特許第6068877号(P6068877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6068877
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】ステージ装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20170116BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20170116BHJP
   G12B 5/00 20060101ALI20170116BHJP
   B23Q 1/62 20060101ALI20170116BHJP
   B23Q 1/38 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   G03F7/20 521
   H01L21/68 K
   G12B5/00 T
   B23Q1/62 C
   B23Q1/38 Z
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-191209(P2012-191209)
(22)【出願日】2012年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-49601(P2014-49601A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100104318
【弁理士】
【氏名又は名称】深井 敏和
(72)【発明者】
【氏名】明石 幸治
(72)【発明者】
【氏名】清水 陽一
(72)【発明者】
【氏名】大饗 義久
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−316440(JP,A)
【文献】 特開2001−219326(JP,A)
【文献】 特開2002−057206(JP,A)
【文献】 特開2002−025902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
XY仮想平面のY軸に平行な第1案内面を有する第1Y軸ガイドと、
前記軸に平行な第2案内面を有する第2Y軸ガイドと、
前記第1案内面に沿って前記Y軸に沿って移動可能である第1Y軸スライダと、
前記第2案内面に沿って前記Y軸に沿って移動可能である第2Y軸スライダと、
一端が前記第1Y軸スライダに接続し、且つ他端が前記第2Y軸スライダに接続しているとともに、前記XY仮想平面のX軸に平行な第3案内面を有するX軸ガイドと、
前記第3案内面に沿って前記X軸に沿って移動可能であるX軸スライダと、
前記第1Y軸スライダと前記X軸ガイドとを接続している第1XY拘束ユニットと、
前記第2Y軸スライダと前記X軸ガイドとを接続している第2XY拘束ユニットとを備え、
前記第1XY拘束ユニットおよび前記第2XY拘束ユニットは、
前記Y軸スライダに接続したY軸ベースと、
前記X軸ガイドに接続したX軸ベースとを備え、
前記Y軸ベースと前記X軸ベースとが前記XY仮想平面と交差するZ軸の周りに回転可能に、前記Y軸ベースが前記Y軸スライダに接続しており、かつ前記X軸ベースが前記X軸ガイドに接続しており、
前記第1XY拘束ユニットは、前記第1Y軸スライダに接続した第1Y軸ベースと、前記X軸ガイドに接続するとともに前記XY仮想平面に直交する前記Z軸に沿った第1孔を有する第1X軸ベースと、前記第1孔に挿入されているとともに前記第1Y軸ベースに固定された第1接続部材と、前記第1孔の内周面と前記第1接続部材の外周面との間に位置している第1ベアリング部材とを有し、
前記第2XY拘束ユニットは、前記第2Y軸スライダに接続した第2Y軸ベースと、前記X軸ガイドに接続するとともに前記Z軸に沿った第2孔を有する第2X軸ベースと、前記第2孔に挿入されているとともに前記第2Y軸ベースに固定された第2接続部材と、前記第2孔の内周面と前記第2接続部材の外周面との間に位置している第2ベアリング部材とを有し、
前記第1ベアリング部材および前記第2ベアリング部材はいずれも複数のベアリングボールであることを特徴とするステージ装置。
【請求項2】
XY仮想平面のY軸に平行な第1案内面を有する第1Y軸ガイドと、
前記軸に平行な第2案内面を有する第2Y軸ガイドと、
前記第1案内面に沿って前記Y軸に沿って移動可能である第1Y軸スライダと、
前記第2案内面に沿って前記Y軸に沿って移動可能である第2Y軸スライダと、
一端が前記第1Y軸スライダに接続し、且つ他端が前記第2Y軸スライダに接続しているとともに、前記XY仮想平面のX軸に平行な第3案内面を有するX軸ガイドと、
前記第3案内面に沿って前記X軸に沿って移動可能であるX軸スライダと、
前記第1Y軸スライダと前記X軸ガイドとを接続している第1XY拘束ユニットと、
前記第2Y軸スライダと前記X軸ガイドとを接続している第2XY拘束ユニットとを備え、
前記第1XY拘束ユニットおよび前記第2XY拘束ユニットは、
前記Y軸スライダに接続したY軸ベースと、
前記X軸ガイドに接続したX軸ベースとを備え、
前記Y軸ベースと前記X軸ベースとが前記XY仮想平面と交差するZ軸の周りに回転可能に、前記Y軸ベースが前記Y軸スライダに接続しており、かつ前記X軸ベースが前記X軸ガイドに接続しており、
前記第1XY拘束ユニットは、前記第1Y軸スライダに接続しているとともに前記XY仮想平面に直交する前記Z軸に沿った第1孔を有する第1Y軸ベースと、前記X軸ガイドに接続した第1X軸ベースと、前記第1孔に挿入されているとともに前記第1X軸ベースに固定された第1接続部材と、前記第1孔の内周面と前記第1接続部材の外周面との間に位置している第1ベアリング部材とを有し、
前記第2XY拘束ユニットは、前記第2Y軸スライダに接続した第2Y軸ベースと、前記X軸ガイドに接続しているとともに前記Z軸に沿った第2孔を有する第2X軸ベースと、前記第2孔に挿入されているとともに前記第2Y軸ベースに固定された第2接続部材と、前記第2孔の内周面と前記第2接続部材の外周面との間に位置している第2ベアリング部材とを有し、
前記第1ベアリング部材および前記第2ベアリング部材はいずれも複数のベアリングボールであることを特徴とするステージ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のステージ装置において、
前記第1X軸ベース、前記第2X軸ベース、前記第1Y軸ベース、前記第2Y軸ベース、前記第1接続部材、前記第2接続部材、前記第1ベアリング部材および前記第2ベアリング部材は、セラミックスからなることを特徴とするステージ装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のステージ装置において、
前記第1XY拘束ユニットは、前記第1接続部材を周方向に取り囲むとともに、前記第1ベアリング部材を介して、前記Z軸に沿って互いに離れた一対の第1ベアリングOリングをさらに有し、
前記第2XY拘束ユニットは、前記第2接続部材を周方向に取り囲むとともに、前記第2ベアリング部材を介して、前記Z軸に沿って互いに離れた一対の第2ベアリングOリングをさらに有することを特徴とするステージ装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載のステージ装置において、
前記第1Y軸スライダに載置された第1支持用ボールと、
前記第2Y軸スライダに載置された第2支持用ボールと、
一端が前記X軸ガイドに接続しているとともに、他端が前記第1支持用ボールに支持された第1アームと、
一端が前記X軸ガイドに接続しているとともに、他端が前記第2支持用ボールに支持された第2アームとをさらに備えていることを特徴とするステージ装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載のステージ装置において、
前記第1XY拘束ユニットおよび前記第2XY拘束ユニットをそれぞれ2つずつ備えており、
2つの前記第1XY拘束ユニットは、前記XY仮想平面において、前記X軸ガイドを介して互いに離れており、
2つの前記第2XY拘束ユニットは、前記XY仮想平面において、前記X軸ガイドを介して互いに離れていることを特徴とするステージ装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載のステージ装置において、
前記第1Y軸スライダと前記X軸ガイドとの第1連結部において、前記第1Y軸スライダと前記X軸ガイドとの間に介在した第1介在Oリングと、
前記第2Y軸スライダと前記X軸ガイドとの第2連結部において、前記第2Y軸スライダと前記X軸ガイドとの間に介在した第2介在Oリングとをさらに備え、
前記第1Y軸スライダ、前記第2Y軸スライダおよび前記X軸ガイドのそれぞれの内部には、前記第1連結部および前記第2連結部において互いにつながった排気経路が形成されていることを特徴とするステージ装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載のステージ装置において、真空チャンバの内部に収容されて用いられることを特徴とするステージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、XY拘束ユニット、それを備えたステージ装置およびそれを備えた真空ステージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、精密加工装置および精密測定装置、並びに半導体の製造工程に用いられる描画装置および露光装置などでは、被搬送物をテーブル上に載せて搬送し、所定位置に位置決めするステージ装置が用いられている。このようなステージ装置が備える案内用のガイドには、通常、空気静圧方式のエアースライドが用いられている。また、近時は高精度化および低重心化を実現するために、ステージベースにXY軸をH型に配置したH型エアースライドを用いることが多くなっている。
【0003】
しかし、H型エアースライドを備える従来のステージ装置には、次のような問題があった。すなわち、従来のH型エアースライドでは、2つのY軸エアースライドを互いに所定の間隔をおいて平行に配置し、2つのY軸エアースライドがそれぞれ有するY軸スライダの側面に、X軸エアースライドが有するX軸角軸の両端面をボルトなどで直接連結している。そのため、2つのY軸スライダを別々に駆動させると、制御の位置ずれがそのままY軸スライダに伝わることから、Z方向を軸とする回転、すなわちヨーイングの姿勢精度が悪化したり、Y軸スライダとX軸角軸とが接触して、かじるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、特許文献1には、他端が自由端としてX軸方向に延在されたYスライダを備えてなるX−Yステージ装置が開示されている。
しかし、特許文献1に記載のX−Yステージ装置では、Yスライダのうち自由端側の剛性が低く、それゆえ加減速時にヨーイングの姿勢精度が悪化するという問題があった。また、特許文献1に記載のX−Yステージ装置には、Yスライダの場所による固有振動数の違いから、発振し易いという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−189090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ヨーイングの姿勢精度に優れるXY拘束ユニット、それを備えたステージ装置および真空ステージ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のXY拘束ユニットは、XY仮想平面のY軸に沿って移動するY軸スライダに接続したY軸ベースと、前記XY仮想平面のX軸に沿って移動するX軸スライダをガイドするX軸ガイドに接続したX軸ベースとを備え、前記Y軸ベースと前記X軸ベースとが前記XY仮想平面と交差するZ軸の周りに回転可能に、前記Y軸ベースが前記Y軸スライダに接続し、かつ前記X軸ベースが前記X軸ガイドに接続している。
【0008】
本発明の他のXY拘束ユニットは、前記Y軸ベースおよび前記X軸ベースのうちの少なくとも1つに孔が設けられており、さらに、前記孔に挿入されるとともに、前記Y軸ベースと前記X軸ベースとを接続する接続部材とを有し、さらに、前記孔の内周面と前記接続部材の外周面との間に位置しているベアリング部材を有する。
【0009】
本発明のステージ装置は、前記Y軸スライダと、前記X軸ガイドと上述したXY拘束ユニットを備える。
【0010】
本発明の他のステージ装置は、XY仮想平面のY軸に平行な第1案内面を有する第1Y軸ガイドと、前記XY仮想平面のX軸に平行な第2案内面を有する第2Y軸ガイドと、前記第1案内面に沿って前記Y軸に沿って移動可能である第1Y軸スライダと、前記第2案内面に沿って前記Y軸に沿って移動可能である第2Y軸スライダと、一端が前記第1Y軸スライダに接続し、且つ他端が前記第2Y軸スライダに接続しているとともに、前記X軸に平行な第3案内面を有するX軸ガイドと、前記第3案内面に沿って前記X軸に沿って移動可能であるX軸スライダと、前記第1Y軸スライダと前記X軸ガイドとを接続している第1XY拘束ユニットと、前記第2Y軸スライダと前記X軸ガイドとを接続している第2XY拘束ユニットとを備え、前記第1XY拘束ユニットおよび前記第2XY拘束ユニットは、前記Y軸スライダに接続したY軸ベースと、前記X軸ガイドに接続したX軸ベースとを備え、前記Y軸ベースと前記X軸ベースとが前記XY仮想平面と交差するZ軸の周りに回転可能に、前記Y軸ベースが前記Y軸スライダに接続しており、かつ前記X軸ベースが前記X軸ガイドに接続している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ヨーイングの姿勢精度に優れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係るXY拘束ユニットおよびステージ装置を示す平面図(上面図)である。
図2図1のa矢視側面図である。
図3図1のb−b線拡大断面図である。
図4図1のXY拘束ユニットおよびステージ装置における第1XY拘束ユニット近傍を示す部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<XY拘束ユニットおよびステージ装置>
(第1実施形態)
以下、本発明のXY拘束ユニットおよびステージ装置に係る第1実施形態について、図1図4を参照して詳細に説明する。
【0015】
本実施形態のXY拘束ユニットは、図1および図2に示すように、第1XY拘束ユニット8および第2XY拘束ユニット9を含んでおり、ステージ装置1に備えられている。本実施形態のステージ装置1は、平坦な上面101を有する略平板状のステージベース100を備えている。また、本実施形態のステージ装置1は、互いに所定の間隔をおいて上面101に位置している第1Y軸ガイドレール2および第2Y軸ガイドレール3を備えている。本実施形態において、第1Y軸ガイドレール2および第2Y軸ガイドレール3のそれぞれは、四角柱状の角軸であり、Y方向と平行に延びており、その両端部を固定部材である複数の固定ネジ102によってステージベース100に固定している。
【0016】
そして、第1Y軸ガイドレール2はY方向に平行な第1案内面21を有し、第2Y軸ガイドレール3はY方向に平行な第2案内面31を有する。本実施形態においては、第1Y軸ガイドレール2の周方向における全面が第1案内面21として機能し、第2Y軸ガイドレール3の周方向における全面が第2案内面31として機能する。
【0017】
また、本実施形態のステージ装置1は、第1案内面21に沿ってY方向に移動可能である第1Y軸スライダ4と、第2案内面31に沿ってY方向に移動可能である第2Y軸スライダ5とを備えている。
【0018】
本実施形態の第1Y軸スライダ4は、第1Y軸ガイドレール2とともに、空気静圧方式の第1Y軸エアースライド1Aを構成している。同様に、本実施形態の第2Y軸スライダ5は、第2Y軸ガイドレール3とともに、空気静圧方式の第2Y軸エアースライド1Bを構成している。
【0019】
具体的に説明すると、第1Y軸スライダ4は、第1Y軸ガイドレール2の一部を周方向に取り囲んでいる。同様に、第2Y軸スライダ5も、第2Y軸ガイドレール3の一部を周方向に取り囲んでいる。第1Y軸スライダ4と第1案内面21との間、および第2Y軸スライダ5と第2案内面31との間には、微小隙間が存在している。この微小隙間に加圧気体を供給すると静圧流体層が形成され、各スライダが各案内面に対して静圧支持されることから、第1Y軸エアースライド1Aおよび第2Y軸エアースライド1Bを、空気静圧方式のエアースライドとして機能させることができる。
【0020】
なお、本実施形態において、第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5のそれぞれは、図1に示すように、上面視において、略矩形状である。上面視とは、ステージベース100の上面101側からステージ装置1を見た状態を意味するものとする。
【0021】
また、本実施形態において、第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5のそれぞれは、図2に示すように、複数の板状部材を組み合わせることによって構成されている。このような構成によれば、第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5のそれぞれを、高精度に、且つ低コストで加工することができる。なお、第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5は、一体成形によって構成することもできる。
【0022】
本実施形態において、第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5は、左右対称形状である。このような構成によれば、第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5のそれぞれの剛性が向上することから、加減速時にヨーイングの姿勢精度が悪化するのを抑制することができる。また、第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5の場所による固有振動数のバラツキが小さくなることから、発振を抑制し、安定した制御が可能となる。
【0023】
一方、本実施形態のステージ装置1は、Y方向と直交するX方向に延びているX軸ガイドレール6を備えている。本実施形態のX軸ガイドレール6は、図1に示すように、その一端6aに位置している第1連結プレート61と、他端6bに位置している第2連結プレート62とを有する。そして、本実施形態のX軸ガイドレール6は、一端6aが第1連結プレート61を介して第1Y軸スライダ4に連結し、且つ他端6bが第2連結プレート62を介して第2Y軸スライダ5に連結している。なお、X軸ガイドレール6は、第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5に直接連結することもできる。
【0024】
本実施形態のX軸ガイドレール6は、四角柱状の角軸であり、X方向に平行な第3案内面63を有する。本実施形態においては、X軸ガイドレール6の周方向における全面が第3案内面63として機能する。
【0025】
本実施形態のステージ装置1は、第3案内面63に沿ってX方向に移動可能であるX軸スライダ7を備えている。本実施形態のX軸スライダ7は、X軸ガイドレール6とともに、上述した第1Y軸エアースライド1Aおよび第2Y軸エアースライド1Bと同様の空気静圧方式のX軸エアースライド1Cを構成している。すなわち、本実施形態のX軸スライダ7は、X軸ガイドレール6の一部を周方向に取り囲んでいる。X軸スライダ7と第3案内面63との間には、微小隙間が存在している。この微小隙間に加圧気体を供給すると静圧流体層が形成され、X軸スライダ7が第3案内面63に対して静圧支持されることから、X軸エアースライド1Cを空気静圧方式のエアースライドとして機能させることができる。
【0026】
本実施形態のステージ装置1は、X軸スライダ7上に位置する図示しないテーブルを備えている。このテーブルは、半導体ウェハなどの被搬送物を載せるためのものである。第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5をY方向に移動させ、X軸スライダ7をX方向移動させることによって、テーブルをXY方向に移動させることができ、その結果、被搬送物を位置決めすることができる。
【0027】
なお、本実施形態のX軸スライダ7は、図1に示すように、上面視において、略矩形状である。また、上面視において、X軸エアースライド1C、上述した第1Y軸エアースライド1Aおよび第2Y軸エアースライド1Bは、ステージベース100の上面101にH型に配置されている。
【0028】
本実施形態のステージ装置1は、上述の通り、第1XY拘束ユニット8および第2XY拘束ユニット9を含んでいる。本実施形態において、第1XY拘束ユニット8は、第1Y軸スライダ4とX軸ガイドレール6とを連結しており、第2XY拘束ユニット9は、第2Y軸スライダ5とX軸ガイドレール6とを連結している。
【0029】
より具体的に説明すると、本実施形態において、第1XY拘束ユニット8は、後述する第1アーム12を介してX軸ガイドレール6の一端6aと連結しており、第2XY拘束ユニット9は、後述する第2アーム13を介してX軸ガイドレール6の他端6bと連結している。なお、第1XY拘束ユニット8および第2XY拘束ユニット9は、X軸ガイドレール6と直接連結することもできる。
【0030】
第1XY拘束ユニット8は、X方向およびY方向のそれぞれに直交するZ方向を軸として、X軸ガイドレール6と第1Y軸スライダ4とを矢印A方向に回転可能としている。同様に、第2XY拘束ユニット9は、Z方向を軸としてX軸ガイドレール6と第2Y軸スライダ5とを矢印A方向に回転可能としている。
【0031】
本実施形態のステージ装置1は、第1Y軸スライダ4に載置された第1支持用ボール10と、第2Y軸スライダ5に載置された第2支持用ボール11とを備えている。本実施形態において、第1支持用ボール10は、第1Y軸スライダ4の上面41上に載置されており、第2支持用ボール11は、第2Y軸スライダ5の上面51上に載置されている。
【0032】
より具体的に説明すると、第1Y軸スライダ4の上面41は、その略中央部に位置している第1載置部411を有する。第1支持用ボール10は、第1載置部411を介して上面41上に載置されている。同様に、第2Y軸スライダ5の上面51は、その略中央部に位置している第2載置部511を有し、第2支持用ボール11は、第2載置部511を介して上面51上に載置されている。
【0033】
また、図1に示すように、上面視において、本実施形態の第1支持用ボール10は、第1Y軸ガイドレール2の中心線L2上に位置している。同様に、上面視において、本実施形態の第2支持用ボール11は、第2Y軸ガイドレール3の中心線L3上に位置している。
【0034】
本実施形態のステージ装置1は、一端12aがX軸ガイドレール6に接続しているとともに、他端12bが第1支持用ボール10に支持された第1アーム12と、一端13aがX軸ガイドレール6に接続しているとともに、他端13bが第2支持用ボール11に支持された第2アーム13とを備えている。すなわち、本実施形態においては、X軸ガイドレール6と第1Y軸スライダ4とのZ方向における連結に、第1支持用ボール10に第1アーム12を搭載する構造を採用している。同様に、本実施形態においては、X軸ガイドレール6と第2Y軸スライダ5とのZ方向における連結に、第2支持用ボール11に第2アーム13を搭載する構造を採用している。
【0035】
本実施形態の第1アーム12の一端12aは、図1および図4に示すように、第1連結プレート61を介してX軸ガイドレール6の一端6aと接続している。同様に、本実施形態の第2アーム13の一端13aは、第2連結プレート62を介してX軸ガイドレール6の他端6bと接続している。なお、第1アーム12の一端12aおよび第2アーム13の一端13aは、X軸ガイドレール6と直接接続することもできる。
【0036】
ここで、上述した第1XY拘束ユニット8は、図1図4に示すように、Z方向に沿った第1貫通孔811を有する第1Y軸ベース81と、一部が第1貫通孔811を上下方向から挟むように位置している第1X軸ベース82と、第1貫通孔811に挿入されている第1シャフト83と、第1シャフト83を周方向に取り囲むように配列した複数の第1ベアリングボール84とを有する。以下、本実施形態の第1XY拘束ユニット8の各構成要素について、詳細に説明する。
【0037】
本実施形態の第1Y軸ベース81は、図3および図4に示すように、そのZ方向における両端部近傍に位置している複数のネジ挿通孔813を介したネジ固定によって、第1Y軸スライダ4に接続している。また、本実施形態の第1Y軸ベース81は、そのZ方向における略中央部からX方向に延びている第1挿入部812を有する。図3に示すように、この第1挿入部812の略中央部に、上述した第1貫通孔811が位置しており、第1貫通孔811に第1シャフト83が挿入されている。そして、第1XY拘束ユニット8は、図4に示すように、第1シャフト83のZ方向に沿った中心線L83を中心として、X軸ガイドレール6と第1Y軸スライダ4とを矢印A方向に若干回転可能としている。
【0038】
一方、第1X軸ベース82は、X軸ガイドレール6に接続している。第1X軸ベース82は、第1アーム12を介してX軸ガイドレール6に接続していてもよいし、X軸ガイドレール6に直接接続していてもよい。本実施形態の第1X軸ベース82は、図4に示すように、そのZ方向における両端部近傍に位置している複数のネジ挿通孔823を介したネジ固定によって、第1アーム12を介してX軸ガイドレール6に接続している。
【0039】
第1シャフト83は、図3に示すように、略円柱状であり、上述の通り、第1貫通孔811に挿入されている。そして、第1シャフト83のうち第1貫通孔811から露出している上部83aおよび下部83bのそれぞれが、上述した第1X軸ベース82に固定されている。
【0040】
具体的に説明すると、本実施形態の第1X軸ベース82は、第1シャフト83の上部83aを固定する第1上固定部821と、下部83bを固定する第1下固定部822とを有する。第1上固定部821は、図4に示すように、第1X軸ベース82のZ方向における上部側からY方向に延びている部位であり、その略中央部にZ方向に沿った第1上貫通孔821aを有する。同様に、第1下固定部822は、第1X軸ベース82のZ方向における下部側からY方向に延びている部位であり、図3に示すように、その略中央部にZ方向に沿った第1下貫通孔822aを有する。
【0041】
そして、第1シャフト83は、その上部83aが第1上貫通孔821aに挿入され、中央部83cが第1貫通孔811に挿入され、下部83bが第1下貫通孔822aに挿入されている。
【0042】
ここで、第1上固定部821は、図4に示すように、第1上貫通孔821aをX方向およびZ方向に沿って切断した半割り形状に対応している一半部821bおよび他半部821cを有する。一半部821bは、第1X軸ベース82の基端部824に連続しており、他半部821cは、自由に動かすことができる。このような構成によれば、以下のようにして第1シャフト83の上部83aを第1上固定部821によって固定することができる。
【0043】
まず、一半部821bおよび他半部821cの間に、第1シャフト83の上部83aを挟む。次に、他半部821cに位置している一対のネジ挿通孔825、825に、図示しない一対の固定ネジを挿通し、その先端部を、一半部821bに位置している図示しない一対のネジ孔に嵌める。そして、他半部821cを上述した一対の固定ネジによって矢印B方向に締付けると、第1シャフト83の上部83aが、一半部821bおよび他半部821cによって挟まれた状態で第1上固定部821によって固定される。
【0044】
上述した第1上固定部821と同様に、第1下固定部822も一半部822bおよび他半部822cを有する。したがって、第1下固定部822による第1シャフト83の下部83bの固定も、上述した第1上固定部821と同様にして行うことができる。その結果、第1シャフト83の上部83aおよび下部83bのそれぞれを、第1X軸ベース82によって固定することができる。
【0045】
一方、図3に示すように、複数の第1ベアリングボール84は、第1貫通孔811の内周面と第1シャフト83の外周面との間に位置している。本実施形態において、複数の第1ベアリングボール84は、第1貫通孔811の内周面と、第1シャフト83の外周面のうち中央部83cにおける外周面との間に位置している。そして、複数の第1ベアリングボール84は、上述の通り、第1シャフト83を周方向に取り囲むように配列している。
【0046】
このような構成によれば、複数の第1ベアリングボール84が、回転ベアリングとして機能することから、第1シャフト83の中心線L83を中心として、X軸ガイドレール6と第1Y軸スライダ4とをスムーズに回転させることが可能となる。また、複数の第1ベアリングボール84が、第1Y軸スライダ4のローリング方向に自由に動く単列構造をなすことから、第1Y軸スライダ4のローリング成分を吸収してステージの姿勢精度を向上させることが可能となる。
【0047】
本実施形態の第1XY拘束ユニット8は、大略、上述した構成要素によって構成されている。ここで、第2XY拘束ユニット9も、上述した第1XY拘束ユニット8と同一の構成を備えている。すなわち、本実施形態の第2XY拘束ユニット9は、図1および図2に示すように、第2Y軸スライダ5に接続しているとともにZ方向に沿った第2貫通孔911を有する第2Y軸ベース91と、X軸ガイドレール6に接続した第2X軸ベース92と、第2貫通孔911に挿入されているとともに第2X軸ベース92に固定された第2シャフト93と、第2貫通孔911の内周面と第2シャフト93の外周面との間に位置しているとともに第2シャフト93を周方向に取り囲むように配列した図示しない複数の第2ベアリングボールとを有する。また、第2X軸ベース92は、第2アーム13を介してX軸ガイドレール6に接続していてもよいし、X軸ガイドレール6に直接接続していてもよい。本実施形態の第2X軸ベース92は、上述した第1X軸ベース82と同様に、第2アーム13を介してX軸ガイドレール6に接続している。
【0048】
このような構成によれば、次のような効果を奏することが可能となる。すなわち、本実施形態においては、第1XY拘束ユニット8および第2XY拘束ユニット9と、第1アーム12および第2アーム13との双方を有することによって、X軸ガイドレール6と第1Y軸スライダ4との連結構造、およびX軸ガイドレール6と第2Y軸スライダ5との連結構造が、矢印Aに示す回転方向に自由度を有するようになる。その結果、第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5を別々に駆動させても、制御の位置ずれが第1XY拘束ユニット8および第2XY拘束ユニット9によって吸収されて各スライダに伝わり難くなることから、ヨーイングの姿勢精度が悪化するのを抑制することが可能となる。また、X軸ガイドレール6に連結された第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5に加わる応力を低減できることから、浮上量を確保することができ、それゆえ第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5と、第1Y軸ガイドレール2および第2Y軸ガイドレール3とが接触して動かなくなることを抑制することができる。さらに、連結に関与する部品の精度を緩めることができ、ステージ装置1の組み立てを比較的簡単に行うことも可能となる。そして、暴走した際にも、第1XY拘束ユニット8および第2XY拘束ユニット9が応力を吸収して連結構造に応力が集中し難くなることから、第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5が破損するのを抑制することが可能となる。すなわち、上述した構成によれば、連結構造にヨーイング方向の自由度があることから、暴走しても衝撃力が吸収され、破損する場合には、第1XY拘束ユニット8および第2XY拘束ユニット9が破損するようになる。その結果、破損したときのメンテナンスが各XY拘束ユニットの交換のみで済むことから、メンテナンスが容易になる。
【0049】
また、このような効果を向上させる上で、本実施形態のステージ装置1は、図1に示すように、第1XY拘束ユニット8および第2XY拘束ユニット9をそれぞれ2つずつ備えている。2つの第1XY拘束ユニット8、8は、X方向およびY方向に平行なXY平面において、X軸ガイドレール6を介して互いに離れている。同様に、2つの第2XY拘束ユニット9、9は、XY平面において、X軸ガイドレール6を介して互いに離れている。
【0050】
このような構成によれば、4つのXY拘束ユニットによって、上述した連結構造が、第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5の左右対称形状を保ちながら、矢印Aに示す回転方向の自由度を有するようになる。それゆえ、第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5を別々に駆動させたときの制御の位置ずれ、および暴走した際の応力が、4つのXY拘束ユニットによってバランスよく吸収されるようになり、結果として、上述した効果を向上させることが可能となる。
【0051】
なお、上面視において、本実施形態の2つの第1XY拘束ユニット8、8は、X軸ガイドレール6の中心線L6を対称軸として、対称となるように位置している。同様に、上面視において、本実施形態の2つの第2XY拘束ユニット9、9は、中心線L6を対称軸として、対称となるように位置している。
【0052】
また、本実施形態のステージ装置1は、第1XY拘束ユニット8および第2XY拘束ユニット9をそれぞれ2つずつ備えていることに伴って、第1アーム12および第2アーム13、並びに第1支持用ボール10および第2支持用ボール11も、それぞれ2つずつ備えている。
【0053】
本実施形態の第1XY拘束ユニット8は、図3に示すように、第1シャフト53の中央部83cを周方向に取り囲むとともに、Z方向において、複数の第1ベアリングボール84を介して互いに離れた一対の第1ベアリングOリング85a、85bをさらに有する。同様に、本実施形態の第2XY拘束ユニット9も、第2シャフト93を周方向に取り囲むとともにZ方向において複数の第2ベアリングボールを介して互いに離れた図示しない一対の第2ベアリングOリングをさらに有する。このような構成によれば、一対の第1ベアリングOリング85a、85bおよび一対の第2ベアリングOリングが、ダンピング部材として機能することから、第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5の停止時の振動がはやく減衰するため、第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5の位置決め時間を短くすることが可能となる。
【0054】
また、このような効果を向上させる上で、本実施形態の第1XY拘束ユニット8は、一対の第1ベアリングOリング85a、85bを2組備えている。すなわち、本実施形態の第1XY拘束ユニット8は、2つの第1ベアリングOリング85a、85aおよび2つの第1ベアリングOリング85b、85bを備えている。2つの第1ベアリングOリング85a、85aおよび2つの第1ベアリングOリング85b、85bはいずれも、第1XY拘束ユニット8が有する2つのリテーナ86a、86bに取り付けられている。
【0055】
具体的に説明すると、本実施形態の2つのリテーナ86a、86bはいずれも、円環状であり、その外周面および内周面のそれぞれに、切り欠き部861、861を有する。この切り欠き部861、861のそれぞれに、2つの第1ベアリングOリング85a、85aおよび2つの第1ベアリングOリング85b、85bを収容する。
【0056】
そして、互いに隣接している第1ベアリングOリング85a、85aの間に、複数の取り付けネジ87の先端部を介在させることによって、2つの第1ベアリングOリング85a、85aが、互いに離れた状態でリテーナ86aに取り付けられている。同様に、互いに隣接している第1ベアリングOリング85b、85bの間に、複数の取り付けネジ87の先端部を介在させることによって、2つの第1ベアリングOリング85b、85bが、互いに離れた状態でリテーナ86bに取り付けられている。
【0057】
また、上述した効果を向上させる上で、本実施形態の第1XY拘束ユニット8は、一対の第1ベアリングOリング85a、85bが、上下対称となるように位置している。すなわち、本実施形態の一対の第1ベアリングOリング85a、85bは、複数の第1ベアリングボール84のうち、互いに最も離れている2つの第1ベアリングボール84、84の中心84a、84a同士を結ぶ直線L84を対称軸として、上下対称となるように位置している。
【0058】
なお、本実施形態の第2XY拘束ユニット9は、第1XY拘束ユニット8と同一の構成を備えていることから、第1XY拘束ユニット8と同様に、一対の第2ベアリングOリングを2つ備えており、各第2ベアリングOリングを2つのリテーナに取り付けており、一対の第2ベアリングOリングが上下対称となるように位置している。一対の第1ベアリングOリング85a、85bおよび一対の第2ベアリングOリングの構成材料としては、例えばニトリルゴム、フッ素ゴムなどのゴムが挙げられる。リテーナの構成材料としては、例えばテフロン(登録商標)などの樹脂が挙げられる。
【0059】
第1X軸ベース82、第2X軸ベース92、第1Y軸ベース81、第2Y軸ベース91、第1シャフト83、第2シャフト93、第1ベアリングボール84および第2ベアリングボールは、セラミックスからなるのが好ましい。これにより、ヒステリシスを少なくすることができ、姿勢精度の再現性を向上させることができる。セラミックスとしては、例えばアルミナ、ジルコニア、窒化珪素などが挙げられる。
【0060】
一方、本実施形態のステージ装置1は、図1に示すように、第1Y軸スライダ4とX軸ガイドレール6との連結部である第1連結部14と、第2Y軸スライダ5とX軸ガイドレール6との連結部である第2連結部15とを備えている。本実施形態において、第1連結部14は、上述した第1連結プレート61を介したX軸ガイドレール6の一端6aと第1Y軸スライダ4との連結部である。また、本実施形態において、第2連結部15は、上述した第2連結プレート62を介したX軸ガイドレール6の他端6bと第2Y軸スライダ5との連結部である。
【0061】
そして、本実施形態のステージ装置1は、第1連結部14において、第1Y軸スライダ4とX軸ガイドレール6の第1連結プレート61との間に介在した第1介在Oリング16と、第2連結部15において、第2Y軸スライダ5とX軸ガイドレール6の第2連結プレート62との間に介在した第2介在Oリング17とをさらに備えている。このような構成によれば、第1介在Oリング16および第2介在Oリング17が、ダンピング部材として機能することから、第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5の停止時の振動がはやく減衰するため、第1Y軸スライダ4および第2Y軸スライダ5の位置決め時間を短くすることが可能となる。第1介在Oリング16および第2介在Oリング17の構成材料としては、例えばニトリルゴム、フッ素ゴムなどのゴムが挙げられる。
【0062】
また、本実施形態において、第1Y軸スライダ4、第2Y軸スライダ5およびX軸ガイドレール6のそれぞれの内部には、第1連結部14および第2連結部15において互いにつながった図示しない排気経路が形成されている。このような構成によれば、本実施形態のステージ装置1が真空対応型になることから、真空中での使用が可能となる。すなわち、上述した第1介在Oリング16および第2介在Oリング17によって、第1Y軸スライダ4とX軸ガイドレール6との間、および第2Y軸スライダ5とX軸ガイドレール6との間を、気密に封止することができる。したがって、排気経路に真空ポンプなどの排気手段を接続すれば、上述した静圧流体層を形成する際に供給した加圧気体を、排気経路を介して外部に排気することができ、それゆえ真空度を保持した状態での使用が可能となる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るXY拘束ユニットおよびステージ装置について説明する。本実施形態においては、第1XY拘束ユニット8および第2XY拘束ユニット9が、上述した第1実施形態と異なる構成を有する。すなわち、第1実施形態の第1XY拘束ユニット8では、第1Y軸ベース81が第1貫通孔811を有し、第1シャフト83が第1X軸ベース82に固定されている。これに対し、本実施形態においては、第1X軸ベース82が第1貫通孔811を有し、第1シャフト83が第1Y軸ベース81に固定されている。
【0064】
同様に、第1実施形態の第2XY拘束ユニット9では、第2Y軸ベース91が第2貫通孔911を有し、第2シャフト93が第2X軸ベース92に固定されている。これに対し、本実施形態においては、第2X軸ベース92が第2貫通孔911を有し、第2シャフト93が第2Y軸ベース91に固定されている。このような構成によっても、第1実施形態に係るXY拘束ユニットおよびステージ装置1と同じ効果を奏することが可能となる。
その他の構成は、第1実施形態に係るXY拘束ユニットおよびステージ装置1と同様であるので、説明を省略する。
【0065】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るXY拘束ユニットおよびステージ装置について説明する。本実施形態においては、第1XY拘束ユニット8は、上述した第1実施形態と同じ構成を有する。すなわち、本実施形態の第1XY拘束ユニット8は、第1Y軸ベース81が第1貫通孔811を有し、第1シャフト83が第1X軸ベース82に固定されている。
【0066】
一方、本実施形態においては、第2XY拘束ユニット9が、上述した第1実施形態と異なる構成を有する。すなわち、第1実施形態の第2XY拘束ユニット9では、第2Y軸ベース91が第2貫通孔911を有し、第2シャフト93が第2X軸ベース92に固定されている。これに対し、本実施形態においては、第2X軸ベース92が第2貫通孔911を有し、第2シャフト93が第2Y軸ベース91に固定されている。このような構成によっても、第1実施形態に係るXY拘束ユニットおよびステージ装置1と同じ効果を奏することが可能となる。
その他の構成は、第1実施形態に係るXY拘束ユニットおよびステージ装置1と同様であるので、説明を省略する。
【0067】
<真空ステージ装置>
次に、本発明の一実施形態に係る真空ステージ装置について説明する。本実施形態の真空ステージ装置は、上述したステージ装置1と、ステージ装置1を内部に収容した真空チャンバとを備えている。
【0068】
ここで、上述した第1Y軸ガイドレール2、第1Y軸スライダ4、第2Y軸ガイドレール3、第2Y軸スライダ5、X軸ガイドレール6およびX軸スライダ7のそれぞれの内部には、互いにつながった排気経路が形成されている。この排気経路に真空ポンプなどの排気手段を接続すれば、上述した静圧流体層を形成する際に供給した加圧気体を、排気経路を介して外部に排気することができる。したがって、ステージ装置1を真空チャンバの内部に収容しても、真空チャンバの内部の真空度を維持できることから、真空中で被搬送物を搬送して所定位置に位置決めすることが可能となる。また、本実施形態の真空ステージ装置は、上述したステージ装置1を備えていることから、ヨーイングの姿勢精度に優れ、それゆえ被搬送物を高精度に位置決めすることができる。
【0069】
本実施形態の真空ステージ装置は、例えば精密加工装置および精密測定装置、並びに半導体の製造工程に用いられる描画装置および露光装置などに好適であるが、これらに限定されるものではない。すなわち、本実施形態の真空ステージ装置は、真空中で被搬送物を搬送して所定位置に位置決めすることが要求される分野において、好適に使用することができる。
【0070】
以上、本発明に係るいくつかの実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で多くの修正および変更を加えることができるのは言うまでもない。
【0071】
例えば、上述の第1実施形態に係るステージ装置1では、第1Y軸ガイドレール2、第2Y軸ガイドレール3およびX軸ガイドレール6が四角柱状であるが、これに代えて、各ガイドレールを、例えば三角柱状、五角柱状、六角柱状などの他の角柱状にすることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 ステージ装置
1A 第1Y軸エアースライド
1B 第2Y軸エアースライド
1C X軸エアースライド
2 第1Y軸ガイドレール
21 第1案内面
3 第2Y軸ガイドレール
31 第2案内面
4 第1Y軸スライダ
41 上面
411 第1載置部
5 第2Y軸スライダ
51 上面
511 第2載置部
6 X軸ガイドレール
6a 一端
6b 他端
61 第1連結プレート
62 第2連結プレート
63 第3案内面
7 X軸スライダ
8 第1XY拘束ユニット
81 第1Y軸ベース
811 第1貫通孔
812 第1挿入部
813 ネジ挿通孔
82 第1X軸ベース
821 第1上固定部
821a 第1上貫通孔
821b 一半部
821c 他半部
822 第1下固定部
822a 第1下貫通孔
822b 一半部
822c 他半部
823 ネジ挿通孔
824 基端部
825 ネジ挿通孔
83 第1シャフト
83a 上部
83b 下部
83c 中央部
84 第1ベアリングボール
84a 中心
85a 第1ベアリングOリング
85b 第1ベアリングOリング
86a リテーナ
86b リテーナ
861 切り欠き部
87 取り付けネジ
9 第2XY拘束ユニット
91 第2Y軸ベース
911 第2貫通孔
92 第2X軸ベース
93 第2シャフト
10 第1支持用ボール
11 第2支持用ボール
12 第1アーム
12a 一端
12b 他端
13 第2アーム
13a 一端
13b 他端
14 第1連結部
15 第2連結部
16 第1介在Oリング
17 第2介在Oリング
100 ステージベース
101 上面
102 固定ネジ
図1
図2
図3
図4