特許第6067883号(P6067883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6067883バッテリー保護装置の製造方法、及びバッテリー保護装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6067883
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】バッテリー保護装置の製造方法、及びバッテリー保護装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20170116BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20170116BHJP
   H01M 10/44 20060101ALN20170116BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
   H01M2/34 A
   !H01M10/44 Q
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-552598(P2015-552598)
(86)(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公表番号】特表2016-507870(P2016-507870A)
(43)【公表日】2016年3月10日
(86)【国際出願番号】KR2014002652
(87)【国際公開番号】WO2014168363
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2015年7月10日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0040425
(32)【優先日】2013年4月12日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515189771
【氏名又は名称】ティー・イー・エス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TES CO., LTD
(73)【特許権者】
【識別番号】515189782
【氏名又は名称】ヨンデ キム
【氏名又は名称原語表記】Young Dae Kim
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヨンデ キム
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−062149(JP,A)
【文献】 特開平07−074444(JP,A)
【文献】 特開2004−031731(JP,A)
【文献】 特開平05−335709(JP,A)
【文献】 特開2006−059553(JP,A)
【文献】 特開2012−142262(JP,A)
【文献】 特開昭62−065396(JP,A)
【文献】 特開2010−198769(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0159291(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/34
H01M 10/44
H05K 1/00
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に金属薄膜が形成されたPCB上板と、下面に金属薄膜が形成されたPCB下板と、少なくとも一側が前記PCB上板及び前記PCB下板の側面に突き出される突出部を備え、少なくとも一つの絶縁孔が形成されているスペーサ用金属板とを準備するステップaと、
前記スペーサ用金属板を介在させたままで、前記PCB上板と前記PCB下板とを接合するステップbと、
前記PCB上板と前記PCB下板に回路パターンを形成するステップcと、
前記絶縁孔より小さく、前記PCB上板と前記PCB下板との両方を貫通する貫通孔を形成し、前記貫通孔を通じて前記PCB上板と前記PCB下板とを電気的に接続させるステップdと、
前記スペーサ用金属板が露出されるように、前記PCB上板に露出孔を形成し、前記露出孔を通じて前記スペーサ用金属板と前記PCB上板とを電気的に接続させるステップeと、
前記スペーサ用金属板の前記突出部を2段折り曲げし、垂直延長部と水平延長部を形成するステップfと、を含めて構成される、バッテリー保護装置の製造方法。
【請求項2】
前記ステップdにおいては、前記PCB下板の回路接続点と、前記PCB上板の少なくとも「P+」端子、「P−」端子、及び「CF」端子を電気的に接続させることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリー保護装置の製造方法。
【請求項3】
前記ステップeにおいては、前記PCB上板の「P+」端子と前記スペーサ用金属板とを電気的に接続させることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリー保護装置の製造方法。
【請求項4】
前記ステップbは、絶縁材質の接着剤または接着シートによって構成され、前記ステップbの以降に、前記接着剤または接着シートによって前記絶縁孔の内部が充填されることを特徴とする、請求項1から3までの何れか1項に記載のバッテリー保護装置の製造方法。
【請求項5】
前記スペーサ用金属板は、表面がニッケル鍍金されたアルミニウム、銅、リン青銅、またはベリリウム銅板材で構成されるか、或いは、アルミニウム、銅、リン青銅、ベリリウム銅、またはニッケル板材で構成されることを特徴とする、請求項3に記載のバッテリー保護装置の製造方法。
【請求項6】
前記スペーサ用金属板は、左右の2個部分に分離され、前記分離された部位の空間は絶縁材質で充填されることを特徴とする、請求項3に記載のバッテリー保護装置の製造方法。
【請求項7】
上面に回路パターンが形成されているPCB上板と、
前記PCB上板の下部に接合され、前記PCB上板の少なくとも一側に突き出される突出部に垂直延長部と水平延長部が形成されているスペーサ用金属板と、
下面に回路パターンが形成されており、前記スペーサ用金属板の下部に接合されるPCB下板と、を含めて構成され、
前記スペーサ用金属板には絶縁孔が形成されており、前記PCB上板と前記PCB下板は、前記PCB上板と前記PCB下板を貫通し、前記絶縁孔より小さな貫通孔を通じて電気的に接続され、前記PCB上板に前記スペーサ用金属板が露出させる露出孔が形成されており、前記PCB上板と前記スペーサ用金属板は前記露出孔によって電気的に接続されているバッテリー保護装置。
【請求項8】
前記PCB下板は、前記PCB上板の少なくとも「P+」端子、「P−」端子、及び「CF」端子と、前記貫通孔を通じて連結されることを特徴とする、請求項7に記載のバッテリー保護装置。
【請求項9】
前記PCB上板の「P+」端子は、前記露出孔を通じて前記スペーサ用金属板と電気的に接続されることを特徴とする、請求項7または8に記載のバッテリー保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー保護装置の製造方法、及びこれによって製造されたバッテリー保護装置に関し、特に、不良率を減少させると共に、浪費を減らすことで生産性を向上させたバッテリー保護装置の製造方法、及びバッテリー保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近来、スマートフォンやスマートパッドなどの各種携帯端末が広く使われているところ、このような携帯端末の電源には、一般的に充電が可能な2次電池(以下、単に「バッテリー」と称する。)が使用されている。リチウムイオンバッテリーは携帯端末として最も広く使われているバッテリーであるが、過充電や過電流によってよく発熱すると共に、発熱が持続されて温度が上昇すると、その性能が劣化し、更に爆発の危険性も有する。
【0003】
よって、従来のリチウムイオンバッテリーなどの携帯端末のバッテリーパックには、過充電、過放電、及び過電流を感知及び遮断する保護回路モジュール(Protection Circuit Module、以下、単に「PCM」と称する。)が内蔵されている。
【0004】
図1A及び図1Bは、それぞれ従来のバッテリー保護装置の回路構成図である。図1A及び図1Bに示すように、従来のバッテリー保護装置の回路構成は、スイッチング素子として機能する2つのFET(未図示)を内蔵している保護用ICU0と、複数の抵抗R1〜R3及びコンデンサC1、C2などを含めて構成される。一方、図1Bの回路は図1Aの回路に比べてNFC(Near Field Communication)機能をさらに備えている。
【0005】
図1A及び図1Bにおいて、「B+」端子と「B−」端子は、バッテリーセルに連結される端子であって、PCMを基準とする場合、入力側に該当する。「P+」端子と「P−」端子はPCMの出力側に該当するところ、この端子を通じてPCMを経由した充電及び放電が行われる。最後に、「CF」端子は、バッテリーの種類を示すID端子であって、「P−」端子とは抵抗R3で連結されているところ、連結された抵抗値によって充電電流が決定される。「DUMMY」端子は、後述する金属製スペーサが溶接される端子であって、電気的には他の部品と絶縁されている。つまり、「DUMMY」端子は電気的特性とは関係なく、単に機構的な固定のために必要なものなので、場合によってはなくても良い。
【0006】
図2Aないし図2Cは、それぞれ従来のバッテリー保護装置の平面図、正面図、及び底面図である。図2Aないし図2Cに示すように、従来のバッテリー保護装置は、バッテリーセル40の上面に搭載されるように、大略バッテリーセル40の横長及び縦長で構成され、その上面及び下面にそれぞれパターンが形成されている両面PCB10を採択している。
【0007】
前述した構成において、PCBの下面には、前述したような保護用IC、複数の抵抗及びコンデンサのような回路素子30及びサーミスタ32が搭載されると共に、PCB10の上面には複数のパッド、例えば、「P+」端子、「CF」端子、及び「P−」端子が露出されている。図面において、参照番号12はPCB10を貫通するように形成され、サーミスタ32をバッテリーセル40に溶接、スポット溶接することができるようにサーミスタ32を露出させる露出孔を示す。
【0008】
参照番号50は、バッテリーセル40とPCM回路素子30、32とを電気的に絶縁させ、PCMを安定的に固定させるために、バッテリーセル40とPCMのPCB10との間に介在される絶縁材質、例えば、合成樹脂製機構物を示し、参照番号20は、PCB10の下面の両端に取り付けられ、PCB10をバッテリーセル40の上面に接合、例えば、スポット溶接によって接合するための、大略「乙」字状の金属製スペーサを示す。
【0009】
前述した構造によって、金属製スペーサ20は、PCB10にスポット溶接される水平延長部22、水平延長部22の端部から少なくとも合成樹脂製機構物50の厚さだけ垂直に延長された垂直壁体24、及び垂直壁体24の他端から水平に延長されてバッテリーセル40にスポット溶接される水平延長部26を備える。
【0010】
しかし、前述したような従来のバッテリー保護装置によると、PCB10とは別に、金属製スペーサ20を備えなければならないと共に、このような金属製スペーサ20をSMT(Surface Mounting Technology)工程によってPCB10にソルダリングしなければならないので、長時間が所要され、浪費が増加、すなわち、生産性が低下してしまう問題があった。さらに、金属製スペーサ20をSMT工程によってソルダリングする過程において、整列し難いので、不良率が高まるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前述した問題点を解決するために案出されたものであって、不良率を減少させると共に、浪費を減らすことで生産性を向上させたバッテリー保護装置の製造方法、及びバッテリー保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するための本発明の一特徴によるバッテリー保護装置の製造方法は、上面に金属薄膜が形成されたPCB上板、下面に金属薄膜が形成されたPCB下板、及び少なくとも一側が前記PCB上板及び前記PCB下板の側面に突き出され、少なくとも一つの絶縁孔が形成されているスペーサ用金属板を準備するステップaと、前記スペーサ用金属板を介在させたままで、前記PCB上板と前記PCB下板とを接合するステップbと、前記PCB上板と前記PCB下板に回路パターンを形成するステップcと、前記絶縁孔より小さく、前記PCB上板と前記PCB下板との両方を貫通する貫通孔を形成し、前記貫通孔を通じて前記PCB上板と前記PCB下板とを電気的に接続させるステップdと、前記スペーサ用金属板が露出されるように、前記PCB上板に露出孔を形成し、前記露出孔を通じて前記スペーサ用金属板と前記PCB上板とを電気的に接続させるステップeと、前記スペーサ用金属板の前記突出部を2段折り曲げし、垂直延長部と水平延長部を形成するステップfと、を含めて構成される。
【0013】
前述した構成において、前記ステップdにおいては、前記PCB下板の回路接続点と、前記PCB上板の少なくとも「P+」端子、「P−」端子、及び「CF」端子を電気的に接続させることを特徴とする。
【0014】
前記ステップeにおいては、前記PCB上板の「P+」端子と前記スペーサ用金属板とを電気的に接続させることを特徴とする。
【0015】
前記ステップbは、絶縁材質の接着剤または接着シートによって構成され、前記ステップbの以降に、前記接着剤または接着シートによって前記絶縁孔の内部が充填されることを特徴とする。
【0016】
前記スペーサ用金属板は、表面がニッケル鍍金されたアルミニウム、銅、リン青銅、またはベリリウム銅板材で構成されるか、或いは、アルミニウム、銅、リン青銅、ベリリウム銅、またはニッケル板材で構成されることを特徴とする。
【0017】
前記スペーサ用金属板は、左右の2個部分に分離され、前記分離された部位の空間は絶縁材質で充填されることを特徴とする。
【0018】
本発明の第2の特徴によるバッテリー保護装置は、上面に回路パターンが形成されているPCB上板と、前記PCB上板の下部に接合され、前記PCB上板の少なくとも一側に突き出され、垂直延長部と水平延長部が形成されているスペーサ用金属板と、下面に回路パターンが形成されており、前記スペーサ用金属板の下部に接合されるPCB下板と、を含めて構成され、前記スペーサ用金属板には絶縁孔が形成されており、前記PCB上板と前記PCB下板は、前記PCB上板と前記PCB下板を貫通し、前記絶縁孔より小さな貫通孔を通じて電気的に接続され、前記PCB上板と前記スペーサ用金属板は前記露出孔によって電気的に接続されて構成される。
【0019】
前述した第2の特徴において、前記PCB下板は、前記PCB上板の少なくとも「P+」端子、「P−」端子、及び「CF」端子と、前記貫通孔を通じて連結され、前記PCB上板の「P+」端子は、前記露出孔を通じて前記スペーサ用金属板と電気的に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のバッテリー保護装置の製造方法、及びこれによって製造されたバッテリー保護装置によると、不良率を減少させると共に、浪費を減らすことで生産性を向上させることができ、結果的にコスト節減に寄与することができる。さらに、スペーサ用金属板がPCBの間に介在されているので、PCMから発生する熱を迅速に放出することができ、これによってPCMの信頼性が向上し、長寿命化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】従来のバッテリー保護装置の回路構成図である。
図1B】従来のバッテリー保護装置の回路構成図である。
図2A】従来のバッテリー保護装置の正面図、平面図、及び底面図である。
図2B】従来のバッテリー保護装置の正面図、平面図、及び底面図である。
図2C】従来のバッテリー保護装置の正面図、平面図、及び底面図である。
図3】従来のバッテリー保護装置において、金属製スペーサの機能を説明するための機構の構成図である。
図4】本発明のバッテリー保護装置の製造方法を説明するための工程のフローチャートである。
図5A】本発明のバッテリー保護装置の製造方法の主要ステップにおける工程の断面図である。
図5B】本発明のバッテリー保護装置の製造方法の主要ステップにおける工程の断面図である。
図5C】本発明のバッテリー保護装置の製造方法の主要ステップにおける工程の断面図である。
図5D】本発明のバッテリー保護装置の製造方法の主要ステップにおける工程の断面図である。
図5E】本発明のバッテリー保護装置の製造方法の主要ステップにおける工程の断面図である。
図6】本発明のバッテリー保護装置の他の実施例に係わる横の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、添付した図面を参照しながら本発明のバッテリー保護装置の製造方法、及びバッテリー保護装置の好ましい実施例について詳細に説明する。
【0023】
図4は、本発明のバッテリー保護装置の製造方法を説明するための工程のフローチャートである。図5Aないし図5Eは、本発明のバッテリー保護装置の製造方法の主要ステップにおける工程の断面図である。本発明のバッテリー保護装置の製造方法によると、ステップS10においては、図5Aに示すように、PCB上板100、PCB下板300、及びスペーサとして機能する金属板(以下、「スペーサ用金属板」と称する。)200を準備する。ステップS10において、PCB上板100は上面に金属薄膜、好ましくは銅薄膜120が形成された合成樹脂板材110、例えば、FR4、BT、またはポリイミド(Polyimide)材質のハードPCBまたはフレキシブル(Flexible)PCBであり、PCB下板300も下面に金属薄膜320、好ましくは銅薄膜が形成された合成樹脂板材310、例えば、FR4、BT、またはポリイミド(Polyimide)材質のハードPCBまたはフレキシブルPCBである。
【0024】
PCB上板100とPCB下板300はほぼ同じサイズに具現され、接合時に完全に重畳されることができる。スペーサ用金属板200は、その縦長がPCB上板100とPCB下板300の縦長と同一であるか、または少し短く、横長はPCB上板100とPCB下板300の横長より長くなり、これによって接合時にPCBの両側にスペーサ用金属板200が突き出されるようになる。
【0025】
一方、PCB上板100とPCB下板300との間のパターン、例えば、PCB上板100の「P+」端子と、PCB下板300の「B+」端子、PCB上板100の「P−」端子と、PCB下板300の「A」点(図1Aを参照)、及びPCB上板100の「CF」端子及びPCB下板300の「D」点(図1Aを参照)をそれぞれの貫通孔(後述する。)を通じて電気的に接続することにおいて、スペーサ用金属板200が電気的に共に連結されることを防止するために、スペーサ用金属板200に前記貫通孔より直径が大きな孔(以下、「絶縁孔」と称する。)210を予め形成、例えば、ドリルリング、レーザー、またはプレス加工(パンチング)によって形成するようになる。
【0026】
スペーサ用金属板200は、例えば、アルミニウム、銅、リン青銅、ベリリウム銅、またはニッケル金属板で構成され得る。ニッケル金属板を使用していない場合は、スポット溶接が確実に行われるように、少なくとも前記突出した部分をニッケル鍍金することが好ましい。
【0027】
ステップS20においては、図5Bに示すように、スペーサ用金属板200を介在させたままでPCB上板100とPCB下板300とを接合、例えば、スペーサ用金属板200との間に絶縁材質、例えば、エポキシ樹脂系の接着剤(あるいは、接着シート、以下、「接着剤」と称する。)400を介在させたままで熱圧着して接合し、これによって絶縁孔210の内部には絶縁材質の接着剤400が充填されるようになる。
【0028】
次に、ステップS30においては、PCB上板100とPCB下板300に通常の方法を使用して回路パターンを形成し、またステップS40においては、図5Cに示すように、スペーサ用金属板200に形成された絶縁孔210より直径が小さく、PCB上板100とPCB下板300との両方を貫通する貫通孔を形成、例えば、ドリルリング、レーザー、またはプレス加工によって形成する。さらに、このステップS30においては、スペーサ用金属板200が露出されるようにPCB上板100に露出孔を形成することができ、その後、前記露出孔はPCB上板100に形成された「P+」端子(パッド)とスペーサ用金属板200を電気的に接続するのに用いられ得る。
【0029】
続いて、図5Dに示すように、公知の鍍金工程等により、前記貫通孔と前記露出孔を鍍金体500で満たすことで、PCB上板100のパターンとPCB下板300のパターン、即ち、「P−」端子、「CF」端子、「P+」端子、または「NFC」端子を電気的に接続するところ、このような鍍金体500によってスペーサ用金属板200とは電気的に絶縁されたままでPCB上板100とPCB下板300の関連部分が電気的に接続される。これに加えて、前記露出孔にも鍍金体510を満たすことで、PCB上板100のパターン、即ち、「P+」端子とスペーサ用金属板200とを電気的に接続させる。
【0030】
次に、ステップS50においては、図5Eに示すように、プレス加工などによってスペーサ用金属板200の両端の突出部を2段に折り曲げし、垂直延長部222と水平延長部224とを形成する。
【0031】
このようにしてPCB工程が完了すれば、SMT工程によって、PCB下面300に回路部品、即ち、保護用IC、抵抗、及びコンデンサなどを搭載することで、バッテリー保護装置の製造が完了する。
【0032】
その後、このように製造されたバッテリー保護装置を合成樹脂製機構物が予め設けられたバッテリーセルの上面に搭載し、「B+」端子及び「B−」端子をバッテリーセルに電気的に接続し、バッテリーセルの上面の端部に水平延長部224をスポット溶接して接合するようになる。
【0033】
一方、前述した構成において、絶縁孔210は複数の貫通孔500を包括する一つの長孔で形成されることもできる。また、2段折り曲げ部、即ち、垂直延長部222と水平延長部224は、PCBの一側、即ち、「P+」端子が露出された部位のみに形成されることもできる。
【0034】
その他にも、貫通孔500をPCBパターンの形成前に予め形成することもできる。また、2段折り曲げ工程をPCBパターンの形成前に行うか、パターンの形成後及び貫通孔の形成前に行うこともできる。貫通孔をプレス加工によって形成する場合、2段折り曲げ工程と同時に貫通孔を形成することもできる。2段折り曲げ工程は各種回路部品の実装後に最終的に行われることもできる。
【0035】
図6は、本発明のバッテリー保護装置の他の実施例に係わる横の縦断面図であり、図5Eと同じ部分には同じ参照番号を付け、その詳細な説明は省略する。図6の実施例においては、前述した実施例とは異なって、スペーサ用金属板200’が2個部分に分離されてPCBの両端に形成されているところ、スペーサ用金属板200’の間の空間には、接着剤500またはPCB板材と同じ材質のFR4、BT、またはポリイミドなどが充填されることができる。
【0036】
以上、添付した図面を参照しながら本発明のバッテリー保護装置の製造方法、及びバッテリー保護装置の好ましい実施例について詳しく説明したが、これは例示に過ぎないものであり、本発明の技術的思想の範疇内で様々な変形と変更が可能であるだろう。従って、本発明の権利範囲は、以下の特許請求の範囲の記載によって定められるべきであろう。一方、特許請求の範囲に記載の製造方法において、記載順またはアルファベット順の通りに各ステップが行われるわけではない。
【符号の説明】
【0037】
10:PCB
12:貫通孔
20:金属製スペーサ
22、26:水平延長部
24:垂直延長部
30:回路素子
32:サーミスタ
40:バッテリーセル
50:合成樹脂製機構物
100:PCB上板
110:合成樹脂板材
110:金属薄膜
200:スペーサ用金属板
210:絶縁孔
220:折り曲げ部
222:垂直延長部
224:水平延長部
300:PCB上板
310:合成樹脂板材
320:金属薄膜
400:接着剤
500、510:鍍金体
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図6