(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6068055
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】キャビネットの扉止め構造
(51)【国際特許分類】
E05C 17/18 20060101AFI20170116BHJP
E05C 17/20 20060101ALI20170116BHJP
E05C 17/14 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
E05C17/18
E05C17/20
E05C17/14
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-185705(P2012-185705)
(22)【出願日】2012年8月24日
(65)【公開番号】特開2014-43697(P2014-43697A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】吉川 和良
【審査官】
仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−314974(JP,A)
【文献】
実開昭62−182363(JP,U)
【文献】
特開2004−278218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開放された箱状のキャビネット本体と前記キャビネット本体の前面を回動操作で閉塞する扉とを有するキャビネットにおいて、前記キャビネット本体と前記扉との間にストッパ部材を掛け渡して開状態の前記扉を保持させるキャビネットの扉止め構造であって、
前記キャビネット本体の開口部下部に配置されて前記ストッパ部材の基部を回動支持する受け金具と、前記扉の下部に配置されて前記ストッパ部材の先端を支持する案内金具とを有し、
前記受け金具は、前記扉を蝶着した側部近傍に配置されて、前記ストッパ部材の基部を上方から挿入して水平面内で回動可能に支持する支持孔を有する一方、
前記案内金具は、前記ストッパ部材の先端を挿入した状態で前記扉の開閉を可能とするために扉背面に沿う左右方向に形成された長孔と、前記扉が所定角度まで開いたら前記ストッパ部材の前記長孔内の戻り移動を禁止する規制手段とを有し、
前記規制手段は、前記扉を前記所定角度まで開く間、前記ストッパ部材の中間部を載置し続けるよう前記長孔に沿って形成された帯状支持片であり、前記所定角度に開くと前記ストッパ部材が前記帯状支持片の端部を過ぎて移動し、載置状態が解除されて落とし込まれることで、前記帯状支持片の端部に阻止されて前記長孔内の戻り移動が禁止される一方、
前記受け金具は、前記扉が蝶着された一方から他方に向けて上り傾斜となるよう左右方向に傾斜を設けて形成したストッパ支持面を有し、前記ストッパ部支持面に前記支持孔が形成されて成ることを特徴とするキャビネットの扉止め構造。
【請求項2】
前記長孔に隣接する部位に、ストッパ部材の先端を挿入可能な透孔を備えたことを特徴とする請求項1記載のキャビネットの扉止め構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器等を収納するキャビネットに関し、特にその前面の扉を開けた際に、開いた状態の扉を保持するキャビネットの扉止め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
キャビネットに電気機器を収納する場合や収納機器をメンテナンスする場合には、扉を開けた状態で固定しておくと作業がし易いため、開放状態の扉をロックする扉止め構造が広く採用されている。例えば、特許文献1では、キャビネット本体と扉の間にコ字状に折り曲げた棒状のストッパを掛け渡して開放状態を保持させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−52370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の構成の場合、開けた扉を保持させる際、ストッパを本体側から取り出して扉側の係止部に係止操作する作業が必要であったため、保持操作が面倒であった。
特に、キャビネットが屋外に設置されているような場合、開けた扉が風に煽られることがあり、そのような場合はストッパーを操作する作業を扉を支えながら行わなければならず、保持作業が容易ではなかった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、扉の開操作に伴い自動で保持機能が作用して開いた扉が保持される簡易な構造のキャビネットの扉止め構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、前面が開放された箱状のキャビネット本体と前記キャビネット本体の前面を回動操作で閉塞する扉とを有するキャビネットにおいて、前記キャビネット本体と前記扉との間にストッパ部材を掛け渡して開状態の前記扉を保持させるキャビネットの扉止め構造であって、前記キャビネット本体の開口部下部に配置されて前記ストッパ部材の基部を回動支持する受け金具と、前記扉の下部に配置されて前記ストッパ部材の先端を支持する案内金具とを有し、前記受け金具は、前記扉を蝶着した側部近傍に配置されて、前記ストッパ部材の基部を上方から挿入して水平面内で回動可能に支持する支持孔を有する一方、前記案内金具は、前記ストッパ部材の先端を挿入した状態で前記扉の開閉を可能とするために扉背面に沿う左右方向に形成された長孔と、前記扉が所定角度まで開いたら前記ストッパ部材の前記長孔内の戻り移動を禁止する規制手段とを有
し、前記規制手段は、前記扉を前記所定角度まで開く間、前記ストッパ部材の中間部を載置し続けるよう前記長孔に沿って形成された帯状支持片であり、前記所定角度に開くと前記ストッパ部材が前記帯状支持片の端部を過ぎて移動し、載置状態が解除されて落とし込まれることで、前記帯状支持片の端部に阻止されて前記長孔内の戻り移動が禁止される一方、前記受け金具は、前記扉が蝶着された一方から他方に向けて上り傾斜となるよう左右方向に傾斜を設けて形成したストッパ支持面を有し、前記ストッパ部支持面に前記支持孔が形成されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、ストッパ部材を案内金具に案内させた状態で扉の開操作ができるため、扉を閉じた状態から開放して扉の戻りが規制されてロック状態に至るまで、ストッパ部材を操作する必要がない。そのため、屋外に設置されて風に煽られても、開けた扉を容易に保持させることができ開放操作し易い。
【0007】
また、ストッパ部材は帯状支持片の端部に落とし込まれるだけなため、扉を閉じる操作は、ストッパ部材を持ち上げて中間部を帯状支持片に載せれば良く、扉を閉じる操作も簡単で済む。
【0008】
加えて、ストッパ部材の基部を挿入する支持孔が、扉が蝶着された左右何れか一方から他方に向けて上り傾斜を有しているので、扉を閉じた状態ではストッパ部材基部は高い位置に移動する。その結果、閉じた状態では帯状支持片と係合しない高さにストッパ部材を移動させることができ、帯状支持片の有無にかかわらず、扉の開け始めはストッパ部材を長孔内をスムーズに移動させることができる。
【0009】
請求項
2の発明は、請求項
1に記載の構成において、前記長孔に隣接する部位に、ストッパ部材の先端を挿入可能な透孔を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、ストッパ部材先端を長孔から透孔に入れ替えれば、ストッパ部材の摺動を確実に禁止できるため、作業中にロックが外れて扉が開閉動作するような事態を防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ストッパ部材を案内金具に案内させた状態で扉の開操作ができるため、扉を閉じた状態から開放して扉の戻りが規制されてロック状態に至るまで、ストッパ部材を操作する必要がない。そのため、屋外に設置されて風に煽られても、開けた扉を容易に保持させることができ開放操作し易い。また、ストッパ部材は帯状支持片の端部に落とし込まれるだけなため、扉を閉じる操作は、ストッパ部材を持ち上げて中間部を帯状支持片に載せれば良く、扉を閉じる操作も簡単で済む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る扉止め構造を有するキャビネットの一例を示す斜視図である。
【
図6】
図1のキャビネットの扉を閉じた正面図であり、扉止め構造の構成部材を残して扉を削除した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る扉止め構造を備えたキャビネットの一例を示す斜視図であり、キャビネット1はキャビネット本体1aと扉2とから成り、扉2を開放した状態を示している。
キャビネット本体1aは、前面に大きく開口した開口部10を備え、他の面は閉塞されている。扉2はこの開口部10を閉塞するよう設けられ、開放した扉2を保持するためのストッパ部材3が両者の間に掛け渡されている。
【0013】
扉2の左側部は、蝶番11を介してキャビネット本体1aに蝶着され、回動操作でキャビネット本体1aの開口部10を開放/閉塞する。ストッパ部材3は、キャビネット本体1aに設けた受け金具4、及び扉2側に設けた案内金具5に端部を係止して扉2を所定角度で保持
するよう構成され、これらストッパ部材3、受け金具4、案内金具5により扉止め構造は構成されている。
【0014】
図2はA部拡大図を示し、扉止め構造部を拡大している。また、
図3〜
図5は扉止め構造部の各部材の斜視図を示している。この
図2〜5を参照して扉止め構造を説明する。
ストッパ部材3は、
図3に示すように、金属棒の両端を折り曲げたコ字状を成し、基部となる一端に形成した下向きの本体係止部3aと、先端となる他端に形成した下向きの扉係合部3bと、中央の中間長辺部3cとを備えている。本体係止部3aは、後述する受け金具4に支持され、扉係合部3bは案内金具5に係合して摺動する。
【0015】
受け金具4は、
図4に示すように、帯状鋼板を略コ字状に折り曲げて形成され、上面4aにストッパ部材3を挿入して支持する支持孔13が設けられ、下方に折り曲げた左右の曲げ片4b,4cは、キャビネット本体1aへの固着部を成している。そして、上面4aは傾斜形成され、支持孔13は低く形成された一方の曲げ片4bに近い部位に穿設されている。
このように形成された受け金具4は、キャビネット開口部10の扉2開放端側である右に向けて上り傾斜となるように開口部10下部の左端に取り付けられている。
【0016】
案内金具5は、
図5に示すように矩形板体の左右長辺部をコ字状に折り曲げて形成され、凹状に形成された中央平坦部にはストッパ部材3の扉係合部3bを挿入して案内する長孔14が形成されている。折り曲げて起立形成した一方の帯片は一様な高さの上辺を有し、ストッパ部材3に係合する帯状支持片5aを形成している。また、同様に起立形成した他方の帯片は扉2の裏面に固着される取付片5bである。尚、長孔14に連続する中央平坦部の端部には扉係合部3bを挿入できる透孔16が穿設されている。
そして、ストッパ部材3の本体係止部3aが、受け金具4の支持孔13に挿入されて軸着される一方、扉係合部3bは案内金具5の長孔14に摺動自在に挿入される。
【0017】
ここで、受け金具4、案内金具5、長孔14の位置関係を具体的に説明する。
図6、
図7は
図1のキャビネット1の扉2を閉じた状態を示し、何れも扉止め構造の構成部材を残して扉2を削除して示している。また
図8はB部拡大図を示している。
この
図8に示すように、受け金具4の右端は案内金具5の帯状支持片5aより高い位置に配置されるよう取り付けられている。
図8において、ΔHは受け金具4の最上部と帯状支持片5a上辺の高さの差を示し、受け金具4の最高位置の方が帯状支持片5aより高いことを示している。尚、支持孔13を形成した部位は帯状支持片5aより低い位置に形成されている。
【0018】
一方、長孔14の扉2の開放端側となる右端は、扉2を閉じた状態でもストッパ部材3が摺動できる十分な長さで形成されているが、蝶着側の左端は、帯状支持片5aの端部と特定の距離を設けて形成されている。具体的に、扉2を開けてストッパ部材3が帯状支持片5aの端部から外れて落ちると(これが所定角度まで開けた状態となる)、落とし込まれたストッパ部材3の扉係合部3bは長孔14の左端部に位置し、長孔14上を前後動が禁止された状態となる。
【0019】
上記の如く構成された扉止め構造の作用は以下の様である。このように受け金具4と案内金具5を配置することで、閉じた状態ではストッパ部材3は、開口部10の開口面に並行、即ち左右方向を向いた状態にあり、ストッパ部材3の本体係止部3aは、傾斜面を
せり上がって受け金具上面
4aの最も高い位置に移動した状態となる。この結果、ストッパ部材3の中間長辺部3cは帯状支持片5aより高い位置に移動し、扉2の開放を開始して交叉状態となっても両者は接触しない。但し、先端の扉係合部3bは長孔14に挿入された状態を維持して、閉じた状態では長孔14の最遠部(
図6,7に示す右側)に移動する。
【0020】
この閉じた状態から扉2を開けると、ストッパ部材3の先端が長孔14を摺動して左側に移動を始め、中間長辺部3cが帯状支持片5a上を交差する方向に移動を始める。そして、開放角度の拡大に応じてストッパ部材3が回動して傾斜形成された上面4aの低い方向へ移動し、本体係止部3aが徐々に下方に移動する。その結果、開放動作の途中から、ストッパ部材3の中間長辺部3cが帯状支持片5aに当接して、帯状支持片5a上を摺動する。尚、ストッパ部材3の扉係合部3bは、この間長孔14内を摺動する。
【0021】
この状態は、扉2を一定の角度に開くまで継続され、一定の角度に至ると
図1に示すように、中間長辺部3cの帯状支持片5aとの係合部が帯状支持片5aの端部(案内金具の端部)に至り、やがて載置された状態から落下して帯状支持片5aの左側側部15(
図5に示す)と係合する。
このとき、ストッパ部材3の扉係合部3bは、引き続き長孔14と係合した状態を維持するが、長孔14の扉蝶着側の端部まで移動した状態となり、帯状支持片5aの側部15とストッパ部材3が係合することで、長孔14上の移動が規制され、扉2はその角度を保持することになる。こうして一定角度まで開けた扉2はその状態を維持する。更に、このとき、扉係合部3bの挿入先を長孔14から透孔16に差し替えることができる。
【0022】
扉2を開けた保持状態から扉を閉じる場合は、ストッパ部材3を持ち上げて帯状支持片5aの側部15との係合を解除すれば良く、解除した状態で扉2を閉めればストッパ部材3は帯状支持片5aに載置された状態で長孔14内を摺動し、閉じれば最初の
図6の状態に戻る。
【0023】
このように、ストッパ部材3を案内金具5に案内させた状態で扉の開操作ができるため、扉2を閉じた状態から開放して扉2の戻りが規制されてロック状態となる位置に至るまで、ストッパ部材3を操作する必要がない。そのため、屋外に設置されて風に煽られても、開けた扉2を容易に保持させることができ開放操作し易い。
また、扉2を閉じる操作は、ストッパ部材3を持ち上げて中間長辺部3cを帯状支持片5aに載せれば良く、扉2を閉じる操作も簡単で済む。
更に、ストッパ部材3の基部を挿入する支持孔13が、扉2が蝶着された左右何れか一方から他方に向けて上り傾斜を有しているので、扉2を閉じた状態ではストッパ部材3の基部は高い位置に移動し、閉じた状態では帯状支持片5aと係合しない高さにストッパ部材3が移動する。そのため、帯状支持片5aの有無にかかわらず、扉2の開け始めはストッパ部材3を長孔14内をスムーズに移動させることができる。
また、ストッパ部材3の先端を長孔14から透孔16に入れ替えれば、ストッパ部材3の摺動を完全に禁止できるため、作業中にロックが外れて扉2が開閉動作するような事態を防止できる。
【0024】
尚、上記実施形態は、長孔14及び透孔16を何れも1つとしているが、何れも複数設けることができる。例えば、長孔14を隣接させて並行に複数設ければ、開放した扉を保持する角度を変えることができ、設置環境に合わせて最適な角度に設定することが可能となる。透孔16も同様に複数設けることで、設置環境に合わせて最適な角度で固定できる。
また、扉2はキャビネット1の前面に設けられているが、扉を設けた面を前面としているものであり、側面に扉を設けて開放可能とした場合は、この側方が前面となる。更に、キャビネットが複数の面に扉2を備えている場合は、それぞれの扉2に対して本発明の扉止め構造を適用できる。
【符号の説明】
【0025】
1・・キャビネット、1a・・キャビネット本体、2・・扉、3・・ストッパ部材、3a・・本体係止部(一端)、3b・・扉係合部(他端)、3c・・中間長辺部(中間部)、4・・受け金具、4a・・上面(ストッパ支持面)、5・・案内金具、5a・・帯状支持片(規制手段)、10・・開口部、13・・支持孔、14・・長孔、15・・側部、16・・透孔。