特許第6067736号(P6067736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6067736-高純度結晶性カルバミドを生成する方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6067736
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】高純度結晶性カルバミドを生成する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 273/16 20060101AFI20170116BHJP
   C07C 275/00 20060101ALI20170116BHJP
   B01D 61/42 20060101ALN20170116BHJP
【FI】
   C07C273/16
   C07C275/00
   !B01D61/42
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-543445(P2014-543445)
(86)(22)【出願日】2012年12月3日
(65)【公表番号】特表2014-533726(P2014-533726A)
(43)【公表日】2014年12月15日
(86)【国際出願番号】RU2012001014
(87)【国際公開番号】WO2013077775
(87)【国際公開日】20130530
【審査請求日】2015年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】514126108
【氏名又は名称】バツリン、ファリッド アレコヴィッチ
(73)【特許権者】
【識別番号】514126119
【氏名又は名称】アンドレヴ、アンドレイ ウラジミロヴィッチ
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】バツリン、ファリッド アレコヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレヴ、アンドレイ ウラジミロヴィッチ
【審査官】 山本 昌広
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−108852(JP,A)
【文献】 特開2000−281638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 273/00−275/70
B01D 61/00−61/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルバミド水溶液から高純度結晶性カルバミドを生成する方法であって、カルバミドを結晶化し、且つ乾燥させる工程を有し、前記カルバミド水溶液は+30℃〜+130℃の温度まで加熱され、前記水溶液は400V〜600Vの電圧の電気透析によって精製される、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記カルバミド水溶液は、30%の濃度で30℃まで、50%の濃度で+40℃〜50℃まで、70%の濃度で70℃〜80℃まで、90%及びそれ以上の濃度で90℃〜130℃まで加熱される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルバミド生成の分野、特に高純度結晶性カルバミドを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、粒状化カルバミドおよび結晶性カルバミドを調整する広く周知の方法がある。カルバミドを生成する産業上の方法は、二酸化炭素およびアンモニアから得られるカルバミド水溶液の結晶に基づく。しかし、周知の方法によって得られたカルバミドは、食品産業用の、及び研究所分析のための試薬としての用途のための充分な純度を有しない。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 露国特許第2041202号明細書
(特許文献2) ソビエト社会主義共和国連邦特許第953978号明細書
(特許文献3) 国際公開第1989/001468号
(特許文献4) 国際公開第2006/061082号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プロトタイプに選ばれる最も精密な技術的な解決策は、二酸化炭素およびアンモニアを基に得られる結晶性カルバミドを生成する方法である(ロシア特許第2041202号)。この方法は、過飽和溶液の全体積におけるカルバミドを結晶化し、結晶から水を除去して凝縮塊を得て、その後それらを濾過および乾燥させることよって、カルバミドの結晶を摘出することを含む。しかし、この得られたカルバミドも、食品産業用の、及び研究所分析のための試薬としての用途のための充分な純度を有しない。
【0004】
本発明の目的は、高純度結晶性カルバミドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、カルバミド水溶液から高純度結晶性カルバミドを生成する方法であって、カルバミドを結晶化し、且つ乾燥させる工程を有する方法によって達成され、本発明によれば、前記カルバミド水溶液は+30℃〜+130℃の温度まで加熱され、その後、前記水溶液は400V〜600Vの電圧の電気透析によって精製され、前記水溶液は、30%の濃度で+30℃まで、50%の濃度で+40℃〜50℃まで、70%の濃度で+70℃〜80℃まで、90%及びそれ以上の濃度で+90℃〜130℃まで加熱される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の方法を実施するための装置を図1に示す。当該装置は、始めのカルバミド溶液のための貯蔵容器1、電気透析ユニット2、容器1から電気透析ユニット2まで溶液を供給するためのポンプ3、精製されたカルバミド溶液のための容器4、精製されたカルバミド溶液を容器4に供給するためのポンプ5、蒸発および結晶化ユニット6、及び容器4から蒸発および結晶化ユニット6まで精製されたカルバミドを供給するためのポンプ7を備えている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
この方法は、以下の通りに実行される。貯蔵容器1に存在するクルードのカルバミド水溶液が+30℃〜+130℃の動作温度まで加熱され、カルバミドの早期の結晶化を回避する。ここで、当該水溶液は30%の濃度で+30℃まで、50%の濃度で+40℃〜50℃まで、70%の濃度で+70℃〜80℃まで、90%及びそれ以上の濃度で+100℃〜120℃まで加熱される。溶液の濃度とその加熱温度の関係を実験的に測定し、表1に示す。
【0008】
【表1】
【0009】
表1からわかるように、カルバミドは30℃未満のカルバミド溶液の温度で部分的に結晶状態に変化する。130℃以上に溶液を加熱すると、尿素の部分的な加水分解が生じ、二量体化してビウレットとなり、そのビウレットの精製カルバミド中の含有量は厳密に正規化される。
【0010】
その後、溶液はポンプ3によって電気透析ユニット2に供給される。電気透析ユニット2において、塩形成イオンが400V〜600Vの電流によって当該溶液から除去される。この範囲は、プロセスの量/品質の比率の最適なパフォーマンスを提供する。電圧が600Vを超えるとき、結果として生じる産物は、研究所分析や食品産業に適用できる精製カルバミドの要件を満たさない。電圧が400V以下であるとき、電気透析精製プロセスはゆっくりになり、その結果、プロセスの効率が低くなる。脱イオン化プロセスの後、精製された溶液はポンプ5によって貯蔵容器4に供給され、その後、ポンプ7によって蒸発および結晶化ユニット6に供給される。ここで、当該溶液は精製された結晶性カルバミド(カルバミド結晶)と脱イオン水とに分離される。乾燥と同時のカルバミドの結晶化は、大気圧下で110℃〜150℃まで、または50〜10mmHg.の真空圧力下で50℃〜80℃まで、当該溶液を加熱することで実行される。
【0011】
本願発明に係る方法によって得られたカルバミドの品質パラメータを表2に示す。
【0012】
【表2】
【0013】
このように、得られた結晶性カルバミドの精製は、食品産業(食品添加物Е927b)における添加物としての、また研究所分析のための試薬としての用途を可能にする。
【0014】
さらに、得られた高純度結晶性カルバミドは、ポリプロピレン・バッグまたは他の同様の容器に包装される。得られた脱イオン化水は副産物であり、フロントガラス洗浄のための不凍液の成分としての用途という対象となるアプリケーションがある。
図1