(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
[本発明の一態様の概要]
本発明の一態様に係るフレキシブルデバイスの製造方法は、表面に水酸基を有する支持体の上に所定の溶液を塗布して薄膜を形成する第1工程と、前記薄膜を焼成して剥離層を形成する第2工程と、前記剥離層の上にフレキシブル基板を形成する第3工程と、前記フレキシブル基板の上にデバイスを形成する第4工程と、前記支持体と前記剥離層との間を境に、前記支持体から、前記剥離層、前記フレキシブル基板及び前記デバイスを剥離する第5工程と、を含み、前記所定の溶液はアルキルシランアルコキシド誘導体とチタンアルコキシド誘導体とを含み、前記第2工程において、前記所定の溶液を塗布して形成される薄膜の焼成温度は、200℃以上350℃以下であり、前記焼成温度が200℃以上270℃未満の場合、前記アルキルシランアルコキシド誘導体に含まれるシリコン原子数と、前記チタンアルコキシド誘導体に含まれるチタン原子数との比は、3.3〜4.1:1であり、前記焼成温度が270℃以上330℃以下の場合、前記比は、3.3〜23:1であり、前記焼成温度が330℃を超え〜350℃以下の場合、前記比は、19〜23:1である。
【0019】
本態様によると、SOG(spin on glass)系分子であるアルキルシランアルコキシド誘導体とチタンアルコキシド誘導体とを含む溶液を用いて薄膜を成膜し、その薄膜を焼成することで形成される剥離層を支持体とその支持体の上方に形成されるフレキシブル基板との間に介在させる。この剥離層は、SOG系分子同士が結合して形成されている。なお、ここで言うSOG系分子同士が結合するとは、上記2種の誘導体の同種誘導体の結合及び異種誘導体の結合の両方を意味する。
【0020】
ここで、アルキルシランアルコキシド誘導体は、ガラスに対して剥離性を有しており、密着性は低いものである。したがって、アルキルシランアルコキシド誘導体は、剥離層の剥離性に寄与していると考えられる。また、アルキルシランアルコキシド誘導体の剥離性は、焼成温度によって変化し、焼成温度が高温であれば剥離性は弱まり、すなわち、密着性が発現し始める。
【0021】
一方、チタンアルコキシド誘導体は、ガラスに対して高い密着性を有しており、剥離性は無いものである。したがって、チタンアルコキシド誘導体は、剥離層の密着性に寄与していると考えられる。なお、チタンアルコキシド誘導体の密着性は、焼成温度によって変化せず、どの焼成温度においても略一定の密着性を有する。
【0022】
上記のように、アルキルシランアルコキシド誘導体は剥離性を有しており、その剥離性は、焼成温度によって変化する。一方、チタンアルコキシド誘導体は、支持体であるガラスとの高い密着性を有しており、その密着性は焼成温度により変化しない。
【0023】
そこで、アルキルシランアルコキシド誘導体を含む溶媒をガラス上に塗布した後の焼成時の焼成温度を制御することで、ガラスに対する剥離性を抑制して、ガラスに対する密着性と剥離性をバランスよく有する剥離層を得ることができる。
【0024】
すなわち、本態様では、所定の溶液に含まれるアルキルシランアルコキシド誘導体とチタンアルコキシド誘導体との混合比を調整しつつ、焼成温度を調整することにより、剥離層とガラスとの密着性及び剥離性を制御することとした。
【0025】
具体的には、(1)剥離性を有するアルキルシランアルコキシド誘導体と、密着性を有するチタンアルコキシド誘導体との混合比、及び、(2)剥離層形成時の焼成温度の制御によって、本態様の剥離層とガラスとの密着性及び剥離性を制御することとした。
【0026】
これにより、アルキルシランアルコキシド誘導体とチタンアルコキシド誘導体との所定の混合比及び所定の焼成温度範囲で剥離層を形成することで、ガラスに対する剥離性と密着性との良いバランスを有する剥離層を得ることができる。
【0027】
したがって、本態様の剥離層は支持体であるガラスとの間で密着性及び剥離性をバランス良く有しており、本態様の剥離層を設けることにより、デバイス形成の際に必要な密着性及び支持体からフレキシブル基板を剥離する際に必要な剥離性の両方を担保する。したがって、本態様の剥離層を設けることで、過度な力を加えることなく、他の手段を用いることなく、支持体から剥離層、フレキシブル基板及びデバイスを容易に剥離することができる。その結果、フレキシブル基板を破断及び変形させることなく、またデバイスを破損させることなく、フレキシブルデバイスを製造することがきる。
【0028】
また、本態様の剥離層は、単層のみで剥離性及び密着性の両方をバランス良く有しているため、剥離層として複数の層を設ける必要が無いため、プロセスの負担を低減することができる。
【0029】
また、本態様の剥離層は、溶液を成膜し焼成することで得られるため、蒸着等の気相プロセスは不要であり、比較的安価で容易に形成することができる。
【0030】
また、アルキルシランアルコキシド誘導体とチタンアルコキシド誘導体とを含む薄膜を焼成し得られる剥離層は、無機系材料であり、熱耐性及び寸法安定性を有するため、熱を加えられても変形やひび割れが発生することもない。その結果、剥離層の上に形成されているフレキシブル基板の変形も抑制することができる。また、剥離後の剥離層はバリア膜として機能する。
【0031】
また、本発明の一態様に係るフレキシブルデバイスの製造方法の特定の局面では、前記第3工程において、前記フレキシブル基板は、前記剥離層の上に塗布法により形成される。本態様によると、フレキシブル基板を形成する工程を塗布法にすることで、フレキシブル基板を得るのにプロセスの負担を低減することができる。
【0032】
また、本発明の一態様に係るフレキシブルデバイスの製造方法の特定の局面では、前記第3工程において、前記フレキシブル基板は、ポリイミドにより形成される。
【0033】
また、本発明の一態様に係るフレキシブルデバイスの製造方法の特定の局面では、前記第3工程において、前記フレキシブル基板の膜厚は、5〜60μmの厚さで形成される。本態様によると、強度が強く破断し難い剥離層がフレキシブル基板の下面に形成されているため、剥離層が形成されていないフレキシブル基板よりも強度が強く、その結果、フレキシブル基板の膜厚を5〜60μmの薄さにまでしても十分に実用可能であり、5〜20μm程度の厚さまで薄くすることができる。
【0034】
また、本発明の一態様に係るフレキシブルデバイスの製造方法の特定の局面では、前記デバイスは、半導体装置を含む。
【0035】
また、本発明の一態様に係るフレキシブルデバイスの製造方法の特定の局面では、前記デバイスは、表示装置を含む。さらに、本発明の一態様に係るフレキシブルデバイスの製造方法の特定の局面では、前記表示装置は、有機ELである。
【0036】
本発明の一態様に係るフレキシブルデバイスは、上記いずれかに記載のフレキシブルデバイスの製造方法により製造されている。
【0037】
また、本発明の一態様に係る別のフレキシブルデバイスでは、フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板の下方にある剥離層と、前記フレキシブル基板の上方にある半導体装置と、前記フレキシブル基板の上方であって、前記半導体装置によって制御される表示装置と、を備え、前記剥離層は、ポリアルキルシロキサンと酸化チタンとを含む。本態様によると、例えばフレキシブルデバイスが、ボトムエミッション型の有機EL表示装置の場合に、フレキシブル基板の下に剥離層があり、この剥離層は酸化チタンを含んでいる。それにより、有機EL表示装置であるフレキシブルデバイスの外部から入射する光のうち、紫外領域の光を、酸化チタンが吸収する。その結果、フレキシブルデバイスの内部に入る紫外領域の光を減らすことができ、有機ELに含まれる有機発光層の紫外領域の光によるダメージを低減できる。したがって、有機発光層の劣化を防ぎ、長寿命なフレキシブルデバイスを提供できる。特にこのような構成はフレキシブル基板が紫外線を吸収しない材料である場合に好適である。
【0038】
また、本発明の一態様に係るフレキシブルデバイスの特定の局面では、前記ポリアルキルシロキサンに含まれるシリコン原子数と前記酸化チタンに含まれるチタン原子数との比は、3.3〜23:1である。
【0039】
また、本発明の一態様に係るフレキシブルデバイスの特定の局面では、前記表示装置は、有機ELである。
【0040】
[発明に至った経緯]
支持体の上に剥離層を形成し、その剥離層の上にフレキシブル基板を形成し、そのフレキシブル基板の上にデバイス(例えば、駆動回路用TFT及び有機ELを含む)を形成した後、前記支持体と前記剥離層との界面で、前記支持体から剥離層、フレキシブル基板及びデバイスを一体として剥離する工程を含むフレキシブルデバイスの製造方法について、前記剥離層の求められる性質を以下のように検討した。
【0041】
(1)高温耐性、薬品耐性
先ず、フレキシブル基板の上にデバイスを形成する際には、高温工程又は薬品を使う工程がある。例えば、デバイスが駆動回路用TFTを含む場合、TFTの半導体層にレーザーを照射する工程や、金属配線を形成するためにエッチングを行う工程などである。これら工程において剥離層が変質、変形しないように、剥離層には高温耐性及び薬品耐性を有することが求められる。
【0042】
(2)密着性、剥離性
次に、フレキシブル基板の上にデバイスを形成する際には、フレキシブル基板を固定するために、剥離層と支持体との密着性が求められる。一方で、支持体から剥離層、フレキシブル基板及びデバイスを一体として剥離する際には、フレキシブル基板を破損させないために、支持体と剥離層との剥離性が求められる。すなわち、密着性と剥離性とは相反する性質であるが、これら性質の両方をバランス良く有することが剥離層に求められる。
【0043】
(3)塗布性
さらに、フレキシブルデバイスの製造において、プロセスを簡素化しプロセス負荷を減らすために、塗布プロセスにより剥離層を形成することが求められる。
【0044】
(4)各性質の評価
発明者は、上記(1)から(3)の性質を有する剥離層の材料を鋭意検討した。その一例として、各種の材料について、(1)高温耐性、薬品耐性、(2)密着性、剥離性、(3)塗布性等を評価する実験を行なった。
【0045】
実験では、ガラス基板として無アルカリガラスを用い、フレキシブル基板の材料として、ポリイミドを用いた。
【0046】
剥離層の材料として、SOG(spin on glass)と従来例として特許文献2の剥離層の材料であるパリレンとCOCについて検討した。SOGとしては、SiO系SOGであるアルキルシランアルコキシド誘導体(ラサ工業株式会社製:VRL−1H−5k)と、TiO系SOGであるチタンアルコキシド誘導体(ラサ工業株式会社製:TI―204−2k)を用いた。
【0047】
ガラス基板上への剥離層の形成は、以下の方法で行った。SOGは、溶液にしてスピンコーターにより塗布し、150℃で1分間、200℃で1分間加熱した後、330℃で加熱した。
【0048】
剥離層上へのフレキシブル基板の形成は、ポリイミド前駆体をスピンコーターにより塗布し、多段階で昇温し、350℃(又は300℃)で加熱した後、放冷した。
【0049】
実験結果を
図1に示す。
図1において、良いと評価したものが「○」、悪いと評価したものが「×」、やや良いと評価したものが「△」である。
図1に示す結果から、剥離層用として十分な高温耐性、薬品耐性及び塗布性を有する材料として、SiO系SOGであるアルキルシランアルコキシド誘導体、及び、TiO系SOGであるチタンアルコキシド誘導体を着目するに至った。
【0050】
(5)SOG
SiO系SOGは、中心金属であるシリコン(Si)が4つの結合手を有しており、その内の2つは隣接するSOG系分子との結合に用いられ、残りの2つは有機基(OR)、水酸基(OH)、炭化水素基(R)のうちのいずれかと結合していると考えられる。
【0051】
一方、TiO系SOGは、中心金属であるチタン(Ti)が4つの結合手を有しており、その内の2つは隣接するSOG系分子との結合に用いられ、残りの2つは有機基(OR)、水酸基(OH)のいずれかと結合していると考えられる。
【0052】
SiO系SOG及びTiO系SOGの双方において、SOG分子の水酸基(OH)が、隣接するSOG分子の水酸基(OH)又はガラスの水酸基(OH)と脱水縮合し、SOG分子同士の結合又はSOG分子とガラスとの結合に寄与すると考えられる。したがって、SOGをガラス基板上に塗布し、焼成することでSOG層を形成した場合には、SOG層の表面の水酸基(OH)とガラス表面の水酸基(OH)とが脱水縮合して共有結合を形成することにより、SOGとガラスとが密着性を発現する。すなわち、SOGの表面に存在する水酸基(OH)の量により、SOGとガラスとの密着性が決まり、その水酸基(OH)の量を制御することで、SOGとガラスとの密着性をコントロールできる。
【0053】
一方、SOGの中でもSiO系SOGについては、Siの結合手の一部が炭化水素基(R)と結合している。炭化水素基(R)はガラスの水酸基(OH)とは結合しないので、SiO系SOGはガラスに対して剥離性を有する。
【0054】
以上を踏まえて、SiO系SOG及びTiO系SOGの密着性及び剥離性の特徴について実験により以下の見識を得た。
【0055】
(6)SiO系SOG
SiO系SOGの一例であるアルキルシランアルコキシド誘導体を支持体であるガラス基板の上に塗布し、焼成することでSOG層を形成することができる。
【0056】
アルキルシランアルコキシド誘導体に含まれている有機基(OR)は、焼成において低温の加熱でも加水分解を起こし、水酸基(OH)になる。
【0057】
アルキルシランアルコキシド誘導体に含まれている炭化水素基(R)も、焼成において脱離し水酸基(OH)に変化するが、焼成温度によって変化の度合いが異なる。
【0058】
アルキルシランアルコキシド誘導体に含まれている炭化水素基(R)は焼成温度が200度未満の場合、炭化水素基(R)は脱離せず、水酸基(OH)に変化しない。したがって、
図2(a)に示すように、SOG層とガラス基板との界面において、SOG層の表面に、Si原子と結合している炭化水素基(R)が存在する。この炭化水素基(R)は、ガラス基板の表面の水酸基(OH)と結合しないため、アルキルシランアルコキシド誘導体はガラス基板に対して剥離性を有する。
【0059】
一方、焼成温度が200度以上の場合、炭化水素基(R)は脱離し始め、水酸基(OH)に変化し始め、焼成温度が高温であるほど炭化水素基(R)が減少して、炭化水素基(R)から変化した水酸基(OH)が増大する。すなわち、アルキルシランアルコキシド誘導体に含まれる炭化水素基(R)と水酸基(OH)との割合は焼成温度により決まり、焼成温度が高温であるほど、炭化水素基(R)が水酸基(OH)に変化する割合が増え、SOG層の表面に存在する水酸基(OH)の量が増える。
【0060】
焼成温度が高温であれば、
図2(b)に示すように、SOG層の表面の水酸基(OH)とガラス基板の表面の水酸基(OH)とが脱水縮合して共有結合する確率が高くなるため、SOG層とガラス基板との剥離性が弱くなり、密着性を発現し始める。
【0061】
したがって、焼成温度が200度以上にすることで、SOG層の表面に存在する水酸基(OH)の量を増大させ、その結果、SOG層のガラス基板に対する剥離性を抑制できる。なお、SOG層の焼成温度が200度以上であっても、350度以下であれば、SOG層は、ガラス基板に対して一定の剥離性を備えている。
【0062】
(7)TiO系SOG
TiO系SOGであるチタンアルコキシド誘導体を支持体であるガラスの上に塗布し、焼成することでSOG層を形成することができる。
【0063】
図3に示すように、TiO系SOGであるチタンアルコキシド誘導体からなるSOG層の表面は水酸基(OH)が多い。そのため、焼成温度によらず、SOG層の表面に存在する水酸基(OH)とガラス基板の表面の水酸基(OH)とが共有結合を形成する確率は高いため、高い密着性を有する。すなわち、チタンアルコキシド誘導体は、焼成温度によらず、ガラスに対して高い密着性を有しており、剥離性を有していない。
【0064】
(8)SiO系材料とTiO系材料との混合
上記のように、アルキルシランアルコキシド誘導体は、支持体であるガラスに対して剥離性を有しており、焼成温度の制御により、ガラスに対する剥離性の強弱を制御できる。すなわち、高温で焼成すれば剥離性は弱まり、密着性が発現し始める。一方、チタンアルコキシド誘導体は、焼成温度に因らず、支持体であるガラスに対して高い剥離性を有する。
【0065】
そこで、焼成温度によりガラスに対する剥離性が変化するアルキルシランアルコキシド誘導体の特性に着目し、アルキルシランアルコキシド誘導体を含む溶液をガラス上に塗布して薄膜を形成する際の焼成温度を制御することで、その薄膜のガラスに対する剥離性を制御して、ガラスに対する密着性と剥離性をバランスよく有する剥離層を得ることとした。
【0066】
しかしながら、溶媒に溶解させることができるアルキルシランアルコキシド誘導体の量は少量であり、溶液にアルキルシランアルコキシド誘導体を多量に混ぜると溶液の粘性が増し、薄膜形成時に溶液プロセスを用いることができない。すなわち、アルキルシランアルコキシド誘導体を溶解させることができる量に制限があり、アルキルシランアルコキシド誘導体だけでは溶液を作製できない。
【0067】
一方、チタンアルコキシド誘導体は多量に溶媒に溶解させることができる。そこで、アルキルシランアルコキシド誘導体とチタンアルコキシド誘導体とを混合させることで、剥離層のガラスに対する密着性と剥離性をバランスよく担保することとした。
【0068】
(9)混合比及び焼成温度
適度な密着性を有し剥離可能な剥離層を得るために、(1)アルキルシランアルコキシド誘導体とチタンアルコキシド誘導体との混合比、及び、(2)焼成温度範囲について、鋭意検討を行なった。
【0069】
実験では、所定の溶液として、SiO系SOG溶液(ラサ工業株式会社製:TI−204−2k)と、TiO系SOG溶液(ラサ工業株式会社製:VRL−1H−5k)との混合溶液を用いた。アルキルシランアルコキシド誘導体については、前記SiO系SOG溶液に含まれており、また、チタンアルコキシド誘導体については、前記TiO系SOG溶液に含まれている。
【0070】
混合溶液に含まれるアルキルシランアルコキシド誘導体とチタンアルコキシド誘導体との比は、以下のように算出した。
【0071】
まず、所望の混合体積比のSiO系SOG溶液及びTiO系SOG溶液を、それぞれ加熱し溶液中の溶媒を蒸発させ、それぞれの溶液から得られた残留固形物の重量をそれぞれ測定した。ここで、加熱されることにより、SiO系SOG溶液に含まれるアルキルシランアルコキシド誘導体は二酸化シリコン(SiO
2)に、また、TiO系SOG溶液に含まれるチタンアルコキシド誘導体は二酸化チタン(TiO
2)に変化すると考えられる。そのため、SiO系SOG溶液の残留固形物の重量をSiO
2の分子量で除算し、TiO系SOG溶液の残留固形物の重量をTiO
2の分子量で除算することで、所望の混合体積比のSiO系SOG溶液及びTiO系SOG溶液のうちSiO系SOG溶液に含まれるシリコンの原子数とTiO系SOG溶液に含まれるチタンの原子数を算出した。これら原子数から、所定の溶液に含まれるアルキルシランアルコキシド誘導体のSi原子数とチタンアルコキシド誘導体のTi原子数との比が求められる。
【0072】
Si原子数とTi原子数との比が異なる剥離層を種々形成し、それら剥離層の剥離性を評価する実験を行なった。その実験結果を
図4に示す。
【0073】
実験では、ガラス基板として、無アルカリガラスを用いた。フレキシブル基板の材料として、ポリイミドを用いた。
【0074】
剥離層は、溶液をスピンコーターにより塗布し、150℃で1分間、200℃で1分間加熱した後、330℃で焼成し形成した。なお、この焼成は、多段階で昇温しても、又は徐々に温度を上げる工程で行ってもよい。
【0075】
剥離層上のフレキシブル基板は、ポリイミド前駆体をスピンコーターにより塗布し、350℃で焼成してポリイミドを形成した。なお、この焼成は、徐々にまたは多段階で温度を上げる工程で行ってもよい。
【0076】
剥離層の剥離性の評価は、フレキシブル基板および剥離層にカッターナイフで切れ込みを入れ、剥離層が自然に剥離するか否かで判断した。外周の一部に切れ込みを入れることによって剥離層全体が剥離した場合は、剥がれ易いとして「A」と評価した。外周全体に切れ込みを入れることによって剥離層全体が剥離した場合は、剥離性と密着性のバランスが良いとして「B」と評価した。部分的に密着力が高く、フレキシブル基板においてポリイミドの凝集破壊が起こった場合は、剥がれ難いとして「C」と評価した。
【0077】
実験結果を
図4に示す。
図4に示す結果から、Si原子数とTi原子数の比(Si:Ti)の好適な範囲は、焼成温度が200℃以上270℃未満の場合は3.3〜4.1(3.7±0.4):1であり、焼成温度が270℃以上330℃以下の場合は3.3〜23:1(3.7±0.4〜21±2)であり、焼成温度が330℃を超え〜350℃以下の場合は19〜23(21±2):1であった。
【0078】
(10)まとめ
以上により、
図5に示すように、剥離層の表面の水酸基(OH)とガラス基板の表面の水酸基(OH)とを適度な確率で共有結合させ、ガラスに対する密着性と剥離性とのバランスを良くすることで、適度な密着性を有し剥離可能な剥離層を得ることができた。
【0079】
すなわち、本態様では、所定の溶液に含まれるアルキルシランアルコキシド誘導体とチタンアルコキシド誘導体との混合比を調整しつつ、焼成温度を調整することにより、剥離層とガラスとの密着性及び剥離性を制御することとした。
【0080】
これにより、アルキルシランアルコキシド誘導体とチタンアルコキシド誘導体との所定の混合比及び所定の焼成温度範囲で剥離層を形成することで、ガラスに対する剥離性と密着性との良いバランスを有する剥離層を得ることができる。
【0081】
したがって、本態様の剥離層は支持体であるガラスとの間で密着性及び剥離性をバランス良く有しており、本態様の剥離層を設けることにより、デバイス形成の際に必要な密着性及び支持体からフレキシブル基板を剥離する際に必要な剥離性の両方を担保する。したがって、本態様の剥離層を設けることで、過度な力を加えることなく、他の手段を用いることなく、支持体から剥離層、フレキシブル基板及びデバイスを容易に剥離することができる。その結果、フレキシブル基板を破断及び変形させることなく、またデバイスを破損させることなく、フレキシブルデバイスを製造することがきる。
【0082】
[実施の形態]
以下、本発明の一態様に係るフレキシブルデバイスの製造方法及びフレキシブルデバイスについて、図面を参照しながら説明する。
【0083】
本発明の一態様に係るフレキシブルデバイスの製造方法は、
図6(a)に示すように支持体1の上に溶液を塗布して薄膜2Aを形成する工程と、
図6(b)に示すように薄膜2Aを焼成して剥離層2を形成する工程と、
図6(c)に示すように剥離層2の上にポリイミド樹脂等からなるフレキシブル基板3を形成する工程と、
図6(d)に示すようにフレキシブル基板3の上にデバイス4を形成する工程と、
図6(e)に示すように支持体1から剥離層2、フレキシブル基板3及びデバイス4を一体として剥離し、フレキシブルデバイス5を得る工程とを包含する。
【0084】
以下に、本発明の一態様に係るフレキシブルデバイスの製造方法について詳細に説明すると共に、本発明の一態様に係るフレキシブルデバイスの構成について説明する。
【0085】
(1)剥離層形成
先ず、
図7に示すように、支持体1上に剥離層2を形成する(ステップS101)。
【0086】
支持体1は、剥離層2と適度な密着性を確保するため、その表面に水酸基を有するものが好ましく、かつデバイスを形成するプロセスに耐えうる高温耐性や薬品耐性と、ハンドリング性の観点から十分な剛直性を有するものが好ましい。例えば、液晶表示装置などに用いられている無アルカリガラス基板を好適に用いることができる。他にも表面に水酸基を有する支持体の例としては、石英基板、シリコン基板、熱酸化膜付きシリコン基板などの支持基板が挙げられる。以下の例では、支持体1として無アルカリガラス基板を用いる。
【0087】
剥離層2は、支持体1とフレキシブル基板3間の密着性を調整するためのものであり、各種の硬化性化合物からなる混合溶液を支持体1上に塗布し焼成して硬化させたものである。硬化性混合物としては、特に、ガラス基板との密着性が比較的低いシランアルコキシドと、ガラス基板との密着性が比較的高いチタンアルコキシドの組み合わせを好適に用いることができる。
【0088】
シランアルコキシドは下記一般式
R
1mSi(OR
2)
4−mで示されるものである。上式中のR
1は炭素数1〜6の炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。また、R
2は炭素数1〜10の炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-へキシル基、シクロへキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、フェニル基、ビニル基、アリル基などが挙げられる。mは0〜2の整数が好ましい。
【0089】
チタンアルコキシドは一般式 Ti(OR)
4で示され、その具体例としては、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラn-プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラアセチルアセトナートなどが好ましく用いられる。
【0090】
支持体1の上に剥離層2となる硬化性混合物を塗布して薄膜2Aを形成する工程は、例えば、スピンコーティング法、スリットコーティング法などのコーティング法やスクリーン印刷などの印刷法を用いて行うことができる。その後、薄膜2Aを150℃で1分、200℃で1分乾燥させ、最終的に200〜350℃で焼成を行い、剥離層2を得る。なお、この焼成は、多段階で昇温しても、又は徐々に温度を上げる工程で行ってもよい。
【0091】
(2)フレキシブル基板形成
次に、
図7に示すように、剥離層2の上にフレキシブル基板3を形成する(ステップS102)。フレキシブル基板3は、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、シリコーン系樹脂等の絶縁性材料をベースとして形成されている。例えば、ポリイミド前駆体をスピンコーターにより塗布し、焼成することによってポリイミドを形成する。なお、この焼成は、徐々にまたは多段階で温度を上げる工程で行ってもよい。ボトムエミッション型のフレキシブルデバイスにおいて、フレキシブル基板3が紫外線をほとんど吸収しない材料(例えば、シリコーン系樹脂やポリオレフィン系樹脂等)で形成されている場合は、有機発光層が紫外線に晒されるのを防止するために、フレキシブル基板3の下面に紫外線吸収効果を有する酸化チタンを含む剥離層2が形成された本態様の構成がより有効である。
【0092】
本態様ではフレキシブル基板3の下面に剥離層2が形成されているため、フレキシブル基板3が破損し難い。したがって、フレキシブル基板3の膜厚を薄くすることができる。フレキシブル基板3の膜厚は、5〜60μmの厚さが好ましく、5〜20μm程度の厚さにすることもできる。
【0093】
(3)TFT形成
次に、
図7に示すように、半導体装置の一例としてのTFTを形成する(ステップS103)。
図8に示すように、TFTは、フレキシブル基板3の上面に形成されたゲート、ソース及びドレイン6の各電極で構成されており(
図8では、ドレイン6のみを図示)、その上をパッシベーション膜7で被覆してなる構成を有する。なお、半導体装置としては、TFT以外に、MOSFET、CMOS等が挙げられる。
【0094】
(4)絶縁層形成
次に、
図7に示すように、TFT上に絶縁層8を形成する(ステップS104)。
図8に示すように、絶縁層8は、ドレイン6上の一部が露出するコンタクト孔8aが開けられ、その他の部分の上面が略平坦化されている。絶縁層8は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、アクリル系樹脂材料などの有機化合物を用い形成されている。
【0095】
(5)アノード形成
次に、
図7に示すように、絶縁層8上にアノード9を形成する(ステップS105)。
図8に示すように、アノード9は、発光単位(サブピクセル)で区画され形成されており、コンタクト孔8aの側壁に沿って一部がドレイン6に接続されている。なお、アノード9は、例えば、スパッタリング法や真空蒸着法などにより金属膜を成膜した後、サブピクセル単位にエッチングすることで形成できる。アノード9は、例えば、AgまたはAlを含む金属材料から構成されている。本態様のようなトップエミッション型のフレキシブルデバイス5の場合には、その表面部が高い反射性を有することが好ましい。
【0096】
(6)透明導電膜形成
次に、
図7に示すように、アノード9の上面を覆うように透明導電膜10が形成されている(ステップS106)。
図8に示すように、透明導電膜10は、アノード9の上面のみならず側端面も覆っており、また、コンタクト孔8a内においてもアノード9の上面を覆っている。なお、透明導電膜10は、上記同様に、スパッタリング法や真空蒸着法などを用い成膜した後、エッチングによりサブピクセル単位に区画することにより形成される。透明導電膜10は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)若しくはIZO(Indium Zinc Oxide)などを用い形成される。
【0097】
(7)ホール注入層形成
次に、
図7に示すように、透明導電膜10上の一部にホール注入層11を形成する(ステップS107)。
図8に示すように、ホール注入層11は、透明導電膜10上の全体ではなく、その一部に形成されているが、全体に形成することもできる。
【0098】
ここで、ホール注入層11は、金属酸化物からなる層とすることも、有機材料からなる層とすることもできる。そして、金属酸化物からなる層からなるホール注入層11を採用する場合には、例えば、透明導電膜10上および露出した絶縁層8の一部表面を覆うように、金属酸化膜を形成し、この膜をエッチングによりサブピクセル単位に区画することにより形成される。
【0099】
ホール注入層11は、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの酸化物、あるいは、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料からなる層である。上記の内、金属酸化物からなるホール注入層11は、電荷を安定させ、または電荷の生成を補助して、発光層14に対しホール(正孔)を注入する機能を有し、大きな仕事関数を有する。
【0100】
ここで、ホール注入層11を遷移金属の酸化物から構成する場合には、複数の酸化数をとるためこれにより複数の準位をとることができ、その結果、ホール注入が容易になり駆動電圧を低減することができる。特に、酸化タングステン(WO
X)を用いることが、ホールを安定的に注入し、且つ、ホールの生成を補助するという機能を有するという観点から望ましい。
【0101】
(8)バンク形成
図7に示すように、各サブピクセルを規定するバンク12を形成する(ステップS108)。
図8に示すように、バンク12は、ホール注入層11の外縁部の一部を覆い、ホール注入層11で覆われていない透明導電膜10および絶縁層8の上に形成されている。
【0102】
バンク12の形成は、先ず、ホール注入層11の外面および透明導電膜10、絶縁層8の上に、バンク12の材料層を積層形成する。この材料層は、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂などの感光性樹脂成分とフッ素成分を含む材料を用い、スピンコート法等により形成される。なお、本態様においては、感光性樹脂材料の一例として、ネガ型感光性材料(日本ゼオン株式会社製:ZPN1168)を用いることができる。
【0103】
次に、材料層をパターニングして、各サブピクセルに対応する開口部を形成する。開口部の形成には、材料層の表面にマスクを配して露光を行い、その後で現像を行うことにより形成できる。
【0104】
バンク12は、樹脂等の有機材料を用い形成されており絶縁性を有する。バンク12の形成に用いる有機材料の例としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等があげられる。バンク12は、有機溶剤耐性を有することが好ましい。さらに、バンク12は、製造工程中において、エッチング処理、ベーク処理など施されることがあるので、それらの処理に対して過度に変形、変質などをしないような耐性の高い材料で形成されることが好ましい。また、撥水性をもたせるために、表面をフッ素処理することもできる。
【0105】
(9)ホール輸送層形成
次に、
図7および
図8に示すように、ホール注入層11上におけるバンク12で規定された各凹部内には、ホール輸送層13が形成される(
図7におけるステップS109)。ホール輸送層13は、その構成材料である有機化合物からなる膜を印刷法で成膜した後、焼成することで形成される。ホール輸送層13は、親水基を備えない高分子化合物を用い形成されている。例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物であって、親水基を備えないものなどを用いることができる。
【0106】
(10)発光層形成
次に、
図7および
図8に示すように、バンク12で規定された各凹部内におけるホール輸送層13上には、発光層14が形成される(
図7におけるステップS110)。発光層14は、例えば、その構成材料である有機化合物からなる膜を印刷法で成膜した後、焼成することで形成される。発光層14は、上述のように、ホールと電子とが注入され再結合されることにより励起状態が生成され発光する機能を有する。発光層14の形成に用いる材料は、例えば、湿式印刷法を用い製膜できる発光性の有機材料を用いることが必要である。
【0107】
具体的には、発光層14は、例えば、特許公開公報(日本国・特開平5−163488号公報)に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質で形成されることが好ましい。
【0108】
(11)電子輸送層形成
次に、
図7および
図8に示すように、バンク12で規定された各凹部内における発光層14上には、電子輸送層15が形成される(
図7におけるステップS111)。電子輸送層15は、カソード16から注入された電子を発光層14へ輸送する機能を有し、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などを用い形成されている。
【0109】
(12)カソード形成
次に、
図7に示すように、電子輸送層15上にカソード16を積層する(ステップS112)。
図8に示すように、カソード16は、バンク12の頂面も被覆するように、フレキシブル基板3の上方全体に亘って形成されている。カソード16は、例えば、ITO若しくはIZOなどを用い形成される。本態様のようなトップエミッション型のフレキシブルデバイス5の場合は、光透過性の材料で形成されることが好ましい。光透過性については、透過率が80%以上とすることが好ましい。
【0110】
カソード16の形成に用いる材料としては、上記の他に、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらのハロゲン化物を含む層の構造、あるいは、前記いずれかの層に銀を含む層とをこの順で積層した構造を用いることもできる。上記において、銀を含む層は、銀単独で形成されていてもよいし、銀合金で形成されていてもよい。また、光取出し効率の向上を図るためには、当該銀を含む層の上から透明度の高い屈折率調整層を設けることもできる。
【0111】
(13)封止層形成
次に、
図7に示すように、カソード16上に封止層17を積層する(ステップS113)。
図8に示すように、封止層17は、バンク12の頂面も被覆するように形成されており、全面に形成されている。封止層17は、発光層14などの有機層が水分に晒されたり、空気に晒されたりすることを抑制する機能を有し、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成される。また、SiN、SiONなどの材料を用い形成された層の上に、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂材料からなる封止樹脂層を設けてもよい。
【0112】
封止層17は、本態様のようなトップエミッション型のフレキシブルデバイス5の場合においては、光透過性の材料で形成されることが好ましい。
【0113】
(14)接着樹脂剤塗布及びCFパネル接合
次に、
図7に示すように、封止層17上に接着樹脂材を塗布し、予め準備しておいたCF(カラーフィルタ)パネル19を接合する(ステップS114,S115)。
図8に示すように、接着樹脂層18により接合されるCFパネル19は、基板19aの下面にカラーフィルタ19bおよびブラックマトリクス19cが形成されてなる。
【0114】
(15)剥離
最後に、
図7に示すように、支持体1から剥離層2より上を剥がして、フレキシブルデバイス5が完成する(ステップS116)。以上のようにして得られたフレキシブルデバイス5は、フレキシブル基板2のデバイスが形成されている側とは反対側の面に剥離層2を有する。
【0115】
なお、フレキシブルデバイス5において、フレキシブル基板3の上面に形成されたゲート、ソース及びドレイン6の各電極で構成されるTFTが半導体装置であり、アノード9、透明導電膜10、ホール注入層11、ホール輸送層13、発光層14、電子輸送層15、カソード16で構成される発光素子が有機EL表示装置である。