特許第6068303号(P6068303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6068303
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】画像投影装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20170116BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20170116BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   G02B27/01
   G03B21/14 A
   B60K35/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-191640(P2013-191640)
(22)【出願日】2013年9月17日
(65)【公開番号】特開2015-59966(P2015-59966A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】染野 義博
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/007762(WO,A1)
【文献】 特開2012−058690(JP,A)
【文献】 特開2010−175574(JP,A)
【文献】 特開2004−102075(JP,A)
【文献】 特表2013−540278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 − 27/02
B60K 35/00
G03B 21/00 − 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源と、前記レーザ光源から発せられるレーザ光を平行光束に変換するコリメートレンズと、前記コリメートレンズを通過した平行光束を位相変換してホログラム画像を生成する位相変換アレイと、前記位相変換アレイで生成されたホログラム画像を投影する投影部とを有する画像投影装置において、
前記レーザ光源と前記コリメートレンズとの間に、光軸に沿う方向に間隔を空けて複段のアパーチャーが配置され、前記レーザ光源から前記コリメートレンズに至る有効光束の外面と、それぞれの前記アパーチャーとの間に、光軸と垂直な方向の間隔が空けられており、前記間隔は前記コリメートレンズに接近するにしたがって短くなることを特徴とする画像投影装置。
【請求項2】
前記レーザ光源と前記コリメートレンズとの間に、前記レーザ光源に向けられる複数の壁面が設けられて、それぞれの壁面の内縁部に前記アパーチャーが形成されており、前記レーザ光源から前記内縁部に至る仮想面と、前記壁面との成す角度が90度±20度以下である請求項1記載の画像投影装置。
【請求項3】
前記壁面が光反射防止構造または光吸収構造を有する請求項2記載の画像投影装置。
【請求項4】
前記コリメートレンズと前記位相変換アレイとの間に、光軸に沿う方向に間隔を空けて複段の第2のアパーチャーが配置されている請求項1ないし3のいずれかに記載の画像投影装置。
【請求項5】
前記コリメートレンズの有効径から延びる平行光束の外面と、それぞれの前記第2のアパーチャーとの間に、光軸と垂直な方向の間隔が空けられており、前記間隔は前記位相変換アレイに接近するにしたがって短くなる請求項4記載の画像投影装置。
【請求項6】
前記コリメートレンズと前記位相変換アレイとの間で、平行光束の外側に空間が形成されており、前記平行光束の外面から前記空間への広がり距離は、前記平行光束の外面の光強度をピーク値とするガウシアン強度分布を想定したときに、光強度が前記ピーク値から−20dBよりも低下するように設定される請求項1ないし3のいずれかに記載の画像投影装置。
【請求項7】
前記コリメートレンズの側面が、光反射防止構造または光吸収構造を有する請求項1ないし6のいずれかに記載の画像投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光源からのレーザ光がコリメートレンズで平行光とされた後に位相変換アレイでホログラム画像に変換されて投影される画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはいわゆるヘッドアップディスプレイ装置に使用される画像表示装置が開示されている。
【0003】
この画像表示装置は、R,G,Bのそれぞれの波長のレーザ光を発する3つのレーザ光源を有している。それぞれのレーザ光源から発せられたレーザ光は、二次元変調素子に与えられて画像が生成され、その画像を含む光束がミラーで反射されて車両のウインドシールドに配置されたホログラム光学素子に与えられる。ホログラム光学素子はホログラムミラーであり、このホログラムミラーで反射された光が運転者に与えられる。その結果、運転者は、ウインドシールドの前方の虚像の画像を目視できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−90076号公報
【特許文献2】特開2008−216697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された画像表示装置は、二次元変換素子として小型液晶パネルあるいはデジタルミラーデバイスが使用されている。これらはレーザ光の透過を画素ごとにON−OFFすることで二次元画像を生成するものであるため、レーザ光の利用効率が悪く、ウインドシールドの前方の虚像に映し出される画像のコントラストを向上するのに限界がある。
【0006】
これに対し、本発明では、画像を生成するための素子として位相変換アレイを使用することを提案している。この位相変換アレイは、多数の変換ポイントを通過するレーザ光束の位相を変換し、隣接する変換ポイントを通過した光どうしを干渉させて、画像を表現するための多数の画素に光をドット状に集中させる。この方式では、位相変換アレイによるレンズ効果を発現可能で、かつ、従来の光スイッチアレイのようなドット毎の遮光を生じさせるものではなく、また光吸収成分が少ないため、レーザ光の利用効率が高くなって高輝度でかつ画像の補正が容易で、立体画像などのような付加機能を有する投影画像を生成することが可能になる。
【0007】
ただし、前記レーザ光束は位相変換アレイに対して平行光束として予め決められた入射角度で入射させることが必要であり、想定していない入射角度の迷光が入射すると、生成すべき画素以外の部分に投影光が生成されることなどによって、表示画像の品質が低下し、特にコントラストに悪影響を与えるおそれがある。
【0008】
一方で、前記特許文献2に記載されているように、画像形成装置において、レーザ光源とコリメートレンズとの間や、コリメートレンズの前方にアパーチャーを配置し、このアパーチャーで光の口径を制限することも行われている。しかし、このアパーチャーを、前記レーザ光源と前記位相変換アレイ素子との間に単に配置しただけでは、アパーチャーで回折された光が新たな迷光として、位相変換アレイに入射されてしまう新たな課題が生じる。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、レーザ光源から位相変換アレイに至る光路において迷光の発生を抑制できるようにした画像投影装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、レーザ光源と、前記レーザ光源から発せられるレーザ光を平行光束に変換するコリメートレンズと、前記コリメートレンズを通過した平行光束を位相変換してホログラム画像を生成する位相変換アレイと、前記位相変換アレイで生成されたホログラム画像を投影する投影部とを有する画像投影装置において、前記レーザ光源と前記コリメートレンズとの間に、光軸に沿う方向に間隔を空けて複段のアパーチャーが配置され、前記レーザ光源から前記コリメートレンズに至る有効光束の外面と、それぞれの前記アパーチャーとの間に、光軸と垂直な方向の間隔が空けられており、前記間隔は前記コリメートレンズに接近するにしたがって短くなることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の画像投影装置は、レーザ光源とコリメートレンズとの間に複段のアパーチャーが設けられているため、アパーチャーによる光の回折や光の反射によって生じる迷光を次段のアパーチャーで遮光できるようになり、迷光が位相変換アレイに至る確率を低下させることができる。
【0013】
また、間隔を設定することで、複段のアパーチャーによる迷光の遮光効果をさらに高めることが可能になる。
【0014】
さらに、前記レーザ光源と前記コリメートレンズとの間に、前記レーザ光源に向けられる複数の壁面が設けられて、それぞれの壁面の内縁部に前記アパーチャーが形成されており、前記レーザ光源から前記内縁部に至る仮想面と、前記壁面との成す角度が90度±20度以下であることが好ましい。
【0015】
壁面の角度を前記のように設定すると、壁面に照射されたレーザ光が迷光となるのを規制することができる。
【0016】
本発明は、前記壁面が光反射防止構造または光吸収構造を有することが好ましい。
さらに、本発明の画像投影装置は、前記コリメートレンズと前記位相変換アレイとの間に、光軸に沿う方向に間隔を空けて複段の第2のアパーチャーが配置されていることが好ましく。
【0017】
さらに、前記コリメートレンズの有効径から延びる平行光束の外面と、それぞれの前記第2のアパーチャーとの間に、光軸と垂直な方向の間隔が空けられており、前記間隔は前記位相変換アレイに接近するにしたがって短くなることが好ましい。
【0018】
さらに、本発明の画像投影装置は、前記コリメートレンズと前記位相変換アレイとの間で、平行光束の外側に空間が形成されており、前記平行光束の外面から前記空間への広がり距離は、前記平行光束の外面の光強度をピーク値とするガウシアン強度分布を想定したときに、光強度が前記ピーク値から−20dBよりも低下するように設定されるものであってもよい。
【0019】
また、前記コリメートレンズの側面が、光反射防止構造または光吸収構造を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の画像投影装置では、位相変換アレイを使用することで画像のコントラストを向上させることができるが、さらに、レーザ光源から位相変換アレイに至る光路の迷光を抑制することで、位相変換アレイで生成されるホログラム画像にゴーストなどが生じにくくなり、表示品質を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の画像投影装置の実施の形態として車両のヘッドアップディスプレイ装置を示す説明図、
図2】画像投影装置の構成図、
図3】レーザ光源からコリメートレンズまでの光路上の構造を示す断面図、
図4】コリメートレンズから位相変換アレイまでの光路上の構造を示す断面図、
図5図3のV−V矢視の正面図、
図6】コリメートレンズから位相変換アレイまでの光路上に遮蔽部材を設けた態様を示す断面図、
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示す本発明の実施の形態の画像投影装置10は、自動車に搭載されていわゆるヘッドアップディスプレイ装置として使用されている。
【0023】
画像投影装置10は、自動車1の車室内前方のダッシュボード2の内部に配置されている。画像投影装置10からウインドシールド3の投影領域3aにホログラム画像が投影される。この画像は、投影領域3aにおいて運転者4に向けて反射されるが、虚像5がウインドシールド3の前方に結像することで、運転者4にウインドシールド3の前方の画像を目視しているように感じさせることができる。
【0024】
図2に画像投影装置10の構成の概略が示されている。
画像投影装置10は光源装置11を有している。光源装置11にはレーザ光源12と、その発光路の前方に位置するコリメートレンズ13が設けられている。光源装置11の光路の前方に位相変換アレイ14が設けられている。位相変換アレイ14は、コリメートレンズ13の光軸O2に対して45度の角度で対向している。位相変換アレイ14の光路前方にフーリエ変換レンズ15とディフューザ16が配置され、さらに前方に投影光学系17が配置されている。前記フーリエ変換レンズ15とディフューザ16ならびに投影光学系17によって投影部が構成されている。
【0025】
図3に示すように、レーザ光源12はケースの内部に半導体レーザチップ12aが配置され、前方へレーザ光束が発せられる。図5図3のV−V矢視図)に模式的に示すように、半導体レーザチップ12aから発せられるレーザ光束B0は、断面が楕円または長円形状となって前方に向かってビーム径が徐々に広がる放射光束である。
【0026】
図3では、前記レーザ光束B0のうちのコリメートレンズ13の有効径内に入射する有効光束B1が示されている。前記有効光束B1はコリメートレンズ13によって焦点距離が無限大となる平行光束B2に変換される。図5に示すように、コリメートレンズ13の有効径の形状は矩形状であり、左右方向(図3の紙面垂直方向)に長辺が向く長方形である。そのため、コリメートレンズ13で変換された平行光束B2は、断面が長方形である。
【0027】
位相変換アレイ14は反射型であり、2つの基板の間に液晶材料が封入されている。2つの基板に設けられた電極の交叉部が変換ポイントであり、この変換ポイントが規則的に並んでいる。変換ポイントに与える電界によって、液晶層の結晶が液晶層の厚み方向へ傾き、これにより変換ポイントを通過したレーザ光の位相が変換される。隣り合う変換ポイントを通過した異なる位相のレーザ光の干渉により、表示したい画像の画素にレーザ光がドット状に集光させられ、所定のホログラム画像が生成される。
【0028】
位相変換アレイ14は、従来の液晶パネルやデジタルミラーデバイスなどのように、透過する光を画素ごとにON−OFFするものではなく、空間の光エネルギーを画素に集中させるものであるため、光エネルギーの効率が良く、コントラストが鮮明なホログラム画像を生成することができる。
【0029】
図2に示すように、位相変換アレイ14で反射され、フーリエ変換レンズ15を通過させられた変換光束B3はディフューザ16にデフォーカス(defocus)状態で結像される。ディフューザ16を経た拡散光B4は、投影光学系17で画像が調整されて調整光束B5となり、ウインドシールド3の投影領域3aに投影される。
【0030】
前記実施の形態では、光源装置11が1個のみ設けられて、単一の波長のレーザ光が位相変換アレイ14に入射されるが、例えばR(628nm)とG(515nm)の異なる波長のレーザ光を発生する2種の光源装置11が図2において上下に並んで配置されていてもよい。この場合に、それぞれのレーザ光源から発せられるレーザ光が個別に設けられたコリメートレンズ13によって断面が長方形の平行光に変換される。2つの波長のレーザ光の平行光束は、位相変換アレイ14の異なる領域に入射されて、R(赤)とG(緑)の2つの波長の光がそれぞれ画像を構成する画素にドット状に集中させられる。そしてRとGの二色が混合した映像を含むホログラム画像が生成される。
【0031】
さらには、R,G,Bのそれぞれの色相となる3種類の波長のレーザ光を発する3組の光源装置が使用されてもよい。
【0032】
図3に示すように、光源装置11では、レーザ光源12とコリメートレンズ13との間にアパーチャー形成部材20が配置されている。アパーチャー形成部材20は、ステンレスなどの金属材料で形成され、または合成樹脂材料で形成されている。
【0033】
アパーチャー形成部材20の内部に、複段の壁体が設けられている。この実施の形態では、レーザ光源12からコリメートレンズ13に向けて、第1の壁体21と第2の壁体22ならびに第3の壁体23の3段の壁体が設けられている。ただし、壁体の数は2以上であればいくつであってもよい。
【0034】
第1の壁体21の内縁部で第1のアパーチャー21aが形成され、第2の壁体22の内縁部で第2のアパーチャー22aが形成され、第3の壁体23の内縁部で第3のアパーチャー23aが形成されている。図5に示すように、第1と第2ならびに第3のアパーチャー21a,22a,23aは、コリメートレンズ13の有効径の長方形と相似の長方形状である。
【0035】
図3では、レーザ光源12からコリメートレンズ13の有効径の範囲に入る有効光束B1の外面が符号B1aで示されている。さらに、第1のアパーチャー21aと外面B1aとの距離がL1、第2のアパーチャー22aと外面B1aとの距離がL2、第3のアパーチャー23aとの外面B1aとの距離がL3で示されている。これらの距離L1,L2,l3は、有効光束B1の光軸O1と垂直な向きに測定した距離である。そして、距離L1、距離L2、距離L3の順番で段階的に短くなっている(L1>L2>L3)。
【0036】
図3に、レーザ光源12の発光点から第1のアパーチャー(内縁部)21aに至る第1の仮想面αと、発光点から第2のアパーチャー(内縁部)22aに至る第2の仮想面βと、発光点から第3のアパーチャー(内縁部)23aに至る第3の仮想面γが示されている。仮想面α,β,γは、レーザ光源12から発せられるレーザ光束B0の一部の光成分の放射進行路を意味している。
【0037】
第1の壁体21のレーザ光源12に向く第1の対向面21bと前記仮想面αとが成す角度は、90度±20度以下である。同様に、第2の壁体22のレーザ光源12に向く第2の対向面22bと前記仮想面βとが成す角度、ならびに第3の壁体23のレーザ光源12に向く第3の対向面23bと前記仮想面γとが成す角度も90度±20度である。これら角度は90度±10度以下であることがさらに好ましい。最も好ましくは、前記角度は、図3に示すように90度である。
【0038】
それぞれの壁体21,22,23の前記対向面21b,22b,23bと光軸O1に垂直な面とが成す角度θ1,θ2,θ3は、θ1,θ2,θ3の順で小さくなっている(θ1>θ2>θ3)。
【0039】
前記壁体21,22,23の前記対向面21b,22b,23bは、光反射防止構造または光吸収構造を有している。例えば、対向面21b,22b,23bが、細かな凹凸を有する光散乱面を有している。または、対向面21b,22b,23bに、薄膜を積層した反射防止膜が形成され、あるいは、カーボンを含んで光を吸収し熱エネルギーに変換する光吸収膜が形成されている。
【0040】
図3に示す光源装置11では、レーザ光源12から発せられるレーザ光束B0が、複段のアパーチャー21a,22a,23aで段階的に絞られて、コリメートレンズ13に与えられるため、有効光束B1よりも外側の光成分が迷光としてコリメートレンズ13に入り込むのを防止できる。
【0041】
特に、有効光束B1の外面B1aと、複段のアパーチャー21a,22a,23aとの距離が、L1、L2、L3の順番で段階的に短くなっている(L1>L2>L3)ため、第1のアパーチャー21aで回折を受けるなどした迷光を第2のアパーチャー22aで遮光しやすくなり、さらに、第2のアパーチャー22aで回折を受けるなどした迷光を第3のアパーチャー23aで遮光しやすくなる。
【0042】
また、有効光束B1の外側の仮想面αに沿って放射進行する光成分は、第1の対向面21bのうちの第1のアパーチャー21aに近接する領域へ90度に近い角度で入射するため、反射防止膜や光吸収膜に光が吸収されやすく、さらにレーザ光源12への戻り光以外の方向への乱反射が生じにくくなる。これは、仮想面βに沿って放射進行する光成分と第2のアパーチャー22aとの関係、ならびに仮想面γに沿って放射進行する光成分と第3のアパーチャー23aとの関係においても同じである。
【0043】
前記アパーチャー形成部材20を有しているため、コリメートレンズ13に対して有効光束B1の放射角度と異なる角度で入射する迷光を制限でき、コリメートレンズ13で変換された平行光束B2に、光軸O2と平行とならない迷光成分が重畳するのを抑制できるようになる。
【0044】
コリメートレンズ13の側面(4つの側面)13aも、光反射防止構造または光吸収構造を有している。側面13aにこの構造を持たせることになり、コリメートレンズ13を通過する光が側面13aで内部反射される現象を低減でき、この反射光による迷光が、平行光束B2に入り込むのを抑制できるようになる。
【0045】
図4に示すように、コリメートレンズ13と位相変換アレイ14との間に、第2のアパーチャー形成部材30が設けられている。
【0046】
第2のアパーチャー形成部材30は、複段の壁体31,32,33,34を有し、それぞれの壁体31,32,33,34の内縁部がアパーチャー31a,32a,33a,34aとなっている。アパーチャー31a,32a,33a,34aの開口形状は、平行光束B2の断面と相似の長方形である。それぞれのアパーチャー31a,32a,33a,34aと、平行光束B2の外面B2aとの、光軸O2と垂直な面方向での距離La,Lb,Lc,Ldは、La,Lb,Lc,Ldの順で短くなっている(La>Lb>Lc>Ld)。
【0047】
また、それぞれの壁体31,32,33,34のコリメートレンズ13に向く対向面31b,32b,33b,34bは、光反射防止構造または光吸収構造を有している。
【0048】
コリメートレンズ13と位相変換アレイ14との間に、複段のアパーチャー31a,32a,33a,34aが設けられ、これらアパーチャーと平行光束B2の外面B2aとの距離をLa>Lb>Lc>Ldの関係とすることにより、コリメートレンズ13と位相変換アレイ14との間の光路で発生する迷光が位相変換アレイ14に入射するのを抑制できるようになる。
【0049】
位相変換アレイ14は、複数の変換ポイントにおいて液晶材料の光軸方向への倒れを制御することで、この変換ポイントを通過する光の位相を変化させられる。隣り合う変換ポイントを通過した異なる位相の光成分が干渉し、表示したい画像の画素にレーザ光がドット状に集光させられてホログラム画像が生成される。そのため、それぞれの変換ポイントへ入射する光に予め決められた入射角度と大きく相違する入射角度となる迷光が入り込むと、ホログラム画像にゴーストが現れるなどして表示品質を低下させることになる。
【0050】
図3図4に示す実施の形態では、アパーチャー形成部材20,30を設けることによって、前記迷光が進行するのを抑制でき、ホログラム画像の表示品質を向上させることが可能である。
【0051】
図6に示すように、図4に示す第2のアパーチャー形成部材30を使用しない場合には、コリメートレンズ13と位相変換アレイ14に至る平行光束B2の外面B2aの外側に比較的広いスペースを確保することで、迷光が位相変換アレイ14に入射するのを抑制することが可能である。
【0052】
図6では、平行光束B2の外側に角筒形状の遮蔽部材40が設けられている。この場合には、平行光束B2の外面B2aと、遮蔽部材40の内面40aとの間の光軸O2に垂直な面方向での距離Sを次のように設定することで、平行光束B2に迷光が入り込むのを抑制しやすくなる。
【0053】
図6に示すように、平行光束B2の外面B2aにおける光強度をピーク値Pとするガウシアン強度分布Gを、前記外面B2aに中心が位置するように想定する。このときに、前記距離Sは、ガウシアン強度分布においてピーク値Pから光強度が−20dBよりも低下した位置に内面40aが位置するように設定される。
【0054】
平行光束B2の外面B2aでの光強度に対して20dBよりも低下した位置に内面40aなどが位置することにより、この内面40aなどで反射される光の強度を低くでき、強度の大きい迷光が位相変換アレイ14に入り込むのを抑制できるようになる。また、複数の異なる光源を前記位相変換アレイに投影する用途に適応しやすくなる。
【符号の説明】
【0055】
1 自動車
3 ウインドシールド
3a 投影領域
4 運転者
10 画像投影装置
11 光源装置
12 レーザ光源
13 コリメートレンズ
14 位相変換アレイ
20 アパーチャー形成部材
21,22,23 壁体
21a,22a,23a アパーチャー
21b,22b,23b 対向面
30 第2のアパーチャー形成部材
31,32,33 壁体
31a,32a,33a アパーチャー
31b,32b,33b 対向面
40 遮蔽部材
B0 レーザ光束
B1 有効光束
B1a 外面
B2 平行光束
B2a 外面
O1,O2 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6