(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように、ホログラムシールを貼り付ける方法では、ホログラムシールを剥がして再利用することにより制御基板に対する不正な改造などの不正行為が可能となってしまうといった問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、制御基板に対する不正な改造などの不正行為をより確実に防止できる遊技機用基板ケース製造方法、及び、遊技機用基板ケースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の遊技機用基板ケース製造方法は、遊技機用制御基板を収納する遊技機用基板ケースを製造する遊技機用基板ケース製造方法において、ホログラム原板の板面に設けられた複数の凹凸からなるホログラムパターンを、電鋳により型取りして電鋳型を製造する電鋳型製造ステップと、前記基板ケースを形成するための金型に設けられた電鋳型はめ込み部に、前記電鋳型をはめ込んだ電鋳型付き金型を構成する金型構成ステップと、前記電鋳型付き金型に樹脂を流入させて、前記ホログラムパターンを転写したホログラム面を前記基板ケースと一体に形成する一体化ステップと、を備えたことを特徴としている。
【0008】
前記金型は、前記基板ケースの一部であり前記ホログラム面を有するホログラム板を形成するためのホログラム板形成用金型であり、前記一体化ステップでは、前記電鋳型付き金型により前記ホログラム板が形成された後、前記ホログラム板が前記基板ケースと一体化されるものでもよい。
【0009】
前記ホログラム面を覆う保護層を形成する保護層形成ステップを備えていてもよい。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明の遊技機用基板ケースは、遊技機用制御基板を収納する遊技機用基板ケースにおいて、基板ケース本体と、複数の凹凸からなるホログラムパターンを有し、前記基板ケース本体と一体に設けられたホログラム面と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
前記ホログラム面は、前記基板ケースと一体化されたホログラム板に設けられているものでもよい。
【0012】
前記ホログラム面を覆う保護層を設けてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ホログラムが基板ケースと一体に形成されるので、ホログラムシールのように剥がして再利用することが出来ず、制御基板に対する不正な改造などの不正行為をより確実に防止できる。
【0014】
また、本発明によれば、従来の遊技機のように、遊技機1つ1つ(基板ケース毎)にホログラムシールを貼り付ける必要がなく、ホログラムを設ける手間を省略できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、本発明のスロットマシン(遊技機)10は、収納箱11と、前面扉12とを備えている。前面扉12は、上扉12aと下扉12bとに分割されており、これら上扉12a及び下扉12bはそれぞれ収納箱11に軸着され、開閉自在に支持されている。
【0017】
上扉12aには、各種画像を表示する液晶ディスプレイ13、各種音声を出力するスピーカ14が設けられている。スロットマシン10では、これら液晶ディスプレイ13やスピーカ14を駆動制御することにより遊技を演出する。
【0018】
また、上扉12aには、リール窓16が設けられており、リール窓16の奥には、リール20a〜20cが配置されている。リール20a〜20cの外周面には複数種類の図柄が配列されており、リール20a〜20cが停止した状態では、リール窓16を通して1リールあたり3個の図柄が表示される。
【0019】
下扉12bには、メダルを投入するメダル投入口22、クレジットされたメダルを1枚ずつベットするための1ベットボタン23a、クレジットされたメダルをベット可能な上限数まで一括でベットするためのMAXベットボタン23b、遊技を開始する際に操作されるスタートレバー24、回転しているリールを停止させるためのストップボタン26a〜26c、メダルを払い出す払い出し口27、払い出し口27から払い出されたメダルを受けるメダル受け皿28が設けられている。
【0020】
スロットマシン10では、メダル投入口22にメダルを投入してこのメダルをベット、または、1ベットボタン23aやMAXベットボタン23bを操作してクレジットされたメダルをベットすることで、スタートレバー24の操作が有効化され、有効化されたスタートレバー24が操作されると遊技が開始される。遊技が開始されると、当選役抽選テーブルを用いた当選役抽選が行われて複数種類の当選役のいずれかまたはハズレが決定されるとともに、リール20a〜20cが回転を開始する。
【0021】
回転を開始したリール20a〜20cは、回転速度が一定速度に到達するまで加速され、回転速度が一定速度に到達すると一定速度のまま継続して回転する定常回転となる。リール20a〜20cが定常回転となると、ストップボタン26a〜26cの操作が有効化され、有効化されたストップボタン26a〜26cを操作することによって、操作されたストップボタンに対応するリールを停止させることができる。そして、全てのリール20a〜20cが停止された際に、当選役抽選で決定された当選役に対応する図柄組み合わせが表示されることによってこの当選役が入賞となると、入賞した当選役に対応した処理が実行される。
【0022】
また、スロットマシン10の内部には、基板ケース(遊技機用基板ケース)30が配置されている(
図2参照)。基板ケース30には、スロットマシン10の各部を駆動制御する制御基板(遊技機用制御基板)(図示せず)が収納されており、本実施形態において基板ケース30は、上扉10aの背後、リール20a〜20bの上方に配置されている。
【0023】
図2に示すように、本実施形態において、基板ケース30は、開口部をスロットマシン10の後方(以下、単に後方と称する場合がある)へ向けた前面ケース32と、開口部をスロットマシン10の前方(以下、単に前方と称する場合がある)へ向けた背面ケース34とから構成される。これら、前面ケース32、及び、背面ケース34は、透明な樹脂(プラスチックなど)から形成され、内部に収納された制御基板が視認可能となっている。
【0024】
そして、本実施形態では、前面ケース32と背面ケース34とが、スロットマシン10に向かって左側(以下、単に右側と称する場合がある)に設けられたヒンジ36により軸着され、このヒンジ36を支点として、スロットマシン10に向かって右側(以下、単に右側と称する場合がある)が、前方及び後方へと回動自在に設けられている。そして、このヒンジ36を支点とした回動により基板ケース30が開閉される。
【0025】
前面ケース32の右側には、上部と下部とのそれぞれに係止片32aが設けられている。また、背面ケース34の右側にも、上部と下部とのそれぞれに係止片34aが設けられている。さらに、これら係止片32a、34aには、それぞれ開口38が設けられており、係止片32a、34aは、基板ケース30を閉じると、互いの開口38が重なりあうように形成されている。そして、基板ケース30は、制御基板が収納された後、係止片32a、34aが封印部材40により封印され、制御基板への不正なアクセスが防止される。
【0026】
封印部材40は、開口38を貫通するように係止片32a、34aに装着されることにより、係止片32a、34aを前後から挟み込む、受け具42と留め具44とから構成される。封印部材40が係止片32a、34aに装着されると、受け具42の筒部内に留め具44の返し爪が係合し、封印部材40(受け具42と留め具44)が分離不能となる。こうすることで、封印部材40、もしくは、係止片32a、34aを破壊しないと基板ケース30を開放できないようにしている。
【0027】
このように、封印部材40や係止片32a、34aを破壊しないと開放不能とされた基板ケース30には、収納された制御基板が正規品であることを示すホログラム板50が設けられている。なお、本実施形態では、ホログラム板50を前面ケース32の本体(基板ケース本体)39(
図3、
図5、
図7参照)に配置した例で説明を行う。
【0028】
前面ケース32の断面を示す
図3において、ホログラム板50は、ホログラム原板(図示せず)を、例えば、電鋳などにより複製(転写)したものであり、透明な樹脂などから形成されている。ホログラム原板は、例えば、石英やSiO
2 /Siなどから形成され、ホログラムとして視認される微細な凹凸(ピクセルサイズが0.5μm〜1μm程度、ステップ高さ(最大)が150μm〜250μm程度のホログラムパターン)が表面に形成されている。そして、この凹凸(ホログラムパターン)が、ホログラム板50の片面52(以下、ホログラム面52)に転写されている。
【0029】
なお、ホログラム原板やホログラム板50に転写されるホログラムパターンのステップ数(凹凸の段数)については、適宜設定できる。具体的なステップ数としては、例えば、8ステップ(8段階の高さの凹凸が形成されていることを示す)や、4ステップ(4段階の高さの凹凸が形成されていることを示す)などのステップ数が挙げられる。
【0030】
そして、上述のようにホログラム面52が形成されたホログラム板50は、ホログラム面52をスロットマシン10の背面側へ向けた状態で、後述するインサート成形などにより前面ケース32と一体に形成されている。このように、ホログラム板50は、前面ケース32の製造時に前面ケース32と一体に形成されるため、前面ケースを製造した後にホログラムシールを貼り付ける方法と比較して、ホログラムシールを剥がして再利用することができないので、制御基板に対する不正な改造などの不正行為をより確実に防止できる。また、ホログラムシール貼り付けの手間を省略できる。
【0031】
さらに、本実施形態では、ホログラム面52をスロットマシン10の背面側に向けた状態で、ホログラム板50を前面ケース32に配置している(
図3、
図5、
図7参照)。すなわち、ホログラム面52が基板ケース30の内側に設けられており、基板ケース30を開放しないと露呈しないようになっている。こうすることで、ホログラム面52を保護することができる。
【0032】
以下、上述のように、ホログラム板50と一体化された基板ケース30(前面ケース32)を製造する製造方法について
図4、
図5を用いて説明を行う。
図4に示すように、基板ケース30(前面ケース32)を製造する際には、先ず、ホログラム板50が製造される。ホログラム板50の製造においては、初めに、石英やSiO
2 /Siなどから形成されたホログラム原板60を電鋳により型取りすることにより電鋳型62を製造する(S1:電鋳型製造ステップ)。
【0033】
次に、ホログラム板50を製造するためのホログラム板形成用金型63に対して電鋳型62を組み込んだ電鋳型付き金型64を形成(構成)する(S2:金型構成ステップ)。ホログラム板形成用金型63には、電鋳型62の形状に対応した窪み(電鋳型はめ込み部(符号省略))が設けられており、この窪み(電鋳型はめ込み部)に電鋳型62をはめ込む(組み込む)ことにより、電鋳型付き金型64が構成される。そして、この電鋳型付き金型64に、例えば、透明な樹脂などを流し込み、硬化後に電鋳型付き金型64から剥離することよりホログラム板50を製造する(S3:ホログラム板形成ステップ(一体化ステップ))。
【0034】
続いて、上述のようにして製造されたホログラム板50を用いて基板ケース30(前面ケース32)が形成(製造)される。
図5に示すように、基板ケース30(前面ケース32)は、ホログラム板50をインサート成形することにより製造される(S4:ケース形成ステップ(一体化ステップ)。具体的には、基板ケース30(前面ケース32)を形成するための基板ケース形成用金型65の内部にホログラム板50を配置した状態で、透明な樹脂などを基板ケース形成用金型65に流し込み、硬化後に基板ケース形成用金型65から剥離することにより基板ケース30(前面ケース32)を製造する。
【0035】
このように、本実施形態では、ホログラム面52を基板ケース30と一体に形成するにあたって、先ず、ホログラム面52と一体のホログラム板50を形成し、次に、ホログラム板50を基板ケース30と一体化している。すなわち、本実施形態では、ホログラム面52を基板ケース30と一体に形成する一体化ステップが、「S3:ホログラム板形成ステップ」と、「S4:ケース形成ステップ」との2ステップからなっている。
【0036】
なお、本発明は、基板ケース30と一体にホログラム面52が形成されていればよいのでの細部の構成については上記実施形態に限定されず適宜変更できる。例えば、上記実施形態では、ホログラム面52を背面側(基板ケース30の内側)へ向けた例で説明をしたが、ホログラム面52を前面側(基板ケース30の外側)へ向けた構成としてもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、前面ケース32にホログラムを設ける例で説明をしたが、背面ケース34にホログラムを設けてもよい。もちろん、前面ケース32と背面ケース34とに跨るように、基板ケース30の側面などにホログラムを設けてもよい。さらに、封印部材40(受け具42と留め具44の一方または両方)にホログラムを設けてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、ホログラム面52が露呈されている例で説明をしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図6に示すように、ホログラム面52を覆う保護層70を設けてもよい。保護層70は、例えば、透明な塗料をホログラム面52に塗布する
保護層形成ステップにおいて形成される。保護層形成ステップは、「S3:ホログラム板形成ステップ」または「S4:ケース形成ステップ」(
図4、
図5参照)の後に実施される。このように保護層70を設けることにより、ホログラム板50(ホログラム面52)を保護できるだけでなく、ホログラム板50(ホログラム面52)が電鋳などにより複製(転写)されてしまうといった問題も防止できる。
【0039】
つまり、ホログラム面52が外部に露呈されていると、ホログラム原板からホログラムパターンを転写した場合と同様に、ホログラム面52を転写することが可能となってしまう。これに対し本実施形態では保護層70を設けたので、ホログラム面52を転写するためには保護層70をホログラム面52から剥離する必要がある。しかし、前述のようにホログラム面52には微細な凹凸(ホログラムパターン)が形成されており、ホログラム面52を傷めること無く保護層70を剥離することは困難である(すなわち、ホログラム面52を転写することは困難である)。
【0040】
なお、保護層70とホログラム面52(ホログラム板50)とが光学的に同質な材料から形成されたものであると、ホログラム面52の凹凸(ホログラムパターン)によるホログラムの機能が損なわれてしまうので、保護層70は、ホログラム面52(ホログラム板50)とは光屈折率が異なる材料から形成することが好ましい。また、本例では、透明な塗料を塗布することにより保護層70を形成する例で説明をしたが、保護層70の形成方法により本発明は限定されるものではないので、例えば、印刷により保護層70を形成してもよいし、透明なシールなどをホログラム面52に貼り付けることによって保護層70を形成してもよい。さらに、UVカット機能を備えた材料から保護層70を形成してもよい。こうすることで紫外線による劣化からホログラム面52を保護できる。
【0041】
また、上記実施形態では、ホログラム面52を基板ケース30と一体に形成するにあたって、先ず、ホログラム面52と一体のホログラム板50を形成し、次に、ホログラム板50を基板ケース30と一体化する例、すなわち、ホログラム面52を基板ケース30と一体に形成する一体化ステップが、「S3:ホログラム板形成ステップ」と、「S4:ケース形成ステップ」との2ステップからなる例(
図4、
図5参照)で説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
図7に示すように、1ステップで、ホログラム面52を基板ケース30(前面ケース32)と一体に形成してもよい。
【0042】
この場合、初めは、前述した
図4の手法と同様に電鋳型62を形成する(S1:電鋳型製造ステップ)。次は、基板ケース30(前面ケース32)を形成するための基板ケース形成用金型65'に対して電鋳型62を組み込んだ電鋳型付き金型64'を形成(構成)する(S2':金型構成ステップ)。基板ケース形成用金型65'には、電鋳型62の形状に対応した窪みである電鋳型はめ込み部(符号省略)が設けられており、この電鋳型はめ込み部に電鋳型62をはめ込む(組み込む)ことにより、電鋳型付き金型64'が構成される。
【0043】
そして、この電鋳型付き金型64'に、例えば、透明な樹脂などを流し込み、硬化後に電鋳型付き金型64'から剥離することより基板ケース30(前面ケース32)を製造する(S3':一体化ステップ)。このように、1ステップで、基板ケース30(前面ケース32)と一体にホログラム面52を形成することで、上記実施形態と同様の効果に加えて、さらに、製造の手間やコストを削減できるといった効果も得られる。
【0044】
なお、上記実施形態では、遊技機としてスロットマシンに本発明を適用する例で説明をしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、パチンコ機など、スロットマシン以外の遊技機に対して本発明を適用してもよい。もちろん、上記実施形態や上述した各種の変形例を組み合わせて本発明を実施してもよい。
【解決手段】前面ケース32(基板ケース)を製造する際には、先ず、ホログラム原板60を電鋳して電鋳型62を製造する(S1:電鋳型製造ステップ)。次は、前面ケース32を形成するための基板ケース形成用金型65’に対して電鋳型62を組み込んだ電鋳型付き金型64’を構成する(S2’:金型構成ステップ)。電鋳型付き金型64’は、基板ケース形成用金型65’に設けられた電鋳型はめ込み部に、電鋳型62をはめ込むことによりが構成される。続いて、電鋳型付き金型64’に、透明な樹脂などを流し込み、硬化後に電鋳型付き金型64’から剥離することより前面ケース32を製造する(S3’:一体化ステップ)。