(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0017】
(実施の形態1)
まず、本実施の形態に係る半導体装置としてのMOSFET1の構造について説明する。
図1を参照して、MOSFET1は、炭化珪素からなる基板10と、ゲート絶縁膜20と、ゲート電極30と、層間絶縁膜40と、バッファ膜51と、ソース電極52と、ソース配線60と、ドレイン電極70とを備えている。基板10は、ベース基板11と、半導体層(導電領域)12とを含み、また半導体層12には、ドリフト領域13と、ボディ領域14と、ソース領域15と、コンタクト領域16とが形成されている。また、MOSFET1には、ゲート絶縁膜20と層間絶縁膜40とを貫通し、基板10の主表面10Aを露出させるコンタクトホール80がゲート電極30から離れて形成されている。
【0018】
ベース基板11は、たとえばN(窒素)等のn型不純物を含むことにより導電型がn型(第1導電型)となっている。ドリフト領域13は、ベース基板11の主表面11A上に形成されたエピタキシャル成長層である。ドリフト領域13は、ベース基板11と同様に、たとえばN(窒素)等のn型不純物を含むことにより導電型がn型となっており、その濃度はベース基板11よりも低くなっている。
【0019】
ボディ領域14は、基板10の主表面10Aを含み、半導体層12内に互いに分離して形成されている。ボディ領域14は、たとえばAl(アルミニウム)やB(硼素)などのp型不純物を含むことにより、導電型がp型(第2導電型)となっている。
【0020】
ソース領域15は、主表面10Aを含み、ボディ領域14に取り囲まれるように各々のボディ領域14内に形成されている。ソース領域15は、たとえばP(リン)などのn型不純物を含むことにより、ベース基板11およびドリフト領域13と同様に導電型がn型となっている。また、ソース領域15に含まれるn型不純物の濃度は、ドリフト領域13に含まれるn型不純物の濃度よりも高くなっている。
【0021】
コンタクト領域16は、ソース領域15と同様に、主表面10Aを含みつつボディ領域14に取り囲まれ、かつソース領域15に隣接するように各々のボディ領域14内に形成されている。コンタクト領域16は、ボディ領域14と同様に、たとえばAl(アルミニウム)やB(硼素)などのp型不純物を含むことにより導電型がp型となっており、その濃度は、ボディ領域14よりも高くなっている。
【0022】
ゲート絶縁膜20は、SiO
2(二酸化珪素)を含み、主表面10A上に接触しつつ、一方のソース領域15の上面から他方のソース領域15の上面にまで延在するように形成されている。
【0023】
ゲート電極30は、ゲート絶縁膜20上に接触しつつ、一方のソース領域15上から他方のソース領域15上にまで延在するように形成されている。ゲート電極30は、たとえば不純物が添加されたポリシリコンなどの導電体からなっている。
【0024】
層間絶縁膜40は、SiO
2(二酸化珪素)を含み、ゲート絶縁膜20上においてゲート電極30を取り囲むように形成されている。
【0025】
コンタクトホール80は、側壁面80Aと底面80Bとを有し、層間絶縁膜40およびゲート絶縁膜20を貫通して形成されている。また、
図1に示すように、コンタクトホール80の側壁面80Aは層間絶縁膜40およびゲート絶縁膜20により構成され、また、底面80Bはソース領域15およびコンタクト領域16の上面となっている。
【0026】
バッファ膜51は、コンタクトホール80内の側壁面80A上において底面80Bから上方に向けて延在し、さらに側壁面80Aから層間絶縁膜40の上面40A上に延在している。このとき、バッファ膜51は、側壁面80Aおよび上面40Aと接触するように形成されている。また、層間絶縁膜40上に位置するバッファ膜の端部51Aは、上面40A上に形成されている。バッファ膜51は、AlおよびSiO
2を含まない膜であって、たとえば窒化チタン(TiN)
、チタンタングステン(TiW)、窒化タンタル(TaN)などからなる膜であってもよい。
【0027】
ソース電極52は、バッファ膜51、およびコンタクトホール80を形成することにより露出した基板10の主表面10A上に接触するように形成されている。また、ソース電極52は、バッファ膜51を介して層間絶縁膜40およびゲート絶縁膜20上に形成されている。つまり、コンタクトホールの80の側壁面80A上および層間絶縁膜40の上面40A上において、ソース電極52は層間絶縁膜40およびゲート絶縁膜20と接触しない。ソース電極52の端部52Aは、バッファ膜51の端部51Aよりもコンタクトホール側に形成されている。ソース電極52は、Alを含む膜であって、たとえばTiAlSi合金からなっていてもよい。
【0028】
ドレイン電極70は、ベース基板11の主表面11Aとは反対側の主表面11B上に形成されている。ドレイン電極70は、ソース電極52と同様に、たとえばTiAlSi合金からなっており、ベース基板11に対して電気的に接続されている。
【0029】
ソース配線60は、ソース電極52および層間絶縁膜40を覆うように形成されている。ソース配線60は、たとえばAl(アルミニウム)等の金属からなっており、ソース電極52を介してソース領域15と電気的に接続されている。
【0030】
次に、本実施の形態に係る半導体装置としてのMOSFET1の動作について説明する。
図1を参照して、ゲート電極30に印加された電圧が閾値電圧未満の状態、すなわちオフ状態では、ソース電極52とドレイン電極70との間に電圧が印加されても、ボディ領域14とドリフト領域13との間に形成されるpn接合が逆バイアスとなり、非導通状態となる。一方、ゲート電極30に閾値電圧以上の電圧が印加されると、ボディ領域14に反転層が形成される。その結果、ソース領域15とドリフト領域13とが電気的に接続され、ソース電極52とドレイン電極70との間に電流が流れる。以上のようにして、MOSFET1は動作する。
【0031】
以上のように、本実施の形態に係るMOSFET1では、ソース電極52は、層間絶縁膜40およびゲート絶縁膜20を貫通するコンタクトホール80の側壁面80A上、ならびに層間絶縁膜40の上面40A上に、バッファ膜を介して形成されている。このため、ソース電極52と層間絶縁膜40とは接触しないため、ソース電極52に含まれるAlと層間絶縁膜40を構成するSiO
2との反応を抑制することができる。
【0032】
また、本実施の形態における層間絶縁膜40の上面40A上では、ソース電極52の端部52Aは、バッファ膜51の端部51Aよりもコンタクトホール80側に形成されている。このため、ソース電極52の形成後に合金化処理等の高温処理を行うことによってAlが移動する場合にも、Alがソース電極52の端部52Aから層間絶縁膜40に到達するのに必要な移動距離をバッファ膜51によって長くとることができる。その結果、ソース電極52形成後の高温処理においても、ソース電極52に含まれるAlと層間絶縁膜40のSiO
2との反応を抑制することができる。
【0033】
また、本実施の形態に係る半導体装置としてのMOSFET1において、バッファ膜51は、0.025μm以上0.15μm以下の厚みを有していてもよい。このようにすることにより、ソース電極52と層間絶縁膜40との密着性を向上させることができる。
【0034】
また、本実施の形態に係る半導体装置としてのMOSFET1において、ゲート絶縁膜20はSiO
2を含まなくてもよい。例えば、ゲート絶縁膜20は、Si
3N
4からなってもよい。
【0035】
次に、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法について、
図5を参照して説明する。本実施の形態に係る半導体装置の製造方法においては、上記本実施の形態に係る半導体装置としてのMOSFET1が製造される。
図5を参照して、まず、基板準備工程(S10)が実施される。この工程(S10)では、以下に説明する工程(S11)〜(S14)が実施されることにより、炭化珪素からなる基板10が準備される。
【0036】
まず、工程(S11)として、ベース基板準備工程が実施される。この工程(S11)では、たとえば4H−SiCからなるインゴットをスライスすることにより、導電型がn型のベース基板11が準備される。
【0037】
次に、工程(S12)として、エピタキシャル成長層形成工程が実施される。この工程(S12)では、エピタキシャル成長により、ベース基板11の主表面11A上に導電型がn型の半導体層12が形成される。
【0038】
次に、工程(S13)として、イオン注入工程が実施される。この工程(S13)では、まず、たとえばAlイオンが、基板10の主表面10Aを含む領域に注入されることにより、半導体層12内に導電型がp型のボディ領域14が形成される。次に、たとえばPイオンが、上記Alイオンの注入深さよりも浅い深さでボディ領域14内に注入されることにより、導電型がn型のソース領域15が形成される。そして、たとえばAlイオンが、ボディ領域14内にさらに注入されることにより、ソース領域15と隣接し、かつソース領域15と同等の深さを有し、導電型がp型のコンタクト領域16が形成される。また、半導体層12において、ボディ領域14、ソース領域15およびコンタクト領域16のいずれも形成されない領域は、ドリフト領域13となる。
【0039】
次に、工程(S14)として、活性化アニール工程が実施される。この工程(S14)では、基板10を加熱することにより、上記工程(S13)にて導入された不純物が活性化される。これにより、不純物が導入された領域において所望のキャリアが生成する。このようにして、上記工程(S11)〜(S14)が実施されることにより、不純物の導入により活性領域が形成された基板10が準備される。
【0040】
次に、工程(S20)として、ゲート絶縁膜形成工程が実施される。この工程(S20)では、たとえば酸素を含む雰囲気中において基板10を加熱することにより、基板10の主表面10A上を覆うようにSiO
2(二酸化珪素)からなるゲート絶縁膜20が形成される。
【0041】
次に、工程(S30)として、ゲート電極形成工程が実施される。この工程(S30)では、たとえばLPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)法により、不純物を含むポリシリコンからなるゲート電極30がゲート絶縁膜20上に形成される。
【0042】
次に、工程(S40)として、層間絶縁膜形成工程が実施される。この工程(S40)では、たとえばP(Plasma)−CVD法により、SiO
2(二酸化珪素)からなる層間絶縁膜40が、ゲート絶縁膜20とともにゲート電極30を取り囲むようにゲート絶縁膜20上に形成される。
【0043】
次に、工程(S50)として、コンタクトホール形成工程が実施される。この工程(S50)では、側壁面80Aおよび底面80Bを有し、基板10の主表面10Aを露出させるコンタクトホール80が形成される。具体的には、たとえばRIE(Reactive Ion Etching)などのエッチング方法を用いて、層間絶縁膜40およびゲート絶縁膜20を貫通するようにエッチングを進行させることにより、基板10の主表面10A(ソース領域15およびコンタクト領域16の上面)を露出させるコンタクトホール80が形成される。また、この工程(S50)では、コンタクトホール80は、ゲート電極30から離れて形成されるため、ゲート電極30がゲート絶縁膜20と層間絶縁膜40とにより取り囲まれた状態が維持される。
【0044】
次に、工程(S60)として、バッファ膜形成工程が実施される。この工程(S60)では、たとえばスパッタリングにより、バッファ膜51は、コンタクトホール80の底面80Bおよび側壁面80A、ならびに層間絶縁膜40の上面40A上に接触するように形成される。この工程(S60)では、Alを含まないバッファ膜51として、たとえばTiNからなる膜が形成されてもよい。また、バッファ膜51として、TiWからなる膜や、TaNからなる膜が形成されてもよい。また、この工程(S60)では、0.025μm以上0.15μm以下の厚みを有するバッファ膜51が形成されてもよい。
【0045】
次に、工程(S70)として、エッチング工程が実施される。この工程(S70)では、バッファ膜51が、コンタクトホール80の底面80Bから側壁面80A上を経て層間絶縁膜40の上面40A上に延在するように加工される。具体的には、バッファ膜51を残存させる領域にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして、基板10の主表面10A側よりドライエッチングを実施する。これにより、層間絶縁膜40の上面40A上およびコンタクトホール80の底面80B上に形成されたバッファ膜51の一部が除去され、バッファ膜51は底面80Bから側壁面80A上を上方に向かって層間絶縁膜40の上面40A上にまで延在するように形成される。絶縁膜40上に位置するバッファ膜51の端部51Aは、上面40A上に形成される。このとき、コンタクトホール80内において基板10の主表面10A(ソース領域15およびコンタクト領域16の上面)は再び露出される。
【0046】
次に、工程(S80)として、オーミック電極形成工程が実施される。この工程(S80)では、
図6を参照して、以下に説明する工程(S81)〜(S84)が実施され、バッファ膜51、およびコンタクトホール80を形成することにより露出した基板10の主表面10A上に接触し、Ti、AlおよびSiを含むソース電極52と、ベース基板11の主表面11B上に接触し、たとえばソース電極52と同様の材料からなるドレイン電極70が形成される。
【0047】
まず、工程(S81)として、第1金属膜形成工程が実施される。この工程(S81)では、たとえばスパッタリングにより、Tiを含む第1金属層と、第1金属層上に接触しAlを含む第2金属層と、第2金属層上に接触しSiを含む第3金属層とが積層された構造を有する第1金属膜が形成される。また、この工程(S81)では、上述のように第1〜第3金属層が積層されることにより第1金属膜が形成されてもよいが、これに限られるものではない。たとえば、Ti、AlおよびSiを同時にスパッタリングすることにより、Ti、AlおよびSiが混合された第1金属膜が形成されてもよい。
【0048】
次に、工程(S82)として、エッチング工程が実施される。この工程(S82)では、コンタクトホール80の近傍にマスク(図示しない)を配置した上で、基板10の主表面10A側よりドライエッチングを実施することにより、バッファ膜51を介さずに層間絶縁膜40の上に形成された第1金属膜が主に除去される。また、層間絶縁膜40の上面において、第1金属膜の端部は、バッファ膜51の端部51Aよりもコンタクトホール80側に位置するように形成される。その結果、第1金属膜は、コンタクトホール80の側壁面80A上および底面80B上、ならびに絶縁膜40の上面40A上に、バッファ膜51を介して形成される。
【0049】
次に、工程(S83)として、第2金属膜形成工程が実施される。この工程(S83)では、たとえばスパッタリングにより、ベース基板11の主表面11B上において、第1金属膜と同様に、Ti、AlおよびSiが積層または混合された第2金属膜が形成される。
【0050】
次に、工程(S84)として、合金化アニール工程が実施される。この工程(S84)では、上記工程(S81)および(S83)にて形成された第1および第2金属膜が加熱される。これにより、第1および第2金属膜を構成するTi、AlおよびSiの合金化が進行し、その結果TiAlSi合金からなり、基板10にオーミック接触するソース電極52およびドレイン電極70が形成される。このように、この工程(S80)では、工程(S81)、(S82)および(S84)が実施されることによりソース電極52が形成され、また工程(S83)および(S84)が実施されることによりドレイン電極70が形成される。アニール温度は、例えば、1000℃程度としてもよい。
【0051】
次に、工程(S90)として、配線形成工程が実施される。この工程(S90)では、たとえば蒸着法により、Alなどの導電体からなるソース配線60が、ソース電極52上に接触するように形成される。上記工程(S10)〜(S90)が実施されることにより、MOSFET1が製造され、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法が完了する。
【0052】
以上のように、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法では、層間絶縁膜40を貫通するコンタクトホール80の側壁面80A上に接触し、Alを含まずTiおよびNを含むバッファ膜51が形成された後に、バッファ膜51上に接触し、Ti、AlおよびSiを含むソース電極52が形成される。このように、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法では、Alを含むソース電極52を形成する前にAlを含まないバッファ膜51を予め形成する。これにより、ソース電極52に含まれるAlと層間絶縁膜40に含まれるSiO
2との反応を抑制することができる。また、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法では、層間絶縁膜40の上面40A上におけるソース電極52の端部52Aを、バッファ膜51の端部51Aよりもコンタクトホール80側に形成する。このため、ソース電極52の形成後に合金化アニールを行うことによって、ソース電極52に含まれるAlが移動する場合にも、Alがソース電極52の端部52Aから層間絶縁膜40に到達するのに必要な移動距離をバッファ膜51によって長くすることができる。その結果、ソース電極52形成後に合金化アニールを実施しても、ソース電極52に含まれるAlと層間絶縁膜40のSiO
2との反応を抑制することができる。
【0053】
したがって、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、アルミニウムを含む電極であるソース電極52と二酸化珪素を含む層間絶縁膜40との反応を抑制させることにより特性の安定した上記本実施の形態に係る半導体装置としてのMOSFET1を製造することができる。
【0054】
(実施の形態2)
次に、
図2を参照して、本発明の実施の形態2に係る半導体装置およびその製造方法について説明する。本実施の形態に係る半導体装置は、基本的には、実施の形態1に係る半導体装置と同等の構成を備えるが、バッファ膜51が隣り合う複数のコンタクトホール80に挟まれた層間絶縁膜40の部分を覆うように形成される点で異なる。本実施の形態に係る半導体装置としてのMOSFET1においては、コンタクトホール80は複数形成され、複数のコンタクトホール80のうちの1つの側壁面80A上の底面80Bから層間絶縁膜40の上面40A上をわたって複数のコンタクトホール80のうちの他の1つの側壁面80A上の底面80Bにまで延在している。つまり、バッファ膜51の端部は、層間絶縁膜40の上面40A上に形成されない。
【0055】
ソース電極52は、上述した実施の形態1と同様に、バッファ膜51、およびコンタクトホール80を形成することにより露出した基板10の主表面10A上に接触するように形成されている。また、ソース電極52は、層間絶縁膜40上においてバッファ膜51の一部を覆うように形成されている。
【0056】
これにより、隣り合う複数のコンタクトホール80に挟まれた層間絶縁膜40において、コンタクトホール80の側壁面80A上および層間絶縁膜40の上面40A上は、バッファ膜形成工程以降にバッファ膜51により覆われる。ソース電極52形成工程や合金化アニール工程において層間絶縁膜40およびゲート絶縁膜20に含まれるSiO
2は露出していないため、ソース電極52に含まれるAlとSiO
2とが接触して反応することを、より確実に抑制することができる。バッファ膜51が導電性を有する材料からなる場合には、バッファ膜51はソース電極52を介してソース領域15と電気的に接続されている。
【0057】
次に、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、基本的には実施の形態1と同様の工程を備えるが、バッファ膜をエッチングする工程(S70)において、層間絶縁膜40の上面40A上にもバッファ膜51を残存させる点で異なる。これにより、工程(S70)後に実施されるオーミック電極形成工程(S80)において、隣り合う複数のコンタクトホール80に挟まれた層間絶縁膜40は、バッファ膜51に覆われて露出していない。そのため、合金化アニール工程(S84)においてソース電極52に含まれるAlが移動する場合にも、AlとSiO
2との反応を抑制することができる。
【0058】
また、本実施の形態において、ソース電極52は、層間絶縁膜40上において任意に形状で構成されていてもよい。本実施の形態においては、層間絶縁膜40上においてバッファ膜51の端部が形成されないため、ソース電極52の構成は、バッファ膜51による制限を受けない。例えば、
図3を参照して、ソース電極52は、層間絶縁膜40上において全面を覆うように形成されてもよい。この場合には、隣り合う複数のソース領域15およびコンタクト領域16を、ソース配線60に加えてソース電極52によっても電気的に接続することができる。また、この場合には、第1金属膜のエッチング工程(S82)を省略することができる。
【0059】
このように、本実施の形態に係る半導体装置およびその製造方法を用いても、本発明の実施の形態1に係る半導体装置およびその製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0060】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る半導体装置およびその製造方法について説明する。
図4を参照して、本実施の形態に係る半導体装置は、基本的には、実施の形態1に係る半導体装置と同等の構成を備えるが、バッファ膜51において、コンタクトホール80の底面80Bと反対側に位置する端部51Aが側壁面80A上に形成されており、層間絶縁膜40上に位置するソース電極52の端部52Aは、バッファ膜51の端部51Aよりコンタクトホール80の底面80B側に形成されている点で異なる。本実施の形態に係る半導体装置としてのMOSFET1においては、バッファ膜51およびソース電極52は、層間絶縁膜40の上面40A上に形成されていない。
【0061】
また、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、基本的には実施の形態1と同様の工程を備えるが、バッファ膜をエッチングする工程(S70)において、層間絶縁膜40の上面40A上に形成されたバッファ膜51が全面除去され、かつ、コンタクトホール80の側壁面80A上および底面80B上に形成されたバッファ膜51の一部が除去される点で異なる。さらに、第1金属膜をエッチングする工程(S82)において、第1金属膜の端部は、バッファ膜51の端部51Aよりもコンタクトホール80の底面80B側に位置するように形成される点で異なる。これにより、合金化アニール工程において、ソース電極52に含まれるAlが移動してもバッファ膜51を超えて層間絶縁膜40と反応することを抑制することができる。
【0062】
このように、本実施の形態に係る半導体装置およびその製造方法を用いても、本発明の実施の形態1に係る半導体装置およびその製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0063】
また、上述した各実施の形態において、ソース電極52は、これと同様にキャリア供給機能を有する電極であればよく、たとえばIGBTのエミッタ電極等を採用することができる。
【0064】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。