特許第6068051号(P6068051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6068051
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】仮設トイレシステム
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/10 20060101AFI20170116BHJP
   E03F 5/12 20060101ALI20170116BHJP
   E03F 7/00 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   E03F5/10 Z
   E03F5/12
   E03F7/00
【請求項の数】1
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-182879(P2012-182879)
(22)【出願日】2012年8月22日
(65)【公開番号】特開2014-40723(P2014-40723A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】株式会社クボタケミックス
(74)【代理人】
【識別番号】100090181
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 義人
(72)【発明者】
【氏名】木村 雅夫
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−300897(JP,A)
【文献】 特開2007−291657(JP,A)
【文献】 特開2010−138593(JP,A)
【文献】 特開平04−047041(JP,A)
【文献】 特開平07−197514(JP,A)
【文献】 特開2010−138621(JP,A)
【文献】 特開2007−270536(JP,A)
【文献】 特開2010−024687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害時に便器が取り付けられて仮設トイレとして使用される仮設トイレシステムであって、
予め定めた便器の設置位置の地中に埋設される複数の縦管部材、
各縦管部材に接続され、所定の勾配で配設される第1排水管、
前記第1排水管の下流側に設けられる枡を含み、前記枡は、底面と側壁とを有する円筒状の枡本体、前記側壁に形成され、前記第1排水管の下流側の端部が接続される流入口、前記側壁に形成される第1流出口および前記側壁に形成される前記第2流出口を含み、さらに前記枡本体の内部に設けられて前記1つの流入口を前記第1または第2流出口に選択的に連通させるインバート溝を有するインバートブロックおよび前記インバートブロックから立ち上がる立ち上り部を備える流路切り替え装置、
前記流路切り替え装置の前記第1流出口に接続され、その下流側が既設下水管に接続される第2排水管、および
前記流路切り替え装置の前記第2流出口に接続され、その下流側が貯留槽に接続される第3排水管を備え、
前記流路切り替え装置はさらに、前記立ち上り部の上端開口縁に形成される切り欠きを含む2つの装着部を備え、前記2つの装着部は、それぞれ、前記立ち上り部の上端開口縁の前記切り欠きから下方に延びる第1装着部と、前記第1装着部の下端から直交して前記立ち上り部の周方向に延びる第2装着部と、前記第2装着部の端部から直交して上下方向に延びる第3装着部と含み、
前記それぞれの切り欠きから前記2つの装着部へ装着される下側横部材と前記下側横部材を周方向に回動させる上側横部材を含む操作手段によって、前記立ち上り部を回動させることによって、
前記既設下水管を使用可能な時には、前記インバータブロックにより前記排水の流出先を前記第1流出口に切り替えて、前記排水を前記第2排水管を介して前記既設下水管に排出し、前記既設下水管が被災して使用できない時には、前記インバータブロックにより前記排水の流出先を前記第2流出口に切り替えて、前記排水を前記第3排水管を介して前記貯留槽の内部に貯留し、さらに
前記2つの装着部のうち一方の前記第3装着部を、前記インバート溝の長手方向端部の鉛直上方向に位置するように形成した、仮設トイレシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、設トイレシステムに関し、特にたとえば、流入口から流入した排水を流出口から流出させる、設トイレシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震等の災害時においては、多数の人々がたとえば小学校等の避難場所に避難してそこで生活することがあるが、水洗トイレの給水設備が被災した場合には、その避難場所でトイレが使用できなくなることがある。そこで、災害時の避難場所となる区域に予め配管などのシステムを構築しておいて、災害が発生した際にそこに便器や仮設小屋などを取り付けて仮設トイレとして使用する技術が公知である。
【0003】
このような技術の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の仮設トイレ用配管構造では、地中に配設された仮設トイレ用配管に所定間隔ごとにマンホールが設置され、そのマンホールから立ち上がる立ち上がり部に便器が取り付けられる。そして、トイレの使用時にはマンホール内に汚物を落下させ、マンホール内に溜められた汚物を、仮設トイレ用配管の最上流に設置したポンプ等からの洗浄水を一定時間ごとに流下させることによって既設下水管に排出するようにしている。
【特許文献1】特開2004−337397号[A47K 11/00]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、マンホールや仮設トイレ用配管内に溜まった汚物を洗浄水によって直接的に既設下水管に排出するようにしているので、既設下水管が被災するなどして使用することができなくなった場合に、汚物を洗浄排出することができない。そこで、既設下水管の状況に応じて適宜対応できるシステムが望まれるが、いまだに提案されていない。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、設トイレシステムを提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、地震等の災害時に既設下水管が使用できなくなったときにも、トイレなどの排水設備を使用可能にすることができる、設トイレシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0008】
この発明は、災害時に便器が取り付けられて仮設トイレとして使用される仮設トイレシステムであって、予め定めた便器の設置位置の地中に埋設される複数の縦管部材、各縦管部材に接続され、所定の勾配で配設される第1排水管、第1排水管の下流側に設けられる枡を含み、枡は、底面と側壁とを有する円筒状の枡本体、側壁に形成され、第1排水管の下流側の端部が接続される流入口、側壁に形成される第1流出口および側壁に形成される第2流出口を含み、さらに枡本体の内部に設けられて1つの流入口を第1または第2流出口に選択的に連通させるインバート溝を有するインバートブロックおよびインバートブロックから立ち上がる立ち上り部を備える流路切り替え装置、流路切り替え装置の第1流出口に接続され、その下流側が既設下水管に接続される第2排水管、および流路切り替え装置の第2流出口に接続され、その下流側が貯留槽に接続される第3排水管を備え、流路切り替え装置はさらに、立ち上り部の上端開口縁に形成される切り欠きを含む2つの装着部を備え、2つの装着部は、それぞれ、立ち上り部の上端開口縁の切り欠きから下方に延びる第1装着部と、第1装着部の下端から直交して立ち上り部の周方向に延びる第2装着部と、第2装着部の端部から直交して上下方向に延びる第3装着部と含み、それぞれの切り欠きから2つの装着部へ装着される下側横部材と下側横部材を周方向に回動させる上側横部材を含む操作手段によって、立ち上り部を回動させることによって、既設下水管を使用可能な時には、インバータブロックにより排水の流出先を第1流出口に切り替えて、排水を第2排水管を介して既設下水管に排出し、既設下水管が被災して使用できない時には、インバータブロックにより排水の流出先を第2流出口に切り替えて、排水を第3排水管を介して貯留槽の内部に貯留し、さらに2つの装着部のうち一方の第3装着部を、インバート溝の長手方向端部の鉛直上方向に位置するように形成した、仮設トイレシステムである。
【0010】
第1の発明によれば、地震等の災害時に下水管が使用できなくなった場合であっても使用することが可能な仮設トイレを実現することができる。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、排水の流出先を2つの流出口のいずれか一方に選択的に切り替えることができるので、地震等の災害時に下水管が使用できなくなっても、仮設トイレなどの排水設備を使用可能にすることができるようになる。
【0029】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】この発明の一実施例の枡を流路切り替え装置として用いた仮設トイレシステムを示す概略図である。
図2図1の仮設トイレシステムを示す概略図である。
図3図1の仮設トイレシステムの要部を示す概略図である。
図4図1の枡を示す上面図である。
図5】(a)は、図1の枡の枡本体を示す正面図であり、(b)は、図1の枡の枡本体を示す側面図である。
図6図1の枡のインバートブロックを示す斜視図である。
図7】(a)は、図1の枡のインバートブロックを示す上面図であり、(b)は、図1の枡のインバートブロックを示す正面図である。
図8】(a)は、インバートブロックを第1状態で設置した様子を示す図解図であり、(b)は、インバートブロックを第2状態で設置した様子を示す図解図である。
図9】(a)は、この発明の他の一実施例の枡のインバートブロックを第1状態で設置した様子を示す図解図であり、(b)は、インバートブロックを第2状態で設置した様子を示す図解図である。
図10図9の枡の枡本体を示す上面図である。
図11図9の枡のインバートブロックを示す上面図である。
図12図9の枡のインバートブロックを示す断面図である。
図13】インバートブロックの変形実施例を示す斜視図である。
図14】(a)は、図13のインバートブロックを示す上面図であり、(b)は、図13のインバートブロックを示す正面図である。
図15図13のインバートブロックに用いる操作用部材を示す斜視図である。
図16図15の操作用部材をインバートブロックに装着する様子を示す図解図である。
図17】この発明のさらに他の一実施例の枡を示す上面図である。
図18】この発明のさらに他の一実施例の枡の要部を示す断面図である。
図19図17の枡の枡本体を示す上面図である。
図20】(a)は、図17の枡の枡本体を示す正面図であり、(b)は、図17の枡の枡本体を示す側面図である。
図21図17の枡の閉塞部材を示す斜視図である。
図22】(a)は、図1の枡の閉塞部材を示す上面図であり、(b)は、図1の枡の閉塞部材を示す正面図である。
図23】(a)は、図17の枡の閉塞部材を第1状態で設置した様子を示す図解図であり、(b)は、図17の枡の閉塞部材を第2状態で設置した様子を示す図解図である。
図24】閉塞部材の変形実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1および図2を参照して、この発明の一実施例である枡10は、1つの流入口14と2つの流出口16,18とを有する枡本体12を備えており、災害時に便器が取り付けられて仮設トイレとして使用される仮設トイレシステム100に適用され、そこで流路切り替え装置として用いられる。
【0032】
先ず、後述するこの発明の理解に必要な範囲で、仮設トイレシステム100について簡単に説明する。
【0033】
図1および図2に示すように、仮設トイレシステム100は、たとえば地震等の災害が発生した際に避難場所となる学校や公園等の避難区域の地中に施工される仮設トイレ用配管を含み、この仮設トイレ用配管は、複数のマンホール102、およびそれらと連通する第1排水管104を備えている。そして、災害が発生した際には、地上の所定位置に便器106や仮設小屋108を取り付けることにより、この仮設トイレシステム100を仮設トイレとして使用することが可能である。
【0034】
マンホール102は、予め定めた便器106の設置位置に対応させて地中に埋設されている。なお、図1および図2では、4つのマンホール102を等間隔に並べて配置しているが、これは単なる例示であり、マンホール102の配置個数は、避難区域の広さ等に応じて適宜変更され得る。この4つのマンホール102は、それぞれ同等のものであり、たとえば硬質塩化ビニル製のリブ付き小型マンホールであって、その径は、たとえば300mmである。
【0035】
マンホール102の側壁の最下部には、流入部110と流出部112とがほぼ同一の管軸に沿ってほぼ一直線上に形成されている。流入部110および流出部112は、ともに短円筒形状の受口構造であって、ここにそれぞれ上流側ないし下流側の第1排水管104が挿入されてゴム輪接合される。
【0036】
また、マンホール102の上端部には、鉛直上方に向かって開口するゴム輪受口114が形成されており、このゴム輪受口114には、鉛直上方に立ち上がる縦管116が接合される。縦管116の長さ寸法は、マンホール102の設置深さに応じて適宜調整され、上流側のマンホール102に接続されたものほど小さくなるようにされている。さらに、縦管116の上側開口部は内蓋(図示せず)によって閉じられており、その上側開口部の外側(周囲)には、台座および受枠を介して防護蓋が設置され、この防護蓋118の上面が地表面200に臨んでいる。
【0037】
このようにして、各マンホール102が第1排水管104を介して接続されている。第1排水管104は、たとえば硬質塩化ビニル製のリブ付き管であり、所定の下り勾配(たとえば18/1000程度)を付けて配設され、各マンホール102の内部と連通した排水管路を形成する。
【0038】
さらに、第1排水管104よりも上流側には、第1排水管104の上流側へ仮設トイレの洗浄用水を送り込む送水手段として、貯水タンク120が設置される。具体的には、貯水タンク120は、最上流側に配置されたマンホール102の流入部110に接続された第1排水管104とゲート弁122を介して接続される。貯水タンク120には、たとえば給水ポンプ(図示せず)から水が供給され、ゲート弁122を閉じることによって、供給された水を貯水タンク120の内部に留めておき、ゲート弁122を開くことによって、この貯水タンク130内に溜められた水を第1排水管104の上流側の管端へ送り込む。
【0039】
さらにまた、第1排水管104の下流側には、上述した枡10を介して、第2排水管124および第3排水管126が接続されている。具体的には、図1および図3に示すように、枡10の流入口14に、第1排水管104の下流側の端部が接続され、枡10の一方の流出口(第1流出口)16に、第2排水管124の上流側の端部が接続され、枡10の他方の流出口(第2流出口)18に、第3排水管126の上流側の端部が接続される。
【0040】
第2排水管124は、枡10の第1流出口16から流出した排水を公共枡128を通じて既設の下水管(公共下水道)130まで送る管路であって、複数の直管、可撓管および継手などを適宜連結して形成される。
【0041】
また、第3排水管126は、枡10の第2流出口18から流出した排水を貯留槽132まで送る管路であって、複数の直管、可撓管および継手などを適宜連結して形成される。貯留槽132は、たとえばレジンコンクリートによって形成され、災害時などには、各マンホール102に溜まった汚物を含む排水を貯留するために用いられる。また、災害時以外の時には(つまり、貯留槽128を使用する前の状態では)、図示しないゲート弁などによって内部の空間を水密的に密閉しており、上述した便器106や仮設小屋108などの備品を収容するケーシングとして好適に兼用される。
【0042】
以上で、枡10を流路切り替え装置として用いた仮設トイレシステム100について説明した。
【0043】
以下に、このような仮設トイレシステム100を前提にして、必要に応じてそれらを援用しながら、本発明の実施例または実施形態について説明する。
【0044】
図4および図5に示すように、枡10は、塩化ビニルなどの合成樹脂からなり、上述したように、1つの流入口14と2つの流出口16,18とを有する枡本体12とインバートブロック20とを備えている。
【0045】
なお、この発明では、2つの流出口16,18を第1流出口16と第2流出口18として使い分け、それぞれ異なる排水管との接続部として利用しているが、説明の際にこれらを区別する必要がない場合には、単に流出口16,18と記載することに留意されたい。
【0046】
枡本体12は、側壁22および底板24からなり、有底円筒状に形成され、側壁22の上端部には、鉛直上方に向かって開口する点検口26が形成されている。側壁22の径は、たとえば300mmであり、その上下方向の長さ(つまり、高さ)は、たとえば1000mmである。
【0047】
枡本体12の側壁22には、短円筒状に外側に突き出す1つの流入部28が形成されている。流入部28は、受口構造を有しており、ここに上述した第1排水管104が挿入される。たとえば、流入部28の内面には、ゴム溝が形成されており、そのゴム溝に装着されたゴム輪(図示せず)によって第1排水管104との接合部が密封されている。流入部24は、上流側に位置する第1排水管104の端部と接続される接続部であるとともに、その開口が上流側から枡10内に排水を流入させる流入口14として用いられる。流入口14の径は、たとえば150mmである。
【0048】
さらに、枡本体12の側壁22には、短円筒状に外側に突き出す第1および第2流出部30,32がそれぞれ形成されている。第1および第2流出部30,32は、各々が流入口14の軸線と直交または略直交し、かつ同一の管軸に沿ってほぼ一直線上に形成されている。
【0049】
第1流出部30は、差口構造を有しており、上述した第2排水管124の端部の継手等に挿入されて、接着接合等される。第1流出部30は、下流側に位置する第2排水管124の端部に接続される接続部であるとともに、その開口が枡10内の排水を下水管130に流出させる第1流出口16として用いられる。第1流出口16の径は、たとえば150mmである。
【0050】
また、第2流出部32は、差口構造を有しており、上述した第3排水管126の端部の継手等に挿入されて、接着接合等される。第2流出部32は、下流側に位置する第3排水管126の端部が接続される接続部であるとともに、その開口が枡10内の排水を貯留槽132に流出させる第2流出口18として用いられる。第2流出口18の径は、たとえば150mmである。
【0051】
さらに、枡本体12内の底部、つまり底板24の上側には、インバートブロック20が設置されている。
【0052】
図6および図7に示すように、インバートブロック20は、塩化ビニル等の合成樹脂やゴム等の材料からなり、枡本体12の内側形状(内形)に適合する外側形状(外形)を有するブロック本体34を含む。たとえば、この実施例では、ブロック本体34は、枡本体12の側壁22の内径とほぼ等しい外径の円柱状に形成され、その下面が底板24の上面に密着し、かつその外面が側壁22の内面に密着するように設置されている(図5参照)。
【0053】
さらに、ブロック本体34の上面には、インバート溝36が形成されている。インバート溝36は、断面形状がほぼ半円形の溝であり、流入口14および流出口16,18の下半分の形状と適合する形状を有している。インバート溝36は、インバートブロック20を所定の向き(周方向位置)で設置した時に、その長手方向の両端部が流入口14と第1および第2流出口16,18のいずれか一方とに連なるように(形状に)されており、流入口14と第1および第2流出口16,18のいずれか一方とを連通する流路を形成する。
【0054】
たとえば、この実施例では、枡本体12の流入口14と各流出口16,18とを互いに直交するように形成しているので、インバート溝36は、その長手方向において、ブロック本体34の周縁の一方端部からブロック本体34の周縁の他方端部に向けて約90°湾曲する弧状に形成されている。
【0055】
また、インバートブロック20は、枡本体12内で周方向に回動自在に設置されており、インバートブロック20を回動させて、インバートブロック20の周方向位置を変えることによって、流入口14から枡本体12内に流入した排水の流出先を第1および第2流出口16,18のいずれか一方に切り替えることが可能である。すなわち、インバートブロック20の周方向位置によって排水の流出先が規定され、流入口14から枡本体12内に流入した排水をインバート溝36を通して第1および第2流出口16,18のいずれか一方に選択的に流出させることができる。
【0056】
具体的には、インバートブロック20を、そのインバート溝36の長手方向の両端部が流入口14および第1流出口16と連なる周方向位置にセット(設置)した第1状態と、インバートブロック20を、そのインバート溝36の長手方向の両端部が流入口14および第2流出口18と連なる周方向位置にセットした第2状態とに切り替えることができ、図8(a)に示すように、インバートブロック20を第1状態で設置している時には、流入口14から枡本体12内に流入した排水が第1流出口16に流出されることとなり、図8(b)に示すように、インバートブロック20を第2状態で設置している時には、流入口14から枡本体12内に流入した排水が第2流出口18に流出されることとなる。
【0057】
したがって、このような枡10を仮設トイレシステム100において流路切り替え装置として用い、下水管130の状況に応じて、枡10内に流入した排水の流出先を第1および第2流出口16,18のいずれか一方に選択的に切り替えることによって、各マンホール102内に溜まった汚物を含む排水の処理先を選択することが可能である。
【0058】
以下には、図1および図8を参照して、仮設トイレシステム100を利用した仮設トイレにおいて、下水管130を使用可能な通常時に、各マンホール102内に溜まった汚物を含む排水を処理する方法について具体的に説明する。
【0059】
先ず、枡本体12内の底部に設置されたインバートブロック20を回動させて、インバートブロック20をそのインバート溝36の長手方向の両端部が流入口14および第1流出口16と連なった第1状態でセットして、第1排水管104と第2排水管124とを連通させておく。
【0060】
なお、枡本体12内の底部に設置されたインバートブロック20を回動させる方法としては、インバートブロック20の上面に図示しない孔などを設け、その孔に差し込んだ棒などを作業員の手作業によって回転させる方法などが考えられるが、特に限定されるものではない。
【0061】
続いて、各マンホール102内に溜まった汚物を洗浄(掃流)するための洗浄用水を貯水タンク120に給水し、ゲート弁122を適宜のタイミングで開いて、貯水タンク130内に溜まった水のうち所定量の水を第1排水管104の上流側の管端に流入させる。ゲート弁72を開くタイミングや貯水タンク130から送り込む水の量は、各マンホール102内に溜められた汚物を、比較的少ない水を使用して掃流させることができるように適宜調整する。
【0062】
すると、第1排水管104を流下する水とともに各マンホール102内に溜まった汚物が、所定の勾配で埋設されている第1排水管104を所定の速度で流下し、各マンホール102内に溜まった汚物を含む排水が、第1排水管104の下流側の端部から枡10内に導かれる。
【0063】
そして、流入口14から枡本体12内に流れ込んだ排水が、インバート溝36を通って第1流出口16から第2排水管124に流れ込み、第2排水管124を通って下水管130に排出されることとなる。
【0064】
次に、下水管130が被災するなどして使用できなくなった(機能しなくなった)時に各マンホール102内に溜まった汚物を含む排水を処理する方法について具体的に説明する。
【0065】
先ず、枡本体12内の底部に設置されたインバートブロック20を回動させて、インバートブロック20をそのインバート溝36の長手方向の両端部が流入口14および第2流出口18と連なった第2状態でセットし、第1排水管104と第3排水管126とを連通させておく。
【0066】
続いて、上述したのと同じ要領で、各マンホール102内に溜まった汚物を洗浄するための洗浄用水を貯水タンク120に給水し、ゲート弁122を適宜のタイミングで開いて、貯水タンク130内に溜まった水のうち所定量の水を第1排水管104の上流側の管端に流入させる。
【0067】
すると、第1排水管104を流下する水とともに各マンホール102内に溜まった汚物が、所定の勾配で埋設されている第1排水管104を所定の速度で流下し、各マンホール102内に溜まった汚物を含む排水が、第1排水管104の下流側の端部から枡10内に導かれる。
【0068】
そして、流入口14から枡本体12内に流れ込んだ排水が、インバート溝36を通って第2流出口18から第3排水管126に流れ込み、第3排水管126を通って貯留槽132の内部に排出され、そのまま貯留槽132の内部に貯留される。
【0069】
その後、下水管130が復旧した時などに、貯留槽132の上部の点検口などから貯留槽132の内部にバキュームカーの吸込ホースなどを差し込んで、その吸込ホースによってバキュームカーの収集タンクの中などに回収する。
【0070】
以上のように、この実施例の枡10では、流入口14から枡本体12内に流入した排水の流出先を第1および第2流出口16,18のいずれか一方に選択的に切り替えることが可能である。したがって、このような枡10を仮設トイレシステム100において流路切り替え装置として用いるようにすれば、下水管130の状況に応じて、各マンホール102内に溜まった汚物を含む排水の処理先を選択することが可能になる。
【0071】
すなわち、下水管130を使用可能な時には、枡10のインバートブロック20を第1状態で設置して、第1排水管104と第2排水管124とを連通させておくことにより、各マンホール102内に溜まった汚物を含む排水を下水管130に直接排出することが可能である。一方、下水管130を使用することができない時には、インバートブロック20を第2状態で設置し(第2状態に切り替えて)、第1排水管104と第3排水管126とを連通させておくことにより、各マンホール102内に溜まった汚物を含む排水を貯留槽132の内部に排出して、貯留槽132内に一時的に貯留しておくことが可能である。
【0072】
したがって、この実施例によれば、地震等の災害時に下水管130が使用できなくなった場合であっても、仮設トイレなどの排水設備を使用可能にすることができるようになる。
【0073】
なお、上述の実施例では、インバートブロック20のブロック本体34が、枡本体12の側壁22の内径とほぼ等しい外径の円柱状に形成され、その下面が底板24の上面に密着し、かつその外面が枡本体12の側壁20の内面に密着したが、これに限定される必要はない。図示は省略するが、ブロック本体34の側面や下面に凹凸を設けることにより、ブロック本体34の側面や下面と枡本体12の内面(側壁22の内面、底板24の上面)とが接する面積を小さくして、インバートブロック20の回動時の摩擦力を低減させるようにしてもよい。
【0074】
また、上述の実施例では、枡10の流入部28が受口構造を有していて、そこに第1排水管104が挿入されるとともに、枡10の第1および第2流出部30,32が差口構造を有していて、そこが第2排水管126ないし第3排水管128の端部の継手等に挿入されて、接着接合等されたが、これに限定される必要はない。枡10の流入部28ならびに第1および第2流出部30,32は、あくまで各排水管104,126,128との接続部であればよく、受口構造であっても差口構造であってもよい。
【0075】
さらに、上述の実施例では、インバート溝36は、断面形状がほぼ半円形の溝であり、流入口14および流出口16,18の下半分の形状と適合する形状を有してたが、これに限定される必要はない。流入口14から枡10内に流入した排水をインバート溝36を通して流出口16,18に流出させることができるのであれば、インバート溝36の形状は特に限定されない。なお、ブロック本体34の上面にインバート溝36を形成するようにすると、インバートブロック20の周方向位置が正しいかどうかを、たとえば点検口26から目視確認することができるため、好適である。
【0076】
さらにまた、図9に示すこの発明の他の実施例の枡10では、枡10のインバートブロック20を正確かつ簡単に第1状態や第2状態で設置できるように、インバートブロック20が回動する範囲を規制する規制手段が設けられる。以下、先の実施例と同様の部分については、同じ参照番号を用い、その説明を省略或いは簡略化する。
【0077】
図10に示すように、枡本体12内の底板24上の所定位置には、突起状のストッパ38が形成される。たとえば、この実施例では、ストッパ38は、側壁22の内面に沿うように底板24の周縁部に形成され、流入口14の位置に対向する位置に配置される。
【0078】
また、図11および図12に示すように、インバートブロック20のブロック本体34の底面には、ストッパ38を収容可能な形状に窪ませた窪み部40が形成される。窪み部40は、断面形状がストッパ38の断面とほぼ同じ形状であって、かつ長手方向がブロック本体34の側面に沿って湾曲する窪み(溝)であり、インバートブロック20を枡本体12内に設置した時には、窪み部40の内部にストッパ38が収容される。そして、窪み部40の内部にストッパ38を収容した状態でインバートブロック20を回動させるようにすると、インバートブロック20の窪み部40の長手方向の端部にストッパ38が当たる(当接する)ことにより、インバートブロック20の回動範囲が規制される。
【0079】
窪み部40は、その長手方向の一方端部にストッパ38が当たった時にインバートブロック20を第1状態で設置でき、かつその長手方向の他方端部にストッパ38が当たった時にインバートブロック20を第2状態で設置できることができるように、所定の形状に形成されている。
【0080】
たとえば、この実施例では、枡本体12の流入口14と流出口16,18とが互いに直交するように形成されていて、流入口14に対向する位置にストッパ38が形成されているので、窪み部40は、約90°の範囲で湾曲する弧状に形成されており、その長手方向の一方端部がインバート溝36の長手方向の一方端部と対向する位置に配置され、かつその長手方向の他方端部がインバート溝36の長手方向の他方端部と対向する位置に配置されている。
【0081】
このような枡10では、図9(a)に示すように、インバートブロック20をその窪み部40の一方端部にストッパ38が当たるまで回動させて、その周方向位置にセットすることにより、インバートブロック20が第1状態で設置されて、流入口14と第1流出口16とが連通される。また、図9(b)に示すように、インバートブロック20をその窪み部40の長手方向の他方端部にストッパ38が当たるまで回転させて、その周方向位置にセットすることにより、インバートブロック20が第2状態で設置されて、流入口14と第2流出口18とが連通される。
【0082】
このように、この実施例によれば、インバートブロックが回動する範囲を規制手段によって規制して、インバートブロック20をその窪み部40にストッパ38が当たるまで回動させた時に、インバートブロック20が所定の周方向位置に位置決めされるようにしているので、インバートブロック20を正確かつ簡単に第1状態ならびに第2状態で設置することができるようになる。
【0083】
なお、この実施例では、枡本体12内の底板24上に突起状のストッパ38が形成され、インバートブロック20のブロック本体34の底面に、ストッパ38を収容可能な形状の窪み部40が形成されたが、これに限定される必要はない。
【0084】
たとえば、枡本体12の側壁22の内面に突起状のストッパを形成するとともに、インバートブロック20のブロック本体34の側面に窪み部を形成するようにしてもよいし、また、枡本体12の内面に窪み部を形成するとともに、インバートブロック20のブロック本体34の外面に突起状のストッパを形成するようにしてもよい。さらにまた、枡本体12の内面に第1ストッパを形成するとともに、インバートブロック20のブロック本体34の外面に第1ストッパと係止する第2ストッパを設けるようにしてもよい。
【0085】
要は、インバートブロックの回動範囲を規制手段によって規制して、インバートブロック20をその規制手段に規制されるまで回動させた時に、インバートブロック20が所定の周方向位置に位置決めされるようにすることができるのであれば、規制手段は特に限定されない。
【0086】
さらにまた、この発明の他の実施例の枡10では、枡本体12内に図13に示すインバートブロック20が設置され、インバートブロック20が枡本体12の点検口26から操作部材46によって上下方向に移動可能かつ周方向に回動可能にされる。以下、先の実施例と同様の部分については、同じ参照番号を用い、その説明を省略或いは簡略化する。
【0087】
図13に示すように、インバートブロック20のブロック本体34の上面には、立ち上がり部42が一体的に形成される。立ち上がり部42は、枡本体12の側壁22の内面に沿う円筒状に形成され、ブロック本体34の周縁部から円筒状に立ち上がり、その外面がブロック本体34の側面と連続している。
【0088】
立ち上がり部42の上端開口縁には、立ち上がり部42の直径方向において対峙する2点に切り欠きが形成され、それらの切り欠きが装着部44として利用される。装着部44は、後述する操作用部材46を装着するための部位であり、この装着部44と操作用部材46とが、インバートブロック20を枡本体12の点検口26から上下方向に移動可能かつ周方向に回動可能に操作する操作手段として機能する。
【0089】
装着部44は、立ち上がり部42の上端開口縁から下方に延びる第1装着部44aと、第1装着部44aの下端から直交して立ち上がり部42の周方向に延びる第2装着部44bと、第2装着部44bの端部から直交して上下方向に延びる第3装着部44cとによって構成され、図14に示すように、2つの装着部44が立ち上がり部42の中心を定点としてほぼ点対称に形成される。
【0090】
なお、2つの装着部44のうち一方は、第3装着部44cがインバート溝36の長手方向の端部の鉛直上方向に位置するように形成される。こうすることにより、後述する操作用部材46を第3装着部44cに配置した時に、操作用部材46の向きを枡本体12の流入口14ないし流出口16,18の位置に合わせることによって、インバートブロック20を適正な周方向位置に(つまり、第1状態ないし第2状態で)設置できているか否かの目安にすることができるようになる。
【0091】
また、図15に示すように、操作用部材46は、塩化ビニルなどの合成樹脂からなる長尺部材である。操作用部材46は、枡本体12の側壁22の上下方向の長さ管長に対応する長さの筒状に形成される縦部材48aと、立ち上がり部42の外径と略等しい長さの筒状に形成されて縦部材48の上端部に設けられる上側横部材48bと、立ち上がり部42の外径と略等しい長さの筒状に形成されて縦部材48の下端部に設けられる下側横部材48cとからなり、略I字形状を有している。
【0092】
このような枡10では、インバートブロック20を枡本体12内へ設置する時には、図16(a)に示すように、操作用部材46の下側横部材48cを第1装着部44aに通す。それから、第2装着部44bを通して、図16(b)に示すように、第3装着部44cの下部に装着し、その状態で操作用部材46を枡本体12の点検口26に挿入して下方向に押し込むことによって、インバートブロック20を枡本体12の底板24上に載置する。
【0093】
また、インバートブロック20を回動させて、インバートブロック20を第1状態ないし第2状態で設置する(切り替える)時には、インバートブロック20の第3装着部44cの下部に操作用部材46の下側横部材48cを装着した状態で、操作用部材46の上側横部材48bを周方向に回動させることによってインバートブロック20を回動させて、インバート溝36の長手方向の両端部の位置を枡本体12の流入口14および流出口16,18の位置に合わせる。
【0094】
さらに、インバートブロック20を取り外す際には、インバートブロック20の第3装着部44cの上部に操作用部材46の下側横部材48cを装着した状態で、操作用部材46を上方向に持ち上げることによってインバートブロック20を上方向に移動させて、インバートブロック20を枡本体12の点検口26などから外部に取り出す。
【0095】
このように、この実施例では、インバートブロック20の装着部44に操作用部材46を装着して、枡本体12の点検口26から操作用部材46を操作することによって、インバートブロック20を上下方向に移動かつ周方向に回動させることが可能である。したがって、インバートブロック20を設置し、所定の周方向位置に回動させる作業や、インバートブロック20を取り外す作業を簡単に行うことができ、作業性に優れる。
【0096】
さらに、たとえばインバートブロック20のインバート溝36などに異物が詰まった場合にも、枡本体12からインバートブロック20を簡単に取り外して、異物を除去することが可能であるので、枡10の維持管理性が向上する。
【0097】
なお、上述の実施例では、インバートブロック20のブロック本体34の上面に、枡本体12の側壁22の内面に沿う円筒状の立ち上がり部42が形成され、その立ち上がり部42の上端開口縁に装着部44が形成されたが、これに限定される必要はない。
【0098】
たとえば、必ずしも立ち上がり部42の上端開口縁に装着部44を形成する必要はなく、上端開口縁に装着部44を有しない立ち上がり部42を形成するようにしてもよい。この場合であっても、インバートブロック20の設置時などに、立ち上がり部42が枡本体12の側壁22の内面に沿うことにより、枡本体12内でインバートブロック20の転び等が生じることを防止できるようになる。
【0099】
また、必ずしも立ち上がり部42を枡本体12の側壁22の内面に沿う円筒状に形成する必要はなく、立ち上がり部42の形状はこの発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更するようにしてもよい。また、装着部44や操作用部材45の形状も、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更するようにしてもよい。
【0100】
さらに、ブロック本体34の上面に立ち上がり部42を形成せずに、ブロック本体34の上面に直接、装着部44を設けるようにしてもよい。
【0101】
ところで、上述の各実施例ではいずれも、枡10内にインバートブロック20を設置し、そのインバートブロック20を回動させて第1状態ないし第2状態で設置する(切り替える)ことによって、流入口14から枡本体12内に流入した排水の流出先を第1および第2流出口16,18のいずれか一方に選択的に切り替えるようにした。
【0102】
しかしながら、これに限定される必要はない。要は、枡10が流入口14から枡本体12内に流入した排水の流出先を第1および第2流出口16,18のいずれか一方に切り替える切り替え手段を備えているのであればよく、その切り替え手段には、任意の方法を採用することができる。
【0103】
たとえば、図17および図18に示すこの発明のさらに他の実施例の枡10では、枡本体12の内部にインバートブロック20が設けられる代わりに、枡本体12の底板24にインバート50が形成され、そのインバート50に閉塞部材52が設けられる。以下、先の実施例と同様の部分については、同じ参照番号を用い、その説明を省略或いは簡略化する。
【0104】
図17および図18に示すように、枡10は、塩化ビニルなどの合成樹脂からなり、1つの流入口14と2つの流出口16,18とを有する枡本体12を備えている。枡本体12は、側壁22および底板24からなり、有底円筒状に形成され、側壁22の上端部には、鉛直上方に向かって開口する点検口26が形成されている。
【0105】
枡本体12の側壁22には、短円筒状に外側に突き出す1つの流入部28が形成されている。流入部28は、受口構造を有しており、上流側に位置する第1排水管102の端部と接続される接続部であるとともに、その開口が上流側から枡10内に排水を流入させる流入口14として用いられる。
【0106】
さらに、枡本体12の側壁22には、短円筒状に外側に突き出す第1および第2流出部30,32がそれぞれ形成されている。第1流出部30は、差口構造を有しており、流入口14と同一の管軸に沿ってほぼ一直線上に形成され、下流側に位置する第2排水管124の端部に接続される接続部であるとともに、その開口が枡10内の排水を下水管130に流出させる第1流出口16として用いられる。また、第2流出部32は、差口構造を有しており、流入口14および第1流出口16の軸線と直交または略直交する位置に形成され、下流側に位置する第3排水管126の端部が接続される接続部であるとともに、その開口が枡10内の排水を貯留槽132に流出させる第2流出口18として用いられる。
【0107】
さらに、枡本体12内の底部、つまり底板24の上側には、インバート50が一体的に形成されている。図19および図20に示すように、インバート50は、断面形状がほぼ半円形の溝であり、流入口14および各流出口16,18の下半分の形状と適合する形状を有している。インバート50は、流入口14から底板24の中心部に向かう第1インバート部50aと、第1流出口16から底板24の中心部に向かう第2インバート部50bと、第2流出口18から底板24の中心部に向かう第3インバート部50cとを含み、平面視で略T字形状を有している。このインバート50では、第1インバート部50aと第2インバート部50bとが連なって、流入口14と第1流出口16とを連通する第1流路を形成するとともに、第1インバート部50aと第3インバート部50cが連なって、流入口14と第2流出口18とを連通する第2流路を形成している。
【0108】
また、図17および図18に戻って、枡本体12内の底部のインバート50には、閉塞部材52が設置される。
【0109】
閉塞部材52は、図21および図22に示すように、塩化ビニルなどの合成樹脂からなり、インバート50の断面形状に適合する形状の閉塞部54を含み、閉塞部材42をインバート50へ設置した時には、この閉塞部54がインバート50に嵌め込まれて、流路を塞ぐ。また、閉塞部54の外側、つまり枡本体12の側壁22側には、当たり部56が一体的に形成される。当たり部56は、枡本体12の側壁22の内面に沿うように湾曲する板状に形成され、閉塞部材42をインバート50へ設置した時には、この当たり部56を枡本体12の側壁22の内面に沿わせることによって、閉塞部材52の位置を安定させる。
【0110】
このような枡10では。図23(a)および(b)に示すように、枡本体12のインバート50の第2インバート部50bおよび第3インバート部50cのいずれか一方に閉塞部材52を設置することにより、閉塞部材52を設置したインバート部が第1インバート部50aとともに形成している流路が閉塞されて、残りの(もう一方の)インバート部が第1インバート部50aとともに形成している流路が開通されることとなる。
【0111】
すなわち、閉塞部材52を設置するインバート部を切り替えることによって排水の流出先が規定され、流入口14から枡本体12内に流入した排水を第1および第2流出口16,18のいずれか一方に選択的に流出させることができる。
【0112】
具体的には、閉塞部材52を第3インバート部50cにセット(設置)した第1状態と、閉塞部材52を第2インバート部50bにセットした第2状態とに切り替えることができ、図23(a)に示すように、閉塞部材52を第3インバート部50cに設置して、流入口14と第1流出口16とを連通する第1流路を開通させた第1状態では、流入口14(第1排水管104)から枡本体12内に流入した排水が第1流出口16(第2排水管124)に流出されることとなり、図23(b)に示すように、閉塞部材52を第2インバート部50bに設置して、流入口14と第2流出口18とを連通する第2流路を開通させた第2状態では、流入口14(第1排水管104)から枡本体12内に流入した排水が第2流出口18(第2排水管126)に流出されることとなる。
【0113】
以上のように、この実施例においても、図1の実施例と同様に、流入口14から枡本体12内に流入した排水の流出先を第1および第2流出口16,18のいずれか一方に切り替えることが可能である。したがって、この枡10を仮設トイレシステム100に適用することによって、下水管130の状況に応じて、各マンホール102内に溜まった汚物を含む排水の処理先を選択することができるようになる。
【0114】
すなわち、下水管130を使用可能な時には、枡10の閉塞部材52をインバート50の第3インバート部50cにセットして(第1状態にして)、第1排水管104と第2排水管124とを連通させておくことにより、各マンホール102内に溜まった汚物を含む排水を下水管130に直接排出することが可能である。一方、下水管130を使用することができない時には、閉塞部材52をインバート50の第2インバート部50bにセットして(第2状態に切り替えて)、第1排水管104と第3排水管126とを連通させておくことにより、各マンホール102内に溜まった汚物を含む排水を貯留槽132の内部に排出して、貯留槽132内に一時的に貯留しておくことが可能である。
【0115】
したがって、この実施例においても、地震等の災害時に下水管130が使用できなくなった場合であっても、仮設トイレなどの排水設備を使用可能にすることができるようになる。
【0116】
なお、この実施例では、1つの閉塞部材52を第2インバート部50bおよび第3インバート部50cのいずれかに付け替えることによって、流入口14から枡本体12内に流入した排水の流出先を第1および第2流出口16,18のいずれか一方に切り替えるようにしたが、これに限定される必要はない。
【0117】
たとえば、予め閉塞部材52を第2インバート部50bおよび第3インバート部50cのそれぞれに設置しておき、使用する流路に応じてその流路を塞ぐ閉塞部材52を取り外すようにしてもよい。こうすることにより、臭気等の枡10内への侵入を防止することが可能になる。
【0118】
また、閉塞部54を上下動可能に形成した閉塞部材52を第2インバート部50bおよび第3インバート部50cのそれぞれに設置し、当たり部56を側壁22の内面に固定しておき、使用する流路に応じてその流路を塞ぐ閉塞部材52の閉塞部54を上側に動かして流路を開放するようにしてもよい。
【0119】
さらにまた、この実施例の枡10の閉塞部材52に立ち上がり部60を形成し、閉塞部材52を枡本体12の点検口26から操作部材46によって付け替えるようにしてもよい。
【0120】
図24および図25に示すように、閉塞部材52の当たり部56の上側には、立ち上がり部58が形成される。立ち上がり部58は、当たり部56と一体的に形成され、当たり部56からそのまま円筒状に立ち上がり、その外面が当たり部56の外面と連続している。
【0121】
立ち上がり部58の上端開口縁には、立ち上がり部58の直径方向において対峙する2点に装着部60が形成される。装着部60は、立ち上がり部58の上端開口縁から下方に延びる第1装着部60aと、第1装着部60aの下端から直交して立ち上がり部58の周方向に延びる第2装着部60bと、第2装着部60bの端部から直交して上下方向に延びる第3装着部60cとによって構成される。
【0122】
このような枡10では、閉塞部材52をインバート50のインバート部へ設置する時に、閉塞部材52の立ち上がり部58の装着部60の第3装着部60cに上述した操作用部材46を装着し、操作用部材46を枡本体12の点検口26から操作して、閉塞部材52をインバート50のインバート部へ嵌め込んで、一方の流路を閉塞させる。そして、閉塞部材52を他のインバート部へ設置する(つまり、付け替える時)には、閉塞部材52の第3装着部60cの上部に操作用部材46を装着した状態で、操作用部材46を持ち上げて閉塞部材52をインバート50のインバート部から取り外し、そのまま他のインバート部に設置するようにする。
【0123】
なお、上の説明では、本発明の枡10を仮設トイレシステム100に適用し、そこで枡10を仮設トイレ用配管から流出する排水の排出先を選択する流路切り替え装置としてとして用いるようにしたが、これに限定される必要はない。たとえば、仮設トイレ用配管とその最下流に配置された簡易貯留槽とに初期水を貯留し、所定時間ごとに簡易貯留槽の底部開口部を開放することで初期水とともに汚物を下水管に排出するタイプの仮設トイレシステムに本発明の枡10を適用し、そこで枡10を簡易貯留槽から排出される排水の排出先を選択する流路切り替え装置として用いるようにしてもよい。
【0124】
また、必ずしも本発明の枡10を仮設トイレシステムにおける流路切り替え装置として用いる必要もなく、既設下水管(公共下水道)を利用した排水設備であれば、仮設トイレ以外の排水設備においても流路切り替え装置として好適に用いることができる。
【0125】
さらにまた、仮設トイレシステムにおいても、必ずしも流路切り替え装置として本発明の枡10を利用する必要はなく、流路切り替え装置として三方弁などを利用するようにしてもよいし、流路切り替え装置の2つの流出口のそれぞれに仕切り弁を設けることによって排水の排出先を選択する(切り替える)ようにしてもよい。
【0126】
さらに、上述した寸法等の具体的数値は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0127】
10 …枡
12 …枡本体
14 …流入口
16 …第1流出口
18 …第2流出口
20 …インバートブロック
38 …ストッパ
40 …窪み部
42 …立ち上がり部
50 …インバート
52 …閉塞部材
100 …仮設トイレシステム
104 …第1排水管
124 …第2排水管
126 …第3排水管
130 …下水管
132 …貯留槽
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24