特許第6068090号(P6068090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6068090
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 5/30 20060101AFI20170116BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   B41J5/30 Z
   G06F3/12 317
   G06F3/12 343
   G06F3/12 347
   G06F3/12 360
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-234445(P2012-234445)
(22)【出願日】2012年10月24日
(65)【公開番号】特開2014-83756(P2014-83756A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】小井 幸博
(72)【発明者】
【氏名】栗田 章司
【審査官】 岡▲崎▼ 輝雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−173206(JP,A)
【文献】 特開2000−263857(JP,A)
【文献】 特開2007−083608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 5/30
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した印刷ジョブの印刷データがRIP処理によりビットマップデータに変換済みであるときに、印刷データのビットマップをエンジン転送メモリに展開してプリントエンジンに出力させる処理を行う展開部と、
受信した印刷ジョブの印刷データがRIP処理によるビットマップデータへの変換前のベクターデータであるときに、ベクターデータからビットマップデータに変換した印刷データのビットマップを前記エンジン転送メモリに展開して前記プリントエンジンに出力させる処理を行うRIP変換部とを備える画像形成装置において、
前記印刷ジョブに受信順の識別子を付与する識別子付与部と、
前記展開部及び前記RIP変換部からの、前記ビットマップを展開するメモリ領域のアロケート要求に呼応して、該アロケート要求の要求元に対して前記メモリ領域の前記エンジン転送メモリにおけるアドレスを付与するメモリ管理部と、
前記エンジン転送メモリの前記メモリ管理部によって付与されたアドレスに前記識別子と関連付けて前記展開部又は前記RIP変換部によりビットマップが展開された前記印刷データに対する印刷指示を、前記識別子が示す受信順に前記プリントエンジンに出力する印刷処理制御部とを備え、
前記印刷処理制御部は、前記展開部と前記RIP変換部とのどちらか一方が、印刷データのビットマップを前記エンジン転送メモリに展開する処理を行っている最中に、前記展開部と前記RIP変換部とのどちらか他方が印刷データを処理すべき印刷ジョブを受信した場合に、前記一方による印刷データの処理が終了する前に前記他方による印刷データの処理を開始させ、
前記プリントエンジンは、前記印刷処理制御部からの前記印刷指示にしたがって、前記エンジン転送メモリにビットマップ展開した前記印刷データを、前記エンジン転送メモリの前記印刷指示で指示されたアドレスから出力させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷処理制御部は、前記展開部と前記RIP変換部とのうちいずれか一方に、処理中の前記印刷ジョブの他に処理待ちの前記印刷ジョブが存在する状態で、前記展開部と前記RIP変換部とのうちいずれか他方に、処理中の前記印刷ジョブがない状態で処理対象の印刷ジョブが発生した場合に、処理待ちの前記印刷ジョブよりも先に、前記展開部と前記RIP変換部とのうちいずれか他方に、処理中の前記印刷ジョブがない状態で新たに発生したジョブの展開処理が終了したことを条件として、前記一方による前記処理中の印刷ジョブの前記印刷データに対する印刷指示に続いて、前記他方による前記処理対象の印刷ジョブの前記印刷データに対する印刷指示を、前記プリントエンジンに割り込み出力することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RIP処理機能を内蔵する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ベクターデータからラスタデータへのRIP変換を行わずに印刷ジョブが出力されるケースがある。その一つとして、例えばダイレクトメールや請求書等、固定されたレイアウトで、顧客に応じた個別の内容やページ数の印刷画像を、複数の顧客分連続して印刷するバリアブル印刷がある。
【0003】
バリアブル印刷では、レイアウト情報やロゴ等の不変のリユーザブルデータに、氏名や住所、通知内容等の顧客(宛先)毎に可変となるバリアブルデータを挿入して、顧客毎に内容やページ数の異なる印刷画像を印刷する。そのために、リユーザブルデータとバリアブルデータとがセットでプリンタコントローラに出力され、ここでRIP変換された後にプリンタに出力される。
【0004】
また、近年では、バリアブル印刷のようにRIP変換を必要とする印刷ジョブに対応してRIP変換部を内蔵するプリンタが提案されている。この種のプリンタにおいて、RIP変換が必要な印刷ジョブとそうでない印刷ジョブとが立て続けに入力された場合には、それぞれの印刷ジョブに対する印刷処理を並行して行うことが望ましい。
【0005】
複数の印刷ジョブの印刷処理を並行して行う場合の従来技術としては、例えば、印刷ジョブを受信する受信バッファと受信した印刷ジョブのビットマップを展開する展開バッファとをそれぞれ複数設けるものが知られている。この従来技術では、印刷ジョブ単位でビットマップの描画展開処理を個別に行い、描画展開処理が先に終わった印刷ジョブから先に印刷部で印刷処理するようにしている。したがって、この従来技術によれば、複数の印刷ジョブが発生した場合の待ち時間を少なくし、印刷部における印刷処理のスループットを向上させることができる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−3188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述した従来技術では、ビットマップの展開が済んだ順で印刷ジョブが印刷処理されるので、印刷ジョブの受信順と印刷処理の終了順とが必ずしも一致しない。例えば、後から受信したRIP変換済の印刷ジョブの方が、先に受信したRIP変換前の印刷ジョブよりも先に印刷処理が開始されて、印刷処理の順序がランダムに入れ替わる可能性がある。
【0008】
特に、上述したバリアブル印刷は、ビットマップの展開処理に先立って内蔵のRIP処理部によるRIP変換処理を行うことから、ビットマップの展開処理が終わるまでに時間がかかり、印刷処理の順序がランダムに入れ替わる可能性が多い。しかし、印刷処理の順序がランダムに入れ替わると印刷物の排紙順がランダムに入れ替わるので、特にバリアブル印刷の場合には好まれない。
【0009】
かといって、印刷処理の終了順を印刷ジョブの受信順と一致させようとすると、先に受信した印刷ジョブの印刷処理が始まるまで、後から受信した印刷ジョブのビットマップの展開処理を開始することができなくなる。そうすると、先に受信した印刷ジョブのビットマップの展開処理中に次の印刷ジョブを受信した場合には、受信した印刷ジョブのビットマップの展開処理がどれだけ短時間で終わる場合でも、先に受信した印刷ジョブのビットマップの展開処理が終わるまで、後から受信した印刷ジョブのビットマップの展開処理開始することができない。
【0010】
このことは、結局、印刷部における印刷処理のスループットを向上させる妨げとなってしまう。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、印刷処理の終了順が印刷ジョブの受信順に対してランダムに入れ替わるのを抑制しつつ、複数の印刷ジョブを立て続けに受信した場合の印刷部における印刷処理のスループットを向上させることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため請求項1に記載した本発明の画像形成装置は、
受信した印刷ジョブの印刷データがRIP処理によりビットマップデータに変換済みであるときに、印刷データのビットマップをエンジン転送メモリに展開してプリントエンジンに出力させる処理を行う展開部と、
受信した印刷ジョブの印刷データがRIP処理によるビットマップデータへの変換前のベクターデータであるときに、ベクターデータからビットマップデータに変換した印刷データのビットマップを前記エンジン転送メモリに展開して前記プリントエンジンに出力させる処理を行うRIP変換部とを備える画像形成装置において、
前記印刷ジョブに受信順の識別子を付与する識別子付与部と、
前記展開部及び前記RIP変換部からの、前記ビットマップを展開するメモリ領域のアロケート要求に呼応して、該アロケート要求の要求元に対して前記メモリ領域の前記エンジン転送メモリにおけるアドレスを付与するメモリ管理部と、
前記エンジン転送メモリの前記メモリ管理部によって付与されたアドレスに前記識別子と関連付けて前記展開部又は前記RIP変換部によりビットマップが展開された前記印刷データに対する印刷指示を、前記識別子が示す受信順に前記プリントエンジンに出力する印刷処理制御部とを備え、
前記印刷処理制御部は、前記展開部と前記RIP変換部とのどちらか一方が、印刷データのビットマップを前記エンジン転送メモリに展開する処理を行っている最中に、前記展開部と前記RIP変換部とのどちらか他方が印刷データを処理すべき印刷ジョブを受信した場合に、前記一方による印刷データの処理が終了する前に前記他方による印刷データの処理を開始させ、
前記プリントエンジンは、前記印刷処理制御部からの前記印刷指示にしたがって、前記エンジン転送メモリにビットマップ展開した前記印刷データを、前記エンジン転送メモリの前記印刷指示で指示されたアドレスから出力させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【0013】
また、請求項2に記載した本発明の画像形成装置は、請求項1に記載した本発明の画像形成装置において、前記印刷処理制御部は、前記展開部と前記RIP変換部とのうちいずれか一方に、処理中の前記印刷ジョブの他に処理待ちの前記印刷ジョブが存在する状態で、前記展開部と前記RIP変換部とのうちいずれか他方に、処理中の前記印刷ジョブがない状態で処理対象の印刷ジョブが発生した場合に、処理待ちの前記印刷ジョブよりも先に、前記展開部と前記RIP変換部とのうちいずれか他方に、処理中の前記印刷ジョブがない状態で新たに発生したジョブの展開処理が終了したことを条件として、前記一方による前記処理中の印刷ジョブの前記印刷データに対する印刷指示に続いて、前記他方による前記処理対象の印刷ジョブの前記印刷データに対する印刷指示を、前記プリントエンジンに割り込み出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、印刷処理の終了順が印刷ジョブの受信順に対してランダムに入れ替わるのを抑制しつつ、複数の印刷ジョブを立て続けに受信した場合の印刷部における印刷処理のスループットを向上させることができる。
【0015】
即ち、請求項1に記載した本発明の画像形成装置によれば、印刷処理制御部が印刷データの印刷指示をプリントエンジンに出力する順番は、基本的に、識別子付与部が付与する識別子の順番どおりとなる。したがって、プリントエンジンは印刷データの印刷処理を基本的に印刷ジョブの受信順に行うことになる。
【0016】
一方、展開部やRIP変換部がそれぞれ行う、印刷データのビットマップをエンジン転送メモリに展開する処理を含んだ処理は、展開部やRIP変換部が処理中でない限り、随時行われることになる。
【0017】
そして、印刷処理制御部は、展開部とRIP変換部とのどちらか一方が、印刷データのビットマップをエンジン転送メモリに展開する処理を行っている最中に、展開部とRIP変換部とのどちらか他方が印刷データを処理すべき印刷ジョブを受信した場合に、一方による印刷データの処理が終了する前に他方による印刷データの処理を開始させる。
【0018】
このため、展開部とRIP変換部とのどちらか一方が処理した印刷データの印刷処理をプリントエンジンが実行し終わるまでの間に、展開部とRIP変換部とのどちらか他方による印刷データの処理を開始させて、一方が処理した印刷データの印刷処理が終わってから、他方が処理した印刷データの印刷処理が開始されるまでの空き時間を減らし又は無くすことができる。これにより、プリントエンジンに休みなく連続して印刷処理を実行させ、スループットを向上させることができる。
【0019】
また、請求項2に記載した本発明の画像形成装置によれば、請求項1に記載した本発明の画像形成装置において、展開部とRIP変換部とのどちらか一方に、受信した印刷ジョブの印刷データの処理が集中して処理待ちが生じている状態で、他方で印刷データを処理すべき印刷データを受信する場合がある。
【0020】
この場合に、一方で印刷データの処理が終了していない印刷ジョブよりも先に、受信した印刷ジョブの印刷データが他方で処理され終わると、その印刷データの印刷指示が割り込みでプリントエンジンに出力される。したがって、他方で印刷データが処理される印刷ジョブの印刷処理が、その印刷ジョブよりも受信順が先の他の印刷ジョブの印刷処理が終了するまで待たされないようにして、印刷処理のスループットを向上させることができる。
【0021】
また、この場合でも、展開部とRIP変換部とのうち処理待ちの印刷ジョブが集中している方で、ある印刷データの処理が終了した際に、他方で1つだけ発生している処理待ちの印刷ジョブを割り込み処理する例外的な場合を除き、印刷ジョブを原則的に受信順に処理するようにして、印刷処理の終了順がランダムに入れ替わるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンタネットワークシステムの概略構成を示すブロック図である。
図2図1のCPU上に仮想的に構築される各種モジュールを示すブロック図である。
図3図2の各モジュールによる印刷ジョブの処理タイミングを示すタイミングチャートである。
図4図2の画像形成制御部が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るプリンタネットワークシステムの概略構成を示す説明図である。なお、図1に示す本実施形態のインクジェット記録装置1は、インクジェット方式のラインカラープリンタであるものとする。インクジェット記録装置1は、多数のノズルが形成されたインクヘッドを複数備え、それぞれのインクヘッドから黒又はカラーインクを吐出してライン単位で印刷を行い、搬送ベルト上の記録紙上に複数の画像を互いに重なり合うように形成する。
【0024】
(プリンタネットワークシステムの全体構成)
図1に示すように、本実施形態のプリンタネットワークシステムは、インクジェット記録装置1(請求項中の画像形成装置に相当)とクライアント端末14とを有している。
【0025】
(クライアント端末の構成)
各クライアント端末14は、PC(パーソナルコンピュータ)等によって構成されるものである。このクライアント端末14は、ROM17に格納された制御プログラムに基づいて各種の処理を実行するCPU16を有している。また、CPU16には、ワーキングエリアとして機能するRAM18と、キーボードやマウス等から構成される入力部19と、液晶ディスプレイ等から構成される出力部20と、外部記憶装置21と、ディスクドライブ22とが接続されている。
【0026】
外部記憶装置21には、文書、画像等の印刷画像を含む原稿データを生成するためのアプリケーションプログラムの格納領域や、インクジェット記録装置1のプリンタドライバプログラムの格納領域、その他各種アプリケーションプログラムの格納領域が確保されている。また、外部記憶装置21には、アプリケーションプログラムを用いて生成された原稿データや、原稿データの印刷画像を所定の印刷設定情報に従って印刷用のイメージデータに変換処理した印刷データを格納するデータベース領域も確保されている。
【0027】
ここで、印刷設定情報とは、例えば、原稿データのサイズ、解像度、印刷用紙のサイズ及び印刷方向等、通常印刷に必要な情報である。また、この印刷設定情報には、バリアブル印刷等の印刷モードや、封入封緘処理等のフィニッシング処理に関する情報も含まれている。
【0028】
CPU16は、プロセッサやメモリその他の周辺装置によって構成される演算装置であり、入力部19から入力される起動要求にしたがって外部記憶装置21のアプリケーションプログラムを起動させる。また、CPU16は、入力部19からのパラメータ入力等により指示された画像を示す原稿データを、起動されたアプリケーションプログラム上において生成する。生成された原稿データは出力部20において表示出力され、また、入力部19から保存要求が入力された場合には、外部記憶装置21のデータベース領域に記憶される。
【0029】
外部記憶装置21のデータベース領域に記憶された原稿データは、アプリケーションプログラムの起動中に入力部19からの読み出し要求が入力された場合に、外部記憶装置21から読み出される。読み出された原稿データの印刷画像は、出力部20に表示出力することができ、また、アプリケーションプログラム上において加工して新たな原稿データに生成し直すこともできる。
【0030】
そして、CPU16は、原稿アプリケーションプログラム等で生成した原稿データの印刷要求が入力された場合に、プリンタドライバプログラムをCPU16上で実行させることでCPU16上にプリンタドライバ110を仮想的に構築する。そして、プリンタドライバ110によってインクジェット記録装置1に印刷ジョブを出力させる。
【0031】
プリンタドライバ110は、クライアント端末14に接続されたインクジェット記録装置1を制御するために、クライアント端末14上で実行されるデータ変換プログラムである。このプリンタドライバ110は、原稿アプリケーション等が生成した印刷画像を有する原稿データを取得し、所定の印刷設定情報に従ってビットマップデータ形式の印刷データを生成する。そして、生成した印刷ジョブを外部インターフェイス部15から制御ユニット10の外部インターフェイス部11に出力する。
【0032】
このアプリケーションプログラムで生成された原稿データをプリンタドライバ110へ入力する際に、本実施形態では、OSにより提供されるグラフィックエンジンが利用されている。例えば、OS(オペレーティングシステム)がWindows(米国マイクロソフト社登録商標)である場合には、GDI(Graphic Device Interface)がグラフィックエンジンとして利用される。
【0033】
グラフィックエンジンは、具体的には、OSに依存する形式の出力コマンド(GDI関数)を受信して、インクジェット記録装置1等の出力デバイスが処理可能な形式にそのコマンドを変換し、変換されたコマンド(DDI関数)をプリンタドライバ110へ出力する。
【0034】
そして、プリンタドライバ110は、グラフィックエンジンから受け取ったDDI関数に基づいて、インクジェット記録装置1が認識可能な制御コマンドに変換し、ビットマップデータ形式の印刷データを有する印刷ジョブとしてインクジェット記録装置1へ出力する。
【0035】
また、CPU16は、帳票作成のアプリケーションプログラムで生成した帳票等のバリアブル印刷要求が入力された場合に、印刷ジョブを生成してインクジェット記録装置1に出力する。
【0036】
ここで、バリアブル印刷は、例えばダイレクトメールや請求書等、固定されたレイアウトで、顧客に応じた個別の内容の印刷画像を印刷するものである。このバリアブル印刷では、レイアウト情報やロゴ等の不変のリユーザブルデータに、氏名や住所、通知内容等の顧客(宛先)毎に可変となるバリアブルデータを挿入して、顧客毎に内容やページ数の異なる印刷画像を印刷する。
【0037】
帳票作成アプリケーションプログラムを用いて作成できるバリアブル印刷の印刷データは、リユーザブルデータとバリアブルデータとのセットによるベクターデータである。
【0038】
以上に説明した処理をCPU16に実行させるためのプリンタドライバプログラム及び各種のアプリケーションプログラムは、クライアント端末14のディスクドライブ22により光学ディスク等のディスク状記録媒体50から読み取って、外部記憶装置21にインストールする(記憶させる)ことができる。
【0039】
(インクジェット記録装置の構成)
前記インクジェット記録装置1は、原稿上の画像情報を印刷画像として読み取って画像信号を出力するスキャナ部101と、スキャナ部101から出力された画像信号に基づいて記録紙(片面又は両面)に印刷画像を印刷(記録)するプリンタ部102と、全体制御用の制御ユニット10とを備えている。プリンタ部102における印刷画像の印刷に使用する記録紙は、不図示の給紙部からプリンタ部102を介して不図示の排紙部に搬送される。
【0040】
図1に示すように、制御ユニット10の外部インターフェイス部11には、ローカルエリアネットワークLANを介して、複数のクライアント端末14の外部インターフェイス部15(図1中では、代表して1つのクライアント端末14についてのみ示している)がそれぞれ接続されている。各クライアント端末14から制御ユニット10は、印刷画像の印刷ジョブを受け取る。制御ユニット10は、受け取った印刷ジョブの印刷データにより印刷画像のラスタデータを生成し、ビットマップ展開する。また、制御ユニット10は、受け取った印刷ジョブの印刷データがベクターデータであるときに、ベクターデータからラスタデータへのRIP変換を行った後、ビットマップ展開する。インクジェット記録装置1は、印刷ジョブにおいて指定された条件で、印刷画像の記録紙への印刷をプリンタ部102において実行する。
【0041】
また、制御ユニット10にはディスプレイ80が接続されている。このディスプレイ80は、インクジェット記録装置1の上部に配置されている。このディスプレイ80は、スキャナ部101にセットした印刷画像を複写印刷する際の、複写枚数や複写倍率といった複写条件をユーザが入力する入力操作部等として利用できる。
【0042】
上述したプリンタ部102に印刷動作を行わせるインクジェット記録装置1の制御ユニット10は、図1に示すように、CPU90を備える。このCPU90は、ROM91に格納されているプログラム及び設定情報に基づいて、ディスプレイ80から入力設定される内容に応じたスキャナ部101やプリンタ部102の動作を制御する。
【0043】
なお、制御ユニット10にはRAM92が設けられており、RAM92には、クライアント端末14から制御ユニット10に入力された印刷ジョブや、ディスプレイ80から入力されたコピー時の印刷枚数や各種の設定内容等が随時記憶される。
【0044】
また、RAM92にはフレームメモリ領域(請求項中のエンジン転送メモリに相当)が設けられている。このフレームメモリ領域には、クライアント端末14から制御ユニット10に入力された印刷ジョブによってCPU90が生成する印刷画像のラスタデータが、プリンタ部102に出力されるまでの間、一時的に記憶される。
【0045】
さらに、制御ユニット10には外部記憶装置93が設けられており、この外部記憶装置93はCPU90に接続されている。外部記憶装置93には、上述したRAM92から転送された印刷ジョブを記憶する複数の領域が設けられている。
【0046】
CPU90は、ROM91に格納されているプログラムをCPU90上で実行させることで、プリンタ部102に印刷動作を行わせるための各種モジュールをCPU90上に仮想的に構築する。図2はCPU90に仮想的に構築される各種モジュールを示すブロック図である。
【0047】
図2に示すように、CPU90に仮想的に構築される各種モジュールは、ジョブ受信部111、ジョブ制御部112、画像形成制御部113、バリアブルデータRIPエンジン114、ビットマップ展開モジュール115、エンジン転送メモリ管理部116、プリントエンジン117を含んでいる。
【0048】
ジョブ制御部112(請求項中の識別子付与部に相当)は、制御ユニット10の外部インターフェイス部11にクライアント端末14から入力されてジョブ受信部111が受信した印刷ジョブに、受信順の識別子を付与し、その印刷ジョブによる印刷画像の画像形成を画像形成制御部113に指示する。
【0049】
画像形成制御部113(請求項中の印刷処理制御部に相当)は、ジョブ制御部112から画像形成を指示された印刷ジョブの印刷データを、そのデータ形式に応じて、バリアブルデータRIPエンジン114かビットマップ展開モジュール115のどちらかに出力する。
【0050】
バリアブルデータRIPエンジン114(請求項中のRIP変換部に相当)には、RIP変換前のベクターデータによる印刷データが、画像形成制御部113から入力される。このバリアブルデータRIPエンジン114は、受信した印刷ジョブの印刷データであるベクターデータを、ラスタデータ(ビットマップデータ)に変換する。そして、バリアブルデータRIPエンジン114は、変換した印刷データのビットマップをRAM92のフレームメモリ領域に展開する処理を行う。
【0051】
ビットマップ展開モジュール115(請求項中の展開部に相当)には、RIP変換されたビットマップデータ形式の印刷データが、画像形成制御部113から入力される。このビットマップ展開モジュール115は、受信した印刷ジョブの印刷データ(ビットマップデータ形式)のビットマップをRAM92のフレームメモリ領域に展開する処理を行う。
【0052】
エンジン転送メモリ管理部116(請求項中のメモリ管理部に相当)には、バリアブルデータRIPエンジン114やビットマップ展開モジュール115から、印刷データ(ビットマップデータ形式)のビットマップを展開するRAM92のフレームメモリ領域の割り当てを要求するアロケート要求(請求項中のメモリ領域のアロケート要求に相当)が入力される。
【0053】
また、エンジン転送メモリ管理部116は、入力されたアロケート要求に呼応して、その要求元(バリアブルデータRIPエンジン114やビットマップ展開モジュール115)に対し、ビットマップを展開するRAM92のフレームメモリ領域のアドレスを付与する。
【0054】
ビットマップを展開するRAM92のフレームメモリ領域のアドレスが付与されると、バリアブルデータRIPエンジン114やビットマップ展開モジュール115は、フレームメモリ領域の付与されたアドレスにビットマップを展開し、展開が終了するとその旨をアドレスと共に画像形成制御部113に通知する。
【0055】
RAM92のフレームメモリ領域に対するビットマップの展開の終了通知を、バリアブルデータRIPエンジン114やビットマップ展開モジュール115から受けた画像形成制御部113は、ビットマップの展開が終了した印刷データの印刷指示を、プリントエンジン117に出力する。このとき、画像形成制御部113は、印刷指示の対象となる印刷データの印刷ジョブにジョブ制御部112が付与した識別子と、バリアブルデータRIPエンジン114やビットマップ展開モジュール115から通知されたアドレスを、印刷指示と共にプリントエンジン117に出力する。
【0056】
印刷指示を受けたプリントエンジン117は、印刷指示と共に受け取ったRAM92のフレームメモリ領域のアドレスから、ビットマップ展開された印刷データ(ビットマップデータ)を読み出させて、プリンタ部102に印刷処理させる。このとき、プリントエンジン117は、画像形成制御部113からの印刷指示に対応した印刷処理を、基本的に、対象となる印刷ジョブに対してジョブ制御部112が付与した識別子が示す印刷ジョブの受信順に、プリンタ部102に実行させる。
【0057】
(印刷ジョブの処理タイミング)
次に、インクジェット記録装置1がクライアント端末14からの印刷ジョブを立て続けに受信した場合の各印刷ジョブの処理タイミングについて、図3のタイミングチャートを参照して説明する。
【0058】
図3では、RIP変換前のベクターデータによる印刷データを有する1番目の印刷ジョブの受信に続いて、インクジェット記録装置1が、RIP変換されたビットマップデータ形式の印刷データを有する2番目の印刷ジョブを受信し、さらに、RIP変換前のベクターデータによる印刷データを有する3番目の印刷ジョブを続けて受信した場合を示している。
【0059】
この場合は、1番目の印刷ジョブを受信して、その印刷データであるベクターデータからビットマップデータへのRIP変換と、変換後のビットマップのRAM92のフレームメモリ領域への展開とを、バリアブルデータRIPエンジン114が行っている最中に、2番目の印刷ジョブの印刷データのビットマップをRAM92のフレームメモリ領域に展開する処理が、ビットマップ展開モジュール115によって開始される。
【0060】
そして、1番目の印刷ジョブのビットマップの展開が終了すると、1番目の印刷ジョブの印刷データを用いた印刷処理がプリンタ部102で開始されると共に、3番目の印刷ジョブの印刷データであるベクターデータからビットマップデータへのRIP変換と、変換後のビットマップのRAM92のフレームメモリ領域への展開とが、バリアブルデータRIPエンジン114により開始される。その後、2番目の印刷ジョブのビットマップ展開モジュール115による印刷データの処理が終了すると、1番目の印刷ジョブの印刷処理が終了するのを待って、2番目の印刷ジョブの印刷処理が開始される。
【0061】
さらに、3番目の印刷ジョブのバリアブルデータRIPエンジン114による印刷データの処理が終了すると、2番目の印刷ジョブの印刷処理が終了するのを待って、3番目の印刷ジョブの印刷処理が開始される。
【0062】
(作用・効果)
このように、本実施形態のインクジェット記録装置1では、バリアブルデータRIPエンジン114やビットマップ展開モジュール115がそれぞれ、RIP変換前の印刷データやRIP変換後の印刷データに対する処理を並行して行い、その処理が終了すると、印刷ジョブの受信順に印刷データの印刷処理がプリンタ部102において行われる。
【0063】
このため、バリアブルデータRIPエンジン114とビットマップ展開モジュール115とのどちらか一方が処理した印刷データの印刷処理をプリントエンジン117が実行し終わるまでの間に、バリアブルデータRIPエンジン114とビットマップ展開モジュール115とのどちらか他方による印刷データの処理を終了させて、プリントエンジン117に休みなく連続して印刷処理を実行させ、スループットを向上させることができる。
【0064】
なお、印刷ジョブの受信順が2番目と3番目で入れ替わると、1番目の印刷ジョブのRIP変換とビットマップの展開をバリアブルデータRIPエンジン114が終了するまで、2番目の印刷ジョブのRIP変換とビットマップの展開をバリアブルデータRIPエンジン114が開始することができない。
【0065】
そこで、本実施形態のインクジェット記録装置1では、この場合に、3番目の印刷ジョブのビットマップの展開を、空いているビットマップ展開モジュール115により先に実行させて、例外的に、1番目の印刷ジョブの印刷処理の次に、3番目の印刷ジョブの印刷処理を実行させ、その後、2番目の印刷ジョブの印刷処理を実行させる。
【0066】
このため、バリアブルデータRIPエンジン114で印刷データを処理する印刷ジョブが1番目と2番目に立て続けて受信された場合に、印刷データの処理が終了していない2番目の印刷ジョブよりも先に、3番目に受信した印刷ジョブの印刷データがビットマップ展開モジュール115で処理され終わると、3番目の印刷ジョブの印刷が2番目の印刷ジョブの印刷よりも先に割り込みで実行される。
【0067】
したがって、2番目の印刷ジョブの印刷データがバリアブルデータRIPエンジン114で処理された後に印刷処理され終わるまで、3番目の印刷ジョブの印刷処理が待たされないようにして、印刷処理のスループットを向上させることができる。但し、この構成は省略してもよい。
【0068】
また、印刷処理のスループットを向上させる上では、プリントエンジン117を停止させることをできるだけ避けることが効果的である。即ち、プリントエンジン117を停止させなければ、次の印刷ジョブの印刷処理をプリンタ部102に行わせることになった際に、プリントエンジン117を停止状態から復帰させるための初期動作を実行する必要がないので、より早く次の印刷ジョブの印刷処理を開始させることができる。
【0069】
そのために、画像形成制御部113は、印刷ジョブの印刷指示をプリントエンジン117に出力した後に、図4のフローチャートに示す手順の処理を行うようにしてもよい。
【0070】
まず、画像形成制御部113は、プリントエンジン117に印刷指示を出力していない受信済の印刷ジョブが存在するか否かを確認する(ステップS1)。存在する場合は(ステップS1でYES)、バリアブルデータRIPエンジン114やビットマップ展開モジュール115に印刷データを出力して(ステップS3)、一連の手順を終了する。
【0071】
一方、プリントエンジン117に印刷指示を出力していない受信済の印刷ジョブが存在しない場合は(ステップS1でNO)、所定時間待機して(ステップS5)、次の印刷ジョブがジョブ受信部111で受信されたか否かを確認する(ステップS7)。受信された場合は(ステップS7でYES)、ステップS3に移行して、バリアブルデータRIPエンジン114やビットマップ展開モジュール115に印刷データを出力した後(ステップS3)、一連の手順を終了する。
【0072】
これに対し、次の印刷ジョブがジョブ受信部111で受信されていない場合は(ステップS7でNO)、プリントエンジン117を停止させて(ステップS9)、一連の手順を終了する。
【0073】
なお、画像形成制御部113が図4のフローチャートに示す手順の処理を実行するための構成は、省略してもよい。
【0074】
また、上述した実施形態では、画像形成装置としてインクジェット記録装置1を用いた場合を例に取って説明した。しかし、本発明はインクジェット方式に限らず、電子写真方式や孔版印刷方式等のインクジェット方式以外の方式によるプリンタを画像形成装置とする場合にも、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 インクジェット記録装置
10 制御ユニット
11 外部インターフェイス部
14 クライアント端末
15 外部インターフェイス部
16 CPU
17 ROM
18 RAM
19 入力部
20 出力部
21 外部記憶装置
22 ディスクドライブ
50 ディスク状記録媒体
80 ディスプレイ
90 CPU
91 ROM
92 RAM
93 外部記憶装置
101 スキャナ部
102 プリンタ部
110 プリンタドライバ
111 ジョブ受信部
112 ジョブ制御部
113 画像形成制御部
114 バリアブルデータRIPエンジン
115 ビットマップ展開モジュール
116 エンジン転送メモリ管理部
117 プリントエンジン
LAN ローカルエリアネットワーク
図1
図2
図3
図4