(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の容器洗浄装置の好ましい第1実施形態の構成を示す図である。
図2は、
図1に示す容器洗浄装置の後段に配置されている容器処理装置の構成例を示している。
【0021】
図1に示す容器洗浄装置1は、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、食品製造工場等で使用される容器Mを洗浄するために使用される。洗浄対象物であるこの容器Mは、好ましくはプラスチック製の容器であり、例えば上部が開口した四角形の箱型であり、容器Mは、トレー、パレット、コンテナ、リッタークレート等とも呼ばれる。なお、容器としては製品の搬送用として用いられる板状の物流用パレットも含まれる。
【0022】
容器Mを多段に積み重ねる際には、複数の容器Mをそのまま上に積み重ねる形式のものと、容器Mの向きを1つおきに90度変えて2枚ずつ井桁状に組んで積み重ねることでその嵩を小さくする形式の物等があるが、容器Mの形状や容器Mの積み重ねる際の段数は限定されない。例えば、容器の向きを180度変えて積み重ねることにより、複数段としての嵩を低くするものや、容器の嵩部分(側壁部分)を内側に折りたたんで、単体としての嵩を低くするような容器であっても構わない。
【0023】
図1に示す容器洗浄装置1は、後段の容器処理装置2の前段に配置されている。
図1では、後段の容器処理装置2は、簡略化して図示されているが、後段の容器処理装置2の構成例は
図2に示している。
【0024】
図1を参照して、容器洗浄装置1の好ましい構成例を説明する。
【0025】
図1に示す容器洗浄装置1は、洗浄機3と、ヒートポンプを備える循環加熱式の温水供給ユニット4を有している。洗浄機3は、洗剤の入っている水である洗浄水Cを循環させて、順次搬送方向Rに沿って送らてくる容器Mを洗浄する。この温水供給ユニット4は、所定の温度、例えば60℃の加温水を循環して洗浄機3側に供給することで、洗浄機3側の洗浄水を加温して温度を上げるための装置である。
【0026】
まず、
図1に示す洗浄機3の構造例を説明する。
【0027】
洗浄機3は、洗浄水噴射用のシャワー器5と、すすぎ水噴射用シャワー器6と、洗浄タンク7と、容器Mの搬送装置8を有している。搬送装置8は、容器Mを搬送方向Rに沿って搬送する装置であり、例えば駆動スプロケット8Aと従動スプロケット8Bの間に搬送チェーン8Cをエンドレス状に掛けた構造を有している。
【0028】
先に、洗浄水噴射用のシャワー器5の構造を説明する。
【0029】
図1に示す洗浄水噴射用のシャワー器5は、搬送方向Rの上流側に位置され、すすぎ水噴射用シャワー器6は、洗浄水噴射用のシャワー器5の搬送方向Rの下流側に位置されている。搬送装置8のモータ9を駆動することで、搬送チェーン8Cは、搬送方向Rに沿って各容器Mを、洗浄水噴射用のシャワー器5と、すすぎ水噴射用シャワー器6を通過させて、後段の容器処理装置2へ、所定の速度で搬送できる。
【0030】
図1に示す洗浄水噴射用のシャワー器5は、管路5Sと、この管路5Sに設けられて洗浄水Cを容器Mの各面に噴射するための複数のノズル5Nを有している。洗浄水Cとは、水Wに洗剤(洗剤液)を混ぜたものである。各ノズル5Nは、通過する容器Mに対して3方向から洗浄水Cを噴射することができる。
【0031】
洗浄水噴射用のシャワー器5の下部には、洗浄タンク(洗浄液槽)7が配置されている。洗浄水噴射用のシャワー器5と洗浄タンク7の間には、廃水ガイド部材10とストレーナ11が設けられている。廃水ガイド部材10は、洗浄水噴射用のシャワー器5で容器Mの洗浄に使用した使用済みの洗浄水Cを、回収してストレーナ11に通して、洗浄タンク7に回収する。ストレーナ11は、回収される使用済みの洗浄水Cからゴミ等を除去する。
【0032】
図1に示す洗浄タンク7の底部からは、管路12が導出されており、この管路12は、洗浄水噴射用のシャワー器5の管路5Sに接続されている。管路5Sの途中には、熱交換器13と、洗浄ポンプ14が配置されている。この洗浄ポンプ14を駆動することで、洗浄タンク7内の洗浄水Cは、熱交換器13と経て加温された後、洗浄水噴射用のシャワー器5の管路5Sに供給され、各ノズル5Nから容器Mに噴射されるようになっている。これにより、使用済みの洗浄水Cは、ゴミ等を除去した後に洗浄タンク7内に回収でき、回収してゴミの除去された洗浄水Cは、洗浄ポンプ14の作動により、管路5Sを通じて各ノズル5Nに循環して、各ノズル5Nから容器Mに噴射できるので、ゴミの除去された洗浄水Cは、容器Mの洗浄に再利用できる。
【0033】
次に、すすぎ水噴射用シャワー器6を説明する。
【0034】
図1に示すすすぎ水噴射用シャワー器6は、管路6Sと、この管路6Sに設けられてすすぎ水W(WS)を容器Mの各面に噴射するための複数のノズル6Nを有している。このすすぎ水噴射用シャワー器6の下部には、廃水ガイド部材15とストレーナ16が設けられている。廃水ガイド部材15は、すすぎ水噴射用シャワー器6で使用したすすぎ水WSを回収して、ストレーナ16に通して、管路15Fから常温にて洗浄タンク7に戻すことができる。あるいは、すすぎ水噴射用シャワー器6で使用したすすぎ水WSをストレーナ16に通した後に、排水熱回収タンク17に戻すことができる。また、ストレーナ11を通った温水である洗浄水Cの一部は、
排水熱回収タンク17に戻すことができる。
【0035】
この排水熱回収タンク17は、内部に熱交換器17aを有しており、この熱交換器17aで前記ストレーナ11からの温水に含まれる熱量を回収することができる。具体的には、図示しない水の供給源から水の供給を受けて、この水を熱交換器17aで回収した排熱によって加温して水供給部18に供給するものである。
【0036】
これにより水供給部18は、管路19,19Aを通じて、必要に応じて洗浄タンク7内に新たな水Wを温水として供給できる。また、水供給部18は、管路19,19Bを通じて,水噴射用シャワー器6の管路6Sに新たな水Wを温水として供給することで、温水で効果的にすすぎを行えるすすぎ水WSとして用いることができる。
【0037】
なお、排水熱回収タンク17で排熱が回収された後の排水は、浄化して再生水として、再利用してもよく、あるいは再処理後に廃棄しても良い。
【0038】
次に、
図1に示すヒートポンプを備える循環加熱式の温水供給ユニット4の構造例を説明する。
【0039】
この温水供給ユニット4は、ヒートポンプ20と、貯湯タンク21と、加熱用循環ポンプ22を有している。ヒートポンプ20の出口側20Bと貯湯タンク21の上部の供給口21Aは、管路23により接続され、貯湯タンク21の下部の加温水出口21Bとヒートポンプ20の入口側20Aは、管路24,25,26により接続されている。加熱用循環ポンプ22は管路24に配置されている。
【0040】
また水供給部18は、管路27を介して貯湯タンク21の上部の供給口21Aに接続されており、水供給部18からの温水である水Wを、貯湯タンク21に追加して供給できる。加熱用循環ポンプ22を駆動すると、ヒートポンプ20により加温された加温水HWは、管路23を介して貯湯タンク21に貯湯される。
【0041】
また、管路24は、管路25,28に分岐されており、管路25は管路26に接続されている。管路28は、供給側管路29を介して熱交換器13の熱供給側管路31の入口側31Aに接続されている。この熱交換器13の熱供給側管路31の出口側31Bは、戻し側管路32を介して,管路25,26に接続されている。
【0042】
これにより、この加熱用循環ポンプ22を駆動すると、加温水HWは、供給側管路29を通じて熱交換器13の熱供給側管路31に送られることで、熱供給側管路31は、熱交換器13の管路12の熱を受ける側の管路部分32内を通過する洗浄水Cに熱を与えて加温することができる。この加温水HWの温度は例えば60℃であるが、この温度に限定されない。
【0043】
戻し側管路32を通じて熱交換器13側から戻される加温水HWは、管路26を通じてヒートポンプ20に送られ、ヒートポンプ20により再び加温されて例えば60℃になった加温水HWは、管路23を介して貯湯タンク21に貯湯される。ヒートポンプ20により加温される媒体は、ヒートポンプ20を効率よく運転するために、洗浄液(洗剤)を含む洗浄水ではなく、真水であることが望ましい。
【0044】
次に、
図2に示す後段の容器処理装置2の構造例を説明する。
【0045】
図2に示す後段の容器処理装置2は、アキュームコンベア40と、プレスタッカー41と、容器遠心脱水機42と、容器の搬送装置43,44を有している。アキュームコンベア40は、容器Mを搬送方向Rに沿って搬送し、例えば駆動スプロケット40Aと従動スプロケット40Bの間に搬送チェーン40Cをエンドレス状に掛けた構造を有している。アキュームコンベア40は、順次送られてくる洗浄処理およびすすぎ処理が終了した容器Mの姿勢を直して、複数個の容器Mをまとめてプレスタッカー41側に送る機能を有する。モータ40Mを駆動すると、搬送チェーン40Cは容器Mを搬送方向Rに搬送できる。搬送チェーン40Cの下には、廃水ガイド部材45とストレーナ46が設けられている。廃水ガイド部材45は、搬送される容器Mから落ちた水を回収してストレーナ46に通して、所定の回収場所47に排水する。
【0046】
図2に示すプレスタッカー41は、アキュームコンベア40の後段に位置され、容器Mを、例えば2段に積み重ねる装置である。容器Mを積み上げる段数は2段に限定されない。このように予め容器Mを複数段に積み上げることで、後段の容器遠心脱水機42において、より効率的に遠心力による脱水を行うことができる。搬送装置43は、プレスタッカー41において積み上げた複数段の容器Mを搬送方向Rに搬送する装置であり、例えば駆動スプロケット43Aと従動スプロケット43Bの間に搬送チェーン43Cをエンドレス状に掛けた構造を有している。モータ43Mを駆動すると、搬送チェーン43Cは容器Mを搬送方向Rに搬送できる。廃水ガイド部材41Rは、搬送される容器Mから落ちた水を回収してストレーナ41Sに通して、所定の回収場所47に排水する。
【0047】
図2に示す容器遠心脱水機42は、積み上げられた容器Mを回転して遠心分離することで、容器Mから水を落とす。廃水ガイド部材42Rは、搬送される容器Mから落ちた水を回収してストレーナ42Sに通して、所定の回収場所47に排水する。搬送装置44は、複数段の容器Mを搬送方向Rに搬送する装置であり、例えば駆動スプロケット44Aと従動スプロケット44Bの間に搬送チェーン44Cをエンドレス状に掛けた構造を有している。モータ44Mを駆動すると、搬送チェーン44Cは容器Mを搬送方向Rに搬送できる。容器遠心脱水機42の後段には、必要に応じて、図示しないが容器Mをさらに多い段数に積み上げる段積み機等が配置されている。
【0048】
図3は、
図1に示す熱交換器13の好ましい例を示しており、
図3(A)は、熱交換器13の上半分の内部を見せた正面図である
図3(B)は、
図3(A)においてV方向から見た熱交換器13の側面図である。
【0049】
図3に示す熱交換器13では、多管円筒式熱交換器であり、円筒胴13A内には多数本の伝熱管13aが円形状に配列されている。これらの伝熱管13aは、
図1に示す熱交換器13の戻し側管路32を構成している。円筒胴13Aには、入口管部13Bと出口管部13Cを有している。入口管部13Bから円筒胴13Aの内部、そして出口管部13Cは、
図1に示す熱交換器13の熱供給側管路31を構成している。これにより、
図1に示す加熱用循環ポンプ22を駆動すると、加温水HWは、供給側管路29を通じて熱交換器13の熱供給側管路31に送られることで、熱供給側管路31は、熱交換器13の管路12の熱を受ける側の管路部分32内を通過する洗浄水Cに対して熱交換することで、洗浄水Cに熱を与えて加温することができる。
【0050】
図4は、
図1に示す貯湯タンク21の構造例を示す縦方向の断面図である。
【0051】
図4に示す貯湯タンク21は、本体50と、断熱材51と、高効率の蓄熱材52を有している。本体50は、金属製であり、例えばステンレススチールに塗装を施した箱型の容器である。この本体50は、上面部50A、底面部50B、4つの側面部50Cを有している。上面部50A、底面部50B、4つの側面部50Cの各内面には、板状の断熱材51が配置されている。断熱材51としては、例えば発砲ポリウレタン、発砲スチレン、真空断熱材等を用いることができる。
【0052】
図4に示すように、板状の蓄熱材52は、断熱材51の上面部51A、底面部51B、4つの側面部51Cの各内面に配置されている。蓄熱材52としては、例えば蓄熱能力がは、水の蓄熱能力の30倍であるものが好適である。この場合、水が1トンと蓄熱材52が66kgの合計の蓄熱能力は、水3トンの蓄熱能力に相当する。
【0053】
貯湯タンク21の上部には、水Wと、循環した加温水HWを入れる供給口21Aが設けられ、貯湯タンク21の下部には、加温水HWを出す加温水出口21Bが設けられている。供給口21Aは、
図1に示す管路27とヒートポンプ20からの管路23とに接続され、加温水出口21Bは管路24に接続されている。
【0054】
次に、上述した容器洗浄装置1と後段の容器処理装置2による容器Mの処理動作例を説明する。
【0055】
まず、すでに積み重ねられた複数段の容器Mが、搬入されると、図示しないが積み重ねばらし部が、容器Mの積み重ね状態を解消して、1つの容器Mに分ける。そして、ゴミ除去部が各容器Mを裏返しにして、各容器M内にたまっているゴミを落下させて除去し、各容器Mを表向きに反転する。
【0056】
次に、容器Mは、
図1に示す搬送装置8の搬送チェーン8Cにより搬送方向Rに搬送され、容器Mには、洗浄水噴射用のシャワー器5においてノズル5Nから洗浄水Cが噴射される。これにより、容器Mは噴射された洗浄水Cにより洗浄される。洗浄に用いられた洗浄水Cは、廃水ガイド部材10に案内されてストレーナ11を通り、洗浄タンク7に回収される。これにより、ストレーナ11は、回収される洗浄水Cからゴミ等を除去し、洗浄水Cは、ゴミ等を除去した後に洗浄タンク7に回収できる。
【0057】
図1の洗浄ポンプ14を駆動することで、洗浄タンク7内の洗浄水Cは、洗浄タンク7内のストレーナ7Sを通って、管路12を通過して、熱交換器13の戻し側管路32を経て、洗浄水噴射用のシャワー器5の管路5Sに供給される。複数個のノズル5Nから容器Mの全体に噴射される。このように、回収した洗浄水Cは、容器Mの洗浄に再利用できるので、節水が図れる。
【0058】
このように、洗浄タンク7内の洗浄水Cが複数個のノズル5Nに達する間に、熱交換器13では、熱交換器13の熱供給側管路31を通る加温水HWと、熱交換器13の戻し側管路32を通る洗浄水Cとの間で熱交換を行うことで、洗浄水Cを加温することができる。このように、洗剤が入っていない真水の加温水HWが、例えば60℃のお湯に加温されており、例えば、熱交換器13の熱供給側管路31を通ることで、加温水HWは、熱交換器13の戻し側管路32を通る洗浄水Cにより熱を奪われて数℃から10℃程度、本実施形態では5℃程度温度が低下するものとする。このように温度の低下した加温水HWは、
図1に示す管路32から管路26を経て、ヒートポンプ20に入って、例えば60℃になるように再び加温される。そして、60℃の加温水HWは、貯湯タンク21内に管路23を介して供給される。なお、ヒートポンプ20は、常態で稼働が継続されるが、周囲の気温等によって、適宜、稼働を休止するように制御しても良い。
【0059】
図1に示す貯湯タンク21の本体50は、断熱材51と、高効率の蓄熱材52を有しているので、循環してヒートポンプ20で加温されて管路23を通じて供給口21Aに供給された加温水HWは、貯湯タンク21内で貯湯されている状態で保温され、その後加温水HWは、管路24と
図1に示す管路28、29を介して、熱交換器13の熱供給側管路31に供給することができる。これにより、熱交換器13は、加温水HWを用いて、洗浄タンク7内の洗浄水Cとの間で熱交換を効率良く行うことができ、加温された洗浄水Cは、洗浄水噴射用のシャワー器5の複数個のノズル5Nから容器Mの全体に噴射でき、効率良く確実に容器Mの洗浄を行うことができる。
【0060】
図1において、洗浄された容器Mが、
図1に示す搬送装置8の搬送チェーン8Cにより搬送方向Rにさらに搬送されると、容器Mに付着している洗浄水Cは、落下して廃水ガイド部材15により案内されてストレーナ16を通ることで、落下した洗浄水Cのゴミが除去される。この洗浄水Cは、管路15Fを通じて常温にて洗浄タンク7に戻すか、あるいは必要に応じて排水熱回収タンク17に戻す。
【0061】
図1において、洗浄された容器Mが、
図1に示す搬送装置8の搬送チェーン8Cにより搬送方向Rにさらに搬送されると、すすぎ水噴射用シャワー器6の複数のノズル6Nが容器Mにすすぎの水Wを噴射して、容器Mのすすぎ洗浄を行う。容器Mのすすぎ水WSが落下して廃水ガイド部材15に案内されてストレーナ16を通ることで、すすぎ水WSのゴミを除去する。そして、すすぎ水WSは、管路15Fを通じて常温にて洗浄タンク7に戻すか、あるいは必要に応じて排水熱回収タンク17に戻す。
【0062】
図1において、上述したように洗浄処理とすすぎ洗浄処理が終了した容器Mは、
図2に示す後段の容器処理装置2のアキュームコンベア40により搬送方向Rに搬送される。アキュームコンベア40は、順次送られてくる容器Mの姿勢を直して、複数個の容器Mをまとめてプレスタッカー41側に送る。そして、プレスタッカー41は、容器Mを、予め容器Mを複数段に積み上げることで、後段の容器遠心脱水機42において、より効率的に遠心力による脱水を行うことができる。搬送装置43は、プレスタッカー41において積み上げた複数段の容器Mを搬送方向Rに搬送して、容器遠心脱水機42に送る。容器遠心脱水機42は、容器Mを回転して遠心分離することで、容器Mから水をさらに落とす。そして、搬送装置44は、複数段の容器Mを搬送方向Rに搬送して、さらに後段にある容器Mを必要とする段数に積み上げる段積み機等に送られる。
【0063】
ところで、
図1に示すヒートポンプ20の電力1kWの入力は、電力3kW出力相当の仕事を行う。このことは、
図1に示すヒートポンプ20のCOP(Coefficient Of Performance)は、「3」であることを意味する。通常の電熱ヒータの消費電力1kWが860kcalの熱量に相当する。この通常の電熱ヒータのCOPは「1」であることを意味している。このCOPとは、成績係数(動作係数)とも呼ばれる冷暖房器具のエネルギー消費効率をチェックするための係数である。消費電力1kWに対しての冷却能力、暖房(加熱)能力を示す値のことであり、省エネルギー法にも採用されている概念である。COPは、冷暖房機器の性能を示し指標として広く利用されており、機器やカタログ等にもCOPがどの程度かが記載されている。冷房COPと暖房COPは、次の式で計算することができる。
【0064】
冷房能力(kW)÷冷房消費電力(kW)=冷房COP
暖房能力(kW)÷暖房消費電力(kW)=暖房COP
つまり、COPは、使ったエネルギーに対してその何倍の冷暖房としての能力を発揮しているか、を示している。
【0065】
例えば、暖房の場合に、電気を使う電熱ヒータで暖める際に、電気を熱に変えると、電熱ヒータの消費電力1kWの電気を使うことで得られる熱量は860kcalになる。このため、電熱ヒータによる発熱は、消費電力1kW当たり860kcalしかならない(エネルギー保存の法則)。
【0066】
一方、ヒートポンプ技術を利用すると、空気を直接暖めるのではなく、熱交換により冷暖房を行うために、効率的な発熱が可能である。例えば、COPが5という場合には、消費電力1kWの電力消費で、860kcal×5=4300kcalの熱量を発生することができる。要するに、COPの値が高いヒートポンプほど、効率的にすなわち省エネルギーで熱を作り出すことができる。
【0067】
図5は、比較例である従来の容器洗浄装置における電気使用量と、
図1に示す本発明の第1実施形態の容器洗浄装置1を採用した場合の電気使用量と、を比較して示している。
図5から明らかなように、発明の第1実施形態におけるヒートポンプ20を用いた容器洗浄装置1を採用した場合の電気使用量は、比較例である電熱ヒータを用いた従来の容器洗浄装置の電気使用量に比べて、64%も減らすことができ、省エネルギー化を図っている。
【0068】
次に、
図6は、
図1に示す本発明の第1実施形態の容器洗浄装置1の稼働時間と貯湯タンク21の蓄熱量の関係式の例を示している。
【0069】
図1に示すヒートポンプ20は、24時間フル稼働する。しかし、
図6に例示するように、容器洗浄装置1が容器Mを洗浄する洗浄動作の稼働時間Xは、例えば18時間である。
図6では、横軸は稼働時間であり、縦軸は蓄熱量を示している。
図6において、「A」は、1時間当たりに必要な加熱量を示し、「B」は、電熱ヒータ(加熱ヒータ)の加熱量を示している。「差分C」は、1時間当たりに必要な加熱量Aから電熱ヒータの加熱量Bを引いた差(加熱量A−加熱量B)であり、この「差分C」は熱量の不足分を示す。「蓄熱量D」は、洗浄機3が容器Mを洗浄する洗浄稼働中、すなわち稼働時間X中では、ヒートポンプ20による蓄熱量を、差分Cで消費していく様子を示し、そして夜間(24時間ーX時間)中では、蓄熱していく様子を示している。すなわち、稼働時間Xの間では、時間が経過すると、貯湯タンク21の蓄熱量は直線的に減少していき、稼働時間Xが例えば18時間に達すると、蓄熱量はゼロになる。稼働時間Xが例えば18時間経過して夜間になると、容器洗浄装置1が容器Mを洗浄する洗浄動作は終了する。しかし、ヒートポンプ20は24時間稼働し続けるので、稼働時間X経過後24時間に達するまで、貯湯タンク21の蓄熱量は直線的に増加することになる。
【0070】
ところで、「B」の電熱ヒータによる加熱が無い場合には、ヒートポンプ20のみで加熱して、ヒートポンプ20のみで洗浄機3において容器Mの洗浄に必要な加熱量「A」を賄うようにしても良い。
【0071】
また、ヒートポンプ20は、1台使用するだけでなく、複数台のヒートポンプ20を直列接続あるいは並列接続して使用しても良い。容器洗浄装置1の稼働時間Xは、18時間に限らず、24時間の場合もある。
【0072】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態を示している。
【0073】
図7には、
図4に示す貯湯タンク21とは別の構造を有する貯湯タンク21Pを示している。
図4に示す貯湯タンク21では、本体50の内側に断熱材51が配置され、断熱材51の内側に高効率の蓄熱材52が配置されている。
【0074】
これに対して、貯湯タンク21Pでは、本体50の内側に断熱材51が配置され、断熱材51の内側に、板状の高効率の蓄熱材52が配置されていることに加えて、さらに別の複数枚の高効率の板状の蓄熱材59が追加して設けられている。これらの蓄熱材59は、側面から見た時に、蓄熱材52の対向する2面の側面部52C、52Cから櫛歯状に、水平方向(X方向)に突出して配置されている。つまり、各蓄熱材59は、X方向とX方向と直交するY方向とにより形成される面に平行である。これにより、蓄熱材59が加温水HWの流れを阻害しない。各蓄熱材59は蓄熱材52と同じ材質を採用しており、交互に互い違いになるように配置されている。
【0075】
これにより、貯湯タンク21Pでは、各蓄熱材59と蓄熱材52とによる合計の蓄熱面積を増加することができるので、蓄熱容量が増え、
図1に示す熱交換器13から管路32とヒートポンプ20を経て戻される戻りの加温水HWは、さらに効率良く保温することができる。貯湯タンク21Pの上部には、水Wと循環した加温水HWを入れる供給口21Aが設けられ、貯湯タンク21Pの下部には、加温水HWを出す加温水出口21Bが設けられている。水供給口21Aは、
図1に示す管路27とヒートポンプ20からの管路23とに接続され、加温水出口21Bは管路24に接続されている。
【0076】
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態を示している。
【0077】
図8には、
図4に示す貯湯タンク21とは別の構造を有する貯湯タンク21Rを示している。
図8(A)は、貯湯タンク21Rを側面から見た縦断面図であり、
図8(B)は貯湯タンク21Rを上から見た水平断面図である。
【0078】
図7に示す貯湯タンク21Pでは、本体50の内側に断熱材51が配置され、断熱材51の内側に、板状の高効率の蓄熱材52が配置されていることに加えて、さらに別の複数枚の高効率の蓄熱材60が設けられている。これらの蓄熱材60は、
図7(B)において上から見下ろした時に、蓄熱材52の対向する2面の側面部52C、52Cから櫛歯状に、垂直方向(Z方向)に沿って突出して配置されている。つまり、蓄熱材60は、X方向とX方向と直交するZ方向とにより形成される面に平行である。これにより、蓄熱材60が加温水HWの流れを阻害しない。各蓄熱材60は蓄熱材52と同じ材質を採用しており、各蓄熱材60は、交互に互い違いになるように配置されている。
【0079】
これにより、貯湯タンク21Rでは、各蓄熱材60と蓄熱材52による合計の蓄熱面積を増加することができるので、蓄熱容量が増え、
図1に示す熱交換器13から管路32とヒートポンプ20を経て戻される戻りの加温水HWは、さらに効率良く保温することができる。貯湯タンク21Rの上部には、水Wと循環した加温水HWを入れる供給口21Aが設けられ、貯湯タンク21Rの下部には、加温水HWを出す加温水出口21Bが設けられている。水供給口21Aは、
図1に示す管路27とヒートポンプ20からの管路23とに接続され、加温水出口21Bは管路24に接続されている。
【0080】
本発明の実施形態の容器洗浄装置1は、洗剤を含む洗浄水Cにより容器Mを洗浄する際に、洗浄水Cを循環させて容器Mを洗浄する洗浄機3と、洗浄機3へ供給される洗浄水Cを加温するための加温水HWを循環して供給する温水供給ユニット4と、を備える。この温水供給ユニット4は、循環される加温水HWを加熱するヒートポンプ20と、ヒートポンプ20により加熱された加温水HWを貯湯する貯湯タンク21を有する。
【0081】
これにより、洗浄機3が洗浄水Cを循環させて容器Mを洗浄する際に、洗浄水Cはヒートポンプ20により加温することにより、従来行っていた蒸気や電気ヒータの熱を用いて洗浄水を加温するのに比べて、省エネルギー化を図ることができる。このように、容器洗浄装置1は、多数の容器Mを洗浄する際に、省エネルギー化が図れる。
【0082】
なお、第2実施形態及び第3実施形態に示された蓄熱材52、59、60を用いた貯湯タンク21、21P、21Rは、ヒートポンプ20を用いたシステムのみに適用されるものではなく、例えば電気ヒーターを用いたシステムにも適用できるものである。
【0083】
また、容器洗浄装置1は、温水供給ユニット4により循環される加温水HWから洗浄水Cに熱を与えて洗浄水Cを加温する熱交換器13を有する。このため、熱交換器13が、温水供給ユニット4により循環される加温水HWから洗浄水Cに熱を与えて洗浄水Cを加温できるので、洗剤を含む洗浄水Cと加温水HWとを分離でき、洗浄水Cと加温水HWが混ざらない。このため、温水供給ユニット4のヒートポンプ20には洗剤を含まない真水を通すことができ、真水を通すことで、ヒートポンプ20の効率的な運転が可能になる。
【0084】
貯湯タンク21には、蓄熱材52が配置されているので、貯湯タンク21の蓄熱能力を高めることでき、貯湯タンク21からの加温水HWが、洗浄水Cを加温する際の加温効率を上げることができる。
【0085】
容器洗浄装置1では、蓄熱材52は、貯湯タンク21を取り囲んで配置されているので、貯湯タンク21の蓄熱能力を高めることでき、これにより貯湯タンク21からの加温水HWが、洗浄水Cを加温する際の熱効率を高め、省エネ効果を高めることができる。
【0086】
容器洗浄装置1では、蓄熱材59は、貯湯タンク21内において交互になるように突出して配置されていることにより、貯湯タンク21内では、蓄熱材59が貯湯タンク21内において交互になるように突出して配置されている状態であるので、貯湯タンク21の蓄熱能力を高めることでき、貯湯タンク21からの加温水HWが、洗浄水Cを加温する際の加温効率を上げることができる。
【0087】
容器洗浄装置1では、省エネルギー化が図れる他に、洗浄水噴射用のシャワー器5で供給した洗浄水Cと、すすぎ水噴射用シャワー器6で供給したすすぎ水WSは、洗浄タンク7に回収できるので、浄化処理を施した後に、再び洗浄水Cとすすぎ水WSは、洗浄水Wとして循環させて再利用することができる。このため、節水と洗剤の再利用ができるので、環境に優しい利点がある。
【0088】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、各実施形態は一例であり、特許請求の範囲に記載される発明の範囲は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更できるものである。
【0089】
例えば、上述した本発明の各実施形態では、
図3に示す熱交換器13としては、多管円筒式熱交換器を使用しているが、これに限らず、プレート式熱交換器を採用しても良い。このプレート式熱交換器は、金属板をプレス加工したものにパッキンを間に挟んで重ねたものであり、交互に加温用の媒体(加温水HW)を流す流路と、加温対象の媒体(洗浄水C)を流す流路とがある。加温用の媒体(加温水HW)の流路と加温対象の媒体(洗浄水C)の流路は、相互に独立しており、加温水HWと洗浄水Cは混ざらないようになっている。これにより、洗剤を含む洗浄水と加温水とを分離して洗浄水と加温水が混ざらないようにすることができる。このため、温水供給ユニットのヒートポンプには洗剤を含まない真水を通すことができ、真水を通すことで、ヒートポンプの効率的な運転が可能になる。
【0090】
なお、プレート式熱交換器を採用すると、分解清掃や熱交換能力の変更が可能である。
【0091】
図1に示す貯湯タンク21には、加温水Hを追加加熱するための電熱ヒータを、追加して設けても良い。これにより、貯湯タンク21内に貯湯されている加温水HWの温度をさらに確実に、例えば60℃あるいはそれ以上の選択された任意の温度値で維持することができる。加温水HWの設定温度は、60℃に限らず、例えば50℃から100℃の範囲、好適には50℃から80℃の範囲で設定すると良い。
【0092】
また、洗浄水としては、洗剤を含むもの、含まないもの、あるいは粒子を含むもの等の任意のものが含まれる。
【0093】
図示例の蓄熱材は、貯湯タンクの本体の内部に配置されているが、これに限らず、蓄熱材は、貯湯タンクの本体の外周囲面を取り囲むように配置しても良い。すなわち、蓄熱材は、貯湯タンクの本体に対して内張りしても、外張りしても良く、さらに、蓄熱材は貯湯タンクの本体に対して内張りと外張りを両方行っても良い。