特許第6068073号(P6068073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スタンレー電気株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6068073
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】LEDアレイ
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20170116BHJP
   H01L 33/22 20100101ALI20170116BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20170116BHJP
【FI】
   H01L33/48
   H01L33/22
   H01L33/58
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-204631(P2012-204631)
(22)【出願日】2012年9月18日
(65)【公開番号】特開2014-60277(P2014-60277A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】特許業務法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千野根 崇子
【審査官】 佐藤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−163414(JP,A)
【文献】 特開2009−152240(JP,A)
【文献】 特開2009−059969(JP,A)
【文献】 特開2004−006662(JP,A)
【文献】 特開2003−110136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられ、第1の導電型の第1の半導体層、前記第1の半導体層上に形成された活性層、及び前記活性層上に形成された第2の導電型の第2の半導体層を含む半導体構造層と、を含み、
前記半導体構造層は、前記半導体構造層に形成された溝部によって同一の半導体層構造を有する複数の発光部に区画され、
隣接する前記発光部同士の対向する側面の各々は、凹凸構造を有しており、前記隣接する発光部の対向する側面のうちの一方の側面の凸部と他方の側面の凹部とが対向し、前記一方の側面の凹部と前記他方の側面の凸部とが対向し、前記隣接する発光部は前記一方の側面の凸部の頂部を結んだ線分が前記他方の側面と接するかまたは前記他方の側面の凸部を貫通するように配されていることを特徴とするLEDアレイ。
【請求項2】
前記凹凸構造が周期的な形状であることを特徴とする請求項1に記載のLEDアレイ。
【請求項3】
前記凹凸構造が曲線波形状であることを特徴とする請求項1または2に記載のLEDアレイ。
【請求項4】
さらに、前記発光部同士の対向する側面以外の前記発光部の側面にも凹凸構造が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載のLEDアレイ。
【請求項5】
前記発光部は、前記基板上に一列に配列されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載のLEDアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子、特に、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いたLEDアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
LED素子を搭載した発光装置が、照明、バックライト等に従来から用いられてきた。近年では、自動車の前照灯等の自動車用照明にも利用されている。このような発光装置では、必要な光束を確保するために、数個のLED素子を直列に配列しているものがある(特許文献1)。また、1の支持基板上に複数の発光素子領域を配列してなるLEDアレイがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−48934号公報
【特許文献2】特開2006−80442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような数個のLED素子を配列してなる発光装置においては、素子搭載時の配置精度に鑑みて隣接する素子の間に100μm程度の間隔が必要となる。また、特許文献2に記載されているようなLEDアレイであっても、パターニング精度の限界故に発光部間に30μm程度の間隔が必要とされる。この素子同士の間隔または発光部同士の間隔に形成される直線状の非発光領域によりLEDアレイからの発光にムラが生じ、特に、前照灯などの灯具に用いた場合には、その照射面に視認できるほどの暗部が生じてしまう。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、複数の発光部を配列してなるLEDアレイであって、その照射面の照度の均一性を高めることが可能なLEDアレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のLEDアレイは、基板と、当該基板上に設けられ、第1の導電型の第1の半導体層、当該第1の半導体層上に形成された活性層、及び当該活性層上に形成された第2の導電型の第2の半導体層を含む半導体構造層と、を含み、当該半導体構造層は、当該半導体構造層に形成された溝部によって複数の発光部に区画され、隣接する当該発光部同士の対向する側面の各々は、凹凸構造を有しており、当該隣接する発光部の対向する側面のうちの一方の側面の凸部と他方の側面の凹部とが対向し、当該一方の側面の凹部と当該他方の側面の凸部とが対向し、当該隣接する発光部は当該一方の側面の凸部の頂部を結んだ線分が当該他方の側面と接するかまたは当該他方の側面の凸部を貫通するように配されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本発明の1の実施例のLEDアレイの上面図である。
図1B図1のLEDアレイの1B−1B線に沿った断面図である。
図1C図1の一部拡大図である
図2A-2D】図1のLEDアレイの製造方法を示す断面図である。
図3A-3B】図1のLEDアレイの製造方法を示す断面図である。
図4A-4C】図1のLEDアレイの製造方法を示す断面図である。
図5】本発明の他の実施例のLEDアレイの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の1の実施例に係るLEDアレイ10について、図1A図1Cを参照しつつ説明する。LEDアレイ10は、1の支持基板上にLED素子が4つ直列に配列されているLEDアレイである。
【0009】
支持基板11は、Si等の熱伝導性の高い基板である。支持基板11は、長辺L及び短辺Sを有する矩形の上面及び下面形状を有している。なお、支持基板11は、熱伝導率が高くかつ半導体構造層が成長させられる成長基板として用いられるサファイヤまたはGaNの熱膨張係数と近い熱膨張係数を有する材料であればよい。従って、支持基板11には、例えば、AlN、Mo、W、CuW等の他の材料を用いてもよい。
【0010】
支持基板11が導電性である場合、支持基板11上には、例えば、SiO等の絶縁性材料からなる絶縁層13が形成されており、絶縁層13の上には、給電パッド14A、14B及び第1の接合層15が形成されている。なお、支持基板11が絶縁性である場合、絶縁層13は形成されずに、支持基板11上に給電パッド14A、14B及び第1の接合層15が直接形成されていてもよい。
【0011】
給電パッド14A、14Bは、支持基板の短辺Sに沿った端部領域の各々に形成されている給電用金属パッドである。第1の接合層15は、その上に配されるLED素子17と支持基板11との接合時の加熱圧着によって、LED素子17の第2の接合層19と共晶接合させられているAuSn等の金属層である。第1の接合層15は、上面に搭載されるLED素子17の形状に対応した上面形状を有し、互いに離間して長辺L方向に一列に4つ形成されている。第1の接合層15は、LED素子17の第2の接合層19の下面よりも広い上面を有している。なお、第1の接合層15の上面は、LED素子17の第2の接合層19の下面と同一の形状を有していてもよい。
【0012】
LEDアレイ10の発光部であるLED素子17は、第1の接合層15上に1つずつ、一定の間隔を空けて直列に4つ配されている。LED素子17は、例えば、概ね1000μm×1000μmの正方形の上面及び下面を有する略直方体であり、後述するように隣接する他のLED素子17に面した側面に凹凸構造を有している。LED素子17の各々は、第2の接合層19、反射電極層21、半導体構造層23、及び絶縁膜25から形成されている。
【0013】
第2の接合層19は、第1の接合層15上に設けられており、第1の接合層と共晶接合によって接合されているAuSn等の金属層である。第2の接合層19は、第1の接合層15よりも小さな面を有している。
【0014】
反射電極層21は、第2の接合層19上に設けられている。反射電極層21は、導電性を有しかつ光反射性の高いNi及びAg等の金属からなる層であり、半導体構造層23内からの光を光照射方向に反射する機能を有する。
【0015】
半導体構造層23は、支持基板11側から、p型GaN層及びp型AlGaN層からなるp型半導体層31、活性層33、並びにGaN/InGaNを含む歪み緩和層、nGaN層、アンドープGaN層及びGaNバッファ層からなるn型半導体層35が積層されている構造を有している。活性層33は多重量子井戸(MQW)として形成されているが、単一量子井戸(SQW)、あるいは単層(いわゆるバルク層)でもよい。
【0016】
多重量子井戸構造は、例えば、井戸層をInGa1―xN層(組成x=0.35、厚さ2nm)、バリア層をGaN層(厚さ14nm)とし、5ペアの井戸層とバリア層から構成される。なお、井戸層のIn組成xは発光波長に合わせて0≦x≦1.0の範囲で調整される。
【0017】
反射電極層21と第2の接合層19との間には、反射電極層21内のAgのマイグレーションを防止するために、Ti及びPtからなるキャップ層(図示せず)が形成されている。
【0018】
絶縁膜25は、SiO等の絶縁性材料からなり、第1の接合層15、第2の接合層19、反射電極層21及び半導体構造層23の側面を覆い、半導体構造層23の上面に達している。絶縁膜25は、n電極27が形成される半導体構造層23のn型半導体層35の上面が露出するように、かつp電極29が形成される領域の第1の接合層15の表面が露出するように形成されている。
【0019】
ここで、LED素子17の形状について説明する。LED素子17は、半導体構造層23から絶縁層13の上面に達する溝によって区画されている。LED素子17の各々は、隣接する他のLED素子と面している側面に周期的な凹凸面構造を有している。
【0020】
図1Cは、図1Aの破線で囲まれた領域Aにおける断面図を示し、より詳細には、支持基板11の上面と平行な面における活性層33の断面の拡大図を示す。LED素子17の側面の凹凸は、例えば、半径Rが120μmの曲線をつなぎ合わせた曲線波形状を有しており、波形状の凹部(谷部)の頂点PLから凸部(山部)の頂点PHまでの高さHは60μmである。また隣接するLED素子17の側面間の間隔Wは30μmであり、対向する側面のうちの一方の頂点PHを結んだ線と他方の頂点PHを結んだ線との距離Xは30μmである。従って、隣接するLED素子17は、一方のLED素子の側面の凸部が他方のLED素子側面の凹部に入り込むように、言い換えれば、一方のLED素子の凸部の頂点PHを結んだ線が他方のLED素子の側面の凸部を貫通するように入り組んで形成・配置されている。
【0021】
このように、隣接するLED素子17の対向する側面を入り組んだ凹凸構造とすることによって、LEDアレイ10において、一直線上に連続してLED素子間の間隙(非発光領域)が形成されず、凹凸面によってLED素子17の側面から取り出される光が散乱(光の進行方向が多様化)することにより、LEDアレイ10の発光ムラが低減されることで照射面における暗部が緩和される。また、当該凹凸構造によって活性層33から出射した光のうちLED素子17の側面において全反射する光の割合が低下し、隣接するLED素子17間の溝部(活性層の存在しない部分)に面しているLED素子17の側面から外に取り出される光が増加する。それによって、隣接するLED素子17の間の非発光領域の周辺からの発光が増加し、LEDアレイ10の発光ムラが低減されることで照射面における暗部が緩和される。これは、LED素子17の側面から取り出される光を増加させることにもつながり、LEDアレイ全体の発光量を増加させることが可能である。
【0022】
n電極27は、半導体構造層23のn型半導体層35が露出した上面上に、長辺L方向において一定間隔を置いて櫛歯状に配置されており、かつLED素子17の長辺Lに沿った側面のうちの一方に沿って絶縁層13上面まで伸張している引出電極27Aと、絶縁層13上に形成され、引出電極27Aと電気的に接続され、長辺Lに沿って伸張している配線電極27Bとからなっている。p電極29は、第1の接合層15の露出した部分を覆うように形成され、長辺Lに沿って伸張している。
【0023】
図1Aに示すように、LEDアレイ10においては、両端にあるLED素子17うちの一方のLED素子のn電極27が給電パッド14Aに、他方LED素子のp電極29が給電パッド14Bにそれぞれ接続されている。また、隣接するLED素子17のp電極29とn電極27とは互いに電気的に接続されている。すなわち、LEDアレイ10は、隣接するLED素子17同士が電気的に直列に接続されている構造になっている。
【0024】
以下に、LEDアレイ10の製造方法について、図1の1B−1B線に沿った断面図である図2A図2D図3A図3B、及び図4A図4Cを参照して説明する。なお、図の明瞭化のために、1のLEDアレイの断面図を用いて説明を行うが、複数のLEDアレイ10が1の支持基板上に同時進行で形成され、最後にダイシングによって個々のLEDアレイ10に個片化される。
【0025】
まず、図2Aに示すように、例えば、厚さ430μm、直径2インチのサファイヤからなる成長基板37の(001)面上に、MOCVD法を用いて、窒化物系半導体からなる半導体構造層23を形成する。半導体構造層23は、例えば、まず、成長基板37をMOCVD装置に投入してサーマルクリーニングをした後に、GaNバッファ、アンドープGaN層、Si等をドープした層厚が5.0μmのGaN層、GaN/InGaNを含む歪み緩和層を順次エピタキシャル成長させることでn型半導体層35を形成する。次に、層厚75nmの活性層33を形成し、その上に、組成がAl0.2Ga0.8Nで層厚が40nmのp型バリア層、p型クラッド層として層厚が100nmのGaN層を順次エピタキシャル成長させてp型半導体層31を形成する。活性層は多重量子井戸(MQW)、単一量子井戸(SQW)、あるいは単層(いわゆるバルク層)でもよい。
【0026】
多重量子井戸構造は、例えば、井戸層をInGa1―xN層(組成x=0.35、層厚2nm)、バリア層をGaN層(層厚14nm)とし、5ペアの井戸層とバリア層から構成される。なお、井戸層のIn組成xは発光波長に合わせて0≦x≦1.0の範囲で調整される。
【0027】
次に、図2Bに示すように、p型半導体層31上の個別のLED素子17とすべき領域に対応する領域に、Ni及びAgからなる反射電極層21を形成する。反射電極層21は、p型半導体層31上に、例えば、EB蒸着法にてNiを0.5nm、Agを300nmの層厚で順次成膜して形成する。EB蒸着法の他にも、抵抗加熱蒸着法、スパッタ法等を用いることが可能である。この際、LED素子17とすべき領域上の反射電極層21の表面にレジストマスクを形成し、硝酸1:水1:酢酸8:リン酸10の割合で混合されてなるエッチャントを用いて、25℃で20秒エッチングを行い、その後、酸素が含まれる雰囲気下で400℃、2分間加熱処理することで、個別のLED素子17とすべき領域に対応する領域に反射電極層21を形成してもよい。
【0028】
次に、反射電極層21を形成するAgの拡散防止のために、反射電極層21上に金属の拡散防止バリア層として、例えば、Ti(層厚100nm)/Pt(層厚200nm)からなるキャップ層を形成した(図示せず)。
【0029】
次に、図2Cに示すように、キャップ層(図示せず)上に、第2の接合層19を形成する。第2の接合層19は、支持基板11との後述する接合において用いられる層であり、下地層としてNi(層厚300nm)、表面層としてAu(層厚200nm)を、例えばスパッタ法により順次成膜することにより形成する。
【0030】
次に、図2Dに示すように、レジストマスク及び塩素ガスを用いたドライエッチング法によって、半導体構造層23をエッチングし、個別のLED素子17を形成する。この際、上記したように、一のLED素子17の隣接する他のLED素子17と面している側面が、支持基板11の上面に平行な断面において波形を形成するようにエッチングする。図1を参照して上述したように、この波形は、例えば、半径R120μmの曲線をつなぎ合わせた形状を有しており、波形状の凹部の頂点PLから凸部の頂点PHまでの高さHは60μmであるように形成する。隣接するLED素子17の側面間の間隔Wは30μmとし、対向する側面のうちの一方のPHを結んだ線と他方のPHを結んだ線との距離Xは30μmとする。従って、エッチング後において、隣接するLED素子17は、一方のLED素子の側面の凸部が他方のLED素子側面の凹部に入り込むように、言い換えれば、一方のLED素子の凸部の頂点PHを結んだ線が他方のLED素子の凸部を貫通するように入り組んだ形状・配置となる。
【0031】
次に、図3Aに示すように、例えば、Siからなる支持基板11を用意し、支持基板11上に絶縁層13を形成する。絶縁層13は、例えば、Siからなる支持基板11の表面を熱酸化処理することによってSiO膜を生成することで形成する。形成する絶縁層13の厚さは、絶縁機能を十分果たす厚さ以上であればよい。
【0032】
次に、図3Bに示すように、絶縁層13上のLED素子17を搭載する領域に、第1の接合層15を形成する。第1の接合層15は、短辺Sに沿った方向においてLED素子の上面よりも広い幅を有する以外は、LED素子17の上面と同一の形状となるように形成する。第1の接合層15は、例えば、リフトオフ法を用いて所望の領域(LED素子17に対応した形状を有する領域)に形成することが可能である。その場合、まずフォトレジストを絶縁層13の全面に塗布し、所定の温度のホットプレートを用いて大気中でプリベークを行う。次に、UV光を用いてフォトレジストパターンを露光する。露光後のフォトレジストを、例えば、120℃で90秒程度リバーサルベーク処理し、露光部を熱架橋させる。次に、UV光をフォトレジスト前面に照射して反転露光を行う。次に、フォトレジストを現像液中に浸漬して現像処理を行い、所望の(第1の接合層15を形成する領域以外に)フォトレジストパターンを形成する。
【0033】
次に、抵抗加熱蒸着法を用いて、Ti(層厚150nm)/Ni(層厚50nm)/Au(層厚100nm)/Pt(層厚200nm)/AuSn(層厚1000nm、Sn含有率21wt%))からなる金属層を積層し、その後、リフトオフを行うことによって第1の接合層15を形成する。AuSn層のSn含有率は、第2の接合層19を形成するAuと共晶接合可能な含有率ならよく、例えば、18〜23%でもよい。なお、第1の接合層15は、ドライエッチング法またはウェットエッチング法を用いて所望の領域に形成してもよい。
【0034】
次に、図4Aに示すように、真空雰囲気下または窒素雰囲気下で、第1の接合層15と第2の接合層19とを接触させ、互いに対向する方向(矢印で示す方向)に6kNの力を印加した状態で330℃に加熱して所定時間(10分程度)保持し、接合層の金属同士の共晶を形成する加熱圧着接合処理を行う。
【0035】
次に、例えば、レーザリフトオフ(LLO)装置にて成長基板37の裏面側からエキシマレーザを照射することにより成長基板37を除去する。なお、成長基板37の除去は、レーザリフトオフ(LLO)に限らず、ウェットエッチング、ドライエッチング、機械研磨法、もしくは化学機械研磨(CMP)、またはこれらの方法の少なくとも1つを組み合わせた方法によって行ってもよい。
【0036】
LLOで成長基板37を除去した場合、成長基板37を除去した後、LLOで発生したGaを、熱水等を用いて除去し、成長基板37を除去した後の除去面を塩酸で表面処理する。なお、LLO後に行う表面処理に使用する薬剤としては窒化物半導体をエッチングできるものであればよく、リン酸、硫酸、KOH、NaOHなどの酸やアルカリ溶液でもよい。また、表面処理はArプラズマや塩素系プラズマを用いたドライエッチングや、研磨等で行ってもよい。
【0037】
上記処理の終了後、図4Bに示すように第1の接合層15、第2の接合層19及び半導体構造層23の側面を覆うように、絶縁膜25を形成する。具体的には、まず、第1の接合層15、第2の接合層19及び半導体構造層23の全表面にCVD等によりSiOからなる絶縁膜を,例えば600nmの層厚で形成する。次に、半導体構造層23上面の絶縁膜、及び第1の接合層のp電極29を形成する領域(すなわち、第1の接合層の支持基板11の長辺Lに沿った矩形領域のいずれか一方)上の絶縁膜を、緩衝フッ酸を用いてエッチングして除去して絶縁膜25を形成する。
【0038】
次に、電子ビーム蒸着法によって、膜厚1nmのTi層、膜厚200nmのAl層、膜厚100nmのTi層、膜厚200nmのPt層、膜厚1μmのAu層を順次積層して、リフトオフ法等でパターニングすることによって、n電極27及びp電極29を形成する電極形成工程を行う。そして、最後にダイシングによって個片化を行い、図1A及び図1Bに示すようなLEDアレイ10が完成する。この電極形成工程において、隣接するLED素子のp電極29とn電極27とは一体的に形成されてもよい。なお、n電極27は、n型半導体とオーミック接合を形成することが可能な材料で形成されていればよく、Al/Rh、Al/Pt等を用いて形成してもよい。
【0039】
なお、上記電極形成工程後に、LED素子17全体を覆うように、LEDアレイ10の上面全体にSiOをスパッタにて350nm成膜して表面保護層(図示せず)を形成した後に個片化を行ってもよい。
【0040】
本発明のLEDアレイによれば、隣接するLED素子の各々の互いに対向する側面に互いに入り組んだ凹凸構造を形成することによって、LEDアレイから出射した光の照射面において、非発光部によって生成される暗部とその他の領域の照度の差を低減させることが可能である。
【0041】
上記実施例では、LED素子17の側面は複数周期の波形を有しているが、必ずしも上記形状を有する必要はなく、少なくとも、支持基板11の上面と平行な断面において、直線上に連続してLED素子17が存在しない領域(非発光領域)が形成されないように構成されていればよい。例えば、図5に示すように、LED素子17の側面が1周期の波形からなる凹凸形状からなっていてもよい。
【0042】
また、上記実施例では、隣接するLED素子17は、一方のLED素子の側面の凸部の頂点PHを結んだ線が他方のLED素子の側面の凸部を貫通するように互いに入り組んで配置されている場合について説明したが、少なくとも、支持基板11の上面と平行な断面において、一直線上に連続してLED素子が存在しない領域(非発光領域)が形成されないように構成されていればよい。例えば、少なくとも、一方のLED素子の側面の凸部の頂点PHを結んだ線が他方のLED素子の側面の凸部に接していればよい。
【0043】
また、上記実施例では、LED素子側面の凹凸構造が周期的であるとしたが、当該凹凸構造は非周期的で不規則な構造であってもよい。例えば、LED素子の側面の領域毎に凹凸の数を増減させる等してもよい。また、側面の断面形状必ずしも曲線波形状でなくともよく、矩形波形状、三角波形状、鋸波形状等の他の凹凸構造であってもよい。
【0044】
上記実施例では、LED素子17の側面のうち隣接するLED素子に面した側面のみが凹凸構造を有することとしたが、他の側面も凹凸構造を有することとしてもよい。このようにすることで、LED素子17の側面から取り出すことができる光がさらに増加し、LEDアレイ全体としての発光量をさらに増加させることが可能である。
【0045】
また、上記実施例では、成長基板上に成長させた半導体構造層を支持基板に張り替える、いわゆるメタルボンディング型のLEDアレイについて説明したが、これに限らない。例えば、成長基板上に成長させた半導体構造層に溝を形成して素子分離を行い、LEDアレイを形成する場合にも本発明は適用可能である。
【0046】
上記実施例では、LED素子17が支持基板11の上面と垂直な断面において矩形状を有している場合について説明したが、当該断面は台形状等の他の形状であってもよい。また、上記実施例では、LED素子を直列に4つ配した1×4配列のLEDアレイを例にして説明したが、LEDアレイの配列は、2×4、4×4等、他の様々な配列であってもよい。
【0047】
上記実施例では、LED素子を用いたLEDアレイを例に説明をしたが、他の発光素子を用いた発光素子アレイにも応用可能である。また、上述した実施例における種々の数値、寸法、材料等は、例示に過ぎず、用途及び製造される発光素子等に応じて、適宜選択することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 LEDアレイ
11 支持基板
13 絶縁層
14A、14B 給電パッド
15 第1の接合層
17 LED素子
19 第2の接合層
21 反射電極層
23 半導体構造層
25 絶縁膜
27 n電極
29 p電極
31 p型半導体層
33 活性層
35 n型半導体層
37 成長基板
図1A
図1B
図1C
図2A-2D】
図3A-3B】
図4A-4C】
図5