【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、総務省、平成27年度における電波資源拡大のための研究開発の委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
予め設定されたポリシー情報に基づいて前記端末装置の無線通信環境に関する判定を行い、配信制御方法を変更すると当該端末装置の無線通信環境が前記ポリシー情報を満たす場合に、前記配信制御変更要求部は前記エッジサーバに対して前記コンテンツのキャッシュデータの配信制御方法の変更の要求を送信する、
請求項1または請求項2に記載の端末装置。
前記ポリシー情報は、前記端末装置の通信料金に関するものであって、前記端末装置の無線通信環境が前記ポリシー情報を満たす場合とは、通信料金が所定の金額以下の場合である、
請求項4に記載の端末装置。
前記ポリシー情報は、前記端末装置の通信速度に関するものであって、前記端末装置の無線通信環境が前記ポリシー情報を満たす場合とは、通信速度が所定の速度より大きい場合である、
請求項4に記載の端末装置。
前記コンテンツの品質に関する判定を行い、当該コンテンツの品質が所定の条件を満たす場合に、前記配信制御変更要求部は前記エッジサーバに対して前記コンテンツのキャッシュデータの配信制御方法の変更の要求を送信する、
請求項1または請求項2に記載の端末装置。
前記コンテンツの品質に関する判定は、前記コンテンツのユーザによる所定以上の評価をされた際に付与される評価フラグに関する判定であって、前記所定の条件とは、当該評価フラグの数が所定の数より大きいことである、
請求項7に記載の端末装置。
前記コンテンツの品質に関する判定は、前記コンテンツの再生が途中で中止された回数に関する判定であって、前記所定の条件とは、当該中止された回数が所定の回数より小さいことである、
請求項7に記載の端末装置。
他のサーバから配信されるコンテンツのキャッシュデータを生成して格納するとともに、自らの有するキャッシュデータを示すキャッシュ情報を予め端末装置に送信するエッジサーバと、
端末装置とエッジサーバ間の通信を中継する基地局と、
前記エッジサーバから前記キャッシュ情報を受信してメモリに格納し、コンテンツの再生が要求された場合に、前記メモリに格納された前記キャッシュ情報に基づいて、前記エッジサーバが当該コンテンツのキャッシュデータを有するか否かを判定し、前記エッジサーバが前記コンテンツのキャッシュデータを有すると判定された場合に、前記基地局が高速あるいは大容量の通信を行うことができるか否かを判定し、前記基地局が高速あるいは大容量の通信を行うことができると判定された場合に、前記エッジサーバに対して前記コンテンツのキャッシュデータの配信制御方法の変更の要求を送信する端末装置と、
を有するデータ配信システム。
他のサーバから配信されるコンテンツのキャッシュデータを生成して格納するとともに、自らの有するキャッシュデータを示すキャッシュ情報を予め端末装置に送信するエッジサーバと、
少なくとも2つの基地局と、
前記エッジサーバから前記キャッシュ情報を受信してメモリに格納し、コンテンツの再生が要求された場合に、前記メモリに格納された前記キャッシュ情報に基づいて、前記エッジサーバが当該コンテンツのキャッシュデータを有するか否かを判定し、前記エッジサーバが前記コンテンツのキャッシュデータを有すると判定された場合に、前記基地局のうちの1つである第1の基地局との無線通信よりも、前記第1の基地局よりも高速あるいは大容量の通信を行うことができる第2の基地局との無線通信の優先度を高めて、前記第2の基地局との通信が確立された場合に、前記エッジサーバに対して前記コンテンツのキャッシュデータの配信制御方法の変更の要求を送信する端末装置と、
を有するデータ配信システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るデータ配信システム100の構成の一例を示す図である。
【0019】
オリジナルサーバ1はコンテンツのデータを配信するサーバ装置である。オリジナルサーバ1は、インターネット2およびゲートウェイ3を介してエッジサーバ4と接続されている。エッジサーバ4は、オリジナルサーバから端末装置7に対して一度配信されたコンテンツのキャッシュデータを格納し、端末装置7から当該コンテンツの配信要求を受信すると当該コンテンツのキャッシュデータを端末装置7に対して転送する。エッジサーバ4と端末装置7とは低周波数帯の基地局5および/あるいは高周波数帯の基地局6を介して無線通信可能に接続されている。低周波数帯の基地局5は、本発明の第1の基地局に対応しており、高周波数帯の基地局6は、本発明の第2の基地局に対応している。なお、基地局は1つであってもよい。端末装置7は、例えばスマートフォンやタブレット等、コンテンツをオリジナルサーバ1あるいはエッジサーバ4からダウンロードして再生することができる携帯端末機器である。
【0020】
本発明の実施の形態において、低周波数帯の基地局5は、例えば3−6GHz程度の低SHF帯と呼ばれる周波数帯を用いた無線通信を行う基地局である。一方、高周波数帯の基地局6は、例えば6−30GHz程度の高SHF帯と呼ばれる周波数帯を用いた無線通信を行う基地局である。高周波数帯の基地局6は、低周波数帯の基地局5よりも端末装置7と高速な通信を行うことができる。しかしながら、高周波数帯の基地局6との通信に使用される電波は直進性が高く、通信可能範囲が小さい(スモールセル)、遮蔽物等に弱い、等の特徴を有する。このため、低周波数帯の基地局5と高周波数帯の基地局6とは用途や目的によって使い分けを行うことが望ましい。
【0021】
次に、エッジサーバ4の構成について説明する。
図2は、エッジサーバ4の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、エッジサーバ4は、送信部41、メモリ42、受信部43、制御部44、を有する。
【0022】
送信部41および受信部43は、インターネット2およびゲートウェイ3を介してオリジナルサーバ1とのデータ送受信を行う。また、送信部41および受信部43は、基地局5あるいは基地局6を介して無線通信で端末装置7とのデータ送受信を行う。
【0023】
メモリ42は、制御部44が読み出して実行するプログラムの他、制御部44の制御に使用される各種データや、キャッシュ情報生成部441の生成したコンテンツのキャッシュデータ等を格納する記憶デバイスである。
【0024】
制御部44は、エッジサーバ4の動作を制御する。制御部44は、例えばCPUがメモリ42等に記憶された各種制御プログラムや制御マップに基づいて演算処理を実行することによってエッジサーバ4の各種動作の制御を行う。制御部44は、動作ブロックとしてキャッシュ情報生成部441、配信制御変更部442を有する。
【0025】
キャッシュ情報生成部441は、端末装置7からのリクエストに応じてオリジナルサーバ1から端末装置7に対してリクエストに応じたコンテンツのデータが1度配信されると、当該配信されたコンテンツのキャッシュデータを生成してメモリ42に格納する。なお、本発明の実施の形態において、キャッシュデータとは、あるコンテンツのデータの複製データを意味する。また、キャッシュ情報生成部441は、あるコンテンツのキャッシュデータがエッジサーバ4にあることを示す情報であるキャッシュ情報を生成する。このキャッシュ情報は、詳細は後述するが、端末装置7に配信されて、あるコンテンツのキャッシュデータがエッジサーバ4にあるか否かを判定する際に使用される。
【0026】
配信制御変更部442は、端末装置7から受信部43を介して受信した情報に基づいて、端末装置7に対する配信制御パラメータを変更する。
【0027】
制御部44の動作ブロックであるキャッシュ情報生成部441および配信制御変更部442の動作の詳細については後述する。
【0028】
次に、端末装置7の構成について説明する。
図3は、端末装置7の構成の一例を示すブ
ロック図である。
図3に示すように、端末装置7は受信部71、メモリ72、送信部73、制御部74を有する。
【0029】
受信部71および送信部73は、基地局5あるいは基地局6を介して無線通信でエッジサーバ4あるいはオリジナルサーバ1とのデータ送受信を行う。
【0030】
メモリ72は、制御部74が読み出して実行するプログラムの他、制御部74の制御に使用される各種データや、エッジサーバ4から受信したキャッシュ情報等を格納する記憶デバイスである。
【0031】
制御部74は、例えば図示しない操作デバイスに対するユーザの操作に応じて、端末装置7の動作を制御する。制御部74は、例えばCPUがメモリ72等に記憶された各種制御プログラムや制御マップに基づいて演算処理を実行することによって端末装置7の各種動作の制御を行う。制御部74は、動作ブロックとしてエッジ判定部741、通信容量判定部742、RAT優先度変更部743、配信制御変更要求部744、を有する。
【0032】
エッジ判定部741は、ユーザからコンテンツデータの配信要求を受けた場合に、要求されたコンテンツのキャッシュデータがエッジサーバ4にあるか否かの判定を行う。この判定は、エッジサーバ4から予め受信しメモリ72に格納されているキャッシュ情報に基づいて行う。
【0033】
通信容量判定部742は、エッジ判定部741における判定の結果、要求されたコンテンツのキャッシュデータがエッジサーバ4にあると判定された場合に、現在接続中の基地局が高速あるいは大容量の通信を行うことができるか否かを、基地局の周波数帯から判定する。
【0034】
RAT(Radio Access Technology)優先度変更部743は、通信容量判定部742に
おける判定の結果、例えば、現在接続中の基地局が低周波数帯の基地局5であり、高速あるいは大容量の通信を行うことができないと判定された場合に、当該要求されたコンテンツのデータ配信をエッジサーバ4に要求する際に、大容量無線インタフェースの接続優先度を向上させる。具体的には、現在接続中の低周波数帯の基地局5を介した通信より高周波数帯の基地局6を介した通信の優先度を高め、通信可能圏内に高周波数帯の基地局6が存在した場合には優先的に当該基地局6との通信を行うようにする。なお、RAT優先度変更部743は、本発明の通信優先度変更部に対応している。
【0035】
配信制御変更要求部744は、要求されたコンテンツのキャッシュデータがエッジサーバ4に存在し、かつ現在の端末装置7の無線通信環境において大容量無線インタフェースを使用可能である場合に、コンテンツの再生バッファサイズを最大にする、すなわち、換言すればキャッシュデータを一括ダウンロードするように配信制御の変更の要求をエッジサーバ4に送信する。
【0036】
次に、データ配信システム100の動作例について説明する。
【0037】
<第1の動作例>
図4は、端末装置7がエッジサーバ4にキャッシュされていないコンテンツデータの配信を要求する場合のデータ配信システム100の動作例について説明するためのシーケンス図である。
【0038】
図4に示すステップS1において、端末装置7の制御部74は、ユーザからのコンテンツデータの要求を受け付ける。そして、ステップS2において、端末装置7のエッジ判定部741は、要求されたコンテンツのキャッシュデータがエッジサーバ4にあるか否かの判定を行う。要求されたコンテンツのキャッシュデータがエッジサーバ4にあるか否かの判定方法としては、例えばエッジサーバ4が予めキャッシュデータを有するコンテンツに関する情報(キャッシュ情報)を端末装置7に配信しておき、エッジ判定部741はエッジサーバ4から受信したキャッシュ情報に基づいて要求されたコンテンツのキャッシュデータがエッジサーバ4にあるか否かの判定を行うようにすればよい。
図4に示す動作例では、エッジサーバ4にキャッシュされていないコンテンツデータの配信が要求される場合を想定しているので、
図4のステップS2においては要求されたコンテンツのキャッシュデータがエッジサーバ4には無いと判定される。
【0039】
次に、ステップS3において、制御部74は基地局5あるいは6を介して、オリジナルサーバ1に対してコンテンツデータの配信要求を送信する。
【0040】
オリジナルサーバ1は、端末装置7からコンテンツデータの配信要求を受信すると、ステップS4においてコンテンツデータの配信を行う。配信方法としては、例えばストリーミング配信を利用すればよい。そして、ステップS5において、エッジサーバ4のキャッシュ情報生成部441はオリジナルサーバ1から配信されるコンテンツデータを取得し、当該コンテンツデータのキャッシュデータを生成してメモリ42に格納するとともに、当該コンテンツのキャッシュデータを保有することを示すキャッシュ情報を生成する。そして、ステップS6において、オリジナルサーバ1から取得したコンテンツデータを端末装置7に送信する。なお、ステップS5において生成されたキャッシュ情報は、
図4には図示しないが、そのキャッシュ情報に対応するコンテンツに対する配信要求が無くとも、随時端末装置7に送信され、メモリ72に格納される。端末装置7が格納するキャッシュ情報は、例えば所定時間毎に更新されることが望ましい。
【0041】
以上の動作により、端末装置7は、コンテンツデータを受信することができる。
【0042】
次に、
図5および
図6は、端末装置7がエッジサーバ4にキャッシュされているコンテンツデータの配信を要求する場合のデータ配信システム100の動作例について説明するためのシーケンス図である。
図5は、現在接続中の基地局において、コンテンツ配信の受信方法を変更する場合のシーケンス図であり、
図6は、現在接続中の基地局から別の基地局に接続先を切り替えて、コンテンツ配信の受信方法を変更する場合のシーケンス図である。
【0043】
図5に示すステップS11において、端末装置7の制御部74は、ユーザからのコンテンツデータの要求を受け付ける。そして、ステップS12において、エッジ判定部741は、要求されたコンテンツのキャッシュデータがエッジサーバ4にあるか否かの判定を行う。この判定は、上述したようにエッジサーバ4から随時送信されるキャッシュ情報をメモリ72に格納しておき、必要となった時にキャッシュ情報をメモリ72から読み出して行えばよい。なお、
図5に示す動作例では、エッジサーバ4にキャッシュされているコンテンツデータの配信が要求される場合を想定しているので、
図5のステップS12においては、要求されたコンテンツのキャッシュデータがエッジサーバ4にあると判定されている。なお、要求されたコンテンツのキャッシュデータがエッジサーバ4に無いと判定された場合については、
図4に関連付けて説明したため説明を省略する。
【0044】
エッジサーバ4に要求されたコンテンツのキャッシュデータがあると判定されると、ステップS13において、端末装置7の制御部74は、エッジサーバ4に対してキャッシュデータの配信要求を送信する。ステップS14において、エッジサーバ4は、キャッシュデータに基づいて、端末装置7に対して要求されたコンテンツのストリーミング配信を開始する。このストリーミング配信は、端末装置7からの中止要求が無い限り、これ以降も
継続して行われる。
【0045】
ステップS15において、エッジ判定部741は、端末装置7とエッジサーバ4との通信往復時間であるRTT(Round Trip Time)を測定し、所定のしきい値Thより短いことを確認する。エッジサーバ4であっても端末装置7から遠い位置にある場合もあるため、ステップS15において、端末装置7とエッジサーバ4との通信時間がオリジナルサーバ1との通信時間より所定以上短い(エッジサーバ4がオリジナルサーバ1よりも端末装置に近い)ことを確認している。なお、測定したRTTが所定のしきい値Th以上であった場合、制御部74はステップS16以下の処理を行わず、ステップS14において開始されたストリーミング配信の受信を継続する。これは、エッジサーバ4にコンテンツがキャッシュされていても、通信時間が所定値より長い場合は、ネットワーク負荷への影響が大きいと判断して従来制御のままとするものである。
【0046】
ステップS16において、通信容量判定部742は、現在接続中の基地局が高速あるいは大容量の通信を行うことができるか否かを判定する。これは、基地局が使用する周波数帯によって判定する。例えば、端末装置7が現在接続中の基地局が、6GHz以上の高周波数帯(高SHF帯)を使用している基地局6であれば、高速あるいは大容量の通信を行うことができると判定する。一方、端末装置7が現在接続中の基地局が、6GHz未満の低周波数帯(低SHF帯)を使用している基地局5であった場合は、後述する
図6のステップS22の処理に移行する。
【0047】
ステップS16で現在接続中の基地局が高速あるいは大容量の通信を行うことができると判定された場合、ステップS17において、端末装置7の配信制御変更要求部744は、エッジサーバ4に対して、コンテンツのキャッシュデータを一括で配信するように配信制御変更要求を送信する。
【0048】
ステップS18において、エッジサーバ4は配信制御変更要求に応じて、コンテンツのキャッシュデータを一括ダウンロード配信するように変更する。
【0049】
ステップS19において、エッジサーバ4は、配信制御を変更したことを端末装置7に通知する。これに応じて、端末装置7の制御部74は、ステップS20において、配信の受信方法を変更する。すなわち、具体的には仮想メモリ等によって一括ダウンロードデータを格納できるだけの記憶領域を確保する。その後、ステップS21において、エッジサーバ4はコンテンツのキャッシュデータの残りを一括ダウンロード配信する。
【0050】
一方、上述のステップS16において、現在接続中の基地局が高速あるいは大容量の通信を行うことができない(低周波数帯の基地局である)と判定された場合、
図6のステップS22に移行する。
【0051】
ステップS22において、端末装置7のRAT優先度変更部743は、低周波数帯の基地局5との通信より高周波数帯の基地局6との通信の優先度を高め、高周波数帯の基地局6との接続を行うようにする。端末装置7は、高周波数帯の基地局6との通信の優先度を高めると、高周波数帯の基地局6の品質測定報告を制御用基地局(図示せず)に通知する。制御用基地局は、受信した品質測定報告値から、端末装置7が通信先を低周波数帯の基地局5から高周波数帯の基地局6への接続切り替えの可否の判定を行う。制御用基地局は、切り替えを行うと判定した場合、端末装置7に、切り替え・追加指示を送信する。これに応じて、端末装置7は、ステップS23において、切り替え・追加完了通知を切り替え先である高周波数帯の基地局6に通知する。
【0052】
ステップS24において、端末装置7の制御部74は、高周波数帯の基地局6との通信を確立する。端末装置7と高周波数帯の基地局6との通信が確立されたことは、すなわち、高速の通信を行うことができる環境が整ったことを意味する。換言すれば、端末装置7に大容量のコンテンツデータをダウンロードできる環境が整ったということである。なお、例えばそうでない場合は現状を維持する、すなわち低周波数帯の基地局5を介してストリーミング配信の受信を継続する。
【0053】
ステップS25において、端末装置7の配信制御変更要求部744は、エッジサーバ4に対して、コンテンツのキャッシュデータを一括で配信するように配信制御変更要求を送信する。ステップS26において、エッジサーバ4は配信制御変更要求に応じて、コンテンツのキャッシュデータを一括ダウンロード配信するように変更する。なお、ステップS25において、端末装置7は高周波数帯の基地局6との通信を確立した、すなわち高速かつ大容量の回線を使用可能であることをエッジサーバ4に通知するための回線情報変更通知を上記した配信制御変更要求とともに送信するようにしてもよい。
【0054】
ステップS27において、エッジサーバ4は、配信制御を変更したことを端末装置7に通知する。これに応じて、端末装置7の制御部74は、ステップS28において、配信の受信方法を変更する。すなわち、具体的には仮想メモリ等によって一括ダウンロードデータを格納できるだけの記憶領域を確保する。その後、ステップS29において、エッジサーバ4はコンテンツのキャッシュデータの残りを一括ダウンロード配信する。この一括配信では、エッジサーバ4はもちろん高周波数帯の基地局6を介して端末装置7に配信を行う。
【0055】
上述したように、
図4および
図5、
図6に示すデータ配信システム100の動作例では、端末装置7においてユーザにより要求されたコンテンツのキャッシュデータがエッジサーバ4にある場合には、端末装置7はエッジサーバ4に配信を要求する。これにより、オリジナルサーバ1からではなく、エッジサーバ4から端末装置7に対してコンテンツデータの配信が行われるので、エッジサーバ4とオリジナルサーバ1との間にある有線ネットワーク(インターネット2)の負荷を増大させず、有線ネットワーク内におけるトラフィックをエッジサーバ4に集約させることができるとともに、端末装置7に対して配信するコンテンツの品質を維持することができる。
【0056】
また、コンテンツのキャッシュデータを配信する際に、端末装置7が低周波数帯の基地局5を介してエッジサーバ4と通信している場合には、回線に負荷をかけないストリーミング配信によりコンテンツのキャッシュデータを取得する。一方、端末装置7は高周波数帯の基地局6との通信の優先度を高め、高周波数帯の基地局6との接続を確立できた場合には、ストリーミング配信から一括ダウンロード配信に配信方法を変更するための配信制御変更要求をエッジサーバ4に対して送信する。これにより、端末装置7の現在の無線通信環境に応じて適切な配信方法を選択することができる。また、端末装置7は、高周波数帯の基地局6を介した通信を行っている場合、すなわち高速かつ大容量の通信を行う環境が整っている場合のみ、ネットワークに負荷がかかる一括ダウンロード配信を要求するので、端末装置7、低周波数帯の基地局5、および高周波数帯の基地局6により構成される無線ネットワークにおけるユーザトラフィックを高周波数帯に集約することができる。これにより、低周波数帯の基地局5と高周波数帯の基地局6とのトラフィック収容比率を向上させることができる。
【0057】
<第2の動作例>
データ配信システム100の第2の動作例では、第1の動作例の
図5に示すステップS17あるいは
図6に示すステップS25において、端末装置7は、端末装置7が現在使用している回線が無料回線であるか有料回線であるかの情報を含む回線利用料金情報をエッジサーバ4に送信する。ここで、第1の動作例のステップS17あるいはステップS25において送信されていた配信制御変更要求は、回線利用料金情報とともに送信されてもよいし、されなくてもよい。
【0058】
現在使用している回線が無料回線であるか有料回線であるかは、例えば端末装置7が現在使用している回線の種類を判別することにより行えばよい。端末装置7が例えば公衆無線LAN等を利用している場合、無料回線であると判定すればよい。また、端末装置7が例えば通信キャリアの回線を利用している場合、有料回線であると判定すればよい。
【0059】
そして、ステップS20において、エッジサーバ4はステップS19の回線利用料金情報に応じて、キャッシュデータの配信制御を維持または変更する。
【0060】
図7は、第2の動作例において、エッジサーバ4における回線利用料金情報に関する処理について説明するためのフローチャートである。すなわち、
図7は第1の実施例の
図5におけるステップS18あるいは
図6におけるステップS26の処理の詳細を説明するためのものである。
【0061】
ステップS31において、エッジサーバ4の制御部44は、端末装置7から回線利用料金情報を受信したか否かを判定する。回線利用料金情報を受信した場合、処理はステップS32に進み、回線利用料金情報を受信しなかった場合、ステップS33に進む。
【0062】
回線利用料金情報を受信した場合、ステップS32において、エッジサーバ4の制御部44は、回線利用料金情報に基づいて、回線利用料金が所定の料金Th_cost以下であるか否かを判定する。回線利用料金が所定の料金Th_cost以下であった場合、処理はステップS34に進み、そうでない場合処理を終了する。すなわち、配信制御の変更を行わず、ストリーミング配信を継続する。
【0063】
回線利用料金情報を受信しなかった場合は、ステップS33において、配信制御変更情報を受信したか否かを判定する。配信制御変更要求を受信した場合、あるいは、回線利用料金情報を受信したが、回線利用料金が所定の料金Th_cost以下である場合、ステップS34において、制御部44は、キャッシュデータの配信方法をストリーミング配信から一括ダウンロード配信に変更する。そして、ステップS35において、変更した制御内容を端末装置7に対して通知する。一方、ステップS33において、配信制御変更要求を受信しなかった場合、制御部44は、処理を終了する。
【0064】
上述したように、第2の動作例では、端末装置7が現在使用している回線が無料回線であるか有料回線であるかの情報を含む回線利用料金情報をエッジサーバ4に送信する。そして、端末装置7からエッジサーバ4へ配信制御変更要求が送信されなかった場合、かつ回線利用料金が所定の料金Th_costより大きい場合、端末装置7が大容量のデータを一括で配信するに相応しい無線通信環境にはいないと考えられるため、エッジサーバ4は配信方法を変更せず、ストリーミング配信を継続する。
【0065】
ここで、所定の料金Th_costは、例えば0円としてもよいし、任意の金額としてもよい。所定の料金Th_costを0円とした場合、通信料金が少しでも発生する場合、エッジサーバ4は配信方法を変更しないことになる。所定の料金Th_costを任意の金額とした場合は、通信料金がその金額以下である場合に、エッジサーバ4は配信制御を変更することになる。これにより、端末装置7のユーザにとって好ましくない配信制御の変更を抑制することができるようになる。
【0066】
<第3の動作例>
データ配信システム100の第3の動作例では、端末装置7のユーザが予め決めたポリシーに従って配信制御を決定する。
図8は、第3の動作例について説明するためのシーケ
ンス図である。
図8に示すように、第3の動作例は、端末装置7の動作として、ステップS40に示すポリシー判定の処理が加わっている点を除いては第1の動作例と同様である。従って、以下ではステップS40に示すポリシー判定について詳細に説明し、それ以外のステップの処理の説明は省略する。
【0067】
図9は、
図8のステップS40に示すポリシー判定の詳細を説明するためのフローチャートである。なお、本第3の動作例においては、前提として、端末装置7のユーザによりポリシーが設定され、ポリシー情報としてメモリ72に予め格納されている。また、現在、再生バッファを監視しながら制御するストリーミング配信が動作中であるものとする。
【0068】
ステップS41において、端末装置7の制御部74は、ポリシー情報を参照し、料金重視の設定がなされているか否かを判定する。料金重視の設定がなされている場合、処理はステップS42に進み、そうでない場合ステップS45に進む。
【0069】
料金重視の設定がなされている場合、ステップS42において、制御部74は、現在の回線利用料金が所定の料金Th_cost以下であるか否かの判定を行う。現在の回線利用料金が所定の料金Th_cost以下である場合、処理はステップS43に進み、そうでない場合ステップS44に進む。
【0070】
現在の回線利用料金が所定の料金Th_cost以下であった場合、ステップS43において、制御部74は、ポリシー判定結果をYES(一括ダウンロードに変更する)とし、処理を完了する。一方、現在の回線利用料金が所定の料金Th_costより大きい場合、ステップS44において、ポリシー判定結果をNO(ストリーミング配信を継続する)とし、処理を完了する。
【0071】
また、料金重視のポリシー設定がなされていなかった場合、ステップS45において、制御部74は、ポリシー情報を参照し、通信速度重視の設定がなされているか否かを判定する。速度重視の設定がなされている場合、処理はステップS46に進み、そうでない場合ステップS49に進む。
【0072】
通信速度重視の設定がなされている場合、ステップS46において、制御部74は、現在の通信速度が所定の速度Th_rateより大きいか否かの判定を行う。現在の回線速度が所定の速度Th_rateより大きい場合、処理はステップS47に進み、そうでない場合ステップS48に進む。
【0073】
現在の通信速度が所定の速度Th_rateより大きい場合、ステップS47において、制御部74は、ポリシー判定結果をYES(一括ダウンロードに変更する)とし、処理を完了する。一方、現在の通信速度が所定の速度Th_rate以下であった場合、ステップS48において、ポリシー判定結果をNO(ストリーミング配信を継続する)とし、処理を完了する。
【0074】
料金重視の設定も速度重視の設定もなされていなかった場合、すなわちポリシー設定自体がされていない場合、ステップS49において、制御部74は、ポリシー判定結果をYES(一括ダウンロードに変更する)とし、処理を完了する。なお、料金重視の設定も速度重視の設定もなされていなかったとしても、それ以外に重視するものがある設定がなされていた場合には、当該重視する対象が所定の条件を満たすか否かの判定をさらに行うようにすればよい。
【0075】
このようなポリシー判定の結果、YESであった場合、
図8において処理はステップS25に進み、一括ダウンロードに変更するために配信制御変更要求を行う。一方、ポリシー判定の結果がNOであった場合、
図8においてステップS40の後、現状が維持される、すなわち端末装置7は、低周波数帯の基地局5を介してエッジサーバ4からストリーミング配信の受信を継続する。
【0076】
上述したように、第3の動作例では、予めユーザによって設定されたポリシー情報に基づいてポリシー判定を行い、ポリシー判定結果がYESである場合のみ、その後の処理、すなわち一括ダウンロードへの配信制御変更要求の送信を行う。ポリシーが料金重視に設定されていた場合、回線利用料金が所定の料金Th_cost以下でなければポリシー判定結果はYESとならない。このため、端末装置7のユーザにとって好ましくない配信制御の変更を抑制することができるようになる。
【0077】
また、ポリシーが通信速度重視に設定されていた場合、回線速度が所定の速度Th_rateより大きくなければポリシー判定結果はYESとならない。このため、十分な通信速度が確保できていない場合に端末装置7が配信制御変更要求を送信することで、無線ネットワークに無駄な負荷をかけてしまう事態を回避することができる。
【0078】
なお、上述の説明は、ストリーミング配信の動作中に、回線利用料金が所定の料金以下、または、通信速度が所定の速度より大きい場合に、一括ダウンロードに配信制御を変更する場合について述べた。なお、既に配信制御が一括ダウンロードである場合は、回線利用料金が所定の料金以下、または、通信速度が所定の速度より大きくポリシー判定結果がYESとなる場合には一括ダウンロードを継続し、ポリシー判定結果がNOとなる場合にはストリーミング配信に配信制御を変更するものとする。
【0079】
<第4の動作例>
データ配信システム100の第4の動作例では、端末装置7のユーザによって要求されたコンテンツの品質を判定し、その結果に従って配信制御を決定する。
図10は、第4の動作例について説明するためのシーケンス図である。
図10に示すように、第4の動作例は、端末装置7の動作として、ステップS50に示すコンテンツ品質判定の処理が加わっている点を除いては第1の動作例と同様である。従って、以下ではステップS50に示すコンテンツ品質判定について詳細に説明し、それ以外のステップの処理の説明は省略する。
【0080】
図11は、
図10のステップS50に示すコンテンツ品質判定の処理の詳細を説明するためのフローチャートである。ステップS51において、端末装置7の制御部74は、ユーザが要求したコンテンツのネットワーク全体における再生回数に関する情報を取得し、再生回数が所定の回数Th_playより大きいか否かを判定する。コンテンツのネットワーク全体における再生回数に関する情報は、例えば、再生回数に関する情報を各エッジサーバから収集するサーバを設け、端末装置7は、インターネット2を介して、このサーバから情報を取得すればよい。再生回数が所定の回数Th_playより大きい場合、処理はステップS52に進み、そうでない場合ステップS55に進む。
【0081】
ステップS52において、制御部74は、ユーザが要求したコンテンツに他のユーザにより付けられている評価フラグの数が所定の数Th_evaより大きいか否かを判定する。なお、この場合、評価フラグの数が大きい程、コンテンツに対する評価が高いということを意味する。コンテンツに他のユーザにより付けられている評価フラグとは、例えばインターネット2を介して当該コンテンツを視聴した他のユーザが当該コンテンツを評価する場合に付けるフラグであり、例えば、評価フラグに関する情報を各エッジサーバから収集するサーバを設け、端末装置7は、インターネット2を介して、このサーバから情報を取得すればよい。評価フラグの数が所定の数Th_evaより大きい場合、処理はステップS53に進み、そうでない場合ステップS55に進む。
【0082】
ステップS53において、制御部74は、ユーザが要求したコンテンツに他のユーザにより再生された際に、再生が途中で停止された回数に関する情報を取得し、その回数が所定の回数Th_stopより小さいか否かを判定する。再生が途中で停止された回数に関する情報は、例えば、停止回数に関する情報を各エッジサーバから収集するサーバを設け、端末装置7は、インターネット2を介して、このサーバから情報を取得すればよい。再生が途中で停止された回数が所定の回数Th_stopより小さい場合、処理はステップS54に進み、そうでない場合ステップS55に進む。
【0083】
ステップS51からS53における判定に全てYESであった場合、ステップS54において、制御部74はコンテンツ品質判定結果をYESとし、処理を完了する。一方、ステップS51からS53のいずれかの判定でNOであった場合、ステップS55において、制御部74はコンテンツ品質判定結果をNOとし、処理を完了する。
【0084】
このようなコンテンツ品質判定の結果、YESであった場合、
図10において処理はステップS25に進む。一方、コンテンツ品質判定の結果がNOであった場合、
図10においてステップS50の後、現状が維持される、すなわち端末装置7は、低周波数帯の基地局5を介してエッジサーバ4からストリーミング配信の受信を継続する。
【0085】
上述したように、第4の動作例では、コンテンツの再生回数、評価フラグ数、および他のユーザによる途中停止回数が全て所定の条件を満たしている場合、すなわち、当該コンテンツが所定以上の品質を有しており、ユーザが視聴した際に途中で再生が中止される可能性が低いと考えられる場合のみ、コンテンツ品質判定結果をYESとし、その後の処理、すなわち配信制御変更要求の送信を行う。
【0086】
一方、コンテンツ品質判定結果がNOであった場合には、端末装置7は配信制御変更要求を送信しない。このため、ユーザが途中で視聴を中止する可能性があるコンテンツでは、ストリーミング配信を継続することにより無線ネットワークに無駄な負荷をかけてしまう事態を回避することができるようになる。
【0087】
なお、上述した第4の動作例において、コンテンツの再生回数、評価フラグ数、および他のユーザによる途中停止回数のいずれかがYESであれば、コンテンツ品質判定結果をYESとするようにしてもよい。あるいは、複数の品質がYESであれば、コンテンツ品質判定結果をYESとするようにしてもよい。
【0088】
以上説明したように、本発明は、エッジサーバからコンテンツのキャッシュデータを、基地局を介して受信する端末装置であって、コンテンツの再生が要求された場合に、エッジサーバから受信した当該エッジサーバが有するキャッシュデータに関する情報に基づいて、エッジサーバが当該コンテンツのキャッシュデータを有するか否かを判定するエッジ判定部と、エッジサーバがコンテンツのキャッシュデータを有する場合に、基地局が高速あるいは大容量の通信を行うことができるか否かを判定する通信容量判定部と、基地局が高速あるいは大容量の通信を行うことができる場合に、エッジサーバに対してコンテンツのキャッシュデータの配信制御方法の変更の要求を送信する配信制御変更要求部と、を有する。
【0089】
このような構成により、端末装置においてユーザにより要求されたコンテンツのキャッシュデータがエッジサーバにある場合には、端末装置はエッジサーバに配信を要求する。これにより、オリジナルのコンテンツデータを有するオリジナルサーバからではなく、エッジサーバから端末装置に対してコンテンツのキャッシュデータが配信されるので、エッジサーバとオリジナルサーバとの間にある有線ネットワーク(インターネット等)の負荷を増大させず、有線ネットワーク内におけるトラフィックをエッジサーバに集約させることができるとともに、端末装置に対して配信するコンテンツの品質を維持することができる。
【0090】
また、コンテンツのキャッシュデータを配信する際に、端末装置が低周波数帯の基地局を介してエッジサーバと通信している場合には、回線に負荷をかけないストリーミング配信によりコンテンツのキャッシュデータを取得する。一方、端末装置は高周波数帯の基地局との通信の優先度を高め、高周波数帯の基地局との接続を確立できた場合には、ストリーミング配信から一括ダウンロード配信に配信方法を変更するための配信制御変更要求をエッジサーバに対して送信する。これにより、端末装置の現在の無線通信環境に応じて適切な配信方法を選択することができる。
【0091】
また、端末装置は、高周波数帯の基地局を介した通信を行っている場合、すなわち高速かつ大容量の通信を行う環境が整っている場合のみ、ネットワークに負荷がかかる一括ダウンロード配信を要求するので、端末装置、低周波数帯の基地局、および高周波数帯の基地局により構成される無線ネットワークにおけるユーザトラフィックを高周波数帯に集約することができる。これにより、低周波数帯の基地局と高周波数帯の基地局とのトラフィック収容比率を向上させることができる。
【課題】ユーザの端末が置かれた無線通信環境に応じてデータの転送を効率よく行うことができる端末装置、エッジサーバ、データ配信システムおよび配信制御方法を提供する。
【解決手段】端末装置は、コンテンツの再生が要求された場合に、エッジサーバから受信した当該エッジサーバの有するキャッシュデータに関する情報に基づいて、エッジサーバが当該コンテンツのキャッシュデータを有するか否かを判定し、エッジサーバがコンテンツのキャッシュデータを有すると判定された場合に、高速あるいは大容量の通信を行うことができる基地局と通信しているか否かを判定し、基地局が高速あるいは大容量の通信を行うことができる場合に、エッジサーバに対してコンテンツのキャッシュデータの配信制御方法の変更の要求を送信する。