特許第6067911号(P6067911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6067911
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】封筒
(51)【国際特許分類】
   B65D 27/38 20060101AFI20170116BHJP
   B65D 27/16 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   B65D27/38 Z
   B65D27/16
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-96989(P2016-96989)
(22)【出願日】2016年5月13日
【審査請求日】2016年5月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594186234
【氏名又は名称】株式会社ダイケン
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】松茂 正實
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04607749(US,A)
【文献】 特開平06−080148(JP,A)
【文献】 実開平03−029441(JP,U)
【文献】 特開平06−048448(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0023492(US,A1)
【文献】 特開2004−067164(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/020362(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D27/00−27/38
B65D33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラップ部及び袋体部に剥離性接着剤を塗布し、前記フラップ部により前記袋体部の開口部を封緘する封筒であって、
前記フラップ部及び前記袋体部の少なくとも一方の前記接着剤は、前記フラップ部と前記袋体部との境界線に平行に、前記フラップ部の長手方向の両端である一端部側から他端部側に向けて、一様の塗布量の厚みで、前記一端部である剥離の始端から前記他端部である剥離の終端に至るまで塗布量を徐々に大きくした塗布パターンとして塗布されていることを特徴とする封筒。
【請求項2】
口糊加工はアドヘア式として、前記フラップ部又は前記袋体部には前記塗布パターンとして前記接着剤を塗布し、残りの前記袋体部又は前記フラップ部には一様な幅に前記接着剤を塗布したことを特徴とする請求項1に記載の封筒。
【請求項3】
前記塗布パターンは前記接着剤の塗布幅を前記始端の細幅部から前記終端の太幅部まで変化させたことを特徴とする請求項1又は2に記載の封筒。
【請求項4】
前記塗布パターンの前記始端に面積の大きな塗布部を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の封筒。
【請求項5】
前記フラップ部の先端縁に沿って複数個の点状塗布部を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の封筒。
【請求項6】
前記フラップ部の表側には前記フラップ部の開封すべき個所を指示する文字又は記号を印刷したことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の封筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離性接着剤を用いた開封し易い封筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダイレクトメールや定期刊行物等を送付する封筒は、封緘の信頼性よりも、ハサミやペーパーナイフを使用することなく、容易に開封できる簡便な構造のものが求められている。例えば、特許文献1にはアドヘア式の剥離性接着部を設けた封筒が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−233346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の封筒は、封緘片と封筒本体との双方に接着剤が帯状に同形に塗布されている。
【0005】
この種の封筒においては、接着剤同士を重ね圧力を付与して封緘した封筒を、開封者が開封する場合に、封緘片をつまんで接着剤を引き剥がすことになる。
【0006】
しかし、封緘片は封筒本体に一様に幅広に接着されているので、封緘片のどの部分を持って引き剥がしても効率的に整然と剥離できない。剥離に手間取ると、封緘片が部分的に破れたりして、見栄えが悪い状態となる。
【0007】
本発明の目的は、剥離性接着剤の塗布パターンを工夫し、開封が容易な封筒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る封筒は、フラップ部及び袋体部に剥離性接着剤を塗布し、前記フラップ部により前記袋体部の開口部を封緘する封筒であって、前記フラップ部及び前記袋体部の少なくとも一方の前記接着剤は、前記フラップ部と前記袋体部との境界線に平行に、前記フラップ部の長手方向の両端である一端部側から他端部側に向けて、一様の塗布量の厚みで、前記一端部である剥離の始端から前記他端部である剥離の終端に至るまで塗布量を徐々に大きくした塗布パターンとして塗布されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る封筒によれば、フラップ部又は袋体部の剥離性接着剤の塗布量をフラップ部の剥がす方向に沿って変化させることにより、接着剤の塗布量が少ない側から剥離を開始することでフラップ部の剥離が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】封筒を裏側から見た説明図である。
図2】封筒を表側から見た説明図である。
図3】閉止した状態の封筒の説明図である。
図4】開封に際してフラップ部をめくり始めた状態の説明図である。
図5】塗布パターンを変化させた場合の説明図である。
図6】塗布パターンを変化させた場合の説明図である。
図7】塗布パターンを変化させた場合の説明図である。
図8】塗布パターンの始端に面積の大きな塗布部を設けた場合の説明図である。
図9】塗布パターンを袋体部に設けた場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は使用前の封筒を裏側から見た説明図である。封筒1は紙を断裁し、折り畳んで袋状に成形されており、主体は書類等を収納する袋体部2であり、袋体部2の上部には袋体部2の開口部3を封緘するための台形状のフラップ部4が設けられている。なお、点線は折り線を示している。
【0012】
この封筒1の口糊加工は例えばアドヘア式であり、フラップ部4と袋体部2の双方に剥離性接着剤による塗布部が設けられている。この剥離性接着剤は、アクリル系や天然ゴム、合成ゴム等のゴム系等を使用し、面状に塗布された接着剤同士を対向させて圧力を加えることにより、互いの高分子が自己拡散により密着状態となる。
【0013】
フラップ部4側における塗布部5は、フラップ部4の長手方向の両端である一端部4a側から他端部4b側に向けて、一様の塗布量の厚みで、徐々に一端部4aである始端の細幅部5aから幅広の他端部4bである終端の太幅部5bと至るような塗布パターンとされている。
【0014】
図1においては、塗布部5は右側にゆくにつれて幅広になっているが、これは割合の多い右利きの開封者が、右手でフラップ部4の左端から右側に剥がして開封することを想定しているためである。
【0015】
また、フラップ部4の先端縁には、配送中のフラップ部4のまくれ上りを防止するために、複数個の点状の点状塗布部6が必要に応じて設けられている。
【0016】
袋体部2側には、同様の剥離性接着剤により塗布した塗布部7が、袋体部2とフラップ部4との境界線を介して、塗布部5と略平行に設けられている。この塗布部7はフラップ部4に塗布された塗布部5の塗布パターンと同形であってもよいが、接着した場合に塗布部5及び点状塗布部6の塗布領域を覆うに足る形状であればよいので、例えば図示のように幅を一定の形状とすることが好ましい。
【0017】
また図2に示すように、フラップ部4の表側には、「この部分からめくって下さい」のような文字と共に、開封位置を示す矢印等の記号を印刷しておくことが好ましい。
【0018】
塗布部5、6、7等は印刷機により印刷し、赤外線照射装置などで乾燥させることにより口糊加工は完成する。
【0019】
使用に際しては、袋体部2に送付すべき郵便物等を入れて、図3に示すようにフラップ部4を折り曲げて開口部3を閉止し、加圧して塗布部5、6と塗布部7とを接着する。これにより対向する塗布部5、6、7同士の高分子が自己拡散して密着され、ポストに投函しても、開口部3はフラップ部4により確実に封緘され、郵便物等が封筒1から脱落することはない。
【0020】
開封に際しては、図3に示すフラップ部4の表面側の印刷された指示に従って、図4に示すように矢印個所からフラップ部4をめくって引き剥がしてゆく。この引き剥がしは、塗布パターンの始端である塗布密度の小さな細幅部5aから始めるので引き剥がしが容易となり、そのままの勢いで終端の太幅部5bまで接着部を引き剥がすことができる。
【0021】
また、塗布部5の塗布パターンは、図1に示すように、塗布量を単に細幅部5aから太幅部5bのように変化させるだけでなく、図5に示すように、剥離性接着剤により細幅部5aから太幅部5bに変化する複数本の線条を配列するようにしてもよい。
【0022】
或いは、図6に示すように、塗布部5をフラップ部4の一端部4aでは数を少なく他端部4bでは数を多くしたり、図7に示すように一端部4aの塗布部の大きさは小さくし、他端部4bでは大きくする塗布パターンとしてもよい。
【0023】
また図8に示すように、不時の剥離を防止するために、細幅部5aの端部に例えば塗布幅が他端部4b側の太幅部5bの塗布幅と略一致する面積の大きな円形の塗布片部5cを設けることも好適である。
【0024】
この場合のフラップ部4の引き剥がしは、最初は始端の塗布片部5cの抵抗により多少開け難いが、一旦、塗布片部5cを引き剥がすと、後は細幅部5aだけなので力をあまり加えることなく、そのままの勢いで終端の太幅部5bまで引き剥がすことができる。
【0025】
上述の実施例においては、フラップ部4において塗布部5の塗布量を変化させたが、図9に示すように、フラップ部4では塗布部5の幅を一定とし、袋体部2における塗布部7の塗布量を変化させ、図1に示す塗布パターンを塗布部7に採用してもよい。
【0026】
封筒1の口糊加工は上述の実施例のようなアドヘア方式に限らず、グラシンテープ式であってもよい。即ち、フラップ部4又は袋体部2にはアクリル系の接着剤による塗布パターンの上に剥離紙を付設し、この剥離紙を剥がすことにより現れる塗布パターンを用いて、フラップ部4と袋体部2とを接着する。そして、この場合の塗布パターンについては、上述のように接着剤の塗布量をフラップ部4の剥がす方向に沿って変化させればよい。
【0027】
このように剥離性接着剤はフラップ部4と袋体部2との境界線に平行とし、つまりフラップ部の剥がし方向に沿って、フラップ部4又は塗布部7の接着剤の塗布量を変化させることにより、接着剤の塗布量が少ない側から剥離を開始することで、フラップ部4の剥離が容易となる。
【符号の説明】
【0028】
1 封筒
2 袋体部
3 開口部
4 フラップ部
5〜7 塗布部
5c 塗布片部
【要約】
【課題】 剥離性接着剤の塗布パターンを工夫し、開封が容易な封筒を得る。
【解決手段】 封筒1の口糊加工はアドヘア式であり、フラップ部4と袋体部2の双方に剥離性接着剤による塗布部が設けられている。フラップ部4側における塗布部5はフラップ部4の一端部4a側から他端部4b側に向けて、一様の厚みで、徐々に細幅部5aから幅広の太幅部5bと至る塗布パターンとされている。袋体部2側には、塗布部7が袋体部2とフラップ部4との境界線と平行に設けられている。
使用に際しては、フラップ部4を折り曲げて開口部3を閉止し、塗布部5と塗布部7とを加圧して接着する。開封に際しては、フラップ部4を端部からめくって引き剥がしてゆく。この引き剥がしは、塗布パターンの始端である細幅部5aから始めるので引き剥がしが容易となり、そのままの勢いで終端の太幅部5bまで接着部を引き剥がすことができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9