(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定のユーザについて、前記所定のユーザが或る金融機関に開設した口座において保有する各銘柄に対応付けて、特定の年における実現益、利金・分配金・配当金及び未実現損失を少なくとも記憶する記憶手段と、
前記所定のユーザについて、未実現損失が生じているすべての特定銘柄を売買すべき数量を算出する算出手段であって、すべての銘柄についての実現益の総額及び利金・分配金・配当金の総額のうちの少なくとも一方と、前記すべての特定銘柄についての未実現損失及び保有数量と、前記すべての特定銘柄についての前記未実現損失の総額と、に基づいて、前記特定銘柄を売買すべき数量を算出する算出手段と、
前記所定のユーザについて、前記特定銘柄を前記数量売却する売却処理を実行した後、所定の時間内に、前記特定銘柄を前記数量と同一の数量購入する購入処理を実行する売買処理手段と、
を具備することを特徴とするサーバ装置。
前記算出手段は、前記利金・分配金・配当金の総額から他の金融機関を介した取引により発生した利金・分配金・配当金の総額を加減して、前記特定銘柄を売買すべき数量を算出する、請求項1から請求項3のいずれかに記載のサーバ装置。
前記売買処理手段は、前記売却処理に係る約定日と前記購入処理に係る約定日とを同日又は異日に設定して、前記売却処理及び前記購入処理を実行する、請求項1から請求項4のいずれかに記載のサーバ装置。
前記売買処理手段は、前記売却処理に係る受渡日と前記購入処理に係る受渡日とを同日又は異日に設定して、前記売却処理及び前記購入処理を実行する、請求項1から請求項5のいずれかに記載のサーバ装置。
前記売買処理手段は、前記売却処理において前記特定銘柄を予め合意された価格、予め定められた算定方法に従って算出された価格又は予め定められた時点における市場価格で売却し、前記購入処理において前記特定銘柄を前記価格と同一の価格で購入する、請求項1から請求項6のいずれかに記載のサーバ装置。
前記売買処理手段は、前記売却処理において前記特定銘柄を当該売却処理時における市場価格で売却し、前記購入処理において前記特定銘柄を当該購入処理時における市場価格で購入する、請求項1から請求項6のいずれかに記載のサーバ装置。
前記売買処理手段は、前記購入処理及び前記売買処理を、毎日、毎週、毎月、毎四半期、毎年その他一定の周期、少なくとも1つの銘柄についての分配金額が更新された時点、少なくとも1つの銘柄が売却された時点、リバランス処理が実行された時点、前記所定のユーザの端末装置から所定の信号を受信した時点、及び、当該サーバ装置に設けられたユーザインターフェイスを介して当該サーバ装置のオペレータにより入力された所定の信号が検出された時点のうちの少なくとも1つのタイミングにおいて実行する、請求項1から請求項8のいずれかに記載のサーバ装置。
所定のユーザについて、前記所定のユーザが或る金融機関に開設した口座において保有する各銘柄に対応付けて、特定の年における実現益、利金・分配金・配当金及び未実現損失を少なくとも記憶する記憶手段と、
前記所定のユーザについて、未実現損失が生じているすべての特定銘柄を売買すべき数量を算出する算出手段であって、すべての銘柄についての実現益の総額及び利金・分配金・配当金の総額のうちの少なくとも一方と、前記すべての特定銘柄についての未実現損失及び保有数量と、前記すべての特定銘柄についての前記未実現損失の総額と、に基づいて、前記特定銘柄を売買すべき数量を算出する算出手段と、
前記所定のユーザについて、前記特定銘柄を前記数量売却する売却処理を実行した後、所定の時間内に、前記特定銘柄を前記数量と同一の数量購入する購入処理を実行する売買処理手段と、
を具備することを特徴とする端末装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、本発明の様々な実施形態を説明する。なお、添付図面において共通する構成要素には同一の参照符号が付されている。
【0008】
1.一実施形態に係る有価証券の売買システムの概要
一実施形態に係る有価証券の売買システムは、ユーザが有価証券の取引により発生した利益に対して課税される税金(所得税、住民税、復興税等)(以下「所得税等」という。)を最適化する新規なサービスをユーザに提供するものである。具体的には、税法上、ユーザの特定の年における証券取引において発生した譲渡益及び利金・分配金・配当金(以下便宜上「分配金等」という。)を譲渡損と相殺することが可能であることを前提として、或る時点で或るユーザについて少なくとも1つの銘柄について実現益及び分配金等(の少なくとも一方)が生じており、かつ、少なくとも1つの銘柄(特定銘柄)について未実現損失が生じている場合には、上記少なくとも1つの銘柄について発生した実現益及び分配金等(の少なくとも一方)の総額に照らして、当該金額と実現損失を相殺するために売却すべき上記特定銘柄の数量(口数、株数、額面金額等。以下同様とする。)を算出した上で、上記特定銘柄を上記数量売却する売却処理を実行した後、所定の時間内に、上記特定銘柄を上記数量と同一の数量購入する購入処理を実行することにより、上記特定銘柄について保有数量に変動を生じさせることなく実現損失を生じさせるものである。これにより、ユーザは、上記少なくとも1つの銘柄について生じている実現益の総額及び分配金等の総額から上記特定銘柄について生じた実現損失を相殺した金額を、所得税等の対象とすることによって、単に実現益及び分配金等(の少なくとも一方)のみが発生した場合に比して、支払うべき所得税等を減ずることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る有価証券の売買システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、有価証券の売買システム1は、主に、売買サーバ10と、売買サーバ10に対してインターネット等を含む通信網20を介して接続された複数の端末装置30−1、30−2、・・・、30−N(以下「端末装置30」と総称することがある。)と、を含む。
【0009】
本実施形態では、売買サーバ10は、計算サーバ12と、計算サーバ12に接続されたウェブサーバ14と、計算サーバ12及びウェブサーバ14に接続されたデータベースサーバ16と、データベースサーバ16に接続された証券サーバ18と、を含む。なお、別の実施形態では、売買サーバ10は、計算サーバ12、ウェブサーバ14、データベースサーバ16及び証券サーバ18の各々が果たす機能をすべて果たすように、1つ又は複数のデータベースとして構成されるものであってもよい。
【0010】
ウェブサーバ14は、端末装置30から受信した情報に応じて、計算サーバ12及びデータベースサーバ16から受信した様々な情報を用いてウェブページを表示するためのHTMLデータを生成して端末装置30に送信する。データベースサーバ16は、ウェブサーバ14、計算サーバ12及び証券サーバ18の各々から受信した情報を記憶するとともに、記憶した情報を計算サーバ12及びウェブサーバ14に送信する。計算サーバ12は、ウェブサーバ14及びデータベースサーバ16の各々から受信した情報に基づいて、様々な処理及び演算を実行し、そのような処理及び演算の結果をウェブサーバ14及びデータベースサーバ16に送信する。証券サーバ18は、有価証券に関する様々な情報を、図示しない証券取引所(東京証券取引所やニューヨーク証券取引所等を含む様々な証券取引所)に配置された図示しないサーバ装置から通信網20等を介して受信し、そのように受信した情報をデータベースサーバ16に送信する。
【0011】
ユーザは、そのユーザの端末装置30を用いて、売買サーバ10(特にウェブサーバ14)との間で様々な情報を送受信することによって、有価証券の売買に関する様々なサービス(以下「有価証券売買サービス」という。)の提供を受けることができる。
【0012】
2.売買サーバ10の構成
売買サーバ10を構成する計算サーバ12、ウェブサーバ14、データベースサーバ16及び証券サーバ18が共通して有する構成について
図2を参照して説明する。
図2は、
図1に示した有価証券の売買システムに用いられる売買サーバ10(を構成する各サーバ)の構成の一例を示すブロック図である。
【0013】
図2に示すように、各サーバは、CPU101と、メインメモリ102と、ユーザインターフェイス(I/F)103と、通信インターフェイス(I/F)104と、外部メモリ105と、ディスクドライブ106と、を含み、これらの各構成要素がバス107を介して互いに電気的に接続されている。
【0014】
CPU101は、外部メモリ105からオペレーティングシステム、及び、様々な機能を実現するためのプログラム等をメインメモリ102にロードし、ロードしたプログラムに含まれる命令を実行する。メインメモリ102は、CPU101が実行するプログラムを格納するために用いられ、例えばDRAMによって構成される。
なお、計算サーバ14に搭載されたCPU101は、ウェブサーバ14及びデータベースサーバ16の各々から受信した情報に基づいて、様々な処理及び演算を実行する。また、ウェブサーバ14に搭載されたCPU101は、端末装置30から受信した情報に応じて、計算サーバ12及びデータベースサーバ16から受信した様々な情報を用いてウェブページを表示するためのHTMLデータを生成する。
【0015】
ユーザI/F103は、例えば、オペレータの入力を受け付けるキーボードやマウス等の情報入力装置と、CPU101の演算結果を出力する液晶ディスプレイ等の情報出力装置と、を含む。通信I/F104は、ハードウェア、ファームウェア、TCP/IPドライバやPPPドライバ等の通信用ソフトウェア、又は、これらの組み合わせとして実装される。
なお、計算サーバ12、ウェブサーバ14、データベースサーバ16及び証券サーバ18の各サーバは、通信I/F104を用いて、他のサーバと通信可能に接続される。さらに、ウェブサーバ14は、通信I/F104を用いて、通信網20を介して端末装置30と通信可能に構成される。
【0016】
外部メモリ105は、例えば磁気ディスクドライブで構成され、様々な機能を実現するためのプログラム等の様々なプログラムが記憶される。また、外部メモリ105には、これらのプログラムにおいて用いられる各種データも記憶されうる。
【0017】
ディスクドライブ106は、CD−ROM、DVD−ROM、DVD−R等の各種の記憶メディアに格納されたデータを読み込み、又は、これらの記憶メディアにデータを書き込む。
以上、売買サーバ10を構成する計算サーバ12、ウェブサーバ14、データベースサーバ16及び証券サーバ18が共通して有する構成について説明した。
【0018】
ここで、このような構成を有するウェブサーバ14に着目すると、ウェブサーバ14は、階層構造を有する複数のウェブページから成るウェブサイトを管理するウェブサーバであり、端末装置30に対して、有価証券売買サービスを提供することができる。端末装置30に備えられたブラウザソフトウェアは、ウェブページを表示するためのHTMLデータをウェブサーバ14から取得し、取得したHTMLデータを解析して、当該ウェブページを端末装置30のユーザに提示することができる。このウェブページを表示するためのHTMLデータも外部メモリ105に記憶されうる。HTMLデータは、HTML等のマークアップ言語で記述されたHTML文書から成り、このHTML文書には、タグを利用して様々な画像を関連付けることができる。また、HTML文書には、ActionScriptやJavaScript(登録商標)等のスクリプト言語等で記述されたプログラムを埋め込むことができる。
このように、ウェブサーバ14は、有価証券売買サービスを提供するウェブサイトを管理し、このウェブサイトを構成するウェブページを端末装置30からの要求に応じて配信することにより、ユーザに有価証券売買サービスを提供することができる。
【0019】
3.端末装置30の構成
端末装置30は、一実施形態において、売買サーバ10から取得したウェブサイトのウェブページをウェブブラウザ上で表示することができる任意の情報処理装置であって、例えば、携帯電話機、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タッチパッドを含むが、これらには限られない。
【0020】
図3を参照して端末装置30の構成を説明する。
図3は、
図1に示した有価証券の売買システム1に用いられる端末装置30の構成の一例を示すブロック図である。端末装置30は、
図3に示すように、CPU31、メインメモリ32と、ユーザインターフェイス(I/F)33と、通信インターフェイス(I/F)34と、外部メモリ35と、を含み、これらの各構成要素がバス36を介して互いに電気的に接続されている。
【0021】
CPU31は、外部メモリ35からオペレーティングシステム等の様々なプログラムをメインメモリ32にロードし、ロードしたプログラムに含まれる命令を実行する。メインメモリ32は、CPU31が実行するプログラムを格納するために用いられ、例えばDRAMによって構成される。
【0022】
ユーザI/F33は、例えば、ユーザの入力を受け付けるタッチパネル、キーボード、ボタンやマウス等の情報入力装置と、CPU31の演算結果を出力する液晶ディスプレイ等の情報出力装置と、を含む。通信I/F34は、ハードウェア、ファームウェア、又は、TCP/IPドライバやPPPドライバ等の通信用ソフトウェア又はこれらの組み合わせとして実装され、通信網20を介してサーバ装置10と通信可能に構成される。
外部メモリ35は、例えば磁気ディスクドライブやフラッシュメモリ等により構成され、オペレーティングシステム等の様々なプログラムを記憶する。
【0023】
このような構成を有する端末装置30は、例えば、HTML形式のファイル(HTMLデータ)を解釈して画面表示するためのブラウザソフトウェアを備えており、このブラウザソフトウェアの機能により売買サーバ10から取得したHTMLデータを解釈して、受信したHTMLデータに対応するウェブページを表示することができる。また、端末装置30は、ブラウザソフトウェアに組み込まれるプラグインソフト(例えば、アドビシステムズ社から提供されているFLASH Player)(FLASHは商標)を備えており、HTMLデータに埋め込まれたSWF形式のファイルを売買サーバ10から取得し、当該SWF形式のファイルをブラウザソフトウェア及びプラグインソフトを用いて実行することができる。
【0024】
端末装置30においてHTML形式のファイル(HTMLデータ)が解釈されると、例えば、このファイルにおいて指定されたアニメーションや操作用アイコンが端末装置30の画面に表示される。ユーザは、端末装置30の入力インターフェイス(例えば、タッチスクリーンやボタン)を用いて有価証券売買サービスを進行させるための指示を入力することができる。ユーザから入力された指示は、端末装置30のブラウザ等のプラットフォームの機能を通じて売買サーバ10に伝達される。
【0025】
4.売買サーバ10の機能
図4は、
図1に示した有価証券の売買システム1において用いられる売買サーバ10が有する機能の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、売買サーバ10は、主に、記憶部110と、算出部120と、売買処理部130と、を含む。
【0026】
記憶部110は、各ユーザについて、該ユーザが或る金融機関(ここでは一例として金融商品取引業者である「WN社」)に開設した口座において保有する複数の銘柄の各々に対応付けて、実現益、分配金等及び未実現損失等を含む様々な情報を記憶することができる。なお、金融機関には、預金取扱等金融機関(銀行、信用金庫、信用農業共同組合連合会等)、金融商品取引業者、及び、保険会社が含まれる。さらにまた、金融機関には、諸外国の法律等により定められた金融機関も含まれる。
算出部120は、各ユーザについて、少なくとも1つの銘柄(又は全銘柄)についての実現益の総額及び分配金等の総額のうちの少なくとも一方(又は両方)に基づいて、未実現損失が生じている特定銘柄を売買すべき数量(口数)を算出することができる。また、算出部120は、未実現損失が生じている特定銘柄を売買すべき数量を、全特定銘柄についての未実現損失の総額に対する上記特定銘柄の未実現損失の割合に基づいて算出することができる。
売買処理部130は、各ユーザについて、上記特定銘柄を上記数量売却する売却処理を実行した後、所定の時間内に、上記特定銘柄を上記数量と同一の数量購入する購入処理を実行することができる。
【0027】
このような売買サーバ10が有する各機能は、
図2に示した構成を用いて実現され得るものである。
【0028】
5.有価証券の売買システムの動作
上記構成を有する有価証券の売買システム1において有価証券売買サービスを提供するために行われる動作の一例について説明する。
まず、有価証券の売買システム1において行われる動作の概要について
図5を参照して簡単に説明する。
図5は、
図1に示した有価証券の売買システム1において行われる動作の一例を示すフロー図である。
【0029】
まず、ステップ(以下「ST」という。)40において、ユーザ(ここでは「ユーザ甲」)が、端末装置30を利用して、売買サーバ10のウェブサーバ14により提供されている有価証券売買サービスを提供するための所定のサイトにアクセスして、様々な情報を入力してウェブサーバ14に送信する。ユーザ甲は、有価証券の購入に費やす金額等を含む様々な情報を指定してウェブサーバ14に送信することができる。このような情報は、ウェブサーバ14を介して計算サーバ12に送信される。これにより、計算サーバ12は、ユーザ甲について、所定のアルゴリズムに従って、複数の銘柄が含まれたポートフォリオを自動的に生成する。
【0030】
ST42において、計算サーバ12は、リバランス処理を実行する。具体的には、計算サーバ12は、ユーザ甲のポートフォリオの状態を監視し、このポートフォリオを構成する複数の銘柄の各々の資産が全体の資産に対して特定の割合を占めるように、各銘柄を適切な口数売却又は購入するリバランス処理を実行する。各銘柄の資産が全体の資産に対して占める割合は、限定されるものではなく、予め設けられた設定値であってもよいし、ユーザ甲から指定された設定値であってもよい。
【0031】
ST44において、計算サーバ12は、ユーザ甲の資産に関する情報を生成(更新)する。これにより、計算サーバ12は、ユーザ甲の資産に関する情報を生成(更新)してデータベースサーバ16に記憶する。
【0032】
図6は、
図1に示した有価証券の売買システム1において用いられる売買サーバ10のデータベースサーバ16に記憶されるユーザの資産に関する情報の一例を示す図である。
図6に例示するように、データベースサーバ16は、顧客ID「0001」で識別されるユーザ甲について、ユーザ甲が金融商品取引業者(WN社)に開設した口座において保有する銘柄A〜銘柄Gの各々について、例えば、保有口数、平均取得単価、実現益、累積分配金額、時価、未実現損失を記憶することができる(なお、
図6に示された、目標実現損、売買口数及び売買後平均取得単価は、ST46における処理を説明するためのものであって、データベースサーバ16に記憶されるものではない)。
【0033】
これらの情報のうち、「時価(円)」は、例えば
図7に示す時価情報(これは証券サーバ18からデータベースサーバ16に提供される情報である)に基づいて計算サーバ12により算出されたものである。例えば、銘柄Aの「時価(円)」である「11792(円)」は、米国ドルと日本円との為替レートである「110.28(円)」に銘柄Aの価格である「106.93(ドル)」を乗ずることによって算出されたものである。したがって、各銘柄の「時価(円)」は、証券サーバ18から提供される時価情報に依存して時々刻々と変化するものであるといえる。
【0034】
また、ユーザ甲についてデータベースサーバ16に記憶される情報のうち、「未実現損益(円)」もまた、実質的には、例えば
図7に示す時価情報に基づいて計算サーバ12により算出されたものである。例えば、銘柄Aの「未実現損益(円)」である「−9240(円)」は、銘柄Aの「時価」である「11792(円)」から銘柄Aの「平均取得単価(円)」である「12100(円)」を減じた値に、銘柄Aの「保有口数」である「30」を乗ずることによって算出されたものである。したがって、各銘柄の「未実現損益(円)」もまた、証券サーバ18から提供される時価情報に依存して時々刻々と変化するものであるといえる。
【0035】
データベースサーバ16は、以上のような情報をユーザ甲だけでなく他のユーザについても(すなわち、各ユーザについて)記憶することができる。
【0036】
図5に戻り、ST46において、計算サーバ12は、少なくとも1つの銘柄の実現益の総額及び分配金等の総額のうちの少なくとも一方が生じており、かつ、少なくとも1つの特定銘柄について未実現損失が生じている場合には、この特定銘柄を売買すべき口数を算出する。
【0037】
ST48において、計算サーバ12は、特定銘柄をST46において算出された口数売却する売却処理、及び、特定銘柄をST46において算出された口数と同一の口数購入する購入処理を実行する。
【0038】
この後、上述した処理(ST40〜ST48)が繰り返される。この場合、ST40において、ユーザ甲が何らの情報も入力しない場合には、何らの処理も行われず、処理はST42に移行する。
また、ST42において、リバランス処理は、例えば、いずれかの銘柄の資産が全体の資産に対して占める割合がこの銘柄について設定されている割合と相違している場合にのみ、実行されるようにしてもよいし、及び/又は、所定の周期(例えば、1週間、2週間、1ヶ月、3か月等の任意の周期)ごとに実行されるようにしてもよい。
さらに、ST44において、ユーザ甲の資産に関する情報の更新もまた、例えば、所定の周期(例えば、毎日(例えば朝5時)、毎週、毎月等の任意の周期)ごとに実行されるようにしてもよいし、及び/又は、ST42におけるリバランス処理及び/又はST48における特定銘柄の売買処理が実行される都度、実行されるようにしてもよい。
さらにまた、ST48において、特定銘柄の売買処理は、所定の周期(毎日、毎週、毎月、毎四半期、毎年その他一定の周期)ごとに実行されるようにしてもよいし、少なくとも1つの銘柄についての分配金等が更新された時点、少なくとも1つの銘柄が売却された時点、ST42におけるリバランス処理が実行された時点、ST40においてユーザ甲の端末装置30から所定の信号(特定銘柄の売買処理を実行する旨を売買サーバ10に対して指示する信号等)を受信した時点、及び/又は、売買サーバ10(計算サーバ12、ウェブサーバ14、データベースサーバ16及び証券サーバ18のうちのいずれであってもよい)に設けられたユーザインターフェイス(I/F)103を介してこの売買サーバ10を操作するオペレータにより入力された所定の信号が上記売買サーバ10のCPU101に検出された時点(例えば、オペレータが、特定のユーザについて、特定銘柄の売買処理を実行すべく、所定のアイコン等をクリックしたり、キーボードから所定の情報を入力した時点)において実行されるようにしてもよい。
【0039】
5−1.特定銘柄を売買すべき口数の算出(ST46)の詳細について
上述したST46において行われる(ユーザ甲について)特定銘柄を売買すべき口数の算出について具体的に説明する。
【0040】
まず、前提条件として、ユーザ毎に次のデータを利用する(時価単価は全ユーザで共通である)。
銘柄ID i(i∈I,I={1,2,3,...,n}
保有口数 Amount
i
取得単価 AC
i
時価単価 MV
i
実現損益(今年分) RP
i
累積分配金額(今年分) DV
i
未実現損益 UP
i
銘柄iの代替銘柄のID ai(但し、iは集合Iには含まれない。)
なお、銘柄iの代替銘柄については、「6.変形例」において後述する。
【0041】
以下に述べるステップ1〜ステップ3が計算サーバ12により実行される。
(1)ステップ1
ユーザ甲の実現損益(実現損益及び分配金等のうちの少なくとも一方)の総額が次の式に従って算出される。
ユーザ甲の実現損益が利益となっている場合(TRP>0)であって、かつ、ユーザ甲が未実現損失が生じている銘柄(特定銘柄)を保有している(UP
i<0となっているiが存在する)場合には、ステップ2が実行される。なお、
図6に示した例では、TRP=16600(円)である。
(2)ステップ2
未実現損失が生じている銘柄(特定銘柄)全部のIDの集合をU(U
⊂I)とする。
(3)ステップ3
未実現損失の総額が次の式に従って計算される。
なお、
図6に示した例では、TUL=
39773(円)である。
本実施形態では、ユーザが同一日において同一銘柄の売却及び購入を約定した場合、税務上、先に購入を行いその後に売却を行ったものとみなして、税務上の譲渡損益を算出することを前提とする。そうすると、未実現損失の発生した銘柄の全数量を購入及び売却したとしても、損出し可能な額は未実現損失の総額の半分までであることになる(段落0044参照)。そうすると、未実現損失の総額の半分(TUL/2)が相殺したい実現益以下であれば、全ての未実現損失を実現させる取引すなわち最大限の損出しが行われる。そうでない場合には、相殺したい実現益が、次の式に従って、未実現損失の金額の割合で特定銘柄に割り振られる。
これにより、各特定銘柄について目標実現損T
iが算出される(なお、
図6に示した例では、目標実現損T
iは、
図6において「目標実現損(円)」として記載されている)。よって、各特定銘柄を売買すべき口数X
iが次の式に従って算出される。
X
i=Amount
i×T
i÷(−UP
i−T
i) (1)
このように、各特定銘柄について売買すべき口数X
iが算出される。なお、
図6に示した例では、銘柄A、銘柄B、銘柄C及び銘柄Gが特定銘柄に該当し、これらについて売買すべき口数は、それぞれ、22、67、25及び3である。
これらの特定銘柄をそれぞれ算出された口数で購入した後、これらの特定銘柄をそれぞれ算出されたものと同一の口数で売却した場合には、実現する損失額は、16796(円)である。これに対して、実現益の総額は上記のとおり16600(円)である。
なお、ユーザ甲が金融商品取引業者であるWN社に開設した口座が一般口座である場合等税制上適切と考えられる場合には、下記式(2)を用いることもできる。
X
i=T
i÷(AC
i−MV
i) (2)
また、上記式(1)又は上記式(2)を用いて、各特定銘柄について売買すべき口数X
iを算出する際には、別の実施形態では、T
iをそのまま用いることに代えて、T
iに所定の演算を施したものを用いてもよい。例えば、所定の位(1の位、10の位、100の位等の任意の位)でT
iを四捨五入(又は切り上げ若しくは切り捨て)したものを上記式(1)又は上記式(2)に代入し、T
iから所定の数値を減じたものを上記式(1)又は上記式(2)に代入し、及び/又は、T
iに所定の係数(1未満の係数)を乗じたものを上記式(1)又は上記式(2)に代入したりすることができる。このような手法を用いた場合であっても、最終的には、(T
iをそのまま用いる場合に比べて、節税効果は下がる可能性はあるものの)ユーザ甲は、支払うべき所得税等を依然として減ずることができる。
【0042】
次に、上述した式(1)がどのようにして導かれるのかについて簡単に説明する。
まず前提条件として、以下のとおり設定する。
目標損出し額 T円(>0)
特定銘柄の取得価格 a円
特定銘柄の時価 b円(<a)
現在の保有口数 n口
購入・売却口数 X口(これが求めるべき値である)
【0043】
購入後の取得価格は、次の式により求められる。
(an+bX)÷(n+X)
売却による実現損は、次の式により求められる。
bX−X×((an+bx)÷(n+X))=−T
両方の式を整理すると、次の式が得られる。
(n+X)bX−anX−bX
2=−(n+X)T
bnX−anX+TX=−nT
これを解くと次の式が得られる。
X=nT÷(an−bn−T)
これにより、上述した式(1)が導き出される。
【0044】
なお、目標額Tは含み損の金額(=(a−b)n円)よりも小さいことが前提となっている。目標額が含み損の金額(=(a−b)n円)に対して近くなればなるほど、(an−bn−T)が0に近づき、Xが極端に大きくなる。すなわち、損を出し切るためには、売却・購入後の取得価格を可能な限り現在の時価に近づける必要があり、そうするためには非常に多くの口数を売却及び購入することが必要となる。
(例)含み損が20万円ある場合に15万円を損出しするためには、現在の保有口数の3倍の口数を売買することが必要となるが、それは不可能である。
売買口数Xを保有口数nまでに制限する場合には、まず、次の式を解く
X=nT+(an−bn−T)≦n
これにより、次の式が得られる。
T≦(an−bn)÷2
このように、損出しできるのは、含み損の半分までであることが理解される。
【0045】
5−2.特定銘柄の売買処理(ST48)の詳細について
上述したST48において行われる(ユーザ甲について)特定銘柄の売買処理について具体的に説明する。
【0046】
計算サーバ12は、各特定銘柄を(上記ST46において算出された)口数T
i売却する売却処理を実行した後、所定の時間内に、各特定銘柄を上記口数と同一の口数購入する購入処理を実行する。ここでいう所定の時間とは、例えば、売却処理を実行した日付と購入処理を実行した日付とが同日となるような任意の時間であってよい。
【0047】
具体的には、
図6に示した例では、特定銘柄Aに着目すると、計算サーバ12は、特定銘柄Aを口数22売却する売却処理を実行した後、所定の時間内に、特定銘柄Aを口数22購入する購入処理を実行する。このような売却処理及び購入処理としては、具体的には、計算サーバ12は、例えば、データベースサーバ16において、取引情報として、
図8に例示するような情報を記憶する。
【0048】
図8には、第1行目において、顧客ID「0001」により識別される「ユーザ甲」が、WN社に特定銘柄Aを口数22売却することによってWN社から259424円(時価11792×口数22)の支払いを受けたという情報が記録され、第2行目において、同じく「ユーザ甲」が、WN社から特定銘柄Aを口数22購入することによってWN社に259424円(時価11792×口数22)を支払ったという情報が記録される。
なお、
図8には示していないが、他の特定銘柄(すなわち、特定銘柄B、特定銘柄C及び特定銘柄G)についても、計算サーバ12は、データベースサーバ16に同様の情報を記録する。
本実施形態では、
図8に示した例から明らかなように、計算サーバ12は、仕切取引に従って、特定銘柄Aを売買する。すなわち、計算サーバ12は、予め定められた一定時点における市場価格(例えば前日の終値等)(予め合意された価格、又は、予め定められた算定方法に従って算出された価格)である「11792(円)」で特定銘柄Aを売却した後、上記市場価格と同一の価格である「11792(円)」で特定銘柄Aを購入する。
なお、
図8に示した例では、計算サーバ12は、特定銘柄Aの売却処理に係る約定日と特定銘柄Aの購入処理に係る約定日とを「同日」(2016年5月28日)に設定し、特定銘柄Aの売却処理に係る受渡日と特定銘柄Aの購入処理に係る受渡日とを「同日」(2016年6月2日)に設定して、売却処理及び購入処理を実行している。しかし、計算サーバ12は、特定銘柄Aの売却処理に係る約定日と特定銘柄Aの購入処理に係る約定日とを「異日」に設定し、及び/又は、特定銘柄Aの売却処理に係る受渡日と特定銘柄Aの購入処理に係る受渡日とを「異日」に設定して、売却処理及び購入処理を実行してもよい。すなわち、計算サーバ12は、特定銘柄Aの売却処理に係る約定日と特定銘柄Aの購入処理に係る約定日とを同日又は異日に設定し、及び/又は、特定銘柄Aの売却処理に係る受渡日と特定銘柄Aの購入処理に係る受渡日とを同日又は異日に設定して、売却処理及び購入処理を実行してもよい。
【0049】
以上のような売買処理を実行した結果、
図6に例示したような各ユーザの資産に関する情報は更新される必要がある。具体的には、
図6に示した「平均取得単価(円)」はもはや正確な値ではなくなっている。すなわち、例えば、特定銘柄Aについては、「平均取得単価(円)」は、「12100」ではなく、
図6に参考までに「売買後平均取得単価(円)」に示した「11970」(=(12100×30+11792×22)÷(30+22))に更新されなければならない。このような更新は、上述したようにST44において実行される。
【0050】
ユーザが一定の有価証券の取引に関して或る年について納める所得税等の金額は、当該有価証券についての実現損益の総額及び分配金等の総額に基づいて、又はそれを更に他の所得と通算して、決せられる。本実施形態では、少なくとも1つの銘柄について実現益及び分配金等(の少なくとも一方)が生じており、かつ、少なくとも1つの銘柄(特定銘柄)について未実現損失が生じている場合には、上記少なくとも1つの銘柄について実現益及び分配金等(の少なくとも一方)に基づいて、上記特定銘柄を売買すべき数量(口数)を算出した上で、上記特定銘柄を上記数量売却する売却処理を実行した後、所定の時間内に、上記特定銘柄を上記数量と同一の数量購入する購入処理を実行することにより、上記特定銘柄について実現損失を生じさせることができる。これにより、確定申告時には、ユーザは、上記少なくとも1つの銘柄について生じている実現益の総額及び分配金等の総額から上記特定銘柄について生じた実現損失を相殺した金額を、所得税等の対象とすることによって、支払うべき所得税等を減ずることができる。
【0051】
なお、特定口座を通じて上記の取引を行っているユーザについては、特定銘柄を上記口数売却する売却処理を実行した後、「同日に」この特定銘柄を同一の口数購入する購入処理を実行する、という手法(以下便宜上「手法A」という。)を採用した場合であっても、現行の日本の税法上、先に購入を行いその後に売却を行ったものとみなして課税の対象となる実現損益を算定することとされている。
しかし、日本国の税法が改正され、手法Aを実行した場合には、実際に行われた取引と同様に、先に売却を行いその後に購入を行ったものと取り扱われるようになることも考えられる。また、一般口座を利用しているユーザ等、現行の日本の税法上も手法Aを採用した場合に実際に行われた取引と同様に、先に売却を行いその後に購入を行ったものと取り扱われるユーザも存在する。
【0052】
6.変形例
次に、上述した実施形態に関する様々な変形例について説明する。
上記実施形態では、計算サーバ12が特定銘柄の売却処理及び購入処理を「同日」に行う場合について説明した。しかし、別の実施形態では、計算サーバ12は、売却処理及び購入処理を「同日」にではなく「異日」に(例えば購入処理を売却処理の翌日に)実行することも可能である。この場合には、現行の日本国の税法上でも、ユーザは、確定申告時に、この特定銘柄について生じた実現損失を、少なくとも1つの銘柄について生じている実現益の総額及び分配金等の総額から相殺することが認められる。例えば、計算サーバ12は、日本時間6月9日午後11時59分に売却処理を実行し、日本時間6月10日午前0時1分に購入処理を実行すれば、現在施行されている日本国の税法上、ユーザは、確定申告時に、この特定銘柄について生じた実現損失を、少なくとも1つの銘柄について生じている実現益の総額及び分配金等の総額から相殺することが可能である。この例では、売却処理の実行時と購入処理の実行時との間には約2分間しか経過していないため、特に、約定時の市場価格で特定銘柄の売買を行う委託取引の場合、すなわち、売却処理の実行時における市場価格で特定銘柄を売却し購入処理の実行時における市場価格で特定銘柄を購入する場合には、売却処理の実行時と購入処理の実行時との間において特定銘柄の時価が大きく変動する可能性が低いと想定されることから、売却処理の実行時と購入処理の実行時との価格差を最小限にすることができる可能性がある。
【0053】
また、上記実施形態では、計算サーバ12が仕切取引に従って特定銘柄を売買する場合について説明した。しかし、計算サーバ12は、特定銘柄を売買する際には、仕切取引だけでなく、委託取引に従うものであってもよい。なお、上述したとおり、仕切取引とは、予め定められた一定時点における市場価格(例えば前日の終値等)(又は予め合意された価格、若しくは、予め定められた算定方法に従って算出された価格)で有価証券を売買する方式の取引を意味し、委託取引とは、売買を行う時点における市場価格で有価証券を売買する方式の取引を意味する。
【0054】
また、上記実施形態では、特定銘柄を売買すべき口数を算出する(ST46)際には、計算サーバ12は、ユーザ甲が金融商品取引業者(WN社)に開設した口座において保有する各銘柄に存在する実現益及び分配金等としては、その口座に含まれるもののみを用いる場合について説明した。しかし、計算サーバ12は、或る銘柄についての実現益(分配金等)として、ユーザ甲が「他の」金融機関を介した取引によりその銘柄について発生した実現益(分配金等)を含めて、特定銘柄を売買すべき口数を算出することも可能である。すなわち、計算サーバ12は、少なくとも1つの銘柄についての実現益の総額(分配金等の総額)から、他の金融機関を介した取引により上記少なくとも1つの銘柄について発生した実現損益の総額(分配金等の総額)を加減して、特定銘柄を売買すべき口数を算出することも可能である。これにより、ユーザ甲は、自身が有するすべてのポートフォリオの内容に基づいてより効果的に有価証券の譲渡損益に課税される所得税等を最適化することができる。ここで、このような「他の」金融機関を介した取引によりその銘柄について発生した実現益(分配金等)に関する情報は、ユーザ甲の端末装置30により例えばST40(
図5)においてユーザ甲により入力され、通信網20及びウェブサーバ14を介して、データベースサーバ16に記憶されるとともに、計算サーバ12に提供されるようにしてもよい。
【0055】
上記実施形態では、ユーザの端末装置30が売買サーバ10のウェブサーバ14にアクセスすることによって、売買サーバ10から有価証券売買サービスの提供を受ける形態について説明した。しかし、ユーザの端末装置30が、例えばインストールされた所定のアプリケーションプログラムを実行することによって、売買サーバ10に含まれた計算サーバ12、データベースサーバ16及び証券サーバ18の各々が果たすものと等価な機能を実行するように構成された形態を採用することも可能である。これにより、ユーザは、端末装置30のみを用いることによって、売買サーバ10にアクセスすることなく、有価証券売買サービスの提供を受けることが可能である。この場合、端末装置30は、
図4に例示したもの(記憶部10、算出部120及び売買処理部130)と等価な機能を有する必要がある。
【0056】
また、上記実施形態では、特定銘柄の売買処理(ST48)を実行する際には、最も好ましい例として、計算サーバ12が、或る特定銘柄を算出された数量(口数)売却した後、その特定銘柄と同一の銘柄を上記数量と同一の数量購入する場合について説明した。しかし、別の実施形態では、計算サーバ12は、或る特定銘柄を算出された数量売却した後、その特定銘柄とは別の銘柄を、上記数量と同一の数量又は上記数量とは異なる数量購入するようにしてもよい。具体的には、上記実施形態では、計算サーバ12が、例えば、価格が500円である銘柄K(指数Sに連動する銘柄)を数量2売却した場合には、その後、価格が500円である同一の銘柄Kを上記数量と同一の数量2購入するが、別の実施形態では、価格が500円である銘柄Kを数量2売却した後、例えば、価格が1000円である別の銘柄L(指数Sに連動する銘柄)を数量1購入してもよいし、価格が250円である銘柄M(指数Sに連動する銘柄)を数量4購入してもよいし、価格が500円である銘柄N(指数Sに連動する銘柄)を数量2購入してもよい。
【0057】
ここで、特定銘柄と別の銘柄を購入する場合、かかる銘柄は、売却する特定銘柄と同一の株価指数に連動しているなど、値動きが近似する銘柄であることが好ましいが、そうでない銘柄であってはならないわけではない。
【0058】
以下、計算サーバ12が、或る特定銘柄を算出された数量売却した後、その特定銘柄とは別の銘柄(代替銘柄)を、上記数量と同一の数量又は上記数量とは異なる数量購入する場合において、代替銘柄を購入すべき数量をどのようにして算出するのかについて説明する。
【0059】
上記「5−1.特定銘柄を売買すべき口数の算出(ST46)の詳細について」において用いた前提条件をそのまま適用する。
まず、上述したステップ1〜ステップ3が実行される。この後、以下に述べる新たなステップ(4)が実行される。
データベースサーバ16には、各銘柄iに対応付けて、その銘柄iの代替銘柄aiが少なくとも1つ記憶されている。代替銘柄aiは、好ましくは、特定銘柄iを売却して代替銘柄aiを購入した場合に、ユーザ甲のポートフォリオの特性が大きく変化することのないように決定されるものとすることができる。例えば、代替銘柄aiは、対応する特定銘柄iと同一の株価指数に連動しているなど、値動きが近似する銘柄であってもよい。
計算サーバ12は、売却する特定銘柄iに対応付けて記憶されている少なくとも1つの代替銘柄から、いずれかの代替銘柄aiを選択する。さらに、計算サーバ12は、以下の式に従って、代替銘柄aiを購入すべき数量Y
iを算出することができる。
Y
i=X
i×MV
i÷MV
ai
この結果、計算サーバ12は、ST48において、特定銘柄iを数量X
i売却する売却処理を実行した後、代替銘柄aiを数量Y
i購入する購入処理を実行する。
【0060】
また、上述した様々な実施形態では、最も好ましい形態として、売却する特定銘柄の価格と購入する特定銘柄(又は代替銘柄)の価格とが同一となるように、計算サーバ12が特定銘柄(代替銘柄)を売買する場合について説明した。しかし、売却する特定銘柄の価格と購入する特定銘柄(又は代替銘柄)の価格とは必ずしも完全に同一である必要はない。特定銘柄を或る数量売却した際の売却額と、特定銘柄(又は代替銘柄)を或る数量購入した際の購入額とが同一となることが、最も好ましいが、(1)上述した様々な実施形態において利用可能な様々な数式には、除算を含むために割り切れない数式も存在すること、及び、(2)売却すべき特定銘柄の価格と、購入すべき特定銘柄(又は代替銘柄)の価格とが、必ずしも同額となるとは限らないこと等を含む様々な要因により、特定銘柄を或る数量売却した際の売却額と、特定銘柄(又は代替銘柄)を或る数量購入した際の購入額とが、同一とはならない場合もある。このような場合であっても、ポートフォリオの特性を大きく変化させることなく支払うべき所得税等を減ずることができるという効果が得られることは明らかである。よって、本件出願に開示された発明は、支払うべき所得税等を減ずることができる限りにおいて、特定銘柄を或る数量売却した際の売却額と、特定銘柄(又は代替銘柄)を或る数量購入した際の購入額とが、同一となる場合だけでなく、概ね同一となる場合をも包含するものである。
【0061】
さらにまた、上述した様々な実施形態は、矛盾が生じない限りにおいて、相互に組み合わせて用いることが可能なものである。
【0062】
本明細書で説明される処理及び手順は、実施形態において明示的に説明されたものによってのみならず、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの組み合わせによっても実現可能なものである。具体的には、本明細書で説明された処理及び手順は、集積回路、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ストレージ等の媒体に、当該処理に相当するロジックを実装することによって実現される。また、本明細書で説明される処理及び手順は、それらの処理・手順をコンピュータプログラムとして実装し、各種のコンピュータに実行させることが可能である。
【0063】
本明細書中で説明される処理及び手順が単一の装置、ソフトウェア、コンポーネント、モジュールによって実行される旨が説明されたとしても、そのような処理又は手順は、複数の装置、複数のソフトウェア、複数のコンポーネント、及び/又は、複数のモジュールによって実行されるものとすることができる。また、本明細書中で説明されるデータ、テーブル又はデータベースが単一のメモリに格納される旨説明されたとしても、そのようなデータ、テーブル又はデータベースは、単一の装置に備えられた複数のメモリ又は複数の装置に分散して配置された複数のメモリに分散して格納されるものとすることができる。さらに、本明細書において説明されるソフトウェア及びハードウェアの要素は、それらをより少ない構成要素に統合して、又は、より多い構成要素に分解することによって実現されるものとすることができる。
【解決手段】 一実施形態に係るサーバ装置は、所定のユーザについて、前記所定のユーザが或る金融機関に開設した口座において保有する各銘柄に対応付けて、特定の年における実現益、利金・分配金・配当金及び未実現損失を少なくとも記憶する記憶手段と、前記所定のユーザについて、少なくとも1つの銘柄についての実現益の総額及び利金・分配金・配当金の総額のうちの少なくとも一方に基づいて、未実現損失が生じている特定銘柄を売買すべき数量を算出する算出手段と、前記所定のユーザについて、前記特定銘柄を前記数量売却する売却処理を実行した後、所定の時間内に、前記特定銘柄を前記数量と同一の数量購入する購入処理を実行する売買処理手段と、を具備する。