(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記車両横力算出部は、前記ロール角をφとし、前記ロール角加速度をφ”とし、前記重心位置と前記交差位置との距離をhとし、前記地面位置横加速度をAyとし、前記車両横力をFtotalとした場合に、下式(1)を用いて車両横力Ftotalを算出する、請求項1記載の横力推定システム。
Ftotal=m・Ay+m・h・φ”/cosφ ・・・(1)
前記車両横力算出部は、前記ロール角検出部により検出されるロール角が予め定められた範囲内にない場合、車両横力を0とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の横力推定システム。
前記車両横力算出部は、周期的に車両横力を算出し、前記ロール角検出部により検出されるロール角が予め定められた範囲内にない場合、前の周期で算出された車両横力を維持する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の横力推定システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、タイヤの横滑り角は、空気圧およびゴム特性等のタイヤ特性によって異なる。そのため、タイヤ特性が変化すると、算出される横力の精度が低下する。また、車両の走行中にロール角が一定に維持される場合には、上記のマップを用いて比較的精度の高い横力が得られる。一方、車両の走行中に乗員の姿勢が変化する、またはロール角が変化すると、上記のマップを用いても、精度の高い横力が得られない。
【0005】
本発明の目的は、横力を精度良く推定することが可能な横力推定システム、横力推定方法および車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一局面に従う横力推定システムは、複数の車輪を有しかつ地面に対して傾いた姿勢で旋回する車両に設けられる横力推定システムであって、車両の予め定められた位置における横加速度を検出する横加速度検出部と、車両のロール角加速度を検出するロール角加速度検出部と、車両のヨー角加速度を検出するヨー角加速度検出部と、車両のロール角を検出するロール角検出部と、車両の重心位置および車両の質量を記憶する記憶部と、横加速度検出部により検出される横加速度、ロール角加速度検出部により検出されるロール角加速度、ヨー角加速度検出部により検出されるヨー角加速度、ロール角検出部により検出されるロール角、および記憶部に記憶される車両の重心位置に基づいて、車両の重心を通りかつ車両の上下方向に平行な直線と地面との交差位置において車両の前後方向に垂直でかつ地面に平行な方向に働く加速度を地面位置横加速度として算出する地面位置横加速度算出部と、ロール角検出部により検出されるロール角、ロール角加速度検出部により検出されるロール角加速度、記憶部に記憶される車両の重心位置および質量、ならびに地面位置横加速度算出部により算出される地面位置横加速度に基づいて、複数の車輪に働く横力の合計を車両横力として算出する車両横力算出部とを備える。
【0007】
この横力推定システムにおいては、横加速度検出部、ロール角加速度検出部、ヨー角加速度検出部およびロール角検出部により検出された横加速度、ロール角加速度、ヨー角加速度およびロール角、ならびに記憶部に予め記憶された車両の重心位置に基づいて、地面位置横加速度算出部により地面位置横加速度が算出される。さらに、検出されたロール角およびロール角加速度、記憶された重心位置および質量、ならびに算出された地面位置横加速度に基づいて、複数の車輪に働く横力の合計が車両横力として算出される。
【0008】
地面位置横加速度は、タイヤの空気圧およびゴム特性等の車輪の特性、ならびに乗員の姿勢に影響されない。また、地面位置横加速度は、ロール角加速度およびヨー角加速度を含む車両の動的な条件に基づく。その地面位置横加速度を用いて車両横力が算出されるので、車輪の特性、乗員の姿勢および車両の動的な条件に拘わらず、車両横力を精度良く推定することができる。したがって、推定された車両横力に基づいて、車両の走行制御を適切に行うことができる。また、特殊なセンサまたは高価なセンサ等を用いることがないので、構成の複雑化およびコストの増加が抑制される。
【0009】
(2)車両横力算出部は、ロール角をφとし、ロール角加速度をφ”とし、重心位置と交差位置との距離をhとし、地面位置横加速度をAyとし、車両横力をF
totalとした場合に、下式(1)を用いて車両横力F
totalを算出してもよい。
【0010】
F
total=m・Ay+m・h・φ”/cosφ ・・・(1)
この場合、簡単な構成で容易に車両横力を算出することができる。
【0011】
(3)横力推定システムは、車両の操舵角を検出する操舵角検出部をさらに備え、車両横力算出部は、操舵角検出部により検出された操舵角に基づいて、算出された車両横力を補正してもよい。
【0012】
この場合、車両の操舵角に基づいて精度良く車両横力を推定することができる。特に、操舵輪に制動力または駆動力が働く状態で車両が旋回する場合に、算出される車両横力の精度が向上される。
【0013】
(4)横力推定システムは、各車輪から地面に加わる荷重を算出する荷重算出部と、ヨー角加速度検出部により検出されたヨー角加速度、車両横力算出部により算出された車両横力および荷重算出部により算出された荷重に基づいて、各車輪に働く横力を算出する横力算出部とをさらに備えてもよい。
【0014】
この場合、簡単な構成で精度良く各車輪の横力を推定することができる。また、推定された各車輪の横力に基づいて、車両の走行制御を適切に行うことができる。
【0015】
(5)車両横力算出部は、ロール角検出部により検出されるロール角が予め定められた範囲内にない場合、車両横力を0としてもよい。
【0016】
この場合、車両の転倒時に不必要な走行制御が行われることが防止される。
【0017】
(6)車両横力算出部は、周期的に車両横力を算出し、ロール角検出部により検出されるロール角が予め定められた範囲内にない場合、前の周期で算出された車両横力を維持してもよい。
【0018】
この場合、車両の転倒時に不必要な走行制御が行われることが防止される。
【0019】
(7)本発明の他の局面に従う横力推定方法は、複数の車輪を有しかつ地面に対して傾いた姿勢で旋回する車両に働く横力を推定する横力推定方法であって、車両の重心位置および車両の質量を記憶するステップと、車両の予め定められた位置における横加速度を検出するステップと、車両のロール角加速度を検出するステップと、車両のヨー角加速度を検出するステップと、車両のロール角を検出するステップと、検出された横加速度、ロール角加速度、ヨー角加速度、ロール角、および記憶された車両の重心位置に基づいて、車両の重心を通りかつ車両の上下方向に平行な直線と地面との交差位置において車両の前後方向に垂直でかつ地面に平行な方向に働く加速度を地面位置横加速度として算出するステップと、検出されたロール角、ロール角加速度、記憶された車両の重心位置および質量、ならびに算出された地面位置横加速度に基づいて、複数の車輪に働く横力の合計を車両横力として算出するステップとを備える。
【0020】
この横力推定方法においては、検出された横加速度、ロール角加速度、ヨー角加速度およびロール角、ならびに記憶された車両の重心位置に基づいて、地面位置横加速度が算出される。さらに、検出されたロール角およびロール角加速度、記憶された重心位置および質量、ならびに算出された地面位置横加速度に基づいて、複数の車輪に働く横力の合計が車両横力として算出される。
【0021】
地面位置横加速度は、タイヤの空気圧およびゴム特性等の車輪の特性、ならびに乗員の姿勢に影響されない。また、地面位置横加速度は、ロール角加速度およびヨー角加速度を含む車両の動的な条件に基づく。その地面位置横加速度を用いて車両横力が算出されるので、車輪の特性、乗員の姿勢および車両の動的な条件に拘わらず、車両横力を精度良く推定することができる。したがって、推定された車両横力に基づいて、車両の走行制御を適切に行うことができる。また、特殊なセンサまたは高価なセンサ等を用いることがないので、構成の複雑化およびコストの増加が抑制される。
【0022】
(8)本発明のさらに他の局面に従う車両は、複数の車輪を有する本体部と、本体部を移動させるための駆動力を発生する原動機と、第1の発明に係る力推定システムとを備える。
【0023】
この車両においては、原動機により発生される動力により駆動輪が回転される。それにより、本体部が移動する。この場合、上記第1の発明に係る横力推定
システムにより車両横力を精度良く推定することができる。推定された車両横力に基づいて、車両の走行制御を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、横力を精度良く推定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態に係る横力推定システム、横力推定方法および車両について図面を参照しながら説明する。以下の説明は、車両の一例としての自動二輪車に関する。
【0027】
(1)自動二輪車の概略構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る自動二輪車の概略側面図である。
図1の自動二輪車100においては、本体フレーム11の前端にヘッドパイプ12が設けられる。ヘッドパイプ12にフロントフォーク13が左右方向に揺動可能に設けられる。フロントフォーク13の下端に前輪14およびブレーキロータBR1が回転可能に支持される。また、フロントフォーク13の下端近傍にホイールシリンダWC1および前輪速度センサ44が固定される。ブレーキロータBR1は1または複数のディスク(図示せず)を含む。ホイールシリンダWC1は、前輪14の制動時にブレーキロータBR1のディスクに押圧されるブレーキパッド(図示せず)とともにブレーキキャリパに内蔵される。前輪速度センサ44は、前輪14の回転速度を検出する。
【0028】
ヘッドパイプ12の上端にはハンドル15が設けられる。ヘッドパイプ12の近傍には操舵角センサ45が設けられる。操舵角センサ45は、自動二輪車100の操舵角を検出する。操舵角は、本体フレーム11に対する操舵輪(本例では、前輪14)の角度である(後述の
図12参照)。
【0029】
本体フレーム11の中央部には、エンジン17が設けられる。エンジン17の下部には、クランクケース18が設けられる。クランクケース18の後方部分にミッションケース19が連結される。ミッションケース19は、本体フレーム11の下方に位置する。ミッションケース19の左側部には、シフトペダル21が設けられる。
【0030】
ミッションケース19の後方に延びるように、本体フレーム11にリアアーム81が接続される。リアアーム81の後端に後輪82、後輪ドリブンスプロケット83およびブレーキロータBR2が回転可能に支持される。後輪ドリブンスプロケット83にはチェーン84が取り付けられる。リアアーム81の後端近傍にホイールシリンダWC2および後輪速度センサ46が固定される。ブレーキロータBR2は1または複数のディスク(図示せず)を含む。ホイールシリンダWC2は、後輪82の制動時にブレーキロータBR2のディスクに押圧されるブレーキパッド(図示せず)とともにブレーキキャリパに内蔵される。後輪速度センサ46は、後輪82の回転速度を検出する。
【0031】
エンジン17の上方には燃料タンク25が設けられ、燃料タンク25の後方には2つのシート26,27が前後に並ぶように設けられる。燃料タンク25および2つのシート26,27の下方には、液圧制御ユニット30、ジャイロセンサ41、加速度センサ42、および制御部70が設けられる。ジャイロセンサ41は自動二輪車100のヨーレート(ヨー角速度)およびロールレート(ロール角速度)を検出する。加速度センサ42は、横方向(後述の車両横方向Dy)に生じる横加速度、および前後方向(後述の車両前後方向Dx)に生じる縦加速度を検出する。液圧制御ユニット30および制御部70の詳細については後述する。
【0032】
図2は、
図1の自動二輪車100の概略平面図である。
図2では、
図1の自動二輪車100の外形とともに自動二輪車100の一部の構成要素が示される。
図2に示すように、ハンドル15の右側部分にはブレーキレバー16および前輪マスタシリンダ16sが設けられる。また、ミッションケース19(
図1)の右側部には、ブレーキペダル23および後輪マスタシリンダ23sが設けられる。
【0033】
液圧制御ユニット30は、前輪マスタシリンダ16s、後輪マスタシリンダ23sおよびホイールシリンダWC1,WC2に接続されている。ブレーキレバー16が操作されることにより、前輪マスタシリンダ16sから液圧制御ユニット30に油圧が与えられ、液圧制御ユニット30からホイールシリンダWC1に油圧が与えられる。ホイールシリンダWC1によってブレーキパッドがブレーキロータBR1に押し当てられることにより、前輪14に制動力が働く。また、ブレーキペダル23が操作されることにより、後輪マスタシリンダ23sから液圧制御ユニット30に油圧が与えられ、さらに液圧制御ユニット30からホイールシリンダWC2に油圧が与えられる。ホイールシリンダWC2によってブレーキパッドがブレーキロータBR2に押し当てられることにより、後輪82に制動力が働く。
【0034】
液圧制御ユニット30は、ホイールシリンダWC1への油圧を調整することにより前輪14に働く制動力を調整し、ホイールシリンダWC2への油圧を調整することにより後輪82に働く制動力を調整する。
【0035】
なお、前輪マスタシリンダ16sおよび後輪マスタシリンダ23sが液圧制御ユニット30に接続されずに、前輪マスタシリンダ16sおよび後輪マスタシリンダ23sの油圧がセンサによって検出され、その検出結果に基づいて液圧制御ユニット30からホイールシリンダWC1,WC2への油圧が調整されてもよい。
【0036】
制御部70は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、およびRAM(ランダムアクセスメモリ)を含む。制御部70のCPUには、上記の前輪速度センサ44、操舵角センサ45、後輪速度センサ46、ジャイロセンサ41および加速度センサ42による検出結果が与えられる。CPUは、それらの検出結果に基づいて、前輪14および後輪82の横力を推定し、推定された横力に基づいて、液圧制御ユニット30を制御する。また、CPUは、
図1のエンジン17の基本動作を制御する。ROMは、CPUの制御プラグラム等を記憶する。RAMは、種々のデータを記憶するとともにCPUの作業領域として機能する。
【0037】
本実施の形態においては、ジャイロセンサ41、加速度センサ42および制御部70により横力推定システムが構成される。ジャイロセンサ41、加速度センサ42および制御部70は、それぞれ異なる位置に配置されてもよく、または共通のケーシング内に設けられてもよい。
【0038】
以下の説明において、
図1の本体フレーム11の中心面(対称面)に平行でかつ地面に平行な方向を車両前後方向Dxと呼び、本体フレーム11の中心面に対して垂直な方向を車両横方向Dyと呼び、車両前後方向Dxおよび車両横方向Dyに対して垂直な方向を車両上下方向Dzと呼ぶ。
【0039】
また、前輪14の中心面に平行でかつ地面に平行な方向を前輪前後方向Dxfと呼び、後輪82の中心面に平行でかつ地面に平行な方向を後輪前後方向Dxrと呼ぶ。操舵角が0°である場合、前輪前後方向Dxfは、車両前後方向Dxと一致する。後輪前後方向Dxrは、車両前後方向Dxと一致する。
【0040】
(2)制御部の機能
図3は、横力推定システムの構成について説明するためのブロック図である。
図3に示すように、制御部70は、角加速度算出部71、ロール角算出部72、Ay算出部73、車両横力算出部74、垂直荷重算出部75および各輪横力算出部76の機能を実現する。本例では、CPUおよび制御部プログラムによりこれらの機能が実現されるが、これらの機能の少なくとも一部が、電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0041】
制御部70は記憶部70aを含む。記憶部70aは、上記のROMであってもよく、フラッシュメモリまたはハードディスク等の他の記憶素子または記憶装置であってもよい。記憶部70aには、自動二輪車100の諸元情報が記憶される。諸元情報は、質量、寸法および重心位置等を含む。
【0042】
角加速度算出部71は、ジャイロセンサ41により検出されるヨーレートrに基づいてヨー角加速度r’を算出し、ジャイロセンサ41により検出されるロールレートφ’に基づいてロール角加速度φ’’を算出する。ロール角算出部72は、ジャイロセンサ41により検出されるロールレートφ’に基づいてロール角φを算出する。ロール角φは、地面に対する自動二輪車100の傾きの角度である(後述の
図7参照)。
【0043】
Ay算出部73は、加速度センサ42により検出される横加速度A
sy、ジャイロセンサ41により検出されるヨーレートrおよびロールレートφ’、角加速度算出部71により算出されるヨー角加速度r’およびロール角加速度φ’’、ロール角算出部72により算出されるロール角φ、ならびに記憶部70aに記憶される諸元情報に基づいて、地面位置横加速度Ayを算出する。地面位置横加速度Ayの詳細については後述する。
【0044】
車両横力算出部74は、角加速度算出部71により算出されるロール角加速度φ’’、ロール角算出部72により算出されるロール角φ、Ay算出部73により算出される地面位置横加速度Ay、および記憶部70aに記憶される諸元情報に基づいて、前輪14の横力と後輪82の横力との合力である車両横力F
totalを算出する。
【0045】
前輪14の横力は、地面から前輪14に加わる力であって、前輪前後方向Dxf(
図1)に対して垂直でかつ地面に平行な方向に働く力である。後輪82の横力は、地面から後輪82に加わる力であって、後輪前後方向Dxr(
図1)に対して垂直でかつ地面に平行な方向に働く力である。車両横力F
totalの詳細については後述する。
【0046】
垂直荷重算出部75は、加速度センサ42により検出される縦加速度A
sxおよび記憶部70aに記憶される諸元情報に基づいて、前輪14から地面に加わる垂直荷重Nfおよび後輪82から地面に加わる垂直荷重Nrをそれぞれ算出する。
【0047】
各輪横力算出部76は、角加速度算出部71により算出されたヨー角加速度r’およびロール角加速度φ’’、車両横力算出部74により算出された車両横力F
total、垂直荷重算出部75により算出された垂直荷重Nf,Nr、ならびに記憶部70aに記憶される諸元情報に基づいて、前輪14の横力および後輪82の横力をそれぞれ算出する。
【0048】
(3)地面位置横加速度
図4および
図5は、地面位置横加速度Ayについて説明するための外観斜視図および正面図である。以下の説明において、車両前後方向Dxに対して垂直でかつ地面に平行な方向を地面横方向Dygと呼ぶ。
図4に示すように、ロール角φが0°である場合、地面横方向Dygは車両横方向Dyと一致する。一方、
図5に示すように、ロール角φが0°でない場合、地面横方向Dygは車両横方向Dyと一致しない。
【0049】
図4および
図5において、自動二輪車100の重心Gを通り、かつ車両上下方向Dzに平行な直線PLが、交差位置CPで地面と交差する。その交差位置CPにおける地面横方向Dygの加速度が地面位置横加速度Ayである。
【0050】
加速度センサ42により検出される横加速度A
syは、加速度センサ42の位置における横加速度であり、地面位置横加速度Ayとは異なる。加速度センサ42の位置と交差位置CPとの位置関係は一定である。その位置関係は、
図3の記憶部70aに諸元情報として予め記憶される。
図3のAy算出部73は、記憶部70aに記憶された位置関係に基づいて、横加速度A
syを地面位置横加速度Ayに変換する。具体的には、横加速度A
sy、加速度センサ42の位置と交差位置CPとの位置関係、ロール角φ、ヨーレートr、ロールレートφ’、ヨー角加速度r’、およびロール角加速度φ’’に基づいて、地面位置横加速度Ayが算出される。
【0051】
(4)車両横力
図6は、車両横力F
totalについて説明するための模式的平面図である。車両横力F
totalは、地面横方向Dygに働く前輪14および後輪82の横力の成分の合計である。
図6において、前輪14の横力はFyfであり、後輪82の横力はFyrであり、操舵角は0°である。この場合、下式(1)で表されるように、車両横力F
totalは、前輪14の横力Fyfと後輪82の横力Fyrとの和である。
【0052】
F
total=Fyf+Fyr ・・・(1)
図7は、重心Gおよび交差位置CPに働く力について説明するための模式的正面図である。
図7において、自動二輪車100のロール角はφであり、ロール角加速度はφ’’である。ロール角φは、車両上下方向Dzと地面に垂直な方向Dzzとがなす角度に相当する。重心Gと交差位置CP(
図4および
図5参照)との距離はhである。距離hは、諸元情報として
図3の記憶部70aに予め記憶される。
【0053】
重心Gにおいて車両横方向Dyに働くロールモーメントは、m・h・φ’’で表される。mは、自動二輪車100の質量であり、諸元情報として
図3の記憶部70aに予め記憶される。重心Gに働く地面横方向Dygの力は、m・h・φ’’/cosφで表される。また、交差位置CPに働く地面横方向Dygの力は、m・Ayで表される。地面横方向Dygに働く力の関係として、下式(2)が成立する。
【0054】
F
total=m・Ay+m・h・φ”/cosφ ・・・(2)
図3の車両横力算出部74は、式(2)に基づいて車両横力F
totalを算出する。
【0055】
(5)各輪に働く力
前輪14に働く地面横方向Dygの力と後輪82に働く地面横方向Dygの力との差により、自動二輪車100にヨーモーメントが働く。
図8は、自動二輪車100に働くヨーモーメントについて説明するための図である。
図8の例では、操舵角は0°である。
図8に示すように、地面に垂直な軸Azを中心に自動二輪車100にヨーモーメントが働く。ヨーモーメントと、前輪14および後輪82に働く力との関係は、下式(3)で表される。
【0056】
Iz・r’=p1・Fyf−p2・Fyr ・・・(3)
式(3)において、Izは、自動二輪車100のイナーシャであり、諸元情報として
図3の記憶部70aに予め記憶される。ヨーモーメントは、Iz・r’で表される。
【0057】
p1は、軸Azと前輪14の回転軸14aとの間における車両前後方向Dxの距離であり、p2は、軸Azと後輪82の回転軸82aとの間における車両前後方向Dxの距離である。距離p1,p2の和は、前輪14の回転軸と後輪82の回転軸との距離(ホイールベース)ptに一致する。軸Azの位置は、自動二輪車100の加減速によって変化する。
【0058】
距離p1,p2は、前輪14および後輪82の垂直荷重から求められる。
図9および
図10は、前輪14および後輪82の垂直荷重について説明するための図である。
図9は、自動二輪車100が停止している場合の前輪14および後輪82の垂直荷重を表す。
図10は、自動二輪車100が走行している場合の前輪14および後輪82の垂直荷重を表す。
【0059】
図9に示すように、自動二輪車100が停止している場合、前輪14から地面に垂直荷重Nf
0が加わり、後輪82から地面に垂直荷重Nr
0が加わる。垂直荷重Nf
0は、下式(4)で表され、垂直荷重Nr
0は、下式(5)で表される。
【0060】
Nf
0=m・g・p0/pt ・・・(4)
Nr
0=m・g・(pt−p0)/pt ・・・(5)
式(4)および式(5)において、gは重力加速度であり、p0は重心Gと前輪14の回転軸14aとの間の距離であり、ptはホイールベースである。ホイールベースptおよび垂直荷重Nf
0,Nr
0は、諸元情報として
図3の記憶部70aに予め記憶される。
【0061】
図10に示すように、自動二輪車100が走行している場合、前輪14から地面に垂直荷重Nfが加わり、後輪82から地面に垂直荷重Nrが加わる。垂直荷重Nfは、下式(6)で表され、垂直荷重Nrは、下式(7)で表される。
【0062】
Nf=Nf
0−F・h/pt ・・・(6)
Nr=Nr
0+F・h/pt ・・・(7)
式(6)および式(7)において、Fは、自動二輪車100に働く車両前後方向Dxの力である。力Fは、駆動力および制動力を含む。
図3の垂直荷重算出部75は、加速度センサ42により検出される縦加速度A
sxに基づいて力Fを算出し、式(6)および式(7)に基づいて垂直荷重Nf,Nrを算出する。
【0063】
なお、縦加速度A
sxに基づいて力Fが算出される代わりに、
図1の前輪速度センサ44、後輪速度センサ46、または図示しないブレーキセンサによる検出結果に基づいて力Fが算出されてもよい。
【0064】
上式(3)の係数p1は、下式(8)で表され、係数p2は、下式(9)で表される。式(8)および式(9)により上式(3)の係数p1,p2が求められる。
【0065】
p1=pt・Nr/(Nf+Nr) ・・・(8)
p2=pt−p1 ・・・(9)
また、上式(1)および上式(3)により、下式(10)および下式(11)が成立する。
【0067】
図3の各輪横力算出部76は、式(10)および式(11)に基づいて、前輪14の横力Fyfおよび後輪82の横力Fyrを算出する。
【0068】
(6)横力推定処理
制御部70のCPUは、ROMに記憶された制御プログラムに基づいて、横力推定処理を行う。以下、
図3の各機能部による横力推定処理について説明する。
図11は、横力推定処理のフローチャートである。
図11の横力推定処理は、自動二輪車100の走行時に一定の周期で繰り返し行われる。
【0069】
図11に示すように、まず、角加速度算出部71が、ジャイロセンサ41により検出されるヨーレートrおよびロールレートφ’に基づいて、ヨー角加速度r’およびロール角加速度φ’’を算出する(ステップS1)。また、ロール角算出部72が、ジャイロセンサ41により検出されるロールレートφ’に基づいて、ロール角φを算出する(ステップS2)。
【0070】
次に、Ay算出部73が、加速度センサ42により検出される横加速度A
sy、ジャイロセンサ41により検出されるヨーレートrおよびロールレートφ’、角加速度算出部71により算出されるヨー角加速度r’およびロール角加速度φ’’、ロール角算出部72により算出されるロール角φ、ならびに記憶部70aに記憶される諸元情報に基づいて、地面位置横加速度Ayを算出する(ステップS3)。
【0071】
次に、車両横力算出部74が、角加速度算出部71により算出されるロール角加速度φ’’、 ロール角算出部72により算出されるロール角φ、Ay算出部73により算出される地面位置横加速度Ay、および記憶部70aに記憶される諸元情報に基づいて、車両横力F
totalを算出する(ステップS4)。
【0072】
次に、垂直荷重算出部75が、加速度センサ42により検出される縦加速度A
sx、および記憶部70aに記憶される諸元情報に基づいて、前輪14および後輪82の垂直荷重Nf,Nrを算出する(ステップS5)。
【0073】
次に、各輪横力算出部76が、角加速度算出部71により算出されたヨー角加速度r’およびロール角加速度φ’’、車両横力算出部74により算出された車両横力F
total、垂直荷重算出部75により算出された垂直荷重Nf,Nr、ならびに記憶部70aに記憶される諸元情報に基づいて、前輪14および後輪82の横力Fyf,Fyrをそれぞれ算出する(ステップS6)。これにより、横力推定処理が終了する。
【0074】
制御部70のCPUは、横力推定処理により得られた車両横力F
totalまたは前輪14および後輪82の横力Fyf,Fyrに基づいて、
図2の液圧制御ユニット30を制御する。これにより、前輪14および後輪82の制動力が調整される。
【0075】
例えば、前輪14および後輪82の横力Fyf,Fyrが大きいほど、前輪14および後輪82がスリップしやすくなる。この場合、ホイールシリンダWC1,WC2に与えられる油圧(以下、ブレーキ油圧と呼ぶ)を一定範囲内で周期的に上昇および低下させることにより、前輪14および後輪82のグリップを徐々に高めることができ、前輪14および後輪82のスリップを防止することができる。
【0076】
そこで、横力推定処理により得られた車両横力F
totalまたは横力Fyf,Fyrに基づいて、ブレーキ油圧が周期的に上昇および低下するように、液圧制御ユニット30が制御されてもよい。また、横力推定処理により得られた車両横力F
totalまたは横力Fyf,Fyrによってブレーキ油圧の変化の範囲または速度が異なるように、液圧制御ユニット30が制御されてもよい。この場合、前輪14および後輪82のグリップをより効率よく高めることが可能となる。
【0077】
液圧制御ユニット30の制御に車両横力F
totalを用いることにより、制御部70の処理負荷の低減が可能となり、前輪14および後輪82の横力の変化に対して迅速に制動力を調整することが可能となる。一方、液圧制御ユニット30の制御に横力Fyf,Fyrを用いることにより、前輪14および後輪82の各々の制動力を個別に調整することができる。また、車両横力F
totalおよび横力Fyf,Fyrの両方を用いて液圧制御ユニット30の制御が行われてもよい。この場合、より効果的に制動力を調整することができる。
【0078】
(7)効果
上記実施の形態に係る横力推定システムにおいては、加速度センサ42により検出される横加速度A
sy、ジャイロセンサ41により検出されるヨーレートrおよびロールレートφ’、角加速度算出部71により算出されるヨー角加速度r’およびロール角加速度φ’’、ロール角算出部72により算出されるロール角φ、ならびに記憶部70aに記憶される諸元情報に基づいて、地面位置横加速度Ayが算出される。さらに、角加速度算出部71により算出されるロール角加速度φ’’、 ロール角算出部72により算出されるロール角φ、Ay算出部73により算出される地面位置横加速度Ay、および記憶部70aに記憶される諸元情報に基づいて、車両横力F
totalが算出される。
【0079】
地面位置横加速度Ayは、タイヤの空気圧およびゴム特性等の前輪14および後輪82の特性に影響されず、乗員の姿勢にも影響されない。また、地面位置横加速度Ayは、ヨー角加速度r’およびロール角加速度φ’’等の自動二輪車100の動的な条件に基づく。その地面位置横加速度Ayを用いて車両横力F
totalが算出されるので、前輪14および後輪82の特性、乗員の姿勢、ならびに自動二輪車100の動的な条件に拘わらず、精度良く車両横力F
totalを推定することができる。推定された車両横力F
totalに基づいて、自動二輪車100の走行制御を適切に行うことができる。また、特殊または高価なセンサ等を用いることがないので、構成の複雑化およびコストの増加が抑制される。
【0080】
また、角加速度算出部71により算出されたヨー角加速度r’およびロール角加速度φ’’、車両横力算出部74により算出された車両横力F
total、ならびに垂直荷重算出部75により算出された垂直荷重Nf,Nrに基づいて、前輪14および後輪82の横力Fyf,Fyrがそれぞれ算出される。これにより、簡単な構成で精度良く前輪14および後輪82の横力Fyf,Fyrを推定することができる。また、推定された前輪14および後輪82の横力Fyf,Fyrに基づいて、自動二輪車100の走行制御を適切に行うことができる。
【0081】
(8)操舵角による補正
図1の操舵角センサ45により検出される操舵角に基づいて、車両横力F
totalおよび横力Fyf,Fyrが補正されてもよい。以下、操舵角に基づく車両横力F
totalおよび横力Fyf,Fyrの補正について説明する。
【0082】
図12は、操舵角に基づく車両横力F
totalの補正について説明するための図である。
図12において、自動二輪車100の操舵角はδである。操舵角δは、前輪前後方向Dxfと車両前後方向Dxとがなす角に相当する。上記のように、車両横力F
totalは、地面横方向Dygに働く前輪14および後輪82の横力の成分の合計である。そのため、
図12の例において、車両横力F
totalは下式(12)で表される。
【0083】
F
total=Fyf・cosδ+Fyr ・・・(12)
また、前輪14および後輪82には、上記の横力Fyf,Fyrに加えて、前輪前後方向Dxfおよび後輪前後方向Dxrの力(縦力)Fxf,Fxrがそれぞれ働く。後輪82の縦力Fxrは、地面横方向Dygと垂直な方向に働くので、地面横方向Dygの成分を含まない。一方、前輪14の縦力Fxfは、操舵角δに依存する地面横方向Dygの成分を含む。縦力Fxfの地面横方向Dygの成分は、Fxf・sinδで表される。そのため、地面横方向Dygに働く力の関係として、下式(13)が成立する。下式(13)において、Fxfは負の値である。
【0084】
F
total+Fxf・sinδ=m・Ay+m・h・φ”/cosφ ・・・(13)
図3の車両横力算出部74は、上式(2)の代わりに、式(13)に基づいて、車両横力F
totalを算出する。
【0085】
また、自動二輪車100に働くヨーモーメントと、前輪14および後輪82に働く力との関係は、下式(14)で表される。
【0086】
Iz・r’=p1・Fyf・cosδ−p2・Fyr+p1・Fxf・sinδ ・・・(14)
式(13)および式(14)から、下式(15)および下式(16)が成立する。
【0088】
図3の各輪横力算出部76は、式(15)および式(16)に基づいて、前輪14および後輪82の横力Fyf,Fyrを算出する。
【0089】
このように、操舵角センサ45により検出される操舵角δに基づいて車両横力F
totalおよび横力Fyf,Fyrが算出されることにより、より精度の高い車両横力F
totalおよび横力Fyf,Fyrが得られる。特に、操舵輪である前輪14に制動力または駆動力が働く状態で自動二輪車100が旋回する場合に、算出される車両横力F
totalおよび横力Fyf,Fyrの精度が向上される。
【0090】
(9)横力推定処理の他の例
図13および
図14は、横力推定処理の他の例のフローチャートである。
図13および
図14の例について、
図11の例と異なる点を説明する。
【0091】
図13の例では、ロール角算出部72が、ステップS2でロール角を算出した後、算出されたロール角が規定範囲内であるか否かを判定する(ステップS2a)。規定範囲は、例えば−30°以上30°以下である。算出されたロール角が規定範囲内である場合、
図11の例と同様にステップS3〜S6の処理が行われる。算出されたロール角が規定範囲内にない場合、車両横力算出部74は、車両横力F
totalを0に設定する(ステップS7)。また、各輪横力算出部76は、前輪14および後輪82の横力Fyf,Fyrを0に設定する(ステップS8)。これにより、横力推定処理が終了する。
【0092】
自動二輪車100が通常の走行を行っている場合には、ロール角が規定範囲内になる。一方、自動二輪車100が転倒すると、ロール角が規定範囲外になる。転倒時における実際のロール角に基づいて車両横力F
totalおよび横力Fyf,Fyrが算出されると、車両横力F
totalおよび横力Fyf,Fyrが極めて大きくなる。その車両横力F
totalおよび横力Fyf,Fyrに基づいて液圧制御ユニット30が制御されると、前輪14および後輪82の制動力が大きく変動する。しかしながら、転倒時に制動力を調整する必要性は低い。
【0093】
そこで、
図13の例では、自動二輪車100の転倒時に、車両横力F
totalおよび横力Fyf,Fyrが0に設定される。これにより、自動二輪車100の転倒時における不必要な制動力の調整が防止される。
【0094】
図14の例では、ロール角算出部72が、ステップS2でロール角を算出した後、
図13の例と同様に、算出されたロール角が規定範囲内であるか否かを判定する(ステップS2a)。算出されたロール角が規定範囲内である場合、
図11の例と同様にステップS3〜S6の処理が行われる。算出されたロール角が規定範囲内にない場合、車両横力算出部74は、車両横力F
totalを前の周期で算出された値に維持する(ステップS9)。また、各輪横力算出部76は、前輪14および後輪82の横力Fyf,Fyrを
前の周期で算出された値に維持する(ステップS10)。これにより、横力推定処理が終了する。
【0095】
図14の例では、自動二輪車100の転倒時に、車両横力F
totalおよび横力Fyf,Fyrが前の周期で算出された値に維持される。前の周期で算出された値とは、ロール角が規定範囲外になる直前の値である。この場合も、
図13の例と同様に、自動二輪車100の転倒時における不必要な制動力の調整が防止される。
【0096】
(10)他の実施の形態
(10−1)
上記実施の形態では、自動二輪車100の質量m、重心Gの位置およびイナーシャIrを用いて、車両横力F
totalならびに前輪14および後輪82の横力Fyf,Fyrが算出されるが、本発明はこれに限らない。自動二輪車100、乗員および積載物を含む全体の質量、重心位置およびイナーシャを用いて、車両横力F
totalならびに前輪14および後輪82の横力Fyf,Fyrが算出されてもよい。
【0097】
この場合、平均的な乗員および積載物を想定して全体の質量、重心位置およびイナーシャが予め定められ、それらが諸元情報として予め記憶部70aに記憶されてもよい。あるいは、乗員および積載物に関する情報を外部から入力可能であり、予め記憶された自動二輪車100に関する情報と、入力された乗員および積載物に関する情報とに基づいて、全体の質量、重心位置およびイナーシャが算出されてもよい。
【0098】
(10−2)
上記実施の形態では、車両横力F
totalまたは横力Fyf,Fyrに基づいて、液圧制御ユニット30からホイールシリンダWC1,WC2に与えられる油圧が調整されるが、本発明はこれに限らない。車両横力F
totalまたは横力Fyf,Fyrに基づいて、自動二輪車100の他の走行制御が行われてよい。例えば、エンジン17での点火タイミングが調整されることにより、発生される駆動力が調整されてもよい。
【0099】
(10−3)
上記実施の形態では、車両横力F
totalに基づいて前輪14および後輪82の横力Fyf,Fyrが算出されるが、本発明はこれに限らない。車両横力F
totalのみを用いて自動二輪車100の走行制御が行われる場合には、横力Fyf,Fyrが算出されなくてもよい。
【0100】
(10−4)
上記実施の形態は、本発明を自動二輪車に適用した例であるが、これに限らず、自動三輪車もしくはATV(All Terrain Vehicle;不整地走行車両)等の他の鞍乗り型車両、または他の車両に本発明を適用してもよい。
【0101】
(10−5)
上記実施の形態は、原動機としてエンジンを備える車両に本発明を適用した例であるが、これに限らず、原動機としてモータを備える電動車両に本発明を適用してもよい。
【0102】
(11)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0103】
上記実施の形態においては、加速度センサ42が横加速度検出部の例であり、角加速度算出部71がロール角加速度検出部およびヨー角加速度検出部の例であり、ロール角算出部72がロール角検出部の例であり、記憶部70aが記憶部の例であり、Ay算出部73が地面位置横加速度算出部の例であり、車両横力算出部74が車両横力算出部の例である。
【0104】
また、操舵角センサ45が操舵角検出部の例であり、垂直荷重算出部75が荷重算出部の例であり、各輪横力算出部76が横力算出部の例であり、本体フレーム11が本体部の例であり、エンジン17が原動機の例であり、自動二輪車100が車両の例である。
【0105】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。