特許第6068432号(P6068432)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6068432
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】治療における調節性T細胞の使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20170116BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20170116BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20170116BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20170116BHJP
【FI】
   A61K35/17 Z
   A61P1/00
   A61P1/04
   !C12N5/0783
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-500481(P2014-500481)
(86)(22)【出願日】2011年4月26日
(65)【公表番号】特表2014-511676(P2014-511676A)
(43)【公表日】2014年5月19日
(86)【国際出願番号】IB2011001283
(87)【国際公開番号】WO2012131419
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2014年4月2日
(31)【優先権主張番号】61/467,568
(32)【優先日】2011年3月25日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510087944
【氏名又は名称】ティクセル
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(72)【発明者】
【氏名】フォルテ,ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】フォーセット,アルノー
【審査官】 上條 肇
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−535525(JP,A)
【文献】 特表2008−531009(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/095141(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/17
C12N 5/00 − 5/28
MEDLINE/BIOSIS(STN)
PubMed
JSTPlus/JMEDPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的有効量の1個の調節性T細胞を含有し、それを必要とするヒト患者のクローン病治療用医薬組成物。
【請求項2】
前記調節性T細胞は自己由来である、請求項1に記載のクローン病治療用医薬組成物。
【請求項3】
前記調節性T細胞は同種異系である、請求項1に記載のクローン病治療用医薬組成物。
【請求項4】
前記調節性T細胞は多クローン性である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のクローン病治療用医薬組成物。
【請求項5】
前記調節性T細胞は単クローン性である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のクローン病治療用医薬組成物。
【請求項6】
前記調節性T細胞は、単一抗原に特異的である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のクローン病治療用医薬組成物。
【請求項7】
前記単一抗原は卵白アルブミンである、請求項6に記載のクローン病治療用医薬組成物。
【請求項8】
前記調節性T細胞は、多重抗原に特異的である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のクローン病治療用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調節性T細胞と、自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギーもしくは喘息疾患、移植片対宿主病の治療または移植片拒絶の予防のための細胞療法におけるその使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
免疫系は、互いに相互作用し、かつ協働して、疾患から生体を保護し、かつ既に罹患している疾患と闘う多くの異なる役者たちの複雑なネットワークである。これらの役者たちの中には、免疫活性化を抑制し、それにより免疫ホメオスタシスおよび自己抗原に対する寛容性を維持するように作用する調節性T細胞が含まれる。
【0003】
調節性T細胞は、当該技術分野において、内在性調節性T細胞(nTreg)、1型調節性T細胞(Tr1)およびTh3細胞などの異なる細胞集団を含むと言われている。
【0004】
調節性T細胞の治療的可能性は何十年も前に予見されていたが、薬剤の生体内投与によるその強力な免疫調節活性の臨床実施は難しいことが分かっている。養子性の調節性T細胞療法は、調節性T細胞の免疫抑制活性を利用する魅力的な代替手段である。この手法では、調節性T細胞を患者または健康なドナーから取り出し、濃縮し、時には生体外でさらに増殖させて、同じ患者または同種異系のレシピエントのいずれかに再注入する。
【0005】
調節性T細胞はヒトの末梢血単核細胞の非常に少ない割合すなわち約1〜5%のみでしか存在しないため、治療用途でのその使用には問題がある。従って、特定の疾患の治療での使用のために、生体外での調節性T細胞の活性化および増殖方法、すなわち増殖誘導方法が開発されてきた。これらの方法は全て、それを必要としている患者に再注入するために、少なくとも10〜10個の細胞などの多数の調節性T細胞を提供することを目的としてきた。
【0006】
実際に、細胞療法の独断的定説の1つは、より多くの細胞を注入すれば、古典的な医薬品に見られるような効果がさらに高まるということに依存している。注入される細胞の患者に対する毒性は化学物質のように高くないため、一般に、多数の細胞(10〜1010個の細胞)が患者に投与される。
【0007】
多数の細胞を投与する別の理由は、注入された多数の細胞は一般に、好ましくは肝臓、脾臓および肺、次いで体のあらゆる他の部分とし得る目的部位までさらに下方に移動するという点である。
【0008】
最終的に、調節性T細胞療法に関して、臨床医は、高い調節性T細胞:従来のT細胞比を達成するつもりであり、故にこのような理由のためにも、多数の細胞を患者に投与する。
【0009】
臨床試験において調節性T細胞療法が行われているが、本発明者らは、患者に投与されるそのような高用量の調節性T細胞は、当該技術分野において考えられている程に有効ではないことを見い出した。
【0010】
従って、それを必要としている患者の治療にとってさらに効率的である調節性T細胞療法のための新しい方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的の1つは、治療的有効量の10〜10個の調節性T細胞を患者に投与することを含む、それを必要としている患者の治療方法である。
【0012】
本発明の目的の1つは、それを必要としている患者の炎症性疾患または自己免疫疾患の治療において、あるいはその治療のために使用される調節性T細胞であり、ここでは、治療的有効量の10〜10個の調節性T細胞が患者に投与される。
【0013】
本発明の一実施形態では、調節性T細胞は自己由来である。
【0014】
本発明の別の実施形態では、調節性T細胞は同種異系である。
【0015】
本発明の別の実施形態では、調節性T細胞は多クローン性である。
【0016】
本発明の別の実施形態では、調節性T細胞は単クローン性である。
【0017】
本発明の別の実施形態では、調節性T細胞は、単一抗原に特異的である。本発明の別の実施形態では、調節性T細胞は多重抗原に特異的である。本発明の別の実施形態では、治療される患者は、自己免疫疾患、炎症性疾患、喘息もしくはアレルギー疾患、移植片対宿主病に罹患しているか移植を受ける予定である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(A)5週目および(B)8週目の治療に対するCDAI個体応答。
図2】(A)5週目および8週目の治療に対するCDAIコホート応答ならびに(B)8週目の治療に対するIBDQコホート応答。
図3】(A)応答率および(B)寛解率。
図4】(A)卵白アルブミンに対する生体外での応答者のPBMC増殖応答。(B)コホートごとの卵白アルブミンに対する増殖低下率。
図5】異なる投与量で卵白アルブミンに特異的なTr1細胞を2回注入したクローン病患者におけるCDAI個体応答。R=応答あり、NR=応答なし。
図6】細胞注入後8週間のクローン病患者におけるCDAI個体応答。黒い丸:10個用量、白い四角:10個用量。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(定義)
本明細書に使用されている「抗原」という用語は、本発明の細胞が導かれる先のタンパク質、ペプチドまたは脂質もしくは糖脂質化合物である。一実施形態では、「抗原」という用語は、目的の抗原との配列相同性もしくは目的の抗原との構造的相同性またはそれらの組み合わせを共有する合成由来の分子または天然由来の分子を指すことができる。一実施形態では、抗原は、ミメトープ(mimetope)であってもよく、ここで、「ミメトープ」とは、天然抗原を模倣し、かつ免疫原性であり、天然抗原によって誘導されるものと同じ生物活性を有する抗体を誘導するアミノ酸配列である。抗原の「断片」とは、より短いペプチドまたは脂質のような抗原のあらゆるサブセットを指す。抗原の「変異体」とは、抗原全体またはその断片のいずれかに実質的に類似した分子を指す。当該技術分野でよく知られている方法を用いて変異ペプチドもしくは脂質化合物の直接化学合成によって変異抗原を調製し得ると好都合である。
【0020】
本明細書に使用されている「患者」という用語は、人間を指す。
【0021】
本明細書に使用されている「有効量」という用語は、有益または所望の臨床結果(例えば、臨床的状態の改善)を引き起こすのに十分な量を指す。
【0022】
本明細書に使用されている「クローン」または「クローン集団」という用語は、特有の分化細胞に由来している分化細胞の集団を指す。
【0023】
本明細書に使用されている「治療」という用語は、治療される対象の疾患の自然経過を変える試みにおける臨床的治療介入を指し、予防のため、あるいは臨床的病態の経過中に行ってもよい。望ましい効果としては、疾患の発生もしくは再発の予防、症状の緩和、疾患のあらゆる直接もしくは間接的な病理学的帰結の抑制、減弱もしくは阻害、疾患進行速度の低下、病状の改善もしくは軽減、および寛解の発生、寛解状態の維持または予後の改善が挙げられるが、これらに限定されない。調節性T細胞治療および調節性T細胞療法は、本明細書では同義で用いられる。
【0024】
本明細書に使用されている「同種異系細胞」という用語は、ある対象(ドナー)から単離し、別のもの(レシピエントまたは宿主)に注入された細胞を指す。
【0025】
本明細書に使用されている「自己由来の細胞」という用語は、同じ対象(レシピエントまたは宿主)から単離して注入して戻された細胞を指す。
【0026】
本明細書に使用されている「多クローン性」という用語は、同じ抗原または異なる抗原の異なるエピトープを認識する複数のクローンを含む集団を指す。
【0027】
本明細書に使用されている「単クローン性」という用語は、単一細胞に由来し、かつ単一の抗原の1つのエピトープを認識する単一のクローンを含む集団を指す。
【0028】
本発明者らは、低用量の調節性T細胞が、それを必要としている対象の病気の治療にとって効率的であり、細胞療法のための従来の用量は非効率的であるという驚くべき観察をした。
【0029】
理論に縛られたくはないが、本発明者らは、低用量の調節性T細胞は、十分な増殖および抑制効果を含むプラスに進む領域を有する新しく登場した免疫応答であると生物によって解釈されるため、低用量の調節性T細胞は、疾患の治療にとって高用量のものよりも効率的であると示唆している。
【0030】
本発明の目的の1つは、治療的有効量の10〜10個の調節性T細胞が患者に投与される、それを必要としている患者を治療するため、あるいはその治療に使用される調節性T細胞である。
【0031】
本発明の目的の1つは、治療的有効量の1×10〜9.99×10個の調節性T細胞が患者に投与される、それを必要としている患者を治療するため、あるいはその治療に使用される調節性T細胞である。
【0032】
本発明の目的の1つは、治療的有効量の10〜10個の調節性T細胞を患者に投与することを含む、それを必要としている患者の治療方法である。
【0033】
本発明の目的の1つは、治療的有効量の1×10〜9.99×10個の調節性T細胞を患者に投与することを含む、それを必要としている患者の治療方法である。
【0034】
一実施形態では、患者はヒトであり、投与される調節性T細胞はヒトの細胞である。
【0035】
本発明の一実施形態では、患者に投与される治療的有効量は、1×10〜9.99×10個の調節性T細胞である。
【0036】
本発明の一実施形態では、患者に投与される治療的有効量は、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、10×10個の調節性T細胞である。
【0037】
本発明の別の実施形態では、患者に投与される治療的有効量は、1×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、9×10、9.99×10個の調節性T細胞である。
【0038】
本発明の別の目的は、それを必要としている患者を治療するため、あるいはその治療に使用される調節性T細胞であり、ここでは、1kg当たり治療的有効量の1×10〜3×10個の調節性細胞が患者に投与される。
【0039】
本発明の別の目的は、1kg当たり治療的有効量の1×10〜3×10個の調節性細胞を患者に投与することを含む、それを必要としている患者の治療方法である。
【0040】
本発明の一実施形態では、患者に投与される治療的有効量は、1kg当たり1×10、1.1×10、1.2×10、1.3×10、1.4×10、1.5×10、1.6×10、1.7×10、1.8×10、1.9×10、2×10、2.1×10、2.2×10、2.3×10、2.4×10、2.5×10、2.6×10、2.7×10、2.8×10、2.9×10、3×10個の調節性細胞である。
【0041】
本発明によれば、患者に投与される調節性T細胞は、ヒトの調節性T細胞であり、CD4CD25調節性T細胞またはFoxP3調節性T細胞(天然または従来のTreg)、Tr1細胞、TGF−β分泌Th3細胞、調節性NKT細胞、調節性γδT細胞、調節性CD8T細胞、ダブルネガティブな調節性T細胞、生体外で誘導された調節性T細胞またはそれらの混合物を含む。
【0042】
本明細書に使用されている「Tr1細胞」という用語は、静止状態で表現型CD4CD25FoxP3を有し、かつ活性化時に高レベルのIL−10と中間レベルのTGF−βを分泌することができる細胞を指す。Tr1細胞は、その独特なサイトカインプロファイルによって部分的に特徴づけられ、高レベルのIL−10、中間レベルのTGF−βおよび中間レベルのIFN−γを産生するが、IL−4またはIL−2は僅かまたは全く産生しない。サイトカイン産生は典型的に、抗CD3+抗CD28抗体またはインターロイキン−2、PMA+イオノマイシンなどのTリンパ球の多クローン性活性化因子による活性化後に、細胞培養物中で評価される。あるいは、サイトカイン産生は、抗原提示細胞によって提示される特異的T細胞抗原による活性化後に、細胞培養物中で評価される。高レベルのIL−10は、少なくとも約500pg/ml、典型的には約1000、2000、4000、6000、8000、10000、12000、14000、16000、18000を超えるか20000pg/ml以上に相応する。中間レベルのTGF−βは、少なくとも約100pg/ml、典型的には約200、300、400、600、800を超えるか1000pg/ml以上に相応する。中間レベルのIFN−γは、0pg/ml〜少なくとも400pg/ml、典型的には約600、800、1000、1200、1400、1600、1800を超えるか2000pg/ml以上の範囲に含まれる濃度に相応する。僅かもしくは全くないIL−4またはIL−2は、約500pg/ml未満、好ましくは約250、100、75未満または50pg/ml未満に相応する。
【0043】
本明細書に使用されている「天然の調節性T細胞」という用語は、静止状態で表現型CD4CD25FoxP3を有する細胞を指す。
【0044】
本明細書に使用されている「Th3細胞」という用語は、表現型CD4FoxP3を有し、かつ活性化時に高レベルのTGF−β、低量のIL−4およびIL−10を分泌することができ、かつIFN−γまたはIL−2を全く分泌しない細胞を指す。これらの細胞はTGF−β由来である。
【0045】
本明細書に使用されている「調節性NKT細胞」という用語は、静止状態で表現型CD161CD56CD16およびVα24/Vβ11TCRを有する細胞を指す。
【0046】
本明細書に使用されている「調節性CD8T細胞」という用語は、静止状態で表現型CD8CD122を有し、かつ活性化時に高レベルのIL−10を分泌することができる細胞を指す。
【0047】
本明細書に使用されている「ダブルネガティブな調節性T細胞」という用語は、静止状態で表現型TCRαβCD4CD8を有する細胞を指す。
【0048】
本明細書に使用されている「生体外で誘導可能な調節性T細胞」という用語は、生体外で調節性T細胞に分化されたナイーブT細胞を指す。
【0049】
前記生体外で誘導可能な調節性T細胞の一例は、TGF−βの存在下でナイーブT細胞から分化されたTh3細胞である。他の例は、生体外での分化により得られた天然の調節性T細胞またはTr1細胞である。
【0050】
本明細書に使用されている「γδT細胞」という用語は、TCRのγδヘテロ二量体を発現するTリンパ球を指す。αβTリンパ球とは異なり、それらは、MHC分子による提示とは無関係な機序により非ペプチド抗原を認識する。γδT細胞の2つの集団は、末梢血内において多数集団であり、Vγ9Vδ2受容体を有するγδTリンパ球、および粘膜において多数集団であり、かつ末梢血において非常に限られた存在のみを有する、Vδ1受容体を有するγδTリンパ球といってもよい。Vγ9Vδ2Tリンパ球は、細胞内病原体および血液病に対する免疫応答に関与することが知られている。
【0051】
本発明の一実施形態では、患者に投与される調節性T細胞は、Tr1細胞である。
【0052】
本発明の別の実施形態では、患者に投与される調節性T細胞は、CD4CD25調節性T細胞またはFoxP3調節性T細胞(天然のTreg)である。
【0053】
本発明の別の実施形態では、患者に投与される調節性T細胞は、TGF−β分泌Th3細胞である。
【0054】
本発明の別の実施形態では、患者に投与される調節性T細胞は、調節性NKT細胞である。
【0055】
本発明の一実施形態では、患者に投与される調節性T細胞は、自己由来の調節性T細胞または同種異系の調節性T細胞である。
【0056】
本発明の一実施形態では、患者に投与される調節性T細胞は、多クローン性または単クローン性細胞集団であってもよい。
【0057】
本発明の別の実施形態では、患者に投与される調節性T細胞は、単一抗原に特異的であっても多重抗原に特異的であってもよい。
【0058】
本発明の別の実施形態では、患者に投与される調節性T細胞は、多重抗原に特異的な天然の調節性T細胞である。
【0059】
本発明の別の実施形態では、患者に投与される調節性T細胞は、単一抗原に特異的な天然の調節性T細胞である。
【0060】
本発明の別の実施形態では、患者に投与される調節性T細胞は、単一抗原に特異的なTr1細胞である。
【0061】
本発明の別の実施形態では、患者に投与される調節性T細胞は、多重抗原に特異的なTr1細胞である。
【0062】
調節性T細胞がそれに対して特異的であり得る抗原の例としては、自己抗原、一般的なヒトの食事からの食物抗原、多発性硬化症に関連する抗原または関節に関連する抗原などの炎症性抗原、アレルゲンおよび細菌性抗原が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
「一般的なヒトの食事からの食物抗原」という用語は、ヒトに一般的な食材に由来する免疫原性ペプチド、例えば、以下に列挙する非限定的な食物抗原:リポカリン、Ca結合性S100、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリンなどのラクトグロブリン、ウシ血清アルブミン、カゼインなどのウシ抗原を指す。また、食物抗原は、パルブアルブミンなどのタイセイヨウサケ抗原、オボムコイド、卵白アルブミン、Ag22、コンアルブミン、リゾチームまたはニワトリ血清アルブミンなどのニワトリ抗原、ピーナッツ、トロポミオシンなどのエビ抗原、アグルチニンまたはグリアジンなどのコムギ抗原、セロリプロフィリンなどのセロリ抗原、ニンジンプロフィリンなどのニンジン抗原、タウマチン、リンゴ脂質伝達タンパク質、リンゴプロフィリンなどのリンゴ抗原、セイヨウナシプロフィリンなどのセイヨウナシ抗原、イソフラボン還元酵素、エンドキチナーゼなどのアボカド抗原、アンズ脂質伝達タンパク質などのアンズ抗原、モモ脂質伝達タンパク質またはモモプロフィリンなどのモモ抗原、HPS、ダイズプロフィリンまたは(SAM22)PR−10などのダイズ抗原などであってもよい。
【0064】
「自己抗原」という用語は、前記個体のタンパク質に由来する免疫原性ペプチドを指す。それは、例えば、以下に列挙する非限定的な自己抗原:アセチルコリン受容体、アクチン、アデニンヌクレオチド輸送体、アドレナリン受容体、芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ、アシアロ糖タンパク質受容体、殺菌性/透過性増強タンパク質(BPi)、カルシウム検出受容体、コレステロール側鎖切断酵素、IV型コラーゲン鎖、チトクロームP4502D6、デスミン、デスモグレイン1、デスモグレイン3、F−アクチン、GM−ガングリオシド、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、グルタミン酸受容体、H,K−ATPアーゼ、17−ヒドロキシラーゼ、21−ヒドロキシラーゼ、IA−2(ICAS12)、インスリン、インスリン受容体、1型内因子、白血球機能抗原1、ミエリン関連糖タンパク質、ミエリン塩基性タンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイトタンパク質、ミオシン、P80−コイリン、ピルビン酸脱水素酵素複合体E2(PDC−E2)、ヨウ化ナトリウム共輸送体、SOX−10、甲状腺および眼筋共有タンパク質、サイログロブリン、甲状腺ペルオキシダーゼ、チロトロピン受容体、組織トランスグルタミナーゼ、転写活性化補助因子p75、トリプトファンヒドロキシラーゼ、チロシナーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、ACTH、アミノアシル−tRNA−ヒスチジル合成酵素、カルジオリピン、炭酸脱水酵素II、セントロメア関連タンパク質、DNA依存性ヌクレオソーム刺激ATPアーゼ、フィブリラリン、フィブロネクチン、グルコース6リン酸イソメラーゼ、β2−糖タンパク質I、golgin(95、97、160、180)、熱ショックタンパク質、半接着斑タンパク質180、ヒストンH2A、H2B、ケラチン、IgE受容体、Ku−DNAタンパク質キナーゼ、Ku−核タンパク質、Laリンタンパク質、ミエロペルオキシダーゼ、プロテイナーゼ3、RNAポリメラーゼI〜III、シグナル認識タンパク質、トポイソメラーゼI、チューブリン、ビメンチン、ミエリン関連オリゴデンドロサイト塩基性タンパク質(MOBP)、プロテオリピドタンパク質、オリゴデンドロサイト特異的タンパク質(OSP/クローディン11)、環状ヌクレオチド3’ホスホジエステラーゼ(CNPase)、BP抗原1(BPAG1−e)、トランスアルドラーゼ(TAL)、ヒトミトコンドリア自己抗原PDC−E2(Novo1および2)、OGDC−E2(Novo3)、およびBCOADC−E2(Novo4)、水疱性類天疱瘡(BP)180、ラミニン5(LN5)、DEAD−ボックスタンパク質48(DDX48)またはインスリノーマ関連抗原2であってもよい。
【0065】
「多発性硬化症に関連する抗原」という用語は、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリン関連糖タンパク質(MAG)、ミエリンオリゴデンドロサイトタンパク質(MOG)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、オリゴデンドロサイトミエリンオリゴタンパク質(OMGP)、ミエリン関連オリゴデンドロサイト塩基性タンパク質(MOBP)、オリゴデンドロサイト特異的タンパク質(OSP/クローディン11)、熱ショックタンパク質、オリゴデンドロサイト特異的タンパク質(OSP)、NogoA、糖タンパク質Po、末梢ミエリンタンパク質22(PMP22)、2’3’−環状ヌクレオチド3”−ホスホジエステラーゼ(CNPase)、それらの断片、変異体および混合物を指す。
【0066】
「関節に関連する抗原」という用語は、シトルリン置換された環状および直鎖状フィラグリンペプチド、II型コラーゲンペプチド、ヒト軟骨糖タンパク質39(HCgp39)ペプチド、HSP、ヘテロ核リボヌクレオタンパク質(hnRNP)A2ペプチド、hnRNP B1、hnRNP D、Ro60/52、HSP60、65、70および90、BiP、ケラチン、ビメンチン、フィブリノーゲン、I型、III型、IV型およびV型コラーゲンペプチド、アネキシンV、グルコース6リン酸イソメラーゼ(GPI)、アセチル−カルパスタチン、ピルビン酸脱水素酵素(PDH)、アルドラーゼ、トポイソメラーゼI、snRNP、PARP、Scl−70、Scl−100、アニオン性カルジオリピンおよびホスファチジルセリンなどのリン脂質抗原、中性ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルコリン、マトリックスメタロプロテイナーゼ、フィブリリン、アグリカンを指す。
【0067】
「アレルゲン」という用語は、吸入アレルゲン、摂取アレルゲンまたは接触アレルゲンを指す。
【0068】
アレルゲンの例としては、花粉(Cup、Jun)、イエダニ類(Der、Gly、Tyr、Lep)、イヌ、ネコおよび齧歯類(Can、Fel、Mus、Rat)由来の吸入アレルゲンが挙げられるが、これらに限定されない。接触アレルゲンの例としては、重金属類(ニッケル、クロム、金など)、ラテックス、ハロタンなどのハプテン、ヒドララジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
細菌性抗原の例としては、莢膜抗原(例えば、黄色ブドウ球菌莢膜由来のCP5またはCP8などのタンパク質もしくは多糖抗原);ペプチドグリカン(例えば、ムコペプチド、糖ペプチド、ムレイン、ムラミン酸残基およびグルコースアミン残基)多糖類などの細胞壁(外膜を含む)抗原、テイコ酸(例えば、リビトールテイコ酸およびグリセロールテイコ酸)、リン脂質、ホパノイド、およびリポ多糖類(例えば、緑膿菌血清型O11などの細菌のリピドAもしくはOの多糖部分);リン脂質、ホパノイドおよびタンパク質を含む血漿膜成分;ぺリプラズム内に存在するタンパク質およびペプチドグリカン;フィムブリエ抗原、線毛抗原、鞭毛抗原およびS層抗原が挙げられる。黄色ブドウ球菌抗原は、血清型5莢膜抗原、血清型8莢膜抗原、血清型5および8莢膜抗原によって共有される抗原、血清型336莢膜抗原、タンパク質A、コアグラーゼ、クランピング因子A、クランピング因子B、フィブロネクチン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、コラーゲン結合タンパク質、エラスチン結合タンパク質、MHC類似タンパク質、多糖細胞間付着因子、α溶血素、β溶血素、δ溶血素、γ溶血素、パントン・バレンタイン・ロイコシジン、表皮剥脱毒素A、表皮剥脱毒素B、V8プロテアーゼ、ヒアルロン酸リアーゼ、リパーゼ、スタフィロキナーゼ、LukDEロイコシジン、エンテロトキシン、毒素性ショック症候群毒素−1、ポリ−N−スクシニルβ−1−6グルコサミン、カタラーゼ、β−ラクタマーゼ、テイコ酸、ペプチドグリカン、ペニシリン結合タンパク質、走行性阻害タンパク質、補体阻害剤、Sbi、およびフォンウィルブランド因子結合タンパク質であってもよい。
【0070】
本発明の一実施形態では、患者に投与される調節性T細胞は、末梢血または臍帯血などの血液、リンパ節生検、腸生検、滑膜生検または粘膜組織生検などの組織生検、あるいは気管支肺胞洗浄液または脳脊髄液から得てもよい。
【0071】
本発明の一実施形態では、患者に投与される調節性T細胞は、薬学的に許容される担体と共に医薬組成物に含まれている。
【0072】
本明細書において有用な薬学的に許容される担体は、従来の担体である。Remington's
Pharmaceutical Sciences(レミントンの製薬科学)16th edition, Osol,
A. Ed. (1980)には、本発明の組成物の医薬送達に適した組成物および製剤について記載されている。一般に、担体の性質は、用いられている投与様式に依存する。例えば、非経口製剤は通常、媒体として、水、生理食塩水、平衡塩類溶液、水性デキストロース、胡麻油、グリセリン、エタノール、それらの組み合わせなどの薬学的および生理学的に許容される流体を含む注射可能な流体を含む。当該担体および組成物は、無菌であってもよく、当該製剤は、当該投与様式に適している。生物学的に中性の担体に加えて、投与される医薬組成物は、浸潤剤、乳化剤、防腐剤およびpH緩衝剤などの微量の非毒性補助物質、例えば、酢酸ナトリウムまたはモノラウリン酸ソルビタンを含むことができる。本組成物は、液体溶液、懸濁液、乳濁液であってもよい。
【0073】
本発明の別の実施形態では、調節性T細胞を含む組成物は、非経口、筋肉内、組織内、静脈内もしくは腹膜内注射、鼻腔内吸入、肺吸入、皮内もしくは関節内注射のために製剤化されていてもよい。
【0074】
好ましくは、本発明の薬または医薬組成物は、筋肉内、腹膜内もしくは静脈内注射によって、あるいは患者のリンパ節、直接に炎症部位または直接に移植臓器に直接注射することにより、より好ましくは静脈内注射によって投与してもよい。
【0075】
本発明の一実施形態では、患者に投与される調節性T細胞を含む組成物は、小袋/輸液バッグ内または注射器に入っている。
【0076】
本発明の一実施形態では、小袋/輸液バッグまたは注射器は、100μl〜500mlの本組成物を含む。
【0077】
別の実施形態では、小袋/輸液バッグまたは注射器は、100μl〜100mlの本組成物を含む。
【0078】
別の実施形態では、小袋/輸液バッグまたは注射器は、100μl〜50mlの本組成物を含む。
【0079】
別の実施形態では、小袋/輸液バッグまたは注射器は、100μl〜10mlの本組成物を含む。
【0080】
別の実施形態では、小袋/輸液バッグまたは注射器は、100μl〜5mlの本組成物を含む。
【0081】
本発明の目的の1つは、本明細書の上に記載した治療的有効量の調節性T細胞または本明細書の上に記載した治療的有効量の調節性T細胞を含む医薬組成物を含む小袋/輸液バッグまたは注射器などの医療装置である。
【0082】
本発明の一実施形態では、本明細書の上に記載した治療的有効量の調節性T細胞を、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回または4週間に1回患者に投与する。別の実施形態では、本明細書の上に記載した治療的有効量の調節性T細胞を、1ヶ月に1回、2ヵ月に1回、3ヶ月に1回、4ヶ月に1回、5ヶ月に1回または6ヶ月に1回患者に投与する。
【0083】
別の実施形態では、本明細書の上に記載した治療的有効量の調節性T細胞を、8週間に1回患者に投与する。
【0084】
以下に、自己由来または同種異系の調節性T細胞を得る方法の例について記載する。
【0085】
ヒトTr1細胞を得る1つの方法は、
a)前駆細胞集団を対象から単離する工程と、
b)IL−10の存在下で前記前駆細胞集団を培養して、樹状細胞(DC)集団を得る工程と、
c)工程b)の細胞を、抗原の存在下で前記対象から単離したCD4Tリンパ球集団と接触させて、前記抗原に導かれるCD4細胞をTr1細胞集団に分化させる工程と、
d)Tr1細胞集団を工程c)から回収する工程と、
を含む。
【0086】
工程b)では、IL−10は、培地中に50〜250U/ml、好ましくは100U/mlで存在する。前記Tr1細胞を得る方法については、Wakkach et
al (Immunity 2003 May; 18(5):605-17)に記載されている。
【0087】
また、前記方法は、工程b)のDCの代わりに、デキサメタゾンおよびビタミンD3、または免疫寛容原性(tolerogenised)もしくは未成熟DCを用いて行ってもよい。
【0088】
ヒトTr1細胞を得る別の方法は、
a)適当な量のIFN−αを含む培地で、対象から単離された、抗原に導かれるCD4細胞集団を培養する工程と、
b)Tr1細胞集団を回収する工程と、
を含む。
【0089】
IFN−αは、培地中に5ng/mlで存在することが好ましい。工程a)では、上記培地は、適当な量(好ましくは100U/ml)のIL−10をさらに含んでいてもよい。
【0090】
工程b)では、IL−15を含む培地でTr1細胞集団を培養して増殖させるが、その際、IL−15は、培地中に5ng/mlであることが好ましい。前記Tr1細胞を得る方法については、米国特許第6,746,670号に記載されている。
【0091】
ヒトTr1細胞を得る別の方法は、
a)生体外で、人工の抗原提示細胞によって提示される抗原の存在下で、CD4細胞集団を活性化させる工程と、
b)少なくとも10%のTr1細胞を含む活性化されたCD4細胞を回収する工程と、
を含む。
【0092】
人工の抗原提示細胞が、HLAII系分子およびヒトLFA−3分子を発現し、かつ共刺激分子B7−1、B7−2、B7−H1、CD40、CD23およびICAM−1を発現しないことが好ましい。
【0093】
前記Tr1細胞を得る方法については、国際公開第02/092793号に記載されている。
【0094】
ヒトTr1細胞を得る別の方法は、
a)生体外で、抗原および適当な量のIL−10の存在下で、CD4細胞集団を活性化させる工程と、
b)Tr1細胞集団を回収する工程と、
を含む。
【0095】
IL−10は、培地中に100U/mlで存在することが好ましい。前記Tr1細胞を得る方法については、Groux
et al. (Nature 1997, 389(6652):737-42)に記載されている。
【0096】
ヒトTr1細胞を得る別の方法は、
a)白血球集団または末梢血単核細胞(PBMC)集団を抗原で刺激する工程と、
b)抗原特異的Tr1細胞集団を、刺激された集団から回収する工程と、
c)任意に、前記抗原特異的Tr1細胞集団を増殖させる工程と、
を含む。前記Tr1細胞を得る方法については、国際公開第2007/010406号に記載されている。
【0097】
ヒトTr1細胞を得る別の方法は、Awasthi et al. Nat.
Immunol. 2007 8(12) : 1380またはApetoh et al. Nat. Immunol
2010 11(9) : 854に記載されているようにIL−27およびTGF−βの存在下でCD4細胞を活性化させる工程を含む。
【0098】
白血球は、その重要性、生体内分布、数、寿命および潜在能力によって特徴づけられるいくつかの種類の細胞を含む。これらの種類は、好酸性、好中性および好塩基性白血球に分けられる多核すなわち顆粒白血球、および大きな白い血液細胞であり、かつ免疫系の主要な細胞型(リンパ球および単球)からなる単核細胞すなわち末梢血単核細胞(PBMC)である。白血球またはPBMCは、当業者に知られている任意の方法によって末梢血から分離することができる。PBMCの分離のために、遠心分離、好ましくは密度勾配遠心分離、好ましくは不連続密度勾配遠心分離を使用できると有利である。代替手段は、特異的単クローン性抗体を使用することである。特定の実施形態では、通常は、標準的な手順を用いて、フィコール・ハイパックによりPBMCを全血製剤から単離する。他の実施形態では、白血球搬出法によりPBMCを回収する。
【0099】
前記方法については、国際公開第2007/010406号に記載されている。
【0100】
ヒトTr1細胞を得る別の方法は、
a)白血球集団または末梢血単核細胞(PBMC)集団を抗原の存在下で間葉系幹細胞と共に培養する工程と、
b)Tr1細胞集団を回収する工程と、
を含む。
【0101】
前記方法は、PBMCまたは白血球の代わりにナイーブT細胞またはメモリーT細胞を用いて行うこともできる。
【0102】
このようにして得られたTr1細胞集団を、インターロイキン−2およびインターロイキン−4などのサイトカインの存在下での培養により、さらに増殖させてもよい。あるいは、インターロイキン−15およびインターロイキン−13を、Tr1細胞増殖培養物に使用することもできる。
【0103】
CD4、CD11a、CD18、PSGL−1+/−、IL−10などのマーカーに対する抗体を用いる、ELISA、フローサイトメトリーまたは免疫親和法により、Tr1細胞を同定および/または精製することができる。
【0104】
フローサイトメトリーまたは磁気ビーズを用いるポジティブセレクションまたはネガティブセレクションにより、Tr1細胞を濃縮することもできる。また、そのような方法については、国際公開第2005/000344号に記載されている。
【0105】
生体外でのTr1細胞の1つの増殖方法については、国際公開第2006/108882号に記載されている。前記方法は、
a)35℃未満の温度T1で、昆虫フィーダー細胞などのフィーダー細胞を培地Mfで培養し、前記温度T1により、フィーダー細胞の増殖を可能にし、かつ前記フィーダー細胞により以下の細胞表面タンパク質:
−CD3/TCR複合体、
−CD28タンパク質、
−IL−2受容体、
−CD2タンパク質、
−IL−4受容体
と相互作用する因子を発現させる工程と、
b)Tr1細胞集団、フィーダー細胞および培地Mpを含む混合物を得るために、それらの培地Mfから除去されたか除去されていない工程a)で得られたフィーダー細胞を、工程a)に挙げた因子を最初に含んでいない培地Mpに含まれているTr1細胞集団と接触させる工程と、
c)Tr1細胞集団が増殖し、フィーダー細胞が増殖しないように選択されている少なくとも35℃である温度T2で、工程b)で得られた混合物を培養する工程と、
d)そのように増殖されたTr1細胞集団を回収する工程と、
を含む。
【0106】
上記細胞表面タンパク質と相互作用する因子の例としては、
−抗CD3単クローン性抗体またはCD3重鎖の抗CD3細胞質内ドメインが膜貫通ドメインで置換されている修飾された抗CD3抗体、
−CD80もしくはCD86タンパク質、
−フィーダー細胞によって分泌されたIL−2、
−CD58タンパク質、
−IL−4およびIL−13を含む群から選択されるインターロイキン、
が挙げられる。
【0107】
抗CD3単クローン性抗体を使用して、TCR/CD3複合体、有利には修飾された抗CD3抗体を介してT細胞集団を活性化することができ、ここでは、抗CD3抗体の修飾は、前記修飾された抗CD3抗体がフィーダー細胞の細胞膜に固定し、かつT細胞のCD3/TCRタンパク質複合体と相互作用するように、細胞質内ドメインを膜貫通ドメインで置換することからなる。抗原特異的Tr1細胞の表面に存在するCD28タンパク質と相互作用し、かつフィーダー細胞によって発現される因子は、抗CD28単クローン性抗体またはCD28分子と架橋することができるその断片であってもよく、そのような場合、抗CD28単クローン性抗体の修飾は、フィーダー細胞の細胞表面に固定させるために膜貫通ドメインを付加することにより実現することができる。抗CD28単クローン性抗体、例えば、B7−1(CD80)およびB7−2(CD86)タンパク質などのタンパク質のB7ファミリーのメンバーの代わりに、CD28の天然のリガンドを用いることが好ましい。
【0108】
CD2と相互作用するフィーダー細胞によって発現される因子は、抗CD2単クローン性抗体またはCD2分子と架橋することができるその断片であってもよく、抗CD2単クローン性抗体の修飾は、フィーダー細胞の細胞表面に固定するために膜貫通ドメインを付加することにより実現することができる。抗CD2単クローン性抗体すなわちCD58タンパク質の代わりに、CD2の天然のリガンドを用いることが好ましい。
【0109】
フィーダー細胞の細胞膜に固定される因子に加えて、インターロイキンなどの分泌される因子も抗原特異的Tr1細胞集団の増殖に必要である。これらのインターロイキンの中には、抗原特異的Tr1細胞の表面に存在するIL−2受容体と相互作用するIL−2、および抗原特異的Tr1細胞のIL−4受容体と相互作用するIL−4またはIL−13のうちのいずれかが含まれる。
【0110】
Tr1細胞を発現させる別の方法は、Tr1細胞を、IL−2、IL−4、IL−13および/またはIL−15などのサイトカインの存在下で抗CD3/28ビーズと共に培養する工程を含む。
【0111】
天然の調節性T細胞を単離する1つの方法は、CD4、CD25およびCD127low/−などのマーカーの組み合わせに基づいて天然の調節性T細胞を選別するためにフローサイトメトリーを使用する工程を含む。この方法により、高度に濃縮された細胞集団すなわち95%を超えるFoxP3が得られる。
【0112】
天然の調節性T細胞を単離する別の方法は、CD45RA、CD4およびCD25などのマーカーの組み合わせに基づいて天然の調節性T細胞を選別するためにフローサイトメトリーを使用する工程を含む。前記方法については、米国特許出願公開第2010/291678号に記載されている。
【0113】
天然の調節性T細胞を増殖させる1つの方法についても、米国特許出願公開第2010/291678号に記載されており、IL−2と共に抗CD3/28単クローン性抗体(mAb)でコーティングされたビーズおよび照射されたフィーダー細胞を使用する。
【0114】
天然の調節性T細胞を得る別の方法は、CD25発現に基づいて天然の調節性T細胞を選別するためにフローサイトメトリーを使用し、かつ
−IL−2(10U/l)の存在下で、10:1のT細胞:DC比で自己の単球に由来する樹状細胞と共にそれらを培養する工程、または
−ラパマイシンと共にそれらを培養する工程
によってそれらを増殖する工程を含む。
【0115】
天然の調節性T細胞を得る別の方法は、抗CD3/CD28刺激により、TGF−βの存在下でCD4CD25T細胞を5日間培養する工程を含む。
【0116】
調節性NKT細胞を単離する1つの方法は、αGalCer負荷CD1d多量体を使用する工程を含む。
【0117】
調節性NKT細胞を単離する別の方法は、6B11単クローン性抗体を使用する工程を含む。
【0118】
調節性NKT細胞を単離する別の方法は、Vα24およびVβ11を染色するための抗体またはVα24を染色するための抗体を使用する工程を含む。
【0119】
調節性Th3細胞を得る1つの方法は、抗CD3/28刺激によりTGF−βの存在下でCD4細胞を培養する工程を含む。
【0120】
生体外でγδT細胞を増殖させる1つの方法は、ヌクレオチドを含有する細菌由来のリン酸化化合物による刺激により、あるいはIL−2、IL−15およびTGF−βなどのサイトカインの存在下でイソペンテニルピロリン酸(IPP)などのイソプレノイドピロリン酸を用いて、PBMCから開始する工程を含む(例えば、国際公開第03/070921号、国際公開第2009/037723号を参照)。
【0121】
本発明によれば、上記調節性T細胞は、自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギーもしくは喘息疾患、移植片対宿主病に罹患しているか移植を受ける予定の患者を治療するためのものである。
【0122】
本発明によれば、上記方法は、自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギーもしくは喘息疾患、移植片対宿主病に罹患しているか移植を受ける予定の患者を治療するためのものである。
【0123】
本発明の一実施形態では、当該移植は、造血幹細胞移植または実質臓器(肝臓、腎臓、肺、心臓...)移植であってもよい。
【0124】
本発明の別の実施形態では、自己免疫疾患の例としては、糖尿病、多発性硬化症および関節炎疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
「関節炎疾患」とは、関節リウマチ、多発性軟骨炎、化膿性関節炎、脊椎関節症または強直性脊椎炎、若年性特発性関節炎(JIA)、乾癬性関節炎、および全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症、皮膚筋炎、多発性筋炎、リウマチ性多発筋痛、線維筋痛、サルコイドーシス、脈管炎などの関節炎に関連する疾患を指す。
【0126】
本発明の別の実施形態では、炎症性疾患の例としては、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、食物アレルギーもしくは不耐性に関連する腸炎、乳タンパク質アレルギーに関連する腸炎、セリアック病に関連する腸炎、鶏卵アレルギーに関連する腸炎、またはピーナッツアレルギーに関連する腸炎が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
本発明の別の実施形態では、アレルギーもしくは喘息疾患の例としては、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、結膜炎、湿疹、接触アレルギー、吸入アレルギー、摂取アレルギーおよびアナフィラキシーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
本発明の一実施形態では、治療される対象から血液試料を採取する。
【0129】
選択された抗原に特異的なTr1細胞は、選択された抗原と共にPBMCを7日間培養して得られる。IL−2およびIL−4などのサイトカインを、3日目に培養物に任意に添加してもよい。
【0130】
次いで、得られたTr1細胞を従来の方法でクローン化し、さらに増殖させる。
【0131】
本明細書の上に記載した以下の方法を用いて、選択された抗原に導かれるTr1クローンの増殖を行うことが好ましい:
a)35℃未満の温度T1で、昆虫フィーダー細胞などのフィーダー細胞を培地Mfで培養し、前記温度T1により、フィーダー細胞の増殖を可能にし、かつ前記フィーダー細胞により以下の細胞表面タンパク質:
−CD3/TCR複合体、
−CD28タンパク質、
−IL−2受容体、
−CD2タンパク質、
−IL−4受容体
と相互作用する因子を発現させる工程、
b)Tr1細胞集団、フィーダー細胞および培地Mpを含む混合物を得るために、それらの培地Mfから除去されたか除去されていない工程a)で得られたフィーダー細胞を、工程a)に挙げた因子を最初に含んでいない培地Mpに含まれているTr1細胞集団と接触させる工程、
c)Tr1細胞集団が増殖し、フィーダー細胞が増殖しないように選択されている少なくとも35℃である温度T2で、工程b)で得られた混合物を培養する工程、
d)そのように増殖されたTr1細胞集団を回収する工程。
【0132】
選択された抗原に特異的な10〜10個のTr1細胞を含む有効量を最終的に調製し、患者に再注入する。
【0133】
本発明の一実施形態では、腸炎症性疾患を治療するために患者に投与される調節性T細胞は、一般的なヒトの食事からの食物抗原に特異的なTr1細胞である。
【0134】
本発明の別の実施形態では、前記Tr1細胞は、卵白アルブミンに特異的であり、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、食物アレルギーもしくは不耐性に関連する腸炎、乳タンパク質アレルギーに関連する腸炎、セリアック病に関連する腸炎、鶏卵アレルギーに関連する腸炎、またはピーナッツアレルギーに関連する腸炎を治療することを目的としている。
【0135】
本発明の一実施形態では、多発性硬化症を治療するために患者に投与される調節性T細胞は、多発性硬化症に関連する抗原に特異的なTr1細胞である。
【0136】
本発明の別の実施形態では、前記Tr1細胞は、MBPまたはMOGに特異的であり、多発性硬化症を治療することを目的としている。
【0137】
本発明の一実施形態では、関節炎疾患を治療するために患者に投与される調節性T細胞は、関節に関連する抗原に特異的なTr1細胞である。
【0138】
本発明の別の実施形態では、前記Tr1細胞は、II型コラーゲンまたはHSP抗原に特異的であり、関節リウマチ、多発性軟骨炎、化膿性関節炎、脊椎関節症または強直性脊椎炎、若年性特発性関節炎(JIA)、乾癬性関節炎、および全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症、皮膚筋炎、多発性筋炎、リウマチ性多発筋痛、線維筋痛、サルコイドーシス、脈管炎などの関節炎に関連する疾患を治療することを目的としている。
【0139】
本発明の一実施形態では、アレルギーもしくは喘息疾患を治療するために患者に投与される調節性T細胞は、前記アレルギーもしくは喘息疾患に関連するアレルゲンに特異的なTr1細胞である。
【0140】
本発明の別の実施形態では、前記Tr1細胞は、花粉(Cup、Jun)、イエダニ類(Der、Gly、Tyr、Lep)、イヌ、ネコおよび齧歯類(Can、Fel、Mus、Rat)に由来するアレルゲンに特異的であり、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、結膜炎、湿疹およびアナフィラキシーを治療することを目的としている。
【実施例】
【0141】
(実験手順)
卵白アルブミンに特異的なTr1クローンの産生
卵白アルブミンに特異的なTr1クローンを、クローン病患者の末梢血単核細胞(PBMC)から産生した。Ficoll密度勾配遠心分離(GE Healthcare社、スウェーデンのウプサラ)によるPBMCの単離後、37℃および5%CO、X−Vivo15(Cambrex社、ニュージャージー州イーストラザフォード)およびサイトカイン濃縮されたショウジョウバエフィーダー細胞の上澄み中で、天然の照射済卵白アルブミン(Sigma Aldrich社、米国ミズーリ州セントルイス)の存在下において細胞を培養した。培養から数日後、37℃および5%CO、X−Vivo15中で、ショウジョウバエフィーダー細胞層上において、限界希釈法により細胞をクローン化した。次いで、増殖中のクローンを回収し、ショウジョウバエフィーダー細胞上で50億個まで増殖させる前に、抗原特異性およびTr1細胞同一性について試験した。
【0142】
ショウジョウバエフィーダー細胞
Tr1細胞クローンの刺激および増殖を高めるために、TxCellでショウジョウバエフィーダー細胞を遺伝子操作した。ショウジョウバエSchneider2細胞に、ヒトCD80、ヒトCD58、ヒトIL−2およびヒトIL−4と共に、膜貫通形態のマウス抗ヒトCD3抗体を形質移入した。PAA laboratories社(オーストリアのPashing)製のExpress Five培地で通常どおりに細胞を増殖させた。
【0143】
クローン病患者のTr1細胞治療
第I/IIa相臨床試験を実施して、Tr1治療の忍容性を評価した。これは、重症難治性クローン病患者から開始した。CDAI(クローン病活動指数、説明については以下を参照)が220を超え、活動性疾患を確認した際に、4回投与で卵白アルブミンに特異的な10、10、10および10個の自己由来のTr1細胞を患者に静脈内注射した。次いで、患者をその疾患活動性について12週間監視した。
【0144】
臨床的応答評価
クローン病活動指数すなわちCDAIは、クローン病に罹患している患者の疾患活動性を定量化するために使用される調査手段である。これは、クローン病を治療するために使用される薬に対してなされる調査研究において重要である。つまり、より新しい薬に対する最も主要な研究は、疾患の応答または寛解を定めるためにCDAIを使用する。220を超えるスコアにより、活動的な病態を有する患者であると特定し、150以下のCDAIにより、患者が疾患の寛解状態にあると特定する。ベースライン(治療前に確認したCDAI)と比較して、患者の治療後にCDAIが100点低下した場合は、治療に対する応答とみなす。
【0145】
0週目(注入前の週)と、Tr1細胞の注入後1、2、3、5および8週目に、CDAIを計算する。
【表1】
【0146】
炎症性腸疾患質問表すなわちIBDQは、クローン病に罹患している患者の疾患活動性を定量化するために使用される別の調査手段である。
【0147】
社会的症状、全身症状および感情的症状の要素ならびに腸関連の症状を活動性指数に組み込むために、炎症性腸疾患質問表(IBDQ)を開発した。
【0148】
170を超えるIBDQスコアにより、患者が疾患の寛解状態にあると特定する。ベースライン(治療前に決定したIBDQ)と比較して患者の治療後に少なくとも16点上昇した場合、治療に対する応答とみなす。
【0149】
細胞培養および増殖の評価
0週目(注入前の週)とTr1細胞の注入後1、3、5および8週目に、患者の末梢血を採取し、Ficoll密度勾配遠心分離によりPBMCを単離した。次いで、37℃および5%CO、XVivo15媒体中で、卵白アルブミン(400ng/ml)の存在下または非存在下において10個の細胞/mlで、細胞を5日間培養した。これらの5日間の培養後に、1つの培養ウェル当たりの生存細胞数を評価することができるRoche社製WST1キットを用いて、インキュベートした細胞の増殖を測定した。
【0150】
結果
本明細書に記載されている臨床試験は、活動性疾患(220を超えるCDAI)を有するクローン病患者における、自己由来の卵白アルブミンに特異的なTr1細胞の単回静脈内投与の安全性および有効性を決定することを目的としていた。
【0151】
クローン病に罹患している21人の患者を、10、10、10または10個の自己由来の卵白アルブミンに特異的なTr1細胞で治療した。
【0152】
図1は、D0(調節性T細胞療法前)〜5週目(図1A)または8週目(図1B)の患者のCDAIの評価を示す。結果から、10個の細胞で治療したほとんど全ての患者のCDAIは低下したが、より高用量で治療した患者の中にCDAIが低下したものはほとんどいなかったことが分かる。
【0153】
図2は、治療に対するコホート応答を示しており、10個の細胞で治療した患者群は、5週目および8週目にほぼ150点のCDAIの低下を示したが、より高用量で治療した患者群は、50点未満のCDAIの低下を示した(図2A)。
【0154】
8週目におけるIBDQスコアの分析から、10個の細胞で治療した患者群のスコアは30点を超えて上昇したが、より高用量で治療した患者群のスコアは増加しなかったか10点未満の増加であることが分かった(図2B)。
【0155】
これらの結果から、CDAIおよびIBDQスコアを分析した際に、10個の細胞で治療した患者群のみが本治療に対して応答したことが実証される。
【0156】
図3Aは、各群において治療に応答した患者の割合を示しており、10個の細胞用量で治療した場合には、ほとんど全ての患者が本治療に対して応答したが、10個の細胞用量で治療した場合には、本治療に対して応答した患者は20%未満であった。
【0157】
図3Bは、寛解状態にある患者の割合を示しており、10個の細胞用量で治療した患者のほぼ30%が寛解状態にあるが、より高用量で治療した患者の中に寛解状態にあるものはいない。
【0158】
図4は、応答患者における卵白アルブミンに対するPBMCの生体外増殖を示す。
【0159】
卵白アルブミンに対するPBMC増殖の低下は、患者に注入された調節性T細胞の有効な作用に対応している。
【0160】
図4Aから、生体外でのPBMC増殖が、0週目(治療前)と比較して、3週目および8週目で有意に低下したことが分かる。
【0161】
図4Bは、応答者の各群における卵白アルブミンに対するPBMC増殖の低下を示し、10個用量で治療した患者は30%を超える低下を示したが、10および10個用量で治療した患者は10%の低下を示し、かつ最高用量で治療した患者は増殖の低下を全く示さなかった。
【0162】
図5から、10個用量のTr1細胞で治療した患者のみが100点を超えるCDAIの低下を誘発することができるが、10および10個のTr1細胞を患者に投与した場合には、CDAIに対する効果は僅かであったことが分かる。
【0163】
また、図5から、10個用量などの非効率的な用量で治療した患者は、10個用量のTr1細胞の2回目の注射後に治療に対する応答を誘発できることが分かる。
【0164】
図6から、2人のさらなる患者において、10個用量(黒い丸)では、8週間の経過観察中に治療に対して安定な応答(少なくとも100点のCDAIの低下)が誘発されるが、10個用量(白色の四角)では、CDAIに対して全く効果がなかったことが分かる。
【0165】
結果から、治療に対する応答は、ベースライン(Tr1細胞治療の前の週)と比較して、Tr1細胞投与後5週目および8週目に10個の細胞で治療した患者において有意であるが、10個の用量を用いた場合に統計的有意性が観察されなかったことが分かる。
【0166】
10個用量で治療した8人の患者および10個の細胞で治療した6人の患者に対するTr1細胞投与後5週目および8週目における治療に対する統計学的T検定分析
【表2】
図1
図2
図3
図4
図5
図6