(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記メサンギウム細胞増殖性障害は、糸球体腎炎、糖尿病性腎障害、悪性腎硬化症、血栓性微小血管症症候群、移植拒絶、および糸球体症からなる群から選択される、請求項13に記載の薬学的組成物。
【背景技術】
【0002】
技術分野
本発明は、チロシンキナーゼシグナル伝達を調整、調節、および/または阻害することが可能な新規化合物に関する。本発明はまた、細胞成長、代謝性障害、および血管増殖性障害を含む、無秩序なチロシンキナーゼシグナル伝達に関連する障害を予防および/または治療するために、受容体型または非受容体型のチロシンキナーゼを調節、調整、または阻害する方法を対象とする。
【0003】
関連技術の説明
タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)は、酵素活性を有する広範な種類のタンパク質を含む。PTKは、細胞成長および分化の制御において重要な役割を担う。
【0004】
例えば、受容体型チロシンキナーゼ媒介性シグナル伝達は、特異的成長因子(リガンド)との細胞外相互作用によって開始され、次いで受容体の二量体化、内因性タンパク質チロシンキナーゼ活性の一過性刺激、およびリン酸化が起こる。それによって、細胞内シグナル伝達分子のための結合部位が作り出され、様々な細胞質シグナル伝達分子との複合体の形成をもたらし、適切な細胞応答(例えば、細胞分裂、代謝ホメオスタシス、および細胞外微小環境への応答)が促進される。
【0005】
受容体型チロシンキナーゼに関しては、チロシンリン酸化部位が、シグナル伝達分子のSH2(src相同性)ドメインの高親和性結合部位として機能することもまた示されている。受容体型チロシンキナーゼ(RTK)と会合する複数の細胞内基質タンパク質が特定されている。それらは、次の2つの主要な群に分類され得る:(1)触媒ドメインを有する基質、および(2)かかるドメインを欠いているが、触媒活性分子のアダプターとして機能し、触媒活性分子と会合する基質。受容体またはタンパク質とそれらの基質のSH2ドメインとの間の相互作用の特異性は、リン酸化されたチロシン残基のすぐ周囲のアミノ酸残基によって決定される。SH2ドメインと、特定受容体上のホスホチロシン残基の周囲のアミノ酸配列との間の結合親和性の相異は、それらの基質リン酸化プロフィールにおいて観察される相異と一致する。これらの観察は、各受容体型チロシンキナーゼの機能が、その発現パターンおよびリガンド利用可能性のみによって決定されるのではなく、特定受容体によって活性化される一連の下流シグナル伝達経路によっても決まることを示唆している。このように、リン酸化が、特異的な成長因子受容体ならびに分化因子受容体によって動員されるシグナル伝達経路の選択性を決定する重要な調節ステップを提供する。
【0006】
PTKにおける異常発現または突然変異は、無制御な細胞増殖(例えば、悪性腫瘍成長)または主要発達過程の欠陥につながることが示されている。結果として、生物医学界では、PTKファミリーのメンバーの特異的な生物学的役割、分化過程におけるそれらの機能、腫瘍形成および他の疾患におけるそれらの関与、リガンド刺激時に活性化されるそれらのシグナル伝達経路の生化学的機構、ならびに新薬の開発を発見するための重要な情報源が増大してきた。
【0007】
チロシンキナーゼは、受容体型(細胞外、膜貫、および、細胞内ドメインを有する)または非受容体型(全体として細胞内に存在する)のものであり得る。
【0008】
RTKは、様々な生物学的活性を有する膜貫通型受容体の大きなファミリーを含む。RTKの固有の機能が活性化されるのは、リガンド結合時であり、それは、その受容体および複数の細胞基質のリン酸化、次いで多様な細胞応答をもたらす。
【0009】
現在、少なくとも19の異なるRTKサブファミリーが特定されている。HERサブファミリーと指定される1つのRTKサブファミリーは、EGFR、HER2、HER3、およびHER4からなると考えられる。Herサブファミリーの受容体のリガンドには、上皮成長因子(EGF)、TGF−α、アンフィレグリン、HB−EGF、ベータセルリン、およびヘレグリンが含まれる。
【0010】
インスリンサブファミリーと指定される第2のRTKのファミリーは、INS−R、IGF−1R、およびIR−Rからなる。第3のファミリーである「PDGF」サブファミリーには、PDGFαおよびβ受容体、CSFIR、c−kit、ならびにFLK−IIが含まれる。FLKファミリーとして特定されるRTKの別のサブファミリーは、キナーゼ挿入ドメイン受容体・胎児肝臓キナーゼ1(KDR/FLK−1)、胎児肝臓キナーゼ4(FLK−4)、およびfms様チロシンキナーゼ1(flt−1)からなると考えられる。これらの受容体の各々は、造血成長因子の受容体であると当初考えられていた。他の2つのRTKのサブファミリーは、FGF受容体ファミリー(FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4)、およびMetサブファミリー(c−metおよびRon)として指定されている。
【0011】
PDGFサブファミリーとFLKサブファミリーは似ているので、しばしば一緒に見なされる。既知のRTKサブファミリーは、Plowman et al,1994,DN&P
7(6):334−339において特定されており、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
非受容体型チロシンキナーゼは、細胞外および膜貫配列を欠いている細胞酵素のまとまりを表す。現在、11のサブファミリー(Src、Frk、Btk、Csk、Abl、Zap70、Fes/Fps、Fak、Jak、Ack、およびLIMK)を含む、24を超える個々の非受容体型チロシンキナーゼが特定されている。現在、非受容体型チロシンキナーゼのSrcサブファミリーは、最大数のPTKからなり、Src、Yes、Fyn、Lyn、Lck、Blk、Hck、Fgr、およびYrkを含む。酵素のSrcサブファミリーは、腫瘍形成に関連付けられている。非受容体型チロシンキナーゼのより詳細な議論は、Bolen,1993,Oncogen 8:2025−2031に提供され、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
RTKであろうと非受容体型チロシンキナーゼであろうと、チロシンキナーゼの多くが、がん、乾癬、および過剰免疫応答を含む病原状態につながる細胞シグナルカスケードにつながる細胞シグナル伝達経路に関与することが見出されている。
【0014】
細胞増殖、異常な細胞増殖に関連する細胞増殖疾患および障害を制御、調節、および調整するのにPTKが重要であると推測されることに鑑み、受容体型および非受容体型チロシンキナーゼ「阻害剤」を特定するために、次のものの使用を含む様々なアプローチを使用する多くの試みがなされてきた:突然変異体リガンド(米国特許第4,966,849号)、可溶性受容体および抗体(PCT出願第WO 94/10202号、Kendall&Thomas,1994,Proc.Nat’l Acad.Sci 90:10705−09、Kim,et al,1993,Nature 362:841−844)、RNAリガンド(Jellinek,et al,Biochemistry 33:10450−56)、Takano,et al,1993、Mol.Bio.Cell 4:358A、Kinsella,et al,1992,Exp.Cell Res.199:56−62、Wright,et al,1992,J.Cellular Phys.152:448−57)、およびチロシンキナーゼ阻害剤(PCT出願第WO 94/03427号、第WO 92/21660号、第WO 91/15495号、第WO 94/14808号、米国特許第5,330,992号、Mariani,et al,1994,Proc.Am.Assoc.Cancer Res.35:2268)。
【0015】
より最近では、チロシンキナーゼ阻害剤として作用する小分子を特定する試みがなされている。例えば、ビス単環式、二環式、または複素環式アリール化合物(PCT出願第WO 92/20642号)、ビニレン−アザインドール誘導体(PCT出願第WO 94/14808号)、および1−シクロプロピル−4−ピリジル−キノロン(米国特許第5,330,992号)が、チロシンキナーゼ阻害剤として一般に記載されている。スチリル化合物(米国特許第5,217,999号)、スチリル置換ピリジル化合物(米国特許第5,302,606号)、ある特定のキナゾリン誘導体(EP出願第0 566 266 A1号)、セレオインドールおよびセレニド(PCT出願第WO 94/03427号)、三環ポリヒドロキシル化合物(PCT出願第WO 92/21660号)、およびベンジルホスホン酸化合物(PCT出願第WO 91/15495号)が、がんの治療において使用するためのチロシンキナーゼ阻害剤として使用される化合物として記載されている。
【0016】
したがって、異常または不適切な細胞増殖を調節および調整するように受容体型および非受容体型チロシンキナーゼの活性を調整することによってシグナル伝達を特異的に抑制する、有効な小化合物を特定することが望ましく、本発明の一目的である。
【0017】
加えて、無秩序なTKS伝達に関連する障害の治療に有用であるとして、ある特定の小化合物が米国特許第5,792,783号、第5,834,504号、第5,883,113号、第5,883,116号、および第5,886,020号に開示されている。特許およびPCT公開特許出願WO 02/29630、第6,599,173号、第6,765,012号、第6,699,863号、第6,541,504号、および第6,747,025号もまた参照されたい。これらの特許は、出発物質およびその調製方法、特許請求される化合物が細胞増殖を調整、調節、および/または阻害する能力を決定するスクリーニングおよびアッセイ、該化合物で治療可能である適応症、製剤および投与経路、有効投薬量等を開示する目的で、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0018】
本発明の簡単な要約
本発明は、チロシンキナーゼシグナル伝達を調整、調節、および/または阻害することが可能な有機分子に関する。かかる化合物は、がん等の細胞増殖性疾患、アテローム性硬化症、再狭窄、糖尿病等の代謝性障害、乾癬および慢性閉塞性肺疾患等の炎症性疾患、糖尿病性網膜症等の血管増殖性疾患、加齢性黄斑変性症および未熟児網膜症、翼状片自己免疫疾患、ならびに移植片拒絶を含む、無秩序なTKS伝達に関連する疾患の治療に有用である。
1つの例示的な実施形態において、本発明の化合物は、次の一般式I:
【化1】
を有し、式中、
R
1は、水素またはNH
2であり、
R
2は、水素またはNH
2であり、
Xは、
【化2】
であり、
Yは、CHまたはNであり、
Arは、アリール基、すなわち、炭素環式アリールまたはヘテロアリール基であり、該炭素環式アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、またはアルコキシカルボニルで任意に置換されてもよく、
Ar
1は、アリール基、すなわち、炭素環式アリールまたはヘテロアリール基であり、該炭素環式アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、スルフィニル、チオエーテル、またはフルオロもしくはクロロ置換低級アルキルで任意に置換されてもよく、
R
3は、水素または低級アルキルであり、
R
4は、水素または低級アルキルであり、
nは、1〜6の整数であり、
mは、1〜6の整数の整数である、化合物、ならびに該化合物のプロドラッグ、薬学的に許容される塩、ラセミ混合物、および鏡像異性体である。
好ましくは、本発明の化合物は、下の一般式II:
【化3】
によって表され、式中、
R
1は、水素またはNH
2であり、
R
2は、水素またはNH
2であり、
Xは、
【化4】
であり、
Yは、CHまたはNであり、
Ar
1は、アリール基、すなわち、炭素環式アリールまたはヘテロアリール基であり、該炭素環式アリールまたはヘテロアリール基は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、スルフィニル、チオエーテル、またはフルオロもしくはクロロ低級アルキルで任意に置換されてもよく、
R
3は、水素または低級アルキルであり、
R
4は、水素または低級アルキルであり、
nは、1〜6の整数であり、
mは、1〜6の整数である、化合物、ならびに該化合物のプロドラッグ、薬学的に許容される塩、ラセミ混合物、および鏡像異性体である。
好ましくは、R
1は、NH
2である。
好ましくは、R
2は、水素である。
好ましくは、R
3は、水素またはメチルである。
好ましくは、R
4は、水素またはメチルである。
好ましくは、nは、1または4の整数である。
好ましくは、mは、1または4の整数である。
好ましくは、Yは、CHである。
好ましくは、Ar
1は、ハロゲン、低級アルキル、またはハロゲン置換低級アルキルで任意に置換され得る、フェニル、フラニル、およびピロリルからなる群から選択される。より好ましくは、置換基は、メチル、フルオロ、クロロ、およびトリフルオロメチルからなる群から選択されてもよい。
式IおよびIIの化合物は、キナーゼ阻害剤として有用である。したがって、式IおよびIIの化合物は、無秩序なチロシンキナーゼシグナル伝達に関連する疾患、例えば、がん、血管増殖性障害、線維性障害、および神経変性疾患を治療するのに有効であろう。特に本発明の化合物は、メサンギウム細胞増殖性障害および代謝性疾患、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性、未熟児網膜症、翼状片、関節炎、再狭窄、肝硬変、アテローム性硬化症、乾癬、糖尿病、創傷治癒、炎症、ならびに神経変性疾患の治療に有効である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、薬学的に有効量の上述の化合物と、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む、薬学的組成物を更に対象とする。かかる組成物は、触媒活性の阻害、ATPへの親和性、または基質と相互作用する能力のいずれかによって、チロシンキナーゼによるシグナル伝達を調整すると考えられる。
【0020】
より詳細には、本発明の組成物は、増殖、線維性、または代謝性障害、例えば、がん、線維症、乾癬、アテローム性硬化症、関節炎、ならびに糖尿病性網膜症等の他の障害に関連する異常な脈管形成および/または血管新生を含む疾患を治療するための方法に含まれてもよい。
本明細書全体を通じて次の定義される用語が使用される:
「Ac」は、アセチルを指す。
「BOP」は、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩を指す。
「DCE」は、ジクロロエタンを指す。
「DIPEA」は、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを指す。
「DMF」は、ジメチルホルムアミドを指す。
「EDC」は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル(dimethyllaminopropyl))カルボジイミドを指す。
「Et」は、エチルを指す。
「Et
2O」は、ジエチルエーテルを指す。
「HMPA」は、ヘキサメチルリン酸トリアミドを指す。
「iPr」は、i−プロピルを指す。
「Me」は、メチルを指す。
「MeOH」は、メタノールを指す。
「PBS」は、リン酸緩衝生理食塩水を指す。
「Ph」は、フェニルを指す。
「PPTS」は、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸塩を指す。
「PTK」は、タンパク質チロシンキナーゼ」を指す。
「RTK」は、受容体型チロシンキナーゼ」を指す。
「TBAF」は、フッ化テトラブチルアンモニウムを指す。
「tBu」は、t−ブチルを指す。
「TMS」は、テトラメチルシランを指す。
【0021】
「薬学的に許容される塩」は、遊離塩基の生物学的有効性および特性を保持し、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等の無機酸との反応によって得られる塩を指す。薬学的に許容される塩はまた、有機酸の生物学的有効性および特性を保持し、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の無機塩基との反応によって、またはトロメタミン、コリン、ジエチルアミンおよびリジン等の有機塩基によって得られる塩を指してもよい。
【0022】
「アルキル」は、直鎖、分岐状、または環状の飽和脂肪族炭化水素を指す。好ましくは、アルキル基は、1〜12個の炭素を有する。より好ましくは、それは、1〜7炭素、最も好ましくは、1〜4炭素の低級アルキルである。典型的なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、三級ブチル、ペンチル、ヘキシル等が含まれる。アルキル基は、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、NO
2、ハロゲン、ジメチルアミノ、およびSHからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されてもよい。
「アルコキシ」は、O−アルキルを指す。
「アルコキシカルボニル」は、−C(O)O−アルキルまたは−C(O)O−アリールを指す。
【0023】
「アリール」は、パイ電子共役系を有する少なくとも1つの環を有する芳香族基を指し、炭素環式アリール、複素環式アリール、およびビアリール基を含む。アリール基は、ハロゲン、トリハロメチル、ヒドロキシル、SH、OH、NO
2、アミン、チオエーテル、シアノ、アルコキシ、アルキル、およびアミノからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されてもよい。
【0024】
「炭素環式アリール」は、環原子が炭素であるアリール基を指す。
【0025】
「ヘテロアリール」は、環原子として1〜3個のヘテロ原子を有し、その環原子の残りが炭素である、アリール基を指す。ヘテロ原子には、酸素、硫黄、および窒素が含まれる。故に、ヘテロアリール基には、フラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N−低級アルキルピロロ、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリル等が含まれる。
「チオエーテル」は、−S−アルキル、またはS−アリールを指す。
「スルフィニル」は、−S(O)−アルキルまたは−S(O)−アリールを指す。
【0026】
本発明の化合物は、スキーム1〜6に記載される一般スキームによって調製されてもよい。
スキーム1
【化5】
スキーム2
【化6】
スキーム3
【化7】
スキーム4
【化8】
スキーム5
【化9】
スキーム6
【化10】
【0027】
特に本発明の化合物は、下の表1の化合物から選択される。表1において本発明の化合物は、例示されるコアのテンプレートに結合されたAr
1、R
1、およびR
2の任意の組み合わせによって例証される。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0028】
本発明は、チロシンキナーゼシグナル伝達、より詳細には受容体型および非受容体型チロシンキナーゼシグナル伝達を、調節および/または調整することが可能な化合物に関する。
【0029】
受容体型チロシンキナーゼ媒介性シグナル伝達は、特異的成長因子(リガンド)との細胞外相互作用によって開始され、次いで受容体の二量体化、内因性タンパク質チロシンキナーゼ活性の一過性刺激、およびリン酸化が起こる。それによって、細胞内シグナル伝達分子のための結合部位が作り出され、様々な細胞質シグナル伝達分子との複合体の形成をもたらし、適切な細胞応答(例えば、細胞分裂、代謝効果、および細胞外微小環境への応答)が促進される。
【0030】
成長因子受容体におけるチロシンリン酸化部位が、シグナル伝達分子のSH2(src相同性)ドメインの高親和性結合部位として機能することが示されている。受容体型チロシンキナーゼと会合する複数の細胞内基質タンパク質が特定されている。それらは、次の2つの主要な群に分類され得る:(1)触媒ドメインを有する基質、および(2)かかるドメインを欠いているが、触媒活性分子のアダプターとして機能し、触媒活性分子と会合する基質。受容体とそれらの基質のSH2ドメインとの間の相互作用の特異性は、リン酸化されたチロシン残基のすぐ周囲のアミノ酸残基によって決定される。SH2ドメインと、特定受容体上のホスホチロシン残基の周囲のアミノ酸配列との間の結合親和性の相異は、それらの基質リン酸化プロフィールにおいて観察される相異と一致する。これらの観察は、各受容体型チロシンキナーゼの機能が、その発現パターンおよびリガンド利用可能性のみによって決定されるのではなく、特定受容体によって活性化される一連の下流シグナル伝達経路によっても決まることを示唆している。このように、リン酸化が、特異的な成長因子受容体ならびに分化因子受容体によって動員されるシグナル伝達経路の選択性を決定する重要な調節ステップを提供する。
【0031】
チロシンキナーゼシグナル伝達は、他の応答の中でもとりわけ、細胞増殖、分化、および代謝をもたらす。異常な細胞増殖は、癌腫、肉腫、白血病、神経膠芽腫、血管腫等の新生物の発症、乾癬、動脈硬化症、関節炎、および糖尿病性網膜症(または無制御な血管新生および/または脈管形成に関連する他の障害、例えば、黄斑変性)を含む、多様な障害および疾患をもたらし得る。
【0032】
本発明はしたがって、RTKおよび/または非受容体型チロシンキナーゼの酵素活性に影響を及ぼし、シグナル伝達されたかかるタンパク質を干渉することによって、チロシンキナーゼシグナル伝達を調節、調整、および/または阻害する化合物を対象とする。より詳細には、本発明は、癌腫、肉腫、白血病、赤芽球腫、神経膠芽腫、髄膜腫、星状細胞腫、黒色腫、および筋芽細胞腫を含むが、これらに限定されない多くの種類の固形腫瘍を治すための治療的アプローチとして、RTKおよび/または非受容体型チロシンキナーゼ媒介性シグナル伝達経路を調節、調整、および/または阻害する化合物を対象とする。適応症には、脳がん、膀胱癌、卵巣癌、胃癌、膵臓癌、結腸癌、血液がん、肺癌、および骨がんが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0033】
本発明の化合物についての生物学的データを、次のアッセイの使用によって生成した。
【0034】
VEGFR2キナーゼアッセイ:
生化学KDRキナーゼアッセイを、10mMリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)中、75μg/ウェルのポリ−Glu−Tyr(4:1)で一晩コーティングされた96ウェルのマイクロタイタープレート中で行った。コーティングされたプレートを、1ウェル当たり2mLのPBS+0.05%Tween−20(PBS−T)で洗浄し、1%BSAを含有するPBSとのインキュベーションによってブロッキングし、次いで1ウェル当たり2mLのPBS−Tで洗浄してから、反応を開始した。反応は、キナーゼ緩衝液(50mM Hepes緩衝液(pH7.4)、20mM MgCl
2、0.1mM MnCl
2、および0.2mM Na
3VO
4)中、2.7μM ATPを含有する100μL反応体積で行った。試験化合物を、100%DMSO中に再構成し、反応物に添加して、5%の最終DMSO濃度を得た。反応を、200〜300ngの精製された細胞質ドメインKDRタンパク質(BPS Bioscience,San Diego,CA)を含有する、1ウェル当たり20μLのキナーゼ緩衝液添加によって開始した。30℃で15分間のインキュベーション後、反応物を、1ウェル当たり2mLのPBS−Tで洗浄した。PBS−T中で1:10,000希釈された100μLのモノクローナル抗ホスホチロシン抗体−ペルオキシダーゼ複合体を、ウェルに30分間添加した。1ウェル当たり2mLのPBS−Tween−20での洗浄後、過酸化尿素を含有する、クエン酸塩−リン酸塩緩衝液中100μLのO−フェニレンジアミンジヒドロクロリドを、ペルオキシダーゼのための発色基質としてウェルに7〜10分間添加した。反応を、各ウェルへの100μLの2.5N H
2SO
4の添加によって終了させ、492nmで設定されたマイクロプレートELISAリーダーを使用して読み取った。化合物阻害についてのIC
50値を、ブランク値を差し引いた後の光学密度(任意単位)対化合物濃度のグラフから直接算出した。
【0035】
VEGFR2細胞アッセイ
自動FLIPR(Fluorometric Imaging Plate Reader)技術を使用して、蛍光色素を負荷した内皮細胞における細胞内カルシウムレベルのVEGF誘導性増加の阻害剤についてスクリーニングした。HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)(Clonetics)を、フィブロネクチンでコーティングされた384ウェルのブラックウォールプレート中に37℃/5%CO2で一晩播種した。細胞に、カルシウムインジケーターFluo−4を37℃で45分間負荷した。細胞を2回洗浄して(Elx405、Biotek Instruments)、細胞外色素を除去した。スクリーニングのために、細胞を、試験薬剤で30分間、単一濃度(10μM)または0.0001〜10.0μMの範囲の濃度でプレインキュベートし、続いてVEGF
165刺激(10ng/mL)を行った。516nmでの蛍光の変化を、全ての384ウェル中で同時に、冷却CCDカメラを使用して測定した。データを、無刺激、刺激、および薬物処理試料について最大−最小蛍光レベルを決定することによって生成した。試験化合物についてのIC
50値を、阻害剤の不在下でのVEGF刺激応答の阻害%から算出した。
【0036】
PDGFRβキナーゼアッセイ
生化学PDGFRβキナーゼアッセイを、10mMリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)中、75μgのポリ−Glu−Tyr(4:1)で一晩コーティングされた96ウェルのマイクロタイタープレート中で行った。コーティングされたプレートを、1ウェル当たり2mLのPBS+0.05%Tween−20(PBS−T)で洗浄し、1%BSAを含有するPBSとのインキュベーションによってブロッキングし、次いで1ウェル当たり2mLのPBS−Tで洗浄してから、反応を開始した。反応は、キナーゼ緩衝液(50mM Hepes緩衝液(pH7.4)、20mM MgCl
2、0.1mM MnCl
2、および0.2mM Na
3VO
4)中、36μM ATPを含有する100μL反応体積で行った。試験化合物を、100%DMSO中に再構成し、反応物に添加して、5%の最終DMSO濃度を得た。反応を、200〜300ngの精製された細胞質ドメインPDGFR−bタンパク質(Millipore)を含有する、1ウェル当たり20μLのキナーゼ緩衝液添加によって開始した。30℃で60分間のインキュベーション後、反応物を、1ウェル当たり2mLのPBS−Tで洗浄した。PBS−T中で1:10,000希釈された100μLのモノクローナル抗ホスホチロシン抗体−ペルオキシダーゼ複合体を、ウェルに30分間添加した。1ウェル当たり2mLのPBS−Tween−20での洗浄後、過酸化尿素を含有する、クエン酸塩−リン酸塩緩衝液中100μLのO−フェニレンジアミンジヒドロクロリドを、ペルオキシダーゼのための発色基質としてウェルに7〜10分間添加した。反応を、各ウェルへの100μLの2.5N H
2SO
4の添加によって終了させ、492nmで設定されたマイクロプレートELISAリーダーを使用して読み取った。化合物阻害についてのIC
50値を、ブランク値を差し引いた後の光学密度(任意単位)対化合物濃度のグラフから直接算出した。
【0037】
本発明は、次の非限定的な実施例によって更に例示される。
【0038】
実施例1:ジメチル5,5’−(N−{[6−アミノ−5−({3−[(3メチルベンゾイル)アミノ]フェニル}エチニル)ピリジン−3−イル]カルボニル}スルホンイミドイル)ジペンタノエート
【0039】
ステップ1
【化11】
ジメチル5,5’−スルホンイミドイルジペンタノエートの調製
【0040】
ステップ1a.
5−ブロモ吉草酸塩メチルの調製。
機械的攪拌器、冷却器、およびアルゴン導入口を装着した2Lの3口フラスコに、5−ブロモ吉草酸(103g、569mmol)およびMeOH(600mL)を充填した。次いでジメトキシプロパン(88.9g、853mmol)、続いて濃縮H
2SO
4(100mL)を添加し、温度を45℃まで高めた。混合物を30分間還流させ、次いで室温まで冷却し、それを一晩放置した。混合物を、H
2O(500mL)およびEt
2O(600mL)で希釈した。水相をEt
2O(2×300mL)で抽出した。組み合わせた有機相を次いで、H
2O(400mL)、飽和NaHCO
3(400mL)、H
2O(400mL)、およびブライン(400mL)で洗浄した。有機相をMgSO
4上で乾燥させ、黄色の油に濃縮し、それを高真空下で攪拌して、油(94g)を得た。油を次いで、蒸留(0.3Torrで40〜45℃)して、無色の液体として92.2gの5−ブロモ吉草酸塩メチル(83%)を得た。
【0041】
ステップ1b.
ジメチル5,5’−チアジペンタノエートの調製。
攪拌バー、冷却器、およびアルゴン導入口を装着した1Lの3口フラスコに、5−ブロモ吉草酸塩メチル(92.0g、472mmol)およびMeOH(300mL)を充填した。Na
2S・9H
2O(56.7g、236mmol)を添加し、濁った混合物を、25分間にわたって還流状態に加熱した(加熱を延長した場合、収率は低下した)。混合物を氷浴中で冷却し、半飽和NaCl水溶液(800mL)およびEt
2O(200mL)で希釈した。水相をEt
2O(200mL)で抽出した。組み合わせた有機相を次いで、20%CaCl
2水溶液(200mL)およびブライン(200mL)で洗浄した。有機相を、相分離紙を通して濾過し、薄黄色の油に濃縮し、それを高真空下で攪拌して、67.4gの油を得た。油を蒸留して、54〜60℃で0.8Torrで、強力な臭気を有する不純な画分を得た。140〜145℃で0.4Torrで収集された画分から、薄黄色の油として31.3gのジメチル5,5’−チアジペンタノエート(51%)を得た。
1H NMR(60MHz、CDCl
3):δ3.6(s、6H)、2.6〜2.1(m、8H)、1.7〜1.4(m、8H)ppm。
【0042】
ステップ1c.
ジメチル5,5’−スルフィニルジペンタノエートの調製。
攪拌バーを装着した2Lの3口フラスコに、NaIO
4(26.6g、124mmol)およびH
2O(300mL)を充填した。溶液に、MeOH(300mL)中のジメチル5,5’−チアジペンタノエート(31.1g、119mmol)を添加した。およそ1分後、白色の沈殿物が形成した。混合物を室温で30分間攪拌し、次いでそれをCH
2Cl
2(150mL)で希釈し、濾過した。固体をCH
2Cl
2(100mL)ですすいだ。濾液の水相をCH
2Cl
2(100mL)で抽出した。組み合わせた有機相を次いで、H
2O(150mL)で洗浄し、相分離紙を通して濾過し、濃縮して、黄色の固体として31.8gのジメチル5,5’−スルフィニルジペンタノエート(96%)を得た。
1H NMR(60MHz、CDCl
3):δ3.6(s、6H)、2.8〜2.5(m、4H)、2.5〜2.2(m、4H)、1.9〜1.6(m、8H)ppm。
【0043】
ステップ1d.
ジメチル5,5’−スルホンイミドイルジペンタノエートの調製。
攪拌バーおよびAr導入口を装着した1Lの3口フラスコに、トリフルオロアセトアミド(25.8g、228mmol)、MgO(18.4g、456mmol)、Rh
2(OAc)
2(1.00g、2.28mmol)、およびCH
2Cl
2(250mL)を充填した。青緑色の懸濁液に、CH
2Cl
2(150mL)中のジメチル5,5’−スルフィニルジペンタノエート(31.8g、114mmol)およびPhI(OAc)
2(55.1g、171mmol)を添加すると、薄紫色の懸濁液が形成し、それは3時間の攪拌により灰色となった。1.5時間後、更なる200mg Rh
2(OAc)
2を添加し、混合物を一晩攪拌した。混合物を、セライト(70g)のパッドを通して濾過し、CH
2Cl
2(500mL)ですすいだ。濾液を、シリカゲル(150g)およびNa
2SO
4(30g)のパッドを通して濾過した。シリカゲルをCH
2Cl
2(500mL)ですすいだ。組み合わせた濾液を、90gの緑色の油に濃縮した。油をヘキサン類で攪拌し、デカントした(2×350mL)。褐色の油を次いで、43gまで高真空下で攪拌した。MeOH(150mL)およびK
2CO
3(47.2g、342mmol)を添加し、混合物を室温で3時間攪拌した。H
2O(350mL)およびEtOAc(350mL)を次いで添加した。水相を次にEtOAc(350mL)で抽出した。組み合わせた有機相を、ブライン(250mL)で洗浄し、相分離紙を通して濾過し、濃縮して、29.5gの黄色の油を得た。油を、1:3 EtOAc:ヘキサン〜9:1 EtOAc:MeOHの勾配を用いてシリカゲル(100g)上でクロマトグラフ分析した。1:1 EtOAc:ヘキサン〜9:1 EtOAc:MeOHからの画分を濃縮して、琥珀色の油として22.9gのジメチル5,5’−スルホンイミドイルジペンタノエート(22.8g、69%)を得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ4.85(s、1H)、3.70(s、6H)、3.18〜3.08(m、4H)、2.44(t、4H)、1.92〜1.72(m、8H)ppm。
【0044】
ステップ2:
【化12】
ジメチル5,5’−{N−[(6−アミノ−5−ヨードピリジン−3−イル)カルボニル]スルホンイミドイル}ジペンタノエートの調製
【0045】
無水DMF(15mL)中のアミノ−ヨード−ニコチン酸(1.32g、5.0mmol、1.0当量)、ジメチル5,5’−スルホンイミドイルジペンタノエート(1.47g、5.0mmol、1.0当量)、およびジイソプロピルエチルアミン(2.6mL、15.0mmol、3.0当量)の反応溶液に、BOP(2.43g、5.5mmol、1.1当量)を窒素大気下で一度に添加した。結果として生じた反応混合物を、70℃で1.25時間加熱した。茶色の反応溶液を室温まで冷却し、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO
3水溶液(2回)、NH
4Cl水溶液(1回)、およびブライン(1回)で順次洗浄し、最終的に無水Na
2SO
4で乾燥させた。溶液をデカントし、濃縮し、油性の残渣を勾配カラムクロマトグラフィー(CHCl
3〜MeOH−CHCl
3 1:50)に供して、赤味がかった油として表題化合物(1.8g)を得た。
【0046】
ステップ3
【化13】
ジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(3−アミノフェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエートの調製
【0047】
窒素大気下で脱気した、無水DMF(7mL)中のジメチル5,5’−{N−[(6−アミノ−5−ヨードピリジン−3−イル)カルボニル]スルホンイミドイル}ジペンタノエート(1.16g、2.15mmol、1.0当量)、3−エチニルアニリン(0.34mL、3.25mmol、1.5当量)、およびトリエチルアミン(1.2mL、8.61mmol、4.0当量)の混合物に、CuI(81.5mg、0.42mmol、0.2当量)およびPdCl
2(Ph
3P)
2(150.6mg、0.21mmol、0.1当量)を添加した。結果として生じた混合物を室温で15分間撹拌した。反応を次いでEtOAcで希釈し、飽和NaHCO
3水溶液、NH
4Cl水溶液、およびブラインで洗浄し、最後に無水Na
2SO
4で乾燥させた。溶液をデカントし、濃縮し、油性の残渣を、勾配カラムクロマトグラフィー(EtOAc−Hex 1:3〜純EtOAc)に供して、白色の泡状物質として表題化合物(1.0g)を得た。
【0048】
ステップ4
【化14】
ジメチル5,5’−(N−{[6−アミノ−5−({3−[(3−メチルベンゾイル)アミノ]フェニル}エチニル)ピリジン−3−イル]カルボニル}スルホンイミドイル)ジペンタノエートの調製
【0049】
無水DMF(1mL)中のジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(3−アミノフェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエート(80mg、0.15mmol、1.0当量)、m−トルイル酸(60mg、0.2mmol、1.3当量)、およびDIPEA(0.11mL、0.6mmol、4.0当量)の反応溶液に、BOP(120mg、0.27mmol、1.8当量)を窒素大気下で添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。それを次いでEtOAcで希釈し、飽和NaHCO
3水溶液、NH
4Cl水溶液、およびブラインで洗浄し、最終的に無水Na
2SO
4で乾燥させた。溶液をデカントし、濃縮し、油性の残渣を、勾配カラムクロマトグラフィー(EtOAc−Hex 1:3〜4:1)に供して、透明な油として表題化合物(76mg)を得た。
1H NMR(DMSO−d
6)δ:10.29(s、1H)、8.57(d、J=2.1Hz、1H)、8.07(t、J=1.8Hz、1H)、8.04(d、J=2.3Hz、1H)、7.79(s、1H)、7.74〜7.78(m、2H)、7.38〜7.46(m、4H)、7.00(br.s.、2H)、3.54〜3.63(m、10H)、2.41(s、3H)、2.39(t、J=7.3Hz、4H)、1.71〜1.86(m、4H)、1.64〜1.71(m、4H)
【0050】
実施例1、ステップ4について記載される手順と同様の様態で、表1で参照される次の実施例を調製した。
【0051】
実施例2
ジメチル5,5’−(N−{[6−アミノ−5−({3−[(3−メチル−2−フロイル)アミノ]フェニル}エチニル)ピリジン−3−イル]カルボニル}スルホンイミドイル)ジペンタノエート
1H NMR(DMSO−d
6)δ:10.13(s、1H)、8.56(d、J=2.1Hz、1H)、8.08(t、J=1.8Hz、1H)、8.04(d、J=2.3Hz、1H)、7.81(d、J=1.5Hz、1H)、7.74(ddd、J=7.6、1.9、1.6Hz、1H)、7.39〜7.43(m、1H)、7.35〜7.39(m、1H)、6.99(br.s.、2H)、6.60(d、J=1.5Hz、1H)、3.52〜3.64(m、10H)、2.39(t、J=15.0Hz、4H)、2.35(s、3H)、1.71〜1.86(m、4H)、1.64〜1.71(m、4H)
【0052】
実施例2a
ジメチル5,5’−(N−{[6−アミノ−5−({3−[(3−メチル−2−フロイル)アミノ]フェニル}エチニル)ピリジン−3−イル]カルボニル}スルホンイミドイル)ジエタノエート
【0053】
実施例3
ジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(3−{[3−(メチルチオ)ベンゾイル]アミノ}フェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエート
1H NMR(DMSO−d
6)δ:10.36(s、1H)、8.57(d、J=2.1Hz、1H)、8.05(t、J=1.8Hz、1H)、8.04(d、J=2.3Hz、1H)、7.80〜7.82(m、1H)、7.76(dt、J=7.9、1.6Hz、1H)、7.70〜7.73(m、1H)、7.47〜7.51(m、2H)、7.43〜7.46(m、1H)、7.39〜7.43(m、1H)、7.00(br.s.、2H)、3.50〜3.65(m、10H)、2.56(s、3H)、2.39(t、J=7.3Hz、4H)、1.71〜1.86(m、4H)、1.64〜1.71(m、4H)
【0054】
実施例4
ジメチル5,5’−(N−{[6−アミノ−5−({3−[(3−クロロ−4−フルオロベンゾイル)アミノ]フェニル}エチニル)ピリジン−3−イル]カルボニル}スルホンイミドイル)ジペンタノエート
1H NMR(DMSO−d
6)δ:10.43(s、1H)、8.57(d、J=2.1Hz、1H)、8.22(dd、J=7.0、2.1Hz、1H)、8.04(d、J=2.3Hz、2H)、8.01(ddd、J=8.7、4.7、2.2Hz、1H)、7.74(ddd、J=8.1、1.8、1.6Hz、1H)、7.62(t、J=9.0Hz、1H)、7.45〜7.47(m、1H)、7.42(t、J=7.9Hz、1H)、7.00(br.s.、2H)、3.50〜3.64(m、10H)、2.39(t、J=7.3Hz、4H)、1.71〜1.86(m、4H)、1.65〜1.71(m、4H)
【0055】
実施例5
ジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(3−{[3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}フェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエート
1H NMR(DMSO−d
6)δ:10.56(s、1H)、8.57(d、J=2.3Hz、1H)、8.32(s、1H)、8.28(d、J=7.9Hz、1H)、8.06(t、J=1.6Hz、1H)、8.04(d、J=2.3Hz、1H)、7.99(d、J=7.9Hz、1H)、7.81(t、J=7.9Hz、1H)、7.78(dt、J=8.0、1.6Hz、1H)、7.46〜7.49(m、1H)、7.42〜7.45(m、1H)、7.01(br.s.、2H)、3.51〜3.65(m、10H)、2.39(d、J=14.7Hz、4H)、1.71〜1.86(m、4H)、1.64〜1.71(m、J=7.3Hz、4H)
【0056】
実施例6
ジメチル5,5’−(N−{[6−アミノ−5−({3−[(3−クロロベンゾイル)アミノ]フェニル}エチニル)ピリジン−3−イル]カルボニル}スルホンイミドイル)ジペンタノエート
1H NMR(DMSO−d
6)δ:10.44(s、1H)、8.57(d、J=2.3Hz、1H)、8.06(t、J=1.6Hz、1H)、8.04(d、J=2.1Hz、1H)、8.03(t、J=1.8Hz、1H)、7.93(dt、J=7.8、0.9Hz、1H)、7.75(dt、J=8.4、1.5Hz、1H)、7.69(dddd、J=7.8、1.0、0.9、0.6Hz、1H)、7.57〜7.61(m、1H)、7.44〜7.48(m、1H)、7.40〜7.44(m、1H)、7.00(br.s.、2H)、3.50〜3.65(m、10H)、2.39(t、J=7.2Hz、4H)、1.72〜1.86(m、4H)、1.64〜1.71(m、4H)
【0057】
実施例7
ジメチル5,5’−(N−{[6−アミノ−5−({3−[(2−フルオロ−5−メチルベンゾイル)アミノ]フェニル}エチニル)ピリジン−3−イル]カルボニル}スルホンイミドイル)ジペンタノエート
1H NMR(DMSO−d
6)δ:10.46(s、1H)、8.57(d、J=2.1Hz、1H)、8.04(d、J=2.3Hz、1H)、8.01(s、1H)、7.68(d、J=7.9Hz、1H)、7.48(dd、J=6.6、1.9Hz、1H)、7.43〜7.46(m、1H)、7.36〜7.42(m、2H)、7.22〜7.27(m、1H)、7.01(br.s.、2H)、3.51〜3.63(m、10H)、2.39(t、J=7.3Hz、4H)、2.34〜2.36(m、3H)、1.71〜1.86(m、4H)、1.64〜1.70(m、4H)
【0058】
実施例8
ジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(3−{[3−(メチルスルフィニル)ベンゾイル]アミノ}フェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエート
1H NMR(DMSO−d
6)δ:10.61(s、1H)、8.57(d、J=2.3Hz、1H)、8.50(t、J=1.6Hz、1H)、8.29−8.32(m、1H)、8.16(dt、J=7.6、1.4Hz、1H)、8.06(t、J=1.3Hz、1H)、8.04(d、J=2.3Hz、1H)、7.85(t、J=7.8Hz、1H)、7.76〜7.79(m、1H)、7.42〜7.50(m、2H)、7.01(br.s.、2H)、3.51〜3.62(m、2H)、3.50〜3.66(m、2H)、3.31(s、6H)、3.30(s、3H)、2.39(d、J=14.7Hz、4H)、1.63〜1.87(m、8H)
【0059】
実施例9
メチル3−{[(3−{[2−アミノ−5−({[ビス(5−メトキシ−5−オキソペンチル)(オキシド)−ラムダ〜4〜−スルファニリデン]アミノ}カルボニル)ピリジン−3−イル]エチニル}フェニル)アミノ]カルボニル}安息香酸塩
1H NMR(DMSO−d
6)δ:10.56(s、1H)、8.57(d、J=2.3Hz、1H)、8.56(t、J=1.5Hz、1H)、8.25(dt、J=7.8、1.4Hz、1H)、8.18(ddd、J=7.8、1.3、1.2Hz、1H)、8.07(t、J=1.9Hz、1H)、8.04(d、J=2.3Hz、1H)、7.78(dt、J=7.9、1.6Hz、1H)、7.72(t、J=7.8Hz、1H)、7.45〜7.48(m、1H)、7.40〜7.44(m、1H)、7.01(br.s.、2H)、3.91〜3.93(m、3H)、3.51〜3.65(m、10H)、2.39(t、J=7.3Hz、4H)、1.72〜1.86(m、4H)、1.64〜1.71(m、4H)
【0060】
実施例10
ジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(3−{[2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾイル]アミノ}フェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエート
1H NMR(DMSO−d
6)δ:10.70(s、1H)、8.57(d、J=2.1Hz、1H)、8.08(dd、J=5.1、1.3Hz、1H)、8.04(d、J=1.8Hz、1H)、8.00(br.s.、2H)、7.61〜7.70(m、2H)、7.48(d、J=7.6Hz、1H)、7.40〜7.45(m、1H)、7.02(br.s.、2H)、3.50〜3.63(m、10H)、2.39(t、J=7.2Hz、4H)、1.73〜1.85(m、4H)、1.67(五重線、J=7.2Hz、4H)
【0061】
実施例11
ジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(3−{[(3−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル}フェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエート
【0062】
ステップ1
【化15】
ジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(トリメチルシリル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエートの調製
【0063】
窒素大気下で脱気した、無水DMF(11mL)中のジメチル5,5’−{N−[(6−アミノ−5−ヨードピリジン−3−イル)カルボニル]スルホンイミドイル}ジペンタノエート(1.8g、3.34mmol、1.0当量)、トリメチルシリアセチレン(trimethylsilyacetylene)(2.78mL、20.0mmol、6.0当量)、およびトリエチルアミン(3.72mL、26.7mmol、8.0当量)の混合物に、CuI(127.2mg、0.67mmol、0.2当量)およびPdCl
2(Ph
3P)
2(234.5mg、0.33mmol、0.1当量)を添加した。結果として生じた混合物を室温で15分間撹拌した。反応を次いでEtOAcで希釈し、飽和NaHCO
3水溶液、NH
4Cl水溶液、およびブラインで洗浄し、最後に無水Na
2SO
4で乾燥させた。溶液をデカントし、濃縮し、油性の残渣を、勾配カラムクロマトグラフィー(EtOAc−Hex 1:10〜4:1)に供して、薄茶色の油としてジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(トリメチルシリル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエート(1.27g)を得た。
【0064】
ステップ2
【化16】
3−{[2−アミノ−5−({[ビス(5−メトキシ−5−オキソペンチル)(オキシド)−λ
4−スルファニリデン]アミノ}カルボニル)ピリジン−3−イル]エチニル}安息香酸の調製
【0065】
窒素大気下で脱気した、無水DMF(10mL)中のジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(トリメチルシリル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエート(1.27g、2.50mmol、1.0当量)、3−ヨード安息香酸(0.62g、2.5mmol、1.0当量)、トリエチルアミン(1.39mL、10.0mmol、4.0当量)、およびTBAF(2.7mL、THF中1.0M、1.1当量)の混合物に、CuI(95.2mg、0.5mmol、0.2当量)およびPdCl
2(Ph
3P)
2(175mg、0.25mmol、0.1当量)を添加した。結果として生じた混合物を室温で15分間撹拌した。反応を次いでEtOAcで希釈し、NH
4Cl水溶液で洗浄した。水層をi−PrOH−CHCl
3(1:5)で1回抽出し、全ての有機層を組み合わせた。組み合わせた有機層を次いで、ブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。溶液をデカントし、濃縮し、油性の残渣を、勾配カラムクロマトグラフィーに2回(CHCl
3〜MeOH 1:9およびCH
2Cl
2〜MeOH−CH
2Cl
2 1:9)供して、黄色の固体として3−{[2−アミノ−5−({[ビス(5−メトキシ−5−オキソペンチル)(オキシド)−λ
4−スルファニリデン]アミノ}カルボニル)ピリジン−3−イル]エチニル}安息香酸(0.85g)を得た。
【0066】
ステップ3
【化17】
ジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(3−{[(3−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル}フェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエートの調製
密封バイアル中、DCE(1mL)中の3−{[2−アミノ−5−({[ビス(5−メトキシ−5−オキソペンチル)(オキシド)−λ
4−スルファニリデン]アミノ}カルボニル)ピリジン−3−イル]エチニル}安息香酸(56mg、0.1mmol、1.0当量)、m−アニシジン(13.4μL、0.12mmol、1.2当量)、DMAP(2.5mg、0.02mmol、0.2当量)、およびEDC(29mg、0.15mmol、1.5当量)の反応混合物を攪拌し、60℃で3時間加熱した。結果として生じた茶色の溶液をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO
3水溶液、NH
4Cl水溶液、およびブラインで洗浄し、最終的に無水Na
2SO
4で乾燥させた。溶液をデカントし、濃縮し、油性の残渣を、勾配カラムクロマトグラフィー(EtOAc−Hex 1:4〜6:1)に供して、透明な油としてジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(3−{[(3−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル}フェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエート(28mg)を得た。
1H NMR(DMSO−d
6)δ:10.30(s、1H)、8.58(d、J=2.1Hz、1H)、8.26(t、J=1.5Hz、1H)、8.07(s、1H)、7.93(dt、J=7.8、1.7Hz、1H)、7.89(dt、J=7.8、1.1Hz、1H)、7.58(d、J=15.6Hz、1H)、7.47(t、J=2.2Hz、1H)、7.39(dd、J=7.9、0.9Hz、1H)、7.26(t、J=8.2Hz、1H)、7.10(br.s.、2H)、6.70(dd、J=8.2、1.8Hz、1H)、3.76(s、3H)、3.52〜3.63(m、10H)、2.39(d、J=14.7Hz、4H)、1.73〜1.85(m、4H)、1.65〜1.71(m、4H)
【0067】
実施例11、ステップ3の調製について記載されるものと同様の様態で、表2に示される次の化合物を調製した。
【0068】
実施例12
ジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(3−{[(3−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}フェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエート
1H NMR(DMSO−d
6)δ:10.25(s、1H)、8.58(d、J=2.3Hz、1H)、8.26(t、J=1.5Hz、1H)、8.07(d、J=2.1Hz、1H)、7.93(ddd、J=7.8、1.5、1.3Hz、1H)、7.89(dt、J=7.6、1.2Hz、1H)、7.62(s、1H)、7.58(t、J=6.9Hz、1H)、7.58(d、J=7.9Hz、1H)、7.24(t、J=7.9Hz、1H)、7.09(br.s.、2H)、6.94(d、J=7.3Hz、1H)、3.50〜3.65(m、10H)、2.39(t、J=7.3Hz、4H)、2.31〜2.32(m、3H)、1.72〜1.87(m、4H)、1.64〜1.71(m、4H)
【0069】
実施例13
ジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(3−{[(3−クロロ−4−メトキシフェニル)アミノ]カルボニル}フェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエート
1H NMR(DMSO−d
6)δ:10.33(s、1H)、8.58(d、J=2.1Hz、1H)、8.25(s、1H)、8.07(d、J=2.3Hz、1H)、7.91〜7.96(m、2H)、7.89(d、J=7.9Hz、1H)、7.69(dd、J=9.1、2.6Hz、1H)、7.58(t、J=7.6Hz、1H)、7.17(d、J=9.1Hz、1H)、7.09(br.s.、2H)、3.83〜3.86(m、3H)、3.52〜3.64(m、10H)、2.39(t、J=7.2Hz、4H)、1.71〜1.86(m、4H)、1.63〜1.71(m、4H)
【0070】
実施例14
ジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(3−{[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}フェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエート
1H NMR(DMSO−d
6)δ:10.14(s、1H)、8.58(d、J=2.3Hz、1H)、8.27(s、1H)、8.07(d、J=2.1Hz、1H)、7.95(d、J=7.9Hz、1H)、7.90(d、J=7.6Hz、1H)、7.58(t、J=7.8Hz、1H)、7.41(d、J=7.3Hz、1H)、7.18(dd、J=10.3、8.5Hz、1H)、7.05〜7.11(m、3H)、3.51〜3.64(m、10H)、2.39(t、J=7.3Hz、4H)、2.31(s、3H)、1.72〜1.85(m、4H)、1.64〜1.71(m、4H)
【0071】
実施例15
ジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(3−{[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]カルボニル}フェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエート
1H NMR(DMSO−d
6)δ:10.52(s、1H)、8.58(d、J=2.1Hz、1H)、8.26(t、J=1.8Hz、1H)、8.09(dd、J=7.0、2.6Hz、1H)、8.07(d、J=2.1Hz、1H)、7.94(dt、J=7.7、1.4Hz、1H)、7.91(ddd、J=7.8、1.2、1.0Hz、1H)、7.74(ddd、J=9.0、4.2、2.6Hz、1H)、7.60(t、J=7.8Hz、1H)、7.44(t、J=9.1Hz、1H)、7.10(br.s.、2H)、3.51〜3.65(m、10H)、2.39(t、J=7.2Hz、4H)、1.72〜1.86(m、J=9.7Hz、4H)、1.63〜1.72(m、4H)
【0072】
実施例16
ジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(3−{[(5−tert−ブチルイソオキサゾール−3−イル)アミノ]カルボニル}フェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエート
1H NMR(DMSO−d
6)δ:11.40(s、1H)、8.58(d、J=2.3Hz、1H)、8.31(t、J=1.5Hz、1H)、8.07(d、J=2.1Hz、1H)、7.99(dt、J=7.9、1.3Hz、1H)、7.91(ddd、J=7.8、1.6、1.5Hz、1H)、7.58(t、J=7.8Hz、1H)、7.08(br.s.、2H)、6.72〜6.74(m、1H)、3.52〜3.64(m、10H)、2.39(d、J=14.7Hz、4H)、1.71〜1.86(m、4H)、1.65〜1.71(m、4H)、1.33(s、9H)
【0073】
実施例17
ジメチル5,5’−{N−[(6−アミノ−5−{[3−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)フェニル]エチニル}ピリジン−3−イル)カルボニル]スルホンイミドイル}ジペンタノエート
1H NMR(DMSO−d
6)δ:10.72〜10.74(m、1H)、8.58(d、J=2.3Hz、1H)、8.37(d、J=2.6Hz、1H)、8.29(t、J=1.5Hz、1H)、8.14(dd、J=8.8、2.6Hz、1H)、8.07(d、J=2.3Hz、1H)、7.96(dt、J=7.9、1.5Hz、1H)、7.93(ddd、J=7.8、1.3、1.2Hz、1H)、7.74(d、J=8.8Hz、1H)、7.61(t、J=7.8Hz、1H)、7.10(br.s.、2H)、3.51〜3.64(m、10H)、2.39(t、J=7.3Hz、4H)、1.72〜1.85(m、4H)、1.65〜1.71(m、4H)
【0074】
実施例18
【化18】
ジメチル5,5’−{N−[(6−アミノ−5−{[3−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]エチニル}ピリジン−3−イル)カルボニル]スルホンイミドイル}ジペンタノエート
【0075】
DMF(3mL)中のジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(3−アミノフェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエート(140mg、0.265mmol、1.0当量)および2−フルオロ−5−メチルフェニルイソシアネート(38.8μL、0.292mmol、1.1当量)の反応溶液を、室温で3時間攪拌した。それを次いでEtOAcで希釈し、飽和NaHCO
3水溶液、NH
4Cl水溶液、およびブラインで洗浄し、最終的に無水Na
2SO
4で乾燥させた。溶液をデカントし、濃縮し、油性の残渣を、勾配カラムクロマトグラフィー(EtOAc−Hex 1:5〜5:1)に供して、透明な油として表題化合物(169mg)を得た。
1H NMR(DMSO−d
6)δ:9.14〜9.15(m、1H)、8.56(d、J=2.3Hz、1H)、8.54(d、J=2.3Hz、1H)、8.04(d、J=2.1Hz、1H)、7.99(dd、J=7.9、1.8Hz、1H)、7.81(t、J=1.8Hz、1H)、7.40(dt、J=7.7、1.9Hz、1H)、7.30〜7.35(m、2H)、7.11(dd、J=11.3、8.4Hz、1H)、7.00(br.s.、2H)、6.79〜6.83(m、1H)、3.52〜3.64(m、10H)、2.39(t、J=7.3Hz、4H)、2.27(s、3H)、1.72〜1.85(m、4H)、1.65〜1.71(m、4H)
【0076】
実施例19
ジメチル5,5’−{N−[(6−アミノ−5−{[4−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]エチニル}ピリジン−3−イル)カルボニル]スルホンイミドイル}ジペンタノエート
【0077】
ステップ1
【化19】
ジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(4−アミノフェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエートの調製
【0078】
窒素大気下で脱気した、無水DMF(2mL)中のジメチル5,5’−{N−[(6−アミノ−5−ヨードピリジン−3−イル)カルボニル]スルホンイミドイル}ジペンタノエート(234mg、0.434mmol、1.0当量)、4−エチニルアニリン(76.3mg、0.651mmol、1.5当量)、およびトリエチルアミン(0.242mL、1.736mmol、4.0当量)の混合物に、CuI(16.5mg、0.087mmol、0.2当量)およびPdCl
2(Ph
3P)
2(30.5mg、0.043mmol、0.1当量)を添加した。結果として生じた混合物を室温で15分間撹拌した。反応を次いでEtOAcで希釈し、飽和NaHCO
3水溶液、NH
4Cl水溶液、およびブラインで洗浄し、最後に無水Na
2SO
4で乾燥させた。溶液をデカントし、濃縮し、油性の残渣を、勾配カラムクロマトグラフィー(EtOAc−Hex 1:3〜EtOAc)に供して、茶色の油としてジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(4−アミノフェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエート(220mg)を得た。
【0079】
ステップ2
【化20】
ジメチル5,5’−{N−[(6−アミノ−5−{[3−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]エチニル}ピリジン−3−イル)カルボニル]スルホンイミドイル}ジペンタノエートの調製
【0080】
DMF(3mL)中の5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(4−アミノフェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジペンタノエート(140mg、0.265mmol、1.0当量)および2−フルオロ−5−メチルフェニルイソシアネート(38.8μL、0.292mmol、1.1当量)の反応溶液を、室温で3時間攪拌した。それを次いでEtOAcで希釈し、飽和NaHCO
3水溶液、NH
4Cl水溶液、およびブラインで洗浄し、最終的に無水Na
2SO
4で乾燥させた。溶液をデカントし、濃縮し、油性の残渣を、勾配カラムクロマトグラフィー(EtOAc−Hex 1:4〜EtOAc)に供して、薄黄色の泡状物質としてジメチル5,5’−{N−[(6−アミノ−5−{[3−({[(2−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)フェニル]エチニル}ピリジン−3−イル)カルボニル]スルホンイミドイル}ジペンタノエート(89mg)を得た。
1H NMR(DMSO−d
6)δ:9.26(s、1H)、8.53〜8.55(m、2H)、8.00(d、J=2.1Hz、1H)、7.97(d、J=7.6Hz、1H)、7.61(d、J=8.5Hz、2H)、7.49(s、2H)、7.11(dd、J=11.3、8.4Hz、1H)、6.91〜6.99(m、2H)、6.80〜6.84(m、1H)、3.51〜3.64(m、10H)、2.39(t、J=7.2Hz、4H)、2.28(s、3H)、1.72〜1.85(m、4H)、1.65〜1.71(m、4H)
【0081】
実施例20
ジメチル5,5’−(N−{[6−アミノ−5−({3−[(3−メチル−2−フロイル)アミノ]フェニル}エチニル)ピリジン−3−イル]カルボニル}スルホンイミドイル)ジエタノエート
【0082】
ステップ1
【化21】
ジメチル2,2’−チオ二酢酸塩の調製
【0083】
350mL高圧ボトル中の300mL無水メタノールに、気体の塩化水素流の気泡を10分間注入した。チオ二酢酸(4g、26.7mmol)を次いで添加し、ボトルを密封し、80℃で一晩加熱した。反応溶液を次いで減圧下で濃縮して、透明な油としてジメチル2,2’−チオ二酢酸塩(4.54g)を得た。
【0084】
ステップ2
【化22】
ジメチル2,2’−スルフィニル二酢酸塩の調製
【0085】
0℃の水(50mL)中のジメチル2,2’−チオ二酢酸塩(4.54g、25.5mmol、1当量)の混合物に、(メタ)過ヨウ素酸ナトリウム(5.786g、1.05当量)を添加し、結果として生じた反応混合物を一晩攪拌した。混合物を次いでブラインで希釈し、CHCl
3(5回)で抽出した。全ての有機物を組み合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶液をデカントし、減圧下で濃縮し、透明な油性の残渣を、カラムクロマトグラフィー(EtOAc−Hex 1:5〜1:1)に供して、透明な油としてジメチル2,2’−スルフィニル二酢酸塩(4.522g)を得た。
【0086】
ステップ3
【化23】
ジメチル2,2’−[N−(トリフルオロアセチル)スルホンイミドイル]二酢酸塩の調製
【0087】
トリフルオロアセトアミド(5.43g、2当量)、酸化マグネシウム(3.756g、4当量)、および酢酸ロジウム(II)二量体(309mg、0.03当量)を、500mL丸底フラスコ中に配置した。ジクロロメタン(230mL)、続いてジメチル2,2’−スルフィニル二酢酸塩(4.52g、23.3mmol、1当量)を添加し、続いてジアセトキシヨードベンゼン(11.257g、1.5当量)の添加を少量ずつ行った。混合物を室温で7時間撹拌した。その後、更なる2.2gのトリフルオロアセトアミドを添加し、続いて更なる量の酢酸ロジウム(II)二量体(約150mg)およびジアセトキシヨードベンゼン(3.0g)の添加を行った。反応混合物を室温で一晩更に撹拌した。混合物を次いで、セライトのパッドを通して濾過し、パッドをMeOH−CHCl
3(1:5)で洗浄した。濾液を濃縮し、油性の残渣を、カラムクロマトグラフィーに2回(ヘキサン〜EtOAc−Hex 1:1)供して、茶色の油としてジメチル2,2’−[N−(トリフルオロアセチル)スルホンイミドイル]二酢酸塩(7.0g)を得た。
【0088】
ステップ4
【化24】
ジメチル2,2’−スルホンイミドイル二酢酸塩の調製
ジメチル2,2’−[N−(トリフルオロアセチル)スルホンイミドイル]二酢酸塩(2g、6.56mmol)を含有する反応槽に、メタノール中の塩化水素(1.25M)(50mL)を添加し、槽を密封し、室温で一晩攪拌した。反応溶液を次いで濃縮し、白色の固体残渣を、クロマトグラフィー(EtOAc−hex 1:9〜1:1)に供して、僅かに茶色の油としてジメチル2,2’−スルホンイミドイル二酢酸塩(608mg)を得た。
【0089】
ステップ5
【化25】
ジメチル2,2’−(N−{[5−({3−[(3−メチル−2−フロイル)アミノ]フェニル}エチニル)ピリジン−3−イル]カルボニル}スルホンイミドイル)二酢酸塩の調製
【0090】
DCE(5mL)中の5−{3−[(3−メチル−フラン−2−カルボニル)−アミノ]−フェニルエチニル}−ニコチン酸(173mg、0.5mmol、1当量)、EDC(144mg、1.5当量)、およびDMAP(12.2mg、0.2当量)の混合物に、ジメチル2,2’−スルホンイミドイル二酢酸塩(104.5mg、1当量)を添加した。反応混合物を攪拌した後、50℃で1時間加熱し、それを室温まで冷却し、EtOAcとNH
4Cl水溶液との間で分配した。有機層を単離し、ブラインで1回洗浄し、最終的に無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶液をデカントし、濃縮し、油性の残渣を、カラムクロマトグラフィー(EtOAc−Hex 1:25〜1:2)に供した。所望の生成物を含有する画分を収集し、濃縮し、砕けた白色の固体を濾過して、179mgの量の白色の固体としてジメチル2,2’−(N−{[5−({3−[(3−メチル−2−フロイル)アミノ]フェニル}エチニル)ピリジン−3−イル]カルボニル}スルホンイミドイル)二酢酸塩を得た。
1H NMR(DMSO−d
6)δ:10.21(s、1H)、9.04(d、J=2.1Hz、1H)、8.95(d、J=2.1Hz、1H)、8.34(t、J=2.1Hz、1H)、8.14(t、J=2.2Hz、1H)、7.82(s、1H)、7.78〜7.81(m、1H)、7.41(t、J=7.9Hz、1H)、7.34(dt、J=7.6、1.3Hz、1H)、6.61(d、J=1.5Hz、1H)、4.98〜5.11(m、4H)、3.76(s、6H)、2.35(s、3H)
【0091】
実施例20、ステップ5について記載される手順と同様の様態で、表4で参照される次の実施例を調製した。
【0092】
実施例21
ジメチル5,5’−[N−({6−アミノ−5−[(3−{[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]カルボニル}フェニル)エチニル]ピリジン−3−イル}カルボニル)スルホンイミドイル]ジエタノエート
【0093】
実施例22:ジメチル5,5’−(N−{[6−アミノ−5−({3−[(3メチルベンゾイル)アミノ]フェニル}エチニル)ピリジン−3−イル]カルボニル}スルホンイミドイル)ジエタノエート
【0094】
本発明は、本発明の単一の態様の例示として意図されるにすぎない、例として示される実施形態によって、範囲を限定されるものではない。実際、本明細書に記載されるものに加えて、本発明の種々の修正が、前述の説明から当業者に明らかとなろう。
【0095】
例えば、本発明の新規化合物は、2および/または6アミノ、5アリールエチニル、例えば、フェニルエチニル、3カルボニルスルホンイミドイルピリジンであるいずれの化合物も含み、該アリールエチニル、例えば、該フェニルエチニルは、アリール基で置換され、チロシンキナーゼ受容体に結合する。
【0096】
好ましくは、前記スルホニルイミドイルは、ジアルカノエートエステル、例えば、ジメチルジペンタノエート等のジアルキルアルカノエートエステルであり、前記アリール置換基は、式−(NH)
p−C(O)−(NH)
q−によって表される結合基によって前記アリールエチニル基に結合され、式中、pは、0または1であり、qは、0または1である。より好ましくは、前記アリール置換基は、フェニルおよびフラニルからなる群から選択される。
【0097】
これらの化合物が、上述の調製方法およびアッセイによって、調製され、チロシンキナーゼ阻害活性について試験されてもよい。
かかる修正は、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。
【0098】
本明細書に引用される全ての参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。また、本発明の化合物は、特許請求される実用性を実証するために、かかる参考文献に開示される種々の体外および体内アッセイによって試験されてもよい。