(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の防災警報システムに於いて、前記移動体手段は、前記中継手段から防災情報検知信号を受信した場合に、当該防災情報検知信号を前記外部ネットワークのサーバを経由して利用者端末へ送信して前記防災情報を報知させることを特徴とする防災警報システム。
請求項1記載の防災警報システムに於いて、前記中継手段は、前記防災受信手段に信号線で接続され、又は前記防災受信手段に一体に組み込まれていることを特徴とする防災警報システム。
請求項1記載の防災警報システムに於いて、前記移動体手段は、前記中継手段から防災情報検知信号を受信した場合に、当該防災情報検知信号の防災内容に応じて所定の防災対処方法を音声報知することを特徴とする防災警報システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の防災警報装置にあっては、防災警報装置からの音が聴取可能な範囲においてのみ緊急地震速報や津波警報の放送を聴くことができないため、防災警報装置を部屋毎に設置する必要があるが、多額な設備投資と各所に設置スペースを確保しなければならないといった問題がある。
【0010】
また、防災警報装置は基本的には放送受信機であることから、FM放送やAM放送を受信する場合には、部屋によっては電波事情が悪く電波が充分な強度で受信できない場合があり、このような場所に設置した場合は有効に機能しない恐れがある。
【0011】
一方、住宅等における掃除を自立走行により行う掃除ロボットが実用化され、その普及が始まっている。このような掃除ロボットにあっては、自立走行による掃除機能に加え、カメラやマイク、スピーカ、温度センサといった入出力デバイスを備え、無線LAN通信機能により、各入出力デバイスを、無線LAN通信機能を介してインターネット等の外部ネットワーク上のサーバと連携可能とし、利用者の保有するスマートフォン等の携帯端末を利用し、掃除ロボットとの間で様々なコミュニケーションを行うことを可能とし、所謂スマート掃除ロボットシステムを実現可能としている。
【0012】
これにより近い将来、家庭という同じ環境の中に、緊急地震速報や津波警報の放送を自動受信して報知する緊急警報システムと、音声出力が可能で且つ利用者の携帯端末と通信できる掃除ロボットを用いたスマート掃除ロボットシステムが別々に存在して機能することになる。このため掃除ロボットの音声出力機能と外部ネットワークを経由した通信機能を、防災警報装置で受信した防災情報の報知に利用できれば、従来の防災警報システムとは異なる新たな機能を生み出すことが可能となる。
【0013】
本発明は、家事サービスを行う掃除ロボット等の移動体に、緊急地震速報や津波警報等の防災情報の通報機能を連携して機能を拡張可能とする警報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(防災警報システム)
本発明は、防災警報システムに於いて、
防災情報を受信して報知すると共に防災情報検知信号を出力する防災受信手段と、
所定の作業領域
に応じて作業用巡回経路及び報知用巡回経路が予め設定され、所定のたスケジュールに基づき又は所定の操作がされた場合に、当該作業用巡回経路を自立走行しながら所定の作業を行うと共に、外部ネットワークのサーバを経由して利用者端末との間で信号を送受信する移動体手段と、
防災受信手段から出力される防災情報検知信号を、移動体手段へ送信する中継手段と、
を備え、移動体手段は、中継手段から防災情報検知信号を受信した場合に、
報知用巡回経路を
自立走行しながら防災情報を報知することを特徴とする。
【0015】
(利用者端末による防災情報の報知)
移動体手段は、中継手段から防災情報検知信号を受信した場合に、当該防災情報検知信号を外部ネットワークのサーバを経由して利用者端末へ送信して防災情報を報知させる。
【0016】
(
中継手段)
中継手段は、防災受信手段に信号線で接続され、又は防災受信手段に一体に組み込まれている。
【0017】
(巡回移動しながら画像撮影)
移動体手段は、撮像手段を備え、中継手段から防災情報検知信号を受信して所定時間経過後に、
報知用巡回経路を移動しながら当該
報知用巡回経路上の撮影点で撮像手段により画像を撮像し、当該画像を示す画像信号を外部ネットワークのサーバを経由して利用者端末へ送信して画像を表示させる。
【0018】
(防災対策情報の音声報知)
移動体手段は、中継手段から防災情報検知信号を受信した場合
に、当該防災情報検知信号の防災内容に応じて所定の防災対処方法を音声報知する。
【0019】
(防災情報の例)
防災情報は、緊急地震速報、津波警報を含む。
【0020】
(試験放送)
防災受信手段は、試験放送を受信した場合に試験検知信号を中継手段へ出力して送信させ、
移動体手段は、中継手段から試験検知信号を受信した場合に、試験情報を報知すると共に、試験検知信号を外部ネットワークのサーバを経由して利用者端末へ送信して試験情報を報知させる。
【発明の効果】
【0021】
(基本的な効果)
本発明によれば、緊急地震速報や津波警報等の防災情報を受信した防災受信手段から出力される防災情報検知信号を、所定の作業領域を自立走行しながら所定の作業を行うと共に外部ネットワークのサーバを経由して利用者端末との間で信号を送受信する移動体手段へ送信して防災情報を報知するようにしたため、例えば住宅の一箇所に防災受信手段を設置しているだけで、移動体手段を利用している他の部屋で地震発生や津波到来の防災情報を報知することができ、他の部屋に居ても確実に地震発生や津波到来を知って即座に対応することを可能とする。
【0022】
また、防災受信手段は移動体手段に連携していることから、防災受信手段の報知可能エリアが移動体手段の報知可能エリアまで拡大され、また防災受信手段は自身の報知可能エリアにとらわれず放送が良好に受信できる電波事情の良い場所を選んで設置することができ、放送による緊急地震速報や津波警報を確実に受信して防災受信手段自身及び連携している移動体手段から地震発生や津波到来を知らせることができる。
【0023】
(利用者端末により防災情報を報知する効果)
また、移動体手段は、中継手段から防災情報検知信号を受信した場合に、少なくとも防災情報を報知すると共に、当該防災情報検知信号を外部ネットワークのサーバを経由して利用者端末へ送信して防災情報を報知させるようにしたため、利用者が外出中であっても、外出先の利用者に、自宅に設置している防災受信手段で受信した緊急地震速報や津波警報を知らせることができ、確実に地震発生や津波到来を知って即座に対応することを可能とする。
【0024】
(巡回移動しながら防災情報を報知する効果)
また、移動体手段は、中継手段から防災情報検知信号を受信した場合に、作業領域を巡回移動しながら防災情報を報知するため、防災受信手段の報知可能エリアから離れた作業領域の場所に利用者がいても、防災受信手段で受信した緊急地震速報や津波警報を知らせることができ、確実に地震発生や津波到来を知って即座に対応することを可能とする。
【0025】
(巡回移動しながら画像撮影する効果)
また、移動体手段は、撮像手段を備え、中継手段から防災情報検知信号を受信した場合に、作業領域を巡回移動しながら撮像手段により画像を撮像し、当該画像を示す画像信号を外部ネットワークのサーバを経由して利用者端末へ送信して画像を表示させるため、例えば緊急地震速報の報知に続いて大きな地震が到来した場合、地震による揺れが収まった後の部屋の状態を画像を見て知ることができ、地震による被害状況を迅速に確認することができる。
【0026】
(防災対策情報の音声報知)
また、移動体手段は、中継手段から防災情報検知信号を受信した場合、当該防災情報検知信号の防災情報内容に応じて所定の防災対処方法を音声報知するため、例えば防災情報内容が緊急地震情報を示す場合には、地震の揺れに備えた準備行動、地震が来た場合の防火・消火や避難口を確保する行動、避難先を示す情報などの防災対処方法を移動体手段から音声報知することで、利用者は地震が発生した場合に、落ち着いた行動をとり、特に被害拡大の原因となる火災を未然に防止し、火災が発生したら素早く消火することを可能とする。
【0027】
(試験放送による効果)
また、防災受信手段は、試験放送を受信した場合に試験検知信号を前記中継手段へ出力して送信させ、移動体手段は、中継手段から試験検知信号を受信した場合に、試験情報を報知すると共に、試験検知信号を外部ネットワークのサーバを経由して利用者端末へ送信して試験情報を報知させるため、例えば月1回行われる緊急警報放送の試験放送を受信した場合に、移動体手段による防災情報の報知動作が自動的に行われ、警報システムが正常に機能していることを簡単に確認可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[防災警報システムの構成]
(システム構成の概略)
図1は本発明による防災警報システムの住宅に対する設置例であり、本発明の防災警報システムは、スマート掃除ロボット10、無線ルータ12、ゲートウェイ14、インターネット16、サーバ18、携帯電話ネットワーク20、携帯電話22、防災受信装置24及び中継アダプタ26で構成する。
【0030】
防災受信装置24は、防災情報を受信して報知すると共に防災情報検知信号を出力する防災受信手段であり、スマート掃除ロボット10は、所定の作業領域を自立走行しながら所定の作業を行うと共に、外部ネットワークのサーバ18を経由して利用者端末となる携帯電話22との間で信号を送受信する移動体手段であり、中継アダプタ26は、防災受信手段から出力される防災情報検知信号を、移動体手段へ送信する中継手段であり、移動体手段としてのスマート掃除ロボット10は、中継手段から防災情報検知信号を受信した場合に、少なくとも防災情報を報知する。
【0031】
(スマート掃除ロボットの導入環境)
図1において、住宅15にはスマート掃除ロボット10を導入しており、スマート掃除ロボット10は、予め記憶した所定の掃除経路情報に基づき、予め設定した所定の時間スケジュール又は利用者の操作(音声指示操作を含む)を受け付け、掃除経路情報に従った自立走行により、搭載した吸塵部の駆動で床面のダストを吸引除去する掃除作業を行う。また掃除作業を行わない場合は、住宅の所定箇所に配置した充電ステーションに戻っており、充電ステーションで充電端子をステーション側に接続し、搭載した電池電源の充電を行っている。
【0032】
図2はスマート掃除ロボット10を導入した住宅15の部屋割りの一例を示した見取り図であり、例えば、部屋Aの片隅に、充電ステーション28を配置した場合、スマート掃除ロボット10は、そこに移動して充電しながら待機している。なお、防災受信装置24と中継アダプタ26は図示を省略している。
【0033】
スマート掃除ロボット10の自立走行による掃除作業は、充電ステーション28を起点とした掃除経路を部屋A〜D単位にメモリに予め記憶しておき、例えば掃除開始時刻を判別すると、スケジュールに従った部屋に移動し、部屋の隅から往復掃除経路に従って室内を隙間なく自立走行しながら塵埃を吸引し、もし掃除経路の途中に障害物があれば、超音波センサなどにより障害物を回避する経路を生成しながら自立走行による掃除を行う。掃除経路の自立走行が終了すると、次の部屋に移動し、所定の掃除経路に沿った自立走行により掃除作業を続ける。掃除作業の途中で電池電源の低下を検知した場合には、充電ステーション28に戻って充電を行い、充電完了後に、掃除を中断した位置に戻って自立走行による掃除作業を続ける。
【0034】
スマート掃除ロボット10は、充電ステーション28から作業対象とする部屋へ移動する場合の経路、作業終了や充電のため充電ステーションに戻る経路は、壁際に沿って走行する壁際経路を記憶しており、この壁際経路に従った自立走行により充電ステーションと各部屋A〜Dの間を行き来する。
【0035】
再び
図1を参照するに、スマート掃除ロボット10は無線LAN通信機能を備えており、これに対応して住宅15にアクセスポイント(固定局)として機能する無線ルータ12を配置し、無線LAN通信プロトコルに従った通信経路11による無線LANの通信環境を構築している。無線ルータ12はゲートウェイ14に接続し、ゲートウェイ14から外部ネットワークとなるインターネット16を介して、スマート掃除ロボット10に関連した各種のサービスを提供するサーバ18との通信接続を可能とし、また携帯電話ネットワーク20を経由して利用者の保有するスマートフォン等の携帯電話22との通信接続を可能としている。
【0036】
ここで、携帯電話22にアクセスポイント(固定局)として機能する無線LAN通信機能を備えたスマートフォンを使用した場合は、住宅15内において無線ルータ12を経由せず、スマート掃除ロボット10と携帯電話22との間で無線LANによる通信接続を可能とする。
【0037】
また、スマート掃除ロボット10は撮像手段としてカメラを搭載しており、カメラにより撮影した画像を、サーバ18を経由して携帯電話22へ送信して表示することができる。また携帯電話22にインストールしたロボット操作用のアプリケーションを使用し、携帯電話22の画面操作により、スマート掃除ロボット10の掃除作業の開始や停止操作、カメラによる撮像操作などを遠隔的に行うことを可能としている。
【0038】
サーバ18には、住宅15に導入したスマート掃除ロボット10による掃除制御、カメラ制御等に対応した所定のサービス機能を設けている。サーバ18のサービス機能としては、例えばスマート掃除ロボット10と携帯電話22との間の通信交換サービス、スマート掃除ロボット10が撮影した画像データの保存、スマート掃除ロボット10によるセンシングデータの解析、携帯電話22からスマート掃除ロボット10への指示の伝達などがある。
【0039】
また、スマート掃除ロボット10は、マイクとスピーカを備え、マイクにより検知した音声を認識する音声認識機能を備えており、例えば、音声命令による操作、簡単な日常会話を可能とする。
【0040】
(防災受信装置の概略)
防災受信装置24は、住宅15における放送電波環境の良い場所に設置する。防災受信装置24は、放送設備から送信される緊急地震情報放送の放送信号を受信して再生出力すると共に、防災情報検知信号を中継アダプタ26へ出力し、中継アダプタ26で無線LAN通信プロトコルに従った信号に変換してスマート掃除ロボット10へ無線ルータ12を経由して送信する。
【0041】
防災受信装置24により受信再生する緊急地震情報放送には、緊急地震速報(EEW:Earthquake Early Warning)と緊急警報放送(EWS:Emergency Warning System)がある。緊急地震速報は、一般向けの場合、推定最大震度5弱以上で気象庁から発表される警報であり、強い揺れが予想される地域に対し、地震動により重大な災害が起こるおそれのある旨を警告する放送である。緊急地震速報は例えば「(チャイム音2回)緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください。」を2回繰り返す。防災受信装置24は、例えば最初のチャイム音の信号を解析することで、緊急地震速報信号を検知して受信待機状態から再生動作に切り替え、「緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください。」を設定音量で出力する。
【0042】
緊急警報放送は、地震などの大規模災害が発生した場合や、津波警報が発表された場合などに行われる警報であり、待機状態にあるテレビやラジオ受信機のスイッチを自動的にオンさせる。緊急警報放送の開始と終了には、第1種開始信号、第2種開始信号及び終了信号を使用する。第1種開始信号は、東海地震の警戒宣言が発表された場合、または自治体の知事や長から避難指示が発動された場合などに送信され、受信機を自動的にオンさせる。また。第2種開始信号は、津波警報が発表された場合にのみ送信され、受信機を自動的にオンさせる。終了信号は第1種または第2種開始信号の送信から所定時間後に送信され、受信機を自動的にオフさせる。また受信機の動作を確認するために放送局は試験信号を例えば月1回所定の時刻に送信しており、この試験信号は終了信号と同一であり、終了信号のみを受信した場合は受信機が正常に動作するかの確認動作を行わせる。
【0043】
以下の説明にあっては、緊急警報放送による第2種開始信号の検出を、津波警報信号の検出という。また本実施形態にあっては、緊急地震速報と緊急警報放送の中の第2種開始信号による津波警報信号に対応しており、第1種開始信号による緊急警報は除外しているが、必要に応じて追加しても良い。
【0044】
防災受信装置24は、緊急地震速報信号の受信を検知した場合、防災情報検知信号として、緊急地震速報検知信号を中継アダプタ26に出力し、中継アダプタ26で無線LAN通信プロトコルに従った緊急地震速報検知信号に変換し、無線ルータ12を経由してスマート掃除ロボット10へ送信する。
【0045】
また、防災受信装置24は、津波警報信号の受信を検知した場合、防災情報検知信号として、津波警報検知信号を中継アダプタ26に出力し、中継アダプタ26で無線LAN通信プロトコルに従った津波警報検知信号に変換し、無線ルータ12を経由してスマート掃除ロボット10へ送信する。
【0046】
また、防災信号受信装置24は、月1回行われる緊急警報放送の試験放送信号の受信を検知した場合(終了信号のみの受信を検知した場合)、試験検知信号を中継アダプタ26に出力し、中継アダプタ26で無線LAN通信プロトコルに従った試験検知信号に変換し、無線ルータ12を経由してスマート掃除ロボット10へ送信する。
【0047】
[スマート掃除ロボットの構成]
図3はスマート掃除ロボットの機能構成の概略を示したブロック図である。
図3において、スマート掃除ロボット10は、制御部30、アンテナ34を接続した無線LAN通信部32、カメラ部36、音声入出力部38、操作表示部40、自立走行センサ部42、走行駆動部44、充電部46及び吸塵部48を備え、図示しない電池電源により動作する。
【0048】
制御部30は、例えばプログラムの実行により実現される機能である。ハードウェアとしてはCPU、メモリ、USBポートを含む各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路又はワイヤードロジック回路等を使用する。
【0049】
無線LAN通信部32は、無線ルータ12との間で所定の無線LAN通信プロトコルに従って信号を送受信する。この無線LAN通信プロトコルは例えばIEEE802.11b/gに準拠する。
【0050】
音声入出力部38は、マイク、その増幅回路、スピーカ、その駆動回路を備え、制御部30の指示に基づき、利用者との間で予め定めたフレーズの音声を認識して音声会話や掃除制御を行うための音声入出力を行う。また制御部30の指示に基づき火災警報音の出力も可能である。
【0051】
操作表示部40は、スマート掃除ロボット10の動作に必要な各種の設定操作、動作に伴う各種表示を行う。また操作表示部40はリモコン受信部を備え、遠隔操作を受け付ける。
【0052】
自立走行センサ部42は、スマート掃除ロボット10の自立走行に必要な情報を検知するもので、例えば超音波センサ、接触センサ、光学センサなどを使用する。超音波センサは自立走行中の障害物を検知して回避する制御に使用する。接触センサは自立走行中の障害物との接触を検知して反対方向に折り返す制御等に使用する。光学センサは検知方向を床面に向けて配置し、例えば充電ステーションの床面側に配置した光ビーコンを検知してそれぞれの充電端子を位置合せして接続する制御に使用する。
【0053】
走行駆動部44は、ロボット本体に設けた左右の駆動輪を個別に回転駆動するモータを備え、直進走行は左右の車輪を同一速度で回転駆動し、旋回走行は左右の車輪の一方の回転を早くし、他方の回転を遅くすることで行う。なお、ロボット本体には左右の駆動輪に加え、補助輪を設けている。
【0054】
充電部46は充電ステーションに移動して充電端子を相互に接続した状態で、充電ステーションから充電電力を受け、図示しない電池電源を充電する。
【0055】
吸塵部48は、ロボット本体の下面両側に配置したサイドブラシによりゴミを集め、下面中央に配置した回転ブラシによりサイドブラシで集めたゴミを取り込み、内蔵したファンの回転により吸引し、フィルタを通してダストを除去してロボット本体の上方へ排気すると共にフィルタで除去したダストをダストボックスに収納する。
【0056】
制御部30は、CPUのプログラム実行などにより実現する機能であり、次の掃除制御カメラ制御、音声認識制御及び防災情報対処制御を行う。
【0057】
(掃除制御)
制御部30による掃除制御には、例えば自動モード、壁際モード、局所モードがある。自動モードはメモリに予め記憶した掃除経路に従って部屋の床を自動で掃除する。壁際モードは、メモリに予め記憶した壁際経路に従って部屋の壁際を集中的に掃除する。局所モードは、メモリに予め記憶した所定半径の床面を例えばスパイラル経路に従って集中的に掃除する。
【0058】
また、制御部30は、操作表示部40のリモコン受信部で受信した利用者が操作したリモコンからの操作信号に基づき、自動モード、壁際モード又は局所モードに従った掃除制御を行う。
【0059】
(カメラ制御)
また、制御部30は、無線LAN通信部32を介して、外出先の利用者の携帯電話22の操作による撮影指示信号を、サーバ18を経由して受信した場合、カメラ部36に指示し、撮影動作により部屋の画像を取得し、利用者の携帯電話22へ送信して画像表示させる制御を行う。
【0060】
また、制御部30は、無線LAN通信部32を介して、室内にいる利用者の携帯電話22の操作による撮影指示信号を受信した場合、カメラ部36により部屋の様子を撮影した画像を取得し、当該画像をサーバ18を経由して利用者の携帯電話22へ送信して表示させる制御行う。
【0061】
また、当該画像はサーバ18に画像データとして保存することができ、利用者は携帯電話22で撮影指示をした後、しばらく時間が経過した後に携帯電話22からサーバ18にアクセスすることによって、サーバ18に保存された画像をみることができる。さらに、携帯電話22がスマートフォンの場合においては、スマートフォンにスマート掃除ロボット10の動作制御アプリケーションをインストールすることによって携帯電話22の画面には、スマート掃除ロボット10の走行操作釦が表示され、携帯電話22からの指示に基づき、制御部30は走行駆動部44に指示し、スマート掃除ロボット10を直進、旋回又は後進させる制御を行い、例えばカメラ部36で撮影した部屋の画像をみながら、物を捜したり、ペットを見つけたりするといった利用を可能とする。
【0062】
(音声認識制御)
制御部30は、所定の音声認識アルゴリズムに従った音声認識制御を行う。制御部30による音声認識制御は、例えば孤立単語単位に認識を行うフレーズ認識方式に従って動作する音声認識エンジン(音声認識LSI)により音声を認識する制御を行う。フレーズ認識方式は、予めメモリに登録したフレーズの中から1つのフレーズを選んで利用者が音声入力すると、音声認識エンジンは、入力した音声のフレーズごとの音声特徴量を算出し、算出したフレーズごとの音声特徴量とメモリに登録している複数のフレーズの音声パターン系列情報とを比較して、フレーズごとの尤度値を算出し、所定の閾値を超える尤度値のフレーズを示す識別子(インデックス)を認識結果として出力する。
【0063】
制御部30で音声認識するためにメモリに登録するフレーズとしては、掃除操作制御については例えば「スタート」や「ストップ」といったフレーズを事前に音声入力して登録し、また会話制御については「おはよう」、「こんにちは」といった簡単な挨拶のフレーズを事前に音声入力して登録している。
【0064】
制御部30は、掃除制御を行っていない状態で、音声入出力部38のマイクを介して利用者からの例えば「スタート」といった音声入力を認識し、認識結果に基づき操作指示を判断して対応する制御を行う。また、制御部
30は、音声入出力部38のマイクを介して利用者からの例えば「おはよう」といった音声入力を認識し、予め定めた所定の会話入力を判断し、対応する応答音声を音声入出力部38のスピーカから出力する制御を行う。
【0065】
なお、音声認識制御は、フレーズ認識方式に限定されず、適宜の音声認識方式を含む。
【0066】
(防災情報対処制御)
制御部30は、中継アダプタ26を経由して防災受信装置24から緊急地震速報検知信号を受信した場合、所定の緊急地震速報対処制御を行い、また、津波警報検知信号を受信した場合、所定の津波警報対処制御を行う。以下、緊急地震速報対処制御と津波警報対処制御に分けて説明すると次のようになる。
【0067】
(緊急地震速報の対処制御)
制御部30は、緊急地震速報検知信号を受信した場合、音声入出力部38に指示し、スピーカから緊急地震速報情報を音声出力する制御を行う。この緊急地震速報音声情報は、例えば「ピーピー 緊急地震速報です 強い揺れに警戒してください」といった音声メッセージを繰り返し出力する。
【0068】
また、制御部30は、緊急地震速報検知信号を受信した場合、無線LAN通信部32に指示し、当該緊急地震速報検知信号を無線ルータ12、ゲートウェイ14、インターネット16を経由してサーバ18へ送信し、当該緊急地震速報検知信号を受信したサーバ18の機能により緊急地震速報報知情報を含む緊急地震速報検知信号を生成し、当該緊急地震速報検知信号をインターネット16及び携帯電話ネットワーク20を経由して利用者の携帯電話22へ送信し、緊急地震速報の警報画面を表示すると共に警報音を出力させる制御を行う。
【0069】
また、制御部30は、緊急地震速報検知信号を受信した場合、走行駆動部44に指示し、作業領域を巡回移動しながら緊急地震速報を音声出力する制御を行う。
【0070】
また、制御部30は、緊急地震速報検知信号を受信した場合、作業領域を巡回移動しながらカメラ部36により各部屋の画像を撮像し、当該画像を示す画像信号を無線ルータ12、ゲートウェイ14、インターネット16を経由してサーバ18へ送信し、サーバ18に画像を保存すると共に、当該画像信号をインターネット16及び携帯電話ネットワーク20を経由して利用者の携帯電話22へ送信し、部屋の画像を表示させる制御を行う。
【0071】
この場合、制御部30は、例えば
図2に示すように、住宅15におけるP1を起点に部屋A〜Dに設定した撮影点P1〜P4を通る巡回経路Lを予め設定し、巡回経路Lを巡回移動しながら、緊急地震速報情報を繰り返し音声出力する制御を行う。
【0072】
ここで撮影点P1は充電ステーション28に接続する待機ポイントであり、原点となる。また撮影点P1〜P4は、スマート掃除ロボット10のカメラ部36により部屋全体を撮影可能な部屋A〜Dの入り口付近の所定の位置に設定する。
【0073】
巡回経路情報は、原点となる撮影点P1を起点に撮影点P2〜P4を通る直線経路と変針点を設定し、これに基づき走行制御情報を生成してメモリに記憶する。また、原点P1から撮影点P2〜P4を通る巡回経路Lの生成は、リモコンによりスマート掃除ロボット10を実際に移動させる操作を行い、このときの走行駆動部44の走行制御情報をメモリに記憶しても良い。
【0074】
このため制御部30は、緊急地震速報検知信号を受信した場合、緊急地震速報報知のための巡回移動を開始し、例えば
図2に示すように、巡回経路Lに沿って各部屋A〜Dを巡回しながら、緊急地震速報情報を繰り返し音声出力する制御を行う。
【0075】
また、制御部30は、緊急地震速報検知信号を受信してから地震が始まり、その揺れが収まることが予想される所定時間の経過を判別した場合、巡回経路Lの撮影点P1〜P4を順番に移動し、各撮影点P1〜P4に移動して停止した場合に、走行駆動部44に指示し、カメラ部36の指向方向を、予め設定した部屋全体を撮影可能な撮影方向Q1〜Q4に向くように、旋回走行し、カメラ部36に指示して撮影する制御を行う。このようなスマート掃除ロボット10の巡回移動による撮影により、外出先の利用者は、携帯電話22により地震による自分の住宅15の被害状況を知ることができる。
【0076】
また、制御部30は、緊急地震速報検知信号を受信した場合、音声入出力部38に指示し、緊急地震速報に応じて所定の地震対処方法を音声報知する制御を行う。この地震対処方法の音声報知は、例えば
「家具から離れてください」
「ドアを開けて、出口を確保してください」
「使用中の火を消してください」
「ガスの元栓を閉めてください」
「外へ出る場合は、落下物に注意してください」
「この地区の一時避難場所は○○小学校です」
「この地区の避難場所は○○緑地です」
といった内容を音声報知する。
【0077】
(津波警報の対処制御)
制御部30は、津波警報検知信号を受信した場合、音声入出力部38に指示し、スピーカから津波警報情報を音声出力する制御を行う。この津波警報情報は、例えば「ピーピー 津波警報が発令されました。海岸には近づかず、高台に避難してください」といった音声メッセージを繰り返し出力する。
【0078】
また、制御部30は、津波警報検知信号を受信した場合、無線LAN通信部32に指示し、当該津波警報検知信号を無線ルータ12、ゲートウェイ14、インターネット16を経由してサーバ18へ送信し、当該津波警報検知信号を受信したサーバ18の機能により津波警報報知情報を含む津波警報検知信号を生成し、当該津波警報検知信号をインターネット16及び携帯電話ネットワーク20を経由して利用者の携帯電話22へ送信し、津波警報の警報画面を表示すると共に警報音を出力させる制御を行う。
【0079】
また、制御部30は、津波警報検知信号を受信した場合、走行駆動部44に指示し、作業領域を巡回移動しながら津波警報を音声出力する制御を行う。
【0080】
この場合、制御部30は、例えば
図2に示すように、住宅15におけるP1を起点に部屋A〜Dに設定した撮影点P1〜P4を通る巡回経路Lを巡回移動しながら、津波警報情報を繰り返し音声出力する制御を行う。
【0081】
また、制御部30は、津波警報検知信号を受信した場合、音声入出力部38に指示し、津波警報に応じて所定の防災対処方法、即ち地震対処方法を音声報知する制御を行う。この地震対処方法の音声報知は、例えば
「避難場所は○○です 急いで約○○分かかります すぐに高台へ避難してください」
「津波は繰り返し押し寄せます 警報が解除されるまで注意してください」
「津波は川をさかのぼります 河川には近づかないでください」
といった内容を音声報知する。
【0082】
(試験対処制御)
制御部30は、中継アダプタ26を経由して防災受信装置24からの試験検知信号を受信した場合、音声入出力部38に指示し、スピーカから試験情報を音声出力する制御を行う。この試験音声情報は、例えば「ピーピー 緊急地震警報の試験放送信号を受信しました 正常に受信したことを確認してください」といった音声メッセージを1回又は複数回出力する。
【0083】
また、制御部30は、試験検知信号を受信した場合、無線LAN通信部32に指示し、当該試験検知信号を無線ルータ12、ゲートウェイ14、インターネット16を経由してサーバ18へ送信し、当該試験検知信号を受信したサーバ18の機能により試験報知情報を含む試験検知信号を生成し、当該試験検知信号をインターネット16及び携帯電話ネットワーク20を経由して利用者の携帯電話22へ送信し、試験報知画面を表示すると共に報知音を出力させる制御を行う。
【0084】
このように緊急地震警報の試験放送に基づく試験動作を行うことで、月1回、スマート掃除ロボット10による防災情報対処制御が正常に行われることを確認可能とする。
【0085】
[防災受信装置及び中継アダプタの構成]
(FM放送受信)
図4は防災受信装置及び中継アダプタの概略構成を示したブロック図であり、防災受信装置は例えばFM放送として送信されてくる放送信号を受信解析し、放送信号中に緊急地震速報信号又は津波警報信号を検知した場合に緊急地震速報又は津波警報を報知出力し、また、緊急地震警報の試験放送を検知した場合に試験情報を報知出力する。
【0086】
図4において、防災受信装置24は、制御部50、FMアンテナ54を接続したFM受信部52、音声増幅部56、スピーカ58、表示部60、操作部62、メモリ64を備え、図示しない電源回路部にAC100Vを入力して各部に直流電源を供給している。また停電時に電源をバックアップする1次電池または2次電池を備えた予備電源も備える。
【0087】
中継アダプタ26は、アンテナ72を接続した無線LAN通信部70を備え、防災受信装置24から出力される緊急地震速報信号、津波警報信号、又は緊急地震警報の試験信号を受信した場合、無線LAN通信プロトコルに従った緊急地震速報信号、津波警報信号又は試験信号に変換し、無線ルータ12を介してスマート掃除ロボット10へ送信する。
【0088】
防災受信装置24の制御部50は、例えばプログラムの実行により実現される機能である。ハードウェアとしてはCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路又はワイヤードロジック回路等を使用する。
【0089】
FM受信部52は操作部62の操作で選局したFM局にチューナを同調してその放送電波をFMアンテナ54により受信し、放送信号を復調して音声信号として出力する。音声増幅部56は待機状態で動作を停止しており、そのためスピーカ58から受信されたFM放送の再生出力は行わない。
【0090】
制御部50は、FM受信部52で受信したFM放送受信信号の解析処理により、緊急地震速報信号の受信を検知した場合、音声増幅部56を動作状態に切り替え、その時、FM受信部52から再生出力された緊急地震速報信号の放送内容をスピーカ58から再生出力する制御を行う。
【0091】
制御部50による緊急地震速報信号の解析と検知は、FM受信部52から再生出力された緊急地震速報放送信号の最初に流れる2回のチャイム音を示す音声データ信号を、ベクトル相関法などを用いた解析により判別して行う。
【0092】
また制御部50は、緊急地震速報信号の受信を検知した場合、中継アダプタ26の無線LAN通信部70へ緊急地震速報検知信号を出力し、これを受信した無線LAN通信部70は無線LAN通信プロトコルに従った緊急地震速報検知信号に変換し、無線ルータ12を経由してスマート掃除ロボット10へ送信する制御を行う。
【0093】
一方、制御部50は、FM受信部52で受信したFM放送受信信号の解析処理により、津波警報信号の受信を検知した場合、音声増幅部56を動作状態に切り替え、その時、FM受信部52から再生出力された津波信号の放送内容をスピーカ58から再生出力する制御を行う。制御部50による津波警報信号の解析と検知は、FM受信部52から再生出力された緊急警報放送による第2種開始信号を解析して検知する。
【0094】
また制御部50は、津波警報信号の受信を検知した場合、中継アダプタ26の無線LAN通信部70へ津波警報検知信号を出力し、これを受信した無線LAN通信部70は無線LAN通信プロトコルに従った津波警報検知信号に変換し、無線ルータ12を経由してスマート掃除ロボット10へ送信する制御を行う。
【0095】
更に、制御部50は、FM受信部52で受信したFM放送受信信号の解析処理により、緊急
警報放送の試験放送信号の受信を検知した場合、音声増幅部56を動作状態に切り替え、そのとき、FM受信部52から再生出力された試験放送信号の放送内容をスピーカ58から再生出力する制御を行う。制御部50による試験放送信号の解析と検知は、FM受信部52から再生出力された緊急警報放送による終了信号を解析して検知する。
【0096】
また制御部50は、試験放送信号の受信を検知した場合、中継アダプタ26の無線LAN通信部70へ試験検知信号を出力し、これを受信した無線LAN通信部70は無線LAN通塩プロトコルに従った試験検知信号に変換し、無線ルータ12を経由してスマート掃除ロボット10へ送信する制御を行う。
【0097】
(FM以外の放送受信)
図4の防災受信装置24は、FM放送として送信されてくる放送信号を受信解析して緊急地震速報信号および
津波警報信号を検知しているが、TV放送(デジタルTV放送)又はAM放送として送信されてくる放送信号を受信解析して緊急地震速報信号および津波警報信号を検知するようにしても良い。またデジタルTV放送は、ワンセグとして知られた携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービスの放送信号を受信解析して緊急地震速報信号及び津波警報信号を検知するようにしても良い。
【0098】
更に、防災受信装置24は、地上放送の完全デジタル化により空いたV−Low帯(VHFの第1〜第3チャンネルの18MHz幅)を利用したマルチメディア放送による緊急地震速報信号及び津波警報信号を検知するようにしても良い。
【0099】
また、
図4の防災受信装置は、FM受信部、TV受信部又はAMの受信部(チューナ)を個別に設けているが、FM受信部、TV受信部又はAM受信部を設けて切替え選択したり、並列動作させるようにしても良い。
【0100】
また、
図4の防災受信装置は、FM、TV、AM等の放送信号を上記の実施形態のように直接受信しても良いし、別の装置や設備を介して間接的に受信しても良い。
【0101】
[本発明の変形例]
なお、上記の実施形態は、防災受信装置に中継アダプタを信号線接続しているが、中継アダプタの機能を防災受信装置に組み込んで一体化しても良い。
【0102】
また、上記の実施形態は、掃除ロボットを例にとるものであったが、自立走行機能、音声出力機能及び外部ネットワークを経由した通信機能を備えるものであれば、これに限定されず、適宜の移動体につき、本発明の防災警報システムを同様にして適用することができる。
【0103】
また、上記の実施形態は住宅に掃除ロボットを導入した場合を例にとるが、これに限らずビルやオフィス用など各種施設に掃除ロボットを導入した場合にも適用できる。
【0104】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。