延出した、突起又はリブを、アプリケータヘッドの溝又は凹みに突入させやすくし、上向きに圧力を加えることによって突起又はリブを凹みから離脱しやすくすることができる。
【0020】
アプリケータヘッドは、カバーと組み合わせて使用するように提供され、更に、アプリケータ面の封止可能な開口全体に付着させ且つカバーの内表面に取付けられた金属箔シールを備え、それによって、カバーを初めて取り外すと、金属箔シールが開口から剥離され、使用可能な状態になるようにしてもよい。
【0021】
好ましくは、アプリメータ面の封止可能な開口は、一方向弁などの弁によって封止され、それによって、塗布中にアプリケータ面から皮膚に圧力が加えられたときに、供給された薬剤がアプリケータ内に押し戻されないようにする。弁には、その他の潜在的汚染物質が開口を通ってデバイスへ侵入するのを防止する働きもある。多くの場合、薬剤は入浴又はシャワー後に塗布されるので、弁を含むことによって、アプリケータを誤って落とした場合、開口から水が入り込むのを防ぐ。
【0022】
アプリケータ面の開口を封止するための弁は、例えばアプリケータの製造中又は製造後に、アプリケータ面自体に組み込まれてもよく、若しくは又はアプリケータヘッドに組み込まれるがアプリケータ面とは一体的に組み込まれないようにしてもよい。或いは、弁は、アプリケータと共に使用するためのカートリッジと一体化させてもよい。後者の場合、カートリッジがカートリッジポートを介してアプリケータヘッドと結合されると、カートリッジ上の弁が開口内部へ押し上げられ、開口と共にシールを形成するようにしてもよい。従って、弁は、カートリッジシールとして2つの目的を果たすようにしてもよい。
【0023】
開口は、ゴム又は合成エラストマーから製造された弁などのエラストマー弁、例えばスリット弁又はダックビル弁によって封止されるようにしてもよい。このようなエラストマー弁は、制御された方法で薬剤を供給され得るようにし、薬剤に力が加えられると薬剤の供給が可能になるよう開放するが、その力が絶たれると直ぐに、即ち、駆動機構の移動が停止されると閉鎖する。エラストマー弁は、例えばツーショット成形法でアプリケータヘッド上に成形することによって、アプリケータ面に簡単に組み込まれ得る。後者の方法であれば、アプリケータ面と弁との間にシームレスで、清潔にすることが容易な結合部を作製することができる。
【0024】
或いは、アプリケータ面の開口は、ピン弁、又はマッシュルーム/ポペット型の弁によって封止されるようにしてもよい。このような弁によって、軟膏が供給される際に通過する出口のサイズを最大化することが可能になり、実質的にこの出口は開口それ自体と同じサイズになる。
【0025】
一装置において、アプリケータのアプリケータ面は、ピンなどがアプリケータ面の開口を封止する第1の停止位置から、アプリケータ面がピンに対して上昇されることによって開口を開放し、薬剤を供給され得るようにする第2の供給位置まで移動可能である。アプリケータ面は、ダイヤルノブが作動されたとき薬剤の圧力下で第1の位置から第2の位置へ移動し得るようにすると有利である。この装置は、薬剤をより速い速度で供給することができるようになる点で、且つ内部背圧を最小化する又は実質的に取り除く点で有利である。従って、一旦1回分の投与量が供給されると軟膏が開口から漏出する傾向が実質的に排除される。更に、アプリケータ面がピン等の上方に上昇されるので、アプリケータ面自体はユーザの皮膚に接触して使用するのに安全かつ快適な状態が維持される。このような装置を用いれば、一旦1回分の薬剤がアプリケータ面に供給されると、薬剤の局所塗布中にユーザの皮膚によってアプリケータ面に加えられる力により、アプリケータ面がその第1の位置に戻され、開口はピン等によって再び封止される。
【0026】
ピン又は類似のシールに対するアプリケータ面の移動は、多くの方法で達成され得る。例えば、アプリケータ面は、第1の位置と第2の位置との間でアプリケータヘッド上を移動可能であるようにしてもよく、アプリケータヘッド自体が第1の位置と第2の位置との間で移動可能であるようにしてもよい。
【0027】
ピン等をカートリッジ上のカートリッジの供給端部に設ける場合、アプリケータヘッドが可動ユニットを備えるようにしてもよく、その場合、駆動機構の作動によって、アプリケーターヘッドは第1の停止位置から第2の上昇位置に移動される。このように、カートリッジがカートッジポートに嵌合されると、アプリケータヘッドがその第1の位置にある場合はカートリッジ上のピンは開口を封止し、ダイヤルノブが回転されてカートリッジ内の薬剤に圧力がかけられると、アプリケータヘッドがピンの上方に上昇されて開口を開放する。
【0028】
当然のことながら、このような装置において、カートリッジポートもアプリケータヘッドと共に上昇するようにしてもよく、その結果、カートリッジポートは、アプリケータヘッドが第1の位置にあるか第2の位置にあるかに関係なくカートリッジを保持するように構成される。例えば、アプリケータヘッドは、アプリケータヘッドをカートリッジハウジングに固定するための係合機構を備えるようにしてもよく、この機構によって、ハウジングから離れるアプリケータヘッドの制限的な移動が可能になる。このようにして、アプリケータヘッドは、カートリッジハウジングから離れることなく開口を開放するのに必要なだけ上昇させるようにしてもよい。言い換えれば、アプリケータヘッドは、ハウジングに対してフローティングヘッドとして作用する。
【0029】
他の装置では、カートリッジポートに隣接したアプリケータヘッド上に、アプリケータ面とは分離させてピン弁を設けてもよく、アプリケータ面は、ピンがアプリケータ面の開口を封止する第1の停止位置からピン上方の第2の上昇位置に移動可能な可動ユニットを備える。この装置では、カートリッジがカートリッジポートに嵌合され、ダイヤルノブが回転されると、カートリッジ内の加圧下の薬剤がアプリケータ面の後方に力をかけることによって、アプリケータ面をピンの上方に上昇させ、薬剤が供給され得るように開口を開放する。この装置では、カートリッジは、一旦挿入されるとカートリッジポート内で静止し続け、アプリケータ面はアプリケータヘッド上のフローティングフロントパネルとして機能する。
【0030】
好適な装置では、弁は、アプリケータ面に対して後退可能なピン弁を備える。従って、第1の上昇位置ではピンはアプリケータ面の開口を封止し、第2の後退位置では開口が開放されて、ダイヤルノブの回転によってこの開口を通って薬剤が供給され得るようになる。開口は、ピンが上昇位置にある時ピンの周囲を封止して開口の閉塞を支援するアプリケータ面と面一に嵌合された弾性インサートに設けられてもよい。従って、このインサートはその弾性によってピンに対して押圧され、夾雑物などの侵入を回避するための効果的なシールの形成を支援する。
【0031】
ピン弁を上昇位置と下降位置との間で移動させるために、アプリケータは、好ましくは、更に、開口を開閉するピン弁に作用し得る弁上昇部材を備える。好ましくは、ピン上昇部材は、カートリッジポートとピン弁との間に配置され、カートリッジポートと弁は互いに対して且つアプリケータ面の開口に対して軸方向に整列している。ピン弁は、嵌合時にカートリッジ上の破断可能シールを穿孔するためのカートリッジポート内に突入する突起を備えていてもよく、例えば、この突起は、スパイクなどの鋭く尖った先端を有していてもよく、又は鋸歯状のエッジなどを有していてもよい。
【0032】
アプリケータは、好ましくは、更に、弁を開放位置と閉塞位置との間で切替えるためのスイッチ機構を備える。例えば、ピン弁と弁上昇部材を備えるアプリケータに関して、スイッチ機構は、アプリケータヘッド内で弁上昇部材を移動させるためのアプリケータの細長いスロットに捕捉されるアームなどを有する、指先による操作に適した外側スライダを備えるようにしてもよい。弁上昇部材は、一方向にスライダを操作することによって開口に対して弁を上昇させ、反対方向に操作することによって弁を下降させる。
【0033】
スライダは、好ましくは、弁が「開弁」位置にあるか「閉弁」位置にあるかに関係なく細長いスロットを覆うように細長い。更に、スライダは、ユーザがスライダを開弁位置と閉弁位置の間で移動するのを支援するように、その外側面に、外側に向かう突起を含むようにしてもよい。
【0034】
細長いスロットは、好ましくは、アプリケータの長手軸に対して略直角に延出し、このようにして、スライダ、従って弁上昇部材が、アプリケータに対して回転移動される。弁上昇部材は、スライダのアームがスロットに沿って第1の位置に移動されると開口を封止するために弁を上昇し、スライダのアームが第2の反対方向に移動されると開口を開放するために弁を下降する。弁上昇部材は、例えば、弁を支持する傾斜した上向き表面を有していてもよく、一方向への上昇部材の回転により傾斜表面に沿って弁が上昇し、逆回転により傾斜表面に沿って弁が下降される。弁は、好ましくは、スライダがスロットに対して第1の最端位置にスライドされると完全に開放し、反対の最端位置では完全に閉塞する。
【0035】
使用に際し、スライダは、好ましくはダイヤルノブを回転して1回分の薬剤を供給する直前に弁が開口を開放するように移動し、薬剤がアプリケータ面に供給された直後且つ皮膚に薬剤が塗布される前に弁が開口を閉塞するように戻される。このようにして、異物及び供給された薬剤は、薬剤の塗布中に開口に侵入することが実質的に防止され、それによって、アプリケータから供給された次の1回分の薬剤が汚染していないようにする。
【0036】
アプリケータは、アプリケータ、特にスライダが、「開弁」位置にあるか「閉弁」位置にあるかにユーザに知らせるためのしるしを含むことが望ましい。このようなしるしは、スライダがその開弁位置及び閉弁位置の各位置にあるときにスライダ上の突起の位置と整列するようにしてもよい。
【0037】
カートリッジポートは、好ましくは、アプリケータ面の後方から延出した端部が開口し筒状部であって、この筒状部に薬剤を含むカートリッジの供給端部が挿入されるようにしてもよい。より好ましくは、カートリッジポートは、カートリッジ供給端部のカートリッジ出口をアプリケータ面の開口と整列させ、ピン弁等が設けられている場合は、カートリッジポートは、好ましくはカートリッジポートとピン弁との間に弁上昇部材を配置した状態で、弁座としても機能するようにしてもよい。カートリッジポートの筒状部は、カートリッジポートの供給端部の又はそれに隣接した機能部と連携してカートリッジがアプリケータ内の奥深くに挿入され過ぎないようにするための内向きフランジを端部に有するようにしてもよい。例えば、カートリッジの供給端部は、ねじ付きカートリッジキャップを固定するためのカートリッジ本体に隣接した雄ねじ部を有するネックを備えるようにしてもよい。このキャップは、アプリケータにおいてカートリッジが使用される前にカートリッジを封止した状態に維持する機能を有し、カートリッジがアプリケータに嵌合されるときに取り外される。従って、カートリッジポートの内向きフランジは、カートリッジが所望の位置まで挿入されたときにカートリッジネックのねじ部分の(先導)端部に当接してこの位置を越えて更に挿入されるのを防止するようにしてもよい。
【0038】
アプリケータヘッドは、上方傾斜(即ちアプリケータ面に向かう)内側ショルダを含むようにしてもよく、供給端部に隣接した相補的な下向きショルダを有するカートリッジが、完全に挿入されたときにこの内側ショルダに接触して停止するようにしてもよい。傾斜ショルダは、場合にもよるが、カートリッジポートの筒状部の基部から拡径するようにしてもよい。このような傾斜ショルダはカートリッジを適切な位置へ案内するのを支援することもできる。
【0039】
完全に挿入されると、カートリッジの供給端部の出口は、好ましくは、アプリケータ面の開口と整列する。必要に応じて、アプリケータヘッドは、カートリッジポートからアプリケータ面の開口まで延出することによってカートリッジの供給端部の出口から開口までの薬剤の連続的な流体流路を形成する、穴や管などの流路を備えていてもよい。しかし、好適な装置では、カートリッジが完全に挿入されたとき、カートリッジの出口はカートリッジポートを越えた位置にあり、端部はアプリケータ面の開口を封止又は開放する弁の近くに位置する。
【0040】
アプリケータは、好ましくは、更に、完全に挿入された位置でカートリッジポートに対してカートリッジを固定するための保持機構を備える。カートリッジ保持機構は、例えば、カートリッジの雄ねじと連携するための上述した筒状部のものと同じようなカートリッジポートの雌ねじとして、カートリッジポートに又はそれに隣接して設けられると最も都合がよい。
【0041】
より好ましくは、カートリッジ保持機構は、バヨネット式取付け方法によってカートリッジの対向するつまみを収容するための一対の対向するL字スロットを備える。好ましくは、このスロットはカートリッジポートに設けられる。従って、カートリッジは、まずカートリッジポートに押し込まれ、つまみがスロット開口内に「落ちる」まで捻ることによって嵌合され、次に、適切な位置にカートリッジを固定するため、カートリッジは、4分の1回転(90°)など、更に捻られる(回転される)。
【0042】
アプリケータは、更に、アプリケータヘッドから延出し、カートリッジがその完全に挿入された位置にあるときカートリッジ又はその大部分を収納するカートリッジ用ハウジング又はアプリケータ本体を備えるようにしてもよい。一例として、アプリケータヘッド及びハウジングは相補的なフィッティングを備え、例えば、アプリケータヘッドが雄ねじを、ハウジングの上部開口端が雌ねじを備えたり、又はその逆にしたりする。他の例として、アプリケータヘッド及びハウジングは、相補的なバヨネット固定部を備え、例えば、アプリケータヘッド、典型的には筒状部に対向L字スロットを、ハウジングに対向ピンを備える。
【0043】
更に別の選択肢として、アプリケータヘッド及びハウジングは、単に、アプリケータヘッド又はハウジングの一方がボタン等の押下可能突起を有し、他方がアプリケータヘッドとハウジングが嵌合されたとき突起/ボタンが突入する開口を有する状態で、互いに「カチッと噛み合わせる」ようにしてもよい。突起/ボタンを押下して接続を解消することによってハウジングからアプリケータヘッドを分離出来るようにしてもよい。
【0044】
更に好適な選択肢として、アプリケータハウジングがアプリケータヘッドから延出し且つそれと一体化している。例えば、アプリケーターヘッド及びハウジングは、単一の成形品からなるようにしてもよい。アプリケータ面もアプリケータヘッドと一体化させてもよいが、アプリケータ面は、好ましくは、アプリケータヘッドに後で溶接或いは接合され、アプリケータヘッドの一部を形成する別体の成形品からなる。
【0045】
当然のことながら、アプリケータの供給機構は、操作が簡単であることが望ましい。これは、典型的には指の関節に影響を及ぼして器用さを必要とする扱いにくい制御部を有するデバイスを操作することが困難になる乾癬性関節炎を患う患者にとって特に重要である。従って、単にアプリケータ上のダイヤルノブを回転させることによって1回分の薬剤を繰り上げることによって、薬剤を供給する手段が容易になる。ダイヤルノブは、好ましくは、ユーザに滑り止めグリップを提供するために凹凸付き又は機能付き外表面を備える。例えば、ダイヤルノブは、複数の隆起グリップ機能部を有し、好ましくは、その機能部のうちの1つが、ユーザがダイヤルノブを完全に1回転し易いように拡大されていてもよい。
【0046】
ダイヤルノブは、カートリッジの非供給端部でカートリッジ自体に設けられ、又は、アプリケータがカートリッジ用のハウジングを備える場合はカートリッジの非供給端部に隣接したハウジングの端部に設けられ、事実上カートリッジ又はハウジングの端部のキャップとして機能するようにしてもよい。
【0047】
より好ましくは、アプリケータは、アプリケータ本体と、ダイヤルノブ及びダイヤル本体を含むダイヤルアセンブリを備え、ダイヤルノブはダイヤル本体に回転可能に取り付けられる。カートリッジを挿入及び交換するため、ダイヤル本体は、好ましくは、ねじ込み嵌合によって、バヨネット式固定部によって、又はその他の既知のインターロック機構などによって、アプリケータ本体に取外し可能に取付け可能である。
【0048】
アプリケータ本体は、好ましくは、カートリッジが完全に挿入されたときにカートリッジの非供給端部がアプリケータ本体の端部から突出し、挿入が終わるまで及びその後にカートリッジを取り除くとき、例えば、使い切って交換するときユーザがカートリッジを掴んだままでいられるような長さを有する。加えて、カートリッジの突出部は、薬剤やメーカー、薬剤の有効及び使用期限など1つ以上の識別情報などの情報を保持するようにしてもよい。従って、ユーザは、カートリッジをカートリッジポートから切り離すことなくカートリッジの内容を確認することができる。
【0049】
ダイヤルアセンブリ及びアプリケータ本体は、ダイヤルアセンブリをアプリケータ本体に嵌合する際にユーザをガイドする相補的なインジケータ、例えば、ダイヤル本体に矢印を、アプリケータ本体に非ロック状態及びロック状態を表す印を含むようにしてもよい。従って、バヨネット固定の場合、おそらくカートリッジの挿入後に行われるように、ダイヤルアセンブリがアプリケータ本体に嵌合すると、ダイヤル本体の矢印がまず非ロック状態を表す印と整列し、ダイヤル本体はアプリケータ本体に向かって押し込まれ、その後、例えば4分の1回転捻られ、本体同士をロックする。ロックされた状態で、ダイヤル本体の矢印は、アプリケータ本体のロック印と整列する。
【0050】
アプリケータの駆動機構が作用するピストン及び駆動部材は、例えば、ダイヤルノブを備えるダイヤルアセンブリの一部として、カートリッジを、カートリッジ用のハウジングを、又はダイヤルノブを備えるようにしてもよい。従って、駆動部材、典型的にはねじ付き駆動ロッドは、ダイヤルノブと一体化して、又はダイヤルノブに取付けられ、駆動部材がダイヤルノブと共に回転されるようにしてもよい。このような装置は、例えば、以下により詳細に記述するが、可撓性バッグ形状のカートリッジなど、内部に延出する駆動部材を有さないタイプのカートリッジと共に使用するのに適している。
【0051】
外部のピストンによって排出される可撓性バッグタイプのカートリッジと共に使用するための装置など、代替的な装置は、ダイヤルノブから延出しダイヤルノブと共に回転可能なねじ付き筒を備えるようにしてもよい。ピストンは、ねじ付き筒と動作可能な状態で係合し、アプリケータ本体又はバッグハウジングと封止係合し、ダイヤルノブの回転に伴い、アプリケータヘッドに向かってねじ付き筒に沿って駆動され、それによって、バッグ内の薬剤を圧縮し、アプリケータヘッドの開口を通ってバッグから薬剤が押し出される。
【0052】
しかしながら、好適な装置では、ねじ付き駆動ロッド形状の駆動部材とピストンは両方ともカートリッジに設けられ、駆動ロッドの一端がカートリッジに収容されたピストンの後方から突出し、この突出端部は、カートリッジ内で駆動ロッドを回転させてピストンを前進させるようにダイヤルノブによって操作され得る。このような装置では、好ましくは、ダイヤルノブの回転が駆動ロッドの回転を生じるように、駆動ロッドの突出端部を捕捉するようにダイヤルノブが構成され、又はダイヤルノブを捕捉するように駆動ロッドの突出端部が構成される。
【0053】
駆動ロッドは、例えば、アプリケータのカートリッジポートにカートリッジを嵌合させた後、駆動機構を作動させることなく、ダイヤルノブと結合させることが望ましい。従って、ダイヤルノブ及び駆動ロッドは、好ましくは、最初に直線結合によって連携される。例えば、ダイヤルノブは、シャフト又はスピンドルを備え、このスピンドルと、駆動ロッドの端部の対応する穴を軸方向に整列させたときこの穴にスピンドルが挿入するようにしてもよい。或いは、ダイヤルノブが軸方向に整列した駆動ロッドの端部を収容するための穴を有するようにしてもよい。結合スピンドル又はロッド及び穴は、好ましくは、一方を他方に直線的に挿入させた後、ダイヤルノブの操作によってダイヤルノブと駆動ロッドが共に回転するような相補的な外形を有する。このような相補的な外形は、単に摩擦嵌合部を含むが、より好ましくは、多角形、典型的には正方形又は六角形等の非円形断面、又は重なり合う半径方向突起からなるようにしてもよく、又は、駆動ロッドの端部が、ダイヤルノブの穴の長手方向溝と噛合するためのスプラインを有するようにしてもよい。
【0054】
ダイヤルノブは、外側ダイヤルリングと、駆動部材の端部を収容するための中空スピンドル形状の内側穴を有する実質的に中空の要素を備えるのが有利である。最も好ましくは、ダイヤルノブの穴が、駆動ロッドのスプライン付き端部と係合するための長手方向溝を有する。
【0055】
例えば、弁スイッチがない場合に、アプリケータから薬剤が誤って供給されるのを防ぐため、ダイヤルノブを作動不能静止位置に維持し、1回分の薬剤が供給された後ダイヤルノブを静止位置に戻すダイヤルノブ作動停止機構を設けてもよい。このような機構は、例えば、ダイヤルノブを作動不能静止位置に押圧するための弾性部材を備えるようにしてもよい。従って、ダイヤルノブを起動するために、ユーザは、その弾力に抗してダイヤルノブを第2の作動可能位置に移動しなければならない。一旦薬剤が供給されると、ユーザはダイヤルノブを離し、するとすぐに弾力によってダイヤルノブが作動不能静止位置に押し戻される。
【0056】
作動停止機構は、ダイヤルノブの内壁及びカートリッジ又はハウジングの外壁上の相補的な相互係合又はインターロック部材などによってダイヤルノブの回転が防止される静止位置にダイヤルノブを押圧するスプリング又はその他の弾性要素を備えるようにしてもよい。このような回転ロック機構は、スプリング又は弾性部材の力に抗してダイヤルノブを動かすことによって解除されるようにしてもよく、その直後にユーザがダイヤルノブを回転させることによって1回分の薬剤を「ダイヤルする」ようにしてもよい。ダイヤルノブを回転又は僅かに回転させた後、ユーザはダイヤルノブを離すことができ、するとすぐにスプリング又は弾性要素の作用によってダイヤルノブがロック位置に戻される。回転ロック機構は、従って、ダイヤルノブを解除して回転させるために「引っ張って捻る」動作又は「押して捻る」動作を必要とするようにしてもよい。
【0057】
或いは、動作停止機構は、駆動部材とダイヤルノブの結合解除部を含むようにしてもよい。駆動部材とダイヤルノブが結合解除されると、ダイヤルノブが自在に回転可能に、即ち、空回りするようになり、駆動部材を作動することが出来ない。例えば、駆動部材は、カートリッジ内側の薬剤に埋め込まれたねじ付きロッドを備え、ダイヤルノブは、駆動ロッドから離れた第1の静止位置から駆動ロッドに結合された第2の作動可能位置に移動可能であるようにしてもよい。従って、アプリケータを操作するために、ダイヤルノブは、まず、駆動ロッドと結合するように押し込まれ、次にピストンを前進させるように回転又はダイヤルされなくてはならない。薬剤を供給するために積極的な動作を必要とするが、「押す、係合する及び捻る」という動作はユーザによって不便なく容易に実行される。
【0058】
ねじ付き駆動部材の不要な巻き戻しを防止するため、駆動部材及びカートリッジは、ダイヤルノブが結合位置にあるとき互いに連携してカートリッジに対する駆動部材の逆回転を防止する相補的な形成体を備えるようにしてもよい。駆動部材がピストンに対して軸方向にロックされるのが効果的である。例えば、駆動部材は、放射状に外に向かって延出する複数のリブを備える基部を備えるようにしてもよく、カートリッジ壁が放射状に内側に向かって延出する複数の相補的なリブを備え、ダイヤルノブは、ダイヤルノブが駆動部材と結合するとカートリッジ壁の内側リブと重複関係になるように駆動部材の基部のリブを外側に向かって拡開する。
【0059】
このような装置では、駆動部材の基部は、放射状に延出するリブを保持するカラーを備えるようにしてもよい。このカラーは、ダイヤルノブが駆動部材と結合関係になったときにダイヤルノブによって加えられた圧力かで外側に向かって拡開するように構成される。例えば、カラーは、ダイヤルノブの圧力下で外側に向かって拡張可能な弾性物質から構成されてもよく、又はカラーは、カラーの拡開を可能にする1つ以上の長手方向スリットを備えるようにしてもよい。ダイヤルノブは、ダイヤルノブが駆動部材と結合関係になったとき駆動部材のカラーを拡開するための外側ダイヤルノブ壁と同心だが外側ダイヤルノブ壁から離間している内側リングを備えるようにしてもよい。好ましくは、このリングは、その先導縁からテーパ状の外側壁を有し、駆動部材基部のカラーへのリングの挿入を容易にし、テーパ部がカラー内に前進するにつれてカラーを徐々に拡開する。当然のことながら、側壁のテーパ部がカラー内に進入して前進するにつれて、カラー上のリブが内側カートリッジ壁上のリブ間に押圧される。このようにして、カートリッジに対する駆動部材の逆回転が実質的に防止される。
【0060】
当然のことながら、上述のように駆動ロッドが結合解除されると、駆動ロッド自体はカートリッジ内で自在に「浮動する」。これにより、カートリッジから軟膏が誤って供給されるのを防ぐとともに、周囲温度の変化によって生じるカートリッジ内の軟膏の収縮及び膨張も可能になる。アプリケータはより暑い環境で使用されると、軟膏が膨張して開口を通って漏出又はピストン又はピストンシールを突破するリスクがなくなる又は少なくとも大幅に減少する。
【0061】
熱膨張による薬剤の漏出を回避するため又は漏出した薬剤を収容するためのその他の装置も検討される。例えば、アプリケータがカバーを備える場合、このカバーは、少なくとも開口に隣接する領域に、アプリケータ面とカバーの背面との間に空間を生じるような形状にしてもよく、この空間内に、膨張している薬剤が漏出するようにしてもよい。この装置によって、ユーザは、1回分の薬剤を繰り上げる前に漏出物を除去するためアプリケータ面を拭き取るだけでよい。
【0062】
その他の選択肢として、カートリッジの排出端に隣接するカートリッジポートに避難路を設け、薬剤が保管中に膨張した場合にこの避難路に流れるようにする。このような避難路によって、漏出した薬剤は、アプリケータヘッド内に、例えばその膨張チャンバなどに、収容されて、上記では必要とされるようにユーザが使用前に漏出薬剤をアプリケータ面から拭き取る必要がなくなる。アプリケータヘッドは、時々洗浄して漏出薬剤を内部から除去することができる。
【0063】
熱膨張に対応するための更に他の解決法として、ピストンに、例えばそのプランジャに、膨張チャンバを設ける。膨張チャンバは、膨張チャンバからカートリッジ内部まで延出する流路を有し、薬剤が膨張チャンバ内に膨張することができるようにする。膨張チャンバの容積は、好ましくは、カートリッジが満充填していても膨張薬剤を収容する空間があるように薬剤の最大膨張体積に等しい。この装置では、外見上完全に排出されたとき、比較的に少量の薬剤がカートリッジ内に残る、即ち、膨張チャンバに「閉じ込められる」ようにしてもよい。チャンバに残る薬剤の量は、典型的には、50gのカートリッジでは約1gを越えないので、これは比較的少ない。
【0064】
熱膨張に対応するための特に好ましい解決法は、ダイヤルノブを巻き戻すことを含む。従って、駆動機構のダイヤルノブは、好ましくは、薬剤を供給するために駆動部材に対してピストンを前進させるために前進方向にアプリケータの長手軸を中心に回転可能であり、ピストンに対して駆動部材を前進させるために逆回転可能(即ち、反対方向に回転可能)である。このような巻き戻し機構では、駆動部材がその長手軸に沿って前方及び後方に少なくとも短距離を自在に移動可能である必要がある。従って、駆動部材とダイヤルノブは、好ましくは、一体的なコンポーネントではなく、むしろ、駆動部材とダイヤルノブは、ダイヤルノブを巻き戻すと駆動部材が往復移動することができるように結合される。
【0065】
アプリケータが駆動ロッドを備えるカートリッジと嵌合したとき、ダイヤルノブは常時駆動ロッドの端部と結合したままであることが好ましい。このようにして、ユーザは、薬剤を供給するためにダイヤルするためであれ、保管するために巻き戻すためであれ、必要に応じて、ダイヤルノブが常に駆動ロッドに対して作動可能であることが確認できる。従って、ダイヤルノブが穴やスピンドルなどからなる場合、この穴やスピンドルなどは、駆動ロッドが供給位置にあるか巻き戻し位置にあるかを問わず、内部に駆動ロッドの端部を保持するのに十分な長さを有する。
【0066】
当然のことながら、ダイヤルノブが逆回転又は巻き戻されると、ピストンが静止したまま駆動部材が前進し(即ち、駆動部材が供給方向に移動し)、それによって、ピストン後方に膨張容量を生じる。言い換えれば、ピストンと駆動部材は、前進した距離だけ膨張薬剤の圧力によって共に後方に押圧され得る。このようにして、カートリッジ内の薬剤の熱膨張に対応するのが好都合である。
【0067】
当然のことながら、アプリケータがアプリケータ面の開口を閉塞するための弁及び弁スイッチを備えていても、アプリケータ内の圧力が熱膨張によって上昇すると多少の薬剤の漏出は発生する可能性はある。従って、このような漏出を防止するためダイヤルノブを使用後は常に巻き戻すことが推奨される。
【0068】
ダイヤルノブが巻き戻されると、ユーザは、次の薬剤を供給する前に、元の位置までダイヤルノブを「前方に巻き上げる」ことが必要になる。従って、ダイヤルノブを、巻き戻されたのと同程度だけ前進回転すべきである。単純にするため、且つ合理的な温度変化に関して十分な膨張容量を生じるため、ダイヤルノブは、好ましくは、1回転だけ逆回転させる。1回転だけ巻き戻せば、一般的に、薬剤における約15℃の温度変化に対応可能な膨張容量を生じるには十分である。このように巻き戻した後、次にアプリケータを使用する前に1回転だけダイヤルノブを前方に巻き上げる必要がある。
【0069】
例えば、上述したような巻き戻しに対応するために、駆動ロッドがダイヤルノブに対して固定されていない場合、ダイヤルノブがピストンを前方に駆動して薬剤を供給することができるように、駆動ロッドの反対の長手方向への変位(即ち、供給方向から離れる移動)を制限することが望ましい。従って、アプリケータは、好ましくは、反対方向への駆動ロッドの長手方向移動の範囲を規制するための停止部を含む。例えば、この停止部は、突起などの上向き停止表面、好ましくは、ダイヤルノブの穴を包囲するフランジから構成されるようにしてもよく、ピストン後方の駆動ロッド上に設けられ駆動ロッドの端部から間隔を開けた、同様にフランジ形状とすることができる突起に当接する。従って、カートリッジ嵌合後のアプリケータのプライミング中に又は巻き戻し後に起きるように、ダイヤルノブによって前方に巻き上げられると、駆動ロッドは、駆動ロッドフランジ又はその他の突起がダイヤルノブ穴周囲の停止表面に当接する位置までだけ反対方向に下降することができる。駆動ロッドの線形移動が防止されると、ダイヤルノブによる駆動ロッドの更なる前進回転によって、プランジャが前進して薬剤が供給される。その後ダイヤルノブが巻き戻されると、駆動ロッドは、駆動ロッド上のフランジが停止表面から離れるように上方に駆動される。
【0070】
好適な装置では、駆動ロッドのための停止表面は、ダイヤルアセンブリのダイヤル本体、例えばダイヤルノブの中空スピンドルを実質的に包囲するダイヤル本体の筒状部の上端に設けられる。
【0071】
アプリケータが供給可能な状態にあるか否か、又はダイヤルノブが巻き戻されているときの保管モードにあるか否かをユーザが判断することができるのが有利である。従って、アプリケータは、好ましくは、更に、アプリケータが供給モードであるか保管モードであるかを示すための巻き戻し状態インジケータ機構を含む。
【0072】
巻き戻し状態インジケータ機構は、駆動部材によって操作可能であると都合がよく、この場合、駆動部材がダイヤルノブの巻き戻しによって前進されると第1の保管状態が示され、アプリケータがプライミングされ使用可能な状態になるようにダイヤルノブを前進方向に巻き上げることによって駆動部材が逆転されると第2の供給状態が示される。好ましくは、アプリケータは、駆動部材がプライミング位置から360°以上巻き戻されたときに保管状態を示す。
【0073】
インジケータ機構は、好ましくは、ダイヤルアセンブリ内に、最も好ましくはダイヤルノブ内に格納される。従って、アプリケータの状態は、ダイヤルノブの端面を介して表示されるのが好都合である。例えば、インジケータ機構は、アプリケータがプライミングされて使用可能な状態であるとき(即ち、ダイヤルノブの前進回転の結果として)駆動部材によってダイヤルノブの端面に押圧され、アプリケータが保管モードにあるとき(即ち、ダイヤルノブを360°巻き戻すことによって駆動部材が前進した結果として)ダイヤルノブの端面の上方に上昇されるインジケータ部材を備えるようにしてもよい。
【0074】
ダイヤルノブの端面は、ユーザが、アプリケータがプライミングされた状態にあることを示す、インジケータ部材がいつ端面に接触するかを観察することができるように、少なくとも部分的に透光性又は透明にしてもよい。ダイヤルノブの端面は、例えば、裏刷りや艶消しによって透明になった透明エンドキャップなどのエンドキャップを備えるようにしてもよい。
【0075】
インジケータ部材がダイヤルノブの端面と接触していないとき、端面は、インジケータ部材が示す印とは対照的な印を表示し、それによって、アプリケータが巻き戻された(保管)状態であることをユーザに知らせることが好ましい。
【0076】
ダイヤルノブの端面は、その内側表面上に無色の中心レンズリングを有するエンドキャップを備えるのが有利であり、このレンズリングは、レンズリングに近接した表面の色を端面の外面に反映する。エンドキャップは、好ましくは、透明な中心レンズリングを除いて透光性である。インジケータ部材と、エンドキャップを包囲するダイヤルノブの部分に異なる色を選択することによって、レンズリングは、インジケータ部材の位置によって、異なる色をエンドキャップの外面に反映することができる。
【0077】
特に好適な装置では、ダイヤルノブは、外側ダイヤルリングと、駆動部材の端部を収容するための穴を有する内側スピンドルと、この穴と同心の透明レンズリングを内表面に備えるエンドキャップとを備え、このエンドキャップは、レンズリングの領域を除いて実質的に透光性であり、ダイヤルノブ内に収容される巻き戻しインジケータ機構は、内側スピンドルの穴に延出し、直接的に、又はこの細長い部分に着座するインジケータだぼなどによって、駆動部材の端部に接触可能な細長い部分を有するインジケータ部材と、レンズリングと同心且つレンズリングよりも大きな直径を有するリング部とを備える。ダイヤルノブ、又は少なくともエンドキャップに隣接するその一部は、第1の色を有し、インジケータ部材、又は少なくともリング部などその一部は、第2の異なる色を有する。従って、インジケータ部材又はそのリング部が、細長い部分に作用する駆動部材によってダイヤルノブの端面に押圧されると、レンズリングは、インジケータの色をエンドキャップの外面に反映し、インジケータ部材がダイヤルノブの巻き戻しによって上昇されると、レンズリングは、エンドキャップに隣接するダイヤルノブの色を外側端面に反映する。
【0078】
好ましくは、インジケータ部材、又は少なくともそのリング部は、緑色であり、エンドキャップに隣接するダイヤルノブは赤色である。このようにして、アプリケータがプライミングされ、使用可能な状態になると、エンドキャップの外面には緑色のリングが反映され、ダイヤルノブの巻き戻し後に、アプリケータが保管モードになると、外面には赤色のリングが反映される。
【0079】
当然のことながら、緑色と赤色を識別することが困難な人もいるので、他の色の組み合わせを利用してもよい。例えば、インジケータリングは、模様入りのリングが外側エンドキャップ面に反映されるように、凹部付き切欠や印刷されたブロックなどを含むようにしてもよい。このようにすれば、色覚異常のある人が、プライミングされた(模様付きリング)状態と保管(無地のリング)状態の反射リングの違いを識別することができる。
【0080】
駆動部材が巻き戻されたときインジケータ部材が上昇するように、インジケータ機構は、好ましくは、更に、インジケータ部材とダイヤルノブの端面との間に配置されたインジケータスプリングを含み、このインジケータスプリングによって、ダイヤルノブが前進回転されると、駆動部材がインジケータ部材をダイヤルノブの端面に押圧し、ダイヤルノブが逆回転又は巻き戻されると、インジケータスプリングはインジケータ部材をダイヤルノブの端面から遠ざける。好ましくは、インジケータスプリングは、アプリケータがダイヤルノブの前進回転によってプライミングされると、インジケータ部材とダイヤルノブの端面との間で圧縮される。従って、駆動部材が巻き戻しによって前進すると、インジケータスプリングは、ダイヤルノブの端面から離れるようにインジケータ部材を上昇させる。
【0081】
アプリケータは、1回分の薬剤がいつ供給されたかをユーザに示すしるしを含むようにしてもよく、このようなしるしは、ユーザに可聴応答を生じる、クリッカー機構のような機構を備えるようにしてもよい。例えば、ダイヤルノブの内壁及びカートリッジの外壁は、ダイヤルノブが1回転される毎に又は少し回転される毎に、可聴表示、例えば可聴のクリック音を1回以上生成する、相補的な機能部を備えるようにしてもよい。
【0082】
より好ましくは、クリッカー機構は、上記したダイヤルアセンブリに設けられる。例えば、ダイヤルアセンブリは、アプリケータ本体と係合するためのダイヤル本体と、ダイヤル本体に回転可能に接続されたダイヤルノブとを備え、ダイヤルノブが、1つ以上のクリッカーアームを保持し、ダイヤル本体が1つ以上のクリッカーポストを有するようにしてもよく、この場合、クリッカーアーム(単数又は複数)が、ダイヤルノブの回転によってクリッカーポスト(単数又は複数)を乗り越え、可聴クリック音を生じる。ダイヤルノブは、好ましくは、2本のクリッカーアームを有し、ダイヤル本体は、好ましくは、4本の等間隔に配置されたクリッカーポストを有し、いずれの方向でもダイヤルノブを45°回転させる毎に1本のアームが1本のポストを乗り越えるようにする。当然のことながら、クリック音毎に、所定量、例えば0.1gの薬剤が供給される。
【0083】
或いは、可聴表示は、ラチェット機構によって行われるようにしてもよい。或いは、又はそれに加えて、ダイヤルノブは、カートリッジの可視インジケータと整列する、外側壁などにある、可視インジケータを有するようにしてもよい。これらのインジケータは、ダイヤルノブの回転の開始時には整列しており、回転中にずれるように移動し、ダイヤルノブが1回転すると整列状態に戻る。カートリッジは、ユーザが、「1回転」分の投与量の一部がいつ供給されたかを判断することができるように、例えば、主要なインジケータから4分の1、2分の1又は4分の3の位置に、更なる又は「部分回転」インジケータをも含むようにしてもよい。
【0084】
アプリケータは、ユーザに、カートリッジ内にどのくらい薬剤が残っているか又はカートリッジからどのくらい薬剤が供給されたか、情報を提供するための充填量インジケータも含むようにすると有用である。
【0085】
充填量インジケータは、好ましくはダイヤルノブとリンクしたカウンタ機構とを備えるようにしてもよく、このカウンタ機構によって、ダイヤルノブが1回転する毎にカウンタ機構が1単位だけ前進する。カウンタ機構は、供給済み又は残存の薬剤の投与回数又は体積を示す、又は一般的な使用表示を提供する、特にカートリッジがいつ空になるかを示す、ユーザに可視のインクリメンタルスケールからなるようにしてもよい。
【0086】
一装置において、カウンタ機構は、ダイヤルノブの基部の開口から視認可能な回転可能ディスクを備え、このディスクは、供給済み又は残存の投与量、又は供給済み又は残存体積のいずれかの円形のディスプレイを保持する。
【0087】
他の装置では、カウンタ機構は、ハーモニックドライブ機構や、ゼネバ歯車機構など、ダイヤルノブの回転を間欠的な回転動作に変換するギア機構を備えるようにしてもよい。後者の機構が好ましく、ツインゼネバ歯車機構の形状が最も好ましい。ツインゼネバ歯車機構では、ダイヤルノブが1回転すると、被駆動歯車が1段だけ前進する。従って、被駆動歯車上のマーカーが、ダイヤルノブに隣接するカートリッジ又はカートリッジ用ハウジングの外壁上に設けられた投与回数カウンタスケールに対して追跡されるようにしてもよい。
【0088】
毎日の所定量を越える薬剤を供給することは勧められないことが多いので、例えば、患者は、1日につき15gを越える乾癬軟膏を塗布するべきではなく、カウンタ機構は好ましくはリセット可能である。従って、毎日、ユーザは、軟膏の初回投与量を供給する前にカウンタ機構をゼロにリセットするようにしてもよい。当然のことながら、カウンタ機構をリセットすることによって、ユーザは、合計でどのくらいの軟膏が供給されたか、又はどのくらい供給する薬剤が残されているかについての表示はほとんど得られない可能性がある。
【0089】
従って、充填量インジケータをダイヤルノブにリンクさせる代わりに、又はそれに加えて、インジケータをピストンにリンクさせて、ピストンの位置が検出又は観察され得るようにしてもよい。当然のことながら、ピストンは、駆動部材に沿ってカートリッジ又はハウジングの上方に前進し、薬剤を供給する。従って、最も単純な形式として、ダイヤルノブは、その端面を貫通する開口を備えるようにしてもよく、その開口を介してユーザはピストンの位置を視認するようにしてもよい。
【0090】
ピストンの前進を追跡してカートリッジの充填量レベルを判断するその他の手段が用いられてもよい。例えば、ピストンは、ピストンが上昇するにつれてカートリッジの内壁を削るブレードを備えるようにしてもよい。このようなブレードは、ピストンの牽引端から横方向に延出するようにすると最も都合がよい。
【0091】
ユーザがブレードによって形成された刻み跡の範囲を観察するために、カートリッジは、透明、半透明、又は透光性材料から製造されることが望ましい。非常に見易いインジケータを提供するため、少なくともブレード部材に近接した、カートリッジの内壁は、ブレードの作用によって削り取られる又は剥離される物質によってコーティングされてもよい。カートリッジがハウジング内に保持される場合、ハウジングは、細長い窓又は開口を備え、この細長い窓又は開口を介して、ユーザは、ピストン及びブレードがカートリッジ上方に前進するにつれ、刻み跡の進行を目視するようにしてもよい。カートリッジ及び/又はハウジングは、ユーザが、使用済み又は残存の薬剤体積を判断することができるように、ブレード部材に隣接して、目盛り付きスケールも保持するようにしてもよい。
【0092】
ピストンの前進を追跡するその他の手段は、ピストンに取付けられた、好ましくはピストンの牽引端に取付けられた、第1の端部を有し、カートリッジの基部周囲を外側カートリッジ壁に接して伸び、第2の自由端で終端するリボンを備える。軟膏を供給する前、このリボンは、ピストンの後方から外側カートリッジ壁の略全長に渡って伸びている。薬剤が供給されるにつれ、ピストンはカートリッジ上方に前進し、リボンをその後方から引っ張っていく。従って、リボンの第2端部は、外壁を伝って徐々に引き下げられ、それによって、カートリッジがどのくらい消耗されたかを示す。リボンは、好ましくは透明の、細長い筐体によって外側カートリッジ壁に軽く接触した状態で保持されるようにしてもよい。カートリッジが使用の際ハウジング内に保持される場合は、ハウジングは、好ましくは、細長い窓を含み、この窓を介してリボンが目視されるようにしてもよい。
【0093】
一般的に、本発明に従うアプリケータは再利用可能である、即ち、交換可能カートリッジと共に使用されることが好ましいが、アプリケータが、予め充填された使い捨てデバイスを備えることも考えられ、その場合、アプリケータヘッド、駆動機構、及びカートリッジは、一旦軟膏が全て排出されると、又はユーザが一連の治療を終えると、例えば単一ユニットとして、全て使い捨てすることができる。このような使い捨てのアプリケータでは、カートリッジには、好ましくはアプリケータヘッドが、最も好ましくは外側ハウジングが、予め組付けられており、不注意によって「押しつぶされ」たり変形されたりして、軟膏が無作為に排出されないようカートリッジを保護する。
【0094】
使い捨てアプリケータ又は再利用可能なアプリケータに関して、アプリケータヘッドは、好ましくは、典型的には成形プラスチックである、アプリケータハウジングと一体であり、ハウジングはアプリケータヘッドとは反対側の端部が開口しており、カートリッジを挿入することができる。カートリッジが挿入された後、ハウジングの開口端は、好ましくはアプリケータハウジングと接続しカートリッジ基部で駆動部材と係合するダイヤルアセンブリの一部としての、ダイヤルノブによって閉じられるようにしてもよい。アプリケータヘッドは、典型的には上述したように取外し可能なカバーと共に使用されるように提供される。
【0095】
使い捨て品であれば、アプリケータを、その使用期間中は清潔な状態に容易に維持することができ、特に封止可能な開口の周囲では微生物汚染のリスクがほとんどない。
【0096】
本発明に従うアプリケータは、同様に、再利用可能なアプリケータヘッドを備えるようにしてもよく、その場合、1つのカートリッジをカートリッジポートから引き抜き、次の又は他のカートリッジを嵌合させることができる。アプリケータヘッドが、例えば、金属製のアプリケータ面を含む場合、アプリケータヘッドを再利用可能なことは、経済的に、また環境面からも理にかなっている。
【0097】
再利用可能なアプリケータヘッドは、液体を用いる洗浄が可能であり且つ/又は抗菌性剤又は抗微生物剤による洗浄に耐えることができることが望ましい。一般的にアプリケータヘッドは容易に洗浄することができる表面を備えるが、ユーザは、時々はもっと徹底的なアプリケータヘッドの洗浄を望んでいる可能性がある。
【0098】
アプリケータがカートリッジを収納するためのハウジングを含む場合、好ましくはこのハウジングも再利用可能なヘッドと共に再利用可能である。従って、ユーザは、様々な容積のカートリッジなど、交換可能なカートリッジと共に使用するために1組以上のアプリケータヘッドとハウジングを保有するようにしてもよい。この点に関して、アプリケータのダイヤルノブは、例えば、ダイヤルアセンブリの一部としてのダイヤル本体に接続することによって、ハウジングに接続され得又は接続可能であり得、ハウジングの一部を形成するようにしてもよく、ダイヤル本体は同様にアプリケータ本体に接続可能である(ダイヤル本体とアプリケータ本体は共にカートリッジハウジングを形成する)。この場合も同様に、ハウジングも、好ましくは、液体による洗浄が可能であり且つ/又は抗菌/抗微生物剤による洗浄が可能である。ダイヤルノブも洗浄のために取外し可能としてもよい。
【0099】
当然のことながら、本発明は、薬剤カートリッジと共に用いるための上述したようなアプリケータだけでなく、薬剤カートリッジが嵌合される場合のアプリケータにも存する。また、本発明は、更に、アプリケータと共に使用するための薬剤カートリッジに存する。
【0100】
従って、他の態様から、本発明はまた上述したようなアプリケータと共に用いるためのカートリッジを備える。好ましくは、カートリッジは予め充填されたカートリッジであり、薬剤、特に乾癬の治療のための薬剤が予め充填されるが、この薬剤に制限するものではない。
【0101】
上述したように、カートリッジは、薬剤アプリケータのカートリッジポートと連携するように構成された第1の排出端部と、第2の端部を有する、例えば金属箔の、可撓性バッグを備えるようにしてもよく、この可撓性バッグは、カートリッジに充填された薬剤を排出端部から押し出すためにピストンによって第2の端部に加えられる圧力によって圧縮可能である。可撓性バッグの排出端部は、カートリッジポートを介してアプリケータヘッドと係合する、好ましくは雄ねじやバヨネット固定部等を有する、実質的に剛性のエンドキャップを備えるようにしてもよい。エンドキャップは、可撓性バッグをアプリケータに接続する前に剥離され得る又は接続時にカートリッジポートによって破断され得る、金属箔カバーなどの、閉鎖部材によって封止されるようにしてもよい。可撓性バッグは、好ましくは、アプリケータの、アプリケータヘッドと係合可能な筒状ハウジング内、又はアプリケータヘッドと一体となったアプリケータ本体内に嵌合するために、略筒状でもよい。
【0102】
或いは、可撓性バッグは、ねじ付き駆動ロッドなどの駆動部材を収容可能な、第2の端部の開口から伸びた、細長い穴を備えるようにしてもよい。この穴は、排出端部に近接するが間隔をあけて終端し、ピストンが駆動ロッドに沿って前進するにつれて第2の端部に抗するように作用するピストンによって加えられる圧力下で可撓性バッグが圧縮されながら薬剤が排出端部に到達して供給される連続的な通路を形成する。
【0103】
より好ましくは、カートリッジは、薬剤が充填された、チューブなどの、細長い容器であって、本発明の第一の態様に従う薬剤アプリケータのカートリッジポートと連携するための第1の排出端部と、第2の端部とを有する容器と、この容器内で長手方向に延出する駆動ロッドと、この駆動ロッドに取付けられ、アプリケータのダイヤルノブによる前進方向への駆動ロッドの回転によって排出端部から薬剤が供給されるように容器に沿って前進するために容器の内壁と封止接触するピストンとを備え、この場合、駆動ロッドが、ピストンから突出する端部を含み、この端部は、アプリケータのダイヤルノブと結合することによって、駆動ロッドがダイヤルノブに対して回転可能に固定されるように構成され、駆動ロッドがダイヤルノブと共に回転し、プライミング及び巻き戻し操作中にダイヤルノブに対して駆動ロッドを上昇又は下降するようダイヤルノブのシャフトに対して相対的な軸方向移動ができるようにする。
【0104】
カートリッジの駆動ロッドの突出端部は、好ましくは、ダイヤルノブの穴に収容されるように構成される。更に、この突出端部は、理想的には、例えば、多角形の断面又は放射状突起として、この穴の外形と相補的な外形を有する。最も好ましくは、駆動ロッドの端部は、ダイヤルノブの穴の長手方向溝とインターロックするためのスプラインを有する。この端部は、駆動ロッドと一体的に形成されてもよく、駆動ロッドに対して接続されるようにしてもよい。
【0105】
好ましくは、駆動ロッドは、突出端部の領域を除いて、ほぼその全長に沿ってねじを切られている。より好ましくは、駆動ロッドは、ダイヤルアセンブリのダイヤルノブ又はダイヤル本体に設けられ得るような、アプリケータ上の停止表面と当接するための、フランジ等の横方向突起を備え、それによって、供給端部から離れる方向への駆動ロッドの線形移動を規制し、ダイヤルノブの前進回転中にピストンに駆動ロッドを上らせ、薬剤を供給する。この横方向突起は、理想的には、ねじ部分と突出端部との間の駆動ロッド上に設けられる。
【0106】
カートリッジは、好ましくは、ピストンの後方牽引面と接触し、カートリッジの非供給端部に品質保持期間シールを効果的に提供する駆動ロッドのフランジと共に使用するように提供される。一旦カートリッジがアプリケータに嵌合されダイヤルノブが回転されてアプリケータがプライミングされると、フランジは、当然のことながら、駆動ロッドが下降されるにつれピストンから離れるように移動する。
【0107】
カートリッジチューブは、好ましくは、その第2の端部において、基部として機能し、例えば保管中にカートリッジを直立姿勢で立てられるようにする外向き支持フランジによって終端する。
【0108】
カートリッジのチューブ壁は、好ましくは、アプリケータ内に嵌合する前に潜在的な損傷から駆動ロッドの突出端部を保護するために駆動ロッドの突出端部を十分に収容可能なだけ延出している。言い換えれば、カートリッジの第2の端部は、実質的に中空である。カートリッジのチューブ壁は、保管中、即ち、アプリケータにカートリッジを嵌合する前に、薬剤の熱膨張によって生じる駆動ロッドの移動に対応するのに十分な、突出端部の先端を越える距離を延出するのが有利である。
【0109】
薬剤の熱膨張は、アプリケータにカートリッジを嵌合させた後も、引き続き問題となる可能性がある。熱膨張による薬剤の漏出を回避するため、カートリッジは、例えば、ピストンを静止させたままダイヤルノブを巻き戻すことによってカートリッジ内で駆動ロッドを前進させることができるように、駆動ロッドの往復移動を可能にするように構成される。従って、駆動部材の長さは、好ましくは、駆動部材がカートリッジのほぼ全長に沿って延出し、それによって、ほぼ全ての薬剤が排出され得るようにし、同時に、アプリケータのダイヤルノブを少なくとも1回転巻き戻すことによって起こる報復移動に対応するよう、選択される。
【0110】
特に好ましい装置では、駆動ロッドの突出端部は、アプリケータの巻き戻しインジケータ機構に作用可能であるように構成される。特に、駆動ロッドの端部は、この機構のインジケータ部材に作用可能であるようにしてもよい。アプリケータがプライミングされて使用される、又は1回分の薬剤を供給しているときなど、駆動ロッドを前進させるとき、駆動ロッドの端部は、アプリケータのダイヤルノブの端面にインジケータ部材を押し付けるようにインジケータ部材に作用する。駆動ロッドを後退させたり巻き戻したりすると、駆動ロッドの端部によって、インジケータ部材はダイヤルノブの端面の上方に上昇することができるようになる。
【0111】
駆動ロッドの端部は、インジケータ部材の細長い部分に作用するように略平坦な端面を有するようにしてもよい。或いは、端部の端面は、インジケータ部材の相補的な端面と連携するために凹面又は凸面であってもよい。
【0112】
カートリッジ内に収容されたピストンは、好ましくは、ねじ付き駆動ロッドの周囲を封止し、内側チューブ壁に封止力を働かせる弾性物質から構成される。ピストンの寸法及び弾力は、ピストンがチューブ壁に及ぼす摩擦力がピストンと駆動ロッドのねじ山間の摩擦力を上回るように選択され、駆動ロッドの回転時に、ピストンは、チューブ壁に対する回転が防止され、駆動ロッドのねじ山に沿って前進するようにする。
【0113】
ピストンの先導面は、カートリッジの排出端部の傾斜ショルダ部に一致するための傾斜ショルダ部を備えるようにするのが有利である。このような相補的なショルダ外形を有することによって、ピストンはチューブから全ての薬剤を吐出することができ、無駄が無くなる。これは、また、使用済みカートリッジが医療廃棄物としてではなく家庭で安全に廃棄され得ることを意味する。
【0114】
ピストンは、単一体の弾性物質から構成されるようにしてもよいが、より好ましくは、先導駆動ナットと、駆動ナットの後方で駆動ロッドのねじ山周囲を封止するための駆動ナットに当接する駆動シールと、内側チューブ壁に封止力を働かせる駆動ナットを包囲する弾性プラグとを備える。
【0115】
駆動シールは、駆動ロッドのねじ山内の薬剤のロスを防止し、特に、薬剤が供給されるにつれ駆動ロッドがピストンの後方で露出する場合、カートリッジを清潔に保ち易くする。
【0116】
好ましくは、ピストン、又はそのプラグは、その外周に、リップシールやOリングシールなどの1つ以上のシールを備え、カートリッジの内側チューブ壁を封止する。このようなシールを設けることによって、カートリッジチューブ上方へのピストンの円滑な前進が容易になる。シールは、好ましくは、エラストマー製であり、例えば、ツーショット成形法によって、ピストンと一体的に形成されてもよい。このような方法は、上記シールを形成するために、比較的剛性の材料を使用する第1の成形ショットと、それに続く、エラストマー材料を使用する第2の成形ショットとを含む。ピストン又はプラグのコアは、また、駆動部材を封止するためのシールを組み入れるようにしてもよい。
【0117】
駆動ロッドは、好ましくは、駆動ロッド、ピストン及びチューブが互いに同心になるようにカートリッジチューブに沿って中心に延出するが、駆動ロッドは、或いは、チューブ及びピストンからずれ、偏心駆動機構を提供するようにしてもよい。後者の場合、ピストンとチューブ壁との間の非対称な力がピストンをチューブに沿って駆動する。
【0118】
ねじ付き駆動ロッドにおいて、カートリッジ内の駆動ロッドのねじ山のピッチは、好ましくは、駆動ロッドを1回転させると(例えばダイヤルノブを1回転させることによって行われる)必要な距離だけ駆動ロッドに沿ってピストンを駆動し、「1回分の」投与量に等しい体積の薬剤を吐出するように、選択される。「1回分の」投与量は、典型的な単位投与量、例えば、1.0gを意味し、この場合、ダイヤルノブを反回転させると、0.5g吐出される。
【0119】
典型的には、カートリッジチューブは、第2の端部から薬剤を充填し、駆動ロッドとピストンは、充填後にチューブに挿入され、事実上第2の端部を封止する。第2の端部がピストンによって封止されたときにカートリッジ内に閉じ込められた空気によって、1回分の投与量が供給された後に弁開口から薬剤が流出する可能性があるため、ピストンが嵌合されたときカートリッジ内に空気が閉じ込められていなようにするのが望ましい。このため、カートリッジチューブは、その第2の端部に隣接して、ピストンの挿入に合わせて空気を逃がすため且つ/又は、過充填の際に過剰な薬剤が噴出するための拡大穴、又はカウンタボアを有するようにしてもよい。
【0120】
より好ましくは、チューブ壁は、第2の端部に、少なくとも1つの、好ましくは複数の、長手方向に伸びる内側チャネルを備える。この1つ以上のチャネルは、組立中にピストンシール(単数又は複数)周囲に空気が逃げることができる空気抜きとして機能する。カートリッジの一体性を損なわないように、チューブ壁は、空気抜き機能部周囲で略一定の壁厚を維持するための内側チャネルに対応する外側突起を有するようにしてもよい。これらのチャネルは、連続的な溝の形状でもよい。
或いは、又はこれに加えて、駆動ロッドが、空気バイパス通路を提供するようにピストン付近の端部に向かって細長い溝を備えていてもよい。
【0121】
バッグ状であるか合成チューブであるかを問わず、カートリッジの排出端部は、好ましくは、カートリッジが完全に挿入されたときアプリケータのカートリッジポートに固定するための1つ以上のインターロッキング機能部を有する、ショルダ部、より好ましくは、傾斜ショルダ部を備える。アプリケータ内でカートリッジを固定するためのインターロッキング又は係合機能部は、最も好ましくは、例えば成形によって、カートリッジチューブと一体的に形成される。
【0122】
好ましくは、この係合機構は、バヨネットマウント形状であり、例えば、典型的にはカートリッジポートに隣接する、アプリケータヘッドの対応スロットに挿入するためのカートリッジ上の、一対のつまみなどの、一対の対向する外向き雄型コネクタを備える。雄型コネクタは、カートリッジのショルダ上の上向きリング上に保持され、チューブ壁及びカートリッジノズルと同心になるようにしてもよい。アプリケータのスロットにこれらのつまみを挿入した後、カートリッジは、これらのつまみがアプリケータヘッドの相補的スロットに捕捉されるように回転する。
【0123】
カートリッジは、好ましくは、更に、ショルダ部から延出するネック部を備え、このネック部は、薬剤のカートリッジの排出口にて終端する。ネック部は、カートリッジがアプリケータに嵌合されたとき排出口がアプリケータヘッド上の出口弁に実質的に隣接位置するような長さを有するのが有利である。ネック部は、嵌合前にカートリッジから取り除かれる封止キャップと係合する雄ねじを有するようにしてもよい。
【0124】
ネック部の先導縁部は、カートリッジがアプリケータヘッドに螺合されたときカートリッジポート上の内向きフランジを封止するための面シールを備えるようにしてもよい。面シールは、薬剤が供給中にカートリッジとカートリッジポートとの間に侵入するのを効果的に防ぎ、これによって、カートリッジから押し出された全薬剤が開口に向かい、内部で「失われる」ことがないようにする。従って、面シールの存在は、アプリケータの内部表面に薬剤の付着がない状態を維持し易くするとともに、正確な投与に貢献する。
【0125】
カートリッジのネック部は、カートリッジポートの相補的なネック部と摩擦係合するようにしてもよい。この装置では、カートリッジのネック部は、その外周に、カートリッジポートの相補的なネック部を封止するためのOリング又は類似のエラストマーシールを備えるようにしてもよい。Oリング又は類似のエラストマーシールは、同様に、薬剤が供給中にカートリッジとカートリッジポートの間に侵入するのを防ぐ。或いは、Oリングシールなどは、カートリッジポートに設けられてもよい。
【0126】
本発明の更なる態様に従うカートリッジは、例えば、30g、60g、又は120g、又はそれより多い量の薬剤を含む、様々な容量及びサイズで提供されるようにしてもよいが、5g、10g、又は15gを含むコンパクトなカートリッジも考えられる。典型的には、容量は、ユーザが1週間以上使用できるよう十分な投与量を提供するように選択される。
【0127】
任意で、カートリッジは、全て同じ長さを有するが異なる直径を有するようにしてもよいので、例えば、30gのカートリッジが、60gのカートリッジの長さと等しい長さを有するがより小さな直径を有するようにしてもよい。当然のことながら、このような装置を用いた場合、ねじ付き棒のピッチが一定のままであると仮定すると、1回転毎に供給される薬剤の体積は異なる。このため、アプリケータを備えるカウンタ機構は新しいカートリッジ毎にリセット可能であることが望ましい。
【0128】
典型的には、ユーザの快適さを最大にするため、カートリッジ、又はカートリッジ用ハウジングが使用される場合はそのハウジングは、約10mm乃至40mm、より好ましくは、約15mm乃至35mmの直径、特に約30mmの直径を有する。例えば、30g又は60gのカートリッジは約30mmの直径を有するようにしてもよく、一方、120gのカートリッジは約35mmの直径を有するようにしてもよい。
【0129】
任意で、カートリッジは、同一の直径で、異なる体積を充填されるようにしてもよい。例えば、30gのカートリッジは、60gのカートリッジと同じ寸法を有するが、その半分の容量だけ充填されるようにしてもよい。
【0130】
容量とは無関係に、カートリッジは、排出端部に汎用構造を有し、これらのカートリッジが交換可能に同一のアプリケータヘッドと共に用いられるようにすることが好ましい。ダイヤルノブがカートリッジに設けられていない場合、カートリッジは、好ましくは、カートリッジがアプリケータのダイヤルノブ又はダイヤルアセンブリと連携して薬剤を排出することができるように反対側の駆動端部にも汎用構造を有する。
【0131】
ユーザが、アプリケータを使用しないとき容易に保管できるように、アプリケータは、好ましくは、アプリケータヘッドと相補的な寸法の中空凹部を有するスタンドを備え、このスタンド内にアプリケータヘッドが入れ子状に収納されるようにしてもよい。アプリケータは、アプリケータ面を下向きにしてスタンド内に保管され、従って、汚れ、塵やその他の潜在的汚染物質に接触することがない。より好ましくは、アプリケータ面がアプリケータの長手軸に対して傾斜している場合、スタンドの中空凹部も傾斜させ、アプリケータをスタンドに配置したときアプリケータハウジングやカートリッジが略垂直に立て掛けられるようにする。
【0132】
本発明は、更に、上述したアプリケータと、そのアプリケータ用の1つ以上のカートリッジと、カートリッジをアプリケータに嵌合し、アプリケータを操作して所望の投与量の薬剤を供給するための取扱方法をユーザに提供する患者情報リーフレットとを備えるアプリケータキットに存する。このリーフレットは更にカートリッジの交換に関する情報を提供する。
【0133】
アプリケータヘッドと共に使用するためのカートリッジは、様々な容量のカートリッジが同一のアプリケータヘッドに嵌合可能なように、汎用フィッティングを備えるようにしてもよいが、このアプリケータキットは、例えば、治療対象の皮膚領域によって使い分けるために異なる直径を有する1つ以上のアプリケータヘッドを含むようにしてもよい。
【0134】
他の態様から、本発明は、ユーザの皮膚に1回分の投与量の半固形薬剤を塗布する方法に存し、この方法は、(i)上述の薬剤カートリッジを同様に上述のアプリケータの前記カートリッジポートに嵌合し、カートリッジの駆動ロッドをダイヤルノブと結合するステップと、(ii)ダイヤルノブを前進方向に回転させて前記アプリケータをプライミングするステップと、(iii)更にダイヤルノブを前進方向に回転させることによって1回転、又は複数回転又はわずかに回転させ、開口を通してアプリケータ面に1回分の投与量の薬剤を供給するステップと、(iv)アプリケータ面に供給された薬剤を皮膚に塗布し、アプリケータ面を使用して治療対象の皮膚領域全体に薬剤を広げるステップと、を備える。
好ましくは、この方法は、更に、(v)ダイヤルノブを逆方向に回転させて駆動ロッドを上昇させ、前記アプリケータを保管モードにするステップを備える。
【0135】
本発明のアプリケータが上述した弁スイッチを含む場合、この方法は、ステップ(iii)の前に、弁スイッチを移動させてアプリケータ面の開口を開放し、ステップ(iv)の前に弁スイッチを移動させて開口を閉塞することを伴うのが有利である。
【図面の簡単な説明】
【0136】
図1a】動作不能位置にあるダイヤルノブが装着されたアプリケータの斜視図である。
図1b】ダイヤルノブが係合位置にある図1aのアプリケータの斜視図である。
図1c図1a及び1bのアプリケータと共に使用するための交換可能カートリッジの図である。
図2a】バヨネットフィッティング、ハウジング、及び交換可能カートリッジを備えるアプリケータの断面図を示す。
図2b】スクリューフィッティング、ハウジング、及び交換可能カートリッジを備えるアプリケータの断面図を示す。
図2c】スクリューフィッティング及びスクリューオン式交換可能カートリッジを備えるアプリケータの断面図である。
図2d】プッシュイン式カートリッジを備えるアプリケータの断面図を示す。
図3a】第1のサイズの交換可能カートリッジを装着したアプリケータの断面図と、そのカートリッジを示す。
図3b】第2のサイズの交換可能カートリッジを装着した図3aのアプリケータの断面図と、そのカートリッジを示す。
図4】様々な再利用可能アプリケータヘッドと様々な容積の異なる使い捨てカートリッジを示す。
図5a】可聴カウンタ機構を有するアプリケータを示す。
図5b】フル/エンプティゲージを有するアプリケータを示す。
図5c】供給済み投与量のカウンタを有するアプリケータを示す。
図5d】残りの投与量を示すカウンタを有するアプリケータを示す。
図5e】自動的にリセットするドーズカウンタを有するアプリケータを示す。
図5f】デジタルドーズカウンタを有するアプリケータを示す。
図5g】フル/エンプティインジケータを有するアプリケータを示す。
図6a】基本的な充填量インジケータを有するアプリケータを示す。
図6b】リングドライブカウンタ機構を有するアプリケータを示す。
図6c】カウンタ式インジケータを有するアプリケータを示す。
図6d】リボン式充填量インジケータを有するアプリケータを示す。
図6e】ゼネバ歯車式インジケータを有するアプリケータを示す。
図6f】ハーモニックドライブ式インジケータを有するアプリケータを示す。
図7a】スクラッチ式充填量インジケータを有するアプリケータを示す。
図7b図7aのアプリケータの断面図である。
図7c図7bのスクラッチ機構の拡大断面図である。
図8】先進のピストン構造を有するアプリケータの断面図である。
図9a】充填状態の可撓性カートリッジの側面図である。
図9b図9aの可撓性カートリッジの断面図である。
図9c図9aのカートリッジを内蔵するアプリケータの側面図である。
図9d図9aの充填状態の可撓性カートリッジを含む図9cのアプリケータの断面図である。
図9e】部分的に排出した図9aの可撓性カートリッジを含む図9cのアプリケータの断面図である。
図9f図9aの完全に排出した可撓性カートリッジを含む図9cのアプリケータの断面図である。
図10a】充填状態の他の可撓性カートリッジの側面図である。
図10b図10aの可撓性カートリッジの横断面図である。
図10c図10aの可撓性カートリッジの縦断面図である。
図10d図10aのカートリッジを内蔵するアプリケータの側面図である。
図10e図10aの充填状態の可撓性カートリッジを含む図10dのアプリケータの断面図である。
図10f図10aの部分的に排出した可撓性カートリッジを含む図10dのアプリケータの断面図である。
図10g図10aの完全に排出した可撓性カートリッジを含む図10dのアプリケータの断面図である。
図11a】周囲温度(25℃)において予め充填され封止されたカートリッジの断面図である。
図11b】ダイヤルノブを係合解除した状態の高温(40℃)でのアプリケータに挿入された図11aのカートリッジの断面図である。
図11c】ダイヤルノブを係合した状態での高温(40℃)での図11bのカートリッジ及びアプリケータの断面図である。
図11d】ダイヤルノブを係合解除した状態での低温(0℃)での図11bのカートリッジ及びアプリケータの断面図である。
図11e】ダイヤルノブを係合した状態での低温(0℃)での図11bのカートリッジ及びアプリケータの断面図である。
図12a】開口を封止した状態のピン弁カートリッジを装着したアプリケータヘッドの断面図である。
図12b】開口を開放した状態の図12aのアプリケータヘッド及びカートリッジの断面図である。
図13a】ピン弁を有するアプリケータヘッド及び開口を封止した状態のカートリッジの断面図である。
図13b】開口が開放した状態の図13aのアプリケータヘッド及びカートリッジの断面図である。
図14a】取外し可能なカバーを有するアプリケータの断面図である。
図14b】熱膨張に適応するアプリケータの断面図である。
図14c】熱膨張に適応する他のアプリケータの断面図である。
図15a】ダイヤルノブが作動停止位置にあるアプリケータの部分断面図である。
図15b】ダイヤルノブが作動位置にある図15bのアプリケータの部分断面図である。
図15c図15bの結合したダイヤルノブと駆動部材を示す拡大断面図である。
図16a】弁スイッチを有するアプリケータの斜視側面図である。
図16b】プライミングされて使用可能な状態にある図16aのアプリケータの断面図である。
図16c】保管モードの図16aのアプリケータの断面図である。
図17a】カートリッジの挿入からプライミング及び巻き戻しまでの図16aのアプリケータの部分断面図を示す。
図17b】カートリッジの挿入からプライミング及び巻き戻しまでの図16aのアプリケータの部分断面図を示す。
図17c】カートリッジの挿入からプライミング及び巻き戻しまでの図16aのアプリケータの部分断面図を示す。
図17d】カートリッジの挿入からプライミング及び巻き戻しまでの図16aのアプリケータの部分断面図を示す。
図18a図17b及び17cに示すプライミングされて使用可能な状態にあるアプリケータの下方から見た図である。
図18b図17dに示す保管モードのアプリケータの下方から見た図である。
図19a】クリッカー機構を示す図16aのアプリケータのダイヤルアセンブリの一部の平面図である。
図19b図19aの部分ダイヤルアセンブリ及びクリッカー機構の上方から見た斜視図である。
図20】本発明に従うアプリケータにおいて使用されるカートリッジの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0137】
ここから、添付の図面を参照して、単に一例として、本発明をより詳細に記述するが、全図面は、上述したような本発明の態様を図解する。
【0138】
まず図1aを参照すると、中心に開口153を有する平滑凸面金属アプリケータ面51を有するアプリケータヘッド5を有するアプリケータ1が示されている。開口153は、カートリッジ(図示せず)上のエラストマースリット弁71によって封止されている。アプリケータ面51は、カートリッジが挿入されるアプリケータヘッド5の直径よりも大きくなっている。アプリケータ面51後方のショルダ部55は、アプリケータが使用されている時にユーザが指先を当てて力を加える指当て表面となり、また、交換可能カートリッジの薬剤がスリット弁71を介してアプリケータ面51上に供給された時この薬剤との接触からユーザの指を保護する。
【0139】
カートリッジは、アプリケータヘッド5と嵌合したハウジング40内に収納される。ダイヤルノブ30は、ハウジング40に取付けられ、図1aに示す結合解除位置から動かすことができ、この結合解除位置ではダイヤルノブ30はカートリッジ内の駆動部材(図示せず)を作動することなく自在に回転可能である。
【0140】
図1bは、ダイヤルノブ30が結合位置にある状態の図1aのアプリケータを示す。ノブ30の回転によって、カートリッジ内のねじ付き駆動部材(図示せず)を作動させてピストン(図示せず)を前進させ、弁71を介してアプリケータ面51上に薬剤を供給し、このアプリケータ51面で要望通りユーザの皮膚に薬剤が塗られる。ダイヤルノブ30を1回転させると、所定投与量の薬剤、ねじ付き駆動部材のピッチにもよるが典型的には0.5g又は1.0gの投与量が供給される。
【0141】
図1cは、図1a及び1bのアプリケータ1とともに使用するための交換可能カートリッジを示す。カートリッジ60は、カートリッジ60がカートリッジポート(図示せず)を介してアプリケータヘッド5に挿入される時アプリケータ面51の開口153を封止する一体弁71を有する。カートリッジ60内の薬剤が完全に排出されると、カートリッジ60を廃棄し、新しい弁71を備える新しいカートリッジ60をアプリケータヘッド5に嵌合させる。
【0142】
図2aには、アプリケータヘッド5と連携してカートリッジ60を完全に挿入した位置に保持することができるハウジング40を含むアプリケータ1が断面図で示されている。アプリケータヘッド5及びハウジング40は、アプリケータ5の筒状部には対向L字形スロットとして、ハウジング40には対向ピンとして相補的なバヨネット固定部を備え、一度カートリッジ60が挿入されると、ハウジング40をアプリケータヘッド5までスライドさせ、ヘッド5とハウジング40とを互いに固定されるよう回転させる。
【0143】
アプリケータヘッド5は、カートリッジ60のネック62を収容可能な寸法を有するアプリケータヘッド51後方から延びる筒状部を有するカートリッジポート53を有する。カートリッジポート53は、傾斜ショルダ部59を含み、完全に挿入されたとき、この傾斜ショルダ59に抗してカートリッジ60の排出端部の対応ショルダ部69が入れ子になる。カートリッジ60のネック62は、前記筒状部の相補的な雌ねじにねじ込まれる雄ねじを有する。
【0144】
ネック62の最上表面、即ち、カートリッジ60の先端上には、カートリッジ60がアプリケータヘッド5にねじ込まれたときカートリッジポート53上の内向きフランジ61に接触して封止する面シール68がある。
【0145】
カートリッジ60内には、多角形の開口82を有する基部81で終端するねじ付き駆動ロッド80がある。駆動ロッド80周囲には、ねじ付き駆動ロッド80と相互係合しねじ付き駆動ロッド80と共にシールとなる雌ねじ付き内腔91を有するピストン90がある。ピストン90の外周にはOリングシール82が設けられてカートリッジ内壁と接触して封止する。
【0146】
ハウジング40はその端部に回転可能なダイヤルノブ30を含み、このダイヤルノブ30は、カートリッジ60が挿入されハウジング40がアプリケータヘッド5に嵌合するとき、駆動ロッド80の基部の多角形開口82と連携するためにハウジング40内に突出した多角形スピンドル31を有する。ハウジング40内にはリセット可能なカウンタ機構が組み込まれている。
【0147】
図2bのアプリケータは図2aのアプリケータと類似であるが、ねじ込みによってアプリケータヘッド5にカートリッジ60を嵌合させる代わりに、カートリッジ60をカートリッジポート53内に単にスライドさせ、カートリッジポート53と弾性嵌合させる。カートリッジ60のネックは、カートリッジポート53の筒状部に接触して封止するOリングシール69を有する。バヨネットフィッティングの代わりに、ハウジング40は、アプリケータヘッド5に対して、夫々の側の相補的なねじによってねじ込まれる。
【0148】
図2cでは、別体のハウジングそれ自体は存在しない。代わりに、図2aと同じ方法でカートリッジ60がアプリケータヘッド5に直接ねじ込まれる。ダイヤルノブ30は、カートリッジ60に装着されている。
【0149】
図2dのアプリケータは、アプリケータヘッド5から延び図2bと同様にしてカートリッジポート53の筒状部に押し込むことによって嵌合するカートリッジ60を収容する一体ハウジング400を含む。ダイヤルノブ30は、カートリッジ60が完全に挿入されるとハウジング壁に係合してアプリケータヘッド5に接触した位置にカートリッジ60を保持する解放ボタンを有する。カートリッジ60が排出した後解放ボタンを押すことによって、カートリッジ60は取り外して廃棄し、アプリケータは再利用することができる。
【0150】
図3a及び3bは、同一のアプリケータを使用して異なるサイズの交換可能カートリッジ60a、60bを収容する方法を描いている。カートリッジ60a、60bは、長さは同一だが直径が異なり、従って、充填されたとき異なる体積の薬剤を含む。カートリッジ60a、60bの排出端部は同一のアプリケータヘッド5と接続するために汎用フィッティング64を備える。更に、各カートリッジ60a、60bにおける駆動ロッド80の基部81は、アプリケータハウジング40上の同一のダイヤルノブ30が両カートリッジ60a、60bにおけるねじ付き駆動ロッド80を回転することが出来るように同じサイズの開口82を備える。
【0151】
ねじのピッチは、両サイズのカートリッジ60a、60bで同一であるため、ダイヤルノブ30を1回転させると、結果的に異なる投与量の薬剤が供給される。従って、長さが同一の30gと60gのカートリッジでは、1回転させると、結果的に60gカートリッジ60bからは30gカートリッジ60aの2倍の薬剤が供給される。これは、患者が、例えば、1.0gの投与量ではなく、0.5gだけを必要とする場合に有用である。当然のことながら、ねじ付き駆動ロッド80に異なるピッチを設けることによって同一の投与量を供給することが可能になる。
【0152】
様々な再利用可能アプリケータヘッド5a、5b及び様々な容積の異なる使い捨てカートリッジ60a、60b、60c、60dを図4に示す。治療対象の皮膚面積が比較的小さい場合、比較的小さなアプリケータ面を有するアプリケータヘッド5bを使用することができ、より小さな容量のカートリッジ60dが取付けられる。一方、より大きな直径のアプリケータ面を有するアプリケータヘッド5aは、夫々ネック部に汎用フィッティング64を有する様々なより大きな容積のカートリッジ60a、60b、60cと共に使用するのに適している。より大きな容積のカートリッジ60a、60b、60c、60eは夫々一体化カウンタ機構110又は透明窓120を含み、透明窓120を通してカートリッジ内に残っている薬剤の高さを観察することができる。窓120は、カートリッジ60e内の薬剤の劣化を防ぐためUV防止用に薄く色付けされる。
【0153】
アプリケータからどのくらい薬剤が供給されたか又は薬剤がどのくらい残っているかを示すための様々なカウンタの選択肢が、図5a乃至5gに概略的に描かれている。図5aは、ダイヤルを回転させる毎に又はわずかに回転させると、1回の可聴クリック音又は複数回のクリック音を発生する単純な機構を含むが、カウンタ機構それ自体は含まない。可聴機構は既知であり、当業者によって容易に理解されるものである。
【0154】
図5bは、平面状の放射状スケール132が表示される窓130を有するアプリケータを示す。1回分の投与量の薬剤が供給されるごとに、減少スケール132が徐々に前進し、フルからエンプティへの遷移を示す。
【0155】
図5cでは、アプリケータは同様に投与スケール134が表示される窓130を有する。具体的には、カウンタスケール134が供給済みの薬剤の合計体積を示す。このようなカウンタ機構によって、ユーザは、例えば、必要投与量がダイヤルノブを数回回転させる、又はわずかに1回転未満回転させることを必要とする場合、特定の投与量を監視することができるようになる。
【0156】
図5dは、カウンタスケール136にカートリッジ内に残っている薬剤の合計体積が示される点で図5cに示すカウンタ機構とは異なる。これは、ユーザに、カートリッジが空になる前に残っている投与回数を示すのに役立つ。
【0157】
図5eは、自動的にリセットするドーズカウンタ138を有するアプリケータを示す。アプリケータ上のダイヤルノブ30は、薬剤を供給するために引き出されてねじられるので、不慮の作動が防止される。ドーズカウンタは、作動する毎にゼロにリセットされる。
【0158】
図5fは、ハウジング窓130にデジタルカウンタディスプレイ139を有するアプリケータを示す。デジタルディスプレイ139は、日付と、その日付に供給された投与量に関する情報を含む、即ち、ディスプレイ139を、ユーザが投薬履歴及び/又は投与済み及び残りの薬剤体積を見直すことができるように更に別のモードに切り替えることができる。
【0159】
図5gのアプリケータ上のカウンタインジケータ140は、ダイヤルノブ30の底面に位置しており、カートリッジ内の充填量レベルを示す。このアプリケータを保管するときは、アプリケータヘッドを下に向けてスタンドに置く。従って、ユーザは、立てられたアプリケータを最初にスタンドから取り出すとき、インジケータ140を容易に目視することができる。
【0160】
断面及び底面図によって図6a乃至6fに描かれたアプリケータは、夫々、様々な異なる充填量インジケータを備える。図6aでは、充填量インジケータは単にダイヤルノブ30の基部を貫通する数個の開口145を備え、これらの開口145を介して、ユーザは、薬剤が供給される時にカートリッジ60の上方にピストン90が前進するのを目視することができる。
【0161】
図6bの充填量インジケータは、ダイヤルノブ30の回転に伴って外側リング152が回転されるカートリッジ60用ハウジングの内側に内側チューブ150を含む。ハウジング壁の細長い窓によって、ユーザは、カートリッジ60内の薬剤が供給されるにつれ上昇されるリング152の位置を観察することができる。
【0162】
図6cには、ダイヤルノブ30の基部が開口170を有し、中空のダイヤルノブが駆動輪160と、ダイヤルノブ30が回転すれるにつれ駆動輪160によって前進する投与しるしを有するディスク162とを含むカウンタ機構を内蔵している。ユーザは、窓170を介して表示される特定のしるしによって、排出済みの薬剤体積を目視することができる。
【0163】
図6dの充填機構は、ピストン90の牽引面に取付けられた第1端部を有するリボン180を備え、リボン180は、カートリッジ60の基部周囲に外側カートリッジ壁に接触して延びている。リボンの第2端部は固定されていない。薬剤が供給されてピストン90がカートリッジ60の上方へ前進するにつれて、ピストン90は後方にリボンを引きずっていく。ハウジング40の窓182からリボン180が見えるので、薬剤が供給されると共にリボンの第2端部が外側カートリッジ壁を下降するにつれ、ユーザは第2端部の位置によってカートリッジ60がどのくらい減少したかを知ることができる。
【0164】
図6eは、ダイヤルノブ30上にゼネバ歯車式カウンタインジケータ190を有するアプリケータを示す。ダイヤルノブ30は駆動輪として機能し、駆動輪のスロットに突入するピンを有し、ダイヤルノブ30が1回転する毎にピンを1段進める。駆動輪は、ハウジング壁の開口を通して視認可能な投与しるしをその周囲の側壁に有している。
【0165】
図6fにおいて、充填量インジケータは、ハーモニックドライブ式機構195でありこの機構では、ダイヤルノブ30が、造波機として機能するノブ内側の底面に対して内部に固定された楕円形ディスクを有する。ダイヤルノブ30が回転するにつれ、楕円形ディスクは、カウンタホイール内周の歯と噛合する歯を外周に有するスプラインを撓ませる。楕円形ディスクの1回転(ダイヤルノブの1回転に等しい)毎に、可撓性スプラインは増加分だけ反対方向に回転し、外側リングは同様に前進する。外側ホイールの周囲に表示される投与しるしはハウジング壁の開口を通して視認可能である。
【0166】
図7a乃至7cは、更なる充填量インジケータとしてスクラッチ式インジケータを描いている。この装置では、ピストン90は、ピストン90の牽引縁部から横方向に延びるブレード200を有し、このブレード200はピストン90が上昇するにつれてカートリッジ60の内壁を引っかく。カートリッジ60の内壁には、ブレード200の動作によって削り取られる物質がコーティングされている。カートリッジ60は、ブレード部材に隣接して、目盛り付きスケール有しているので、ユーザは、カートリッジ壁の削り跡202の前進を観察することによって使用された又は残りの薬剤体積を決定することができる。
【0167】
図8は、先進のピストン構造を描いており、この構造では、ピストン90が、カートリッジ60の一番上まで前進し、薬剤を少しも無駄にすることなく全て排出することができるように、ピストン90の先導表面が、カートリッジの排出端で傾斜したショルダ部と一致するように傾斜している。
【0168】
ピストン90は、ねじ付き駆動ロッド80と回転可能に係合する先導駆動ナット901を含み、駆動ナット901に当接する駆動シール903が駆動ナット901の後方に駆動ロッド80のねじ山周囲を封止し、駆動ナット901を包囲する弾性プラグ905は、内側カートリッジ壁に対して封止力を働かせる。ピストン90外周の2つのOリングシール82は、カートリッジ60の内側管壁に接触して封止する。
【0169】
カートリッジチューブは、その第2端部に隣接してカウンタボア907を有し、ピストン90が挿入されたときに空気が逃げられるようにし、過充填された場合に過剰な薬剤が吹き出すことができるようにする。
【0170】
図9a乃至9fは、可撓性カートリッジ600及びそのアプリケータを示す。箔製の可撓性の管状バッグ601はその排出端で実質的に剛性のキャップ603に接着されている。エンドキャップ603は、アプリケータヘッドのカートリッジポートの雌ねじにねじ込むための雄ねじ605を有する。
【0171】
アプリケータは、両側から延びた2つのペグ291a、291bを有するプレート290を有する。プレート290のペグ291a、291bは、カートリッジ600を内蔵する第1の内側スリーブ293内の縦スロットを通り、第2の外側スリーブ295上の螺旋溝に入り込んでいる。外側スリーブ295は、ダイヤルノブ30に取付けられているので、ダイヤルノブ30と共に回転して、バッグ601を圧迫しながらアプリケータの上方へ縦方向にプレート290を駆動し、バルブ71を介してアプリケータ面51上に薬剤を供給する。図9dはバッグ601が満充填されているときのプレート290の初期位置を、図9eは一部排出されたときの位置を、図9fは完全に排出されたときの位置を示す。
【0172】
図10a乃至10gは、異なる形状の可撓性バッグカートリッジ660及びそのアプリケータを示す。この装置では、図10a乃至10cから分かるように、可撓性バッグ661は、排出端に同一の実質的に剛性のキャップ603を有するが、今度の場合、第2端部から延び、アプリケータのねじ付き駆動ロッド80を収容する細長い中空チャネル665を含む。
【0173】
バッグ661がアプリケータに挿入されると、駆動ロッド80はチャネル665に沿って延出する。使用の際、ねじ付き駆動ロッド80周囲のディスク670は、ダイヤルノブ30が回転されるにつれて排出端に向かって駆動され、バッグ661を圧縮して薬剤を供給する。図10eはバッグが満充填されているときのディスク670の初期位置を、図10fは一部排出されたときの位置を、図10gは完全に排出されたときの位置を示す。
【0174】
図11a乃至11eは、薬剤を供給するのに「押す、係合する及び捻る」動作を必要とするダイヤルノブ解除機構を含むアプリケータを描いている。この機構によって、カートリッジ60内の薬剤が異なる周囲温度にさらされると膨張又は収縮することができる。
【0175】
図11aでは、典型的な温度である25℃における充填されたカートリッジ60が示されている。カートリッジ60内のピストン90の位置は、ピストンのOリングシール82の位置に対応するレベル0の個所で観測される。カートリッジ壁は、駆動ロッド基部81の下面よりも下方に延び、カートリッジ60が格納されているとき又は一旦アプリケータに挿入されたときに生じる薬剤の熱膨張を許容する。
【0176】
図11bは、ダイヤルノブ30上のスピンドル31が駆動ロッド基部81の開口82から結合解除又は係合解除した状態の、解除状態のアプリケータに挿入されたカートリッジ60を示す。ダイヤルノブ30が結合解除され、ピストン90を駆動することなくダイヤルノブ30が自在に回転することができるようになるため、薬剤は熱膨張することができる。40℃の周囲温度では、ピストンのOリング82は、レベル1まで下降している(レベル0より低い)。
【0177】
図11cに示すように、ダイヤルノブ30は、押し込むことによって駆動ロッド基部81と係合するように移動され、捻る(回転させる)ことによって作動されて薬剤を供給する。供給した後、ダイヤルノブ30は、解除状態に戻るように引き出される。
【0178】
同様に、周囲温度が0℃まで降下した場合、カートリッジ60内の薬剤は、図11d及び11eにおけるレベル2(レベル0より高い)に示されるように収縮することができ、図11d及び11eは、夫々、アプリケータの結合解除状態と結合状態を描いている。
【0179】
図12a及び12bは、アプリケータヘッド5が、アプリケータ面51上に薬剤を供給することができるようにハウジング40上を移動可能である装置を描いている。アプリケータヘッド5は可動ユニットであり、駆動機構(図示せず)が作動すると、ヘッド5は、カートリッジ60上のピン171がアプリケータ面51の開口153を封止する第1の静止位置(図12a)から、ピン171よりも上に引き上げられた第2の位置(図12b)に移動される。第1の位置から第2の位置への移動は、ピストンがカートリッジの上方へ駆動されるにつれ薬剤によるアプリケータ面51の背面への圧力によって引き起こされる。
【0180】
この装置では、カートリッジ60は、カートリッジポート53の管状部に押し込み嵌合されるタイプのものであり、アプリケータヘッド5上のポート53とカートリッジ60との間の相対的移動を可能にする。カートリッジポート53の管状部は、ヘッド5が静止位置及び上昇位置のいずれにあってもカートリッジネック62を収容して保持するのに十分な長さを有する。
【0181】
アプリケータヘッド5は、実質的に、ハウジング40上のフローティングヘッドであり、ヘッド5とハウジング40との間の相補的係合機構によって、ハウジング40から離れるアプリケータヘッド5の制限的な移動が可能になる。
【0182】
図13a及び13bは他の装置を示し、この装置では、アプリケータ面51の開口153を封止するピン271がカートリッジポート53に隣接してアプリケータヘッド5に取付けられるがアプリケータ面51からは独立している。アプリケータ面51は、ピン271がアプリケータ面51の開口153を封止する第1の静止位置(図13a)から、ピン271よりも上に引き上げられた第2の位置(図13b)へ、アプリケータヘッド5上を移動可能である。この装置では、ダイヤルノブ(図示せず)が回転されると薬剤から圧力によってアプリケータヘッド5全体を上昇させる代わりに、アプリケータ面51後方の力が、アプリケータ面51自体を単に上昇させる。上昇位置では、ピン271の周囲及び上方に流体経路が開通し、アプリケータ面51上に薬剤を供給することができるようになる。
【0183】
この後者の装置では、カートリッジ60は、一旦挿入されるとカートリッジポート53内で静止したままであり、アプリケータ面51は、アプリケータヘッド5上のフローティングフロントパネルとして機能する。
【0184】
アプリケータヘッド5上のピン271の先端273は鋭く尖っており、封止されたカートリッジがアプリケータに嵌合されると、カートリッジ60の破断可能シール(図示せず)を穿孔する。
【0185】
図14a乃至14cは、図11a乃至11eに示す結合解除法の代わりに又はそれに加えて組み込まれてもよい薬剤の熱膨張に対応するための代替手段を描いている。
【0186】
特に、図14aは、取外し可能なカバー300を有するアプリケータを示し、取外し可能なカバー300は、アプリケータヘッド5上に嵌合させると、開口153付近のカバー300の裏面とアプリケータ面51との間に空間305を生じる。カートリッジ60内で薬剤が熱膨張すると、薬剤は弁71を通って漏出し、空間305内に保持される。ユーザは、1回分の薬剤を供給する前に、アプリケータ面51をきれいに拭けばよい。
図14bのアプリケータは、カートリッジポート53の壁に避難路310を備え、薬剤は熱膨張した場合この避難路を通って流出する。
【0187】
図14cのアプリケータは、ピストン90内に膨張チャンバ320を含み、この膨張チャンバは、カートリッジ内の薬剤と流体連通状態にある。膨張チャンバ320は、薬剤が満充填されたときに起こり得る最大可能膨張に対応するのに十分な容量を有する。
【0188】
図15a乃至15cは、結合解除機構を含むアプリケータにおける駆動ロッド80の逆回転を防止するための機構を描いている。図15aでは、ダイヤルノブ30は、そのスピンドル31が駆動ロッド80の基部81の開口82と連携していないので自在に回転可能である。この位置では、アプリケータによる誤った薬剤の供給が効果的に防止される。
【0189】
駆動ロッドの基部81は、放射状に延出するリブを有するカラー880を含む。カラー880は、1つ以上の長手方向スリットを備え、カラー880に対して内側から力が加わった場合に拡開することができる。
【0190】
ダイヤルノブ30は、外側のダイヤルノブ壁と同心であるが外側ダイヤルノブ壁から離間している内側リング380を含み、この内側リング380は、図15bに示すように、ダイヤルノブ30が駆動ロッド80と結合されたとき駆動部材80のカラー880を拡開する。内側リング380の外側壁はテーパ状になっており、カラー880へのリング380の挿入を容易にし、このテーパ部がカラー880内を前進するにつれてカラー880を徐々に拡開する。
【0191】
図15cからより良く理解されるように、内側カートリッジ壁にもリブが設けられており、その結果、ダイヤルノブの側壁のテーパ部がカラー内を前進するにつれて、カラー上のリブが外側に向かって且つ内側カートリッジ壁上のリブ間に押圧される。このリブ同士の重なりによって、駆動ロッドは、ダイヤルノブの作動中に回転され得、ピストンを前方に駆動することができ、駆動ロッドに沿って「巻き戻す」ことを防止することができるようになる。
図16a乃至16cは、弁スイッチ450及び巻き戻しインジケータ機構の両方を組み込んだ本発明に従うアプリケータ401を描いている。
【0192】
図16aに見られるように、アプリケータ401は、一体的なアプリケータ本体400を有するアプリケータヘッド405と、ダイヤル本体432に回転可能に取付けられたダイヤルノブ430形状のダイヤルアセンブリ440とを有する。ダイヤルノブ430は、握り易いように外表面周囲に互いに離間した隆起形成物431を有する。アプリケータヘッド405は、図16cに示すように、デバイスが保管される際に使用されるヘッドカバー500のタブ502上の突起を固定するための凹み452を有する。アプリケータ面451は、ピン弁472によって閉塞された開口471を有する弾性インサート456を含む。アプリケータ401は、弁472を操作して開口471を開閉するためのスライダスイッチ510を有する。スライダスイッチ510は、指先で使用し易いように突起511を有する。
【0193】
図16bは、カートリッジ460が嵌合され、プライミングされて使用可能な状態になった図16aのアプリケータの断面である。このカートリッジは、その開口した排出端がピン弁472のピンの真下の開口と一直線上にあるようにカートリッジポート453内に延びるネック部462を有する。カートリッジ460は、図20によりはっきりと示されているが、カートリッジショルダ上の突起リング463から横方向に突出した対向つまみ461を有し、これらの対向つまみ461は、カートリッジが挿入されてバヨネット式に回転されると、カートリッジポート453に隣接するアプリケータヘッド405のスロットに引っ掛かる。カートリッジ460は、アプリケータ本体400の開口端に挿入され、対向するカートリッジポート453の表面にカートリッジのショルダ部が当接するように押し込むことによって嵌合させるが、その際、つまみ461が引っ掛かり且つカートリッジがカートリッジポートから離れないようにアプリケータ本体に対してカートリッジが捻られる(回転される)。このプロセスは、例えば、使用済カートリッジが新たなカートリッジと交換される場合、カートリッジを除くために反転される。
【0194】
カートリッジ460は、ねじ付き駆動ロッド480と、このねじ付き駆動ロッドに封着され、カートリッジ壁に封止係合されたピストン490を有する。駆動ロッド480は、端部481がピストン490を越えて突出し、ダイヤルアセンブリ440のダイヤルノブ430の中空スピンドル431に引掛けられる。ダイヤルノブ430は、カートリッジ460の挿入及び取り外しが可能なようにアプリケータ本体400に取外し可能に接続されたダイヤル本体432に回転可能に取り付けられる。駆動ロッド480の端部481は、スプラインを有し、このスプライン部分と係合する相補的特徴を有するスピンドル431内に回転可能に固定される。端部481とカートリッジ内のねじ部との間の駆動ロッド480上のフランジ482は、ダイヤルノブ430の前進回転がカートリッジの上方にピストン490を駆動して薬剤を供給するようにダイヤル本体432の停止表面433に接して静止する。
【0195】
図16cでは、ダイヤルノブ430が巻き戻されており、その結果、フランジ482がダイヤル本体432の停止表面433から離れるように駆動ロッド480がカートリッジ内で上昇されている。これがアプリケータ用の標準の格納構造であり、従って、駆動ロッド480が自在にカートリッジ本体の下方に戻ることができるため、カートリッジ内の薬剤の熱膨張に対応することができる。
【0196】
スライダスイッチ510は、アプリケータヘッド405のスロットを貫通して延出するアーム512を有し、ピン弁472を支持する弁上昇部材と連携する。図16bに示すピストンでは、アプリケータ面451の開口471を開けて薬剤を供給することができるようにピン弁472が後退されている。
【0197】
カートリッジ460の駆動ロッド480は、停止フランジ482がダイヤルノブスピンドル431周りのダイヤル本体432上の停止表面433に当接するように下方に後退されているので、ダイヤルノブ430を前進回転させると、カートリッジ内のピストン490が供給方向に移動し、薬剤がカートリッジ460から排出され、アプリケータ面451の開口471を介して供給される。
【0198】
図16cでは、弁上昇部材によってピン弁472を上昇させるように戻されたスライダスイッチ510によって開口471が閉じられた状態で示されている。加えて、駆動ロッド480は、ダイヤルノブ430の巻き戻し後、ダイヤル本体432の停止表面433より上昇されている。従って、アプリケータは、保管位置にある状態で示されている。取外し可能ヘッドカバー500がアプリケータヘッド405に嵌合され、ヘッドカバーの裏面の突起がヘッドの凹み452に係合してカバーを所定位置に保持する。
【0199】
アプリケータの反対側の端部では、ダイヤルアセンブリ440は、巻き戻しインジケータ機構を収容することができる。この機構は、駆動ロッド480の端部481の端面に接触しているダイヤルノブスピンドル431の穴内に延びる細長い部分472を有するインジケータ部材470を含む。インジケータ470は、ダイヤルノブ430の透光性端面510の内面上のレンズリング512と同心の色付きリング部471を有する。インジケータ部材470とダイヤルノブ端面510との間にはスプリング414が保持され、このスプリングは、アプリケータが使用のためにプライミングされると駆動ロッドの端部481が作用する力によって圧縮され(図16bに示すように)、色付きリング部471のクリアである中心レンズリング515を通して外表面に映し出されるようにインジケータリングがダイヤルノブ端面510に当たって静止することができる。図16cの巻き戻された位置では、駆動ロッドの端部481が、ダイヤルノブ430に対して上昇されており、スプリング414が伸張してインジケータ部材470を上昇させ、インジケータスプリングがダイヤルノブ430の内側端面510から離れる。この時、インジケータリング470の色と対照をなすダイヤルノブ430の色が、中心レンズリング512を通してダイヤルノブの外面510に映し出される。従って、アプリケータのユーザは、外面に映し出された色に従って、アプリケータがプライミングされて使用可能な状態にあるのか保管(巻き戻し)モードにあるのかを見分けることができる。
【0200】
駆動ロッド480及び巻き戻し機構の様々な位置を示す一連の様子が図17a乃至17dに示されている。図17aは、アプリケータへカートリッジを最初に挿入した後のカートリッジ460内の駆動ロッド480の位置を描いている。駆動ロッド480のフランジ482はピストン490の底面に当接し、ピストンと共に効果的にシールを形成することによって、カートリッジ内の薬剤が空気と接触しない状態を維持する。駆動ロッドの突出端481は、ダイヤルノブのスピンドル431に捕捉され回転可能に固定されているが、巻き戻し機構のインジケータ部材470とは接触していない。従って、インジケータ部材470は、インジケータスプリング414の作用によって上昇位置にある。ダイヤルノブ430の外側端面510にはダイヤルノブ430の色が映し出されて、アプリケータが供給モードではないことを示す。
【0201】
カートリッジが挿入されると、ダイヤルノブ430を回転させて駆動ロッド480をダイヤルノブに向かって引き下げ、その際、インジケータ部材から延びるだぼ472を押圧する。従ってインジケータ部材のリング471がダイヤルノブ430の内側端面510に押圧されると、ダイヤルノブの色とは異なるインジケータリングの色が外側端面に映し出され、図17bに示すようにアプリケータがプライミングされ供給可能な状態にあることを示す。
【0202】
駆動ロッド480のフランジ482は、ダイヤル本体432の停止表面433に当接すると、駆動ロッドが更に下方に移動するのが防止され、ダイヤルノブを更に回転させると、ピストン490が図17cに示すように上昇し、その結果、薬剤がアプリケータ面451に供給される。供給中、ダイヤルノブ430の端面510には、インジケータスプリング414が圧縮されたままであるので、インジケータリング471の色が映し出されている。
【0203】
図18aは、図17b及び17cに示すようにアプリケータがプライミングされたとき及び使用されているときに現れる端面510上のインジケータリング471の反映色のリングを示すアプリケータ(キャップ500を有する)の底面図である。
【0204】
1回分の薬剤が供給された後、ダイヤルノブ430を巻き戻すことによってアプリケータは保管モードに戻される。巻き戻すことによって、ピストン490を静止したまま駆動ロッドのフランジ482が停止表面433から上方に離れるように駆動ロッド480が上昇し、それによって、ある程度の薬剤の膨張を許容する。図17dから分かるように、インジケータリング471は、ダイヤルノブの色が再び外面510に反映されてアプリケータが保管モードに戻ったことを示すように、スプリング414によってダイヤルノブ430の端面510から上方に離れる。
【0205】
図18bは、ダイヤルノブが保管用に巻き戻されたときに現れる端面510上のダイヤルノブ430の反映色のリングを示すアプリケータ(キャップ500を有する)の底面図である。
【0206】
図19a及び19bは、夫々、図16a乃至16cのアプリケータのダイヤルアセンブリ440の部分平面図及び斜視図を示し、ダイヤルノブ430に内蔵されたクリッカー機構をより明瞭に示している。ダイヤルノブ430は、2つのクリッカーアーム520を有し、ダイヤル本体432は4つの等間隔で置かれたクリッカーポスト525を有する。ダイヤルノブが回転されるにつれ、ポスト525はダイヤル本体432上にあるため静止したままであるポスト525をクリッカーアーム520は乗り越えていく。図示の装置では、ダイヤルノブ430を1回転させる毎に、可聴クリックが8回生成される。その結果、ユーザは、クリック数に従って、供給される投与量を決定することができる。
【0207】
図20は、図16a乃至16cに示すアプリケータに挿入された状態で示されたカートリッジ460と同様のカートリッジ460の斜視図である。カートリッジ460は、アプリケータ上の相補的スロットと係合するための一対の対向つまみ461を有するショルダ部532を有する細長い管530によって構成される。供給端部のカートリッジノズル462は、カートリッジキャップ(図示せず)を固定するためにねじが切られており、カートリッジ内の薬剤を大気から遮断された状態に維持する。カートリッジの基部は、カートリッジを立てて保管することができるように外向き支持フランジ534を有する。カートリッジチューブの非供給端部の内側には排気口(図示せず)が設けられており、この排気機能部周囲の壁厚をほぼ一定に維持するために対応する外壁上の突起536が設けられている。
【0208】
幾つかの例を選んで本発明を説明したが、本明細書では本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正が可能であることは当業者には明らかである。例えば、ダイヤルノブは好ましくは手動回転可能であるが、当然のことながら、他の方法として、ダイヤルノブは電気モータによって回転駆動させることができる。このようなモータをダイヤルアセンブリに内蔵してもよい。更に、駆動部材は典型的にはねじ付き駆動ロッドなどのねじ付き部材であるが、例えばトルクスプリング駆動部材を含むその他の形状の駆動部材が考えられる。更に、アプリケータを使用して、乾癬だけでなく皮膚炎や湿疹を含む幾つかの皮膚疾患に対して薬剤を塗布してもよい。例示されたか否かにかかわらず上述した特徴の組み合わせも、本発明の範囲内に含まれるものとみなされる。従って、本発明に従う実施形態の先の記述は、単に説明ために提供されたものであり、本発明を制限する目的はない。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図5g
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図7a
図7b
図7c
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図9e
図9f
図10a
図10b
図10c
図10d
図10e
図10f
図10g
図11a
図11b
図11c
図11d
図11e
図12a
図12b
図13a
図13b
図14a
図14b
図14c
図15a
図15b
図15c
図16a
図16b
図16c
図17a
図17b
図17c
図17d
図18a
図18b
図19a
図19b
図20