特許第6068034号(P6068034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6068034
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】液体送出システム
(51)【国際特許分類】
   B67D 99/00 20100101AFI20170116BHJP
   B01J 4/00 20060101ALI20170116BHJP
   B01D 53/38 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   B67D99/00ZAB
   B01J4/00 103
   B01D53/38 110
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-167873(P2012-167873)
(22)【出願日】2012年7月30日
(65)【公開番号】特開2014-24586(P2014-24586A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】512198800
【氏名又は名称】武田 純直
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(74)【代理人】
【識別番号】100069578
【弁理士】
【氏名又は名称】藤川 忠司
(72)【発明者】
【氏名】武田 純直
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−199675(JP,U)
【文献】 特開2000−9734(JP,A)
【文献】 特開昭59−115289(JP,A)
【文献】 実開昭61−106327(JP,U)
【文献】 実開昭51−63210(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 99/00
B01D 53/38
B01D 53/81
B01J 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要の液体が充填される第1タンク内の液体を、その液体中に挿入されるサクション管とこれに接続される送液ホースとポンプとによって、第2タンクへ送出するようにした液体送出システムにおいて、
サクション管は、第1タンクの上端口部に気密状態で装着した蓋部材を貫通するように設けると共に、このサクション管の上端部側には、蓋部材を気密パッキンを介して貫通して下端部が第1タンク内の空隙相に連通し且つ上端部が閉塞された外套管を同心状に套嵌し、サクション管の上端部を送液ホースに接続し、蓋部材の上方に突出した外套管の上部側を、先端部が外気に通じる通気ホースに連通連結してなり、
通気ホースの先端部には、虫、塵等の異物の入り込みを防ぐと共に悪臭ガス及び有害ガスを吸収するフィルター装置を設けてなる液体送出システム。
【請求項2】
フィルター装置は、大気開放構造となっている請求項に記載の液体送出システム。
【請求項3】
フィルター装置は、シール液によって外気と遮断された構造となっている請求項に記載の液体送出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体薬品や液体食品等を充填した一つのタンク内の液体を、サクション管、及びこれに接続されて途中にポンプを介在させた送液ホースによって、例えば計量タンクのような他のタンクへ送出するようにした液体送出システムに関するもので、特に、液体を充填したタンク内の空隙相に溜まった悪臭ガス等を外部に拡散させずに気密状態で他のタンクへ送出し、それにより作業環境を改善するようにした液体送出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の液体送出システムとしては、例えば 下記特許文献1に記載のようなものがある。これは、液体薬品を貯留した一つのタンクの上方よりタンク上壁部を気密状態で貫通するサクション管を設けて、このサクション管の下端部をタンク内の底部近くまで延ばし、サクション管の上端部を、ポンプを介在させた通気ホースによって他のタンクに接続する一方、前記一つのタンク内の空隙相からガスを吸引する吸引手段を設けたもので、液体薬品に起因して悪臭ガス等が発生するような場合に、そのガスがタンクの外部に拡散することを防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−239532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の液体送出システムによると、タンク内の空隙相に溜まった悪臭ガス等を吸引手段によって吸引するから、そのガスがタンク外部へ拡散せず、作業環境の悪化を防止することができるが、タンク内の空隙相からの気体をポンプで吸引して、タンク内の空隙相が負圧になるようにしていることから、タンクが変形する恐れがあり、タンクとして、例えば肉厚の比較的薄いポリタンクのようなものを使用できないと云った問題がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑み、タンク内の圧力を負圧にさせることなく、そのタンク内の空隙相に溜まった悪臭ガス等をタンク外部へ拡散させないように気密状態で他のタンクへ送出することができ、それにより作業環境を改善し得る液体送出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明は、所要の液体Lが充填される第1タンク1内の液体Lを、その液体L中に挿入されるサクション管3とこれに接続される送液ホース5とポンプ4とによって、第2タンク2へ送出するようにした液体送出システムにおいて、
サクション管3は、第1タンク1の上端口部に気密状態で装着した蓋部材7を貫通するように設けると共に、このサクション管3の上端部側には、蓋部材7を気密パッキン11を介して貫通して下端部が第1タンク1内の空隙相10に連通し且つ上端部が閉塞された外套管8を同心状に套嵌し、サクション管3の上端部を送液ホース5に接続し、蓋部材7の上方に突出した外套管8の上部側を、先端部が外気に通じる通気ホース9に連通連結してなり、
通気ホース9の先端部には、虫、塵等の異物の入り込みを防ぐと共に悪臭ガス及び有害ガスを吸収するフィルター装置23A,23Bを設けてなることを特徴とする。なお、このフィルター装置は、屋内及び屋外など設置箇所を適宜選択することができる。
【0008】
請求項は、請求項に記載の液体送出システムにおいて、フィルター装置23Aは、大気開放構造となっている。
【0009】
請求項は、請求項に記載の液体送出システムにおいて、フィルター装置23Bは、シール液によって外気と遮断された構造となっている。
【発明の効果】
【0010】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の液体送出システムによれば、ポンプ4の運転時に、第1タンク1内の液体Lを第2タンクへ送出する時、第1タンク1内の空隙相10が負圧になるが、通気ホース9の先端部が外気に通じているため、その負圧を補おうとして、外気が空隙相10内に供給され、それにより空隙相10が負圧となるのを阻止でき、第1タンク1として、肉厚の比較的薄いポリタンク等の使用が可能となる。
【0011】
さらに本発明によれば、通気ホース9の先端部に、虫、塵等の異物の入り込みを防ぐと共に悪臭ガス及び有害ガスを吸収できるフィルター装置23A,23Bを設けた場合には、第1タンク1内の液体Lに虫、塵等の異物が入り込むことがないため、当該液体Lが汚染されることがなく、高品質を維持することができる。それゆえ、第1タンク1内の液体Lを清浄に保ったまま、第2タンク2へ送出することができる。
【0012】
請求項に係る発明のように、大気開放構造のフィルター装置23Aを用いた場合は、ポンプ4の運転時には第1タンク1内の空隙相10が負圧になるのを阻止でき、ポンプ4の停止時には第1タンク1内の空隙相10の圧力上昇を防ぐことができる。
【0013】
請求項に係る発明のように、シール液Sによって外気と遮断された構造のフィルター装置23Bを使用した場合も、ポンプ4の運転時に第1タンク1内の空隙相10が負圧になるのを阻止でき、ポンプ4の停止時に第1タンク1内の空隙相10の圧力上昇を防ぐことができ、そして、特にこのフィルター装置23Bを使用すれば、気体の拡散による混ざり合いを回避することができる。例えば第1タンク1内の液体Lがアミンである場合に、外気の拡散により空気中の二酸化炭素がフィルター装置を介して通気ホース9から第1タンク1内の空隙相10に供給されると、アミンが二酸化炭素と結合して炭酸アミンの結晶となり、ホースや配管に詰まりを生じるなどの弊害となるが、シール液Sにより外気と遮断することによって、そのような弊害を緩和できる。


【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る液体送出システムを示す全体説明図である。
図2図1の矢印Xで示す部分の拡大断面図である。
図3】フィルター装置の一例を示す断面図である。
図4】フィルター装置の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1に示す液体送出システムは、所要の液体を充填して建物の外壁W内、即ち屋内に配置された第1タンク1内の液体を、サクション管3(図2参照)と、このサクション管3に接続される送液ホース5と、途中にポンプ4を介在させた送液ホース5によって、同じ屋内に配置された計量タンク等の第2タンク2へ送出するようにしたものである。
【0016】
図2に示すように、第1タンク1の上端部にある口部6には蓋部材7が気密状態で装着され、この蓋部材7は、内周面に雌ねじ12aが切ってある周壁部12と、これの上端からを内向き直角に突設されたフランジ状押え板部13とからなるもので、周壁部12の雌ねじ12aを口部6の外周面に切ってある雄ねじ6aに螺合して締め付けることにより、押え板部13が下動して口部6の上端面に近づくようになっている。
【0017】
サクション管3は、第1タンク1の上端口部に装着された蓋部材7を貫通して、その下端部が第1タンク1内の底部近く迄挿入されるように設けられる。このサクション管3の上端部側には、サクション管3を囲繞するように蓋部材7の中央開口部7oを貫通して、下端部が第1タンク1内の空隙相10に連通し且つ上端部が気密状態に閉塞された外套管8が同心状に套嵌されている。この外套管8は、蓋部材7の中央開口部7oを貫通する下部外套管8aと、下端部が下部外套管8aの上端部に気密状態に連結され且つ上端部が閉塞された上部外套管8bとからなるもので、下部外套管8aの下端部が第1タンク1内の空隙相10に連通しており、上部外套管8bは、先端部が屋外で外気に通じる通気ホース9にホースジョイント22を介して連通連結している。
【0018】
外套管8の下部外套管8aには、円板状のパッキン押え14が同心状に固着され、このパッキン押え14の下面側には円板状の気密パッキン11が下部外套管8aに挿通された状態で取外し可能に配置され、また下部外套管8aの下部側には、円板状の気密パッキン11を支持する円板状のパッキン支持板15が、その中央部の雌ねじ16と下部外套管8aの下端部の雄ねじ17との螺合によって上下動自在に取り付けられている。しかして、図2に示すように、気密パッキン11を口部6の上端面に載置させてこれを支持するようにパッキン支持板15を高さ調整すれば、外套管8と一体を成すパッキン押え14が口部6の上端面に載置された気密パッキン11の外周縁部を押さえた状態となり、この状態で蓋部材7を締付方向に回転させることにより、蓋部材7の押え板部13がパッキン押え14を介して気密パッキン11を口部6の上端面に押さえ付けて、口部6を密閉状態に保持すると共に、パッキン押え14を介して外套管8を口部6の中心部に固定する。
【0019】
また図2に示すように、上部外套管8bには、この上部外套管8bの上端部を閉塞する閉塞部材18を内挿した特殊ニップル19を介してエルボ20の一端部が連結され、エルボ20の他端部は、ホースジョイント21を介して送液ホース5に連結されており、しかしてサクション管3の上端部は、特殊ニップル19、エルボ20及びホースジョイント21を通って送液ホース5に連通している。また上部外套管8bは、図2に示すように通気ホース9に連通連結しており、この通気ホース9は、図1に示すように建物の外壁Wを貫通して建物の外へ延びている。通気ホース9の先端部には、塵や虫の入り込みを防ぐと共に悪臭ガス及び有害ガスを吸収するフィルター装置23A(又は23B)が設けられている。
【0020】
図3は通気ホース9の先端部に設けられる吸気フィルター装置23Aを示す。この図3において、24は上端が開口した有底円筒状のケーシング、25はケーシング24の上端開口部を閉鎖する上蓋で、その内周部に設けた雌ねじ25aをケーシング24の上端外周部に設けた雄ねじ24aに螺合させることによって取外し自在に取り付けられる。26はケーシング24内の上部に嵌め込まれた筒状保持具、27は外気に通じている吸気孔で、筒状保持具26の側壁からケーシング24の側壁を貫通して外方へ下向きに延びている。この吸気孔27が下向きに設けあるため、ポンプ4の運転時、新鮮な空気を取り入れる時に雨の混入を防止できる。28はステンレス製の金網で、筒状保持具26内の底部近くに張り渡されている。29は筒状保持具26の下面沿いに設けられた多孔状の整流板で、吸気孔27より吸引した空気の流れが均一になるように整流することができる。30は整流板29と同様な整流板で、ケーシング24の底部近くに張り渡されている。31は上部側整流板29と下部側整流板30との間の空間部の上部側に設けられたフィルターで、塵やホコリを除去することができる。32は前記空間部の下部側に設けられたフィルターで、悪臭ガスや有害ガスを吸収することができる。33は下部側の整流板30を保持する筒状保持具である。また34は筒状保持具33の側壁からケーシング24の側壁を貫通して外向きに開口する排気口で、この排気口34の外端部にホースジョイント35を介して通気ホース9の先端部が接続されている。
【0021】
上述した図1図3に示すような液体送出システムの作用につき以下に説明する。尚、第1タンク1に充填されている液体Lは、粘度が低くポンプで移送可能な液体を対象としており、水・薬品類・油脂類・食品類などを対象としている。油脂類としては、例えば、灯油・シンナー・軽油・A重油・塗料なのであり、食品類としては、例えば、醤油・油脂類(ラー油、菜種油、オリーブ油等)・ソース、アルコール類・お酢類などを対象としている。
【0022】
先ず、ポンプ4を運転すると、サクション管3によって第1タンク1内の液体Lが吸引され、この液体Lは、サクション管3から送液ホース5によって第2タンク2へ送出される。ポンプ4の運転時には、第1タンク1内の液体Lが送出されるに伴って、第1タンク1内の空隙相10が負圧になるが、通気ホース9の先端部が吸気フィルター装置23Aを介して外気に通じているため、その負圧を補おうとして、外気が空隙相10内に供給される。
【0023】
即ち、ポンプ4の運転時は、第1タンク1内の液体Lは、サクション管3から送液ホース5を通って第2タンクへ送出される一方、第1タンク1内の空隙相10が負圧になることによって、外気が吸気フィルター装置23Aの吸気孔27より吸引され、その外気は、フィルター装置23A内を通ることにより濾過されて、通気ホース9から外套管8(下部外套管8a)の下端部から空隙相10に供給される。この時、吸気フィルター装置23Aの吸気孔27から虫、塵、ホコリ等の異物が吸引されると、その虫や塵等の異物はステンレス製の金網28により捕獲除去され、またその金網28によっては除去され得なかった異物、あるいは外気に悪臭や有害ガスが含まれる場合、それらの異物、悪臭や有害ガスはフィルター31によって吸収され、しかして新鮮な空気が第1タンク1内の空隙相10に供給される。そしてまた、吸気フィルター装置23A内に吸引された空気は、整流板29,30により整流されて、均一な流れとなる。
【0024】
また、ポンプ4の停止時に、第1タンク1内の液体Lが蒸発した場合は、その蒸発したガスによって第1タンク1内の空隙相10の圧力が外気より高くなるため、その蒸発ガスは、外套管8の下端開口よりこの外套管8内を通って通気ホース9より吸気フィルター装置23Aに流入する。この場合、液体Lが揮発性の有害な薬液であれば、蒸発した有害ガスは、吸気フィルター装置23Aのフィルター32により吸収されて、吸気孔27から排気されるから、吸気フィルター装置の周辺を汚染することがない。
【0025】
上記吸気フィルター装置23Aには2つの働きがある。その一つは、上述したように、ポンプ4の運転時、第1タンク1内の液体Lをサクション管3及び送液ホース5によって吸引送出すると、第1タンク1内の空隙相10が負圧になることからそれを補うために空隙相10内に外気(空気)を供給する働きである。もう一つの働きは、ポンプ4の停止時に第1タンク1内の液体Lが蒸発するか、又は、温度が上昇すると、第1タンク1内の空隙相10の圧力が上昇するため、その圧力を逃がして圧力上昇を防ぐ働きである。
【0026】
以上説明したような液体送出システムによれば、ポンプ4の運転時に、第1タンク1内の液体Lを第2タンクへ送出する時、第1タンク1内の空隙相10が負圧になるが、通気ホース9の先端部が外気に通じているため、その負圧を補おうとして、外気が空隙相10内に供給され、それにより空隙相10が負圧となるのを阻止でき、第1タンク1として、肉厚の比較的薄いポリタンク等の使用が可能となる。
【0027】
図4は、通気ホース9の先端部に設けられる湿式微圧シールタイプのフィルター装置23Bを示す。この図4において、36は上端が開口した有底円筒状の下部ケーシングで、シール液(水又は吸収液)Sが貯められる。この下部ケーシング36の側壁下部には、シール液オーバーフロー管38が先端部を下向きにして設けられ、また側壁上部には吸気孔を兼ねたシール液補充孔39が設けられる。37は下部ケーシング36より僅かに径小の有底円筒状上部ケーシングで、底壁中央に開口部41が設けてあり、底壁下面からは円筒状のシール筒40が同心状に垂下連設され、しかしてこの上部ケーシングは、シール筒40を下部ケーシング36内に挿入させた状態で、側壁下端部外周に設けた雄ねじ37aを下部ケーシング36の側壁上端部内周面に設けた雌ねじ36aに螺合させることにより、図示のように下部ケーシング36の上端部に嵌合させた状態に固定される。
【0028】
また図4において、42は上部ケーシング37の上端開口部を閉鎖する上蓋で、その内周部に設けた雌ねじ42aを上部ケーシング37の上端外周部に設けた雄ねじ42aに螺合させることにより取外し自在に取り付けられる。この上蓋42は、エルボ49とホースジョイント50を介して通気ホース9の先端部に接続される。43は上部ケーシング37内の上部側に嵌め込まれた筒状保持具であり、この筒状保持具43内の下部側には虫や塵等を除去するステンレス製の金網44が張り渡され、また筒状保持具43の下面側沿いに整流板45が設けてある。46は上部ケーシング37内の下部側に嵌め込まれた筒状保持具で、この筒状保持具46の上面側沿いに整流板47が設けられ、この下部側整流板47と上部側の整流板45との間には、金網44で除去され得なかった塵等や、悪臭ガス及び有害ガスの成分を除去し、また余分な水滴を取り除くフィルター48が設けてある。
【0029】
上記湿式微圧シール式フィルター装置23Bにも2つの働きがある。その一つは、上述したように、ポンプ4の運転時、第1タンク1内の液体Lをサクション管3及び送液ホース5によって吸引送出すると、第1タンク1内の空隙相10が負圧になることからそれを補うために空隙相10内に空気を供給する働きであり、もう一つの働きは、ポンプ4の停止時に第1タンク1内の液体Lが蒸発するか、又は、温度上昇すると、その第1タンク1内の空隙相10の圧力が上昇するため、その圧力を逃がして圧力上昇を防ぐ働きである。
【0030】
また、この湿式微圧シール式フィルター装置23Bには、シール液オーバーフロー管38が設けられ、シール液Sが一定量以上に溜まらない構造となっているから、ポンプ4の運転時に第1タンク1内の空隙相10が負圧になって吸引されても、シール液Sがシール筒40より上がることがなく、従って上部ケーシング37内のフィルター48を浸水させるおそれがない。
【0031】
また、気体は、通常、拡散によって混ざり合うが、上述した図4に示す湿式微圧シール式フィルター装置23Bは、シール液Sによって外気と遮断され、気体の拡散による混ざり合いが起きない構造になっている。従って、例えば第1タンク1内の液体Lがアミンである場合に、外気の拡散により空気中の二酸化炭素がフィルター装置を介して通気ホース9から第1タンク1内の空隙相10に供給されると、アミンが二酸化炭素と結合して炭酸アミンの結晶となり、ホースや配管に詰まりを生じるなどの弊害となるが、シール液Sによって外気と遮断することによって、そのような弊害を緩和することができる。
【0032】
以上説明した実施形態の液体送出システムでは、通気ホース9の先端部には、虫、塵等の異物の入り込みを防ぐと共に悪臭ガス及び有害ガスを吸収するフィルター装置23A,23Bを設けているが、このようなフィルター装置23A,23Bは、この発明の液体送出システムの必須要件ではなく、必要に応じて設ければよいものである。なお、このフィルター装置23A,23Bは、屋内及び屋外など設置箇所を適宜選択することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 第1タンク
2 第2タンク
3 サクション管
4 ポンプ
5 送液ホース
6 第1タンクの口部
7 蓋部材
8 外套管
9 通気ホース
10 第1タンク内の空隙相
11 気密パッキン
23A フィルター装置
23B フィルター装置


図1
図2
図3
図4