【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年5月22日に、神奈川県川崎市川崎区浮島7番地1号 東燃ゼネラル石油株式会社 川崎工場にて、試験を行った。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
触媒が充填されているリアクターの上部を開放し、触媒層の上部から下部まで中心部の触媒を取り出し、触媒取り出し用回転羽装置の可動筒部の挿入空間を作り、次いで、該触媒取り出し用回転羽装置の可動筒部の挿入空間に、回転羽と、該回転羽が取り付けられる回転部と、該回転部を回転させるための回転手段と、該回転部及び該回転手段が設置され、上下方向に移動可能に固定部に取り付けられている可動筒部と、該可動筒部をリアクターの上部に固定するための固定部と、からなる触媒取り出し用回転羽装置の可動筒部を挿入し、該リアクターの上部に、該触媒取り出し用回転羽装置を固定し、次いで、回転部を回転させることにより回転羽を回転させて該触媒層を下側から崩すと共に、崩れた触媒を、該リアクターのドレン管から排出して、該リアクター内の該触媒を外部へ取り出すことを特徴とする触媒取り出し方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の触媒取り出し方法の形態例が実施されるリアクターを示す模式図である。
【
図3】本発明の触媒取り出し方法の形態例を説明するための模式図である。
【
図4】本発明の触媒取り出し方法の形態例を説明するための模式図である。
【
図5】本発明の触媒取り出し方法の形態例を説明するための模式図である。
【
図6】本発明の触媒取り出し方法の形態例を説明するための模式図である。
【
図7】本発明の触媒取り出し方法の形態例を説明するための模式図である。
【
図8】本発明の触媒取り出し方法の形態例を説明するための模式図である。
【
図9】本発明の触媒取り出し方法の形態例を説明するための模式図である。
【
図10】本発明の触媒取り出し方法の形態例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の触媒取り出し方法及び本発明の触媒取り出し用回転羽装置について、
図1〜
図10を参照して説明する。
図1〜
図10は、本発明の触媒取り出し方法の形態例を説明するための模式図である。
図1は、リアクターを外側から見た図であり、
図2〜
図10は、リアクターを垂直方向に切ったときの端面を示す図である。
図5〜
図10では、触媒取り出し用回転羽装置を側面図で示している。
【0010】
図1に示すリアクター1は、原料供給管3よりリアクター内に反応原料を供給して、リアクターの内部に充填されている固体触媒に反応原料を接触させて、反応原料の反応を行い、反応後の生成物を生成物排出管5から排出するための反応装置である。リアクター1では、リアクター1のリアクター上部フランジ2と、原料供給管側フランジ4とが、締め付けられることにより、リアクター1に原料供給管3が取り付けられており、リアクター1の下側には、生成物排出管5が取り付けられている。また、リアクター1の下部には、固体触媒を取り出すためのドレン管6が取り付けられている。なお、リアクター1で反応が行われている間は、ドレン管6は閉じられている。
【0011】
図2に示すように、リアクター1の内部には、触媒11が充填されており、触媒層12が形成されている。この触媒層12の下側は、リアクター1の内部下側に設置されている下側触媒層仕切り部13により仕切られており、また、触媒層12の上側は、リアクター1の内部上側に設置されている上側触媒層仕切り部14により仕切られている。上側触媒層仕切り部14には、仕切り部中心蓋15が取り付けられている。なお、
図2に示すリアクター1では、触媒層12を形成する触媒は全て、触媒層12の左上に示す触媒11ように、球状、粒状、紛体状、不定形等の触媒であるが、説明及び作図の都合上、一部のみ触媒11を記載し、それ以外の触媒11が存在している部分を、斜線で示した。
【0012】
リアクター1からの触媒11の取り出しは、例えば、以下のようにして行われる。先ず、リアクター1への反応原料の供給を止め、内部を窒素ガスで充満させて、リアクター1を放冷して、触媒取り出しの準備を行う。
【0013】
次いで、
図3に示すように、原料供給管3を取り外して、リアクター1の上部を開放し、更に、仕切り部中心蓋15を取り外して、触媒層12の上側の少なくとも中心部の触媒が開放され、中心部の触媒の取り出しが可能な状態にする。なお、触媒層の上側の中心部とは、触媒層を上側から見たときの中心及びその近傍のことである。
【0014】
次いで、
図4に示すように、触媒層12の上部から下部までの中心部の触媒を取り出して、触媒層12の中心部の上部から下部に亘って、触媒取り出し用回転羽装置の可動筒部の挿入空間16を形成させる。
【0015】
次いで、
図5に示すように、触媒取り出し用回転羽装置の可動筒部の挿入空間16に、触媒取り出し用回転羽装置10の可動筒部21を挿入し、リアクター1のリアクター上部フランジ2に、触媒取り出し用回転羽装置10の固定部23を固定することにより、触媒取り出し用回転羽装置10をリアクター1に固定する。
【0016】
この触媒取り出し用回転羽装置10は、可動筒部21と、回転羽22と、固定部23と、回転部24と、回転部24を回転させるための回転手段と、からなる。可動筒部21は、上下方向に移動可能に固定部23に取り付けられている。可動筒部21には、回転羽22が取り付けられている回転部24が、可動筒部の中心軸26を軸として可動筒部の中心軸周り方向に回転可能に取り付けられている。回転部24には、回転羽22が、傾斜角が可変に取り付けられている。可動筒部21の内側には、回転部24を回転させるための回転シャフトが設置され、回転シャフトの一端は、回転部24に直接又は回転部24と回転シャフトとを繋ぐ部材を介して繋がっている。なお、可動筒部の中心軸とは、可動筒部を上から見たときの中心が、上下方向(回転部の伸長方向)に伸長した軸のことであり、また、可動筒部の中心軸周り方向とは、可動筒部の中心軸を中心とする円周の方向ということを指す。また、回転羽の傾斜角とは、水平方向に対する回転羽22の傾きのことであり、
図5に示すように、水平方向に対して回転羽22の伸長方向が垂直な場合が、回転羽の傾斜角が90度の状態であり、また、
図8に示すように、回転羽22の伸長方向が水平な場合が、回転羽の傾斜角が0度の状態である。
【0017】
回転部24は、回転が可能な状態で、可動筒部21に設置されている。回転部24は、回転が可能なように、可動筒部21に設置されていればよい。そして、回転部24が、可動筒部の中心軸26を軸として可動筒部の中心軸周り方向に回転することにより、回転羽22が回転する。
【0018】
可動筒部21の内側には、回転シャフトが設置されている。回転シャフトは、回転部24を回転させるための回転手段である。回転シャフトは、外部動力源による加えられる回転力で、可動筒部21の内側で、可動筒部の中心軸26を軸として可動筒部の中心軸周り方向に回転することにより、回転部24を回転させる。
【0019】
回転羽22は、
図5〜
図10に示すように、回転羽の傾斜角の変更が可能な状態で、回転部24に取り付けられている。回転羽22は、傾斜角が変更可能なように、回転部24に取り付けられていればよく、回転羽22の回転部24への取り付け方法及び傾斜角の可変機構は、特に制限されない。
【0020】
触媒取り出し用回転羽装置の可動筒部の挿入空間16に、触媒取り出し用回転羽装置10の可動筒部21を挿入するときは、
図5に示すように、回転羽22の傾斜角を、90度又は触媒取り出し用回転羽装置の可動筒部の挿入空間16に回転羽22が挿入可能な程度に傾く傾斜角とした状態で、触媒取り出し用回転羽装置の可動筒部21を、触媒取り出し用回転羽装置の可動筒部の挿入空間16に挿入する。
【0021】
次いで、
図6に示すように、回転部24を可動筒部の中心軸26周り方向(符号9の方向に)に回転させることにより回転羽22を回転させながら、回転羽22の傾斜角が小さくなるように(符号7の矢印の方向に)、回転羽22の傾斜角を変更させていき、且つ、可動筒部21を下に(符号8aの矢印の方向に)移動させる。つまり、回転羽22の回転と、可動筒部21の下方への移動と、回転羽22の傾斜角の変更と、を同時に行う。
【0022】
このことにより、
図7に示すように、回転羽22と接触した部分の触媒層12が崩れ、崩れた触媒11が、リアクター1の底部に崩れ落ちる。このとき、可動筒部21の上下方向の位置と回転羽22の傾斜角を調節して、できる限り触媒層12の下側から、触媒層12が崩れ始めるようにする。なお、
図7〜
図10では、実線で示す回転羽22の位置から、可動筒部の中心軸周り方向に180度回転したときの回転羽22の位置を点線で示す。
【0023】
リアクター1の底部に崩れ落ちた触媒11は、ドレン管6を通って、リアクター1外へと排出される。このことにより、触媒11が、リアクター1外へと取り出される。
【0024】
そして、
図8に示すように、回転羽22の傾斜角が0度、すなわち、水平となるまで、回転羽22の回転と、可動筒部21の下方への移動と、回転羽22の傾斜角の変更と、を同時に行う。
【0025】
回転羽22の傾斜角が0度となるまで、回転羽22の回転と、可動筒部21の下方への移動と、回転羽22の傾斜角の変更と、を同時に行った後は、次いで、
図8〜
図10に示すように、回転羽22の傾斜角を0度に保ったままで、回転部24を可動筒部の中心軸26周り方向に回転させて、回転羽22を回転させながら、可動筒部21を上に(符号8bの矢印の方向に)移動させる。つまり、回転羽22の傾斜角を0度に保ったままで、回転羽22の回転と、可動筒部21の上方への移動と、を同時に行う。
【0026】
このことにより、
図9及び
図10に示すように、回転羽22により触媒層12を、下側から崩していく。このとき、崩れた触媒11は、リアクター1の底部に崩れ落ち、ドレン管6を通って、リアクター1外へと排出され、触媒11が、リアクター1外へと取り出される。
【0027】
このようにして、触媒層12の全てを崩し、崩れ落ちた触媒11をリアクター1外へと取り出す。
【0028】
本発明の触媒取り出し用回転羽装置は、回転羽と、該回転羽が取り付けられる回転部と、該回転部を回転させるための回転手段と、該回転部及び該回転手段が設置され、上下方向に移動可能に固定部に取り付けられている可動筒部と、該可動筒部をリアクターの上部に固定するための固定部と、からなる触媒取り出し用回転羽装置である。
【0029】
本発明の触媒取り出し用回転羽装置では、回転部を、可動筒部の中心軸周り方向に回転させることにより、回転部に取り付けられている回転羽を回転させることができる。また、可動筒部を、上下方向に移動させることにより、回転羽を上下方向に移動させることができる。そのため、可動筒部は、固定部に、上下方向に移動可能に取り付けられている。
【0030】
回転手段としては、回転部を回転させることができるものであれば、特に制限されない。回転手段の形態例としては、例えば、可動筒部の内側に設置され、一端が回転部に直接又は繋ぎ部材を介して回転部に繋がっている回転シャフトが挙げられる。繋ぎ部材としては、回転部の中心軸に付設されるギヤ及び回転シャフトの一端に付設されるギヤが挙げられる。本発明の触媒取り出し用回転羽装置の使用時には、回転手段に、外部動力源が取り付けられて、その回転力により回転手段は回転する。
【0031】
本発明の触媒取り出し用回転羽装置では、回転羽がその傾斜角が変更可能に、回転部に取り付けられているものであれば、特に制限されない。回転羽の傾斜角の変更を可能とする手段として、例えば、回転羽の取り付け軸に取り付けられている第一ギヤと、回転部に取り付けられており、第一ギヤに噛み合う第二ギヤと、回転シャフトの内側に設置され、一端が第二ギヤに繋がり、他端が操作部に繋がっている、第二ギヤを回転させるための操作ロッドと、からなる回転羽の傾斜角の変更手段が挙げられる。この形態例では、操作部での操作により、操作ロッドが上下移動することにより、操作ロッドが繋がっている、第二ギヤが回転し、そして、第二ギヤが回転することにより、第一ギヤが回転し、そして、第一ギヤが回転することにより、第一ギヤが取り付けられている回転羽が、回転部への取り付け軸を軸として回転して、回転羽の傾斜角が変更される。
【0032】
本発明の触媒取り出し用回転羽装置は、リアクター内に不活性ガスを供給するための不活性ガスの供給管が、好ましくは不活性ガスを可動筒部の下端又はその近傍まで誘導し、リアクター内に不活性ガスを供給するための不活性ガスの供給管が、可動筒部の内側に設置されていてもよい。本発明の触媒取り出し用回転羽装置に、不活性ガスの供給手段が設けられていることにより、リアクターの底部に崩れ落ちた触媒を、不活性ガスに伴わせて、ドレン管より排出することができるので、触媒の排出が容易になる。
【0033】
本発明の触媒取り出し方法は、触媒が充填されているリアクターの上部を開放し、触媒層の上部から下部まで中心部の触媒を取り出し、触媒取り出し用回転羽装置の可動筒部の挿入空間を作り、次いで、該触媒取り出し用回転羽装置の可動筒部の挿入空間に、本発明の触媒取り出し用回転羽装置の可動筒部を挿入し、該リアクターの上部に、該触媒取り出し用回転羽装置を固定し、次いで、回転部を回転させることにより回転羽を回転させて該触媒層を崩すと共に、崩れた触媒を、該リアクターのドレン管から排出して、該リアクター内の該触媒を外部へ取り出すことを特徴とする触媒取り出し方法である。
【0034】
本発明の触媒取り出し方法が実施されるリアクターは、リアクター内に反応原料を供給し、リアクターの内部に充填されている固体触媒に反応原料を接触させることより、反応原料の反応を行い、反応後の生成物をリアクター内から排出するための反応装置である。
【0035】
リアクターで行われる反応としては、特に制限されず、リアクターとしては、ナフサ水素化精製用リアクター、灯軽油水素化脱硫用リアクター、減圧軽油水素化脱硫用リアクター、重油水素化脱硫用リアクター等が挙げられる。
【0036】
リアクターに充填されている触媒は、固体触媒であり、その形状は、特に制限されず、例えば、球状、粒状、紛体状、不定形等が挙げられる。触媒の大きさは、特に制限されず、通常、1〜3mmである。そして、リアクターには、固体触媒が充填されて、触媒層が形成されている。
【0037】
触媒取り出し用回転羽装置の可動筒部の挿入空間の形成方法は、特に制限されず、例えば、ドリル等で穿孔して触媒層の上部から徐々に崩し、触媒層の下部まで、孔を貫通させることにより行われる。この貫通作業では、孔の開放口径は約200mm程度とされる。
【0038】
リアクターにおいて、ドレン管は、触媒層を形成している固体触媒を崩した後に、崩れた固体触媒を外部へ取り出すための管である。
【0039】
本発明の触媒取り出し方法では、不活性ガスをリアクター内に供給し、リアクターの底部に崩れ落ちた触媒を、不活性ガスに伴わせて、ドレン管より排出することができる。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガスが挙げられる。不活性ガスの供給量は、適宜選択される。