特許第6068324号(P6068324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6068324非晶質薬物の経皮系、製造方法、および安定化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6068324
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】非晶質薬物の経皮系、製造方法、および安定化
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/70 20060101AFI20170116BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20170116BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20170116BHJP
   A61K 31/216 20060101ALI20170116BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   A61K9/70 401
   A61K47/32
   A61K47/34
   A61K31/216
   A61P13/10
【請求項の数】4
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2013-254188(P2013-254188)
(22)【出願日】2013年12月9日
(62)【分割の表示】特願2009-554528(P2009-554528)の分割
【原出願日】2008年3月11日
(65)【公開番号】特開2014-65727(P2014-65727A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2014年1月8日
(31)【優先権主張番号】11/725,159
(32)【優先日】2007年3月16日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506053216
【氏名又は名称】マイラン・テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(72)【発明者】
【氏名】タン,ジャンシェン
(72)【発明者】
【氏名】ディヴァリッチ,ジョゼフ・エム
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ケネス・ジェイ,ザ・セカンド
(72)【発明者】
【氏名】ベステ,ラッセル・ディー
【審査官】 伊藤 清子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−513195(JP,A)
【文献】 特表2002−536403(JP,A)
【文献】 特表2002−504070(JP,A)
【文献】 特開昭63−093714(JP,A)
【文献】 特表2000−505061(JP,A)
【文献】 特開2004−083523(JP,A)
【文献】 特開昭64−066113(JP,A)
【文献】 特表2004−514738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/70
A61K 31/216
A61K 47/32
A61K 47/34
A61P 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリエステルフィルム、シリコーンコーティングされたポリエステルフィルム、シリコーンコーティングされたポリオレフィンフィルムからなる群から選択される非晶質化誘導性バッキング層であって、結晶化核もしくは結晶化種粒子を含んでいないバッキング層と、
b)接着剤材料とオキシブチニンとからなる接着剤マトリックスを含む接着剤マトリックス層であって、前記オキシブチニンが過飽和濃度で前記接着剤マトリックスに溶解または分散されており、前記オキシブチニンが非晶質形にある、接着剤マトリックス層と、
c)非晶質化誘導性剥離ライナーであって、結晶化核もしくは結晶化種粒子を含んでおらず、前記接着剤マトリックス層よりも大きい前記剥離ライナーと
を含む経皮送達デバイス。
【請求項2】
前記オキシブチニンの濃度が、前記接着剤マトリックス内の前記オキシブチニンの溶解度の10%〜1000%超である請求項に記載の経皮送達デバイス。
【請求項3】
前記剥離ライナーが、前記接着剤マトリックス層より0.1mm〜20mm大きい請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
a)ポリエステルフィルム、シリコーンコーティングされたポリエステルフィルム、シリコーンコーティングされたポリオレフィンフィルムからなる群から選択される非晶質化誘導性バッキング層であって、結晶化核もしくは結晶化種粒子を含んでいないバッキング層と、
b)接着剤材料とオキシブチニンとからなる接着剤マトリックスを含む接着剤マトリックス層であって、前記オキシブチニンが、前記オキシブチニンの溶解度の0.1%〜10000%超の過飽和濃度で前記接着剤マトリックスに溶解または分散されており、前記オキシブチニンが非晶質形にある、接着剤マトリックス層と、
c)非晶質化誘導性剥離ライナーであって、結晶化核もしくは結晶化種粒子を含んでいない剥離ライナーと
を含む経皮送達デバイスであって、
少なくとも179μg/cmの皮膚流束を与える経皮送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2007年3月16日に出願された、その開示が参照して本明細書に組み込
まれる「Amorphous Drug Transdermal Systems,M
anufacturing Methods,and Stabilization」と
題する米国特許出願第11/725,159号明細書の利益を主張する。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、経皮薬物送達系に関する。
【背景技術】
【0003】
皮膚を通しての薬物の送達は、多数の利点を提供する。主として、これは薬物を投与す
るために快適で便宜的かつ非侵襲性方法である。さらに、そのような送達手段は、持続的
療法および血中薬物濃度の高度の制御を提供する。
【0004】
米国特許第5,164,190号明細書は、薬物が担体中に飽和濃度の20%〜80%
の濃度で溶解させられる拡散機序による疎水性薬物の経皮投与を開示している。しかしこ
の特許は、薬物が過飽和している、および薬物の過飽和部分が接着剤マトリックス内非晶
質薬物(amorphous drug−in−adhesive matrix)中に
存在する非晶質薬物経皮送達系を提案することはできていない。
【0005】
米国特許第4,409,206号明細書は、その中に包埋された非晶質医薬活性成分を
含むポリアクリレートフィルムの形態にある製剤を開示している。しかしこの特許は、接
着剤マトリックス内の過飽和濃度の非晶質薬物を含有する経皮送達デバイスもしくは経皮
送達系は開示していない。
【0006】
米国出願公開第2005/0064022号明細書は、非晶質テラゾシンを含むデバイ
スについて記載している。より詳細には、この米国出願公開第2005/0064022
号明細書は、皮膚へ非晶質テラゾシンを投与するための経皮治療系であって、バッキング
層と、感圧接着剤リザーバ層および/またはマトリックス層と、任意で取外し可能な保護
層とを含む経皮治療系を開示している。
【0007】
米国出願公開第2005/0175678(A1)号明細書は、ロチゴチンを経皮投与
するために適したポリマーマトリックスおよびこれを調製する方法に関する。ポリマーマ
トリックスは、マトリックスポリマー内には溶解されないロチゴチンの一部が非晶質粒子
としてマトリックス内に分散しているように、過飽和量のロチゴチン塩基を含有している
。この米国出願公開第2005/0175678(A1)号明細書は、マトリックスがロ
チゴチンを経皮投与するための系の成分であってよいことをさらに開示しており、このと
き前記系は保護層と、バッキング層と、また別のポリマー層と、および/または、ロチゴ
チンの放出を制御する膜などの構成要素を有していてよい。
【0008】
米国特許第6,902,741号明細書は、親水性非架橋ポリマー中に性ホルモンの包
含物を含有する、性ホルモン含有接着剤マトリックスを含む経皮系に関する。包含物中に
含有されている活性物質は、好ましくは活性物質の50質量%を超える程度まで非晶質で
ある。活性物質含有ラミネートは、活性物質包含物が溶解形態もしくは分散形態にある接
着剤マトリックス内に含有されていることを特徴とする。
【0009】
薬物が過飽和している経皮系を製造する様々な方法は公知である。米国特許第4,40
9,206号明細書、米国特許第4,490,322号明細書、米国特許第4,797,
284号明細書、米国特許第4,880,633号明細書、米国特許第5,352,45
7号明細書、米国特許第5,869,089号明細書、米国特許第5,906,830号
明細書、米国特許第6,153,216号明細書、米国特許第6,156,335号明細
書、および米国特許第6,623,763号明細書は、経皮系を製造する方法を記載して
いる。米国特許第4,490,322号明細書は、溶媒中で医薬品および凍結乾燥させた
ラテックスポリアクリレートコポリマーの溶液を形成する工程によって長期経皮投与する
ためのポリアクリレートフィルムを製造する方法を開示している。米国特許第5,906
,830号明細書は、過飽和経皮系を製造する方法であって、未溶解薬物およびリザーバ
マトリックス材料の混合物を規定温度まで加熱し、その後に冷却する工程を含む方法を開
示している。しかしこれらの参考文献は、非晶質形にある活性物質を含有する安定性経皮
デバイスを作成する方法は開示できていない。
【0010】
最後に、過飽和溶液を含む薬物送達デバイスが遭遇する1つの問題は、結晶化プロセス
に起因する不十分な貯蔵安定性である。そのような結晶化プロセスは、溶解薬物の量の減
少、および結晶状態で存在する薬物の量の増加を生じさせるので、そこでそのような過飽
和したデバイスの有効性が減少する。経皮送達デバイスにおける結晶化プロセスを防止す
るため、および治療的に所望の用量を継続的に投与できるようにするために、通常は結晶
化阻害剤が任意の送達デバイスに加えられる。米国特許第6,465,005号明細書、
米国特許第5,676,968号明細書、米国特許第6,440,454号明細書および
米国特許第6,537,576号明細書は、そのような結晶化阻害剤を利用する方法につ
いて記載している。しかし、非接着性結晶化阻害剤の添加は、その接着性を減少させるこ
とによって、またはその系をより軟質にさせることによって、接着剤の接着特性を変化さ
せる。したがって、先行技術は、接着剤マトリックス内非晶質薬物送達デバイスを安定化
させる方法を提案することはできていない。さらに、先行技術は、接着剤内非晶質薬物送
達デバイスを再確立する方法を提案することはできていない。
【発明の概要】
【0011】
本発明によると、バッキング層と、接着剤マトリックス内で実質的に非晶質形にある過
飽和濃度の少なくとも1つの活性物質を含む接着剤マトリックス層と、剥離ライナーとを
含む経皮送達デバイスが見いだされている。本発明のまた別の実施形態によると、活性物
質は、経皮送達デバイス内の非晶質形で提供することのできる任意の医薬活性成分であっ
てよい。本発明のまた別の実施形態によると、活性物質は、接着剤マトリックス層の約0
.1質量%〜約50質量%、好ましくは接着剤マトリックス層の約1質量%〜約20質量
%の量で存在している。本発明のまた別の実施形態によると、活性物質の濃度は、接着剤
マトリックス内の活性物質の溶解度の約0.1%〜約1,000%超である。
【0012】
本発明のまた別の実施形態によると、バッキング層および剥離ライナーは、実質的に非
晶質化誘導性であり、結晶化核もしくは結晶化種粒子を含んでいない。バッキング層は、
ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、金属フィルム、金属化ポリエステルフィ
ルム、ナイロンフィルム、ポリエステルに積層させたエチレンビニルアセテートフィルム
、金属化ポリエステルに積層させたエチレンビニルアセテートフィルム、フッ化ポリビニ
リデンフィルム、シリコーンコーティングされたポリエステルフィルム、シリコーンコー
ティングされたポリオレフィンフィルム、および、シリコーンコーティングされたエチル
ビニルアセテートフィルムからなる群から選択される。剥離ライナーは、ポリエステルラ
イナー、ポリウレタンライナー、シリコーンコーティングを備えるポリエステルライナー
、シリコーンコーティングを備えるポリウレタンライナー、フルオロシリコーンコーティ
ングを備えるポリエステルライナー、フルオロシリコーンコーティングを備えるポリウレ
タンライナー、シリコーンコーティングされたポリエステルライナー、シリコーンコーテ
ィングされたポリウレタンライナー、フルオロポリマーコーティングを備えるポリエステ
ルライナー、および、フルオロポリマーコーティングを備えるポリウレタンライナーから
なる群から選択される。
【0013】
本発明のまた別の実施形態によると、バッキング層および/または剥離ライナーのうち
の少なくとも1つは、接着剤マトリックス層より大きい。本発明のまた別の実施形態によ
ると、バッキング層および/または剥離ライナーのうちの少なくとも1つは、接着剤マト
リックス層と同一サイズである。
【0014】
本発明のまた別の実施形態によると、接着剤マトリックス層は、ポリイソブチレン、ポ
リシロキサン、アクリル接着剤、天然および合成ゴム接着剤、ならびにそれらの混合物か
らなる群から選択される接着剤材料を含む。本発明のまた別の実施形態によると、接着剤
材料は、接着剤マトリックスの約50質量%〜約99質量%、好ましくは接着剤マトリッ
クス層の約60質量%〜約90質量%の量で存在している。
【0015】
本発明のまた別の実施形態によると、接着剤マトリックス層は、1つ以上の粘着付与剤
をさらに含む。1つ以上の粘着付与剤は、ポリブテン類、鉱油類、およびポリシロキサン
類からなる群から選択される。
【0016】
本発明のまた別の実施形態によると、接着剤マトリックス層は、1つ以上の粘着強化剤
をさらに含む。1つ以上の粘着強化剤は、コロイド状二酸化ケイ素、酸化亜鉛、ポリビニ
ルピロリドン、アクリレートコポリマー、クロスポビドン、ベントナイト類、粘土類、お
よびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0017】
本発明のまた別の実施形態によると、接着剤マトリックス層は、1つ以上の流束強化剤
をさらに含む。1つ以上の流束強化剤は、プロピレングリコール、ブチレングリコール、
ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、プロピルパルミテート、イソプロピル
パルミテート、プロピルミリステート、グリセロールモノエステル類、ペンダデカノール
、ペンダデカラクトン、オクタデカノール、オレイルアルコール、プロピレングリコール
モノエステル類、ポリエチレングリコールモノエステル類、オレイン酸からなる群から選
択される。
【0018】
本発明のまた別の実施形態によると、経皮送達デバイスは、薬物放出調節膜層およびリ
ザーバ層をさらに含む。本発明のまた別の実施形態によると、薬物放出調節膜層および/
またはリザーバ層のうちの少なくとも1つは、1つ以上の活性物質を含有している。
【0019】
本発明によると、バッキング層と、接着剤マトリックス内で実質的に非晶質形にある過
飽和濃度のオキシブチニンを含む接着剤マトリックス層と、剥離ライナーとを含む経皮送
達デバイスが見いだされている。本発明のまた別の実施形態によると、オキシブチニンは
、接着剤マトリックスの約0.1質量%〜約50質量%の量で存在しており、好ましくは
その量は接着剤マトリックスの約1質量%〜約20質量%である。本発明のまた別の実施
形態によると、オキシブチニンの濃度は接着剤マトリックス内のオキシブチニンの溶解度
の約0.1%〜約10,000%超であり、好ましくはオキシブチニンの濃度は接着剤マ
トリックス内のオキシブチニンの溶解度の約5%〜約5,000%超であり、最も好まし
くはオキシブチニンの濃度は接着剤マトリックス内のオキシブチニンの溶解度の約10%
〜約1,000%超である。
【0020】
本発明のまた別の実施形態によると、バッキング層および剥離ライナーは、実質的に非
晶質化誘導性であり、結晶化核もしくは結晶化種粒子を含んでいない。バッキング層は、
ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、金属フィルム、金属化ポリエステルフィ
ルム、ナイロンフィルム、ポリエステルに積層させたエチレンビニルアセテートフィルム
、金属化ポリエステルに積層させたエチレンビニルアセテートフィルム、フッ化ポリビニ
リデンフィルム、シリコーンコーティングされたポリエステルフィルム、シリコーンコー
ティングされたポリオレフィンフィルム、およびシリコーンコーティングされたエチルビ
ニルアセテートフィルムからなる群から選択される。剥離ライナーは、ポリエステルライ
ナー、ポリウレタンライナー、シリコーンコーティングを備えるポリエステルライナー、
シリコーンコーティングを備えるポリウレタンライナー、フルオロシリコーンコーティン
グを備えるポリエステルライナー、フルオロシリコーンコーティングを備えるポリウレタ
ンライナー、シリコーンコーティングされたポリエステルライナー、シリコーンコーティ
ングされたポリウレタンライナー、フルオロポリマーコーティングを備えるポリエステル
ライナー、およびフルオロポリマーコーティングを備えるポリウレタンライナーからなる
群から選択される。
【0021】
本発明のまた別の実施形態によると、バッキング層および剥離ライナーのうちの少なく
とも1つは、接着剤マトリックス層より大きい。
【0022】
本発明のまた別の実施形態によると、接着剤マトリックスは、ポリイソブチレン、ポリ
シロキサン、アクリル接着剤、天然および合成ゴム接着剤、ならびにそれらの混合物から
なる群から選択される接着剤材料を含む。本発明のまた別の実施形態によると、接着剤材
料は、接着剤マトリックスの約50質量%〜約99質量%の量で、好ましくは接着剤マト
リックス層の約60質量%〜約90質量%の量で存在している。
【0023】
本発明のまた別の実施形態によると、接着剤マトリックス層は、1つ以上の粘着付与剤
をさらに含む。
【0024】
本発明のまた別の実施形態によると、接着剤マトリックス層は、1つ以上の粘着強化剤
をさらに含む。
【0025】
本発明のまた別の実施形態によると、接着剤マトリックス層は、1つ以上の流束強化剤
をさらに含む。
【0026】
本発明のまた別の実施形態によると、経皮デバイスは、薬物放出調節膜層および/また
はリザーバ層をさらに含む。
【0027】
本発明によると、バッキング層と、接着剤マトリックス内で実質的に非晶質形にある過
飽和濃度の少なくとも1つの活性物質を含む接着剤マトリックス層と、剥離ライナーとを
含む経皮送達デバイスであって、このとき前記活性物質は、ピロキシカム、フェンタニル
、ナルトレキソン、スコポラミンおよびステロイドからなる群から選択される経皮送達デ
バイスが見いだされている。本発明のまた別の実施形態によると、ステロイドは、エスト
ロゲン類、プロゲストゲン類、テストステロン、ノルゲストレル、酢酸ノルエチンドロン
、酢酸メドロキシプロゲステロン、レボノルゲストレル、およびノルエルゲストロミンか
らなる群から選択される。本発明のまた別の実施形態によると、活性物質は、接着剤マト
リックスの約0.1質量%〜約50質量%の量で存在している。本発明のまた別の実施形
態によると、活性物質の濃度は、接着剤マトリックス内の活性物質の溶解度の約0.1%
〜約10,000%超である。
【0028】
本発明のまた別の実施形態によると、バッキング層および剥離ライナーは、実質的に非
晶質化誘導性であり、結晶化核もしくは結晶化種粒子を含んでいない。バッキング層は、
ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、金属フィルム、金属化ポリエステルフィ
ルム、ナイロンフィルム、ポリエステルに積層させたエチレンビニルアセテートフィルム
、金属化ポリエステルに積層させたエチレンビニルアセテートフィルム、フッ化ポリビニ
リデンフィルム、シリコーンコーティングされたポリエステルフィルム、シリコーンコー
ティングされたポリオレフィンフィルム、およびシリコーンコーティングされたエチルビ
ニルアセテートフィルムからなる群から選択される。剥離ライナーは、ポリエステルライ
ナー、ポリウレタンライナー、シリコーンコーティングを備えるポリエステルライナー、
シリコーンコーティングを備えるポリウレタンライナー、フルオロシリコーンコーティン
グを備えるポリエステルライナー、フルオロシリコーンコーティングを備えるポリウレタ
ンライナー、シリコーンコーティングされたポリエステルライナー、シリコーンコーティ
ングされたポリウレタンライナー、フルオロポリマーコーティングを備えるポリエステル
ライナー、およびフルオロポリマーコーティングを備えるポリウレタンライナーからなる
群から選択される。
【0029】
本発明のまた別の実施形態によると、バッキング層および剥離ライナーのうちの少なく
とも1つは、接着剤マトリックス層より大きい。
【0030】
本発明のまた別の実施形態によると、接着剤マトリックスは、ポリイソブチレン、ポリ
シロキサン、アクリル接着剤、天然および合成ゴム接着剤、ならびにそれらの混合物から
なる群から選択される接着剤材料を含む。本発明のまた別の実施形態によると、接着剤材
料は、接着剤マトリックスの約50質量%〜約99質量%、好ましくは接着剤マトリック
ス層の約60質量%〜約90質量%の量で存在している。
【0031】
本発明のまた別の実施形態によると、接着剤マトリックス層は、1つ以上の粘着付与剤
をさらに含む。
【0032】
本発明のまた別の実施形態によると、接着剤マトリックス層は、1つ以上の粘着強化剤
をさらに含む。
【0033】
本発明のまた別の実施形態によると、接着剤マトリックス層は、1つ以上の流束強化剤
をさらに含む。
【0034】
本発明のまた別の実施形態によると、経皮デバイスは、薬物放出調節膜層および/また
はリザーバ層をさらに含む。本発明によると、過飽和していて非晶質形で存在する少なく
とも1つの活性物質を含有する接着剤マトリックスを調製する方法であって、a)接着剤
マトリックス溶液中で亜飽和濃度にある活性物質を提供できる量で、溶媒中に前記活性物
質および接着剤ポリマーを溶解させる工程と、b)前記接着剤マトリックス溶液中の前記
亜飽和活性物質を剥離ライナーおよびバッキング層の1つへキャスティングする工程と、
c)前記活性物質が過飽和濃度にある乾燥接着剤マトリックスを形成するために、前記活
性物質の融点、融点より低い、または融点より高い温度で前記溶媒を除去する工程と、d
)前記乾燥接着剤マトリックス内の前記過飽和活性物質が前記剥離ライナーおよび前記バ
ッキング層の間にあるように、前記乾燥接着剤マトリックス内の前記過飽和活性物質へ前
記剥離ライナーおよび前記バッキングフィルムの他方を積層させる工程とを含む方法が見
いだされている。本発明のまた別の実施形態によると、前記活性物質は、前記活性物質が
テラゾシンまたはロチゴチンではないことを前提に、経皮送達デバイス内に非晶質形で含
めることのできる任意の医薬活性成分から選択することができる。本発明のまた別の実施
形態によると、活性物質は、オキシブチニン、ピロキシカム、フェンタニル、ナルトレキ
ソン、スコポラミン、または1つのステロイドからなる群から選択される。
【0035】
本発明のまた別の実施形態によると、剥離ライナーおよびバッキング層は、非晶質化誘
導性であり、結晶化核もしくは結晶化種粒子を含んでいない。本発明のまた別の実施形態
によると、接着剤マトリックス内の過飽和活性物質は、溶解している、または溶解してい
ないが、乾燥接着剤マトリックス内の液体もしくは固体粒子として分散している1つ以上
の添加物をさらに含む。本発明のまた別の実施形態によると、1つ以上の添加物は、透過
強化剤、結晶成長阻害剤、粘着付与剤、粘着強化剤、可塑剤、および酸化防止剤からなる
群から選択される。本発明のまた別の実施形態によると、1つ以上の添加物は、接着剤マ
トリックスの約1質量%〜約50質量%の量で存在している。本発明のまた別の実施形態
によると、1つ以上の添加物は、接着剤マトリックスの約2質量%〜約25質量%の量で
存在している。本発明のまた別の実施形態によると、溶媒は、活性物質および接着剤を溶
解させるために必要な量の約1%〜約200%超の量で存在している。
【0036】
本発明のまた別の実施形態によると、溶媒は、ヘプタン、酢酸エチル、トルエン、キシ
レン、イソプロパノール、およびエタノールからなる群から選択される。
【0037】
本発明のまた別の実施形態によると、活性物質は接着剤マトリックス層の約0.1質量
%〜約50質量%の量で存在しており、好ましくは活性物質は接着剤マトリックス層の約
1質量%〜約20質量%の量で存在している。
【0038】
本発明のまた別の実施形態によると、接着剤マトリックス材料は、接着剤マトリックス
層の約50質量%〜約99質量%の量で存在しており、好ましくは接着剤マトリックス材
料は接着剤マトリックス層の約60質量%〜約90質量%の量で存在している。
【0039】
本発明によると、過飽和していて非晶質形で存在する少なくとも1つの活性物質を含有
する接着剤マトリックスを調製する方法であって、a)前記活性物質を接着剤マトリック
スと過飽和濃度で混合する工程と、b)ホットメルトを作成するために、前記接着剤マト
リックス内の前記過飽和濃度の活性物質を、前記活性物質が完全に溶解されて前記接着剤
マトリックス内に一様に分散することを可能にする温度へ加熱する工程と、c)前記ホッ
トメルトを規定温度で剥離ライナーおよびバッキング層の1つへキャスティングする工程
と、d)前記ホットメルトが前記剥離ライナーおよび前記バッキング層の間にあるように
、前記剥離ライナーおよび前記バッキング層の他方を前記ホットメルトへ積層させる工程
とを含む方法が見いだされている。本発明のまた別の実施形態によると、前記活性物質は
、前記活性物質がテラゾシンまたはロチゴチンではないことを前提に、経皮送達デバイス
内に非晶質形で含めることのできる任意の医薬活性成分から選択することができる。本発
明のまた別の実施形態によると、活性物質は、オキシブチニン、ピロキシカム、フェンタ
ニル、ナルトレキソン、スコポラミン、または1つのステロイドからなる群から選択され
る。
【0040】
本発明のまた別の実施形態によると、剥離ライナーおよびバッキング層は、非晶質化誘
導性であり、結晶化核もしくは結晶化種粒子を含んでいない。本発明のまた別の実施形態
によると、前記ホットメルトは、接着剤マトリックス内に溶解している、または溶解して
いないが分散している1つ以上の添加物をさらに含む。本発明のまた別の実施形態による
と、1つ以上の添加物は、透過強化剤、結晶成長阻害剤、粘着付与剤、粘着強化剤、可塑
剤、および酸化防止剤からなる群から選択される。本発明のまた別の実施形態によると、
1つ以上の添加物は、接着剤マトリックスの約1質量%〜約50質量%の量で存在してい
る。
【0041】
本発明のまた別の実施形態によると、1つ以上の添加物は、接着剤マトリックスの約2
質量%〜約25質量%の量で存在している。本発明のまた別の実施形態によると、活性物
質は接着剤マトリックスの約0.1質量%〜約50質量%の量で存在しており、好ましく
は活性物質は接着剤マトリックスの約1質量%〜約20質量%の量で存在している。
【0042】
本発明のまた別の実施形態によると、接着剤マトリックスは、接着剤マトリックス層の
約50質量%〜約99質量%の量で存在しており、好ましくは接着剤マトリックスは接着
剤マトリックス層の約60質量%〜約90質量%の量で存在している。
【0043】
本発明のまた別の実施形態によると、バッキング層と、接着剤マトリックス層中で実質
的に非晶質形にある過飽和濃度の活性物質を有する接着剤マトリックス層と、剥離ライナ
ーとを有する、経皮薬物送達デバイスの好ましい内部接着剤マトリックス環境を再確立す
る方法であって、前記経皮送達デバイスを硬化させる工程を含む方法が見いだされている
。本発明のまた別の実施形態によると、活性物質は、経皮送達デバイス内に非晶質形で含
めることのできる任意の医薬活性成分から選択することができる。本発明のまた別の実施
形態によると、活性物質は、オキシブチニン、ピロキシカム、フェンタニル、ナルトレキ
ソン、スコポラミン、または1つのステロイドからなる群から選択される。
【0044】
本発明のまた別の実施形態によると、熱硬化させる工程は、経皮送達デバイスを、薬物
が完全に溶解する温度、または活性物質の融点の約20℃超の温度へ加熱する工程を含む
【0045】
本発明のまた別の実施形態によると、硬化させる工程は、デバイスにオーブンの赤外線
ビームを受けさせる工程を含む。本発明のまた別の実施形態によると、硬化させる工程は
、約1秒間〜約10分間の範囲内、好ましくは約3秒間〜約5分間の範囲内、最も好まし
くは約5秒間〜約60秒間の範囲内の期間にわたって実行される。
【0046】
本発明のまた別の実施形態によると、バッキング層と、接着剤マトリックス層中で実質
的に非晶質形にある過飽和濃度の少なくとも1つの活性物質を含む接着剤マトリックス層
と、剥離ライナーとを有する、経皮送達デバイスを貯蔵および保護する方法であり、この
とき前記方法は前記経皮送達デバイスをパウチ内に包装する工程を含む。パウチは、剥離
ライナーと同一サイズまたは剥離ライナーより大きくてよい。パウチは、紙、ポリマーフ
ィルム、金属箔、または任意のそれらの組み合わせから構成されてよい。
【0047】
貯蔵温度での活性物質の非晶質形の安定性は、前記活性物質のガラス転移温度(T
ならびにガラス転移温度と貯蔵温度との差に左右される。本出願人らは、高いTを有す
る活性物質の非晶質形は、低いTを有する活性物質の非晶質形より安定性であることを
見いだした。
【0048】
詳細には、本出願人らは、オキシブチニン、フェンタニル、およびスコポラミンの非晶
質形のTは極めて低い(通常の20℃〜25℃の貯蔵温度より低い)ことを見いだした
。例えば、本出願人らは、オキシブチニンの非晶質形のガラス転移温度が室温より約40
℃〜約45℃低い約−20℃であることを見いだした。他方、テラゾシンおよびロチゴチ
ンのガラス転移温度は、通常の貯蔵温度より高い。したがって、オキシブチニン、フェン
タニル、およびスコポラミンの非晶質形は、テラゾシンまたはロチゴチンの非晶質形より
安定化させるのが困難である。
【0049】
さらに、本出願人らは、接着剤内非晶質薬物は亜飽和溶液中の1つ以上の活性物質の結
晶形を含有する経皮送達デバイスに比較して高い皮膚流束を提供することを見いだした。
さらに、本出願人らは、経皮送達デバイス中で非晶質形で安定化させるのが典型的には極
めて困難である非晶質形の活性物質を組み込んでいる経皮送達デバイスを形成する方法を
見いだした。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の1つの実施形態は、バッキング層と、接着剤マトリックス内で実質的に非晶質
形にある過飽和濃度の少なくとも1つの活性物質を含む接着剤マトリックス層と、剥離ラ
イナーとを含む経皮送達デバイスである。
【0051】
本明細書で使用する「経皮的」は、皮膚もしくは粘膜組織内への、そしてそれらを貫通
する通過による薬物の送達を意味する。そこで用語「経皮的」および「経粘膜」は、他の
場所で詳細に規定されない限り互換的に使用される。同様に用語「皮膚」、「真皮」、「
表皮」、「粘膜」などもまた、他の場所で詳細に規定されない限り互換的に使用すべきで
ある。
【0052】
バッキング層は、薬物送達の意図される方向から離れる活性薬移動に対する障壁を提供
する柔軟性基質である。本発明においては、この目的を満足する任意の周知のバッキング
層を使用できる。
【0053】
好ましくは、バッキング層は、実質的に非晶質化促進性であって結晶化核を含んでいな
い材料から構成される。そのようなバッキング層は、結晶形成を防止することによって接
着剤マトリックス内非晶質薬物の貯蔵に役立つ。バッキング層が構成されてよい材料の例
には、ポリエチレンテレフタレート、様々なナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、
ポリエステル/エチレン−ビニルアセテート、金属化ポリエステルフィルム、塩化ポリビ
ニリデン、例えばアルミニウム箔などの金属フィルム、フッ化ポリビニリデンフィルム、
またはそれらの混合物もしくはコポリマーが含まれる。
【0054】
その他のバッキング層には、ポリエステルへ積層させたエチレンビニルアセテートフィ
ルム、金属化ポリエステルへ積層させたエチレンビニルアセテートフィルム、Mylan
Technologies社から入手できるMediflex(登録商標)1200、
Mylan Technologies社から入手できるMediflex(登録商標)
1501、Mylan Technologies社から入手できるMediflex(
登録商標)1201、Mylan Technologies社から入手できるMedi
flex(登録商標)1502、Dupont社から入手できるDupontポリエステ
ルS型、Dow Chemical社から入手できるDow BLF(登録商標)205
0、3M社から入手できる3M(商標)Scotchpak(登録商標)1109、3M
社から入手できる3M(商標)Scotchpak(登録商標)9723、3M社から入
手できる3M(商標)Scotchpak(登録商標)9733、3M社から入手できる
3M(商標)Scotchpak(登録商標)9735および3M社から入手できる3M
(商標)Scotchpak(登録商標)9730が含まれる。
【0055】
シリコーンコーティングされたポリエチレンバッキング、例えばシリコーン層でコーテ
ィングされたMediflex(登録商標)1000、シリコーン層でコーティングされ
た3M(商標)Cotran(登録商標)9722、およびシリコーン層でコーティング
された3M(商標)Cotran(商標)9720は、接着剤マトリックス内に非晶質形
の薬物を貯蔵する。同様に、シリコーンコーティングされたポリエステルバッキング、例
えばシリコーン層でコーティングされたMediflex(登録商標)1200もまた、
接着剤内に非晶質形の薬物を貯蔵する。
【0056】
一部の実施形態では、バッキング層は、接着剤マトリックス層と同一サイズであってよ
い、および/または、剥離ライナーと同一サイズであってよい。他の実施形態では、バッ
キング層は、接着剤層よりサイズが大きくてよく、すなわちバッキング層は接着剤層より
大きくてよい。さらに他の実施形態では、バッキング層は接着剤マトリックス層より約0
.01mm〜少なくとも10mm大きい範囲内、好ましくは接着剤マトリックス層より約
0.05mm〜約5mm大きい範囲内、および最も好ましくは接着剤マトリックス層より
約0.1mm〜約3mm大きい範囲内であってよい。サイズの大きなバッキング層の使用
は、取扱いおよび輸送プロセス中に接着剤マトリックスが変形もしくは弛緩するのを防止
するのに役立つ。そのようなサイズの大きなバッキング層は、特にデバイスが長期間にわ
たって貯蔵される場合、またはそれらが温度変動に曝される場合に、結晶成長を防止する
のに役立つ可能性がある。
【0057】
バッキング層に隣接するのは、接着剤材料中に溶解および/または分散した過飽和濃度
の少なくとも1つの活性物質を含む接着剤マトリックス層である。
【0058】
「接着剤材料」もしくは「接着剤マトリックス」(互換的に使用される)は、当技術分
野において公知の任意の生体適合性ポリマーもしくはポリマー材料であってよい。接着剤
マトリックス材料は、シリコーン、天然および合成ゴム、ポリイソブチレン(「PIB」
)、ネオプレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシロキサン、架橋および非架橋
アクリルコポリマーを含むアクリル接着剤、ビニルアセテート接着剤、ポリアクリレート
、エチレンビニルアセテートコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、ポリウレタ
ン、可塑化質量ポリエーテルブロックアミドコポリマー、可塑化スチレン−ゴムブロック
コポリマー、ならびにそれらの混合物から選択されてよい。
【0059】
接着剤マトリックス材料は、さらにまた米国ニュージャージー州ブリッジウォーターに
所在するNational Starch and Chemical Corpora
tion社による、商標Duro−Tak 80−1194、80−1196、80−1
197、2287、2516、2852、387−2051、387−2052、387
−2054、387−2287、387−2353、387−2510、387−251
6、387−2620、387−2825、387−2070、87−2074、87−
2097、87−2100、87−2154、87−2194、87−2196、87−
2852および87−2979として販売されている、アクリル接着剤ならびにポリアク
リレート接着剤から選択されてよい。その他の適切なアクリル接着剤には、米国ミズーリ
州セントルイスMonsanto社によって商標Gelva−−Multipolyme
r Solution GMS737、788、263、1151、1159、1430
、1753、2450、2465、2480、2495、2497および2539として
販売されている接着剤が含まれる。
【0060】
シリコーンを含有する感圧接着剤は、Dow Corning社から商標BIO−PS
A(登録商標)7−4101、7−4201、7−4301、7−4102、7−420
2、7−4302、7−4103、7−4203、および7−4303として入手するこ
とができ、接着剤マトリックス材料として利用できる。
【0061】
接着剤マトリックス材料は、接着剤マトリックス層中で一般に接着剤マトリックス層の
約50質量%〜約99質量%の範囲内、好ましくは接着剤マトリックス層の約60質量%
〜約90質量%の範囲内の量で存在している。
【0062】
活性物質は、接着剤マトリックス層中に溶解もしくは分散しており、実質的に非晶質形
で存在している。本明細書で使用する用語「活性物質」もしくは「薬物」(互換的に使用
される)は、本デバイスの装着者に治療作用、予防作用および/または生理学的作用を有
する生物活性化合物もしくは化合物の混合物である、経皮送達デバイスの主要医薬活性成
分を記載するために使用される。本明細書で使用する用語「実質的に」は、当業者であれ
ば達成される利益、または所望の状態もしくは特性価値が満たされることを理解するよう
な方法で基準を満たすことを意味する。
【0063】
活性物質は、前記活性物質がテラゾシンまたはロチゴチンではないことを前提に、経皮
送達デバイス内に非晶質形で提供することのできる任意の医薬活性成分であってよい。
【0064】
活性物質の非限定的な例には、抗炎症性物質、オピオイド受容体アンタゴニスト、抗コ
リン作用薬、冠動脈拡張薬、脳血管拡張薬、末梢血管拡張薬、αアドレナリン遮断薬、抗
感染薬、向精神薬、抗躁薬、刺激薬、抗ヒスタミン薬、充血除去薬、胃腸鎮痛剤、抗狭心
症薬、血管拡張薬、抗不整脈薬、血圧降下薬、血管収縮剤、偏頭痛治療薬、抗凝固剤およ
び抗血栓薬、鎮痛剤、解熱薬、睡眠薬、鎮静薬、制吐薬、制嘔吐薬、抗痙攣薬、神経筋薬
、高血糖薬および低血糖薬、甲状腺および抗甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙薬、鎮吐薬、子宮
弛緩薬、抗肥満薬、同化薬、赤血球生成薬、抗喘息薬、気管支拡張薬、去痰薬、粘液溶解
薬、抗尿酸血症薬、麻酔薬、抗うつ薬、アルコール中毒もしくは依存症などを治療する薬
物などが含まれる。
【0065】
本発明の一部の実施形態では、活性物質は、オキシブチニンである。本明細書で使用す
る用語「オキシブチニン」は、オキシブチニン、オキシブチニンの塩、溶媒和物、および
水和物、ならびにそれらの関連化合物を指定するために使用される。1つの好ましい実施
形態では、活性物質は、遊離塩基の形状にあるオキシブチニンである。
【0066】
本発明の他の実施形態では、活性物質は、スコポラミンである。本明細書で使用する用
語「スコポラミン」は、スコポラミン、スコポラミンの塩、溶媒和物、および水和物、な
らびにそれらの誘導体化合物(ブチルスコポラミンを含むがそれらに限定されない)を指
定するために使用される。
【0067】
本発明のさらに他の実施形態では、活性物質は、ナルトレキソンである。本明細書で使
用する用語「ナルトレキソン」は、ナルトレキソン、ナルトレキソンの塩、溶媒和物、お
よび水和物、ならびにそれらの関連化合物を指定するために使用される。
【0068】
本発明のさらに他の実施形態では、活性物質は、ステロイドである。本明細書において
有用なステロイド類の例には、プロゲストゲン類、例えばアリルエストレノール、アナゲ
ストン、酢酸クロマルジノン、酢酸デルマジノン、デメゲストン、デソゲストレル、3−
ケトデソゲストレル、ジメチステロン、ドロスピレノン、ジドロゲステロン、エチステロ
ン、エチノジオール、酢酸フルロゲストン、ゲストデン、カプロン酸ゲストノロン、17
−ヒドロキシ−16−メチレン−δ−プロゲステロン、17α−ヒドロキシプロゲステロ
ン、ヒドロキシプロゲステロン、酢酸ヒドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシ
プロゲステロン、レボノルゲストレル、リネストレノール、メドロゲストン、メドロキシ
プロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メレンゲストロ
ール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチノドレル、ノルゲステロン、
ノルゲスチメート、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン、ノルエチステロン、ノルエチ
ノドレル、ノルビニステロン、ペンタゲストロン、プロゲステロン、プロメゲストン、ト
レンゲストンが含まれる。
【0069】
ステロイド類のその他の例には、非ステロイド性エストロゲン類などのエストロゲン類
、例えばベンゼストロール、ブロパロエストロール、クロロトリアニセン、ジエンストロ
ール、ジエチルスチルボエストロール、ジプロピオン酸ジエチルスチルボエストロール、
ジメストロール、フォスフェストロール、ヘキソエストロール、メタレンストリルおよび
メテストロール、ならびにステロイド性エストロゲン類、例えばコルポルモン、抱合卵胞
ホルモン類、エキレニン、エキリン、エストラジオールおよびそのエステル(例えば、安
息香酸エストラジオール、吉草酸エストラジオール、エストラジオールcypriona
te、デカン酸エストラジオールおよび酢酸エストラジオール)、エストリオール、エス
トロン、エチニルエストラジオール、安息香酸エストラジオール、メストラノール、モキ
セストロール、ミタトリエンジオール、キネストラジオール、キネストロールが含まれる
【0070】
ステロイド類のさらに他の例には、コルチコステロイド類、例えばベタメタゾン、酢酸
ベタメタゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、コルチコステロ
ン、フルオシノロンアセトニド、プレドニゾロン、プレドニゾンおよびトリアムシノロン
;ならびにアンドロゲン類および同化剤類、例えばアルドステロン、アンドロステロン、
テストステロンおよびメチルテストステロンが含まれる。
【0071】
アンドロゲン類、例えばボルデノン、クロキソテストステロン、フルオキシメステロン
、メスタノロン、メステロノロン、17−メチルテストステロン、17α−メチルテスト
ステロン3−シクロペンチルエノールエーテル、ノルエタンドロロン、ノルメタンドロン
、オキサンドロロン、オキシメステロン、オキシメトロン、プラステロン、スタノロン、
スタノロゾール、テストステロン、チオメステロン。
【0072】
グルココルチコイド類、例えば21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、
アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレ
ドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチ
コステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デソキシメタゾ
ン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドネート、エノキソ
ロン、フルアザコート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルシノロンア
セトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロ
ン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニネン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリ
ド、プロピオン酸フルチカゾン、フォルモコルタール、ハルシノニド、プロピオン酸ハロ
ベタゾール、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン
、エタボン酸ロテプレドノール、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプ
レドニゾロン、モメタゾンフロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾ
ロン、プレドニゾロン25−ジエチルアミノアセテート、リン酸プレドニゾロンナトリウ
ム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、
トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリア
ムシノロンヘキサセトニド。
【0073】
追加のステロイド類には、ノルゲストレル、levoノルゲストレル、ノルエルゲスト
ロミン、およびそれらの誘導体が含まれる。
【0074】
好ましいステロイドの実施形態では、ステロイド類は、エストラジオール、ノルエルゲ
ストラミン、およびテストステロンから選択される。
【0075】
本発明のさらに他の実施形態では、活性物質は、ピロキシカムである。本明細書で使用
する用語「ピロキシカム」は、ピロキシカム、ピロキシカムの塩および水和物、ならびに
それらの関連化合物を指定するために使用される。
【0076】
本発明のさらに他の実施形態では、活性物質は、フェンタニルである。本明細書で使用
する用語「フェンタニル」は、フェンタニル、フェンタニルの塩および水和物、ならびに
それらの関連化合物を指定するために使用される。
【0077】
活性物質は、一般に接着剤マトリックス層の約0.1質量%〜約50質量%、好ましく
は接着剤マトリックス層の約1質量%〜約20質量%の範囲内の量で存在している。
【0078】
活性物質は、接着剤マトリックス内に過飽和濃度で存在している。1つの実施形態では
、活性物質濃度は、接着剤マトリックス内において活性物質の溶解度の約0.1%〜10
,000%超の範囲に及ぶ。また別の実施形態では、活性物質濃度は、接着剤マトリック
ス内において活性物質の溶解度の約5%〜約5,000%超の範囲に及ぶ。さらにまた別
の実施形態では、活性物質の濃度は、接着剤マトリックス内において活性物質の溶解度の
約10%〜約1,000%超の範囲に及ぶ。
【0079】
本デバイス内に非晶質形で存在する活性物質の量は、一般に活性物質の総量の約1質量
%〜約100質量%の範囲内、好ましくは活性物質の総量の約20質量%〜約80質量%
の範囲内、および最も好ましくは活性物質の総量の約40質量%〜約60質量%の範囲内
の量にある。
【0080】
接着剤マトリックス層は、粘着付与剤、粘着強化剤、透過強化剤、結晶成長阻害剤、可
塑剤、酸化防止剤、流束強化剤、透過強化剤、および/またはその他の医薬上許容される
添加物もしくは賦形剤から選択される1つ以上の添加物を含有していてよい。添加物は、
一般に接着剤マトリックス層の約1質量%〜約50質量%の範囲内、および好ましくは接
着剤マトリックス層の約2質量%〜約25質量%の範囲内の量で組成物中に存在している
【0081】
一部の実施形態では、接着剤マトリックス層は、1つ以上の粘着付与剤を含有している
。本明細書で使用する用語「粘着付与剤」は、それらの粘着性もしくは付着性を増加させ
るために接着剤に加えられるPIB以外の材料を意味する。粘着付与剤が含められる場合
は、粘着付与剤は、一般に接着剤マトリックス層の約1質量%〜約50質量%、好ましく
は接着剤マトリックス層の約5質量%〜約40質量%の範囲内の量で存在している。粘着
付与剤は、一般に例えば天然型樹脂性のロジン含有材料、または真に合成のポリマー材料
などの材料から構成される。粘着付与剤の例には、ロジン、ポリテルペン、ポリブテン、
またはポリシロキサンの水素化もしくは部分水素化グリセロールエステルが含まれる。
【0082】
一部の実施形態では、接着剤マトリックス層は、1つ以上の粘着強化剤を含有している
。接着剤マトリックス内への粘着強化剤の添加は、接着剤マトリックスの貯蔵弾性率を増
加させる。粘着強化剤は、一般に接着剤マトリックス層の約0.1質量%〜約25質量%
の範囲内、好ましくは接着剤マトリックス層の約1質量%〜約15質量%の範囲内の量で
存在している。粘着強化剤の例には、コロイド状二酸化ケイ素、酸化亜鉛、粘土、ベント
ナイト、ポリビニルピロリドン(「PVP」)、ポリビニルピロリドン−co−ビニルア
セテート、Eudragit(登録商標)コポリマー、エチルセルロースまたはクロスポ
ビドンが含まれる。
【0083】
一部の実施形態では、接着剤マトリックス層は、薬物製剤の一部として1つ以上の流束
強化剤を含有している。本明細書で使用する用語「流束強化剤」は、皮膚を通して血流へ
の薬物の透過性を増加させることに役立つ化合物を記載するために使用される。流束強化
剤が含められる場合は、流束強化剤は、一般に接着剤マトリックス層の約0.1質量%〜
約40質量%、好ましくは接着剤マトリックス層の約1質量%〜約20質量%の範囲内の
量で存在している。
【0084】
適切な流束強化剤には、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(
DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、デシルメチルスルホキシド(C
MSO)、ポリエチレングリコールモノラウレート(PEGML)、プロピレングリコ
ール(PG)、プロピレングリコールモノラウレート(PGML)、ブチレングリコール
、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、プロピルパルミテート、イソプロピ
ルパルミテート、プロピルミリステート、グリセロールモノエステル類、グリセロールモ
ノラウレート(GML)、プロピレングリコールモノエステル類、ポリエチレングリコー
ルモノエステル類、メチルラウレート(ML)、ラウリルラクテート(LL)、イソプロ
ピルミリステート(IPM)、テルペン類、例えばメントン、C−Cジォール類、特
に1,2−ブタンジオール、レシチン、1−置換アザシクロヘプタン−2−オン、1−n
−ドデシルシクラザシクロヘプタン−2−オン、C〜C18アルコール、トリアセチン
などが含まれる。米国特許第5,229,130号明細書に記載された植物油透過強化剤
もまた使用できる。そのような油には、紅花油、綿実油およびコーン油が含まれる。
【0085】
接着剤マトリックス層に隣接するのは、剥離ライナーである。本発明においては、当技
術分野において周知の剥離ライナーを使用できる。剥離ライナーを構成できる材料の例に
は、ポリエチレンテレフタレート/シリコーン(すなわち、ポリジメチルシロキサン)(
「PET/SI」)、ポリエチレンテレフタレート/シリコーンコーティングされたアル
ミメッキポリエステル(すなわち、ポリジメチルシロキサン)(「PET/MET/SI
」)、シリコーンコーティングされたポリエステルもしくはポリウレタンライナー、フル
オロシリコーンコーティングを備えるポリエステルもしくはポリウレタンライナー、また
はシリコーンコーティングを備えるポリエステルもしくはポリウレタンライナーが含まれ
る。
【0086】
好ましくは、剥離ライナーは、実質的に非晶質化促進性であって結晶化核を含んでいな
い材料から構成される。そのような剥離ライナーは、接着剤マトリックス内非晶質薬物の
貯蔵に役立つ。特定の剥離ライナーには、Medirelease(登録商標)2249
、Medirelease(登録商標)2226、Medirelease(登録商標)
2500、3M(商標)Scotchpak(登録商標)1020、3M(商標)Sco
tchpack(登録商標)1022、3M(商標)Scotchpak(登録商標)9
741、3M(商標)Scotchpak(登録商標)9742、3M(商標)Scot
chpak(登録商標)9744、CPFilms社製Clearsil(登録商標)U
V5AおよびCPFilms社製Clearsil(登録商標)UV510、CPFil
ms社製Sil(登録商標)UV5AおよびCPFilms社製Sil(登録商標)UV
510が含まれる。
【0087】
一部の実施形態では、剥離ライナーは、接着剤マトリックス層と同一サイズであってよ
い、および/またはバッキング層と同一サイズであってよい。他の実施形態では、剥離ラ
イナーは、接着剤マトリックス層より大きくてよい、および/またはバッキング層より大
きくてよい。さらに他の実施形態では、剥離ライナーは円形バッキング層もしくは円形接
着剤マトリックス層の直径より約0.1mm〜少なくとも20mm大きい範囲内、好まし
くはバッキング層もしくは接着剤マトリックス層より約0.5mm〜約10mm大きい範
囲内、および最も好ましくはバッキング層もしくは接着剤マトリックス層より約1mm〜
約5mm大きい範囲内であってよい。剥離ライナーはまた、長方形もしくは正方形バッキ
ング層もしくは接着剤マトリックス層の各辺より約0.1mm〜少なくとも約20mm大
きい範囲内、好ましくはバッキング層もしくは接着剤マトリックス層より約0.5mm〜
約10mm大きい範囲内、および最も好ましくはバッキング層もしくは接着剤マトリック
ス層より約1mm〜約5mm大きい範囲内であってよい。
【0088】
サイズの大きな剥離ライナーの使用は、取扱いおよび輸送プロセス中に接着剤マトリッ
クスが変形もしくは弛緩するのを防止するのに役立つ。そのようなサイズの大きな剥離ラ
イナーは、特に経皮送達デバイスが長期間にわたって貯蔵される、温度変動に曝露させら
れる、または輸送および/または移動ストレスに曝露させられる場合には、結晶成長を防
止するのに役立つ可能性がある。例えば、接着剤マトリックスがバッキング層と接着剤マ
トリックスと同一サイズである剥離ライナーとの間に積層され、熱硬化させる工程により
結合すると、結晶成長はパッチの辺縁から開始して中心に向かって進行することが観察さ
れる。しかし、同一接着剤マトリックスがバッキング層とサイズの大きな剥離ライナーと
の間に積層され、熱硬化させる工程を用いて結合されると、パッチが2カ月間にわたって
貯蔵されて、10サイクルの凍結および融解安定性試験を受けた後、または顕微鏡観察を
繰り返し受けた後でさえ、結晶成長は観察されない。
【0089】
1つの実施形態では、接着剤マトリックス層は、サイズの大きな剥離ライナーとサイズ
の大きなバッキング層との間に積層させられる。また別の実施形態では、接着剤マトリッ
クス層は、サイズの大きな剥離ライナーと接着剤層と同一サイズのバッキング層との間で
積層させられる。さらにまた別の実施形態では、接着剤マトリックス層は、サイズの大き
な剥離ライナーとバッキング層の上方のオーバーレイフィルムを備える接着剤層と同一サ
イズのバッキング層との間で積層させられる。オーバーレイフィルムが利用される場合は
、オーバーレイは、剥離ライナーと同一材料であってよい、または相違する材料であって
もよい。
【0090】
オーバーレイは、典型的にはサイズの大きな剥離ライナーと同一サイズであるが、バッ
キング層よりサイズが大きい。オーバーレイ層は、円形バッキング層の直径より、または
長方形もしくは正方形バッキング層の各寸法より約0.01mm〜少なくとも約20mm
大きくてよい。さらに、オーバーレイは、典型的にはバッキング層の辺縁を被覆する。オ
ーバーレイフィルムの例には、3M(商標)Scotchpak(商標)1022、Me
direlease(登録商標)2249、およびMedirelease(登録商標)
2226が含まれる。
【0091】
経皮送達デバイスは、1つ以上の追加の層を含むことができる。1つのそのような追加
の層は、リザーバ層である。好ましくは、リザーバ層は、結晶化種粒子を含んでいない材
料から構成される。リザーバ層は、1つ以上の活性物質および1つ以上の医薬上許容され
る添加物を含有していてよい。
【0092】
一般に、リザーバ層は、バッキングフィルムと薬物放出調節膜層との間に配置される層
である。そのような実施例では、リザーバ層は、接着剤マトリックス層(膜層と剥離ライ
ナーとの間に位置する)中に存在する活性物質の量より多い量の活性物質を含有している
。活性物質は、リザーバ層中の接着剤マトリックス内またはゲル中で非晶質形にあってよ
い。皮膚接触層は、活性物質を含んでいなくてよい、または実質的に非晶質形にある少な
くとも1つの活性物質を含んでいてよい。
【0093】
経皮送達系は、薬物放出調節膜層をさらに含んでいてよい。そのような膜層は、薬物送
達デバイスの下にあってよく、および典型的には薬物リザーバ層に直接隣接していてよく
、および一般には薬物リザーバ自体と皮膚へ本デバイスを付着させる接着剤マトリックス
層との間に存在していてよい。
【0094】
速度制御膜層を形成するために有用な代表的材料には、例えばポリエチレンおよびポリ
プロピレンなどのポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類、エチレン−エタク
リレートコポリマー、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン−ビニルメチル
アセテートコポリマー、エチレン−ビニルエチルアセテートコポリマー、エチレン−ビニ
ルプロピルアセテートコポリマー、ポリイソプレン、ポリアクリロニトリル、エチレン−
プロピレンコポリマー、エチレン−ビニルアセテートコポリマーなどが含まれる。好まし
くは、薬物放出調節膜層は、非晶質化促進性であって結晶化核を含んでいない材料から構
成される。
【0095】
薬物放出調節膜層は、1つ以上の活性物質および1つ以上の医薬上許容される添加物を
含有していてよい。
【0096】
経皮送達デバイス用単位剤形は、貯蔵および保護用の適切な包装、例えば紙、ポリマー
フィルム、および/または金属箔パウチ中へ、それらが経皮治療に適用されるまで配置す
ることができる。包装もしくはパウチは、寸法の1つまたは全部においてオーバーレイま
たは剥離ライナーと同一サイズまたはそれらより大きくてよい。包装もしくはパウチは、
オーバーレイおよび/または剥離ライナーより約0.1mm〜約20mm大きい範囲内、
好ましくはオーバーレイおよび/または剥離ライナーより約0.2mm〜10mm大きい
範囲内、最も好ましくはオーバーレイおよび/または剥離ライナーより約0.5mm〜約
2mm大きい範囲内でよい。パッチとパウチとの緊密な適合は、パッチがパウチの内側へ
移動するのを防止するので、したがって輸送および取扱いプロセス中にパッチの接着剤側
が損傷することを防止する。
【0097】
過飽和していて非晶質形で存在する少なくとも1つの活性物質を含有する接着剤マトリ
ックスを調製する2つの方法が提供される。第1方法は、以下の、第1に亜飽和濃度にあ
る接着剤マトリックス溶液中の活性物質を提供できるように活性物質および接着剤ポリマ
ーが溶媒系中に溶解させられる(しかし、溶媒がいったん除去されると、活性物質は乾燥
接着剤マトリックス内で過飽和濃度にあるであろう)工程と、第2に接着剤マトリックス
溶液中の亜飽和活性物質を剥離ライナーもしくはバッキング層のうちの少なくとも1つへ
キャスティングする工程と、第3に溶媒が過飽和濃度の接着剤マトリックス内非晶質薬物
を特発的に形成するために、活性物質の融点、融点より低い、または融点より高い温度で
接着剤マトリックス溶液から除去される工程と、第4に前記接着剤マトリックス内の過飽
和活性物質が前記剥離ライナーと前記バッキング層との間にあるように、前記接着剤マト
リックス内の過飽和活性物質へ前記剥離ライナーまたは前記バッキングフィルムの他方を
積層させる工程とを含む。活性物質は、前記活性物質がテラゾシンまたはロチゴチンでは
ないことを前提に、経皮送達デバイス内に非晶質形で含めることのできる任意の医薬活性
成分であってよい。好ましい実施形態では、薬物は、オキシブチニン、ピロキシカム、フ
ェンタニル、ナルトレキソン、スコポラミン、または1つのステロイドから選択される。
【0098】
この第1方法の1つの実施形態では、剥離ライナーおよび/またはバッキング層は、非
晶質化促進性であり、結晶化核を含んでいない。この第1方法のまた別の実施形態では、
接着剤マトリックス内過飽和薬物は、接着剤マトリックス内に溶解している、または溶解
していないが、液体もしくは固体粒子として分散している、1つ以上の添加物または賦形
剤を含有している。この方法のために必要な溶媒の量は、薬物および接着剤を溶解させる
ために必要な溶媒の量より約1%〜約200%超の範囲に及ぶ。溶媒は、ペンタン、ヘキ
サン、ヘプタン、オクタン、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、トルエン、キ
シレンおよびそれらの混合物を含む有機溶媒から選択できる。接着剤系については、接着
剤マトリックス溶液中に存在する溶媒のタイプが接着剤に対してより薬物に対しての方が
低い溶解度を有する場合は、薬物および接着剤の両方を溶解させるために第2溶媒を加え
ることができる。第1溶媒対第2溶媒の比率は、接着剤および薬物の両方を完全に溶解さ
せて単一相を形成できる比率である。接着剤および薬物の単一相溶液を形成するために必
要とされる2つの溶媒各々の最適な比率および量は、薬物毎に相違し、利用される薬物の
量に伴って変動する。
【0099】
過飽和していて非晶質形で存在する少なくとも1つの活性物質を含有する接着剤マトリ
ックスを調製する第2方法は、以下の、前記活性物質を過飽和濃度で接着剤マトリックス
と混合する工程と、前記接着剤マトリックスを、前記活性物質がホットメルトを作成する
ために接着剤溶融液中に完全に溶解する、または接着剤マトリックス内に溶融して微細に
分散することを可能にする温度へ加熱する工程と、前記ホットメルトを剥離ライナーもし
くはバッキング層のうちの少なくとも1つへキャスティングする工程と、前記ホットメル
トが前記剥離ライナーと前記バッキング層との間にあるように、剥離ライナーもしくはバ
ッキング層の他方を前記ホットメルトへ積層させる工程とを含む。ホットメルトが周囲温
度へ冷却されるにつれて、接着剤マトリックス内非晶質薬物が自然に形成され、それによ
り固体非晶質薬物は、接着剤マトリックス内に微細に分散する。活性物質は、経皮送達デ
バイス内に非晶質形で含めることのできる任意の医薬活性成分であってよい。好ましい実
施形態では、薬物は、オキシブチニン、ピロキシカム、フェンタニル、ナルトレキソン、
スコポラミン、または1つのステロイドから選択される。
【0100】
この第1方法の1つの実施形態では、ホットメルトは、接着剤マトリックス内に溶解し
ている、または溶解していないが分散している1つ以上の添加物または賦形剤を含有して
いる。
【0101】
この方法のまた別の実施形態では、剥離ライナーおよびバッキング層は、非晶質化促進
性であり、結晶化核を含んでいない。
【0102】
薬物の結晶形は、最も熱力学的に安定性の形態である。結果として、薬物分子は、でき
る限り低いエネルギー量を備える結晶を形成できるような構造的に規則的な方法で自己組
織化するであろう。熱力学的に好ましい条件下では、薬物の非晶質形または余り好ましく
ない結晶形は、最終的には最も安定性の結晶形へ転換するであろう。結晶化または転換が
発生する可能性がある1つの方法は、結晶成長形成のための支持体を提供する、接着剤マ
トリックス内に存在する先在性薬物結晶もしくは他の固体粒子(核)の存在を通してであ
る。このプロセスは、結晶播種法(crystal seeding)と呼ばれる。そこ
で、結晶成長形成を回避するために、非晶質化促進性であって結晶化核を含んでいないバ
ッキング層および/または剥離ライナーが利用される。そのような非晶質化促進性バッキ
ング層および/または非晶質化剥離ライナーは、接着剤マトリックス内非晶質薬物中での
結晶形成および成長を防止することが証明されている。さらにパッチ内のサイズの大きな
バッキング層もしくはサイズの大きな剥離ライナーを利用すると、さらに非晶質形の結晶
化を回避することができる。実際に、そのようなサイズの大きな剥離ライナーもしくはサ
イズの大きなバッキング層の使用は、接着剤マトリックスの辺縁が取り扱いおよび輸送プ
ロセス中に、またはデバイスが長期間にわたり貯蔵される、または温度変動に曝露させら
れる場合に、変形もしくは弛緩するようになることを防止するのに役立つ。
【0103】
固体薬物は、1つ以上の結晶形および非晶質形で存在することができる。構造的に規則
的な分子は結晶を形成する。可能性のある全部の結晶形の内で、1つの結晶形は、結晶形
の中で最も熱力学的に安定性である。しかし、薬物の非晶質形は準安定性であり、これは
熱力学的に不安定であることを意味する。結晶形とは相違して、非晶質薬物分子は、無作
為の順序で構造的に組織化されている。熱力学的に好ましい条件下では、低安定性結晶形
および非晶質形は、最終的には最も安定性の結晶形へ転換するであろう。結晶化が開始す
る前に薬物が準安定性非晶質形を正確にどの位の期間維持するのかは、内部および外部環
境に左右される。好ましい外部環境条件には、低温で非晶質薬物製品を貯蔵すること、例
えばそのTより50℃超高くない温度で薬物の非晶質形を貯蔵すること、および前記非
晶質薬を含有するマトリックスを侵害しないことが含まれる。非晶質形の寿命を延長でき
る好ましい内部環境には、疎水性会合および/またはマトリックス分子と薬物分子との水
素結合を形成することによって非晶質薬分子の移動を減少させることのできる、接着剤マ
トリックスタイプが含まれる。
【0104】
非晶質形にある薬物が結晶化を開始できるためには、結晶化核を溶融もしくは再溶解さ
せて内部接着剤マトリックスを再確立できることが望ましい。したがって、非晶質形のた
めの内部接着剤マトリックス環境を再確立するための方法は、十分な時間にわたって特定
温度でダイカットパッチを熱硬化させる工程を含む。好ましくは、熱硬化させる工程は、
活性物質の融点より約20℃高い温度までの活性物質の融点の温度で実施される。好まし
くは、熱硬化させる工程は、ダイカットする工程の後で包装の後、またはダイカットする
工程の後で包装の前のいずれかに行われる。好ましくは、熱硬化させる工程は、任意の結
晶が形成される前、または相当量の結晶が形成される前に実施される。熱硬化源には、オ
ーブンでの電気的加熱および赤外線ビームが含まれる。
【0105】
以下の実施例では、本発明およびその独特の特徴をさらに例示する。これらの実施例は
、本発明をいかなる方法でも限定することは意図されない。
【0106】
実施例1〜9では、活性物質は、遊離塩基の形状にあるオキシブチニンである。pH7
.4の水中での溶解度は、約15μg/mLである。これらの実施例では、乾燥接着剤B
io−PSA 7−4302中ならびに乾燥接着剤Bio−PSA 7−4302および
コロイド状二酸化ケイ素(CSD)の混合物中でのオキシブチニン塩基の溶解度は、3質
量%未満である。接着剤マトリックスが透過強化剤として2.5%イソプロピルパルミテ
ートを含有する場合は、オキシブチニン塩基の溶解度は約3%のままである。
【表1】
【0107】
[実施例1]
溶媒法を用いたポリシロキサン接着剤マトリックス内結晶性薬物の調製
本実施例では、42.84gのBio−PSA 7−4302(酢酸エチル中に溶解さ
せた60%のポリシロキサン接着剤固体)、7.00gの微粉化オキシブチニン塩基、1
.00gのイソプロピルパルミテートおよび1.20gのコロイド状二酸化ケイ素(CS
D)をガラス瓶に加えた。内容物を1分間にわたり超音波処理した後、固体を木製へらを
用いて混合した。内容物はCSDを溶媒和させるために9分間にわたりさらに超音波処理
し、3分間にわたりメカニカルミキサーを用いて攪拌した。空気を除去するためにガラス
瓶を一晩回転させた後、分散したCSDおよび一部の未溶解オキシブチニン塩基結晶を含
有する液体混合物が得られた。混合物はフルオロポリマーをコーティングした剥離ライナ
ーであるScotchpak(商標)1022へコーティングし、5分間にわたり室温で
、および90分間にわたり50℃で乾燥させた。ポリエステルバッキングフィルム(Me
diflex 1200、平滑なポリエステル側)を乾燥接着剤へ積層させた。このラミ
ネートは、作成直後には不透明であったが、透明になり、密で微細な透明結晶を含有して
いた。結晶は、目視的および顕微鏡的の両方で観察された。三層パッチは、このラミネー
トをダイカットする工程によって作成した。接着剤マトリックス内薬物は、バッキングフ
ィルムと剥離ライナーとの間に挟んだ。乾燥接着剤マトリックスの組成物は、表1に記載
した。接着剤マトリックス内の薬物濃度はその溶解度(約3質量%)より高かったので、
薬物は接着剤マトリックス内で飽和していた。そこで、接着剤マトリックスは、溶解した
オキシブチニン塩基および未溶解オキシブチニン塩基の両方を含有していた。本実施例で
は、未溶解オキシブチニン塩基は、接着剤マトリックス内に分散した結晶形で存在した。
したがって、パッチは接着剤マトリックス内結晶性薬物パッチであった。実施例1では、
オキシブチニン塩基結晶は、混合物中には完全には溶解しなかった。このため、混合物は
溶解したオキシブチニン塩基および未溶解オキシブチニン塩基結晶の両方を含有していた
ので、すなわち混合物はオキシブチニン塩基の飽和溶液であった。これは、オキシブチニ
ン塩基対酢酸エチルの比率を制御する工程により実施した。結晶化核であった未溶解オキ
シブチニン塩基結晶は、溶媒が除去された後に溶解したオキシブチニン塩基の迅速な再結
晶化を促進した。乾燥温度(50℃)はオキシブチニン塩基結晶の融点より低かったので
、混合物から持ち越された結晶および乾燥プロセス中に形成された結晶は融解しなかった
【0108】
[実施例2]
溶媒法を用いたポリシロキサン接着剤マトリックス内結晶性薬物の調製
本実施例における接着剤マトリックスの組成物は、表1に記載した。実施例2のラミネ
ートおよびパッチは、実施例1と同様に調製した。実施例2のパッチは、接着剤マトリッ
クス内結晶性薬物パッチである。
【0109】
[実施例3]
溶媒法を用いたポリシロキサン接着剤マトリックス内結晶性薬物の調製
本実施例のための接着剤マトリックスは、実施例1と同様に調製したが、Bio−PS
A 7−4302はBio−PSA 7−4301と取り替えた。Bio−PSA 7−
4301は、ヘプタン中のポリシロキサン接着剤の溶液である。Bio−PSA−7−4
301中のポリシロキサンは、Bio−PSA7−4302中のポリシロキサン接着剤と
正確に同一である。ヘプタンはオキシブチニン塩基に対しては貧溶媒であるので、オキシ
ブチニン塩基結晶の大部分は混合物中に溶解しなかった。未溶解オキシブチニン塩基結晶
は、事前に溶解したオキシブチニン塩基の迅速な再結晶化を播種した。入手したパッチは
、接着剤マトリックス内結晶性薬物ラミネートであった。
【0110】
[実施例4]
溶媒法を用いたポリシロキサン接着剤マトリックス内非晶質薬物の調製
本実施例では、89.53gのBio−PSA 7−4302(酢酸エチル中に溶解さ
せた60.2%のポリシロキサン接着剤固体)、12.25gの微粉化オキシブチニン塩
基、1.75gのイソプロピルパルミテート、2.10gのコロイド状二酸化ケイ素(C
SD)および10.73gの追加の酢酸エチルをガラス瓶に加えた。内容物を1分間にわ
たり超音波処理した後、内容物を木製へらを用いて混合した。内容物はCSDを溶媒和さ
せるために9分間にわたりさらに超音波処理し、全オキシブチニン塩基を溶解させるため
に3分間にわたりメカニカルミキサーを用いて攪拌した。空気を除去するためにガラス瓶
を一晩回転させた後、分散したCSDを含有するが未溶解オキシブチニン塩基結晶を含有
しない液体混合物が得られた。混合物をフルオロポリマーコーティングした剥離ライナー
であるScotchpak(登録商標)1022へコーティングし、室温で4分間、およ
び50℃で90分間乾燥させた、または室温で4分間、40℃で4分間および85℃で1
5分間乾燥させた。ポリエステルバッキングフィルム(Mediflex 1200、平
滑なポリエステル側)を乾燥接着剤へ積層させた。ラミネートはそれが作成された直後に
は不透明でオキシブチニン結晶を含有しておらず、不透明でオキシブチニン結晶を含有し
ていないままであった。混合物は未溶解オキシブチニン塩基結晶を含有していなかったの
で、およびバッキングフィルムの接着剤接触側は非晶質化促進性ポリエステル側であるの
で、さらに剥離ライナーのシリコーンコーティング側(平滑なフルオロポリマーコーティ
ング側)はポリエステル上の非晶質化促進性シリコーンコーティングであるので、入手し
たラミネートはオキシブチニン塩基結晶を含有していなかった。接着剤マトリックス内薬
物濃度はその溶解度(約3質量%)より高かったので、薬物は接着剤マトリックス内で過
飽和していた。そこで、接着剤マトリックスは、溶解したオキシブチニン塩基および未溶
解オキシブチニン塩基の両方を含有していた。本実施例では、未溶解オキシブチニン塩基
は、接着剤マトリックス内に分散した非晶質形で存在した。ラミネートは、接着剤マトリ
ックス内非晶質薬物ラミネートであった。顕微鏡観察は、接着剤マトリックス内に結晶が
存在しなかったことを示している。
【0111】
[実施例5〜9]
溶媒法を用いたポリシロキサン接着剤マトリックス内非晶質薬物の調製
実施例5〜9のラミネートは、実施例4と同様に調製した。接着剤マトリックスは、バ
ッキングMediflex(登録商標)の平滑なポリエステル側と剥離ライナーであるS
cotchpak(商標)1022との間に挟んだ。実施例4〜9のラミネートは、不透
明で結晶を含有していなかった。
【表2】
【0112】
[実施例10]
溶媒法を用いたPIB接着剤マトリックス内結晶性薬物の調製
本実施例では、49.95gのポリイソブテン溶液(ヘプタン中に溶解させた25.3
%のポリイソブテン、平均分子量が1,200,000の高分子量(「HMW」)ポリイ
ソブテン対平均分子量350,000の低分子量(「LMW」)ポリイソブテンの比率は
55/45である)および15.16gのポリブテン、1.20gの1,3−ブテングリ
コールおよび2.00gのジプロピレングリコールを瓶に加えた。2.00gのコロイド
状二酸化ケイ素を攪拌下で加えた。7.00gの微粉化オキシブチニン塩基および追加の
36.98gのヘプタンを加えた。混合物を混合した後、閉じ込められた空気を除去する
ために瓶を一晩回転させた。分散したCSDおよび未溶解オキシブチニン塩基結晶を含有
する液体混合物を入手した。混合物はシリコーンをコーティングした剥離ライナーへコー
ティングし、5分間にわたり室温で、および90分間にわたり500℃で乾燥させた。ポ
リエステルバッキングフィルム(Mediflex(登録商標)1200、平滑なポリエ
ステル側)を乾燥接着剤へ積層させた。このラミネートは、作成直後には透明であったが
、密で微細な結晶を含有して不透明になった。結晶は、目視的および顕微鏡的に観察され
た。三層パッチは、このラミネートをダイカットする工程によって作成した。接着剤マト
リックス内薬物は、バッキングフィルムと剥離ライナーとの間に挟んだ。乾燥接着剤マト
リックスの組成物は、表2に記載した。接着剤マトリックス内の薬物濃度はその溶解度(
3質量%)より高かったので、薬物は接着剤マトリックス内で過飽和していた。そこで、
PIB接着剤マトリックスは、溶解したオキシブチニン塩基および未溶解オキシブチニン
塩基の両方を含有していた。本実施例では、未溶解オキシブチニン塩基は、PIBマトリ
ックス内に結晶形で存在した。パッチは、接着剤マトリックス内結晶性薬物パッチであっ
た。実施例8では、オキシブチニン塩基結晶は、オキシブチニン塩基が低溶解度を有する
ヘプタンを含有する混合物中では完全には溶解しなかった。このため、混合物は溶解した
オキシブチニン塩基および未溶解オキシブチニン塩基結晶の両方を含有していたので、す
なわち混合物はオキシブチニン塩基の飽和溶液である。結晶化種を構成した未溶解オキシ
ブチニン塩基結晶は、溶媒が除去された後に溶解したオキシブチニン塩基の迅速な再結晶
化を促進した。乾燥温度(500℃)はオキシブチニン塩基結晶の融点より低かったので
、混合物から持ち越された結晶および乾燥プロセス中に形成された結晶は融解しなかった
【0113】
[実施例11および12]
溶媒法を用いたPIB接着剤マトリックス内結晶性薬物の調製
実施例11および12の接着剤マトリックスは、実施例10と同様に調製した。実施例
11および12のマトリックスの組成物は、表2に記載した。
【0114】
[実施例13]
加熱による接着剤マトリックス内の溶解薬物の結晶化
本実施例のラミネートは、実施例10のラミネートと同様に調製した。接着剤を剥離ラ
イナーのMedirelease(登録商標)2249上にコーティングした後、未溶解
オキシブチニン塩基結晶を含有する接着剤マトリックスを5分間にわたり室温で、および
12分間にわたり85℃で乾燥させた。平滑なバッキングフィルムであるMedifle
x(登録商標)1200のポリエステル側を接着剤へ積層させた。このラミネートは最初
は透明で結晶を含有していなかったが、それを調製して1カ月後には密な結晶が形成され
た。これは、薬物が湿性接着剤混合物中に完全に溶解していない場合は、薬物の融点より
高い温度で加熱する工程は、接着剤マトリックス内の微細粒子として薬物分子を均一には
分散させない、または安定性の接着剤マトリックス内非晶質薬物を形成しないことを示し
た。
【0115】
[実施例14]
溶媒法を用いたポリイソブテン接着剤マトリックス内非晶質薬物の調製
本実施例では、119.02gのポリイソブテン(ヘプタン中に溶解させた25%のポ
リイソブテン、平均分子量(「MW」)が1,200,000の高分子量ポリイソブテン
対平均MWが350,000の低分子量ポリイソブテンの比率は55/45である)、お
よび34.77gのポリブテン、6.00gの1,3−ブテングリコールおよび4.00
gのジプロピレングリコールを瓶に加えた。7.50gのコロイド状二酸化ケイ素を攪拌
下で加えた。17.50gの微粉化オキシブチニン塩基および96.59gの酢酸エチル
および追加の27.12gのヘプタンを加えた。混合物を混合し、閉じ込められた空気を
除去するために瓶を一晩回転させた後、分散したCSDを含有するが未溶解オキシブチニ
ン塩基結晶を含有しない液体混合物が得られた。この混合物をシリコーンコーティングし
たMedirelease(登録商標)2249剥離ライナーへコーティングし、室温で
4分間、および50℃で90分間乾燥させた、または室温で4分間、85℃で15分間、
および400℃で4分間乾燥させた。ポリエステルバッキングフィルム(Medifle
x(登録商標)1200、平滑なポリエステル側)を乾燥接着剤へ積層させた。ラミネー
トはそれが作成された後には透明でオキシブチニン結晶を含有しておらず、透明でオキシ
ブチニン結晶を含有していないままであった。混合物は溶媒を除去した後に再結晶化を播
種する未溶解オキシブチニン塩基結晶を全く含有していなかったので、およびバッキング
フィルムの接着剤接触側(平滑なポリエステル側)および剥離ライナーの接着剤接触側(
平滑なシリコーンコーティング側)は非結晶促進性であったので、入手したラミネートは
オキシブチニン塩基結晶を含有していなかった。接着剤マトリックス内の薬物濃度はその
溶解度(3質量%)より高かったので、薬物は接着剤マトリックス内で過飽和していた。
そこで、PIB接着剤マトリックスは、溶解したオキシブチニン塩基および未溶解オキシ
ブチニン塩基の両方を含有していた。本実施例では、未溶解オキシブチニン塩基は、PI
Bマトリックス内に非晶質形で存在した。ラミネートは、接着剤マトリックス内非晶質薬
物ラミネートであった。顕微鏡観察は、接着剤マトリックス内に結晶が存在しなかったこ
とを示している。
【0116】
実施例15〜17は、実施例14と同様に調製した。これらの実施例では、ラミネート
は接着剤マトリックス内非晶質薬物である。
【0117】
[実施例16]
ホットメルト押出し法を用いたPIB接着剤内非晶質薬物の調製
本実施例では、接着剤マトリックスは、ホットメルト押出し法を用いて調製した。押出
し温度は、PIB、ポリブテンおよびオキシブチニン塩基の両方が溶融した1,100℃
であった。CSDおよびグリコールは、接着剤内に分散した。全オキシブチニン塩基は、
押出し温度で分子レベルで接着剤マトリックス内に溶解もしくは分散した。マトリックス
の薄層フィルムは、平滑な剥離ライナーへ押出し、平滑な剥離ライナーを用いて積層させ
た。
【0118】
実施例16において入手したラミネートは透明でオキシブチニン塩基結晶を含有してお
らず、透明でオキシブチニン塩基結晶を含有しないままであった。接着剤マトリックス内
の薬物濃度はその溶解度(3質量%)より高かったので、薬物は接着剤マトリックス内で
過飽和していた。そこで、PIB接着剤マトリックスは、溶解したオキシブチニン塩基お
よび未溶解オキシブチニン塩基の両方を含有していた。本実施例では、未溶解オキシブチ
ニン塩基は、PIBマトリックス内に分散した非晶質形で存在した。ラミネートは、接着
剤マトリックス内非晶質薬物ラミネートであった。顕微鏡観察は、接着剤マトリックス内
に結晶が存在しなかったことを示している。
【0119】
インビトロ流束データ
インビトロ流束試験は、32℃のインキュベータ内でFranz細胞およびヒト死体表
皮を用いて実施した。オキシブチニン塩基は96時間までの幾つかの相違する時点に受容
体相内へ皮膚を通して透過した。分析は、HPLCによって実施した。各試験は、相違す
る皮膚ドナーおよび1ドナーに付き4回の繰り返しから構成した。
【0120】
ヒト死体表皮を通しての96時間の累積流束の結果は表3に示した。接着剤マトリック
ス内非晶質オキシブチニン塩基の流束は、接着剤マトリックス内結晶性オキシブチニン塩
基の流束より約250%〜約600%高い。
【表3】
【表4】
【0121】
表4は、Gurley 4340デンソメーターを用いて測定したバッキングフィルム
表面平滑性のデータを含む。表4は、様々なバッキングフィルム表面の相違する化学組成
をさらに示している。本発明の発明者らは、シリコーン接着剤マトリックス内非晶質オキ
シブチニン塩基は、マトリックスがより平滑なMediflex(登録商標)1200ポ
リエステル側とScotchpak(商標)1022との間に挟まれている場合は結晶化
しないことを見いだした。しかし、同一の接着剤マトリックス内非晶質オキシブチニン塩
基が、より表面の粗いMediflex(登録商標)1000ポリオレフィン/EVAコ
ポリマー側とScotchpak(商標)1022との間に挟まれている場合は、結晶が
形成された。
【表5A】
【表5B】
【0122】
表5は、ライナーもしくはフィルムの表面化学組成が結晶化に影響を及ぼすことを示し
ているデータを含む。ポリエステルバッキングフィルム(Mediflex(登録商標)
1200およびMediflex(登録商標)1201)がいかに粗くても、ポリエステ
ルバッキングフィルムとScotchpak(商標)1022剥離ライナーとの間に挟ま
れた接着剤マトリックス内非晶質薬物上では結晶化は発生しなかった。しかしポリオレフ
ィンフィルムもしくはポリエチレンバッキングフィルム(Mediflex(登録商標)
1000および3M Cotran(商標)9722)がいかに平滑であっても、ポリオ
レフィンバッキングフィルムとScotchpak(商標)1022剥離ライナーとの間
に挟まれた接着剤マトリックス内非晶質オキシブチニン塩基では結晶が形成された。した
がって、試験の結果は、ポリエステルバッキングフィルムはオキシブチニン塩基の結晶化
を開始させるために適正な核もしくは種粒子を有していないことを示している。しかしポ
リオレフィンおよびオレフィン/低レベルEVAコポリマーバッキングフィルムは、オキ
シブチニンの結晶化を開始させるために適正な核を有している。
【0123】
さらに、シリコーン接着剤マトリックス内の同一非晶質オキシブチニン塩基が、フルオ
ロポリマーコーティング剥離ライナー(例えば、Scotchpak(商標)1022)
および非ポリオレフィンバッキングフィルム(例えば、Dupont社製ポリエステルS
タイプフィルム)、シリコーンコーティングされたポリオレフィンバッキングフィルム、
またはBio−PSA 7−4302/コロイド状二酸化ケイ素プラセボ層の間に積層さ
れた場合は、結晶化は発生しなかった。
【0124】
同様に、PIB接着剤マトリックス内非晶質オキシブチニン塩基が、シリコン剥離ライ
ナーとポリオレフィンバッキングフィルム、例えばMediflex(登録商標)100
0とMediflex 1200のオレフィン/EVA側との間に積層された場合は、オ
キシブチニン塩基の結晶化が発生した。しかし、同一のPIB接着剤マトリックス内非晶
質オキシブチニン塩基が、シリコーンコーティング剥離ライナーとポリエステルバッキン
グフィルム、例えばMediflex(登録商標)1200のポリエステル側との間に積
層された場合は、結晶化は発生しなかった。
【表6A】
【表6B】
【0125】
表6および7に示したように、ダイカットする工程が接着剤マトリックス内のオキシブ
チニン塩基の非晶質形を不安定化させることが見いだされた。そこで、結晶化はパッチの
辺縁で発生し、中心に向かって進行した。層間剥離(剥離ライナーを引きはがし、それを
同一剥離ライナーと、または新しい剥離ライナーと交換する)が接着剤マトリックス内の
オキシブチニン塩基の非晶質形を不安定化させることもまた見いだされた。そこで、3週
間を過ぎるとパッチの約5%の面積に結晶が形成された。さらに、層間剥離したパッチ内
で結晶が無作為に形成された。結晶の量および結晶化の速度は、剥離力に依存した。
【0126】
後部の切れ目を伴う、もしくは伴わない、および層間剥離を伴う、もしくは伴わないダ
イカットパッチを熱硬化させる工程は、接着剤マトリックス内のオキシブチニン塩基の非
晶質形を再安定化させ、非晶質薬物が結晶化するのを防止することもまた見いだされてい
る。
【0127】
表6および7では、熱硬化させたパッチの安定性を、熱硬化させなかったサイズの大き
な剥離ライナーを備えるパッチの安定性と比較した。15分間にわたるオキシブチニン塩
基の融点を超える温度(約56℃)での熱硬化させる工程は、接着剤マトリックス内のオ
キシブチニン塩基の非晶質形を再安定化させることが見いだされた。そこで、熱硬化させ
たパッチが、ポリシロキサンをベースとする接着剤マトリックスについて室温または40
℃で3カ月間にわたり老化させた後でさえ、結晶成長は観察されなかった。
【0128】
剥離ライナーが接着剤層と同一サイズである熱硬化させたパッチの安定性を比較した場
合は、顕微鏡観察のためには、時点の各々(1、2、3、6、8カ月後)にパウチから新
しく取り出したパッチについて結晶は全く観察されなかったことが見いだされた。しかし
、より早期の時点にパウチから取り出されたパッチ上では結晶が観察されたが、これは接
着剤辺縁がパウチと接触しており、パウチからパッチを取り出すプロセスが接着剤の辺縁
を損傷させたためであった。そこで、接着剤の辺縁の損傷が結晶化を開始させた。しかし
、接着剤層と接触しているサイズの大きな剥離ライナーの使用は、接着剤の辺縁がパウチ
と接触することを防止した。さらに、サイズの大きな剥離ライナーが熱硬化させる工程と
組み合わせて使用された場合は、取り扱いプロセス中の結晶化は防止された。さらに、熱
硬化させたパッチの結晶形成は10サイクルの凍結および融解後には発生しなかった。こ
れらの結果は、ダイカットしていないラミネートの接着剤マトリックス内オキシブチニン
塩基の非晶質形は十分な期間にわたって安定性であることを示している。これらの結果は
、後部の切れ目を伴う、もしくは伴わない、および層間剥離を伴う、もしくは伴わない熱
硬化させたダイカットパッチにおける接着剤マトリックス内オキシブチニン塩基の非晶質
形が、十分な期間にわたって安定性であることも示している。
【表7】
【0129】
偏光顕微鏡分析は、Olympus BX51を用いて実施した。示差走査熱量測定法
(「DSC」)および変調DSCはTAQ−1000DSC機器を用いて実施し、接着剤
マトリックス内非晶質オキシブチニン塩基を特性付けるため、および結晶がラミネートお
よびパッチ中に存在するかどうかを決定するために使用した。
【0130】
結晶性オキシブチニン塩基粉末のDSCは、約56℃で明確な吸熱融点ピークを示し、
−90℃〜80℃ではガラス転移温度を示さなかった。第1回ランから入手したDSCパ
ン中での溶融液を迅速に−90℃へ冷却し、次にその温度を約−90℃から約80℃へ上
昇させた。この溶融液は、約−20℃でガラス転移温度を示したが、吸熱融点ピークは示
さなかったので、これはこの溶融液が非晶質形にあることを示していた。シリコーン接着
剤内の結晶性オキシブチニン塩基のDSCは、吸熱融点ピークおよび一部の溶解したオキ
シブチニン塩基を含有するシリコーン接着剤のTであると考えられる約−120℃のT
を示した。シリコーン接着剤内非晶質オキシブチニン塩基のDSCは、溶解したオキシ
ブチニン塩基を含有するシリコーン接着剤のTであると考えられる約−120℃のT
、および分散した非晶質オキシブチニン塩基のTであると考えられる約−20℃のT
を示した。熱硬化させなかったパッチについては、結晶はパッチの辺縁上で視覚的に、お
よび顕微鏡検査により観察された。部分的に結晶化したパッチのDSCは、2つのガラス
転移温度(各々−120℃および−20℃)および吸熱融点ピークを示した。これは、部
分的に結晶化したパッチ中の結晶性オキシブチニン塩基および非晶質オキシブチニン塩基
の両方の存在と一致している。
【0131】
[実施例59]
活性物質としてスコポラミンを含む経皮送達デバイス
23.83gの酢酸エチルを4gのスコポラミン遊離塩基へ加えた。スコポラミン結晶
が完全に溶解するまでこの溶液を攪拌した。この溶液に、ヘプタン中の92.31gのP
IB溶液(25%ポリマー固体)を加えた。一様な溶液を生成するために、3分間にわた
り高速でプロペラを用いてこの混合物を混合した。しかし、溶液を1時間にわたり回転さ
せた後に、多数の結晶が形成された。そこで、スコポラミン結晶を完全に溶解させて一様
な溶液を形成するために、27.11gのより多くの酢酸エチルを加えた。この溶液は、
閉じ込められた空気を除去するために一晩回転させた後に透明なままであった。粘性溶液
を剥離ライナーであるMedirelease(登録商標)2249へコーティングし、
溶媒を除去するためにオーブン中で乾燥させ、バッキングフィルムであるMedifle
x(登録商標)1200ポリエステル側へ積層させた。結晶を含まないラミネートが形成
された。
【0132】
[実施例60]
活性物質としてナルトレキソンを含む経皮送達デバイス
3.15gのナルトレキソンおよび0.63gのコロイド状二酸化ケイ素を含有する瓶
に24.5gのエタノールを加えた。この混合物を混合し、茶色がかった濁った溶液を形
成するために超音波処理器内で44℃へ加熱した。ナルトレキソン結晶の全部が溶解した
が、コロイド状二酸化ケイ素は分散した。濁った溶液を約30℃へ冷却した後、38.1
6gのDuro−Tak 87−2979(45.12%のポリマー固体)を加えた。一
様な濁った溶液を生じさせるために、3分間にわたり高速でプロペラを用いてこの混合物
を混合した。再びナルトレキソンの全部が溶解したが、コロイド状二酸化ケイ素は分散し
た。閉じ込められた空気を除去するために一晩回転させた後、この溶液を剥離ライナーの
Mediflex(登録商標)2249へコーティングし、オーブン中で乾燥させた。剥
離ライナー上の接着剤側は、バッキングフィルムであるMediflex(登録商標)1
200へ積層させた。結果として生じたラミネートは、ナルトレキソン結晶を含有してい
なかった。
【0133】
[実施例61]
活性物質としてナルトレキソンを含む経皮送達デバイス
ガラス瓶中の3.55gのナルトレキソンおよび0.71gのコロイド状二酸化ケイ素
に8.33gのエタノールを加えた。この混合物を水浴超音波処理器内で混合し、約50
℃へ加熱した。濁った溶液が形成された後(同様に、ナルトレキソン結晶の全部が溶解し
、コロイド状二酸化ケイ素が分散した)、溶液を約30℃へ冷却した。34gのBio−
PSA 7−4302を加えた。一様な溶液を生じさせるためにこの混合物を2分間にわ
たり高速でプロペラを用いて混合した(コロイド状二酸化ケイ素だけが分散し、その他全
部の成分は溶解された)。閉じ込められた空気を除去するために溶液を一晩回転させた後
、この溶液を剥離ライナーであるScotchpak(登録商標)1022へコーティン
グし、オーブン中で乾燥させた。バッキングフィルムであるMediflex(登録商標
)は、接着剤側へ積層させた。形成されたラミネートは、ナルトレキソン結晶を含有して
いなかった。
【0134】
本明細書では特定の実施形態を参照しながら本発明について記載してきたが、これらの
実施形態は本発明の原理および用途の一例に過ぎないことを理解されたい。このため、例
示的実施形態には多数の修飾を加えることができること、および添付の特許請求の範囲に
よって規定された本発明の精神および範囲から逸脱せずに、他の配列を考案できることを
理解されたい。