特許第6068052号(P6068052)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6068052
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20170116BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20170116BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20170116BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20170116BHJP
   B60R 1/04 20060101ALI20170116BHJP
   B60R 1/12 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   G02F1/1335 510
   G02F1/13357
   G02F1/13 505
   G02F1/133 580
   G02F1/133 535
   B60R1/04 D
   B60R1/12 A
   B60R1/12 Z
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-183876(P2012-183876)
(22)【出願日】2012年8月23日
(65)【公開番号】特開2014-41274(P2014-41274A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年8月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103747
【氏名又は名称】京セラディスプレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100152054
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 孝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100150898
【弁理士】
【氏名又は名称】祐成 篤哉
(74)【代理人】
【識別番号】100120569
【弁理士】
【氏名又は名称】大阿久 敦子
(72)【発明者】
【氏名】早田 祐二
(72)【発明者】
【氏名】中川 豊
【審査官】 堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−008881(JP,A)
【文献】 特開2001−318374(JP,A)
【文献】 特開平03−243914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335
B60R 1/04
G02F 1/133
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側の第1面とは反対の背面側の第2面に第1の電極および第2の電極を有する第1の基板と、
前記第1の基板と対向配置され、該第1の基板の第2面と対向する第1面に、前記第1の電極に対向する第3の電極、および、前記第2の電極に対向する第4の電極を有する第2の基板と、
前記第1の基板の第2面側と前記第2の基板の第1面側との間に挟持された液晶層と、 前記第1の基板の前記第1面側に配置された偏光板と、
前記第2の基板の背面側となる第2面側に配置され、透過軸と直交する方向に偏光した光を反射する反射型偏光板と、
前記反射型偏光板の背面側に配置されたバックライトとを有し、
前記第1の電極と前記第3の電極との対向領域が第1の領域を形成し、前記第2の電極と前記第4の電極との対向領域が第2の領域を形成する液晶表示素子であって、
前記液晶層の液晶は負の誘電異方性を有し、
前記第1の基板の第2面および前記第2の基板の第1面にはそれぞれ、前記液晶層と接する垂直配向性の液晶配向膜が設けられ、該液晶配向膜は、該液晶層の液晶がプレチルト角を有して垂直配向するように、上下方向と直交する水平方向に対し35°〜55°の方向の配向処理がなされており、
前記偏光板は、その透過軸が前記液晶配向膜の配向処理の方向と35°〜55°の方向となるように配置され、
前記反射型偏光板は、その透過軸が前記偏光板の前記透過軸と直交するように配置され、
前記第1の電極と前記第3の電極との間および前記第2の電極と前記第4の電極との間の電圧の印加により、前記第1の領域および前記第2の領域で、互いに独立に、前記液晶を配向変化させて前記反射型偏光板から光の反射および前記バックライトからの光の透過の制御をするように構成されたことを特徴とする液晶表示素子。
【請求項2】
前記バックライトに代えて、バックライト付き液晶表示素子または発光型表示素子が配置されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
【請求項3】
前記第1の基板の第1面と対向する第1の方向から入射する光を感知する第1の光センサと、前記第1の方向以外の周囲から入射する光を感知する第2の光センサとを備え、該第1の光センサで感知された光の強度と該第2の光センサで感知された光の強度とを比較して、前記第1の領域および前記第2の領域の少なくとも一方で、前記反射型偏光板からの光の反射の前記制御をすることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示素子。
【請求項4】
前記第1の領域は、前記反射型偏光板からの光の反射を用いたミラー領域となり、前記第1の電極と前記第3の電極との間の電圧の印加により、前記液晶を配向変化させ、前記反射型偏光板からの光の反射を制御するように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、一対の基板間に液晶層を挟持して構成される。液晶表示素子は、透過型として用いられる場合、ガラス基板等の光透過性の基板を用いる。液晶層は、例えば、ネマチック相の液晶(以下、ネマチック液晶とも言う。)から形成できる。各基板の液晶層側の面には、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫)等の透明導電材料からなる、パターニングされた電極を設けることができる。電極の形状は、液晶表示素子における表示のパターンに対応する。各基板上の電極と液晶層との間には、液晶層の均一な初期配向を実現する液晶配向膜を設けることが好ましい。
【0003】
さらに、液晶表示素子において、液晶層を挟持する各基板上には、一対の偏光板が設けられることが好ましい。そして、液晶表示素子では、各基板上の電極間に印加される電界に応じて、液晶層が初期の状態から配向変化する。液晶表示素子は、液晶層の配向変化を利用し、液晶層および偏光板間を透過する光を制御して、画像の表示を行うことができる。
【0004】
こうした液晶表示素子は、薄型、高解像度、および低駆動電圧等の特徴を有する。液晶表示素子は、時計、電卓、家電製品、テレビ、スロットマシーン等の遊技機、自動車のインストルメントパネル、またはパソコンの表示素子等、多様な機器の表示素子として用いられ、さらに用途を拡大している。
【0005】
液晶表示素子では、そうした用途拡大に対応する技術の1つに、従来の表示素子としての機能に加え、ミラー(鏡)としての機能を両立させる技術がある。その技術は、例えば、液晶表示素子の前面に、お互いに直交する反射軸(反射時の偏光軸)と透過軸(透過時の偏光軸)とを備えた反射型偏光板を配置し、表示素子としての機能に加え、ミラー(鏡)としての使用も可能にする(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−246004号公報
【特許文献2】特開2010−79087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
こうしたミラーとしても機能する液晶表示素子では、外部から強い光が入射した場合、視認者が感じる眩しさやぎらつきを抑える機能が求められることがあった。すなわち、ミラーとして機能する液晶表示素子では、防眩機能を備えて視認性を向上することを求められている。
【0008】
また、上述のような特性の反射型偏光板を用い、表示素子としてもミラーとしても機能する液晶表示素子では、特に、サングラス等の偏光メガネを着用した視認者に対して、視認性の向上が求められることがあった。
【0009】
サングラス等の偏光メガネは、外光等の影響によって感じられる眩しさやギラツキを抑えることができるように視認者に着用され、使用されている。
【0010】
その場合、視認者が偏光メガネを着用したまま、上述の反射型偏光板を用いた液晶表示素子を観察すると、液晶表示素子における表示が見えなくなってしまうことや、逆に、ミラーとしての機能が消失してしまうことがあった。
【0011】
こうした問題は、偏光メガネの構造に由来する。すなわち、サングラス等の偏光メガネは、視認者が感じる眩しさやギラツキやにじみ等を抑えることのできるように、着用したときの上下方向(水平方向と垂直な方向)の直線偏光のみが透過されるように構成されている。すなわち、サングラス等の偏光メガネは偏光の透過軸が、水平方向と垂直な上下方向となるように設定されている。
【0012】
その場合、上述の液晶表示素子の前面に配置される反射型偏光板の反射軸が上下方向(垂直方向)に設定されていると、反射型偏光板の透過軸は水平方向となり、結果として、偏光メガネの透過軸は、反射型偏光板の反射軸と平行になって、反射型偏光板の透過軸と直交することになる。そのため、反射型偏光板の透過軸と平行な方向に偏光した光として液晶表示素子から出射される画像光は、偏光メガネを透過できずに吸収されてしまう。その結果、液晶表示素子はミラーとしての機能は発揮できるが、表示素子としての機能は失われることになる。
【0013】
また、上述の液晶表示素子の前面に配置される反射型偏光板の反射軸が水平方向(上述した上下方向と垂直な方向)に設定されていると、反射型偏光板の透過軸は上下方向となり、結果として、偏光メガネの透過軸は、反射型偏光板の反射軸と直交し、反射型偏光板の透過軸とは平行な方向に設定されることになる。そのため、液晶表示素子において、反射型偏光板からの反射光は、偏光メガネを透過できずに吸収されてしまう。その結果、表示素子としての機能は発揮できるが、ミラーとしての機能は失われることになる。
【0014】
そこで、液晶表示素子では、反射型偏光板を用い、防眩機能を備えるとともに、偏光メガネを着用した視認者に対してもミラーとしての機能と表示素子としての機能とを両立して発揮し、視認性を向上することができる技術が求められている。
【0015】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、ミラー機能と表示素子機能とを両立し、視認性の向上された液晶表示素子を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の態様は、前面側の第1面とは反対の背面側の第2面に第1の電極および第2の電極を有する第1の基板と、
第1の基板と対向配置され、その第1の基板の第2面と対向する第1面に、第1の電極に対向する第3の電極、および、第2の電極に対向する第4の電極を有する第2の基板と、
第1の基板の第2面側と第2の基板の第1面側との間に挟持された液晶層と、
第1の基板の第1面側に配置された偏光板と、
第2の基板の背面側となる第2面側に配置され、透過軸と直交する方向に偏光した光を反射する反射型偏光板と、
反射型偏光板の背面側に配置されたバックライトとを有し、
第1の電極と第3の電極との対向領域が第1の領域を形成し、第2の電極と第4の電極との対向領域が第2の領域を形成する液晶表示素子であって、
液晶層の液晶は負の誘電異方性を有し、
第1の基板の第2面および第2の基板の第1面にはそれぞれ、液晶層と接する垂直配向性の液晶配向膜が設けられ、その液晶配向膜は、その液晶層の液晶がプレチルト角を有して垂直配向するように、水平方向に対し35°〜55°の方向の配向処理がなされており、
偏光板は、その透過軸が液晶配向膜の配向処理の方向と35°〜55°の方向となるように配置され、
反射型偏光板は、その透過軸が偏光板の透過軸と直交するように配置され、
第1の電極と第3の電極との間および第2の電極と第4の電極との間の電圧の印加により、第1の領域および第2の領域で、互いに独立に、液晶を配向変化させて反射型偏光板から光の反射およびバックライトからの光の透過の制御をするように構成されたことを特徴とする液晶表示素子に関する。
【0018】
本発明の第2の態様は、前面側の第1面とは反対の背面側の第2面に第1の電極および第2の電極を有する第1の基板と、
第1の基板と対向配置され、その第1の基板の第2面と対向する第1面に、第1の電極に対向する第3の電極、および、第2の電極に対向する第4の電極を有する第2の基板と、
第1の基板の第2面側と第2の基板の第1面側との間に挟持された液晶層と、
第1の基板の第1面側に配置された偏光板と、
第2の基板の背面側となる第2面側に配置され、透過軸と直交する方向に偏光した光を反射する反射型偏光板と、
反射型偏光板の背面側に配置されたバックライトとを有し、
第1の電極と第3の電極との対向領域が第1の領域を形成し、第2の電極と第4の電極との対向領域が第2の領域を形成する液晶表示素子であって、
液晶層の液晶は正の誘電異方性を有し、
第1の基板の第2面側および第2の基板の第1面側にはそれぞれ、液晶層と接する水平配向性の液晶配向膜が設けられ、その第1の基板上の液晶配向膜は、水平方向に対し85°〜95°または水平方向に対し時計回りに−5°〜5°の方向の配向処理がなされ、その第2の基板上の液晶配向膜は、第1の基板の配向処理の方向に応じて、水平方向に対し時計回りに−5°〜5°または水平方向に対し85°〜95°の方向に配向処理がなされ、その液晶層の液晶が80°〜100°のツイスト配向をするように構成されており、
偏光板は、その透過軸が第1の基板上の液晶配向膜の配向処理の方向と平行となるように配置され、
反射型偏光板は、その透過軸が偏光板の透過軸と直交するように配置され、
第1の電極と第3の電極との間および第2の電極と第4の電極との間の電圧の印加により、第1の領域および第2の領域で、互いに独立に、液晶を配向変化させて反射型偏光板から光の反射およびバックライトからの光の透過の制御をするように構成されたことを特徴とする液晶表示素子に関する。
【0019】
本発明の第1の態様において、バックライトに代えて、バックライト付き液晶表示素子または発光型表示素子が配置されることが好ましい。また、本発明の第2の態様において、バックライトに代えて、バックライト付き液晶表示素子または発光型表示素子が配置されることが好ましい。
【0020】
本発明の第1の態様において、第1の基板の第1面と対向する第1の方向から入射する光を感知する第1の光センサと、第1の方向以外の周囲から入射する光を感知する第2の光センサとを備え、その第1の光センサで感知された光の強度とその第2の光センサで感知された光の強度とを比較して、第1の領域および第2の領域の少なくとも一方で、反射型偏光板からの光の反射の制御をすることが好ましい。
【0021】
また、本発明の第2の態様において、第1の基板の第1面と対向する第1の方向から入射する光を感知する第1の光センサと、第1の方向以外の周囲から入射する光を感知する第2の光センサとを備え、その第1の光センサで感知された光の強度とその第2の光センサで感知された光の強度を比較して、第1の領域および第2の領域の少なくとも一方で、反射型偏光板からの光の反射の制御をすることが好ましい。
【0022】
本発明の第1の態様において、第1の領域は、反射型偏光板からの光の反射を用いたミラー領域となり、第1の電極と第3の電極との間の電圧の印加により、液晶を配向変化させ、反射型偏光板からの光の反射を制御するように構成されることが好ましい。
【0023】
本発明の第2の態様において、第1の領域は、反射型偏光板からの光の反射を用いたミラー領域となり、第1の電極と第3の電極との間の電圧の印加により、液晶を配向変化させ、反射型偏光板からの光の反射を制御するように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1の態様によれば、ミラーとしての機能と表示素子としての機能とを両立し、視認性の向上された液晶表示素子が提供される。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、ミラーとしての機能と表示素子としての機能とを両立し、視認性の向上された液晶表示素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の液晶表示素子の一例を示す図であり、(a)は、本発明の液晶表示素子の一例の正面図であり、(b)は、本発明の液晶表示素子の一例を用いて文字表示を行った状態を示す図である。
図2】本発明の液晶表示素子の別の一例を示す図である。
図3】本発明の液晶表示素子における視認性の低下を説明する図であり、(a)は、液晶表示素子の反射型偏光板の反射軸と透過軸の設定を示す図であり、(b)は、使用される偏光メガネとそれによる視認性の低下を説明する図である。
図4】本発明の液晶表示素子で懸念される視認性低下の別の例を説明する図であり、(a)は、液晶表示素子の反射型偏光板の反射軸と透過軸の設定を示す図であり、(b)は、使用される偏光メガネとそれによる視認性の低下を説明する図である。
図5】本発明の実施形態の液晶表示素子の構造を示す模式的な断面図である。
図6】本発明の実施形態の別の例である液晶表示素子の構造を示す模式的な断面図である。
図7】本発明の第1実施例の液晶表示素子における各構成要素の光学軸の配置関係を示す図である。
図8】本発明の第2実施例の液晶表示素子における各構成要素の光学軸の配置関係を示す図である。
図9】本発明の第3実施例の液晶表示素子における各構成要素の光学軸の配置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明者は、透過軸と直交する方向に偏光した光を反射する反射型偏光板を用い、液晶層と一対の透光性の基板で挟持してなる液晶パネルと組み合わせる。そして、表示領域において、第1の領域としてミラー機能を備えたミラー領域を有し、第2の領域として情報表示機能を備えた表示領域を有して、ミラー機能と表示機能とを両立する液晶表示素子の技術を開発した。
【0028】
反射型偏光板は、上述したように、特定方向に偏光した光だけに限って透過させる透過軸を有し、その透過軸と直交する方向に偏光した光は反射させる偏光板である。従来の偏光板は、透過軸と直交する方向に偏光した光が吸収され、光の利用効率は50%以下となっていた。それに対し、ここで用いられる反射型偏光板は、光を吸収せず、透過軸と直交する方向に偏光した光を反射することができる。本発明者らは、反射型偏光板の光反射機能をミラーとして活用し、所定方向の偏光を透過する光透過機能を画像の表示に利用する。
【0029】
そして、本発明者は、開発された技術を、自動車等車両の運転席前方のフロントガラスの上部付近に配置されるバックミラー(ルームミラー等とも称されることがある。)に適用し、バックミラー機能と情報表示機能とを両立できる液晶表示素子を開発した。
【0030】
図1は、本発明の液晶表示素子の一例を示す図であり、図1(a)は、本発明の液晶表示素子の一例の正面図であり、図1(b)は、本発明の液晶表示素子の一例を用いて文字表示を行った状態を示す図である。
【0031】
本発明の一例である液晶表示素子100は、バックミラーとしての外観を備え、ミラー状態を示すミラー領域101を有するとともに、そのミラー領域101の一部に設けられた表示領域102で文字情報等の表示を行うよう構成されている。尚、液晶表示素子100の表示領域102は、図1(a)において、点線で囲まれた領域として模式的に示されている。
【0032】
図2は、本発明の液晶表示素子の別の一例を示す図である。
【0033】
図2に示す本発明の別の一例である液晶表示素子200では、ミラー機能を示すミラー領域201と、そのミラー領域201の一部に設けられた矩形状の表示領域202とを有する。そして、液晶表示素子200は、その表示領域202において、所望とする画像の表示を行うよう構成されている。
【0034】
しかしながら、以上の本発明の液晶表示素子は、視認性に課題を有することも明らかになった。すなわち、上述したように、液晶表示素子の視認者がサングラス等の偏光メガネを着用して、それを視認しようとする場合、視認性が低下する懸念を有していた。
【0035】
図3は、本発明の液晶表示素子における視認性の低下を説明する図であり、図3(a)は、液晶表示素子の反射型偏光板の反射軸と透過軸の設定を示す図であり、図3(b)は、使用される偏光メガネとそれによる視認性の低下を説明する図である。このとき、反射型偏光板は液晶表示素子の前面側に配置されている。
【0036】
図3(a)に示すように、本発明の別の一例である液晶表示素子200は、使用する反射型偏光板(図示されない)の反射軸203を水平方向に設定することができる。その場合、ミラー領域201とともに設けられた表示領域202では、反射型偏光板の透過軸204と平行な方向に偏光した光が画像光として出射されることになる。
【0037】
ここで、上述したように、サングラス等の偏光メガネ210は、視認者の感じる眩しさやギラツキやにじみ等を抑えることができるように、着用時の上下方向(水平面と垂直な方向)の直線偏光のみが透過されるよう構成されている。すなわち、図3(b)に示すように、サングラス等の偏光メガネ210は、透過軸211が矢印によって模式的に示されるように、上下方向となるように設定されている。
【0038】
したがって、偏光メガネ210の透過軸211は、反射型偏光板の反射軸203と直交し、反射型偏光板の透過軸204と平行な方向に設定されることになる。そのため、反射型偏光板の透過軸204と平行な方向に偏光した光として表示領域202から出射される画像光は、偏光メガネ210を透過する。一方、ミラー領域201の反射型偏光板からの反射光は、偏光メガネ210を透過することできずに吸収されてしまう。その結果、図3(b)に示すように、液晶表示素子200は、表示領域202を用い、表示素子としての機能を発揮できるが、ミラー領域201のミラーとしての機能は失われることになる。
【0039】
図4は、本発明の液晶表示素子で懸念される視認性低下の別の例を説明する図であり、図4(a)は、液晶表示素子の反射型偏光板の反射軸と透過軸の設定を示す図であり、図4(b)は、使用される偏光メガネとそれによる視認性の低下を説明する図である。このとき、反射型偏光板は液晶表示素子の前面側に配置されている。
【0040】
図4(a)に示すように、本発明の別の一例である液晶表示素子200’は、使用する反射型偏光板(図示されない)の反射軸203’を上下方向(上述した水平方向と垂直な方向)に設定することができる。その場合、ミラー領域201’とともに設けられた表示領域202’では、反射型偏光板の透過軸204’と平行な方向に偏光した光が画像光として出射されることになる。
【0041】
そして、上述した偏光メガネ210を着用すると、偏光メガネ210の透過軸211は、反射型偏光板の反射軸203’と平行になり、反射型偏光板の透過軸204’とは直交することになる。そのため、反射型偏光板の透過軸204’と平行な方向に偏光した光として表示領域202’から出射される画像光は、偏光メガネ210を透過することできずに吸収されてしまう。一方、ミラー領域201’の反射型偏光板からの反射光は、偏光メガネ210を透過することできる。その結果、図4(b)に示すように、液晶表示素子200’は、ミラー領域201’のミラーとしての機能を発揮できる。しかし、図4(b)中で点線により模式的に示されるように、表示領域202’は消失したように見え、表示領域202’を用いた表示素子としての機能は失われることになる。
【0042】
自動者等車両の運転手は、運転の環境を向上させて疲れを低減するため、運転時にサングラスを着用して運転する場合が多い。そのため、上述したような、バックミラーとして使用される液晶表示素子の機能の消失は問題となる。特に、ミラー機能の消失は、運転を阻害することになって、重大な問題となることがある。
【0043】
また、本発明の液晶表示素子は、上述したように車両のバックミラーとしての使用に好適である。そのような使用の場合、後続車のヘッドライト等によって外部から強い光が照射されることがある。そうした強い外光の入射があった場合、本発明の液晶表示素子は、通常のミラーと同様に、反射をし、視認者である運転者側に眩しさやぎらつきを感じさせることがあった。そのため、外部から強い光に対し、視認者が感じる眩しさやぎらつきを抑える機能が求められることがあった。すなわち、本発明の液晶表示素子では、防眩機能を備えて視認性を向上することを求められることがあった。
【0044】
そこで、本発明者はさらなる検討を重ね、上述した課題の改善された新規な構成の液晶表示素子を開発するに至った。それは、ミラー機能と表示素子機能を両立し、さらに、防眩性能を有して視認性を向上することができる。以下で、図面等を用い、本発明の液晶表示素子について、その実施形態をさらに詳しく説明する。
【0045】
図5は、本発明の実施形態の液晶表示素子の構造を示す模式的な断面図である。
【0046】
図5に示す、本発明の実施形態の液晶表示素子1は、図1に例示された液晶表示素子100と同様のバックミラー状の外観を有し、ミラー状態を示すミラー領域(図示されない)と、文字情報や画像表示を行う表示領域(図示されない)とを備えて構成されている。
【0047】
図5に示すように、本実施形態の液晶表示素子1は、バックライト2、反射型偏光板3、液晶パネル4およびF偏光板5をこの順で積層して構成される。すなわち、液晶表示素子1は、液晶パネル4が、視認者(図示されない)の側となる前面側に配置されるF偏光板5と、背面側に配置される反射型偏光板3とによって挟持される。液晶パネル4の背面側には、反射型偏光板3の背面側に、バックライト2が配置される。
【0048】
液晶パネル4は、透過型の液晶パネルである。液晶パネル4は、それぞれガラスや樹脂等の光透過性の材料からなり、前面側に配置される第1の基板と背面側に配置される第2の基板とからなる一対の基板(図示されない)によって液晶層(図示されない)を挟持して構成される。液晶パネル4では、例えば、周縁部に設けられたシール材(図示されない)等により、液晶層を第1の基板と第2の基板との間に封止する。
【0049】
液晶パネル4の第1の基板は、前面側(視認者側)となる第1面と反対の背面側となる第2面に第1の電極および第2の電極を有する。そして、第1の基板と液晶層を挟んで対向配置される第2の基板は、第1の基板の第2面と対向する第1面に、第1の電極と対向する第3の電極、および、第2の電極と対向する第4の電極を有する。液晶層は、第1の基板の、第1の電極および第2の電極の配置された第2面側と、第2の基板の、第3の電極および第4の電極の配置された第1面側のとの間で挟持されて配置される。
【0050】
第1の基板上の第1の電極および第2の電極と、第2の基板上の第3の電極および第4の電極とはそれぞれ、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫)等の透明導電材料からなる透明電極とすることが好ましい。基板上の各電極は、必要なパターニングが施され、所望の形状に形成される。液晶パネル4の第1の電極および第3の電極、並びに、第2の電極および第4電極の形状は、液晶表示素子1におけるミラー領域の形状と表示領域での表示のパターンに対応するように形成することができる。また、第1の基板上の第1の電極および第2の電極をセグメント電極、第2の基板上の第3の電極および第4の電極をコモン電極、または、第1の基板上の第1の電極および第2の電極をコモン電極、第2の基板上の第3の電極および第4の電極をセグメント電極とすることもできる。
【0051】
すなわち、本実施形態の液晶表示素子1では、液晶パネル4の第1の電極と第3の電極との対向領域が、第1の領域としてミラー領域を形成し、第2の電極と第4の電極との対向領域が第2の領域として表示領域を形成することができる。本実施形態の液晶表示素子1は、液晶パネル4の第1の領域と第2の領域との間で、それぞれ独立に、液晶層の液晶を配向変化するように駆動することができる制御装置(図示されない)を有することができる。そして、液晶表示素子1は、上述のように、第1の領域および第2の領域の一方をミラー領域とし、他方を表示領域とするように、ミラー機能と表示機能との所望とする使い分けが可能である。
【0052】
液晶パネル4において、第1の基板の第1の電極と第2の電極とが形成された第2面と、第2の基板の第3の電極と第4の電極とが形成された第1面にはそれぞれ、液晶層と接し、液晶層の均一な初期配向を実現する液晶配向膜(図示されない)を設けることが好ましい。液晶配向膜としては、垂直配向性の液晶配向膜を用いることが好ましい。
【0053】
本実施形態の液晶パネル4の液晶層は、例えば、ネマチック相の液晶を用いて形成され、負の誘電異方性を有する。
【0054】
そして、液晶パネル4の液晶層は、第1の基板と第2の基板との間で液晶が垂直配向する初期配向状態を示す。すなわち、液晶パネル4は、垂直配向型の液晶パネル4であることが好ましい。垂直配向型の液晶パネル4は、F偏光板5と後述する反射型偏光板3とを伴って、広い視野角を有する液晶表示素子を提供でき、運転席からの視認に好適な広い視野角のバックミラーおよび表示素子の構成に好適となる。さらに、垂直配向型の液晶パネル4は、VA(Vertical Alignment)モード液晶表示素子用の光学補償フィルムとして使用されているCプレートや2軸フィルムを用いることにより、OFF電圧印加時の透過率の角度依存性を小さくすることができるので、ミラーとして機能する視角範囲をより広くすることができる。
【0055】
尚、液晶パネル4は、後述するように、TN(Twisted Nematic)モードやIPS(In−Planes Switching)モードの液晶パネルとすることも可能である。
【0056】
そして、本実施形態の液晶パネル4は、液晶配向膜によって、電圧の印加されない液晶層の初期配向の状態で、液晶(図示されない)が、各基板に対して所定のプレチルト角を有して略垂直配向するように配向させることができる。
【0057】
初期配向状態の液晶層の液晶のプレチルト角としては、85.0°〜89.8°が好ましい。85.0°より小さい場合には、電圧が印加されない初期配向の状態で十分に暗い暗状態の形成ができなくなるからである。また、89.8°より大きい場合、特に、完全な垂直の配向となる90°になると、電圧が印加されたときの液晶の傾く方向の制御が困難となり、配向乱れやドメインを生じ、液晶表示素子1のミラーや表示素子としての性能を低下させてしまうからである。
【0058】
このような液晶層の液晶の初期配向状態は、完全な垂直配向性の液晶配向膜に対して、ラビング処理等の一定方向の配向処理をすることによって実現することができる。そして、液晶は、ラビング処理の方向(単にラビング方向とも言う。)に傾いてプレチルト角を有すようになる。液晶の傾く方向は、電極を用いて液晶層を挟持する基板間に電圧が印加されたときに、負の誘電異方性の液晶が傾く方向となる。
【0059】
尚、上述した本実施形態の液晶表示素子1は、液晶パネル4の垂直配向する液晶層が電圧印加によって傾く方向を、液晶配向膜のラビング処理等の配向処理の方向によって規定している。しかし、本発明の実施形態では、そのような液晶層の傾く方向は、配向処理のみによらず、他の方法、例えば、電極の構造をスリット構造等を配置した所望のものとすることによって実現することも可能である。
【0060】
本実施形態の液晶表示素子1では、後述するように、視認者が着用する偏光メガネの上下方向の透過軸に対応するように、各構成要素の光学軸の設定がなされている。したがって、液晶パネル4は、上記基板間の電圧の印加によって液晶が、水平方向に対し35°〜55°の方向となる傾斜方向、より好ましくは45°の方向となる傾斜方向に傾斜するように構成されている。
【0061】
液晶パネル4の前面側であって、第1の基板の第1面側には偏光板としてF偏光板5が配置される。液晶パネル4の背面側であって、第2の基板の背面側となる第2面側には反射型偏光板3が配置される。したがって、液晶パネル4の液晶層の上下の両外側には、F偏光板5と反射型偏光板3の一対の偏光板が配置される。
【0062】
液晶パネル4の、視認者側となる前面側のF偏光板5は、その透過軸が、液晶層が電圧の印加によって傾斜する傾斜方向と35°〜55°の方向、好ましくは、45°の方向に配置される。より具体的には、F偏光板5は、その透過軸が、上述した液晶配向膜の配向処理の方向と35°〜55°の方向、好ましくは、45°の方向に配置される。
【0063】
このとき、本実施形態の液晶表示素子1では、視認者側となる前面側のF偏光板5の透過軸が、視認者が着用するサングラス等の偏光メガネの透過軸と平行な方向に設定されることが好ましい。偏光メガネは、通常、上下方向(水平方向と垂直な方向)に透過軸の設定がなされており、そのため、F偏光板5の透過軸は、同様に、上下方向となるように設定されることが好ましい。
【0064】
液晶パネル4の、背面側には、反射型偏光板3が配置される。反射型偏光板3は、上述したように、特定方向に偏光した光だけに限って透過させる透過軸を有し、その透過軸と直交する方向に偏光した光は反射させる偏光板である。本実施形態の液晶表示素子1の反射型偏光板3としては、市販されているものを用いることができ、例えば、住友スリーエム株式会社によるDBEF(登録商標)シリーズ等の反射型偏光板を用いることができる。
【0065】
反射型偏光板3の透過軸と反射軸の設定については、その透過軸がF偏光板5と直交するように設定されることが好ましい。その場合、反射型偏光板3の反射軸は、F偏光板5の透過軸と平行となる方向に設定されることになる。
【0066】
本実施形態の液晶表示素子1の反射型偏光板3の背面側には、バックライト2が配置される。また、バックライト2に代えて、バックライト付きの他の液晶表示素子や、発光型表示素子等を配置することも可能である。バックライト2が配置される場合、液晶表示素子1は、バックライト2からの光を表示領域での文字情報等の表示に使用することになる。また、バックライト付きの他の液晶表示素子等を配置する場合、それから提供される画像を表示領域での画像表示として使用することになる。
【0067】
液晶表示素子1が、バックライト付きの他の液晶表示素子を用いる場合、反射型偏光板3の透過軸と、バックライト付きの他の液晶表示素子の視認者側となる前面側の偏光板の透過軸とは平行に配置されることが好ましい。
【0068】
バックライト付きの液晶表示素子としては、TNモード、STN(Super Twisted Nematic)モード、IPSモード、VAモードおよびOCB(Optically Compensated Birefringence)モードよりなる群から選ばれる少なくとも1つの液晶モードのTFT(Thin Film Transistor)駆動アクティブマトリクス型液晶表示素子とすることが好ましい。また、発光型表示素子を用いる場合、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)、蛍光表示管(VFD:Vacuum Fluorescent Display)等の使用が可能である。
【0069】
以上の構成を有する本実施形態の液晶表示素子1について、視認者が上下方向に透過軸を有するサングラス等の偏光メガネを着用して視認する場合の効果について説明する。
【0070】
液晶表示素子1において、その視認者側からの光、すなわち、視認者の背後の風景等の情報を含んだ光は、上述したミラー領域および表示領域における電圧無印加時またはOFF電圧印加時には、F偏光板5の透過軸を通過して直線偏光となり、液晶パネル4の液晶層も通過する。そして、反射型偏光板3の反射軸とは平行になるため反射し、また、液晶層、F偏光板5を直線偏光として通過するため、反射率は低下せずにミラー状態を確認できる。
【0071】
そして、ミラー領域および表示領域におけるON電圧印加時には、液晶層の液晶の配向変化が起こる。そして、F偏光板5の透過軸を通過した直線偏光が、液晶パネル4の液晶層の複屈折性により、直線偏光が回転した直線偏光あるいは楕円偏光となり反射型偏光板3の反射軸方向よりずれるため、反射率は低下する。液晶表示素子1では、この反射型偏光板3での反射率の低下を防眩機能として活用する。
【0072】
一方、液晶表示素子1において、そのバックライト2からの光は、電圧無印加時またはOFF電圧印加時には、反射型偏光板3の透過軸を通過して直線偏光となり、液晶パネル4の液晶層も通過する。しかし、F偏光板5の透過軸とは直交であるので、バックライト2からの光はF偏光板5により遮光される。
【0073】
そして、ミラー領域および表示領域におけるON電圧印加時には、反射型偏光板3の透過軸を通過して直線偏光となり、液晶パネル4の液晶層の複屈折性により、直線偏光が回転した直線偏光あるいは楕円偏光となる。その結果、バックライト2からの光は、F偏光板5の透過軸とは平行になるため、液晶表示素子1ではバックライト2からの明るい透過光が得られる。この透過光が、液晶表示素子1において、表示を形成する。
【0074】
以上の機能を有する本実施形態の液晶表示素子1では、第1の領域としてのミラー領域と、第2の領域としての表示領域において、それぞれ独立した制御であって、特に液晶層の複屈折性の制御が行われる。そして、液晶表示素子1は、ミラー領域でミラー機能を発揮し、さらにそのミラー領域で防眩機能の発揮を可能とし、一方、表示領域では、明るい表示を行う表示機能を発揮する。本実施形態の液晶表示素子1は、ミラー機能と情報表示機能とを両立するとともに、それらの視認性の向上を実現することができる。
【0075】
このとき、上述したように、液晶表示素子1において、視角方向を水平方向から時計回りに、例えば、45°の方向(所謂、4時30分視角)に設定することができる。また、視認者の方向に応じて、水平方向から時計回りに、例えば、135°の方向(所謂、7時30分視角)に設定することも可能である。さらに、本実施形態の液晶表示素子1を車両のフェンダーミラーやドアミラー等として使用する場合、視認者の方向に応じて、水平方向から反時計回りに45°の方向(所謂、1時30分視角)や水平方向から反時計回りに135°の方向(所謂、10時30視角)に設定しても良い。
【0076】
また、液晶表示素子1は、表示領域以外のミラー領域において、その領域の反射型偏光板3の外側に、グレー印刷、黒色印刷または遮光板等を配置し、反視認者側となる背面側からの光を遮光するようにして、ミラーとして機能を向上させることが可能である。
【0077】
そして、液晶表示素子1は、夜間等において、後続車のヘッドライトの眩しさを、さらに低減できるように、エレクトロ・クロミック等を利用した妨眩機能を視認者とF偏光板5との間に設置しても良い。
【0078】
さらに、本実施形態の液晶表示素子1は、液晶パネル4の第1の基板の第1面、すなわち、前面側と対向する第1の方向から入射する光を感知する第1の光センサ(図示されない)と、その第1の方向以外の、液晶パネル4の周囲から入射する光を感知する第2の光センサ(図示されない)とを備えることができる。
【0079】
そして、上述した液晶表示素子1の制御装置(図示されない)は、例えば、第1の光センサで感知された光の強度と第2の光センサで感知された光の強度の比較を行い、ミラー領域における液晶パネル4の液晶層の複屈折性の制御を行い、反射型偏光板3からの光の反射を制御することができる。液晶表示素子1において、こうした光センサを用いた制御は、自動で行われるように構成されることが好ましい。
【0080】
またさらに、液晶表示素子1は、第1および第2の光センサによって周囲の明るさを感知し、使用状況に応じて、制御装置による、表示領域の第2の電極および第4の電極間に印加される電圧の調整を行い、透過率を自動的に調整する等にすることも可能である。その場合、バックライト2の明るさを自動的に調整するように構成することも可能である。
【0081】
次に、本実施形態の液晶表示素子1は、液晶パネル4が垂直配向型の液晶パネルとされたが、上述したように、TN(Twisted Nematic)モードやIPS(In−Planes Switching)モードの液晶パネルとすることも可能である。
特に、車載用途に好適な高信頼性のTNモードの液晶パネルとすることができる。以下で、液晶パネルにTNモードの液晶パネルを用いた本実施形態の液晶表示素子の別の例について説明する。
【0082】
本実施形態の別の例である液晶表示素子は、液晶層を挟持してなる液晶パネルがTNモードの液晶パネルを構成する。このとき、本実施形態の別の例である液晶表示素子は、液晶パネルの液晶配向膜に水平配向性の液晶配向膜を用い、液晶に正の誘電異方性のものを使用してTNモードを実現する。そして、本実施形態の別の例である液晶表示素子では、その他の構成を、以下で特に説明する以外、上述した液晶表示素子1と同様とすることが好ましい。したがって、共通する構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0083】
図6は、本発明の実施形態の別の例である液晶表示素子の構造を示す模式的な断面図である。
【0084】
図6に示す、本発明の実施形態の別の例の液晶表示素子51は、上述した液晶表示素子1と同様に、図1に例示された液晶表示素子100と同様のバックミラー状の外観を有し、ミラー状態を示すミラー領域(図示されない)と、文字情報や画像表示を行う表示領域(図示されない)を備えて構成されている。
【0085】
図6に示すように、本実施形態の別の例の液晶表示素子51は、バックライト2、反射型偏光板3、液晶パネル54およびF偏光板5をこの順で積層して構成される。すなわち、液晶表示素子51は、液晶パネル54が、視認者(図示されない)の側となる前面側に配置されるF偏光板5と、背面側に配置される反射型偏光板3とによって挟持される。液晶パネル4の背面側には、反射型偏光板3の背面側に、バックライト2が配置される。
【0086】
液晶パネル54は、透過型の液晶パネルである。液晶パネル54は、それぞれガラスや樹脂等の光透過性の材料からなり、前面側に配置される第1の基板と背面側に配置される第2の基板とからなる一対の基板(図示されない)によって液晶層(図示されない)を挟持して構成される。液晶パネル54では、例えば、周縁部に設けられたシール材(図示されない)等により、液晶層を第1の基板と第2の基板との間に封止する。
【0087】
液晶パネル54の第1の基板は、前面側(視認者側)となる第1面と反対の背面側となる第2面に第1の電極および第2の電極を有する。そして、第1の基板と液晶層を挟んで対向配置される第2の基板は、第1の基板の第2面と対向する第1面に、第1の電極と対向する第3の電極、および、第2の電極と対向する第4の電極を有する。液晶層は、第1の基板の、第1の電極および第2の電極の配置された第2面側と、第2の基板の、第3の電極および第4の電極の配置された第1面側のとの間で挟持されて配置される。
【0088】
第1の基板上の第1の電極および第2の電極と、第2の基板上の第3の電極および第4の電極とはそれぞれ、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫)等の透明導電材料からなる透明電極とすることが好ましい。基板上の各電極は、必要なパターニングが施され、所望の形状に形成される。液晶パネル54の第1の電極および第3の電極、並びに、第2の電極および第4電極の形状は、液晶表示素子51におけるミラー領域の形状と表示領域の表示のパターンに対応するように形成することができる。また、第1の基板上の第1の電極および第2の電極をセグメント電極、第2の基板上の第3の電極および第4の電極をコモン電極、または、第1の基板上の第1の電極および第2の電極をコモン電極、第2の基板上の第3の電極および第4の電極をセグメント電極とすることもできる。
【0089】
すなわち、本実施形態の別の例の液晶表示素子51では、液晶パネル54の第1の電極と第3の電極との対向領域が、第1の領域としてミラー領域を形成し、第2の電極と第4の電極との対向領域が第2の領域として表示領域を形成することができる。本実施形態の別の例の液晶表示素子51は、液晶パネル54の第1の領域と第2の領域において、それぞれ独立に、液晶層の液晶を配向変化するように駆動することができる制御装置(図示されない)を有することができる。そして、液晶表示素子51は、上述のように、第1の領域および第2の領域の一方をミラー領域とし、他方を表示領域とするように、ミラー機能と表示機能との所望とする使い分けが可能である。
【0090】
液晶パネル54において、第1の基板の第1の電極と第2の電極とが形成された第2面と、第2の基板の第3の電極と第4の電極とが形成された第1面にはそれぞれ、液晶層と接し、液晶層の均一な初期配向を実現する液晶配向膜(図示されない)を設けることが好ましい。液晶パネル54では、水平配向性の液晶配向膜を用いることが好ましい。
【0091】
本実施形態の液晶パネル54の液晶層は、例えば、ネマチック相の液晶を用いて形成され、正の誘電異方性を有する。
【0092】
そして、液晶パネル54の液晶層は、液晶が第1の基板と第2の基板との間でそれぞれ所定のプレチルト角、例えば、0.5°〜10°のプレチルト角を形成して水平配向する。さらに、第1の基板と第2の基板との間で80°〜100°のツイスト配向を、特に好ましくは90°のツイスト配向をする初期配向状態を示す。
【0093】
液晶パネル54の液晶層の液晶の初期配向状態は、液晶配向膜に対して、ラビング処理等の一定方向の配向処理をすることによって実現することができる。例えば、液晶パネル54の前面側の第1の基板上の液晶配向膜は、水平方向に対し85°〜95°の方向の配向処理がなされ、背面側の第2の基板上の液晶配向膜は、水平方向に対し時計回りに−5°〜+5°の方向に配向処理がなされていることが好ましい。その結果、液晶パネル54の液晶層の液晶は、第1の基板と第2の基板との間で、80°〜100°のツイスト配向をするよう配向される。また、第1の基板上の液晶配向膜を水平方向に対し時計回りに−5°〜+5°の方向に配向処理し、第2の基板上の液晶配向膜を水平方向に対し85°〜95°の方向に配向処理を行ってもよい。
【0094】
以上のようにして、液晶パネル54は、TNモードの液晶パネルを構成することが好ましい。TNモードの液晶パネル54は、優れた信頼性能を有し、自動車等のバックミラーおよび表示素子の構成に好適となる。
【0095】
本実施形態の別の例の液晶表示素子51は、液晶パネル54の、視認者側となる前面側のF偏光板5の透過軸が、視認者が着用するサングラス等の偏光メガネの透過軸と平行な方向に設定されることが好ましい。偏光メガネは、通常、上下方向(水平方向と垂直な方向)に透過軸の設定がなされており、そのため、F偏光板5の透過軸は、同様に、上下方向となるように設定されることが好ましい。
【0096】
液晶パネル54の、背面側の反射型偏光板3は、上述したように、特定方向に偏光した光だけに限って透過させる透過軸を有し、その透過軸と直交する方向に偏光した光は反射させる偏光板である。反射型偏光板3の透過軸と反射軸の設定については、その透過軸がF偏光板5と平行となるように設定されることが好ましい。その場合、反射型偏光板3の反射軸は、F偏光板5の透過軸と直交する方向に設定されることになる。
【0097】
本実施形態の液晶表示素子51の反射型偏光板3の背面側には、バックライト2が配置される。また、バックライト2に代えて、バックライト付きの他の液晶表示素子や、発光型表示素子等を配置することも可能である。バックライト2が配置される場合、液晶表示素子51は、バックライト2からの光を表示領域での文字情報等の表示に使用することになる。また、バックライト付きの他の液晶表示素子等を配置する場合、それから提供される画像を表示領域での画像表示として使用することになる。
【0098】
液晶表示素子51が、バックライト付きの他の液晶表示素子を用いる場合、反射型偏光板3の透過軸と、バックライト付きの他の液晶表示素子の視認者側となる前面側の偏光板の透過軸とは平行に配置されることが好ましい。
【0099】
バックライト付きの液晶表示素子としては、TNモード、STN(Super Twisted Nematic)モード、IPSモード、VAモードおよびOCB(Optically Compensated Birefringence)モードよりなる群から選ばれる少なくとも1つの液晶モードのTFT(Thin Film Transistor)駆動アクティブマトリクス型液晶表示素子とすることが好ましい。また、発光型表示素子を用いる場合、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)、蛍光表示管(VFD:Vacuum Fluorescent Display)等の使用が可能である。
【0100】
以上の構成を有する本実施形態の別の例の液晶表示素子51について、視認者が上下方向に透過軸を有するサングラス等の偏光メガネを着用して視認する場合の効果について説明する。
【0101】
液晶表示素子51において、その視認者側からの光、すなわち、視認者の背後の風景等の情報を含んだ光は、上述したミラー領域および表示領域における電圧無印加時またはOFF電圧印加時には、F偏光板5の透過軸を通過して直線偏光となる。そして、液晶パネル54の液晶層に入射して、液晶の旋光性により偏光軸の回転された直線偏光となる。その結果、反射型偏光板3の反射軸とは平行になるため反射し、また、液晶層で回転し、F偏光板5を直線偏光として通過するため、反射率は低下せずにミラー状態を確認できる。
【0102】
そして、ミラー領域および表示領域におけるON電圧印加時には、液晶層の配向変化が起こる。そして、F偏光板5の透過軸を通過した直線偏光が、液晶パネル54の液晶層も通過するが、その偏光軸が反射型偏光板3の反射軸方向よりずれるため、反射率は低下する。液晶表示素子51では、この反射型偏光板3での反射率の低下を防眩機能として活用する。
【0103】
一方、液晶表示素子51において、そのバックライト2からの光は、電圧無印加時またはOFF電圧印加時には、反射型偏光板3の透過軸を通過して直線偏光となり、液晶パネル54の液晶層の旋光性により偏光軸の回転された直線偏光となる。しかし、F偏光板5の透過軸とは直交であるので、バックライト2からの光はF偏光板5により遮光される。
【0104】
そして、ミラー領域および表示領域におけるON電圧印加時には、バックライト2からの光は、反射型偏光板3の透過軸を通過して直線偏光となり、液晶パネル54の液晶層を通過する。その結果、バックライト2からの光は、その偏光軸がF偏光板5の透過軸とは平行になるため、液晶表示素子51ではバックライト2からの明るい透過光が得られる。この透過光が、液晶表示素子51において、表示を形成する。
【0105】
以上の機能を有する本実施形態の液晶表示素子51では、第1の領域としてのミラー領域と、第2の領域としての表示領域において、それぞれ独立した制御であって、特に液晶層の液晶の旋光性の制御を行う。そして、液晶表示素子51は、ミラー領域でミラー機能を発揮し、さらにそのミラー領域で防眩機能の発揮を可能とし、一方、表示領域では、明るい表示機能を発揮する。本実施形態の液晶表示素子51は、ミラー機能と情報表示機能とを両立するとともに、それらの視認性の向上を実現することができる。
【0106】
このとき、上述したように、液晶表示素子51において、視角方向を水平方向から時計回りに、例えば、45°の方向(所謂、4時30分視角)に設定することができる。また、視認者の方向に応じて、水平方向から時計回りに、例えば、135°の方向(所謂、7時30分視角)に設定することも可能である。さらに、本実施形態の液晶表示素子51を車両のフェンダーミラーやドアミラー等として使用する場合、視認者の方向に応じて、水平方向から反時計回りに45°の方向(所謂、1時30分視角)や水平方向から反時計回りに135°の方向(所謂、10時30視角)に設定しても良い。
【0107】
また、液晶表示素子51は、表示領域以外のミラー領域において、その領域の反射型偏光板3の外側に、グレー印刷、黒色印刷または遮光板等を配置し、反視認者側となる背面側からの光を遮光するようにして、ミラーとして機能を向上させることが可能である。
【0108】
そして、液晶表示素子51は、夜間等において、後続車のヘッドライトの眩しさを、さらに低減できるように、エレクトロ・クロミック等を利用した妨眩機能を視認者とF偏光板5との間に設置しても良い。
【0109】
さらに、本実施形態の液晶表示素子51は、液晶パネル54の第1の基板の第1面、すなわち、前面側と対向する第1の方向から入射する光を感知する第1の光センサ(図示されない)と、その第1の方向を除く、液晶パネル54の周囲から入射する光を感知する第2の光センサ(図示されない)とを備えることができる。
【0110】
そして、上述した液晶表示素子51の制御装置(図示されない)は、例えば、第1の光センサで感知された光の強度と第2の光センサで感知された光の強度の比較を行い、ミラー領域における液晶パネル54の液晶層の旋光性の制御を行い、反射型偏光板3からの光の反射を制御することができる。液晶表示素子51において、こうした光センサを用いた制御は、自動で行われるように構成されることが好ましい。
【0111】
またさらに、液晶表示素子51は、第1および第2の光センサによって周囲の明るさを感知し、使用状況に応じて、制御装置による、表示領域の第2の電極および第4の電極間に印加される電圧の調整を行い、透過率を自動的に調整する等にすることも可能である。その場合、バックライト2の明るさを自動的に調整するように構成することも可能である。
【実施例】
【0112】
以下、実施例に基づいて本発明の実施形態をより具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0113】
実施例1.
本実施例においては、文字情報を表示する機能とミラー機能を両立する液晶表示素子を製造した。本実施例の液晶表示素子は、情報表示機能を備えたバックミラーの提供に好適である。
【0114】
図7は、本発明の第1実施例の液晶表示素子における各構成要素の光学軸の配置関係を示す図である。
【0115】
本発明の第1実施例の液晶表示素子1000を製造するため、横長で長方形状のITO膜付きの一対のガラス基板を準備した。そして、そのITO膜付きのガラス基板を用い、ミラー領域の形成用、ならびに、温度、時計または方位等を示す文字や図形等の情報を表示する表示領域用として、それぞれの領域に対応する、所定形状のセグメント電極(図示されない)とコモン電極(図示されない)とを、公知の方法を用いてパターニングして電極付き基板を形成した。
【0116】
次いで、垂直配向性の液晶配向膜(図示されない)を、ミラー領域および表示領域それぞれのセグメント電極とコモン電極とを覆うように電極付き基板上に成膜し、所定の一方向にアンチパラレル(反平行)ラビング処理を施した。その後、ラビング処理された一対の電極付き基板を用い、液晶配向膜面が液晶(図示されない)に触れるよう液晶を挟持して、垂直配向型の液晶パネル1004を製造した。液晶パネル1004における液晶(図示されない)のプレチルト角は89.6°であり、リタデーション(ΔnLC(液晶の屈折率異方性)×dLC(液晶の厚さ))は300nmであった。液晶としては、誘電異方性(Δε)が−2.2の液晶組成物を用いた。
【0117】
図7では、実線の矢印と点線の矢印を用い、液晶パネル1004におけるラビング処理の方向を示している。尚、実線の矢印が前面側の電極付き基板上でのラビング処理の方向を示し、点線の矢印が、背面側の電極付き基板上でのラビング処理の方向を示す。ラビング処理の方向は、後述するように、液晶パネル1004の長辺方向を基準軸とした場合、前面側の電極付き基板上で、視認者方向となる前面側から見たときの基準軸から配向処理の方向までの時計回りの角度が45°となるようにした。
【0118】
次に、液晶パネル1004の視認者側となる前面側にF偏光板1005を配置し、反視認者側となる背面側に反射型偏光板1003を配置して、液晶パネル1004を挟持した。
【0119】
F偏光板1005としては、株式会社ポラテクノ製040R140N−VH39L2S(Re(面内のリタデーション)=40nm、Rth(厚み方向のリタデーション)=140nmの光学補償フィルム付偏光板)を用いた。反射型偏光板1003としては、住友スリーエム株式会社製のDBEF(登録商標)を用いた。
【0120】
F偏光板1005と反射型偏光板1003のそれぞれの透過軸1015、1013の設定については、次のようにした。まず、液晶パネル1004の長辺方向を基準軸とした。液晶表示素子1000は、液晶パネル1004の長辺が水平となるように設置されて用いることができる。その場合、上述の基準軸は水平方向と平行になる。
【0121】
そして、視認者方向となる前面側から見たときのこの基準軸からF偏光板1005の透過軸1015までの反時計回りの角度をθ1とした場合、θ1=90゜になるようにした。そして、基準軸から反射型偏光板1003の透過軸1013までの反時計回りの角度をθ2とした場合、θ2=0゜になるようにした。すなわち、反射型偏光板1003の透過軸1013は、基準軸と平行となるように設定されることになる。そして、前面側から見たときの基準軸から反射型偏光板1003の反射軸1016までの反時計回りの角度をθ3とした場合、θ3=90゜となる。
【0122】
次に、バックライト(図7には、図示されない)として、アイスブルー色系LEDを用い、反射型偏光板1003の背面側に配置して液晶表示素子1000を得た。
【0123】
液晶表示素子1000を用い、セグメント電極とコモン電極とを用いてStatic駆動させたところ、良好なミラー機能と、良好な情報表示が確認できた。すなわち、ミラー領域で電源OFF(オフ)とした時には良好なミラー表示が得られた。そして、電源ON(オン)としてその領域の液晶に電圧を印加した場合には、反射率の調製がなされ、防眩効果が得られた。また、表示領域では、電源ONとした時に、アイスブルー色を有し、表示領域のセグメント電極とコモン電極の形状に対応した温度、時計、および、方位等の明るい情報表示が確認できた。
【0124】
さらに、偏光メガネであるサングラスを着用した状態でも、視認者は、ミラー領域での良好なミラー機能と、表示領域での良好な情報表示を確認することができた。
【0125】
次に、液晶表示素子1000において、液晶パネル1004の前面側と対向する正面方向の第1の方向から入射する光を感知する第1の光センサ(図示されない)と、その第1の方向を除く、液晶パネル1004の周囲から入射する光を感知する第2の光センサ(図示されない)とを付設した。そして、その液晶表示素子1000を用い、第1の光センサと第2の光センサとを備え、それらで感知される光の強度の比較結果を用い、状況に応じてミラー領域のセグメント電極とコモン電極に印加される電圧を調整されるように構成した。次いで、夜間のように周囲が暗く、その中で後続車のヘッドライトが照射される状況のように、周囲が暗い中で前面側から強い光が入射する使用環境を設定した。その場合、第1および第2の光センサからの光感知信号(情報)に従い、ミラー領域のセグメント電極とコモン電極との間に電圧を印加することができた。そして同時に、その電圧印加に従って、液晶表示素子1000では、ミラー領域が褐色から青紫色系の色相となり、ミラー領域の反射率を低下させることができた。
【0126】
すなわち、液晶表示素子1000では、周囲からの光の入射状況に応じ、自動的に、その反射によって視認者が感じる眩しさを低減して視認性を向上させることができた。
【0127】
実施例2.
本実施例においては、上述した第1実施例と同様、ミラー機能と文字情報を表示する機能とを両立する液晶表示素子を製造した。本実施例の液晶表示素子は、情報表示機能を備えたバックミラーの提供に好適である。
【0128】
図8は、本発明の第2実施例の液晶表示素子における各構成要素の光学軸の配置関係を示す図である。
【0129】
本発明の第2実施例の液晶表示素子2000を製造するため、横長で長方形状のITO膜付きの一対のガラス基板を準備した。そして、そのITO膜付きのガラス基板を用い、ミラー領域の形成用、ならびに、温度、時計または方位等を示す文字や図形等の情報を表示する表示領域用として、それぞれの領域に対応する、所定形状のセグメント電極(図示されない)とコモン電極(図示されない)とを、公知の方法を用いてパターニングして電極付き基板を形成した。
【0130】
次いで、水平配向性の液晶配向膜(図示されない)を、ミラー領域および表示領域それぞれのセグメント電極とコモン電極とを覆うように電極付き基板上に成膜した。そして、それぞれの液晶配向膜に配向処理(ラビング処理)を施した。このとき、前面側となる基板上の液晶配向膜は、水平方向に対し90°の方向の配向処理がなされ、背面側となる基板上の液晶配向膜は、水平方向と平行な方向に配向処理がなされた。前面側との基板上での配向処理の方向と、背面側の基板上での配向処理の方向とは、90°の角度をなす。
【0131】
尚、このとき、長方形状のガラス基板からなる液晶表示素子2000は、そのガラス基板の長辺が水平となるように設置されて用いることができる。そのため、ガラス基板の長辺を基準としてそれと平行となるように配向処理(ラビング処理)することで、水平方向と平行な配向処理が可能となる。また、ガラス基板の長辺と90°の角度をなす方向に配向処理をすることで、水平方向に対し90°の方向の配向処理を行うことができる。
【0132】
次いで、ラビング処理された一対の電極付き基板を用い、液晶配向膜面が液晶(図示されない)に触れるよう液晶を挟持して、液晶パネル2004を製造した。上述した配向処理の結果、液晶パネル2004の液晶層の液晶は、前面側の基板と背面側の基板との間で、90°のツイスト配向をするよう配向される。このとき、液晶パネル2004における液晶のプレチルト角は2°であった。また、液晶層のリタデーション(ΔnLC(液晶の屈折率異方性)×dLC(液晶の厚さ))は600nmであった。液晶としては、誘電異方性(Δε)が+3.1の液晶組成物を用いた。
【0133】
図8では、実線の矢印と点線の矢印を用い、液晶パネル2004におけるラビング処理の方向を示している。尚、実線の矢印が前面側の電極付き基板上でのラビング処理の方向を示し、点線の矢印が、背面側の電極付き基板上でのラビング処理の方向を示す。
【0134】
次に、液晶パネル2004の視認者側となる前面側にF偏光板2005を配置し、反視認者側となる背面側に反射型偏光板2003を配置して、液晶パネル2004を挟持した。
【0135】
F偏光板2005としては、日東電工株式会社製SWQ1423CUHCを用いた。反射型偏光板2003としては、住友スリーエム株式会社製のDBEF(登録商標)を用いた。
【0136】
F偏光板2005と反射型偏光板2003のそれぞれの透過軸2015、2013の設定については、次のようにした。まず、液晶パネル2004の長辺方向を基準軸とした。液晶表示素子2000は、液晶パネル2004の長辺が水平となるように設置されて用いることができる。その場合、上述の基準軸は水平方向と平行になる。
【0137】
そして、視認者方向となる前面側から見たときのこの基準軸からF偏光板2005の透過軸2015までの反時計回りの角度をθ1とした場合、θ1=90゜になるようにした。そして、基準軸から反射型偏光板2003の透過軸2013までの反時計回りの角度をθ2とした場合、θ2=90゜になるようにした。すなわち、反射型偏光板2003の透過軸2013は、基準軸と直交するように設定されることになる。そして、前面側から見たときの基準軸から反射型偏光板2003の反射軸2016までの反時計回りの角度をθ3とした場合、θ3=0゜となる。
【0138】
次に、バックライト(図8には、図示されない)として、アイスブルー色系LEDを用い、反射型偏光板2003の背面側に配置して液晶表示素子2000を得た。
【0139】
液晶表示素子2000を用い、セグメント電極とコモン電極とを用いてStatic駆動させたところ、良好なミラー機能と、良好な情報表示が確認できた。すなわち、ミラー領域で電源OFF(オフ)とした時には良好なミラー表示が得られた。そして、電源ON(オン)としてその領域の液晶に電圧を印加した場合には、反射率の調製がなされ、防眩効果が得られた。また、表示領域では、電源ONとした時に、アイスブルー色を有し、表示領域のセグメント電極とコモン電極の形状に対応した温度、時計、および、方位等の明るい情報表示が確認できた。
【0140】
さらに、偏光メガネであるサングラスを着用した状態でも、視認者は、ミラー領域での良好なミラー機能と、表示領域での良好な情報表示を確認することができた。
【0141】
次に、液晶表示素子2000において、液晶パネル2004の前面側と対向する正面方向の第1の方向から入射する光を感知する第1の光センサ(図示されない)と、その第1の方向を除く、液晶パネル2004の周囲から入射する光を感知する第2の光センサ(図示されない)とを付設した。そして、その液晶表示素子2000を用い、第1の光センサと第2の光センサとを備え、それらで感知される光の強度の比較結果を用い、状況に応じてミラー領域のセグメント電極とコモン電極に印加される電圧を調整されるように構成した。次いで、夜間のように周囲が暗く、その中で後続車のヘッドライトが照射される状況のように、周囲が暗い中で前面側から強い光が入射する使用環境を設定した。その場合、第1および第2の光センサからの光感知信号(情報)に従い、ミラー領域のセグメント電極とコモン電極との間に電圧を印加することができた。そして同時に、その電圧印加に従って液晶表示素子2000では、ミラー領域が黒色系の色相となり、ミラー領域の反射率を低下させることができた。
【0142】
すなわち、液晶表示素子2000では、周囲からの光の入射状況に応じ、自動的に、その反射によって視認者が感じる眩しさを低減して視認性を向上させることができた。
【0143】
実施例3.
本実施例においては、上述した第1実施例の液晶表示素子1000のバックライトに代えて、バックライト付きの液晶表示素子を用いる。そして、ミラーの一部に画像を表示する機能を有し、ミラー機能と画像表示機能を両立する液晶表示素子を製造した。本実施例の液晶表示素子は、画像表示機能を備えたバックミラーの提供に好適である。
【0144】
本実施例の液晶表示素子は、後述するように、バックライトに代えてバックライト付きの液晶表示素子を用い、それに対応するように液晶パネルの表示領域のセグメント電極とコモン電極の形状が異なること以外は、上述した第1実施例の液晶表示素子1000と同様の構造を有する。したがって、共通する構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0145】
図9は、本発明の第3実施例の液晶表示素子における各構成要素の光学軸の配置関係を示す図である。
【0146】
本発明の第3実施例の液晶表示素子3000を製造するため、横長で長方形状のITO膜付きの一対のガラス基板を準備した。そして、そのITO膜付きのガラス基板を用い、ミラー領域の形成用、ならびに、画像情報を表示する表示領域用として、それぞれの領域に対応する、所定形状のセグメント電極(図示されない)とコモン電極(図示されない)とを、公知の方法を用いてパターニングして電極付き基板を形成した。
【0147】
次いで、垂直配向性の液晶配向膜(図示されない)を、ミラー領域および表示領域それぞれのセグメント電極とコモン電極とを覆うように電極付き基板上に成膜し、所定の一方向にアンチパラレル(反平行)ラビング処理を施した。その後、ラビング処理された一対の電極付き基板を用い、液晶配向膜面が液晶(図示されない)に触れるよう液晶を挟持して、垂直配向型の液晶パネル3004を製造した。液晶パネル3004における液晶のプレチルト角は89.6°であり、リタデーション(ΔnLC(液晶の屈折率異方性)×dLC(液晶の厚さ))は300nmであった。液晶としては、誘電異方性(Δε)が−2.2の液晶組成物を用いた。
【0148】
図9では、実線の矢印と点線の矢印を用い、液晶パネル3004におけるラビング処理の方向を示している。尚、実線の矢印が前面側の電極付き基板上でのラビング処理の方向を示し、点線矢印が、背面側の電極付き基板上でのラビング処理の方向を示す。ラビング処理の方向は、後述するように、液晶パネル3004の長辺方向を基準軸とした場合、前面側の電極付き基板上で、視認者方向となる前面側から見たときの基準軸から配向処理の方向までの時計回りの角度が45°となるようにした。
【0149】
次に、液晶パネル3004の視認者側となる前面側にF偏光板1005を配置し、反視認者側となる背面側に反射型偏光板1003を配置して、液晶パネル3004を一対の偏光板で挟持した。
【0150】
F偏光板1005としては、株式会社ポラテクノ製の040R140N−VH39L2S(Re(面内のリタデーション)=40nm、Rth(厚み方向のリタデーション)=140nmの光学補償フィルム付偏光板)を用いた。反射型偏光板1003としては、住友スリーエム株式会社製のDBEF(登録商標)を用いた。
【0151】
F偏光板1005と反射型偏光板1003のそれぞれの透過軸1015、1013の設定については、次のようにした。まず、液晶パネル3004の長辺方向を基準軸とした。液晶表示素子3000は、液晶パネル3004の長辺が水平となるように設置されて用いることができる。その場合、上述の基準軸は水平方向と平行になる。
【0152】
そして、視認者方向となる前面側から見たときのこの基準軸からF偏光板1005の透過軸1015までの反時計回りの角度をθ1とした場合、θ1=90゜になるようにした。そして、基準軸から反射型偏光板1003の透過軸1013までの反時計回りの角度をθ2とした場合、θ2=0゜になるようにした。すなわち、反射型偏光板1003の透過軸1013は、基準軸と平行となるように設定されることになる。そして、前面側から見たときの基準軸から反射型偏光板1003の反射軸1016までの反時計回りの角度をθ3とした場合、θ3=90゜となる。
【0153】
次に、バックライト付き液晶表示素子4000を用い、R偏光板1003の背面側に配置して液晶表示素子3000を製造した。バックライト付き液晶表示素子4000は、TFT駆動によるアクティブマトリクス型のIPSモード液晶表示素子である。
【0154】
バックライト付き液晶表示素子4000は、IPSモードを構成する液晶パネル4001を前面側の偏光板4002と背面側の偏光板4003とにより挟持し、偏光板4003の背面側にバックライト4004を配置して構成される。偏光板4002の透過軸4012と偏光板4003の透過軸4013とは、互いに直交するように設定された。そして、R偏光板1003の透過軸1013と、バックライト付液晶表示素子4000の前面側の偏光板4002の透過軸4012とは互いに平行となるように設定された。
【0155】
液晶表示素子3000を用い、セグメント電極とコモン電極とを用いてStatic駆動させたところ、良好なミラー機能と、バックライト付き液晶表示素子4000からの良好な画像表示が確認できた。すなわち、ミラー領域で電源OFF(オフ)とした時には良好なミラー表示が得られた。そして、電源ON(オン)としてその領域の液晶に電圧を印加した場合には、反射率の調製がなされ、防眩効果が得られた。また、表示領域では、電源ONとした時に、バックライト付き液晶表示素子4000によって形成された明るい動画映像等の画像表示が確認できた。
【0156】
さらに、偏光メガネであるサングラスを着用した状態でも、視認者は、良好なミラー機能と、良好な画像表示を確認することができた。
【0157】
次に、液晶表示素子3000において、液晶パネル3004の前面側と対向する正面方向の第1の方向から入射する光を感知する第1の光センサ(図示されない)と、その第1の方向を除く、液晶パネル3004の周囲から入射する光を感知する第2の光センサ(図示されない)とを付設した。そして、その液晶表示素子3000を用い、第1の光センサと第2の光センサとを備え、それらで感知される光の強度の比較結果を用い、状況に応じてミラー領域のセグメント電極とコモン電極に印加される電圧を調整されるように構成した。次いで、夜間のように周囲が暗く、その中で後続車のヘッドライトが照射される状況のように、周囲が暗い中で前面側から強い光が入射する使用環境を設定した。その場合、第1および第2の光センサからの光感知信号(情報)に従い、ミラー領域のセグメント電極とコモン電極との間に電圧を印加することができた。そして同時に、その電圧印加に従って液晶表示素子3000では、ミラー領域が褐色から青紫色系の色相となり、ミラー領域の反射率を低下させることができた。
【0158】
すなわち、液晶表示素子3000では、周囲からの光の入射状況に応じ、自動的に、その反射によって視認者が感じる眩しさを低減して視認性を向上させることができた。
【0159】
尚、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
【0160】
例えば、上述した各実施形態では、視認者の着用するサングラス等の偏光メガネの透過軸が上下方向に設定されていることを例示しているが、本発明では、偏光メガネの透過軸設定は上下方向に限定されるわけではない。例えば、偏光メガネの透過軸が水平方向に設定された場合でも、液晶表示素子の各構成要素の光学軸設定をそれに対応するように変更することができる。すなわち、視認者側となる前面側のF偏光板の透過軸を偏光メガネの透過軸と互いに平行となるように配置し、それに対応するように、反射型偏光板等の他の構成要素の光学軸を上述したのと同様に最適な配置とし、本発明の液晶表示素子を提供することができる。そして、本発明の液晶表示素子は、表示素子機能とミラー機能とを両立し、また防眩機能を有することができる。
【0161】
また、本発明において、例えば、液晶表示素子を構成する液晶パネルは、各画素を構成する電極とともに、画素毎にTFT等のスイッチング素子を設け、低電圧駆動が可能なアクティブマトリクス型の液晶パネルとすることも可能である。
【0162】
本発明の液晶表示素子は、自動車等車両用のバックミラーの他、室外での使用を想定して、ミラー機能を備えた携帯電話等、ミラー機能を備えた携帯情報機器の表示素子としても好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0163】
1、51、100、200、200’、1000、2000、3000 液晶表示素子
2、4004 バックライト
3、1003、2003 反射型偏光板
4、54、1004、2004、3004、4001 液晶パネル
5、1005、2005 F偏光板
7、1007 位相差板
101、201、201’ ミラー領域
102、202、202’ 表示領域
203、203’、1016、2016 反射軸
204、204’、211、1013、1015、2013、2015、4012、4013 透過軸
210 偏光メガネ
4000 バックライト付き液晶表示素子
4002、4003 偏光板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9