(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般にホワイトソースは、小麦粉をバターやマーガリンなどの油脂で加熱調理してホワイトルーを調製し、これに牛乳などの乳製品を加えてルーを溶きのばしながら加熱することにより製造される。ホワイトソースは各種食品の製造に利用されており、例えば、調味料、具材、香辛料などを加えてクリームコロッケ、グラタン、ドリア、クリームシチュー、パスタソースなどに加工されている。ホワイトソースやホワイトソースを用いて加工された食品は、レトルト殺菌のような高温加熱殺菌処理や、冷凍処理して長期保存を可能にして流通しているが、これらの処理を行うと従来ホワイトソースが持っていたなめらかな食感が損なわれるという問題点があった。
【0003】
ホワイトソースのなめらかさを保つ方法として、各種乳化剤を添加することが行われており、例えば、HLBが7以上であり、構成脂肪酸が炭素数12〜22の1種または2種以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを添加する事を特徴とするホワイトソース(特許文献1)、ホワイトソースを製造するに際し、油脂含量を0.5〜10質量%に調整し、かつジアセチル酒石酸モノステアリン酸モノグリセリドおよび/またはコハク酸モノステアリン酸モノグリセリドを0.05〜1質量%含有することを特徴とする、ホワイトソース類の製造法(特許文献2)、グリセリンコハク酸脂肪酸エステルおよびHLBが7より大きいショ糖脂肪酸エステルを含有することを特徴とするホワイトソース(特許文献3)などが提案されている。
【0004】
しかし、特許文献1の方法では、冷凍保存後のホワイトソースの食感がややざらつく場合があり、特許文献2および3の方法では、ホワイトソースに対する乳化剤の添加量が多いとホワイトソース本来の風味に影響を与える虞がある。また、特許文献2および3の方法によれば、冷凍保存によるホワイトソースの粘度の増大が抑制されるが、これらの方法は、ホワイトソースを製造して冷凍処理する前(製造直後)におけるホワイトソースの粘度低下をもたらす。このため、特許文献2および3の方法では、例えばクリームコロッケ等のように成型性(保型性)を必要とする商品の製造が困難になる場合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
製造直後の粘度低下が少なく、冷凍保存後の食感がなめらかであり、且つ風味が良好なホワイトソースを製造可能なホワイトソース用改良剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の炭素数の脂肪酸から構成されるプロピレングリコール脂肪酸エステルをホワイトソースに添加することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、下記(1)および(2)からなっている。
(1)構成脂肪酸の炭素数が14〜20であるプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有することを特徴とするホワイトソース用改良剤。
(2)(i)構成脂肪酸の炭素数が14〜20であるプロピレングリコール脂肪酸エステルならびに(ii)グリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステル、グリセリンと不飽和脂肪酸のエステル、グリセリンクエン酸不飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルおよびソルビタン不飽和脂肪酸エステルの群から選ばれる1種または2種以上を溶解してなる組成物であることを特徴とするホワイトソース用改良剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明のホワイトソース用改良剤は、風味が良好で冷凍保存後の食感がなめらかなホワイトソースを製造できる。また、本発明のホワイトソース用改良剤を用いてホワイトソースを製造すると、製造直後におけるホワイトソースの粘度低下が少ないため、該ホワイトソースは、成型性(保型性)を必要とする商品の製造に好ましく利用することができる。
また、本発明のホワイトソース用改良剤は、(i)構成脂肪酸の炭素数が14〜20であるプロピレングリコール脂肪酸エステルならびに(ii)グリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステル、グリセリンと不飽和脂肪酸のエステル、グリセリンクエン酸不飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルおよびソルビタン不飽和脂肪酸エステルの群から選ばれる1種または2種以上を溶解してなる組成物という構成を備えることにより、水に対する分散性が付与されるため、牛乳や水などのホワイトソース原料に該改良剤を添加してホワイトソースを製造することが容易に実施可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で言うところのホワイトソースとは、穀粉類や澱粉と油脂とを加熱してルーを調製し、これに乳製品を添加してルーを溶きのばしたものである。
【0010】
穀粉類としては、一般にホワイトソースの原料となり得る穀粉類であれば特に制限はないが、例えば、小麦粉(例えば、強力粉、薄力粉、準強力粉、中力粉等)、大麦粉、ライ麦粉などが挙げられ、好ましくは小麦粉である。これら穀粉類は1種類で用いても良いし、2種類以上を任意に組み合わせて用いても良い。
【0011】
澱粉としては、一般にホワイトソースの原料となり得る澱粉類であれば特に制限はなく、例えば、コーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉または、これらを原料とする加工澱粉などが挙げられる。これら澱粉は1種類で用いても良いし、2種類以上を任意に組み合わせて用いても良い。
【0012】
油脂としては、食用可能な油脂であれば特に制限はなく、例えばオリーブ油、キャノーラ油、米ぬか油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、大豆油、コーン油、なたね油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油、綿実油、やし油および落花生油などの植物油脂、牛脂、豚脂、魚油および乳脂などの動物油脂、これらの動植物油脂を分別処理したもの(例えばパームオレイン、パームステアリンなど)または水素添加処理したもの、さらにこれらの動植物油脂単独または2種類以上を任意に組み合わせてエステル交換処理したものなどが挙げられる。これら油脂は1種類で用いても良いし、2種類以上を任意に組み合わせて用いても良い。
【0013】
乳製品としては、一般にホワイトソースの原料となり得る乳製品であれば特に制限されず、例えば、牛乳、全脂練乳、脱脂練乳、生クリーム、全脂粉乳、脱脂粉乳またはこれらの加工品などが挙げられる。これら乳製品は1種類で用いても良いし、2種類以上を任意に組み合わせて用いても良い。
【0014】
本発明に用いられる構成脂肪酸の炭素数が14〜20であるプロピレングリコール脂肪酸エステルは、プロピレングリコールと炭素数が14〜20である脂肪酸とのエステル化生成物であり、自体公知のエステル化反応等により製造される。該エステルはモノエステルであってもジエステルであってもよいし、あるいはそれらの混合物であってもよい。好ましくはモノエステルであり、混合物であればモノエステルを約90%以上含むものがよい。
【0015】
プロピレングリコール脂肪酸エステルの原料として用いられる脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を基原とする脂肪酸であって炭素数が14〜20のものであれば特に制限はなく、例えば炭素数14〜20の直鎖の飽和脂肪酸(例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸など)または不飽和脂肪酸(例えばパルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸など)が挙げられ、好ましくはオレイン酸、ステアリン酸およびパルミチン酸の群から選ばれる1種または2種以上の脂肪酸の混合物である。
【0016】
構成脂肪酸の炭素数が14〜20であるプロピレングリコール脂肪酸エステルとしては、例えば、プロピレングリコールオレイン酸エステル(製品名:リケマールPO−100V;モノエステル含有量90%以上;構成脂肪酸の炭素数18;理研ビタミン社製)、プロピレングリコールステアリン酸エステル(製品名:リケマールPS−100;モノエステル含有量90%以上;構成脂肪酸の炭素数18;理研ビタミン社製)、プロピレングリコールパルミチン酸エステル(製品名:リケマールPP−100;モノエステル含有量90%以上;構成脂肪酸の炭素数16;理研ビタミン社製)などが商業的に製造および販売されており、本発明ではこれらを用いることができる。
【0017】
本発明のホワイトソース用改良剤は、構成脂肪酸の炭素数が14〜20であるプロピレングリコール脂肪酸エステルをそのまま、あるいは少なくとも構成脂肪酸の炭素数が14〜20であるプロピレングリコール脂肪酸エステルを含有する組成物として調製することができる。
【0018】
そのような組成物の形態に特に制限はないが、例えば(i)構成脂肪酸の炭素数が14〜20であるプロピレングリコール脂肪酸エステルならびに(ii)グリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステル、グリセリンと不飽和脂肪酸のエステル、グリセリンクエン酸不飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルおよびソルビタン不飽和脂肪酸エステルの群から選ばれる1種または2種以上を溶解してなる組成物である製剤(以下、「自己乳化型製剤」という)とすることができる。溶解方法としては、例えば、上記成分(i)および(ii)を混合し、約60〜90℃に加熱して溶解することができる。
【0019】
上記(ii)のグリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステルは、グリセリンとジアセチル酒石酸と不飽和脂肪酸とのエステル化生成物であり、通常、グリセリン不飽和脂肪酸エステルとジアセチル無水酒石酸とを公知の方法(例えばエステル化反応等)により反応して得られる。グリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステルを構成する不飽和脂肪酸は食用可能な動植物油脂を起源とする不飽和脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖の不飽和脂肪酸、好ましくは炭素数8〜18の直鎖の不飽和脂肪酸、より好ましくは炭素数18の直鎖の不飽和脂肪酸が挙げられる。具体的には、例えばオレイン酸、リノール酸およびリノレン酸等の群から選ばれる1種または2種以上の不飽和脂肪酸が挙げられ、好ましくはオレイン酸を約50質量%以上、より好ましくは約70質量%以上含有する不飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸混合物が挙げられる。
【0020】
上記(ii)のポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステルは、ソルビトールまたはソルビタンと不飽和脂肪酸との部分エステルであるソルビタンモノ不飽和脂肪酸エステルに、エチレンオキシドを付加させた非イオン性界面活性剤である。ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステルを構成する不飽和脂肪酸としては、例えば炭素数6〜24の直鎖の不飽和脂肪酸、好ましくは炭素数8〜18の直鎖の不飽和脂肪酸、より好ましくは炭素数18の直鎖の不飽和脂肪酸が挙げられる。具体的には、例えばオレイン酸、リノール酸およびリノレン酸等の群から選ばれる1種または2種以上の不飽和脂肪酸が挙げられ、好ましくはオレイン酸を約50質量%以上、より好ましくは約70質量%以上含有する不飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸混合物が挙げられる。
【0021】
上記(ii)のグリセリンと不飽和脂肪酸のエステルは、グリセリンと不飽和脂肪酸とのエステル化反応生成物またはグリセリンと油脂(トリグリセライド)とのエステル交換反応生成物から未反応のグリセリンを可及的に除去したものであって、モノグリセライド(グリセリンモノ不飽和脂肪酸エステル)、ジグリセライド(グリセリンジ不飽和脂肪酸エステル)およびトリグリセライド(グリセリントリ不飽和脂肪酸エステル)、またはこれらを含有する混合物である。該グリセリンと不飽和脂肪酸のエステルとしては、モノグリセライドを約40〜60%含む反応モノグリセライド、および該反応モノグリセライドを精製してモノグリセライドの含有量を高めた蒸留モノグリセライドなどが挙げられる。該蒸留モノグリセライド100%中のモノグリセライドの含有量は、通常約90%以上である。また、グリセリンと不飽和脂肪酸のエステルを構成する不飽和脂肪酸は食用可能な動植物油脂を起源とする不飽和脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖の不飽和脂肪酸、好ましくは炭素数8〜18の直鎖の不飽和脂肪酸、より好ましくは炭素数18の直鎖の不飽和脂肪酸が挙げられる。具体的には、例えばオレイン酸、リノール酸およびリノレン酸等の群から選ばれる1種または2種以上の不飽和脂肪酸が挙げられ、好ましくはオレイン酸を約50質量%以上、より好ましくは約70質量%以上含有する不飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸混合物が挙げられる。
【0022】
上記(ii)のグリセリンクエン酸不飽和脂肪酸エステルは、グリセリンとクエン酸と不飽和脂肪酸とのエステル化生成物であり、通常、グリセリン不飽和脂肪酸エステルとクエン酸とを公知の方法(例えばエステル化反応等)により反応して得られる。グリセリンクエン酸不飽和脂肪酸エステルを構成する不飽和脂肪酸は食用可能な動植物油脂を起源とする不飽和脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖の不飽和脂肪酸、好ましくは炭素数8〜18の直鎖の不飽和脂肪酸、より好ましくは炭素数18の直鎖の不飽和脂肪酸が挙げられる。具体的には、例えばオレイン酸、リノール酸およびリノレン酸等の群から選ばれる1種または2種以上の不飽和脂肪酸が挙げられ、好ましくはオレイン酸を約50質量%以上、より好ましくは約70質量%以上含有する不飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸混合物が挙げられる。
【0023】
上記(ii)のポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと不飽和脂肪酸とのエステル化生成物であり、エステル化反応等自体公知の方法により得られる。該ポリグリセリンは、通常グリセリンまたはグリシドールあるいはエピクロルヒドリン等を加熱し、重縮合反応させて得られる重合度の異なるポリグリセリンの混合物である。本発明で用いられるポリグリセリンとしては平均重合度が約2〜10程度のもの、例えば、具体的にはジグリセリン(平均重合度2)、トリグリセリン(平均重合度3)、テトラグリセリン(平均重合度4)、ヘキサグリセリン(平均重合度6)、オクタグリセリン(平均重合度8)またはデカグリセリン(平均重合度10)などが挙げられ、中でも、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、デカグリセリンが好ましく、ジグリセリンがより好ましい。また、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルを構成する不飽和脂肪酸は食用可能な動植物油脂を起源とする不飽和脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖の不飽和脂肪酸、好ましくは炭素数8〜18の直鎖の不飽和脂肪酸、より好ましくは炭素数18の直鎖の不飽和脂肪酸が挙げられる。具体的には、例えばオレイン酸、リノール酸およびリノレン酸等の群から選ばれる1種または2種以上の不飽和脂肪酸が挙げられ、好ましくはオレイン酸を約50質量%以上、より好ましくは約70質量%以上含有する不飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸混合物が挙げられる。
【0024】
上記(ii)のポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルとしては、ジグリセリン不飽和脂肪酸エステル、テトラグリセリン不飽和脂肪酸エステル、デカグリセリン不飽和脂肪酸エステルなどが挙げられ、中でも、ジグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルを高濃度に含むジグリセリン不飽和脂肪酸エステルが好ましい。
【0025】
上記(ii)のソルビタン不飽和脂肪酸エステルは、ソルビトールまたはソルビタンと不飽和脂肪酸のエステル化生成物であり、自体公知のエステル化反応等により製造される。ソルビタン不飽和脂肪酸エステルを構成する不飽和脂肪酸は食用可能な動植物油脂を起源とする不飽和脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖の不飽和脂肪酸、好ましくは炭素数8〜18の直鎖の不飽和脂肪酸、より好ましくは炭素数18の直鎖の不飽和脂肪酸が挙げられる。具体的には、例えばオレイン酸、リノール酸およびリノレン酸等の群から選ばれる1種または2種以上の不飽和脂肪酸が挙げられ、好ましくはオレイン酸を約50質量%以上、より好ましくは約70質量%以上含有する不飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸混合物が挙げられる。
【0026】
また、上記自己乳化型製剤には、上記成分(i)および(ii)の含有量の調整等の目的で、食用油脂を配合してもよい。食用油脂としては、食用に適した動物性、植物性の油脂およびそれらのエステル交換油、分別油などであって、常温(15〜25℃)で液状の食用油脂であることが好ましい。そのような食用油脂としては、例えばサフラワー油、大豆油、綿実油、コメ油、ナタネ油、オリーブ油などが挙げられる他、グリセリンジ脂肪酸エステルおよびプロピレングリコールジ脂肪酸エステルもこれらに含まれる。これら食用油脂は、1種類で用いても良いし、2種類以上を任意に組み合わせて用いても良い。
【0027】
上記自己乳化型製剤100質量%中の上記成分(i)、(ii)および食用油脂の含有量は、成分(ii)の種類などにより異なり一様ではないが、成分(ii)がグリセリンジアセチル酒石酸不飽和脂肪酸エステルやポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステルの場合、成分(i)が通常約1〜99質量%、好ましくは40〜60質量%であり、成分(ii)が通常約1〜99質量%、好ましくは約1〜10質量%であり、食用油脂が通常約0〜98質量%、好ましくは約30〜59質量%である。
【0028】
また、成分(ii)がグリセリンと不飽和脂肪酸のエステル、グリセリンクエン酸不飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル、ソルビタン不飽和脂肪酸エステルの場合、上記自己乳化型製剤100質量%中の上記成分(i)、(ii)および食用油脂の含有量は、成分(i)が通常約1〜99質量%、好ましくは15〜60質量%であり、成分(ii)が通常約1〜90質量%、好ましくは約5〜25質量%であり、食用油脂が通常約0〜94質量%、好ましくは約30〜80質量%である。
【0029】
ここで、成分(i)のプロピレングリコール脂肪酸エステルは、一般に親油性の乳化剤に分類され、油脂には溶解するが、水に対する分散性に乏しい。しかし、上記自己乳化型製剤は、上記成分(ii)が配合されているため、水に対する分散性(自己乳化性)がプロピレングリコール脂肪酸エステルに付与されている。よって、本発明のホワイトソース用改良剤が自己乳化型製剤であれば、例えば牛乳や水などの水性のホワイトソース原料に該製剤を添加するホワイトソースの製造(例えば後述する方法2に基づく製造)などが容易に実施可能となり、使用方法の自由度が拡大する点において好ましい。
【0030】
本発明のホワイトソース用改良剤を使用してホワイトソースを製造する方法に特に制限はないが、その製造方法の概略は、例えば以下に示す方法1および2の通りである。
【0031】
[方法1]
加熱した油脂に、ホワイトソース用改良剤を混合した穀粉類および/または澱粉を加え約4〜10分間焦がさないように加熱混合してホワイトルーを作製する。得られたホワイトルーに温めた牛乳および水、調味料、香辛料などを加え、ホワイトルーを伸ばし終えた後、約90℃になるまで加熱混合しホワイトソースを得る。
【0032】
[方法2]
加熱した油脂に、穀粉類および/または澱粉を加え約4〜10分間焦がさないように加熱混合してホワイトルーを作製する。一方、牛乳および水にホワイトソース用改良剤を加えて加温しながら分散させ、分散液とする。次いで、先に作製したホワイトルーに該分散液、調味料、香辛料などを加え、ホワイトルーを伸ばし終えた後、約90℃になるまで加熱混合しホワイトソースを得る。
【0033】
なお、上記方法1および2に従うホワイトソースの工業的製造では、例えば攪拌機、加熱用のジャケットを備えた通常の平釜を用いることができる。
【0034】
本発明に係るホワイトソースを製造する際、本発明のホワイトソース用改良剤の添加量に特に制限はないが、例えば、ホワイトソース100質量%に対し、通常約0.1〜10質量%、好ましくは約0.4〜3質量%である。
【0035】
本発明に係るホワイトソースは、高温加熱耐性のある包材(レトルトパウチなど)に詰め、高温加熱を行って高温加熱処理することができる。高温加熱処理条件は、包装形態やホワイトソース内容量や粘度によって異なるが、例えば、約120℃で約20〜50分間が例示される。また、本発明に係るホワイトソースは、冷凍耐性のある包材に詰め、冷凍することにより冷凍処理することができる。冷凍処理条件は包装形態やホワイトソース内容量や粘度などにより異なるが、約−10〜−40℃などの各温度帯が例示される。
【0036】
本発明に係るホワイトソースには、本発明の目的を阻害しない範囲で他の任意の成分を含んでも良い。例えば増粘剤、酸化防止剤、pH調整剤、香料、カゼイン、ホエーたん白、食塩、糖類などが挙げられる。
【0037】
また、本発明に係るホワイトソースは、例えば調味料、具材、香辛料などを加えてクリームコロッケ、グラタン、ドリア、クリームシチュー、パスタソースなどの食品に加工して使用することができる。具材としては、例えば魚介類、肉類、野菜類、きのこ類、まめ類、乳製品、穀類、木の実、果実類等が挙げられ、加工される食品の種類などに合わせて適宜選択することができる。
【0038】
以下に本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0039】
[ホワイトソースの製造]
バター(製品名:北海道バター;雪印メグミルク社製)35gを加熱して溶解し、これに小麦粉(製品名:バイオレット;日清製粉社製)35gおよび表1に記載のホワイトソース用改良剤(No.1〜9のうちいずれか)各1.75g加えて5分間かけて加熱混合し、ホワイトルーを調整した。このホワイトルーに約40℃の牛乳140gおよび同温度の水140gを加えて10分間混合しながら約90℃まで加熱し、ホワイトソース(No.1〜14)各351.75gを得た。また、対照として、ホワイトソース用改良剤を使用せず、ホワイトソース用改良剤を同量の水に置換して同様に実施し、ホワイトソース(No.15)351.75gを得た。
【0040】
【表1】
【0041】
ここで、表1のホワイトソース用改良剤のうち、No.1〜9は本発明に係る実施例であり、No.10〜14はそれらに対する比較例である。また、表1に記載のNo.4〜9のホワイトソース用改良剤(プロピレングリコールオレイン酸エステルを含有する自己乳化型製剤)の調製方法を以下に記す。
【0042】
[自己乳化型製剤の調製]
表2に示した原材料の配合割合に基づいて、所定の原材料を500mLガラス製ビーカーに入れ、ガラス棒で攪拌しながら60℃まで加熱して溶解した後、室温まで冷却し、プロピレングリコールオレイン酸エステルを含有する自己乳化型組成物400gを調製した。
【0043】
【表2】
【0044】
[試験例]
(1)製造直後の粘度評価
ブルックフィールド型粘度計を用いてホワイトソース(No.1〜15)の粘度(ミリパスカル秒)を測定し、ホワイトソース(No.1〜14)について、対照のホワイトソース(No.15)との粘度差の絶対値(以下、|粘度差|と表記する)を求め、以下の評価基準に従って記号化した。
◎:極めて良好 |粘度差|<500ミリパスカル秒
○:良好 500ミリパスカル秒≦|粘度差|<1000ミリパスカル秒
△:やや悪い 1000ミリパスカル秒≦|粘度差|<3000ミリパスカル秒
×:悪い 3000ミリパスカル秒≦|粘度差|
【0045】
ここで、ホワイトソース(No.1〜15)の粘度は、第8版食品添加物公定書記載「28. 粘度測定法」の「第2法 回転粘度計法」に基づいて測定した。具体的な測定方法および操作条件を以下に示す。
<測定方法>
試料を入れた容器の中心にローター(スピンドル)を静かに入れ、試料の液面をローターの下端から3cmの位置に調整する。スイッチを入れてローターが回転を始めてから30秒経過後に目盛上の指針の位置(数値)を真上から読み取り、その数値にローターの型式および回転数に応じた係数を乗じた値をその試料の粘度とする。
<操作条件>
測定装置 回転円筒形粘度計(型式:アナログ粘度計T;ブルックスフィールド社製) 回転数 12回転/分
ローター 型式:スピンドル T-D
測定温度 85℃
【0046】
(2)冷凍保存後の食感および風味評価
ホワイトソース(No.1〜15)各100gを容量100mLのプラスチック製カップ型容器に充填し、−20℃の冷凍庫で3日間冷凍保存した後、常温にて自然解凍した。その後、ホワイトソースの一部を口にして食感および風味について官能試験を行った。官能試験では、下記表3に示す評価基準に従い20名のパネラーで評価を行ない、評点の平均点を求め、以下の基準にしたがって記号化した。
◎:極めて良好 平均点3.5以上
○:良好 平均点2.5以上、3.5未満
△:やや悪い 平均点1.5以上、2.5未満
×:悪い 平均点1.5未満
【0047】
【表3】
【0048】
(3)結果
上記(1)および(2)の評価結果を表4に示す。
【0049】
【表4】
【0050】
表4の結果から、本発明のホワイトソース改良剤を添加したホワイトソース(No.1〜9)は、製造直後の粘度、冷凍保存後の食感および風味のいずれの評価項目においても良好なものであった。これに対し、比較例のホワイトソース改良剤を添加したホワイトソース(No.5〜9)および対照のホワイトソース(No.15)は、いずれも一長一短があり、実施例のものに比べて劣っていた。特に、No.13および14のホワイトソースでは、製造直後の粘度が大きく低下したため、他のホワイトソースに比べて|粘度差|が大きくなっていた。