(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、薬剤の使用状況の分析を行うのは、各担当者であって、その判断は各担当者のよって異なり、適切な判断を担保できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、薬剤の使用状況の分析等の客観性を担保し得る医療情報管理装置、医療情報管理システム及び医療情報管理装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的は、本発明にあっては、医療機器で使用される薬剤の複数の使用情報の使用傾向を示すための薬剤使用傾向情報と、前記薬剤使用傾向情報の使用傾向の適否を判断するための基準となる薬剤使用傾向基準情報と、を有し、前記薬剤使用傾向基準情報は、最も使用頻度が高くなるべき薬剤の使用量情報である薬剤使用量基準情報を備え
、前記薬剤使用傾向情報から最も使用頻度が高かった薬剤の使用量情報である薬剤特定使用量情報と、前記薬剤使用量基準情報の使用量情報とを比較し、両者が相違すると判断されたときは、前記薬剤使用傾向基準情報の修正推奨情報を提供する構成となっていることを特徴とする医療情報管理装置により達成される。
【0007】
前記構成によれば、医療機器である例えば、輸液ポンプ等が実際に薬剤を使用した使用傾向が薬剤使用傾向情報、例えば、直近薬剤別投与速度分布グラフ等として示される。
また、この薬剤使用傾向情報に示された使用傾向を、薬剤使用傾向基準情報、例えば、薬剤別投与速度正規分布グラフ等と比較することで、当該使用傾向が適切か否かを客観的に判断することができる。
すなわち、薬剤の使用状況の分析等を客観的に行うことができる。
【0008】
また、薬剤使用傾向基準情報には、最も使用頻度が高くなるべき薬剤の使用量情報である薬剤使用量基準情報である例えば、基準投与速度情報を備えている。
このため、この基準投与速度情報に対応する薬剤使用傾向基準情報の投与速度範囲等の使用量情報、例えば、基準投与速度範囲の使用量(例えば、送液回数等)と、この使用量情報に対応する薬剤使用傾向情報の投与速度範囲の使用量(送液回数等)を比較することで、容易且つ客観的に、薬剤の使用状況の分析等を客観的に行うことができる。
【0010】
前記構成によれば、薬剤使用傾向情報(直近薬剤別投与速度分布グラフ等)から最も使用頻度が高かった薬剤の使用量情報(送液回数等)である薬剤特定使用量情報と、薬剤使用量基準情報(基準投与速度情報等)の使用量情報(送液回数等)とを比較し、両者が相違すると判断されたときは、薬剤使用傾向基準情報の修正推奨情報を提供する構成となっている。
すなわち、基準となる基準投与速度情報等の使用量情報(送液回数等)と、実際の薬剤の最も使用頻度が高かった使用量情報(送液回数等)を比較することで、当該基準となる薬剤使用傾向基準情報(薬剤別投与速度正規分布グラフ等)を修正する必要があるか否かを判断し、修正する必要があるときは、当該薬剤使用傾向基準情報(薬剤別投与速度正規分布グラフ等)の修正推奨情報を提供する。
したがって、かかる修正推奨情報の提供を受けた担当者等は、速やかに当該情報の修正をすることができ、常に、適切な基準となる薬剤使用傾向基準情報(薬剤別投与速度正規分布グラフ等)を維持させることができる。
【0011】
好ましくは、前記薬剤特定使用量情報を、前記薬剤使用量基準情報として修正する推奨情報を提供することを特徴とする。
【0012】
前記構成によれば、実際に最も使用頻度が高かった薬剤の使用量情報である薬剤特定使用量情報を、薬剤使用量基準情報(基準投与速度情報等)として修正する推奨情報を提供するので、担当者等が当該薬剤使用傾向基準情報(薬剤別投与速度正規分布グラフ等)を迅速且つ容易に修正することができる。
【0013】
好ましくは、前記薬剤特定使用量情報と前記薬剤使用量基準情報の双方が、薬剤の使用量の範囲情報である使用量範囲情報であり、これらの相違が所定の許容範囲内における前記使用量範囲情報の相違であるときは、両者は相違しないと判断する公正となっていることを特徴とする。
【0014】
前記構成によれば、実際に最も使用頻度が高かった薬剤の使用量情報である薬剤特定使用量情報と、薬剤使用量基準情報(基準投与速度情報等)の相違が、使用量範囲情報(投与速度範囲等)の所定の許容範囲内(隣接等)であるときは、当該薬剤使用傾向基準情報(薬剤別投与速度正規分布グラフ等)を修正する程度の相違ではないと判断する。
したがって、担当者等により頻繁な修正等を強いることがない、使い易い医療情報管理装置となる。
【0015】
好ましくは、前記薬剤使用傾向情報から最も使用頻度が高かった薬剤の使用量情報である薬剤特定使用量情報と、前記薬剤使用量基準情報とを比較し、両者が相違しないと判断されたときは、薬剤の使用量の範囲に応じて区分された個々の使用量範囲情報毎に前記薬剤使用傾向情報と薬剤使用傾向基準情報(薬剤別投与速度正規分布グラフ等)とを比較し、各前記使用量範囲情報の相違の累計が所定範囲を超えているときは、前記薬剤使用傾向基準情報の修正推奨情報を提供する構成となっていることを特徴とする。
【0016】
前記構成によれば、最も使用頻度が高かった薬剤の使用量情報である薬剤特定使用量情報と、薬剤使用量基準情報(基準投与速度情報等)に相違がない場合でも、薬剤の使用量の範囲に応じて区分された個々の使用量範囲情報(投与速度範囲等)毎に、実際の使用に係る薬剤使用傾向情報と薬剤使用傾向基準情報(薬剤別投与速度正規分布グラフ等)とを比較し、各使用量範囲情報の相違の累計が所定範囲(例えば、50%)を超えているときは、薬剤使用傾向基準情報(薬剤別投与速度正規分布グラフ等)の修正推奨情報を提供する構成となっている。
このため、修正の指標である薬剤使用量基準情報(基準投与速度情報等)との比較で、最も使用頻度が高かった薬剤の使用量情報である薬剤特定使用量情報に相違がないときでも、実際の使用に係る薬剤使用傾向情報と薬剤使用傾向基準情報(薬剤別投与速度正規分布グラフ等)の全体で相違があるときは、薬剤使用傾向基準情報(薬剤別投与速度正規分布グラフ等)の修正を推奨するので、修正が必要な場合は、漏れなく修正推奨情報を提供することができる。
【0017】
好ましくは、前記医療情報管理装置と、前記医療情報管理装置と通信可能に接続されている端末装置と、を有し、前記修正推奨情報は、前記端末装置の表示部に表示される構成となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、薬剤の使用状況の分析等の客観性を担保し得る医療情報管理装置、医療情報管理システム及び医療情報管理装置の制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0022】
図1は、本発明にかかる「医療情報管理システム」である例えば、「薬剤ライブラリシステム1」を示す概略図である。
図1に示すように、医療情報管理システム1は、「医療情報管理装置」である例えば、「薬剤ライブラリサーバ10」を有している。また、「端末装置」である例えば、病院職員用端末50A、50B及び50Cが薬剤ライブラリサーバ10と通信可能に接続されている。
また、病院内に配置されている「医療機器」である例えば、輸液ポンプ2a、2b及び2cは薬剤ライブラリサーバ10との通信可能に接続され、輸液ポンプ2a等は、薬剤ライブラリサーバ10から薬剤に関する情報等を取得する構成となっている。
【0023】
この薬剤ライブラリサーバ10には、各薬剤に関する「薬剤ライブラリ」、すなわち、薬剤の処方等に関する詳細なデータ(例えば、薬剤種類(抗ガン剤、麻酔剤)、薬剤名、流量(mL/h)の上限・下限値、注入量(mL)の上限・下限値、禁忌情報など)を含むものであり、このデータは、主に
図1の輸液ポンプ2a等に送信され、輸液ポンプ2a等を操作する看護師等の医療従事者が薬剤を患者に投与する際に活用されるデータである。
また。薬剤ライブラリには、各薬剤の使用状況の関するグラフ等の情報も含まれている。
なお、輸液ポンプ2a等は、薬剤を患者に正確に投与等する場合に用いられる医療機器であって、薬剤の投与に高精度な制御が求められる場合等に点滴装置等に配置される。
【0024】
また、
図1の病院職員用端末50A等から薬剤ライブラリサーバ10にアクセスすることで、薬剤ライブラリが備える各薬剤の使用状況の関するグラフ等の情報を参照することができると共に。これらの情報を修正等することもできる構成となっている。
【0025】
図1に示す病院職員用端末50A等は、各種情報を表示する「表示部」である「病院職員用端末側ディスプレイ53」を備えると共に、各種情報を入力するための「病院職員用端末側入力装置52」を有している。
【0026】
ところで、
図1に示す薬剤ライブラリサーバ10、病院職員用端末50A等及び輸液ポンプ2a等は、コンピュータを有し、コンピュータは、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有し、これらは、バスを介して接続されている。
【0027】
図2は、
図1に示す院職員用端末50A等の主な構成を示す概略ブロック図である。
図2に示すように、病院職員用端末50A等は、「病院職員用端末制御部51」を有している。
この「病院職員用端末制御部51」は、
図1に示す「病院職員用端末側入力装置52」や「病院職員用端末側ディスプレイ53」及び薬剤管理サーバ10等との通信を行う「病院職員用端末側通信装置54」を制御する他、「病院職員用端末側各種情報記憶部55」も制御する構成となっている。
【0028】
また、
図3は
図1に示す薬剤ライブラリサーバ10の主な構成を示す概略ブロック図である。
図3に示すように、薬剤ライブラリサーバ10は、「サーバ制御部11」を有している。このサーバ制御部11は、データ等の入力を行う「端末側入力装置12」、データ等の表示を行う「サーバ側ディスプレイ13」、病院職員用端末50A等との通信を行う「サーバ側通信装置14」等を制御する他、「サーバ側第1情報記憶部20」、「サーバ側第2情報記憶部30」及び「サーバ側第3情報記憶部40」も制御する構成となっている。
【0029】
なお、
図4、
図5及び
図6は、それぞれ、
図3に示す「サーバ側第1情報記憶部20」、「サーバ側第2情報記憶部30」及び「サーバ側第3情報記憶部40」の内容を示す概略ブロック図である。これらのブロックの個々の内容については、後述する。
【0030】
図7乃至
図10は、本実施の形態にかかる薬剤ライブラリシステム1の動作例等を示す概略フローチャートである。
本実施の形態では、利用者が、病院職員用端末50A等を用いて、薬剤ライブラリサーバ10に記憶されている薬剤の使用状況に関するデータを参照する。このため、
図7では、薬剤ライブラリサーバ10が、各輸液ポンプ2a等から薬剤の使用状況の情報を取得することになる。
【0031】
先ず、
図7のステップST(以下「ST」とする。)1では、薬剤ライブラリサーバ10が動作し、動作中の輸液ポンプ2a等が存在するか否かを判断する。
ST1で、動作中の輸液ポンプ2a等が存在するときは、ST2へ進む。ST2では、薬剤ライブラリサーバ10が、動作中の「輸液ポンプ2a等」から送液中の「薬剤名(例えば、薬剤A等)」、投与速度(mL/h)の情報を取得し、
図4の「輸液ポンプ情報記憶部21」に記憶する。
【0032】
次いで、ST3へ進む。ST3では、
図4の「投与速度別分類部(プログラム)22」が動作し、「輸液ポンプ情報記憶部21」の輸液ポンプ情報の「薬剤情報(薬剤A等)」及び「投与速度情報(例えば、8mL/h等)」に基づいて、
図4の「薬剤及び投与速度別分布情報記憶部23」の「薬剤及び投与速度別分布情報23a」の該当する「投与速度範囲」に回数「1」を付加する。
上述の例では、投与速度が「8mL/h」なので、「薬剤及び投与速度別分布情報23a」の「1〜9未満」の「投与速度範囲」に、送液回数として「1」を付加する
この「投与速度範囲」が「使用量情報」及び「使用量範囲情報」の一例となっている。
【0033】
以上で、
図4の「薬剤及び投与速度別分布情報記憶部23」には、薬剤毎、投与速度範囲毎の輸液ポンプ2a等の送液回数のデータが蓄積されることになる。
【0034】
次いで、
図8乃至
図10を用いて、担当者等が
図1の病院職員用端末50A等から薬剤ライブラリサーバ10にアクセスし、薬剤(薬剤A等)毎の使用状況を分析するための情報を取得する工程を説明する。
【0035】
先ず、
図8のST11では、薬剤ライブラリサーバ10が、病院職員用端末50A等から薬剤毎の使用状況の分析工程の実行の指示、具体的には、「直近薬剤別投与速度分布」のグラフ作成の指示があったか否かを判断する。
【0036】
ST11で、「直近薬剤別投与速度分布」のグラフ作成の指示があったと判断したときは、ST12へ進む。ST12では、
図5の「直近薬剤別投与速度分布グラフ生成部(プログラム)31」が動作し、
図4の「薬剤及び投与速度別分布情報23a」を参照し、当該薬剤(例えば、薬剤A等)の例えば、直近1ヶ月間の「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」を作成し、
図5の「直近薬剤別投与速度分布グラフ記憶部32」に記憶する。
【0037】
図11は、「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」を示す概略説明図である。
図11に示すように、「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」には、横軸に、薬剤の投与速度が8mL/h毎の範囲で区切られて「投与速度範囲」が形成されている。そして、この各投与速度範囲毎に送液回数が縦軸に棒グラフで示されている。
【0038】
また、
図11の「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」には、当該薬剤の使用制限情報である「ハードリミット」及び「ソフトリミット」等の情報も併せて表示されている。
なお、この「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」が「薬剤使用傾向情報」の一例となっている。
【0039】
次いで、ST13へ進む。ST13では、
図5の「投与速度範囲判断部(プログラム)33」が動作し、
図11の「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」の送液回数が最も多い「投与速度範囲」、例えば、89〜97mL/hを特定する。この送液回数が最も多い「投与速度範囲」が「薬剤特定使用量情報」の一例となる。
次いで、
図5の「薬剤別投与速度正規分布情報記憶部34」に記憶されている「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」を参照する。
【0040】
図12は、「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」を示す概略説明図である。
図12に示すように、「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」には、
図11の「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」と同様に、横軸に、薬剤の投与速度が8mL/h毎の範囲で区切られて「投与速度範囲」が形成されている。そして、この各投与速度範囲毎に送液回数が縦軸に棒グラフで示されている。
そして、各投与速度範囲毎の送液回数は、分布として有るべき、または、そのように分布されると予想等される送液回数の分布となっている。
図12の場合は、1〜9mL/Hの投与速度範囲の送液回数が最も多く、投与速度が増すにつれ少なくなるように分布されるとされている。
【0041】
すなわち、当該薬剤の送液回数の分布が、このような分布に近い場合は、担当者等は、当該薬剤の使用状況は正規分布に近く、適切と判断することができるので、かかる分析の基準データとなっている。
換言すれば、「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」には、薬剤毎の基準投与速度情報と投与速度範囲毎の送液回数の正規分布情報がグラフで示された情報が記憶されている。
【0042】
また、「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」には、当該薬剤の送液回数の累計が最大となると予想される「投与速度範囲」である「基準投与速度(「薬剤使用量基準情報」の一例)」も示され、
図12の場合は「1〜9mL/h未満」の「投与速度範囲」が該当する旨、表示されている。
すなわち、「基準投与速度」は、最も使用頻度が高くなるべき「投与速度範囲」である。 このように、「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」は、「薬剤使用傾向基準情報」の一例となっている。
【0043】
ところで、ST13では、
図11の「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」の送液回数が最も多い「投与速度範囲」、例えば、「89〜97mL/h」と、「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」の「基準投与速度情報」の「投与速度範囲」(例えば、1〜9mL/h)と比較する。
【0044】
次いで、ST14へ進む。ST14では、「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」の「投与速度範囲(例えば、「89〜97mL/h」)」と、「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」の「基準投与速度情報」の「投与速度範囲(例えば、1〜8mL/h)」が相違するか否かが判断される。
【0045】
本実施の形態では、これらの投与速度範囲は相違するため「YES」となる。
上述のように、本実施の形態では、担当者等が薬剤の使用状況の分析、具体的には、基準となる正規分布である「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」と、実際の使用実績である「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」を比較して、その使用状態が適切であるか否かを判断するものである。また、本実施の形態では、薬剤の使用状況の分析を行う担当者等に客観的で且つ容易な基準を提供することができる。
【0046】
しかし、最も重要な指標である「基準投与速度情報」の「投与速度範囲」の相違が存在することは、「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」を修正等する必要があることを示している。
そこで、本実施の形態では、「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」を修正等する必要があるか否か等についても担当者等に情報を提供することができる構成となっている。
【0047】
次いで、ST15へ進む。ST15では、「投与速度範囲隣接判断部(プログラム)35」が動作し、相違する「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」の「投与速度範囲(例えば、「89〜97mL/h」)」と、「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」の「基準投与速度情報」の「投与速度範囲(例えば、1〜9mL/h)」が隣接する「投与速度範囲」同士であるか否か判断される。
すなわち、投与速度範囲「89〜97mL/h」の隣接する「投与速度範囲」は
図4の「薬剤及び投与速度別分布情報23a」に示すように、例えば、「81〜89mL/h」及び「97〜105mL/h」であり、この隣接する「投与速度範囲」の相違の場合は、「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」を修正等する必要がない程度(許容範囲内)の軽微な相違と判断する。
したがって、担当者等は、軽微な相違等の発生による「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」の頻繁な修正等を強いられることがなく、使い易い薬剤ライブラリシステム1となる。
【0048】
本実施の形態の上述の例では、相違する「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」の「投与速度範囲(例えば、「89〜97mL/h」)」と、「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」の「基準投与速度情報」の「投与速度範囲(例えば、1〜8mL/h)」は、隣接する「投与速度範囲」ではなく、大きく相違するので、ST15では「NO」と判断され、ST16へ進む。
ST16では、「新基準投与速度情報生成部(プログラム)41」が動作し、
図11の「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」の送液回数が最も多い「投与速度範囲」(例えば、89〜97mL/h)を、
図12の「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」の新「基準投与速度情報」として、
図6の「新基準投与速度情報記憶部42」に記憶する。
すなわち「89〜97mL/h」の「投与速度範囲」が望ましい「基準投与速度情報」として記憶される。
【0049】
次いで、ST17へ進む。ST17では、
図6の「使用禁止情報付加処理部(プログラム)43」が動作し、ST16で、「新基準投与速度情報記憶部42」に記憶された「新基準投与速度情報」の対象となった
図12「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」に「使用禁止情報」を関連付けて、
図4の「薬剤別投与速度正規分布情報記憶部34」に記憶する。
【0050】
次いで、ST18へ進む。ST18では、「新基準投与速度情報隣接情報判断部(プログラム)44」が動作し、
図11の「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」と、
図6の「新基準投与速度情報記憶部42」を参照し、「新基準投与速度情報」の「投与速度範囲(例えば、「89〜97mL/h」)」に隣接する「投与速度範囲」の送液回数を参照する。
図11の場合は、「89〜97mL/h」の隣接する「投与速度範囲」は、「81〜89ml/h」と「97〜105mL/h」であり、これらの送液回数は25回と8回程度である。
【0051】
次いで、ST19へ進む。ST19では、
図6の「新基準投与速度情報記憶部42」の「新基準投与速度情報」、例えば、「89〜97mL/h」の送液回数(例えば、47回程度)と隣接する「投与速度範囲」の送液回数(例えば、25回と8回)の差が10%以内か否かを判断する。
本実施の形態の上述の例の場合、隣接する投与速度範囲の送液回数は25回と8回で、「89〜97mL/h」の送液回数である47回との差が10%以内でないため、ST19での判断は「NO」となる。
しかし、例えば、「89〜97mL/h」の送液回数(例えば、47回程度)と隣接する「投与速度範囲」の送液回数が、46回、45回で共に、47回との差が10%以内のときは、ST20へ進む。
【0052】
ST20では、該当する「投与速度範囲(89〜97mL/h)」でその数値が数値群の中央部分に最も近い「投与速度範囲」を選択する。
すなわち、
図11の「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」の場合、数値は、「1mL/hから145mL/h」であり、その中央部分は、「72.5mL/h」となる。
そこで、「投与速度範囲(89〜97mL/h)」の数値が、「72.5mL/h」に近い、すなわち、「81〜89ml/h」を選択する。
そして、この「81〜89ml/h」の「投与速度範囲」を
図6の「新基準投与速度情報」として、「新基準投与速度情報記憶部42」に更新登録する。
【0053】
このように数値群の中央部分に近い位置に「新基準投与速度情報」を定めることで、看護師等が輸液ポンプ2a等で、薬剤に投与速度を設定する際に、設定操作をし易いことになる。
具体的には、通常、数値を輸液ポンプ2a等のダイヤルで設定する際、初期設定の数値は中央部分の数値となることが多い。このため、この中央部の数値から近い「投与速度範囲」の数値に設定する方が、看護師等の操作者にとっては操作し易いこととなる。
【0054】
次いで、ST21へ進む。ST21では、
図1の「病院職員用端末側ディスプレイ53」に、当該薬剤の「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」を使用禁止処理したこと、及び当該グラフの見直しの要求を表示すると共に、
図6の「新基準投与速度情報記憶部42」の「新基準投与速度情報」の「投与速度範囲」を、「基準投与速度情報」として推奨する旨、表示される。この表示内容が「推奨情報」の一例となる。
【0055】
したがって、薬剤の使用状況の分析等をする担当者等は、自己の分析に使用する「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」の修正等の必要性を迅速に知ることができ、また、その修正に際し、使用すべき「新基準投与速度情報」も併せて表示されるので、修正作業がし易くなる。
【0056】
一方、
図8のST14で、「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」の「投与速度範囲(例えば、「89〜97mL/h」)」と、「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」の「基準投与速度情報」の「投与速度範囲」が相違しなかった場合は、
図10のST22へ進む。
ST14で、「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」の「投与速度範囲」と、「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」の「基準投与速度情報」の「投与速度範囲」が相違しない場合でも、担当者等が薬剤の使用状況の分析基準として、当該「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」のデータを使用すべきでない場合がある。
そこで、本実施の形態では、ST22以下で、「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」のデータを薬剤の使用状況の分析基準として使用すべきかを判断する。
【0057】
先ず、ST22では、
図6の「薬剤別投与速度正規分布全体判断部(プログラム)45」が動作し、
図11の「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」で送液回数が2番目〜19番目に多い「投与速度範囲」を特定(例えば、25〜33mL/h、81〜9mL/h、49〜57mL/h等)し、
図12の「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」の送液回数が2番目〜19番目に多い「投与速度範囲」(例えば、9〜17mL/h、17〜25mL/h、25〜33mL/h等)とそれぞれ比較する。
すなわち、「直近薬剤別投与速度分布グラフ32a」と「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」に関し、「基準投与速度情報」以外の他の「投与速度範囲」を比較する。
この「投与速度範囲」が「使用量範囲情報」の一例となっている。
【0058】
次いで、ST23へ進む。ST23では、「投与速度範囲」の全体の相違が「所定範囲」である例えば、50%以上であるか否かを判断する。
すなわち、「25〜33mL/h」等の各「投与速度範囲」毎に両者の「投与速度範囲」の送液回数の多い順番を比較し、「投与速度範囲」の多い順番が相違するか否かを判断し、その相違する「投与速度範囲」が全体(例えば、18個の「投与速度範囲」)の50%(例えば、9個)以上相違しているか否かを判断する。
【0059】
ST23で。50%以上相違していると判断されたときは、ST24へ進む。ST24では、
図9のST17と同様に、当該薬剤の「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」に「使用禁止情報」を関連付けて「薬剤別投与速度正規分布記憶部34」に登録する。
このように、本実施の形態では、ST14で、「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」の適否を「基準投与速度情報」の「投与速度範囲」で判断したときの欠点を補い、全体として適切か否かも判断するので、漏れの無い適否判断が可能となっている。
【0060】
次いで、ST25へ進む。ST25では、「病院職員用端末側ディスプレイ53」に、当該薬剤の「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」を使用禁止処理したこと、及び当該グラフの見直しの要求が表示される。
したがって、薬剤の使用状況の分析等をする担当者等は、自己の分析に使用する「薬剤別投与速度正規分布グラフ34a」の修正等の必要性を迅速に知ることができので、極めて使い易いシステムとなる。
【0061】
ところで、本発明は、上述の実施の形態に限定されない。本実施の形態では、医療機器として輸液ポンプ2a等を例に説明したが、本発明は、これに限らず、シリンジポンプ等の他の医療機器等でも好適に適用することができる。