(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記第1のセルは、第1の個数のMEMSデバイスを有し、上記第2のセルは、上記第1の個数のMEMSデバイスとは異なる第2の個数のMEMSデバイスを有する請求項5記載の半導体デバイス。
上記第1のセルは、第1の個数のMEMSデバイスを有し、上記第2のセルは、上記第1の個数のMEMSデバイスとは異なる第2の個数のMEMSデバイスを有する請求項7記載の半導体デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】1つの実施形態に係るMEMS可変キャパシタデバイスの断面図である。
【
図2】Cmax状態のMEMS可変キャパシタの断面図である。
【
図3】Cmin状態のMEMS可変キャパシタの断面図である。
【
図4】可変MEMSキャパシタの等価回路モデルを示す。
【
図5】可変キャパシタデバイスの周波数に対するQ値を、Cmax状態(実線)及びCmin状態(破線)で示す。
【
図6】基板への損失を含む可変MEMSキャパシタの等価回路モデルを示す。
【
図7】接地シールドを有する可変キャパシタMEMSデバイスの断面図を示す。
【
図8】接地シールドを有する可変キャパシタデバイスの等価回路モデルを示す。
【
図9】Cminにおいて可変キャパシタのQ値として示したシリコン損失の影響を示す。
【
図10】Cmaxにおいて可変キャパシタのQ値として示したシリコン損失の影響を示す。
【
図11】1つの実施形態に係るSOI上の可能な実装を示す。
【
図12】CMOSドライバを含む可変キャパシタデバイスの等価回路モデルを示す。
【
図13】CMOSドライバ及びアイソレーション抵抗を含む可変キャパシタデバイスの等価回路モデルを示す。
【
図14】接地シールドの下にアイソレーションポリ抵抗を有するMEMS可変キャパシタの断面図を示す。
【
図15】1つの実施形態に係る複数のMEMSデバイスを含んでいるセルの実例である。
【
図16】背中合わせのセルアーキテクチャに基づいた直列可変キャパシタの概略図である。
【
図17】減少した個数のバンプパッドを用いる、背中合わせの直列容量の概略図である。
【
図18】背中合わせのアーキテクチャに基づいた、より大きなサイズの直列容量の概略図である。
【
図19】1つの実施形態に係るより大きな規模のアーキテクチャの概略図である。
【
図21】別の実施形態に係るシャントDVCの概略図である。
【
図22】8つのMEMSデバイスを備えるセルの概略図である。
【
図23】8つのMEMSデバイスを備えるセルの概略図である。
【
図24】1つの実施形態に係るDVCの概略図である。
【
図25】別の実施形態に係るDVCの概略図である。
【
図26】他の実施形態に係るMEMSデバイスを有するセルの概略図である。
【
図27】他の実施形態に係るMEMSデバイスを有するセルの概略図である。
【
図28】別の実施形態に係るDVCの概略図である。
【
図29】別の実施形態に係るDVCの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の前述の特徴が詳細に理解可能になるように、上で簡単に概要を述べた本発明について、実施形態を参照してより具体的に説明する。実施形態のうちの一部を添付の図面に図示する。しかしながら、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示すものであり、従って、その範囲を限定するように考えるべきではなく、本発明は他の同様に有効な実施形態を包含する可能性があるということに注意する。
【0008】
理解の簡単化のために、可能な場合には、複数の図面にわたって共通の同じ構成要素を示すために、同じ参照番号が使用されている。ある実施形態で開示した構成要素は、特に言及していなくても他の実施形態でも有益に利用可能であることを意図している。
【0009】
本発明は、同一のチップ上でCMOS回路に統合された、MEMS RF可変キャパシタデバイスを包含させる方法を提供する。CMOS制御回路及びシリコン基板からRFスイッチを隔離して良好なRF性能を保証するために特別な対策がとられている。
【0010】
本発明は、概して、基板及び駆動回路からRF MEMSデバイスを隔離するためのアーキテクチャ、直列及びシャントDVCダイアーキテクチャ、及び高周波通信用のより小型のMEMSアレーに関する。半導体デバイスは、複数のMEMSデバイスをそこに備えた1個以上のセルを有する。MEMSデバイスは、プルアップ電極及びプルダウン電極のいずれかに電気的なバイアスを印加して、RF電極から第1の距離にわたって離れた第1の位置と、RF電極から第1の距離とは異なる第2の距離にわたって離れた第2の位置との間で、MEMSデバイスのスイッチング素子を動かすことによって動作する。基板からMEMSデバイスを隔離するために、プルアップ電極及び/又はプルオフ電極が抵抗に接続されてもよい。
【0011】
図1に、MEMS可変キャパシタデバイスの断面を示す。それは可動プレートから構成され、このプレートは接地(GND)に接続され、また、このプレートは封止されたキャビティで包囲される。それは、RF電極と可動プレート(GND)との間に、プレート位置によって変動する所定の容量を有する。デバイスはプルダウン(PD)制御電極を有し、これは、静電力によりプレートを引き下げるために用いられ(
図2を参照)、結果として、RF電極とGNDとの間の容量をCmaxに増加させる。また、デバイスはプルアップ(PU)電極を有し、これは、プレートをキャビティの天井に引き上げるために用いられ(
図3を参照)、結果として、RF電極とGNDとの間の容量をCminに減少させる。
【0012】
概して限られた目標周波数帯域幅内においてのみ正確な、極度に単純化したモデルアプローチでは、RF及びGNDの間の可変キャパシタは、
図4に示すような直列RLCネットワークによって表すことができる。可変キャパシタCは固有のデバイスを表す。インダクタLはスイッチへアクセスインダクタンスを表し、抵抗Rはスイッチにおける損失を表す。
【0013】
アクセスインダクタンスは典型的には高い周波数においてのみ所定の役割を果たし、関心対象の周波数帯におけるその影響を、スイッチトポロジーの注意深い設計によって最小化することができる。Rで表されるスイッチの損失は、スイッチのQ値(quality factor)、すなわち、Q=1/ωRCに帰着する。Rのそのような定義は、等価直列抵抗(ESR)としても知られている。典型的なQの所望値は、100より大きい。
図5は、可変キャパシタデバイスの典型的な周波数に対するQ値の応答を、Cmax状態(破線)及びCmin状態(実線)で示す。Cmax状態にあるときのキャパシタ値がCmin状態にあるときよりも高いので、Cmax状態にあるときのQ値は、典型的には、Cmin状態にあるときよりも低い。これは、デバイス状態がCminからCmaxに変化するときにESR(R)が完全に一定にはならないという事実に反する。
【0014】
標準的なCMOSシリコン基板上にMEMSスイッチを統合するとき、シリコン基板へのRF電極の追加的な結合が生じる。
図6は、Cp及びRsubによって示された基板への並列経路を備えた等価回路モデルを示す。この並列経路によって生じた追加的な損失は、スイッチの実効Qを非常に低い数に低下させる可能性がある。これはアンテナ又はRFフィルタの性能に、強い悪影響を与え、回避されるべきである。
【0015】
Qの低下を回避するために、MEMS可変キャパシタデバイスは、
図7に概略的に示すように、MEMSデバイスの下に接地シールドを追加することで基板からシールドされるべきである。接地シールドは、チップの第1の金属化層(M1)において実装される。MEMS RF電極層Mnとの間に大きな距離を設けるために、追加の金属化層M2…Mn−1が存在する。さらに、追加の金属化層M2…Mn−1と、それらの間の狭い間隔を有する接続ビアとを用いて、キャパシタの両面で「壁」を実装することができ、実際に、基板及びモノリシックなCMOS能動回路の両方から横方向でも隔離することができるシールドボックスを生成する。
【0016】
図8に、接地シールドを備えたMEMS可変容量スイッチの等価回路を示す。GNDへのRF電極の寄生容量は、可変容量と並列であり、従って、合計の容量値の合計をわずかに増加させるが、それはQを低値に低下させることはない。
【0017】
接地シールドは任意の金属化レベルM1…Mn1において実装することができ、これにより、必要であれば、MEMS可変キャパシタデバイスの下に、金属経路を備えた何らかの能動回路を直接的に配置することができる。しかしながら、合計容量の増加を最小化するために、接地シールド及びDVCデバイスの間に大きな距離を設けることが望ましい可能性がある。典型的には、この距離の値は5μmから20μmまでの範囲にわたる。従って、MEMSデバイスの下の接地シールドを用いることは、必要なRF性能を保持しながら、制御回路を含む同じシリコンチップ上に可変キャパシタをモノリシックに統合することを可能にする。
【0018】
接地シールドの例示的な実装をEDAシミュレーションツールにより解析し、その結果を
図9及び
図10に示す。キャパシタがその最低値にあるとき、シリコン損失の影響が最大になる。
図6の簡単な等価モデルを参照すると、固有のキャパシタは、その最小値にあるとき、そのインピーダンスが最大になり、従って、大部分のRF電流を基板の並列経路に流れさせることになる。一方、キャパシタがその最高値の状態にあるとき、大部分のRF電流は固有のキャパシタ自体に流れ、シリコン損失の相対的な影響はより小さくなる。両方の場合で、接地シールドを導入することは、Q値を、基板の損失をもたない理想的な高抵抗率シリコン基準の場合まで、ほとんど完全に回復する。
【0019】
MEMSスイッチを代替技術基板上に統合することは、接地シールドを実装する必要なしに、十分に低い損失(高いQ値)を提供することができる。これは、非常に小さな最小容量及び/又は高いチューニング比が要求される場合に利点を有する。そのような代替基板は、高抵抗率基板を有するシリコン・オン・インシュレータ(SOI)、シリコン・オン・サファイア(SOS)、シリコン・オン・ナッシング(SON)、又は等価物を含む。
図11において、可能な実装がSOIに示されている。活性シリコン層は、活性シリコンの(互い違いの、あるいは整列した)柱を隔離するために、ディープトレンチ隔離パターンを含む。これは、MEMSから活性シリコンへの容量結合に起因した損失を削減する方法であり、隔離トレンチは、活性シリコン内の電流経路を破壊し、全体損失を最小化し、完全な容量範囲全体にわたってQを保持する。従って、MEMSデバイスの下の活性SOI層においてディープトレンチ隔離パターンを用いることで、要求されるRF性能を保持しながら、制御回路を含む同じSOIシリコンチップ上に可変キャパシタをモノリシックに統合することを可能にする。
【0020】
MEMS RFデバイス及びCMOS制御回路の相互の統合を可能にすることの別の態様は、MEMS RFデバイスを制御回路から減結合する方法である。
図12に、制御電極PD及びPU及びCMOSドライバ回路を含むMEMS可変キャパシタデバイスの概要を示す、より詳細な回路を示す。MEMS可変キャパシタデバイス(RF、PU、PD、可動プレート)の様々なノードは、
図1における同じ名前の電極に対応する。
【0021】
CMOSドライバ回路は、可動プレートを引き上げるか引き下ろしてノードRFからGNDへの等価容量を変化させるために、MEMSデバイスのPU及びPDノードに適正な電圧を印加する。RF電極からPD及びPU電極(Crf_pd及びCrf_puを介する)までの寄生容量結合に起因して、RF電力の一部が、PU及びPDノードに実際に現れる。
【0022】
PullDown及びPullUpノードにおけるCMOSドライバの出力インピーダンスは、CMOSがシリコンのバルクに位置するので、RF周波数で理想的な低オームのインピーダンスにはならない。従って、MEMSデバイスのPD及びPUノードに現れるRF電力は、損失のあるシリコン、すなわちデバイスの実効Qに悪影響を与えるシリコンにおいて失われる。同時に、PullDown及びPullUpノードにおけるCMOSの出力で発生した雑音は、PD及びPUのノードに直接に接続され、さらにRFノードに接続され、このことは、RF回路の雑音性能に悪影響を与える。
【0023】
これらの悪影響を回避するために、MEMS PD及びPU電極を、
図13に示すように、高抵抗値ポリ抵抗Rpu及びRpdを用いてドライバ回路のCMOS駆動ノードPullDown及びPullUpから隔離することができる。これらのアイソレーション抵抗と、MEMSデバイスキャパシタCpd、Crf、CPU、Crf_pd、及びCrf_puとは、CMOS駆動ノードPullDown及びPullUpからPD及びPUノード上のRF信号を隔離するためのフィルタを実装する。MEMS可変キャパシタデバイスのノードPD及びPUに現れるRF電力は、ここで、キャパシタCpd及びCPUを介して可動プレートに接続され、次にRFGNDに流れる。デバイスのQへの悪影響はない。
【0024】
これらのアイソレーション抵抗Rpd及びRpuの値は、アプリケーションの意図したRF帯域に依存し、また、容量サイズに依存する。0.7GHzから3.5GHzにわたる標準的な通信帯域では、典型的な値は100kΩから10MΩまでの範囲にわたる。最近利用可能な多くのCMOSプロセスにおける高抵抗率の非サリサイドのポリ抵抗として1〜2kΩ/squareの標準的な利用可能な面抵抗を用いて、これらの抵抗範囲は容易に実装することができる。アイソレーション抵抗自体は、
図14に示すように、MEMS可変キャパシタデバイスの直下の接地シールドの下に設けることができる。
【0025】
直列及びシャントのDVCダイアーキテクチャに関して、高周波通信で用いられるディジタル制御された可変キャパシタを実装するための既存の解決策にかかるいくつかの欠点は、以下のように取り組まれる:ディジタル可変キャパシタのフットプリントに接続しているアプリケーション回路のRF基板上の銅ラインによって追加された小さな直列抵抗及びインダクタンスを有すること;同じ基礎MEMS技術から、シャント及び直列の両方の構成の可変キャパシタを実装すること;及び、異なるサイズ容量が共用の制御CMOS部を備えてモジュール式で実装されることを可能にする可撓性のアーキテクチャを有すること。
【0026】
図1は、2値を有するキャパシタを実装する単一のMEMSデバイスの概略的な断面を示す。容量は、RF電極及び可動プレート(B電極)の間で測定される。プルダウン(PD)及びプルアップ(PU)電極は、デバイスの容量値を定義する静電動作をもたらす。
【0027】
図2及び
図3は、PD電極へ電圧を印加した後の最大容量状態(
図16)及びPU電極へ電圧を印加した後の最小容量状態(
図3)でMEMSデバイスを示す。MEMSデバイスのサイズは、その最大容量によって定義される。RF電極の幅がMEMSデバイスのサイズに正比例し、従って、より広いRF電極はより大きなMEMSデバイスのサイズをもたらすということは明らかである。MEMSデバイスのサイズの典型的な値は、2〜20fFの範囲にある。
【0028】
図15は、8つのMEMSデバイスからなるセルの上面図を示す。MEMSデバイスの可動プレートの上面図を単に箱として示すが、実際の設計は、本開示の範囲でない特徴を有する。隣接したMEMSデバイスは、分離していてもよく、連結されていてもよい。この実装において、MEMSデバイスに垂直に延在するRF電極はセル全体にわたって一定の幅を有するので、MEMSデバイスはすべて同じサイズである。このセルは、Cmin_cell=Cmin_mems×Nmems、及び、Cmax_cell=Cmax_mems×Nmems、によって与えられる合計容量範囲を有する。非常に小さなサイズを有するMEMSデバイスを提供することによって、セルは、MEMSデバイスの容量と等しい分解能で特定の容量値(最小値又は最大値のいずれか)を目標とするように設計することができる。このことは、CMOS制御回路とともに適切なセルのグループ化を用いて改善された性能のための機能を実装することができるので、ディジタル可変キャパシタの設計において非常に価値のある特徴である。
【0029】
1つの実装では、接地へのシャントとして接続されることを意図した可変キャパシタがある。この実装は、単一のRFピン及び1つのRF接地(RFGND)及びさらに制御IO及び供給ピンを備える、単一ポートデバイスに帰着する。ディジタル可変キャパシタを形成するセルのアーキテクチャは、以下のことに起因する余分な寄生成分を最小化することを目的としている:(1)バンプパッドにセルを接続するために用いられるライン金属のCMOSバックエンドにおける相互接続レベル;(2)フリップチップアセンブリのためのダイのフットプリントにアプリケーション回路を接続する銅トレース。以下の実装において、そのような寄生成分を最小化するために、かつ、最適性能をもたらすために、構成要素のセルのパッド配置及び接続方式の両方がどのように組み合わされるかについて説明する。
【0030】
図16は、背中合わせのセルアーキテクチャに基づいた直列可変キャパシタの実装の概略説明である。ピンRF1及びRF2の間の合計容量は、直列中の2つの2倍のサイズの容量を直列で実装ですることで作成される。中心ノードは、すべてのセルのMEMSデバイスの可動プレートへの接続(B電極)である。この中心ノードは、意図したアプリケーション周波数(RF)において電気的にフローティングの状態にある。MEMSデバイスの静電動作を適切に実行させるために、この中心ノードはDC接地される。アプリケーションの意図したRF帯域に依存し、かつ、合計キャパシタサイズに依存する、適切に設計された値の抵抗が、この中心の「フローティング状態」の電極を接地にDC接続するために使用される。0.7GHzから3.5GHzにわたる標準的な通信帯域では、そのような抵抗値はkΩからMΩまでの範囲にある。
【0031】
図17は、減少した個数のバンプパッドを用いる、背中合わせの直列容量の代替実施形態である。
図17では、基板レベルの接地面への良好なアクセスを提供するために直列キャパシタの両側に配置されたRF接地接続パッドも示す。
【0032】
図18に、先の背中合わせのアーキテクチャに基づいた、より大きなサイズの直列容量を示す。領域占有を最大化するために、かつ、与えられたMEMSデバイスサイズにつき最大の容量サイズを達成するために、異なるサイズセルが用いられる。複数のセルサイズと、ディジタル制御のビットへのセル割り当てとを組み合わせたことにより、ディジタル可変キャパシタの容量範囲全体にわたって一定のステップサイズを達成することができる。これは3ビットの制御割り当ての説明である:
ビット0:1×35セル=35個のMEMSデバイス=1×LSB;
ビット1:1×69セル=69個のMEMSスイッチ=2×LSB;
ビット2:2×69セル=138個のMEMSデバイス=4×LSB;
ビット3:4×52セル+1x69セル=277個のMEMSデバイス=8xLSB。
これは、複数のセルに適切にグループ化された小さなサイズのMEMS容量性スイッチを使用することが、目標のサイズを有し、優れたRF性能を備えたディジタル可変キャパシタを生成する際の、どれほど重要かつ新規なステップであるかということを示す。
【0033】
図19に、同じダイ上で統合された複数のユニットに基づく、より大きな合計容量の実装を実証するために、拡張されたアーキテクチャを示す。この特定の例では、3つの単一ユニットのディジタル容量を並列に配置にすることよって、3倍大きな容量を生成する。CMOS制御回路は、3つのユニットすべての間で共用され、2値コード化された方法で必要な容量値対制御状態の生成を担当する。CMOS制御回路は、図示していないが、同じダイ上にモノリシックに統合されていることを意図している。
【0034】
図20に、シャントディジタル可変キャパシタの実装を示す。アーキテクチャは、RFGNDピンのために4つのバンプパッドを採用することでCMOSバックエンド相互接続からの直列インダクタンスを最小化することを目的とする。デバイスは、バンプパッドに達する基板レベル銅ラインからの余分な直列インダクタンス及び抵抗を最小化するために、ダイのエッジに可能な限り近接して配置される。ダイの上面(図示せず)は、モノリシックに統合されたCMOS制御回路及びバンプパッドを有していることを意図している。
【0035】
図21に、シャントディジタル可変キャパシタの代替アーキテクチャを示す。ここでは、2つの接地バンプパッドだけが実装され、GND−RF−GND接点のための直線上の3つのバンプを生成する。利点は、ダイエッジに非常に近接したすべてのバンプパッドを配置し、基板レベル銅ラインの余分な直列インダクタンス及び抵抗をさらに最小化する能力である。全体の領域占有も削減され、ダイサイズ及びコストの点で利益をもたらす。
【0036】
高周波通信のためのDVCアレーに関して、本発明は、高周波通信で用いられるディジタル制御された可変キャパシタを提供するための既存の解決策におけるいくつかの欠点を目標としている。ここに、今日現在において産業上で既知の問題のリストがある:アプリケーション固有の容量範囲(最小及び最大の容量)及びステップサイズ(2つの連続する容量値間の間隔)は、既存の解決策から得るのが困難であること;結果として、アプリケーション回路設計は最適化されたものではなく、容量範囲及びステップサイズに対して調節する必要がある;大電力の取り扱いと、供給された電力に応じて容量値を変化させる能力とを既存の技術で達成するのは、なお困難である;及び、ソリッドステート技術及び微小電気機械システムに典型的なプロセスの変動は、結果として、可変キャパシタの指定された容量値の広い公差区間を生じさせ、これにより、アプリケーション回路全体の設計が最適化されたものではなくなる。
【0037】
既存の1つの解決策は、統合されたスイッチによりアプリケーション回路に接続されたり切断されたりする、限られた個数の固定キャパシタに基づく。別の既存の実装は微小電気機械(MEMS)デバイスに基づき、これは通常、共通の基板上にすべて統合された限られた個数のMEMSデバイスを含み、これは、CMOS回路によって制御された可変キャパシタを実装する。
【0038】
ここに開示された1つの実施形態は、2値可変キャパシタをそれぞれ実装する多数の小型MEMSデバイスに基づくディジタル可変キャパシタの実装を報告する。そのようなMEMSデバイスの個数は、目標となるディジタル可変キャパシタの全体仕様に依存して、100から数千までの範囲にわたる。これらの小型MEMSデバイスは所定個数のセルにグループ化され、このグループ化は、目標の仕様に従って異なる方法で行うことができる。各セル内では、MEMSスイッチは、同じサイズ及び異なるサイズのいずれであってもよく、これにより、特定の性能パラメータを目標とすることも可能になる。制御信号の経路は、異なるセルに代替の方法で設けられてもよく、ステップサイズを定義すること、また、プロセスの変動を補償するためのツールを提供することを可能にする。
【0039】
無線周波通信用のディジタル可変キャパシタにかかる重要な1つの仕様は、デバイスが2つの容量値間でなお切り換え可能であるときの、供給される最大のRF電力である。このパラメータは、ホットスイッチ電圧(VHS)として定量化される。これは、状態を変化させるディジタル可変キャパシタ能力をなお保持しながら、RF電極に印加可能な最大のDC又はRMS等価交流電圧に等しい。
【0040】
MEMSデバイスが最大容量から最小容量に変化できるようにするために、懸架されたブリッジの機械的な復原力は、RF電極におけるRMS電圧によって生じた静電力より大きくなければならない。RF電極が広いほど、この力は、与えられたRF電力に対して大きくなる。従って、MEMSデバイスのサイズ及びホットスイッチ電圧の間にトレードオフがあり、大きな装置はより小さなVHSを有する。
【0041】
図22は、所定スケールを有するRF電極のアプローチを用いたセルを示す。MEMSデバイスは、懸架された可動プレートのすべてが互いに連結されるように、ともにリンクされることを意図している。この解決策の利点は、1セル当たりの大きな合計容量を保持しながら、ホットスイッチ電圧を増大させることにある。狭いRFライン部に対応するより小型のサイズを有するMEMSデバイスは、中心の(より大きな)デバイスを下に保持するのに十分なだけRF RMS電圧が大きい場合であっても、下がった位置から解放され始める。エッジ装置が解放されるとき、それらは、それらが解放するのを支援する近接デバイスに対する余分な復原力を生成する。デバイスの行全体はエッジから中心に開かれ、結果的に、一定のMEMSデバイスサイズ(
図15)に基づく等価な解決策と比較して、より大きな実効ホットスイッチ性能をもたらす。
図22において、RF電極は、異なるMEMSデバイスに対応する、次第に細くなる形状を有する複数の幅を有する。
【0042】
図23に示すような次第に細くなる形状を有するRF電極を有することによって、同様のアプローチを実装することができる。アプリケーション回路基板への接続を提供する1つ以上のパッドのまわりにおいて所定個数のセルをグループ化することで、完全なディジタル可変キャパシタが実装される。そのような構成を行うことによって、ディジタルキャパシタのための必要なステップサイズ分解能を達成するために、セルの個数及びサイズがCMOS制御と一緒に設計される。
【0043】
図24に、そのような構成の一例を示す。この実装において、15個の等サイズのセル(番号1〜15を有する)及び1個の半分のサイズのセル(番号0を有する)がある。半分のサイズのセルは、実装可能な最小の容量変化、言い換えると最下位ビット(LSB)サイズを定義した。残りの15個のセルは、2つの連続する制御状態間のステップサイズを常に等しくするために、CMOSによって制御することができる。このグループ化の1つの実施形態は、制御下のビット数と同数のセルグループを生成するために2のべき乗のスケーリングを行ってセルがグループ化される、2値の重みづけられたアプローチである。2値の重みづけられたグループ化の1つの実装は、与えられたビットに静的に割り当てられた与えられたセルを有する。例えば:ビット0:セル0;ビット1:セル1;ビット2:セル2及び3;ビット3:セル4、5、6、及び7;ビット4:セル8、9、10、11、12、13、14、及び15。2値の重みづけられたグループ化の別の実装は、使用条件に依存して、寿命を向上させるためにビットにセルを動的に割り当てる。
【0044】
図25において、より小さなLSBサイズを達成するための異なる構成が設計されている。ここで、最小の容量変更が、完全なセルサイズの1/8であるセルによって与えられる。この実装により、ずっと高い分解能を有するディジタル可変キャパシタが得られる。制御の1つの実装は、以下のように割り当てられた7ビットを与える:ビット0:セル0;ビット1:セル1;ビット2:セル2;ビット3:セル3;ビット4:セル4及び5;ビット5:セル6、7、8、及び9;ビット6:セル10、11、12、13、14、15、16、及び17。
【0045】
これらの小さなセルの別の代替使用は、プロセスの変動の補償、及び校正である。1つの実装において、以前に議論されたディジタル可変キャパシタは、5ビットの分解能である。これは以下の割り当てで実装される:ビット0:セル2;ビット1:セル3;ビット2:セル4及び5;ビット3:セル6、7、8、及び9;ビット4:セル10、11、12、13、14、15、16、及び17。残りの、より小さなサイズを有するセル0及び1は、予め定義された状態に設定可能であり、又は、それらの予め定義された状態は、CMOS制御へプログラムされることが可能であり、これにより、ディジタルキャパシタの最小容量及び最大容量は、プロセスの変動に起因して技術機能を超えている特定の要件を満たす。
【0046】
非常に小さな分解能については、LSBセルは比較的少ない個数のMEMSデバイスに帰着する可能性がある。これは、歩留まりに悪影響を有する可能性がある。
図26及び
図27において、セルサイズのスケーリングを行う別の方法を示す。
図26は、与えられたサイズCmemsのN個のMEMSデバイスからなる。
図27は、RF電極の幅が半分であることに起因して半分のサイズである2xN個のMEMSデバイスからなる。この重要な柔軟性は、高分解能のディジタル可変キャパシタの解決策において、全体的な歩留まりを改善する。
【0047】
別のレベルの柔軟性は、異なるサイズのMEMSデバイスからなる異なるビットを備えたディジタル可変キャパシタを設計することにある。
図28に可能な実装を示す。1つの実装において、このアプローチは、RF電極に最大RMS電圧が印加された条件下で、ディジタルキャパシタのホットスイッチ機能を改善するために使用可能である。例示的な実装として、ディジタルキャパシタは、ソースを負荷に接続する伝送線路にわたるシャント構成において接続されている。この条件において、ソースからの任意の所与の利用可能な電力については、容量値が小さいとき、RF電極におけるRMS電圧はより大きくなる。従って、より悪い場合のホットスイッチシナリオでは、最小のビット(LSB、LSB−1又はLSB−2)の解放を、他の全ビットがすでに最小容量の状態にあるときに行わなければならない。より小さなMEMSデバイスからなるセルを用いてそれらのビットを実装することによって、必要であれば、ホットスイッチ機能は改善される。
【0048】
同様の概念の別の実装は、ホットスイッチ要件に対処する際に巧妙さを付加するためにCMOSに依存する。MEMS設計は、アレー全体にわたって不変であり、歩どまりに関するプロセスパラメータを最適化するための安定した目標を与える。MEMS領域内のRF電極のサイズは、脚部/懸架の設計に結び付けられた復原力とともに、異なるセルのために修正される。各セルは、潜在的に、異なる最大のホットスイッチングRF RMS電圧を目標とすることができる。制御方式は、予期された、より悪い場合の、RFキャパシタプレートにわたるRMS電圧に反比例する合計容量の値に従って、正しいセルのグループのホットスイッチングの処理を行う。ファーストインファーストアウト(FIFO)制御方式が例示アプローチであり、ここでは、高電圧セルが、合計容量を増大させなければならない場合に高い容量に切り替えられる最初のセルであり、かつ、合計容量を低下させなければならない場合に低い容量に切り替えられる最後のセルである。
【0049】
図29に、与えられたMEMSデバイス設計に対して領域使用量を最大化しかつ大きな最大容量を生成するために、柔軟なセルサイズ設計を利用するディジタルキャパシタ実装の概略図を示す。ここで、接続(バンプ)パッド間のピッチは、製品要件によって定義されるものであり、増大させることができない。セルサイズは、2つのバンプ間に拘束されたセル、例えばセル番号4、5、6、7、8、9、10、及び11などでは、より小さくなる。しかし、他のセル、例えばセル0、1、2、3、12、13、14、及び15は、合計容量サイズを増加するために、バンプパッドのいずれかの横に延在することができる。必要であればわずかに異なるMEMSデバイスサイズをさらに用いて、適切にセルサイズを設計することにより、また、ビット及びCMOS設計においてセルをグループ化することで制御方法を実施することによって、一様なステップサイズのディジタルキャパシタを保証する。
【0050】
セルサイズ設計の柔軟性を利用する別の方法は、標準的な一様に等しい感覚を有する値を越えた、特別なステップサイズの方法を実施するためのものである。一例では、細かいステップサイズとともに、粗いステップサイズを有している。これは、一部のセルに必要な大きなステップを提供させながら、より小さなサイズのセルに細かいステップサイズを提供させることによって、容易に実装することができる。CMOSで適切に設計されたコード化方式は、所望の粗い値に迅速に「ジャンプ」させるか、又は、その値のまわりで容量を微調整させる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の基本的な範囲から離れることなく、本発明の他の実施形態及び別の実施形態を実施することもできる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決まる。