(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(概要)
最初に、本実施の形態に係るシャッター障害物検知システムの概要について説明する。このシャッター障害物検知システムは、開口部を開閉するシャッターカーテンに対する障害物を検知するシステムである。シャッターカーテンを備えるシャッター装置は、特記する場合を除いて、任意の目的、設置場所、構造等を取ることができ、例えば、重量シャッター、軽量シャッター、グリルシャッター、あるいは防煙たれ壁として構成され、重量シャッターに関しては、防火シャッター、防煙シャッター、気密用シャッター、管理用シャッター、防音シャッター、あるいは、管理併用型シャッターのように複数の目的に併用されるシャッターとして構成される。また、シャッターカーテンの開閉方向も任意であり、鉛直方向や水平方向を含む。以下では、シャッター障害物検知システムを、シャッターカーテンを鉛直方向に沿って開閉させる管理併用型の防火防煙シャッター装置に適用した例について説明する。
【0023】
また、「障害物を検知する」とは、開口部を開閉するシャッターカーテンに対する障害になり得る人や物を検知することを意味し、建築基準法の防火戸に義務付けられている「危害防止」のための障害物検知を含むが、危害防止に限定されず、任意の目的や法令に基づく障害物検知を対象とすることができる。以下では、シャッター障害物検知システムを、管理併用型のシャッター装置の降下時の危害防止を目的とする危害防止システムとして構成した例について説明する。
【0024】
(構成−シャッター装置)
次に、本実施の形態に係るシャッター障害物検知システムが適用されるシャッター装置の構成について説明する。ただし、シャッター装置は従来と同様に構成することが可能であり、特記しない構成や処理については従来と同様であるものとする。
図1は、本実施の形態に係るシャッター装置10、火災報知システム20、及びシャッター障害物検知システム30を概念的に示す正面図である。
【0025】
このシャッター装置10は、建築物に設けられた開口部1を火災発生時に全閉状態とすることで、この建築物に防火区画を形成する電動式の防火シャッター装置であり、シャッター収納部11、シャッターカーテン12、開閉機13、自動閉鎖装置14、手動閉鎖装置15、及び連動中継器16を備えて構成されている。なお、以下の説明では、
図1のX方向を幅方向、Y方向を高さ方向(+Y方向を上方、−Y方向を下方)、X方向及びY方向に直交する方向を前後方向、と称する。
【0026】
シャッター収納部11は、シャッター装置10の各部を収容するための中空体であり、開口部1の上端近傍位置に取り付けられている。このシャッター収納部11の内部には、開閉機13、自動閉鎖装置14、連動中継器16、及び図示しない巻き取り軸と、シャッター障害物検知システム30の後述する受信機33が収容されている。また、巻き取り軸にてシャッターカーテン12が巻き取られた状態では、シャッターカーテン12も、シャッター障害物検知システム30の後述する送信機32と共に、シャッター収納部11の内部に収容される。シャッター収納部11の下面には、開口部幅方向全長に渡って図示しないスリットが形成されており、このスリットを介してシャッターカーテン12の出し入れが行われる。
【0027】
シャッターカーテン12は、巻き取り軸によって巻き取り又は巻き出しされることで、開口部1を、全開状態、全閉状態、あるいはこれらの2状態の間の状態とする遮蔽手段である。このシャッターカーテン12の幅方向の両端部は、開口部1の左右内縁において上下方向に沿って設けられたガイドレール2に挿入されており、上下方向においてはガイドレール2の内部をスライド移動可能であり、かつ、前後方向においてはガイドレール2の外部に脱落しないように規制されている。このシャッターカーテン12の下端部には、水平状の座板17が設けられており、この座板17には、シャッター障害物検知システム30の後述する座板スイッチ31が取り付けられている。
【0028】
開閉機13は、巻き取り軸を回転駆動することによって電動でシャッターカーテン12を昇降させる昇降手段であり、巻き取り軸の回転を制動する図示しないブレーキを備えている。自動閉鎖装置14は、シャッターカーテン12の自重降下を制御する手段であり、連動中継器16からの制御信号に基づいて、開閉機13のブレーキレバーを引くことによりブレーキを解除させることで、シャッターカーテン12を自重降下させ、あるいは、連動中継器16からの制御信号に基づいて、開閉機13のブレーキレバーを戻すことによりブレーキを作動させることで、シャッターカーテン12の自重降下を停止させる。
【0029】
シャッターカーテン12を電動で昇降させる場合、自動閉鎖装置14は作動せず、開閉機13は自身でブレーキを解除すると共に、巻き取り軸を所定の巻き取り方向又は繰り出し方向に駆動することにより、シャッターカーテン12を電動で上昇又は下降させて開口部1を全開状態又は全閉状態する。
一方、自動閉鎖装置14でブレーキを解除することにより、シャッターカーテン12を自重降下させて開口部1を全閉状態とし、あるいは、ブレーキを作動させて巻き取り軸の回転を制動することにより、シャッターカーテン12の自重降下を停止させる。
【0030】
手動閉鎖装置15は、シャッターカーテン12を操作する操作手段であり、シャッターカーテン12を電動で上昇させる上昇ボタン、電動で下降させる下降ボタン、昇降中のシャッターカーテン12を停止させる停止ボタンを備え、これら上昇ボタン、下降ボタン又は停止ボタンがユーザによって押圧された場合に、当該押圧されたボタンに応じた操作信号を連動中継器16に出力することで、開閉機13を介してシャッターカーテン12が電動で上昇及び下降し、又はシャッターカーテン12の昇降を停止する。
さらに手動閉鎖装置15は、非常閉鎖ボタンを有しており、非常閉鎖ボタンを押圧することで、後述する火災発生時と同様、シャッターカーテン12の自重降下が開始される。
また、手動閉鎖装置15は、復旧ボタンを有しており、自重降下中に復旧ボタンがユーザによって押圧された場合に自重降下が停止される。
【0031】
連動中継器16は、シャッター装置10の各部を相互に連動させる制御手段であると共に、火災報知システム20をシャッター装置10に連動させる中継手段である。この連動中継器16は、開閉機13、自動閉鎖装置14、手動閉鎖装置15、及び火災報知システム20の後述する防災盤22と、シャッター障害物検知システム30の後述する受信機33とに、電気的に接続されている。特に、連動中継器16は、自動閉鎖装置14に制御信号を出力することで、シャッターカーテン12を自重降下させ、あるいは、シャッターカーテン12の自重降下を停止させる。また、このように自動閉鎖装置14に制御信号を出力した際、連動中継器16は、この制御内容に応じた信号を受信機33に対して出力する。具体的には、連動中継器16は、「起動オン信号」又は「起動オフ信号」を出力する。「起動オン信号」とは、シャッターカーテン12を降下させた旨を示す信号である。「起動オフ信号」とは、シャッターカーテン12の降下を終了させた旨を示す信号である。
【0032】
また、シャッター装置10のシャッター収納部11には、図示しない下限リミットスイッチが設けられている。この下限リミットスイッチは、シャッターカーテン12の下端が、床面から所定距離(数cm)だけ上方側に設定された所定位置(以下、下限位置)に対して、上方と下方のいずれの側に位置しているかを検出するためのスイッチである。この下限リミットスイッチは、例えば、シャッターカーテン12の巻き取り軸の回転量を検出するポテンショメータやカウンター式リミットスイッチを含んで構成されており、シャッターカーテン12の下端が下限位置より下方側に位置している場合に、下限リミット信号を連動中継器16に出力する。
【0033】
(構成−火災報知システム)
次に、本実施の形態に係るシャッター障害物検知システム30と連動させる火災報知システム20の構成について説明する。ただし、火災報知システム20は従来と同様に構成することが可能であり、特記しない構成及び処理については従来と同様であるものとする。この火災報知システム20は、建築物に設定された監視領域における火災発生を感知して報知するシステムであり、火災感知器21と、防災盤22を備えて構成されている。火災感知器21は、監視領域における火災発生を感知した場合に、防災盤22に火災感知信号を出力する。防災盤22は、火災感知器21から火災感知信号を受信した場合に、警報音の出力や火災表示灯の点灯を行うと共に、シャッターカーテン12を全閉して防火区画を形成して火災の延焼拡大を防止するため火災発生の旨を報知する移報信号を連動中継器16に出力する。
【0034】
(構成−シャッター障害物検知システム)
次に、本実施の形態に係るシャッター障害物検知システム30の構成について説明する。このシャッター障害物検知システム30は、上述のように、開口部1を開閉するシャッターカーテン12に対する障害物を検知するシステムである。このシャッター障害物検知システム30は、座板スイッチ31、送信機32、及び受信機33を備えて構成されている。なお、送信機32は、後述するように、信号の送信と受信の両方を行う通信手段であるが、本実施の形態では、説明の便宜上、「送信機」と称して説明する。また、受信機33は、後述するように、信号の送信と受信の両方を行う通信手段であるが、本実施の形態では、説明の便宜上、「受信機」と称して説明する。
【0035】
(構成−シャッター障害物検知システム−座板スイッチ)
座板スイッチ31は、シャッターカーテン12の閉鎖作動時における先端部(本実施の形態では座板17)が、障害物に接触したことを検知する障害物センサである。この座板スイッチ31は、例えば従来と同様に構成されており、シャッターカーテン12の閉鎖作動時に座板17が障害物に接触してシャッターカーテン12に対して相対的に上方に持ち上げられた際の変位を機械的(マイクロスイッチ等)に検知し、この検知結果に応じた出力を行う。以下では、座板スイッチ31からの出力のうち、障害物未検知時の出力を「座板スイッチオフ出力」、障害物検知時の出力を「座板スイッチオン出力」と称する。ただし、座板スイッチ31に代えて、障害物を検知するための任意の検知手段を用いることができ、例えば、超音波センサ、静電容量センサや光学センサによって、シャッターカーテン12の下端部よりも下方に障害物が存在することを検知してもよい。
【0036】
(構成−シャッター障害物検知システム−送信機)
送信機32は、障害物センサによる障害物の検知状態を示す情報を含む信号(以下、障害物検知状態信号)を無線(電波)にて送信する第1通信手段である。
図2は、送信機32の電気的構成を示すブロック図である。この送信機32は、振動センサ32a、入力部32b、表示部32c、登録スイッチ32d、第1送信部32e、第1受信部32f、アンテナ32g、記憶部32h、電源部32i、及び制御部32jを図示のように接続して構成されている。
【0037】
振動センサ32aは、シャッターカーテン12の閉鎖動作が起動されたことを、当該シャッターカーテン12の機械的動作に基づいて特定する特定手段である。この振動センサ32aは、具体的には、振動を検知する振動検知手段であって、シャッターカーテン12に固定され、シャッターカーテン12の機械的な振動を検知した場合に振動検知信号を出力する。この振動センサ32aの具体的な構成は任意であるが、例えば、圧電型加速度センサを使用することができる。ただし、シャッターカーテン12の閉鎖動作を特定する特定手段としては、振動センサ32a以外の手段を用いてもよく、例えば、シャッターカーテン12が機械的に変位したことを検知するマグネットセンサや静電容量式センサを用いたり、ガイドレール2に接するように座板17に設けられたローラの機械的な回転を検知する検知器を用いてもよい。
入力部32bは、座板スイッチ31の出力の入力を受け付ける入力手段であり、例えば、座板スイッチ31の出力端子に図示しない信号線を介して接続された入力端子として構成されている。
表示部32cは、送信機32にて信号の送信が行われていることを、送信機32の外部に報知する出力手段であり、例えば、LEDとして構成されている。
登録スイッチ32dは、送信機32が通信を行うべき受信機33を登録するための登録操作手段であり、例えば、被押圧状態に応じた出力を行う押しボタン式スイッチとして構成されている。また、この登録スイッチ32dは、シャッター障害物検知システム30の機能の正常性をテストするためのテストスイッチとして兼用される。この登録スイッチ32dからの出力のうち、押圧されていない時の出力を「テストスイッチオフ出力」、押圧されている時の出力を「テストスイッチオン出力」と称する。
【0038】
第1送信部32eは、障害物検知状態信号を所定の第1周波数帯域の第1周波数にて送信する送信手段である。
第1受信部32fは、障害物検知状態信号以外の所定の信号を所定の第2周波数帯域の第2周波数にて受信する受信手段である。
【0039】
ここで、第1周波数帯域と第2周波数帯域について説明する。
第1周波数帯域は、障害物検知状態信号を送信可能な周波数帯域であればよいが、特に本実施の形態においては、障害物検知状態信号の連続送信が可能な周波数帯域である。「連続送信が可能な周波数帯域」とは、通信に関する法令や標準規格によって、信号を連続送信することが許容されている(送信の休止や停波が義務付けられていない)周波数帯域である。特に、本実施の形態では、シャッター装置10と共にシャッター障害物検知システム30が複数近接して配置されている場合の信号衝突を防止するため、信号送信時にキャリアセンスを行うこととしており、キャリアセンスが義務付けられている周波数帯域を使用する。このような条件に合致する第1周波数帯域としては、例えば、特定小電力無線局用の429MHz帯域(具体的には、429.2500MHzから429.7375MHzにおける12.5KHz間隔の40チャンネルの帯域)がある。
【0040】
一方、第2周波数帯域は、所定の信号を送信可能な周波数帯域であればよいが、特に本実施の形態においては、間欠送信が可能な周波数帯域を使用する。また、本実施の形態では、第2周波数帯域についてはキャリアセンスが不要な周波数帯域を使用する。このような条件に合致する第2周波数帯域としては、例えば、特定小電力無線局用の315MHz帯域(具体的には、312MHzを超え315.25MHz以下の帯域)がある。
【0041】
以下では、説明の便宜上、第1周波数帯域に含まれる周波数であって第1送信部32eが信号を送信する周波数(第1周波数)を「429MHz」、第2周波数帯域に含まれる周波数であって第1受信部32fが信号を受信する周波数(第2周波数)を「315MHz」と称する。
【0042】
アンテナ32gは、第1送信部32eから出力された障害物検知状態信号を送信し、あるいは、所定の信号を受信して第1受信部32fに入力する送受信素子である。このアンテナ32gは、1本のみ設けられており、このアンテナ32gを429MHzと315MHzの2つの周波数の信号の送受信に併用する。このため、アンテナ32gの全長は、例えば、429MHzの波長の所定の整数比であり、かつ、315MHzの波長の所定の整数比となるように、決定されている(後述する受信機33のアンテナ33gも同様)。
【0043】
記憶部32hは、送信機32を動作させるために必要な各種のプログラムやデータを不揮発的に記憶する記憶手段であり、例えば、EEPROMとして構成されている。この記憶部32hには、特に、送信機32を一意に識別するための識別情報(以下、送信機ID)が工場出荷時等の任意のタイミングにおいて記憶されている。また、記憶部32hには、シャッターカーテン12の累積開閉回数が記憶されている。
【0044】
電源部32iは、図示しない電池を備えて構成されており、この電池から供給される電力を送信機32の各部に供給する。すなわち、送信機32は、電池の電力にて動作する通信手段である。
【0045】
制御部32jは、送信機32の各部を制御する制御手段であり、例えば、記憶部32hに記憶されたプログラムを実行するCPUによって構成されている。この制御部32jは、後述する登録処理を実行する登録処理手段、後述する定期通報処理を実行する定期通報処理手段、後述する障害物検知処理を実行する障害物検知処理手段、送信機32に対して電池が接続されてからの経過時間を計測する計測手段、及びシャッターカーテン12が開放されたことが所定方法で特定された回数を計数する計測手段として機能し、各種の時間を計時する計時手段としての内部タイマを備える。また、制御部32jは、後述する受信機33の第2送信部33fから送信される起動オン信号が第1受信部32fによって受信された場合に、シャッターカーテン12の閉鎖動作が起動されたものと特定する特定手段である。
【0046】
(構成−シャッター障害物検知システム−受信機)
次に、
図1の受信機33の構成について説明する。受信機33は、障害物検知状態信号を無線(電波)にて受信する第2通信手段である。
図3は、受信機33の電気的構成を示すブロック図である。この受信機33は、入力部33a、出力部33b、表示部33c、登録スイッチ33d、第2受信部33e、第2送信部33f、アンテナ33g、記憶部33h、電源部33i、及び制御部33jを図示のように接続して構成されている。
【0047】
入力部33aは、連動中継器16からの出力の入力を受け付ける入力手段であり、例えば、連動中継器16の出力端子に図示しない信号線を介して接続された入力端子として構成されている。
出力部33bは、連動中継器16に対して障害物検知状態信号を出力する出力手段であり、例えば、連動中継器16の入力端子に図示しない信号線を介して接続された出力端子として構成されている。特に、出力部33bは、出力すべき信号の種類の切り替えを、当該出力部33bの内部の抵抗値を切り替えることで行う。本実施の形態では、出力すべき信号の種類として、座板スイッチ31による障害物未検知時の信号を「座板スイッチオフ信号」、座板スイッチ31による障害物検知時の信号を「座板スイッチオン信号」、送信機32と受信機33の相互間に通信障害が発生している時の信号を「通信障害信号」、送信機32の電池が消耗した時の信号を「電池消耗信号」、シャッターカーテン12の開閉の累積回数が所定回数以上になった時の信号を「開閉回数オーバー信号」と称する。そして、これら信号の各々に対して異なる抵抗値(又は抵抗範囲)が予め設定されており、当該出力部33bの内部の抵抗値を、出力すべき信号の種類に対応した抵抗値にすることで、受信機33から連動中継器16に流れる電流値を変化させて、連動中継器16に当該信号を出力する。
【0048】
表示部33cは、当該受信機33にて信号の受信が行われていることを受信機33の外部に報知する出力手段であり、例えば、LEDとして構成されている。
登録スイッチ33dは、相互に通信を行うべき送信機32と受信機33の組み合わせを、これら送信機32と受信機33に登録するための登録操作手段であり、例えば、押しボタン式スイッチとして構成されている。
【0049】
第2受信部33eは、障害物検知状態信号を第1周波数帯域にて受信する受信手段である。
第2送信部33fは、所定の信号を第2周波数帯域にて送信する送信手段である。
【0050】
アンテナ33gは、第2送信部33fから出力された所定の信号を送信し、あるいは、障害物検知状態信号を受信して第2受信部33eに入力する送受信素子である。
【0051】
記憶部33hは、受信機33を動作させるために必要な各種のプログラムやデータを不揮発的に記憶する記憶手段であり、例えば、EEPROMとして構成されている。この記憶部33hには、特に、受信機33を一意に識別するための識別情報(以下、受信機ID)が工場出荷時等の任意のタイミングにおいて記憶されている。
【0052】
電源部33iは、図示しない電源線を介して連動中継器16に接続されており、この連動中継器16から供給される電力を受信機33の各部に供給する。
【0053】
制御部33jは、受信機33の各部を制御する制御手段であり、例えば、記憶部33hに記憶されたプログラムを実行するCPUによって構成されている。この制御部33jは、後述する登録処理を実行する登録処理手段、後述する定期通報処理を実行する定期通報処理手段、後述する障害物検知処理(降下停止処理を含む)及び降下再開処理を実行する障害物検知処理手段として機能するものであり、各種の時間を計時する計時手段としての図示しない内部タイマを備える。
【0054】
(処理)
次に、上記のように構成されたシャッター障害物検知システム30において実行される処理について説明する。この処理は、登録処理、定期通報処理、障害物検知処理、降下再開処理、及びテスト処理に大別される。以下、これら各処理に共通の処理について説明した後、各処理について順次説明する。なお、以下では、「ステップ」を「S」と略記する。
【0055】
最初に、各処理に共通の処理である「キャリアセンス」について説明する。
送信機32は、429MHzにより第1送信部32eを介して信号を送信する際、キャリアセンスを行うことにより、送信に使用できる空きチャンネルを特定して、電波の衝突を防止する。
具体的には、429MHzの40チャンネルを候補チャンネルとし、この候補チャンネルの中から、1つのチャンネルを選択する。そして、第1送信部32eを一旦受信手段として設定し、当該選択したチャンネルの受信信号強度を測定し、当該測定した信号強度が所定閾値以上であるか否かを判定することで、当該選択したチャンネルが空きチャンネルであるか否かを判定する。そして、空きチャンネルでない場合には、候補チャンネルから他の1つのチャンネルを選択し、同様に空きチャンネルの判定を行う。以降同様に、候補チャンネルの各チャンネルに対して判定を順次行い、最初に空きチャンネルであると判定されたチャンネルを、送信に使用できる空きチャンネルとして特定して、キャリアセンスを終了する。
なお、候補チャンネルは、40チャンネルの中から限定してもよく、例えば、送信機32と受信機33の組み合わせ毎(例えば、記憶部32hに予め記憶された自己の送信機IDと、登録処理で記憶部32hに記憶された通信相手の受信機IDとの組み合わせ毎)に予め設定されたチャンネルを候補チャンネルに設定したり、所定数(例えば、3〜6つ程度)のチャンネルを候補チャンネルに設定してもよい。
このキャリアセンスの直後には、特定した空きチャンネルを介して送信機32から受信機33に接続要求信号を送信し、この接続要求信号を受信した受信機33から送信機32に接続応答信号を送信することで、これら送信機32と受信機33の通信が確立される。
【0056】
次に、各処理に共通の処理である「チャンネルスキャン」について説明する。
受信機33は、429MHzにより第2受信部33eを介して信号を受信するため、チャンネルスキャンを行うことにより、送信機32が429MHzでの信号の送信に使用したチャンネルを特定し、当該チャンネルにおいて送信機32から送信された信号を受信することを試みる。
具体的には、送信機32のキャリアセンスと同様に設定された候補チャンネルの中から、1つのチャンネルを選択する。そして、当該選択したチャンネルによって所定時間以内に第2受信部33eを介して信号を受信できるか否かを監視し、信号を受信できた場合には、当該信号に含まれている送信機IDが、後述する登録処理で自己の記憶部33hに記憶された送信機IDに合致するか否かを判定する。そして、所定時間以内に信号を受信できなかった場合や、受信できた場合であっても送信機IDが合致しない場合には、候補チャンネルから他の1つのチャンネルを選択し、同様に信号受信の有無と送信機IDの合致の判定を行う。以降同様に、候補チャンネルの各チャンネルに対して順次判定を行い、合致する送信機IDが含まれると判定されたチャンネルを、送信機32が信号送信に使用したチャンネルとして特定し、チャンネルスキャンを終了する。なお、登録処理を行う前のチャンネルスキャンでは、送信機IDの合致判定は省略する。
以下の説明では、特記する場合を除き、受信機33は、このチャンネルスキャンを常時繰り返しているものとする。
【0057】
次に、各処理に共通の処理である「間欠受信」について説明する。
送信機32は、所定の間欠受信タイミング(例えば、数秒毎)が到来したか否かを監視し、到来した場合には、所定時間(例えば、数ms)だけ第1受信部32fに電力を供給することで、当該所定時間だけ第1受信部32fを介して315MHzで受信を行う。このように間欠受信を行うのは、信号受信に要する電池電力の消費量を低減するためである。
また、詳細は後述するが、数秒毎の間欠受信中に所定の条件が成立したら、間欠受信の間隔を短くして受信処理を行う。つまり、送信機32に設けた振動センサ32aからの出力がオンした場合は、シャッターカーテン12が降下中であり、受信機33から送信器32へ信号を送信している可能性が高く、送信器32は間欠受信の間隔を通常よりも短くする。
なお、通常時には受信を完全に停止し、振動センサ32aからの出力がオンになった時点で間欠受信を開始するようにしてもよいが、シャッターカーテン12が円滑に降下した場合にその振動を振動センサ32aで検知できない可能性や、振動センサ32aの機能に障害が発生する可能性もあるため、振動センサ32aからの出力に関わらず間欠受信を行うことで、障害物検知の信頼性を一層向上させている。
以下の説明では、特記する場合を除き、送信機32は、この間欠受信を常時繰り返しているものとする。
【0058】
(処理−登録処理)
次に、登録処理について説明する。
図4は、登録処理のフローチャートである。この登録処理は、受信機33に対して、通信相手となる送信機32の送信機IDを登録する処理であり、これら送信機32と受信機33の電源が投入されることによって起動される。
【0059】
まず、受信機33の制御部33jは、受信機33の登録スイッチ33dがユーザによって所定方法で操作されたか否か(例えば、所定時間連続して押圧されたか否か)を監視しており(SA1)、操作された場合には(SA1、Yes)、送信機32から送信される送信機IDの受信待ち状態となる(SA2)。
【0060】
一方、送信機32の制御部32jは、送信機32の登録スイッチ32dがユーザによって所定方法で操作されたか否か(例えば、所定時間連続して押圧されたか否か)を監視しており(SA3)、操作された場合には(SA3、Yes)、第1送信部32eを介して429MHzにおけるキャリアセンスを行うことにより、送信に使用できる空きチャンネルを特定する(SA4、SA5)。そして、制御部32jは、空きチャンネルを特定できた場合(SA5、Yes)、この空きチャンネルによって、記憶部32hに予め記憶されている送信機IDを含む信号を、第1送信部32eを介して429MHzで送信する(SA6)。
【0061】
一方、受信機33の制御部33jは、SA2における送信機IDの受信待ち状態において、チャンネルスキャンを行うことにより、送信機32が429MHzでの信号の送信に使用したチャンネルを特定し、当該チャンネルにおいて送信機32から送信された信号を受信することを試みる(SA2)。そして、制御部33jは、送信機IDを含む信号が受信できた場合(SA2、Yes)、当該信号に含まれる送信機IDを、通信相手となる送信機32の送信機IDとして記憶部33hに記憶する(SA7)。これにて登録処理が終了する。
【0062】
なお、ここでは、送信機32と受信機33は1対1で通信を行うものとし、既に受信機33の記憶部33hに通信相手の送信機IDが記憶されている状態で登録処理が行われた場合には、新しく受信された送信機IDによって、記憶部33hの送信機IDが上書きされるものとする。ただし、1対多で通信を行う場合には、記憶部33hに複数の送信機IDを登録するようにしてもよい。また、登録処理は、登録スイッチ32dがユーザによって押圧された後の所定時間(例えば1分間)のみ有効であり、この時間内に通信相手の送信機IDが受信できなかった場合には、登録処理を終了するようにしてもよい。また、上記送信機IDの登録と同様の処理によって、受信機IDを送信機32に登録してもよい。すなわち、受信機IDを受信機33から送信機32に送信し、送信機32の記憶部32hに受信機IDを記憶させてもよい。この場合、その後に、送信機32が受信機33から315MHzで送信された信号を間欠受信した場合には、送信機32は、当該信号に含まれる受信機IDが自己の記憶部33hに記憶された受信機IDに合致するか否かを判定し、合致する場合にのみ、当該信号を有効な信号として受け付けるようにしてもよい。
【0063】
(処理−定期通報処理)
次に、定期通報処理について説明する。
図5は、定期通報処理のフローチャートである。この処理は、送信機32の機能の正常性や座板スイッチ31の出力状態に関する情報を、受信機33に定期的に送信する処理であり、登録処理後に自動的に繰り返し起動される。
【0064】
まず、受信機33の制御部33jは、所定の定期通報タイミング(例えば、数日毎)が到来したか否かを監視し(SB1)、到来した場合には(SB1、Yes)、定期通報要求信号を生成して第2送信部33fを介して315MHzで送信する(SB2)。この定期通報要求信号は、定期通報を要求する旨のデータを含む信号であり、所定のフォーマットで生成される。
【0065】
一方、送信機32の制御部32jは、受信機33からの定期通報要求信号を間欠受信により受信した場合(SB3、Yes)、キャリアセンスを行って空きチャンネルを特定し(SB4、SB5)、定期通報信号を生成して第1送信部32eを介して空きチャンネルにより429MHzで送信する(SB6)。この定期通報信号(障害物検知状態信号)は、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオフ出力と座板スイッチオン出力のいずれであるのかを示すデータ、テストスイッチからの出力テストスイッチオフ出力とテストスイッチオン出力のいずれであるのかを示すデータ、電池消耗の有無を示すデータ、記憶部32hに記憶されたシャッターカーテン12の累積開閉回数オーバーの有無を示すデータ、及び記憶部32hに設定された送信機IDを含む信号であり、所定のフォーマットで生成される。
【0066】
この際の電池消耗の有無の判定は、例えば、以下のように行われる。すなわち、制御部32jは、公知の方法で取得した電池の電圧を所定閾値と比較し、電圧が所定閾値以上であれば電池消耗がないと判定し、電圧が所定閾値未満であれば電池消耗があると判定する。あるいは、制御部32jは、送信機32に対して電池が接続されてからの経過時間(より具体的には、電池の電力が送信機32の各部に供給されてからの経過時間)を継続的に計測し、この経過時間を所定時間(例えば、数年間)と比較し、経過時間が所定時間未満であれば電池消耗がないと判定し、経過時間が所定時間以上であれば電池消耗があると判定する。また、電池消耗があると判定された場合、制御部32jは、表示部32cを点灯又は点滅させることで、電池消耗の旨を外部に報知する。
【0067】
また、この際の累積開閉回数オーバーの有無の判定は、例えば、以下のように行われる。すなわち、後述する障害物検知処理において、送信機32が起動オン信号を受信する毎に、あるいは、振動センサ32aが振動検知信号を出力する毎に、制御部32jが、シャッターカーテン12の累積開閉回数を一つ増分させて記憶部32hに記憶させる。そして、本処理において、制御部32jが、このように記憶部32hに記憶させた累積開閉回数を所定回数と比較し、累積開閉回数が所定回数未満であれば累積開閉回数オーバーではないと判定し、累積開閉回数が所定回数以上であれば累積開閉回数オーバーであると判定する。また、累積開閉回数オーバーであると判定された場合、制御部32jは、表示部32cを点灯又は点滅させることで、電池消耗の旨を外部に報知する。ただし、このように累積開閉回数オーバーの判定を行う目的は、電池消耗の有無の予測のためであるため、上述した電池消耗の有無の判定と累積開閉回数オーバーの判定のいずれか一方を省略してもよい。
【0068】
次いで、受信機33の制御部33jは、SB2の後、所定時間以内に、送信機32のキャリアセンスに伴う通信確立を行うことができたか否かを監視し(SB7)、通信確立を行うことができなかった場合には(SB7、No)、通信障害信号を連動中継器16に出力して(SB8)、定期通報処理を終了する。通信障害信号を受けた連動中継器16は、通信障害を示す所定の表示灯を点灯又は点滅させたり、所定の外部機器に対して通信障害信号を出力すること等により、通信障害の発生を外部に報知する。一方、所定時間以内に通信確立を行うことができた場合(SB7、Yes)、制御部33jは、確立した通信によって、第2受信部33eを介して429MHzで定期通報信号を受信し(SB9、Yes)、当該定期通報信号の内容に応じた処理を行う(SB10)。例えば、制御部33jは、出力部33bの内部の抵抗値を切り替えることで、座板スイッチオフ信号又は座板スイッチオン信号、電池消耗信号、開閉回数オーバー信号を、連動中継器16に対して出力する。
【0069】
この際、制御部33jは、座板スイッチオフ信号と座板スイッチオン信号に変化があった場合(座板スイッチオフ信号が座板スイッチオン信号に切り替わった場合、あるいは、座板スイッチオン信号が座板スイッチオフ信号に切り替わった場合であり、本実施の形態では、後述する障害物検知処理で降下停止処理や降下再開処理が起動された場合)には、他の信号に優先して、座板スイッチオフ信号又は座板スイッチオン信号を出力する。一方、所定時間(例えば、数100秒)の間に座板スイッチオフ信号と座板スイッチオン信号に変化がなかった場合には、座板スイッチオフ信号又は座板スイッチオン信号以外の信号を出力する。ここで、出力すべき信号が複数存在する場合には、所定の優先順位に基づいて、最も優先順位の高い信号(例えば、電池消耗信号)のみを出力したり、優先順位の高い順に各信号を所定間隔で順次切り替えて出力する。この出力を受けた連動中継器16は、必要に応じて、異常を示す所定の表示灯を点灯又は点滅させたり、所定の外部機器に対して異常信号を出力すること等により、これらの状態の発生を外部に報知する。
【0070】
(処理−障害物検知処理)
次に、障害物検知処理(危害防止処理)について説明する。
図6、7は、障害物検知処理のフローチャートである。この処理は、定期通報処理が行われている間に、必要時にシャッターカーテン12を降下させるための処理であり、定期通報処理に対する割り込み処理として起動される。
【0071】
火災報知システム20の火災感知器21により火災が感知された場合、この火災感知器21が防災盤22に火災感知信号を出力し、防災盤22が連動中継器16に移報信号を出力し、連動中継器16が自動閉鎖装置14に起動信号を出力し、自動閉鎖装置14が開閉機13のブレーキを解除して、シャッターカーテン12の自重降下を開始させる。あるいは、手動閉鎖装置15の非常閉鎖ボタンがユーザによって押圧された場合にも、同様に、連動中継器16が自動閉鎖装置14に起動信号を出力し、自動閉鎖装置14が開閉機13のブレーキを解除して、シャッターカーテン12の自重降下を開始させる。また、このように自重降下を開始させた場合、連動中継器16は、受信機33に起動オン信号を出力することで、シャッターカーテン12の自重降下を起動させた旨を報知する。
図6に示すように、この起動オン信号が受信機33の入力部33aを介して受け付けられた場合(SC1、Yes)、受信機33の制御部33jは、シャッターカーテンの閉鎖動作が起動されたものと特定し、起動オン信号を第2送信部33fを介して315MHzで送信する(SC2)。
【0072】
一方、シャッターカーテン12が自重降下を開始すると、この自重降下に伴って発生するシャッターカーテン12の振動を検知した振動センサ32aが、振動検知信号を出力する。この振動検知信号が出力された場合(SC3、Yes)、送信機32の制御部32jは、当該出力された時から所定時間(例えば、1s)が経過しても振動検知信号が出力されているか否かを監視し(SC4)、出力されていない場合には(SC4、No)、地震や風等に起因するシャッターカーテン12の一時的な振動が検知されたものとして、SC3に戻る。一方、出力されている場合には(SC4、Yes)、降下に起因するシャッターカーテン12の継続的な振動が検知されたものとして、通常時に所定間隔で行う間欠受信の時期が到来したか否かに関わらず、315MHzにおける割り込み受信を第1受信部32fを介して行う(SC5)。振動センサ32aの振動検知が連動中継器16からの起動信号出力に基づくシャッターカーテン12の降下制御であれば、受信機33から起動オン信号が送信されているはずなので、受信機33から送信された起動オン信号を迅速に受信することを試みる(SC6)。そして、起動オン信号が所定時間以内に受信できなかった場合(SC6、No)、制御部32jは、振動センサ32aにて検知された振動はシャッターカーテン12の降下に起因するものではないとし、SC3に戻る。一方、起動オン信号が所定時間以内に受信できた場合(SC6、Yes)、制御部32jは、シャッターカーテン12の閉鎖動作が起動されたものと特定し、シャッターカーテン12の累積開閉回数を一つ増分させて記憶部32hに記憶させた後、送信機から送信機側の状態情報を受信機側へ送信するため、429MHzにおいてキャリアセンスを行うことで、送信に使用する空きチャンネルを特定する(SC7、SC8)。
【0073】
次いで、制御部32jは、送信機情報信号(障害物検知状態信号)を生成し、この送信機情報信号を、429MHzにおける空きチャンネルにて第1送信部32eを介して所定時間連続送信する(SC9)。この送信機情報信号は、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオフ出力と座板スイッチオン出力のいずれであるのかを示すデータ、テストスイッチからの出力テストスイッチオフ出力とテストスイッチオン出力のいずれであるのかを示すデータ、電池消耗の有無を示すデータ、記憶部32hに記憶されたシャッターカーテン12の累積開閉回数オーバーの有無を示すデータ、及び記憶部32hに設定された送信機IDを含む信号であり、所定のフォーマットで生成され、所定フォーマットの送信機情報信号を繰り返し連続送信する。この際、連続送信を行うのは、信号送信の休止や停波に時間を要することを回避し、座板スイッチ31の状態を極力早期に受信機33に送信することで、障害物検知時のシャッターカーテン12の降下を必要時に極力早期に停止させるためである。なお、SC9の送信機32が送信する送信機情報信号は、
図5のSB6と同じデータを送っても良いが、本実施の形態においては、後述するように、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオフ出力であることは送信機情報信号を連続送信することにより受信機33に伝達し、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオン出力であることは送信機情報信号の連続送信を停止することにより受信機33に伝達することができるので、これら座板スイッチオフ出力や座板スイッチオン出力の送信は省略してもよく、送信機ID等のように障害物検知処理に必要な情報のみ送るようにしてもよい。また、制御部32jは、この連続送信を行う所定時間の経過を管理するため、SC9と同時又はその直後に、制御部32jの内部タイマによる送信時間の計時を開始することで、
図7に示すように、計時された時間が所定時間以上になったか否かを監視し(SC14)、所定時間以上になった場合には(SC14、Yes)、送信機情報信号の連続送信を停止し(SC15)、受信機33と確立していた通信を遮断して、間欠受信に復帰する。このSC13の所定時間とは、全開状態のシャッターカーテン12が自重降下してから全閉するまでの時間よりも長い任意の時間が設定してあり、全閉時に座板スイッチ31が何らかの理由により座板スイッチオン出力できなかった場合に、送信機32から継続して送信することによる電池電源を無駄に消耗することを防止する処理である。
【0074】
このように管理される連続送信の所定時間の間、制御部32jは、座板スイッチ31からのその時点毎の出力に対応するデータを含んだ送信機情報信号を逐次生成して送信する。そして、この連続送信の所定時間の間に、シャッターカーテン12が障害物に当たった場合、もしくはシャッターカーテン12が全閉になった場合に、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオン出力になった場合には(SC13、Yes)、送信機情報信号の連続送信を停止した上で(SC16)、シャッターカーテン12の降下を停止させるために降下停止処理を起動する(SC17)。このように送信機情報信号の連続送信を停止するのは、以下の理由による。すなわち、座板スイッチオン出力になったことを送信機32から受信機33に伝達するためには、送信機情報信号の連続送信を継続しつつ、この送信機情報信号に含まれるデータの中で、座板スイッチオフ出力を示すデータを座板スイッチオン出力を示すデータに代えることも考えられる。しかしながら、このように連続送信を継続する場合には、その分だけ送信機32の電池消耗が促進されてしまい好ましくない。そこで、本実施の形態では、連続送信を停止することで、座板スイッチオン出力になったことを伝達する。なお、降下停止処理の詳細については後述する。また、制御部32jは、このように座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオン出力になった場合には、表示部32cを点灯又は点滅させることで、座板スイッチ31の出力がオンである旨を外部に報知する。
【0075】
一方、受信機33の制御部33jは、
図6に示すように、SC2における起動オン信号の送信と同時又はその直後に、通信確立時間を計測するために制御部32jの内部タイマによる計時をスタートし、計測された時間が所定時間以上になる前に送信機32との通信が確立できるか否かを監視する(SC10)。そして、所定時間以上になっても通信が確立できなかった場合には(SC10、No)、通信障害を出力する(SC11)。通信障害の処理としては、受信機33や連動中継器16や防災盤22など所定の外部機器に対して通信障害信号を出力すること等により、通信障害の発生を外部に報知する。一方、所定時間以上になる前に、送信機32のSC7におけるキャリアセンスに伴って通信が確立できた場合には、429MHzにおける送信機32からの送信機情報信号を第2受信部33eを介して継続して受信する(SC12)。
【0076】
また、制御部33jは、SC12における送信機情報信号の受信と同時又はその直後に、受信時間を計測するために制御部32jの内部タイマによる計時をスタートすることにより、
図7に示すように、計測された時間が所定時間以上になったか否かを監視し(SC19)、所定時間以上になった場合には(SC19、Yes)、送信機情報信号の受信を停止し(SC20)、送信機32と確立していた通信を遮断して、チャンネルスキャンに復帰する。
【0077】
このように管理される受信の所定時間の間、制御部33jは、送信機情報信号が受信できているか否かを監視し、送信機情報信号が受信できなくなった場合には(SC18、Yes)、シャッターカーテン12の降下を停止させるための降下停止処理を起動する(SC17)。この降下停止処理の詳細については後述する。この降下停止処理の起動は、シャッターカーテン12の降下を迅速に停止させる観点からは、送信機情報信号が受信できなくなった場合には直ちに行うことが好ましい。しかしながら、送信機情報信号の送信が実際には継続されているにも関わらず、電波干渉等により送信機情報信号が一時的に受信できなくなる可能性もあるため、所定時間(例えば50msec)連続して送信機情報信号が受信できなかった場合にのみ、降下停止処理を起動するようにしてもよい。
【0078】
また、
図6のSC9から
図7のSC14までの連続送信を行っている間において、何らかの理由により、送信機情報信号の送受信を停止する必要が生じた場合、連動中継器16からの出力を受けた受信機33の制御部33jは、連続送信の停止を指示するための連続送信停止指示信号を第2送信部33fを介して315MHzで送信し、SC20に移行して受信を停止する。一方、送信機32の制御部32jは、連続送信停止指示信号を第1受信部32fを介して315MHzで受信した場合、SC14の所定時間が経過する前であっても、SC15に移行して連続送信を停止する。
【0079】
なお、この自重降下処理においては、座板スイッチオン出力になったことを、送信機情報信号の連続送信を停止することで送信機32から受信機33に伝達しているため、SC16のように座板スイッチオン出力に基づいて連続送信を停止した場合のみならず、SC15のように座板スイッチオン出力以外の条件に基づいて連続送信を停止した場合においても、受信機33においては、座板スイッチオン出力になったものと認識してしまう可能性がある。しかしながら、
図7の処理では、SC19において所定時間が経過したものと判定された場合に、SC20で送信機情報信号の受信を停止しているので、このSC19における所定時間の経過判定がSC14における所定時間の経過判定と同時又は早く行われるように、これら所定時間を設定しておくことで、座板スイッチオン出力の有無を受信機33において正しく認識することが可能になる(後述する
図10の降下再開処理におけるSE11の連続送信停止とSE12の連続送信停止に関しても、SE10の所定時間とSE15の所定時間を同様に設定しておくことで、座板スイッチオン出力の有無を受信機33において正しく認識することが可能になる)。
【0080】
(処理−障害物検知処理−降下停止処理)
次に、SC17の降下停止処理の詳細について説明する。
図8は、降下停止処理のフローチャートである。この処理は、シャッターカーテン12の降下を停止させるための処理である。
【0081】
まず、送信機32からの送信機情報信号が受信できなくなった受信機33の制御部33jは、出力部33bの内部の抵抗値を切り替えることで、連動中継器16に座板スイッチオン信号を出力する(SD1)。ここでは、上述のように、座板スイッチオン信号を他の信号に優先して出力する。この座板スイッチオン信号を受けた連動中継器16は、下限リミットスイッチの検出状態と、公知の方法で特定したシャッター装置10における停電の有無とに基づいて、シャッターカーテン12の自重降下を制御する。具体的には、シャッターカーテン12の下端が下限位置より上方側に位置していることが下限リミットスイッチにより検出されている場合であって、シャッター装置10が停電していない場合には、自動閉鎖装置14に制御信号を出力し、自動閉鎖装置14が開閉機13のブレーキを作動させてシャッターカーテン12の自重降下を一旦停止させ、開閉機13を駆動して所定時間だけ上昇させたのち停止する動作(タッチアップ動作)を行う。この場合、連動中継器16は、受信機33に対する起動オン信号の出力を継続する。あるいは、シャッターカーテン12の下端が下限位置より上方側に位置していることが下限リミットスイッチにより検出されている場合であって、シャッター装置10が停電している場合には、自動閉鎖装置14に制御信号を出力し、自動閉鎖装置14が開閉機13のブレーキを作動させてシャッターカーテン12の自重降下を一旦停止させる動作(タッチストップ動作)を行う。この場合にも、連動中継器16は、受信機33に対する起動オン信号の出力を継続する。一方、シャッターカーテン12の下端が下限位置より下方側に位置していることが下限リミットスイッチにより検出されている場合には、シャッター装置10が停電しているか否かに関わらず、シャッターカーテン12の下端が下限位置を通過した後の所定時間経過後に、自動閉鎖装置14に制御信号を出力し、自動閉鎖装置14が開閉機13のブレーキを作動させてシャッターカーテン12の自重降下を停止させる動作(完全停止動作)を行う。この際の所定時間は、座板スイッチ31が床面に接して座板スイッチオンとなる位置よりも、さらに下方でシャッターカーテン12を停止させるように設定される。このような所定時間経過後の停止を行うのは、床面が斜めになっている場合であっても、座板と床面の間に隙間が出来ないようにするためである。このように完全停止動作を行った場合には、連動中継器16は、受信機33に起動オフ信号を出力する。
【0082】
受信機33の制御部33jは、連動中継器16からの起動オフ信号の出力を監視する(SD2)。そして、連動中継器16からの起動オフ信号を受けた場合には(SD2、Yes)、起動オフ信号を315MHzで第2送信部33fを介して送信した後(SD3)、降下停止処理を終了して、
図6、7の障害物検知処理を終了する。
【0083】
また、送信機32の制御部32jは、受信機33からの起動オフ信号の受信の有無を監視する(SD5)。そして、受信機33からの起動オフ信号を受信した場合には(SD5、Yes)、降下停止処理を終了して、
図6、7の障害物検知処理を終了する。このようにSD5における起動オフ信号の受信の監視を行っている間に、送信機32の制御部32jは、座板スイッチ31からの出力を継続して監視する(SD4)。そして、シャッターカーテン12に挟まった人が避難したり、シャッターカーテン12に当たっていた障害物が取り除かれたり等することで、座板スイッチ31によって障害物が検知されなくなり、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオフ出力になった場合には(SD4、Yes)、シャッターカーテン12の降下を再開させるために降下再開処理を起動する(SD6)。
【0084】
(処理−障害物検知処理−降下再開処理)
次に、降下再開処理について説明する。
図9、10は、降下再開処理のフローチャートである。この処理は、降下停止処理によって停止されたシャッターカーテン12の降下を再開させるための処理であり、降下停止処理においてシャッターカーテン12の降下を停止させた後、座板スイッチ31の出力に基づいて自動的に起動される。ただし、この降下再開処理は、タッチアップ動作の後又はタッチストップ動作の後のみに行い、完全停止動作の後には行わない。
【0085】
まず、送信機32の制御部32jは、キャリアセンス(SE1)及び空きチャンネルの特定(SE2)を行った後、送信機情報信号(座板スイッチオフ出力)を生成し、この送信機情報信号を、429MHzにおける空きチャンネルにて第1送信部32eを介して連続送信する(SE3)。この送信機情報信号は、
図6のSC9と同様に生成される。
【0086】
一方、受信機33の制御部33jは、送信機32から送信機情報信号を第2受信部33eを介して再び受信した場合には(SE4)、出力部33bの内部の抵抗値を切り替えることで、連動中継器16に障害物が除去された旨の座板スイッチオフ信号を出力する(SE5)。この座板スイッチオフ信号を受けた連動中継器16は、挟まった人がシャッターカーテン12から確実に避難できる所定時間(例えば10秒間)が経過したのちに、自動閉鎖装置14に制御信号を出力し、自動閉鎖装置14が開閉機13のブレーキを解除してシャッターカーテン12の自重降下を再開させる。また同時に、連動中継器16は、受信機33に起動オン信号を出力することで、シャッターカーテン12の自重降下を再開させた旨を報知する。この起動オン信号を入力部33aを介して受け付けた場合(SE6、Yes)、受信機33の制御部33jは、
図10に示すように、起動オン信号を第2送信部33fを介して315MHzで送信し(SE7)、この起動オン信号が送信機32によって受信される(SE8)。なお、
図10ではSE7とSE8を便宜上図示の位置に示しているが、実際には、上述のように、連動中継器16は自動降下時においては完全停止になるまで起動オン信号を受信機33に継続的に出力し、受信機33は一旦起動オン信号を送信機32に送信した後は、連動中継器16から起動オフ信号を受信するまでは、信号を送信しない。従って、SE7とSE8は、
図10における他の位置に記載してもよく、あるいは図示を省略してもよい。
【0087】
一方、送信機32の制御部32jは、
図9のSE3で送信機情報信号の連続送信を再開した後、この連続送信を行う所定時間の経過を管理するため、SE3と同時又はその直後に、制御部32jの内部タイマによる送信時間の計時を開始することによって、
図10に示すように、計時された時間が所定時間以上になったか否かを監視する(SE10)。そして、所定時間以上になった場合には(SE10、Yes)、
図7のSC15と同様に連続送信を停止し(SE11)、受信機33と確立していた通信を遮断して、間欠受信に復帰する。
【0088】
このように管理される連続送信の所定時間の間、制御部32jは、座板スイッチ31からのその時点毎の出力に対応するデータを含んだ送信機情報信号を生成して送信する。そして、この連続送信の所定時間の間に、座板スイッチ31からの出力が再び座板スイッチオン出力になった場合には(SE9、Yes)、送信機情報信号の連続送信を再び停止し(SE12)、シャッターカーテン12の降下を停止させるために
図8の降下停止処理を再び起動する(SE13)。以降、これまで説明したのと同様に、降下停止処理と降下再開処理が、座板スイッチ31の出力に応じて繰り返される。
【0089】
一方、受信機33の制御部33jは、
図9のSE4で送信機情報信号を受信した後、429MHzの受信時間を計測するために制御部32jの内部タイマによる計時をスタートすることにより、
図10に示すように、計測された時間が所定時間以上になったか否かを監視する(SE15)。そして、所定時間以上になった場合には(SE15、Yes)、受信を停止し(SE16)、送信機32と確立していた通信を遮断して、チャンネルスキャンに復帰する。
【0090】
このように管理される受信の所定時間の間、制御部33jは、送信機情報信号が受信できているか否かを監視し、送信機情報信号が受信できなくなった場合には(SE14、Yes)、シャッターカーテン12の降下を停止させるため、
図8の降下停止処理を再び起動する(SE13)。以降、これまで説明したのと同様に、降下停止処理と降下再開処理が、座板スイッチ31の出力に応じて繰り返される。
【0091】
なお、以上の障害物検知処理の説明では、シャッターカーテン12を自重降下させる際の処理について説明したが、シャッターカーテン12を電動降下させる場合にも、以下の点を除いて、障害物検知処理が同様に行われる。すなわち、電動降下の場合、ユーザが手動閉鎖装置15を操作することで、連動中継器16が開閉機13に起動信号を出力し、開閉機13が、ブレーキを解除した状態で巻き取り軸を巻き出し方向に駆動することにより、シャッターカーテン12を電動下降させる。また、座板スイッチ31からの出力が座板スイッチオン出力になった場合、連動中継器16は、下限リミットスイッチの検出状態に基づいて、シャッターカーテン12を制御する。具体的には、シャッターカーテン12の下端が下限位置より上方側に位置していることが下限リミットスイッチにより検出されている場合には、シャッターカーテン12の下端が障害物に接触した可能性があるため、シャッターカーテン12の降下を一旦停止し、その後、受信機33からの座板スイッチオン信号を受けた連動中継器16が開閉機13に起動信号を出力し、開閉機13が、ブレーキを解除した状態で巻き取り軸を所定量だけ巻き取り方向に駆動して停止する動作(タッチアップ動作)を行うことにより、シャッターカーテン12を所定量だけ上昇させて、障害物への危害を一層確実に防止する。このように電動降下を停止させた場合には、その後に座板スイッチオフ信号が出力された場合であってもシャッターカーテン12の降下を自動的に再開するようなことは行わないので、連動中継器16は、受信機33に起動オフ信号を出力する。一方、シャッターカーテン12の下端が下限位置より下方側に位置していることが下限リミットスイッチにより検出されている場合には、連動中継器16は、開閉機13に制御信号を出力し、開閉機13のブレーキを作動させてシャッターカーテン12の電動降下を停止させる動作(完全停止動作)を行う。このように完全停止動作を行った場合にも、連動中継器16は、受信機33に起動オフ信号を出力する。起動オフ信号を受けた受信機33の制御部33jは、起動オフ信号を315MHzで第2送信部33fを介して送信し、送信機32の制御部32jは、起動オフ信号を受信した場合には、直ちに連続送信を停止して電池消耗を抑え、受信機33と確立していた通信を遮断する。
ただし、電動降下の場合においても、上述したような座板スイッチオフ出力を受けてから所定時間後にシャッターカーテン12を再び下降制御させてもよい。
【0092】
(処理−テスト処理)
次に、テスト処理について説明する。この処理は、送信機32と受信機33の機能の正常性に関するテストを行うための処理であり、ユーザの操作により任意のタイミングで起動される。まず、送信機32の制御部32jは、送信機32の登録スイッチ32dがユーザによって所定方法で操作されたか否か(例えば、登録処理における登録スイッチ32dの押圧時間とは異なる所定時間だけ連続して押圧されたか否か)を監視しており、操作された場合には、
図7のSC13−Yesの場合と同様に、座板スイッチオン出力を示すデータを含んだ送信機情報信号を生成し、この送信機情報信号を、429MHzにおける空きチャンネルにて第1送信部32eを介して所定時間だけ連続送信する。このことにより、
図8の降下停止処理が行われることとなり、施工時や定期点検時にこの降下停止処理が正常に実行されるか否かを監視することで、送信機32と受信機33の機能の正常性に関するテストを行うことができる。
【0093】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0094】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、障害検知機能を従来と同様の期間しか維持できない場合であっても、障害検知機能を従来とは異なる手段によって達成できている場合には、本願の課題が解決されている。
【0095】
(障害物検知結果の利用について)
上記実施の形態では、シャッター障害物検知システム30による検知結果に基づいて、シャッターの降下制御を行っているが、この検知結果は他の目的で利用してもよい。例えば、シャッター装置がセキュリティゾーンへの人の侵入を防止するためのものであり、軽量シャッター装置であるために障害物に対して危害を与える可能性が低い場合には、シャッター障害物検知システム30により障害物が検知されてもシャッターカーテンの降下停止は行わず、セキュリティシステムへの移報出力のみを行ってもよい。
【0096】
(障害物検知状態信号の送信形態について)
上記実施の形態では、送信機32が障害物検知状態信号を連続送信するものとして説明したが、シャッターの降下停止を所望の時間以内に行うことができる場合には、連続送信に代えて、間欠送信等の他の方式による送信を行ってもよい。例えば、間欠送信を行う場合、受信機33は、障害物検知状態信号が間欠送信間隔以上連続して受信できない場合に、連動中継器16に座板スイッチオン信号を出力するようにしてもよい。ただし、障害物検知状態を迅速に伝達するためには、連続送信を行うことが好ましい。
【0097】
(周波数帯域の選択について)
第1周波数帯域と第2周波数帯域については、上記実施の形態で例示した周波数帯域以外の周波数帯域を選択してもよい。例えば、送信機32から受信機33へ障害物検知状態信号を送信する際、連続送信を行うことが必要でない場合には、連続送信を行うことができない周波数帯域(一定時間送信を行った後、一定時間の休止が義務付けられている周波数帯域)を第1周波数帯域として選択してもよい。また、シャッター装置10が単独でのみ設置される場合のように、複数のシャッター装置10の各々に設けられたシャッター障害物検知システム30の信号が相互に混信するような可能性がない場合には、受信機33から送信機32への信号送信時のキャリアセンスを省略するものとし、第1周波数帯域としてキャリアセンスが義務付けられていない周波数帯域を選択してもよい。また、上記実施の形態では、第1周波数帯域と第2周波数帯域を相互に異なる周波数としているが、これらを相互に同一の周波数としてもよい。
【0098】
(受信部及び送信部と、周波数帯域の数について)
上記実施の形態では、送信機32に第1受信部32fと第1送信部32eを設け、受信機33に第2受信部33eと第2送信部33fを設けて、これら各受信部と各送信部を介して第1周波数帯域と第2周波数帯域を用いた通信を行うことで、2系統×2周波数帯域での通信を行っているが、2系統を超える数の通信系統を設けたり、2周波数帯域を超える数の周波数帯域を使用してもよい。例えば、受信機33から送信機32に信号を送信する系統として、障害物検知状態信号を送信する系統と、電池消耗を送信する系統を別々に専用系統として設けてもよく、これらを相互に異なる周波数帯域で送信してもよい。
【0099】
(閉鎖動作の特定について)
上記実施の形態では、第1受信部32fの受信間隔を変更する条件を、振動センサ32aから振動検知信号が出力されたこととし、第1送信部32eの連続送信を開始する条件を、制御部32jによって起動オン信号の受信が特定されたこととしているが、これら条件を相互に変更したり、一方を省略等したりしてもよい。例えば、振動センサ32aから振動検知信号が出力された場合に、第1送信部32eが連続送信を開始するようにしてもよい。すなわち、振動センサ32aからの振動検知信号の出力状態や、起動オン信号の受信状態とを、AND条件やOR条件として任意に組み合わせて、第1受信部32fの受信間隔を変更したり、第1送信部32eの連続送信を開始させてもよい。
【0100】
(送信機32の受信状態の変更について)
上記実施の形態では、振動センサ32aにて振動が検知された場合には、送信機32の第1受信部32fの受信状態を、間欠受信から割り込み受信に変更しているが、この他の方法を採用してもよい。例えば、定期通報が必要ない場合には、通常時には第1受信部32fを完全に休止させることで送信機32における電池の消費電力量を低減し、振動センサ32aにて振動が検知された場合に、第1受信部32fを起動させてもよい。あるいは、通常時には第1受信部32fを間欠受信させ、振動センサ32aにて振動が検知された場合に、第1受信部32fの間欠受信間隔を短くしてもよい。このように「間欠受信間隔を短くする」という概念には、上記実施の形態のように、第1受信部32fの受信状態を間欠受信から割り込み受信に変更することを含む。
また、上記実施の形態では、振動センサ32aからの出力が所定時間継続している場合にのみ、第1受信部32fの受信状態を変更しているが、地震や風等による振動を誤検知する可能性を考慮する必要がない場合等には、振動センサ32aからの出力があった場合には直ちに受信状態を変更してもよい。
(付記)
付記1のシャッター障害物検知システムは、開口部を開閉するシャッターカーテンに対する障害物を検知するシャッター障害物検知システムであって、前記シャッターカーテンの閉鎖動作の障害になる障害物が前記開口部に存在することを検知する障害物センサと、前記障害物センサによる障害物の検知状態を示す情報を含む障害物検知状態信号を無線にて送信する第1通信手段と、前記障害物検知状態信号を無線にて受信する第2通信手段と、前記第2通信手段にて受信された前記障害物検知状態信号に基づいて前記シャッターカーテンの開閉制御を行う制御手段を備え、前記第1通信手段は、前記シャッターカーテンの閉鎖動作が起動されたことが所定方法で特定された場合に、前記障害物検知状態信号の送信を開始し、当該障害物検知状態信号の送信を行っている間に前記障害物センサによって障害物が検知された場合に、当該障害物検知状態信号の送信を停止し、前記制御手段は、前記シャッターカーテンの閉鎖動作が起動されたことが所定方法で特定された場合において、前記第2通信手段にて前記障害物検知状態信号が受信されている間は、前記シャッターカーテンを閉鎖する制御を行い、前記第2通信手段にて前記障害物検知状態信号が受信されなくなった場合に、前記シャッターカーテンの閉鎖を停止する制御を行う。
付記2のシャッター障害物検知システムは、付記1に記載のシャッター障害物検知システムにおいて、前記第1通信手段は、前記障害物検知状態信号の連続送信を停止した後、前記障害物センサによって障害物が検知されなくなった場合に、当該障害物検知状態信号の送信を再開し、前記制御手段は、前記シャッターカーテンの閉鎖を停止する制御を行った後、前記第2通信手段にて前記障害物検知状態信号が受信された場合に、前記シャッターカーテンを閉鎖する制御を再開する。
付記3のシャッター障害物検知システムは、付記1又は2に記載のシャッター障害物検知システムにおいて、前記第2通信手段は、前記シャッターカーテンの閉鎖動作が起動されたことが所定方法で特定された場合に、当該シャッターカーテンの閉鎖動作が起動されたことを示す起動信号を送信し、前記第1通信手段は、前記起動信号を受信した場合に、前記シャッターカーテンの閉鎖動作が起動されたものと特定する。
付記4のシャッター障害物検知システムは、付記3に記載のシャッター障害物検知システムにおいて、前記シャッターカーテンの閉鎖動作が起動されたことを、当該シャッターカーテンの機械的動作に基づいて特定する閉鎖検知手段を備え、前記第1通信手段は、前記閉鎖検知手段にて前記シャッターカーテンの閉鎖動作が起動されたことが検知される迄は、前記起動信号を間欠受信し、前記閉鎖検知手段にて前記シャッターカーテンの閉鎖動作が起動されたことが検知された場合に、前記間欠受信間隔を短くする。
(付記の効果)
付記1に記載のシャッター障害物検知システムによれば、シャッターカーテンの降下中に障害物センサによって障害物が検知されたことを、障害物検知状態信号の送信を停止することによって伝達することができる。このため、障害物検知状態信号の送信を継続したまま当該信号の内容を変えることによって伝達する場合に比べて、第2通信手段においては、障害物検知状態信号の内容を解析等することなく、障害物センサによって障害物が検知されたことを特定できるので、シャッターカーテンの降下を一層迅速に停止等することが可能になり、シャッター装置の安全性を向上させることができる。また、障害物センサによって障害物が検知されている場合には、障害物検知状態信号の送信を停止するため、障害物検知状態信号の送信を継続したまま当該信号の内容を変えることによって伝達する場合に比べて、第1通信手段において障害物検知状態信号の送信に要する電力を削減でき、電池の交換頻度を低減すること等が可能になるため、シャッター装置の安全性を向上させることができる。
付記2に記載のシャッター障害物検知システムによれば、障害物センサによって障害物が検知されなくなった場合に、障害物検知状態信号の送信を再開するので、シャッターカーテンの降下を再開することができ、防火性能や防犯性能を維持することができる。また、障害物検知状態信号の送信を再開するので、その後に障害物センサによって障害物が再度検知された場合にも、最初に障害物が検知された場合と同様の感度で障害物の検知結果を伝達でき、シャッターカーテンの降下を一層迅速に停止等することや、電池の交換頻度を低減すること等が可能になる。
付記3に記載のシャッター障害物検知システムによれば、起動信号を受信した場合に、シャッターカーテンの閉鎖動作が起動されたものと特定するので、シャッターカーテンの閉鎖動作が起動されたことを第1通信手段側で確実に特定することができるので、第1通信手段における送信動作や受信動作の開始要否を一層確実に特定することができ、シャッター装置の安全性を向上させることができる。
付記4に記載のシャッター障害物検知システムによれば、シャッターカーテンの閉鎖動作が特定される前までは、第1通信手段を休止させたり受信間隔を長くすることで当該第1通信手段の消費電力の低減を図っているような場合であっても、シャッターカーテンの閉鎖動作が特定された後には、第1通信手段の受信状態を変更することで、第2通信手段から送信された起動信号を第1通信手段において迅速に受信することができるので、シャッター装置の安全性を向上させることができる。