(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、所定の加工や処理の施された半導体ウェーハを出荷する場合には、図示しないが、複数枚の半導体ウェーハを専用の収納容器に収納し、この収納容器をラミネート袋でヒートシール包装し、このヒートシール包装された収納容器を段ボール箱に複数の二次緩衝材を介して梱包した後、出荷して輸送するようにしている(特許文献1参照)。
【0003】
出荷に用いられる収納容器は、複数枚の半導体ウェーハを起立させた状態で整列収納する略角筒形のカセットと、このカセットの下半分を着脱自在に収納するトップオープンボックスの下箱と、この下箱の開口した上部に着脱自在に嵌合されてカセットの残り上半分を被覆保護する上箱と、この上箱の内部天井に着脱自在に装着されて半導体ウェーハの周縁上部を圧接保持する押さえ部材と、下箱と上箱との嵌合部に介在されてシール機能を発揮する枠形のガスケットとを備えて構成されている。
【0004】
ところで、収納容器は、一般的に、カセット、下箱、上箱、押さえ部材、及びガスケットの5部品から構成されているが、このように部品点数が多くては、コストを削減することができず、研究開発や設備投資等に問題が生じることとなる。この点に鑑み、収納容器を構成する5部品のうち、少なくとも2部品を一体化し、部品点数を削減してコストを抑制する手法が提案されている。この手法によれば、例えば上箱の内部天井に押さえ部材を一体成形することにより、上箱に被覆保護機能と押さえ部材の押さえ機能とを併せて付与することが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、係る手法によれば、収納容器を構成する2部品を一体化して部品点数を削減することができるものの、2部品以上を一体成形しようとすると、収納容器の機能、すなわち、半導体ウェーハを収納する機能を損なうこととなる。したがって、これ以上の部品点数の削減は非常に困難である。
しかし、収納容器の部品点数を今以上に削減できれば、コストを大幅に削減して研究開発や設備投資等を促進することができ、しかも、産業廃棄物の低減を通じて地球環境の保護に資することができる。
【0007】
本発明は上記に鑑みなされたもので、部品点数を削減してコストの抑制、研究開発や設備投資等の促進、地球環境の保護に資することのできるウェーハカセットの梱包体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては上記課題を解決するため、ウェーハを収納するウェーハカセットと、このウェーハカセットを上下方向から挟んで収容する第一、第二の緩衝体とを備えたものであって、
ウェーハカセットは、複数枚のウェーハを起立させた状態で整列収納可能なカセットと、このカセットの開口した上部に着脱自在に嵌め合わされる蓋体とを含み、カセットの周壁のうち、少なくとも対向する一対の側壁の上部をそれぞれ外方向に曲げてフランジとし、
このフランジに位置決め凸部を形成し、蓋体を断面略皿形状に形成し、この蓋体の周壁のうち、少なくとも周壁の両側部をカセットのフランジに干渉可能とし、
蓋体の内面中央と周壁との間に溝を区画するとともに、この溝に、カセットの位置決め凸部を被覆する中空のドーム部を形成し、
第一の緩衝体は、第二の緩衝体に対向する対向板と、この対向板の周縁部から下方に屈曲する外壁とを備え、対向板に、ウェーハカセットを部分的に収容する収容凹部を形成し、この収容凹部を、ウェーハカセットの一部を収容して搭載する幅広部と、この幅広部の下方に形成される段差部と、この段差部に形成されて下方に突出する緩衝部とから形成し、
第二の緩衝体は、第一の緩衝体の対向板に対向する対向板と、この対向板の周縁部から上方に屈曲する外壁とを備え、対向板に、ウェーハカセットを部分的に収容する収容凹部を形成し、この収容凹部を、ウェーハカセットの一部以外の残部を収容する幅広部と、この幅広部の上方に形成されてウェーハカセットの蓋体に接触する段差部と、この段差部に形成されて上方に突出する緩衝部とから形成し、
段差部に、蓋体のドーム部に対向して干渉を回避する回避部を形成したことを特徴としている。
【0009】
なお、第二の緩衝体の幅広部と段差部のいずれかに、蓋体のドーム部に対向して干渉を回避する回避部を形成することができる。
【0010】
また、蓋体の内部に、ウェーハの周縁上部を保持する保持部を形成することもできる。
また、第一の緩衝体の対向板と第二の緩衝体の対向板のいずれか一方に係止凹部を形成し、他方には、係止凹部に嵌め入れられる係止突部を形成することも可能である。
【0011】
ここで、特許請求の範囲におけるウェーハには、少なくともシリコンウェーハ等の半導体ウェーハ、化合物ウェーハ、サファイヤウェーハ、カーボンウェーハ、ガラスウェーハ、ソーラーウェーハ、マスクガラス、液晶基板等が含まれる。特に、トランジスタやダイオード等のディスクリートデバイス用のウェーハが好適に使用される。ウェーハカセットと第一、第二の緩衝体とは、透明、不透明、又は半透明でも良い。ウェーハカセットは、各種の包装袋で包装することができる。
【0012】
カセットのフランジには、蓋体のドーム部に対向して被覆される位置決め凹部を形成することができる。蓋体の表面周縁部には、必要に応じ、第二の緩衝体の幅広部と段差部のいずれかを接触させることもできる。また、第一、第二の緩衝体は、複数のウェーハカセットを横方向に並べて(例えば、1×2、3×3等)挟み持つことが好ましい。この第一、第二の緩衝体は、各種の収納箱に収納したり、コンテナに搭載した状態で出荷、輸送することが可能である。さらに、係止凹部は、穴や溝等に形成することが可能である。
【0013】
本発明によれば、第一の緩衝体の収容凹部にウェーハカセットの一部を収容し、第一の緩衝体に第二の緩衝体を被せ、第一の緩衝体に収容されていないウェーハカセットの残部に第二の緩衝体の収容凹部を嵌め入れれば、第一、第二の緩衝体の間にウェーハカセットを挟んで包装することができる。
【0014】
この際、ウェーハカセットの蓋体に第二の緩衝体の段差部が接触するので、カセットのフランジに蓋体が強く接触する。このように第一、第二の緩衝体が緩衝機能の他、従来の収納容器の下箱と上箱の保護機能をも発揮するので、少なくとも収納容器の下箱と上箱とを省略することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、部品点数を削減してコストの抑制、研究開発や設備投資等の促進、地球環境の保護に資することができるという効果がある。また、ウェーハカセットの蓋体に第二の緩衝体の段差部が接触するので、カセットのフランジに蓋体が強く接触し、カセットから蓋体が外れてウェーハの汚染等を招くのを有効に防止することができる。
また、蓋体のドーム部と第二の緩衝体の回避部とが干渉するのを防ぐことができるので、第一、第二の緩衝体を重ねて一体化する作業に支障を来すことが少なく、第一、第二の緩衝体を重ねて強固に一体化することができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、蓋体に保持部を一体化するので、蓋体に、ウェーハを被覆して保護する機能と、ウェーハを押さえてガタツキを防止する機能とを併せて付与し、部品点数を削減することが可能になる。また、従来の堅牢な収納容器を使用しなくても、ウェーハを安全に搬送したり、輸送したりすることが可能になる。
請求項3記載の発明によれば、ウェーハカセットを挟み持つ第一、第二の緩衝体が外れることにより、ウェーハやウェーハカセットが損傷したり、ウェーハが汚染したりするのを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るウェーハカセットの梱包体の実施形態を模式的に示す説明図である。
【
図2】本発明に係るウェーハカセットの梱包体の実施形態におけるウェーハカセットのカセットを模式的に示す斜視説明図である。
【
図3】本発明に係るウェーハカセットの梱包体の実施形態における蓋体を模式的に示す説明図である。
【
図4】本発明に係るウェーハカセットの梱包体の実施形態における蓋体の内面を模式的に示す説明図である。
【
図5】本発明に係るウェーハカセットの梱包体の実施形態におけるウェーハカセットの包装状態を模式的に示す説明図である。
【
図6】本発明に係るウェーハカセットの梱包体の実施形態における第一、第二の緩衝体の挟持状態を模式的に示す説明図である。
【
図7】本発明に係るウェーハカセットの梱包体の実施形態における第一の緩衝体を模式的に示す平面説明図である。
【
図8】本発明に係るウェーハカセットの梱包体の実施形態における第二の緩衝体を模式的に示す平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態におけるウェーハカセットの梱包体は、
図1ないし
図8に示すように、複数枚の半導体ウェーハWを並べて収納するウェーハカセット1と、このウェーハカセット1を上下方向から挟持して複数収容する第一、第二の緩衝体30・40とを備え、これら複数のウェーハカセット1と第一、第二の緩衝体30・40とが共に出荷用の収納箱に収納される。
【0020】
各ウェーハカセット1は、
図1、
図2、
図5、
図6に示すように、複数枚(例えば25枚)の半導体ウェーハWを起立させた状態で整列収納可能なカセット2と、このカセット2の開口した上部6に着脱自在に嵌合される蓋体12とを備え、カセット2の上部6に蓋体12が嵌合された後、保護用の包装袋20で包装される。各半導体ウェーハWは、例えば比較的損傷しにくく、簡易な梱包形態の検討に適する4〜6インチの小さいシリコンウェーハからなる。
【0021】
カセット2は、同図に示すように、例えばポリプロピレンやポリカーボネート等を含有する成形材料により射出成形される。このカセット2は、図示しない専用の位置決め装置に位置決めされる正面略H字形の前壁3と、この前壁3に複数枚の半導体ウェーハW用の収納空間をおいて対向する後壁4と、これら前壁3と後壁4との両側部間にそれぞれ架設されて相対向する一対の側壁5とを備え、上下部がそれぞれ開口した略角筒形に形成されており、開口した上部6から半導体ウェーハWが出し入れされる。
【0022】
カセット2の上部6は、半導体ウェーハWの出し入れを円滑にする観点から、下部よりも広い平面略矩形に開口される。これに対し、カセット2の開口した下部は、半導体ウェーハWの周縁下部の中央を外部下方に露出させ、この半導体ウェーハWの周縁下部の中央が専用の装置に突き上げられることにより、半導体ウェーハWがカセット2から取り出される。
【0023】
カセット2の周壁7を形成する前壁3、後壁4、及び一対の側壁5のうち、一対の側壁5の上部は、それぞれ水平外方向に屈曲されてフランジ8を形成する。一方の側壁5のフランジ8表面には、半球形の位置決め凸部9が複数形成され、他方の側壁5のフランジ8表面には、複数の位置決め凹部10が半球形に凹み形成される。
【0024】
複数の位置決め凸部9は、例えばフランジ8表面の両端部に形成されるが、必要に応じ、一端部、他端部、中央部等に突出形成される。また、複数の位置決め凹部10は、例えば別のフランジ8表面の両端部に形成されるが、選択的に一端部、他端部、中央部等に凹み形成される。これら複数の位置決め凸部9と位置決め凹部10とは、例えば半導体ウェーハWを収納したカセット2と空のカセットの開口上部6同士が突き合わされる際に嵌合して位置合わせ機能を発揮し、半導体ウェーハWを空のカセットに移し替える作業を容易にする。
【0025】
一対の側壁5は、それぞれ変形した断面略J字形に形成され、上部から中央部が直線的に伸張形成されるとともに、中央部から下部が半導体ウェーハWの周縁部に沿うよう湾曲形成されており、下部から最下部が下方に直線的に伸張形成される。この一対の側壁5の内面上部から下部にかけては、半導体ウェーハWの周縁側部を縦に嵌合支持する整列溝11がそれぞれ凹み形成され、この一対の整列溝11がカセット2の前後方向に所定の間隔で配列される。
【0026】
各整列溝11は、例えば半導体ウェーハWの位置決めやガタツキ防止の観点から、半導体ウェーハWの周縁側部を挟む断面略V字形に形成され、上部から中央部が直線的に伸張形成される。この整列溝11の中央部から下部にかけては、半導体ウェーハWの周縁部に沿うよう湾曲形成され、半導体ウェーハWの位置を規制する。
【0027】
蓋体12は、例えばポリオレフィンやポリスチレン等のシート材料がプレス成形、真空成形、あるいは圧空成形等されることで形成される。この蓋体12の材料としては、ポリオレフィンやポリスチレン等の他、ポリ乳酸等の生分解材料を選択することもできる。この生分解材料を選択すれば、環境負荷の低減が期待できる。
蓋体12は、
図1、
図3、
図4等に示すように、カセット2の開口した上部6と略同じ大きさを有する平面略矩形に形成され、前後左右の周縁部に、カセット2の上部6を外側から包囲する周壁13が一体形成されることにより、断面略皿形に形成される。
【0028】
蓋体12の内面中央は厚さ方向に平面矩形に凹み形成され、この蓋体12の内面中央と周壁13との間には枠形溝14が区画されており、この枠形溝14の四隅部等には、カセット2の複数の位置決め凸部9を被覆したり、複数の位置決め凹部10に隙間を介して対向する中空のドーム部15がそれぞれ膨出形成される。枠形溝14は、その寸法がカセット2のフランジ8の幅寸法に略等しくなるよう調整され、カセット2のフランジ8に着脱自在に嵌合係止する。
【0029】
蓋体12の内面中央には、複数枚の半導体ウェーハWの周縁上部を保持溝17で嵌合保持する細長い平面略矩形の保持部16が一体形成される。この保持部16は、複数の保持溝17が蓋体12の前後方向に所定の間隔で並ぶことにより形成され、各保持溝17が半導体ウェーハWの周縁上部を前後方向から挟む断面略V字形に形成される。
【0030】
なお、保持部16を、相対向する一対のリブを蓋体12の前後方向に所定の間隔で並設することで形成し、一対のリブの対向面をそれぞれ傾斜面に形成し、この一対のリブの傾斜面に半導体ウェーハWの周縁上部を前後方向から挟持させても良い。
【0031】
包装袋20は、
図5に模式的に示すように、ウェーハカセット1を直接包装する袋と、この袋を外側から密閉して包装する不透明のアルミネート袋21とを備えた二層構造に形成される。袋とアルミネート袋21の開口は、例えば加熱法や超音波法等によりそれぞれシールされる。袋は、例えばポリエチレンやポリエチレンテレフタレート等の樹脂材料により製造される。アルミネート袋21は、意匠性やバリアー性を向上させるため、例えば銀色等に着色される。
包装袋20は、
図5には説明の都合上、矩形で図示するが、実際には不定形でウェーハカセット1に密接する。
【0032】
第一、第二の緩衝体30・40は、例えばポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン等の樹脂材料、これらを発泡させた材料により半透明に成形され、優れた緩衝能力を発揮する。この第一、第二の緩衝体30・40は、蓋体12同様、環境負荷を低減できるポリ乳酸等の生分解材料により製造することもできる。
【0033】
第一の緩衝体30は、
図1、
図6、
図7に示すように、第二の緩衝体40に下方から対向する平面略矩形の対向板31と、この対向板31の前後左右の周縁部から張り出して垂直下方に屈曲する外壁37とを備えた横長の断面略U字形に形成され、複数のウェーハカセット1の下半分を嵌合収容し、半導体ウェーハWやウェーハカセット1に外部から作用する振動や衝撃を緩和するよう機能する。
【0034】
対向板31は、その周縁部を除く大部分に、ウェーハカセット1を部分的に収容する複数の収容凹部32がマトリックス(例えば、2×2)に配列され、周縁部の周方向に複数の係止穴33が間隔をおいて凹み形成されており、各係止穴33が中空の円錐台形に形成されて第二の緩衝体40に着脱自在に係止する。
【0035】
各収容凹部32は、例えばウェーハカセット1の下半分を嵌合収容して搭載する略角錐台形の幅広部34と、この幅広部34の下方に一体形成される段差部35と、この段差部35に一体形成されて下方に突出する平面略矩形の緩衝部36とを備えた中空に形成される。幅広部34は、上方から下方に向かうに従い、徐々に幅が狭くなるよう形成される。また、段差部35と緩衝部36とは、段差部35が幅広部34よりも狭い幅に形成され、緩衝部36が段差部35よりも狭い幅に形成される。段差部35は、平面略枠形に形成され、収容凹部32を補強する。
【0036】
外壁37は、複数の収容凹部32を包囲する平面略枠形に形成され、第一の緩衝体30が図示しない収納箱内の下部に収納されると、収納箱の周壁内面に面接触し、第一の緩衝体30の姿勢を安定させる。
【0037】
第二の緩衝体40は、
図1、
図6、
図8に示すように、第一の緩衝体30の対向板31に上方から対向する平面略矩形の対向板41と、この対向板41の前後左右の周縁部から張り出して垂直上方に屈曲する外壁48とを備えた横長の断面略U字形に形成され、複数のウェーハカセット1の上半分を嵌合収容し、半導体ウェーハWやウェーハカセット1に外部から作用する振動や衝撃を緩和する。
【0038】
対向板41は、その周縁部を除く大部分に、ウェーハカセット1を部分的に収容する複数の収容凹部42がマトリックス(例えば、2×2)に配列され、周縁部周方向に複数の係止突部43が間隔をおいて突出形成される。各係止突部43は、先細りの円錐台形に形成され、第一の緩衝体30の係止穴33に着脱自在に嵌入係止することにより、第一、第二の緩衝体30・40の分離を防止する。
【0039】
各収容凹部42は、例えば第一の緩衝体30の対向板31から突出したウェーハカセット1の上半分を嵌合収容する略角錐台形の幅広部44と、この幅広部44の上方に一体形成される段差部45と、この段差部45に一体形成されて上方に突出する平面略矩形の緩衝部46とを備えた中空に形成される。幅広部44は、下方から上方に向かうに従い、緩やかに幅が狭くなるよう形成される。また、段差部45と緩衝部46とは、段差部45が幅広部44よりも幅狭に形成され、緩衝部46が段差部45よりも幅狭に形成される。
【0040】
段差部45は、平面略枠形に形成され、蓋体12の表面周縁部に接触することにより、この蓋体12をカセット2のフランジ8に圧接するよう機能する。この段差部45の幅広部44との境界辺付近の四隅部には、蓋体12の複数のドーム部15に対向して圧接変形を回避する略半球形の回避部47がそれぞれ膨出形成される。
外壁48は、複数の収容凹部42を包囲する平面略枠形に形成され、第二の緩衝体40が収納箱内の上部に収納されると、収納箱の周壁内面に面接触し、第二の緩衝体40の姿勢を安定させる。
【0041】
収納箱は、特に限定されるものではなく、公知の段ボール箱に類似したタイプが使用される。この収納箱には、紙製、プラスチック製、溝切り形、テレスコープ形等の種類があるが、複数のウェーハカセット1の梱包に適するタイプであれば、限定されるものではない。
但し、耐久性や低汚染性の観点からすると、プラスチック製の中空構造板(プラ段)の使用が好ましい。また、第一、第二の緩衝体30・40の搬送や輸送に際しては、段ボール箱等からなる収納箱の代わりに、プラスチック製のコンテナを用いることもできる。
【0042】
上記構成において、収納箱に複数のウェーハカセット1を梱包し、出荷して輸送する場合には、先ず、複数のウェーハカセット1を包装袋20でそれぞれ包装封止(
図5参照)し、包装された各ウェーハカセット1の下半分を第一の緩衝体30の収容凹部32に収容する(
図1参照)。
【0043】
第一の緩衝体30の複数の収容凹部32にウェーハカセット1を順次収容したら、第一の緩衝体30に第二の緩衝体40を上方から被せ、包装された各ウェーハカセット1の残り上半分に第二の緩衝体40の収容凹部42を嵌合し、第一の緩衝体30の複数の係止穴33に第二の緩衝体40の係止突部43をそれぞれ嵌入係止(
図6参照)して輸送時のガタツキを未然に防止するようにすれば、第一、第二の緩衝体30・40の間に複数のウェーハカセット1を挟んで包装することができる。
【0044】
この際、ウェーハカセット1の蓋体12に第二の緩衝体40の段差部45が接触するので、カセット2のフランジ8に蓋体12が圧接し、カセット2の上部6から蓋体12が外れて半導体ウェーハWの汚染を招くのを有効に防止することができる。また、蓋体12のドーム部15に第二の緩衝体40の回避部47が対向して干渉を回避するので、ドーム部15と回避部47との不適切な圧接により、第二の緩衝体40の段差部45が変形したり、第一、第二の緩衝体30・40の挟持に支障を来すことがなく、第一、第二の緩衝体30・40を強固に組み立てることができる。
【0045】
次いで、収納箱内に第一、第二の緩衝体30・40を配置して第一の緩衝体30を下方に位置させ、収納箱の開いた複数のフラップを閉じ、その後、収納箱の周壁から閉じた複数のフラップにかけて粘着テープを粘着すれば、収納箱に複数のウェーハカセット1を梱包し、安全に出荷して輸送することができる。収納箱内に第一、第二の緩衝体30・40を配置する際には、収納箱に、段ボール板等の緩衝材を内蔵して緩衝能力を向上させるようにしても良い。
【0046】
上記構成によれば、蓋体12に保持部16を一体形成し、しかも、従来の下箱、上箱、ガスケットを省略するので、部品点数を今まで以上に削減することができる。したがって、コストを大幅に削減して研究開発や設備投資等を促進することができ、しかも、産業廃棄物の低減を通じて地球環境の保護に資することが可能になる。また、梱包容積や質量の低減により、一度に輸送可能な輸送量を増大させることができる。さらに、係止穴33と係止突部43の周面がそれぞれ傾斜し、係止穴33の周面が誘導機能を発揮するので、係止穴33に係止突部43を適切に嵌挿し、これらを密嵌して第一、第二の緩衝体30・40を隙間なく組み立てることができる。
【0047】
なお、上記実施形態ではカセット2の前壁3、後壁4、及び一対の側壁5のうち、一対の側壁5の上部をフランジ8に形成したが、後壁4と各側壁5の上部をそれぞれフランジ8に屈曲形成しても良い。また、各フランジ8表面の一端部に位置決め凸部9を形成し、他端部に、位置決め凹部10を凹み形成しても良い。
【0048】
また、各位置決め凸部9をピン形に形成しても良い。また、第一の緩衝体30の対向板31に、平面枠形の係止溝を切り欠き形成し、第二の緩衝体40に、係止溝に密嵌する平面枠形の係止突部43を形成することもできる。また、第一の緩衝体30の対向板31に複数の係止穴33を配設したが、代わりに複数の係止突部43を配設し、第二の緩衝体40に複数の係止穴33を配設することもできる。さらに、幅広部44の段差部45との境界辺付近の四隅部に、蓋体12の複数のドーム部15に対向して圧接変形を回避する略半球形の回避部47をそれぞれ形成することもできる。