(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6068498
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】パンチング装置用ダイ
(51)【国際特許分類】
B21D 28/00 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
B21D28/00 C
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-547888(P2014-547888)
(86)(22)【出願日】2012年12月17日
(65)【公表番号】特表2015-502263(P2015-502263A)
(43)【公表日】2015年1月22日
(86)【国際出願番号】EP2012075764
(87)【国際公開番号】WO2013092476
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年10月2日
(31)【優先権主張番号】102011089682.1
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514157515
【氏名又は名称】パス シュタンツテクニック アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】PASS Stanztechnik AG
(74)【代理人】
【識別番号】100077584
【弁理士】
【氏名又は名称】守谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100106699
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 弘道
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン クラフト
【審査官】
細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−351024(JP,A)
【文献】
特開平09−103828(JP,A)
【文献】
特開平09−276954(JP,A)
【文献】
特開平06−087040(JP,A)
【文献】
米国特許第04869141(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/00
B21D 28/14
B21D 28/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ダイベースボディー(15)と、
(b)加工されるワーク(8)を支持するためにダイベースボディー(15)に設けられたワーク支持ボディー(16)と、
(c)所定長切込みの間に結合末端部により残存ワーク(8)に結合されたままでダイの中に所定長切込みのために残存ワーク(8)から折り曲げられるワーク片(38)を所定長切込むことによりワーク(8)に凹部を形成するための所定長切込み機構と、
(d)ワーク片(38)を案内するための案内機構とからなり、
所定長切込み機構は、
(i)所定長切込みエレメント(22)と、
(ii)いくつかの所定長切込みストロークにより所定長切込みエレメント(22)との相互作用で所定長切込みのための対抗所定長切込みエレメント(30)とを有し、
所定長切込みエレメント(22)と対抗所定長切込みエレメント(30)は、所定長を切込むために所定長切込みエレメント(22)と対抗所定長切込みエレメント(30)が互いに相互作用する所定長切込み位置と、所定長切込みエレメント(22)と対抗所定長切込みエレメント(30)が互いから間隔をあけて離れた状態になっている開放位置との間で互いに対して変位できるようになっており、
ワーク支持ボディー(16)とダイベースボディー(15)は、所定長切込みストロークを実行するためにストローク軸に沿って互いに対して移動可能であることを特徴とするパンチング装置(1)用ダイ。
【請求項2】
所定長切込みエレメント(22)はダイベースボディー(15)に配置されていることを特徴とする請求項1記載のダイ。
【請求項3】
対抗所定長切込みエレメント(30)はワーク支持ボディー(16)に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のダイ。
【請求項4】
所定長切込み機構をその開放位置内に移動させる少なくとも一つのバネエレメント(36)がワーク支持ボディー(16)とダイベースボディー(15)との間に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか1項記載のダイ。
【請求項5】
ワーク片(38)のための貫通開孔(27)がワーク支持ボディー(16)に形成されており、ダイベースボディー(15)が切り離されたワーク片(38)を排出するために貫通開孔(27)に心合せされている第1の排出開孔(19)を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項4何れか1項記載のダイ。
【請求項6】
案内機構はワーク支持ボディー(16)に案内傾斜部(28)を有し、案内傾斜部(28)は所定長切込み機構に関して上流に設けられ、貫通開孔(27)と境界を接していることを特徴とする請求項5記載のダイ。
【請求項7】
案内機構はダイベースボディー(15)に結合されたままの排出傾斜部(23)を有し、所定長切込みエレメント(22)は所定長切込みエッジ(24)を有し、排出傾斜部(23)は所定長切込みエッジ(24)に関して上流に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項6何れか1項記載のダイ。
【請求項8】
案内機構はワーク支持ボディー(16)に設けられ、傾斜導入路(35)を備えた導入エレメント(34)を有し、対抗所定長切込みエレメント(30)は対抗所定長切込みエッジ(31)を有し、傾斜導入路(35)は対抗所定長切込みエッジ(31)に関して上流に設けられており、少なくとも一つのバネエレメント(44)が導入エレメント(34)に作用し、所定長切込みエレメント(22)の方向に導入エレメント(34)を移動させることを特徴とする請求項1乃至請求項7何れか1項記載のダイ。
【請求項9】
所定長を切込み、ワーク片(38)の切り離された末端部(39、42、43)を排出するための第2の排出開孔(20)がダイベースボディー(15)に設けられており、第2の排出開孔(20)は所定長切込み機構に下流で境界を接していることを特徴とする請求項1乃至請求項8何れか1項記載のダイ。
【請求項10】
(a)請求項1乃至請求項9何れか1項記載のダイ(7)と、
(b)ダイ(7)と相互作用するためのパンチ(5)とからなり、
パンチ(5)は、
(i)所定長切込みの間結合末端部により残存ワーク(8)に結合されたままのワーク片(38)を作製し、ダイ(7)中に残存ワーク(8)を押し込むためのパンチマンドレル(13)を備えたパンチボディー(11)を有していることを特徴とするパンチング装置(1)用パンチングツール。
【請求項11】
パンチ(5)はベースエレメント(10)を有し、ワーク(8)の末端部(43)を切り離すために必要な切込み力を適用するための少なくとも一つのバネボディー(14)がベースエレメント(10)とパンチボディー(11)との間に配置されており、少なくとも一つのバネボディー(14)はベースエレメント(10)とパンチボディー(11)を互いに離れた状態で移動させることを特徴とする請求項10記載のパンチングツール。
【請求項12】
パンチ(5)は断面台形のパンチマンドレル(13)を有し、パンチマンドレル(13)はワーク(8)の供給方向(41)における後部よりも前部でより広くなっていることを特徴とする請求項10又は請求項11記載のパンチングツール。
【請求項13】
請求項1乃至請求項9何れか1項記載のダイを準備する段階と、
所定長切込みの間に結合末端部により残存ワーク(8)に結合されたままであり、所定長切込みのためにダイ中へ残存ワーク(8)から折り曲げられるワーク片(38)をパンチ(5)の少なくとも一つの切込ストロークにより製作する段階と、
所定長切込み機構内へワーク片(38)を導入するために供給機構(40)によりワーク(8)とダイ(7)との間で相対的な移動をもたらす段階と、
所定長切込み部の動作が好ましくはパンチ(5)により行われ、所定長のワーク片(38)を切り込むために所定長切込み機構を動作させる段階とからなることを特徴とするワーク(8)からワーク片(38)を切込むための方法。
【請求項14】
所定長切込み機構をその開放位置内に移動させる少なくとも一つのバネエレメント(36)がワーク支持ボディー(16)とダイ(7)のダイベースボディー(15)との間に配置され、
ワーク(8)の末端部(43)を切込むために必要な切込み力を適用させるための少なくとも一つのバネボディー(14)がパンチ(5)のベースエレメント(10)とパンチ(5)のパンチボディー(11)との間に配置され、少なくとも一つのバネボディー(14)がベースエレメント(10)とパンチボディー(11)を互いに離れた状態で移動させることを特徴とする請求項13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ドイツ特許出願DE 10 2011 089 682.1の内容は参照によりここで取り入れられている。
【0002】
本発明はパンチング装置用ダイに関する。さらに、本発明はパンチング装置のパンチングツールに向けられたもので、これは対応するダイを備える。また、本発明は対応するダイでワークからワーク片を切込むための方法に向けられたものである。
【背景技術】
【0003】
パンチング装置は、そのパンチ及びダイがワークに連続的に切れ目をつけ又は切込むもので、公的先行使用によって従来技術から既に知られている。それぞれのワークから折り曲げられたワーク片は所定長のストロークに切込むことによって最終的に所定長に切込まれ、それによってワークに開口部が生じる。所定長への切込みはダイとパンチを共に用いることによって行われる。これらのパンチング装置の欠点は、ワーク片から所定長だけ切込まれた末端部がしばしばダイに詰まり、パンチング装置全体の損傷や停止に繋がる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故本発明はパンチング装置のダイを提供する目的に基づいており、極めて簡素に形成され、さらに極めて機能的に信頼性のあるものである。対応するパンチングツールもまた提供される。さらに、対応するパンチング方法もまた提供される。無突起端を有するワーク、特に金属薄板端はまた極めて簡素な方法で生産することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、
特許請求の範囲の独立請求項1、10及び13に開示された特徴による発明によって達成される。発明の主要部は、ダイ自身がワークのワーク片を所定長に切込むための機能的な所定長切込み機構を有している。ワークは所定長切込み機構により所定長へ切込まれるか短くされることができる。所定長切込みエレメント及び/または対抗所定長切込みエレメントの移動により所定長切込みエレメントと対抗所定長切込みエレメントとの間の相対的な変位をもたらすことができる。対応する既知の駆動部をこのために使用することができる。
【0006】
ワーク片は所定長への切込みのために実際のワークからダイの中へ折り曲げられる。ワーク片はワーク片の結合末端部により実際のワークに結合されて残る。結合末端部はワーク片の末端部を意味し、所定長への切込みの間実際のワークに結合されたままである。
【0007】
案内機構は、好ましくは、所定長切込み機構へのワーク片の確実な案内及び/またはダイからの切り離されたワーク片の確実な排出を可能とする。
【0008】
ワーク支持ボディーとダイベースボディーとの間の
請求項1に記載された相対的な移動は、例えば、ワーク支持ボディー及び/またはダイベースボディーの動きによって生じ得る。有効的には、ワーク支持ボディーの移動はダイベースボディーに関連して生じる。有効的には、パンチング装置のパンチによってワーク支持ボディーを作動することができる。
【0009】
さらに、本発明の有利な構成は従属請求項で与えられる。
【0010】
請求項2によれば、所定長切込みエレメントはダイベースボディーに配置されている。それは、分離した部品として
形成されている。所定長切込みエレメントが交換可能ならば好都合である。他の方法として、所定長切込みエレメントはダイベースボディーとともに一体的に形成されている。
【0011】
請求項3によれば、対抗所定長切込みエレメントはワーク支持ボディーに配置されている。対抗所定長切込みエレメントが分離した部品として形成されているならば有効的である。対抗所定長切込みエレメントは有効的には交換可能である。他の方法として、対抗所定長切込みエレメントはワーク支持ボディーとともに一体的に形成されている。所定長切込みエレメントと対抗所定長切込みエレメントの逆の配置が可能である。
【0012】
請求項4による少なくとも一つのバネエレメントは、好ましくはつる巻バネとして形成される。しかし、例えば、板バネ若しくは弾性材料ブロックとして形成されることも可能である。バネエレメントが圧縮バネエレメントであるならば有効的である。請求項5によれば、バネエレメントのバネ作用に対抗して、ワーク支持ボディーとダイベースボディーをそれらの所定長切込み位置内に位置させることができる。引っ張りバネエレメントとしての構成はダイの変更した構成で代替させることが可能である。
【0013】
請求項5による貫通開孔は、
周辺側で閉鎖されている。それはワーク支持ボディーによるワーク片のまたはダイ内への簡便な案内を可能とする。
【0014】
請求項5による貫通開孔と第1の排出開孔の心合せされた配列の故に切り離されたワーク片または切り離されたワーク片の結合末端部を所定長切込みプロセスの最後で問題なくかつ詰まることなく排出することが可能である。
【0015】
請求項6による案内傾斜部は特に所定長切込み機構へのワーク片の信頼性のある案内を可能とする。案内傾斜部は、
直接的にワーク支持ボディーかワーク支持ボディーに結合されたままの部品に設けられる。
【0016】
請求項7による排出傾斜部は特に切り離されたワーク片のダイからの信頼性のある排出を可能とする。それは
直接的にダイベースボディーかダイベースボディーに結合されたままの部品に設けられる。排出傾斜部はまた
所定長切込み機構へのワーク片の確実な案内を可能とする。
【0017】
請求項8による導入エレメントは、極めて機能的にワーク片の排出機構への信頼性のある案内を可能とする。導入エレメントは、
ワーク支持ボディーから分離した部品として、若しくはワーク支持ボディーに直接設けられる。導入路が案内傾斜部と心合せされているならば有効的である。
【0018】
少なくとも一つのバネエレメントが
請求項8による導入エレメントに作用するように、ワーク片による導入エレメントの変位が可能である。従って
所定長切込み機構に関するワーク片の機能的に信頼性のある案内が可能である。バネエレメントがつる巻バネとして構成されるならば有効的である。例えば、板バネや弾性材料ブロックのような他の構成が代替方法として可能である。バネエレメントが圧縮バネエレメントであるならば好都合である。
【0019】
導入エレメントがワーク支持ボディー上でまたはワーク支持ボディー内で案内されるならば有効的である。導入エレメントは、
少なくとも一つの圧縮応力エレメントによってワーク支持ボディーに対して圧縮応力を付加されている。
【0020】
請求項9による第2の排出開孔は、所定長を切込み、ダイからのワーク片の切り離された末端部の簡便な詰まりのない排出を可能とする。
【0021】
請求項11によるバネボディーは、
つる巻バネとして形成される。他の手段として、後者は板バネ若しくは弾性材料ブロックとして構成される。バネボディーは、
圧縮バネボディーであり、ベースエレメントとパンチボディーを互いに離れた状態で押圧するか適宜それらに作用する。
【0022】
請求項12によるパンチマンドレルの台形の形状は、特にワークの内部の切込みや内部の凹部の良好なかつ精密な製作を可能とする。パンチマンドレルは前部切込みエッジと後部エッジを有し、後部エッジは切込みエッジに平行な状態になっている。切込みエッジはワークの供給方向で後部エッジの前部に配置されている。傾斜したエッジは切込みエッジと後部エッジとの間で延びている。切込みエッジは後部エッジよりも長い。このように傾斜したエッジは切込みエッジから後部エッジに向って互いに延びている。
【0023】
有効的にはピン状で、例えば、断面方形の少なくとも一つの後方へ突き出しているフリー後部案内がパンチ上若しくはパンチマンドレル上にさらに配置されているならば有効的である。ツール上の横方向の力を後部案内によって容易に吸収することができる。このようにツールは横方向に離れて移動することができない。従って実質的に固定されている。
【0024】
請求項14によるバネボディーは
つる巻バネとして形成される。他の手段として、板バネ若しくは弾性材料ブロックとして構成される。バネボディーは
圧縮バネボディーであり、ベースエレメントとパンチボディーを互いに離れた状態で押圧するか適宜それらに作用する。
【0025】
本発明の2つの好ましい実施例が添付の図面を参照して以下の例示によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明によるパンチングツールを有するパンチング装置の概略図を示す。
【
図2】
図1に示されたパンチングツールの概略断面図を示し、これは休止位置にある。
【
図3】パンチングツールの概略断面図を示し、これは第1の切込み位置にある。
【
図4】パンチングツールの概略断面図を示し、これは所定長切込み機構に向かって移動した位置にあるワークを示す。
【
図5】パンチングツールの概略断面図を示し、ここでパンチングツールは第2の切込み位置にある。
【
図6】パンチングツールの概略断面図を示し、ここでワークは所定長切込み機構の方向にさらに移動し、開放された所定長切込み機構内に突出している。
【
図7】パンチングツールの概略断面図を示し、これはパンチングツールの第1の所定長切込みストロークを示している。
【
図8】パンチングツールの概略断面図を示し、これは第3の切込み位置におけるパンチングツールを示している。
【
図9】パンチングツールの概略断面図を示し、ここでワークは所定長切込み機構の方向にさらに移動したことが示されている。
【
図10】パンチングツールの概略断面図を示し、これはさらなる切込みとパンチングツールの所定長切込みストロークを示している。
【
図11】パンチングツールの概略断面図を示し、ここでワークは所定長切込み機構の方向にさらに移動したことが示されている。
【
図12】パンチングツールの概略断面図を示し、これはパンチングツールの端部切込みストロークを示している。
【
図13】パンチングツールの概略断面図を示し、これは切り離されたワーク片及びワーク片の切り離された末端部の排出を示している。
【
図14】本発明の第2の好ましい実施例に係る本発明によるパンチングツールの
図2に対応する断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に全体で示されているパンチング装置1は、フレーム2、その上部フレーム部3に取り付けられている作動プランジャー4を備えている。パンチ5は作動プランジャー4の下部に配置されている。ダイ7はフレーム2の下部フレーム部6上に位置している。パンチ5及びダイ7は共にパンチングツールを形成している。
【0028】
加工されるワーク8はここでは金属板であって、パンチ5及びダイ7の間に位置している。パンチ5はダイ7またはワーク8の方向にパンチング方向9で移動可能である。
図1によると、パンチング方向9は垂直方向下方に向けられる。
【0029】
パンチングツールの第1の実施例を
図2から
図13を参照して以下に説明する。
【0030】
パンチ5はベースプレート10及びパンチボディー11を備えている。ベースプレート10は接触面18を有しており、接触面18はワーク8に対向し、パンチング方向9に直交して延在している。パンチマンドレル開孔12は好ましくは周辺が閉鎖されており、ベースプレート10に形成されている。
【0031】
パンチマンドレル13はパンチボディー11からワーク8、あるいはダイ7の方向でパンチング方向9に突出している。パンチマンドレル13は好ましくは断面方形で、パンチ面46を有しており、パンチ面46はダイ7に対向し、ワーク8に対して傾斜した状態になっている。パンチマンドレル開孔12はパンチマンドレル13の断面に適合している。また、ベースプレート10は好ましくはパンチマンドレル13に対するストリッパを形成している。
【0032】
パンチボディー11及びベースプレート10の間に配置されているものは、複数の圧縮可能な第1のつる巻き圧縮バネ14であり、第1のつる巻き圧縮バネ14はベースプレート10が自由状態にあるとき互いに離れた状態でパンチボディー11及びベースプレート10を押圧する。第1のつる巻き圧縮バネ14はバネボディーを形成する。
【0033】
次に、ダイ7はダイベースボディー15及びワーク支持ボディー16を備えており、ワーク支持ボディー16はレベル支持面17を有してワーク8を支持する。レベル支持面17は接触面18と平行に延在している。
【0034】
ダイベースボディー15は、これを貫通している第1の排出開孔19を有しており、第1の排出開孔19はパンチマンドレル開孔12と心合せされている。第1の排出開孔19の断面がパンチマンドレル開孔12の断面と実質的に対応しているならば有効である。
【0035】
第2の排出開孔20は第1の排出開孔19に隣接し、かつこれと平行に横方向に延在しているもので、さらにダイベースボディー15内に形成されている。
【0036】
隔壁21は排出開孔19、20を互いに分離するもので、第1の排出開孔19及び第2の排出開孔20の間に延在している。隔壁21はダイベースボディー15の構成要素であり、実際のダイベースボディー15と比較して低減された高さを有する。
【0037】
所定長切込みエレメント22は第1の排出開孔19またはパンチマンドレル開孔12に対向している排出傾斜部23を有するもので、隔壁21上に着座している。排出傾斜部23の下流には、所定長切込みエレメント22がフリー所定長切込みエッジ24を有し、フリー所定長切込みエッジ24は所定長切込みエレメント22上で好ましくは直角に形成されている。さらに、所定長切込みエレメント22はベースサイド25を有し、ベースサイド25は排出傾斜部23に対向し、隔壁21に接合している。フリーサイド26はフリー所定長切込みエッジ24及びベースサイド25の間で延在して、第1の排出開孔19に関して第2の排出開孔20の範囲を定める。フリーサイド26はベースサイド25に直交して延在している。所定長切込みエレメント22は断面が実質的に直角三角形体である。
【0038】
ワーク支持ボディー16は貫通開孔27を有し、貫通開孔27はレベル支持面17から始まる。貫通開孔27はパンチマンドレル開孔12及び第1の排出開孔19と心合せされている。案内傾斜部28は実質的に排出傾斜部23に対向して設けられ、貫通開孔27と境界を接している。
【0039】
対抗所定長切込みエレメント30は断面が実質的に直角平行6面体であり、ワーク支持ボディー16にレベル支持面17から離れたその低側部29に配置されている。対抗所定長切込みエレメント30は好ましくは少なくとも部分的には第2の排出開孔20の範囲を上方に関して定める。対抗所定長切込みエレメント30は、フリー対抗所定長切込みエッジ31を有し、フリー対抗所定長切込みエッジ31は所定長切込みエレメント22のフリー所定長切込みエッジ24と協働するよう形成され、かつ、それに相応して配置されている。フリー対抗所定長切込みエッジ31は低側部29から伸長する側面32及び低側部29に接合する対抗所定長切込みエレメント30のヘッド面33によって形成され、前記ヘッド面はワーク支持ボディー16に関して第2の排出開孔20の範囲を定めているかレベル支持面17に平行に伸長している。
【0040】
対抗所定長切込みエレメント30及び所定長切込みエレメント22は、側面32及びフリーサイド26が互いに僅かにずれるように配置されている。側面32及びフリーサイド26は好ましくは互いに実質的に平行な状態となっている。所定長切込みエレメント22及び対抗所定長切込みエレメント30は共同して所定長切込み機構を形成している。所定長切込み機構は、その全体がワーク8の一方の側に正確に隣接して配置されている。
【0041】
対抗所定長切込みエレメント30及び案内傾斜部28の間に配置されているものは、有利には、導入エレメント34である。導入エレメント34はワーク支持ボディー16に直接的に又は所定長切込みエレメント22に対向してワーク支持ボディー16に間接的に装着される。導入エレメント34は傾斜導入路35を有し、傾斜導入路35は実質的に対抗所定長切込みエレメント30の方向で案内傾斜部28を延長し、フリー対抗所定長切込みエッジ31で終端している。導入エレメント34は断面が直角三角形に形成され、傾斜導入路35は所定長切込みエレメント22に対向している。
【0042】
排出傾斜部23、傾斜導入路35及び案内傾斜部28は、第2の排出開孔20または所定長切込み機構の方向にテーパー状である案内漏斗をもつ案内機構を共同して形成している。
【0043】
ダイベースボディー15及びワーク支持ボディー16の間に配置されているものは複数の圧縮可能な第2のつる巻き圧縮バネ36であり、第2のつる巻き圧縮バネ36はダイベースボディー15からワーク支持ボディー16を離間するように押圧し、即ちパンチ5の方向に押圧する。第2のつる巻き圧縮バネ36はバネエレメントを形成する。
【0044】
第1のつる巻き圧縮バネ14の開始バネ力は第2のつる巻き圧縮バネ36の最大バネ力よりも大きい。
【0045】
第1のつる巻き圧縮バネ14の開始バネ力は所定長切込み機構でワーク8のワーク片38をパンチするために必要なパンチ力より大きい。第2のつる巻き圧縮バネ36の開始バネ力はワーク8の重量による力よりも大きい。
【0046】
パンチング装置を使用する時のパンチングツールは以下により詳細に説明される。この場合、
図2から開始され、
図2はパンチングツールの休止位置を示している。
【0047】
図2によれば、加工されるワーク8はワーク支持ボディー16のレベル支持面17上に平らに置かれる。接触面18はパンチング方向9と反対にワーク8から空間を空けられている。
【0048】
所定長切込み機構はその開放位置にある。所定長切込みエレメント22及び対抗所定長切込みエレメント30はこのように互いに空間を空けて配置されている。フリーサイド26と側面32は実質的に互いに心合せされている。所定長切込みギャップ37は、第2の排出開孔20と案内漏斗あるいは第1の排出開孔19との間に貫通結合部を形成し、フリー所定長切込みエッジ24とフリー対抗所定長切込みエッジ31との間に存在する。所定長切込みギャップ37は、加工されるワーク8の厚さよりも大きい高さを有する。所定長切込みギャップ37を形成するために、ワーク支持ボディー16はその上部に位置し、このようにしてワーク支持ボディー16に対向しているダイベースボディー15の停止面45から空間を空けて配置されており、前記停止面はパンチング方向9に直角に延びている。これは第2のつる巻き圧縮バネ36によって達成される。
【0049】
パンチボディー11はその上部休止位置に位置し、ベースプレート10からパンチング方向9における最大間隔を有している。
【0050】
それからパンチングツールはその第1の切込み位置に移動し、それは
図3に示される。第1の切込み位置に到達すると、ワーク8上に向けられた、即ちパンチング方向9における圧縮力は作動プランジャー4によりパンチボディー11に働き、それ故パンチボディー11はベースプレート10に近づく。この場合、第1のつる巻き圧縮バネ14は圧縮され、パンチマンドレル13は少なくとも一部がパンチマンドレル開孔12を貫通する。パンチマンドレル13は一部がワーク8を貫通し、貫通開孔27に突き出る。パンチボディー11はその下側切込み位置に位置する。
【0051】
既に述べたように、パンチ面46は傾斜して延びている。パンチマンドレル13は所定長切込み機構から離れた側の領域よりも所定長切込み機構に対向している側の領域でより長い長さを有している。パンチマンドレル13は所定長切込み機構に対向している側の領域でワーク8内を通過し、一方パンチマンドレル13の他の側の領域はワーク8内を通過せず、即ちワーク8から離れて間隔を空けられたままとなっている。
【0052】
パンチ面46の傾斜した経路及びパンチ5の記載された作動により、ワーク片38は結合末端部により残存ワーク8に結合されたまま残るような方法でワーク8から切込まれる。残存ワーク8へのワーク片38の結合部、即ち結合末端部はワーク8で所定長切込み機構に対向している。ワーク片38はこの実施例では実質的に長方形であり、三方の結合側で残存ワーク8から切り離される。ワーク片38は末端部39を有し、末端部39は結合末端部に対向し、所定長切込み機構に対向している。パンチングツールは切込みストロークを実行し、パンチマンドレル13は軸方向に移動する。
【0053】
ワーク片38はさらにパンチマンドレル13により貫通開孔27内に折り曲げられる。
【0054】
所定長切込み機構はその所定長切込み位置にあり、これはワーク片38にいかなる影響も及ぼさない。即ちワーク片38は所定長切込み機構から離れて間隔を空けられている。所定長切込み位置においては、所定長切込みギャップ37は閉鎖されている。
【0055】
ベースプレート10はその時ダイ7に対向しているワーク8上で休止する。
【0056】
ワーク支持ボディー16は実際のダイベースボディー15に近づいている。ワーク支持ボディー16は停止面45上で休止する。ワーク支持ボディー16はダイベースボディー15により案内される。
【0057】
図4を参照すると、パンチマンドレル13を備えたパンチボディー11は再び上部休止位置になる。パンチボディー11はパンチング方向9と逆向きに動いている。ベースプレート10はここで再びワーク8から離れて間隔を空けられた状態となっている。
【0058】
ワーク支持ボディー16は上部位置に位置している。ワーク支持ボディー16は第2のつる巻き圧縮バネ36によって上方向に押圧されている。
【0059】
ワーク8は、末端部39がまた所定長切込み機構の方向に案内傾斜部28に渡って移動するように供給機構40(
図1)によって所定長切込み機構上で供給方向41に移動する。この場合ワーク片38は案内傾斜部28の上を滑る。末端部39は所定長切込みギャップ37から離れて間隔を空けられた位置にある。
【0060】
図5はパンチングツールの第2の切込み位置を示しており、第2の切込み位置は実質的に第1の切込み位置と類似している。
【0061】
パンチマンドレル13は第1の切込み位置に従いワーク8の切込みを継続するので、ワーク片38は実質的に長くなる。ワーク片38と実際のワーク8との間の結合部は実質的に移動する。所定長切込み機構は実質的にさらに機能しないでいる。
【0062】
図6を参照すると、パンチマンドレル13を備えたパンチボディー11は再び上部休止位置に位置する。
【0063】
ワーク8はさらに供給機構40によって供給方向41に移動する。その過程で、ワーク8は傾斜導入路35に沿って滑る。末端部39は所定長切込みギャップ37を通過し、第2の排出開孔20、即ち開放された所定長切込み機構に位置する。
【0064】
図7を参照すると、パンチングツールは第1の所定長切込みストロークを実行し、パンチングボディー11はベースプレート10の方向に移動する。所定長切込みストロークは切込みストロークよりも小さいので、パンチマンドレルはワーク8またはワーク片38から離れて間隔を空けられた状態となっている。
【0065】
ワーク支持ボディー16はダイベースボディー15の方向に移動する。ワーク支持ボディー16は停止面45上で休止する。第1のつる巻き圧縮バネ14は、ワーク支持ボディー16が停止面45上で休止するまで所定長切込み機構上で切込み力を伝達する。
【0066】
フリー所定長切込みエッジ24とフリー対抗所定長切込みエッジ31は、第2の排出開孔20内に突き出している末端部39が切断若しくは裁断されるように所定長を切込むために協働して作動する。所定長切込み機構はその所定長切込み位置にある。所定長切込みギャップ37は閉鎖されている。その時ワーク片38は新しい末端部42を有する。
【0067】
パンチングツールは
図8で第3の切込み位置に位置し、第3の切込み位置は実質的に第1及び第2の切込み位置に対応している。
【0068】
ワーク片38はさらに横方向に切り離される。切り離された末端部39は第2の排出開孔20を経由して排出される。
図7と比較して、第1のつる巻き圧縮バネ14は、ベースプレート10がワーク8を介してダイベースボディー15上で押圧するように、さらにここで圧縮される。
【0069】
図9において、パンチングツールは再び休止位置にある。ワーク8あるいはワーク片38はさらに供給方向41に移動するので、末端部42は所定長切込みギャップ37を通過し、第2の排出開孔20内に突出する。所定長切込み機構は開放位置にある。
【0070】
図10によると、さらなるストロークが生じ、末端部42が所定長切込み機構の手段によって切込まれ、ワーク片38がさらに切り離される。ストロークは実質的に第1の切込みストロークに対応している。所定長切込み機構はその所定長切込み位置に位置している。ワーク片38はその時新しい末端部43を有する。切り離された末端部42は第2の排出開孔20を経由して排出される。
【0071】
図11によると、パンチ5は再び休止位置にある。ワーク8またはワーク片38はさらに供給方向41に移動する。末端部43は所定長切込みギャップ37を通過し、第2の排出開孔20内に突出する。所定長切込み機構は開放位置にある。
【0072】
図12によると、パンチ5は深い切込みストロークを実行し、それは「通常の」切込みストロークと類似している。しかし、前に記載した切込みストロークと対照的に、パンチ5は完全にワーク8を通過する。
【0073】
一方では、末端部43は所定長切込み機構によって切断される。他方では、その時完全に切り離されたワーク片38はパンチマンドレル13によって残存ワーク8から完全に切断される。結合部はまたこのようにして解放される。
【0074】
図13は、第2の排出開孔20を経由する切り離された末端部43の排出と第1の排出開孔19を経由する切り離されたワーク片38の排出を示している。切り離されたワーク片38は最初に排出傾斜部23に沿って滑ることができる。パンチ5は再びその休止位置に位置する。
【0075】
「上流」及び「下流」の詳細は所定長切込み機構の方向におけるワーク片38の移動方向に関する。
【0076】
排出傾斜部23、案内傾斜部28及び傾斜導入路35の傾斜した経路は供給方向41に関係している。
【0077】
本発明のさらなる実施例は
図14を参照することにより以下に説明される。
【0078】
先の実施例と対照的に、ここで参照されるように、導入エレメント34はバネ力が付加されている。つる巻圧縮バネ44は、傾斜導入路35が案内傾斜部28と心合せされ、フリー対抗所定長切込みエッジ31で終端し、低側部29に係合する位置内に導入エレメント34を押圧している。導入エレメント34は支持面17の方向に移動可能である。
【0079】
記載したパンチングツールの手段により、ワーク8に開口部を製作することができ、ワーク8は極めて高いエッジ品質を有する。内側及び外側双方の輪郭を製作することができる。
【符号の説明】
【0080】
1・・・パンチング装置
2・・・フレーム
3・・・上部フレーム
4・・・作動プランジャー
5・・・パンチ
6・・・下部フレーム
7・・・ダイ
8・・・ワーク
9・・・パンチング方向
10・・・ベースエレメント
11・・・パンチボディー
12・・・パンチマンドレル開孔
13・・・パンチマンドレル
14・・・バネボディー
15・・・ダイベースボディー
16・・・ワーク支持ボディー
17・・・レベル支持面
18・・・接触面
19・・・第1の排出開孔
20・・・第2の排出開孔
21・・・隔壁
22・・・所定長切込みエレメント
23・・・排出傾斜部
24・・・所定長切込みエッジ
25・・・ベースサイド
26・・・フリーサイド
27・・・貫通開孔
28・・・案内傾斜部
29・・・低側部
30・・・対抗所定長切込みエレメント
31・・・対抗所定長切込みエッジ
32・・・側面
33・・・ヘッド面
34・・・導入エレメント
35・・・傾斜導入路
36・・・バネエレメント
37・・・所定長切込みギャップ
38・・・ワーク片
39・・・末端部
40・・・供給機構
41・・・供給方向
42・・・末端部
43・・・末端部
44・・・バネエレメント
45・・・停止面
46・・・パンチ面