【実施例】
【0052】
以下に本発明の試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの試験例に何ら限定されるものではない。
【0053】
(試験例1:胃がん細胞MKN−7の増殖抑制)
GAPDHとして、(1)ウサギ筋肉から精製したGAPDH(Sigma社製)、(2)ヒト赤血球から精製したGAPDH(Sigma社製)、(3)リコンビナントのヒトGAPDH(Abnova社製、P4547)を用いて、ヒト胃がん細胞MKN−7(理研セルバンク)の増殖に与える各GAPDHの影響を調べた。
なお、前記(1)ウサギ筋肉から精製したGAPDHのアミノ酸配列は、配列番号2で示されるものであり、前記(2)ヒト赤血球から精製したGAPDHのアミノ酸配列は、配列番号1で示されるものであり、前記(3)リコンビナントのヒトGAPDHのアミノ酸配列は、配列番号1で示されるものである。
【0054】
−細胞増殖試験−
前記ヒト胃がん細胞MKN−7を、1%透析血清、5μg/mL インスリン、5μg/mL トランスフェリン、1.4μM ヒドロコルチゾンを含むDMEMで5×10
4個/mLに分散させ、96ウェルプレートに0.1mL/ウェルずつ撒き、前記各GAPDHを各濃度で加え、37℃、5% CO
2で3日間培養した。
前記3日間培養した後の細胞数をMTT法(3−(4,5−dimethylthiazol−2−yl)−2,5−diphenyltetrazolium bromide;Sigma社製)により測定した。
前記MTT法は、MTT溶液(MTTを5mg/mLの濃度で含有するPBS)10μLを各ウェルに加え4時間培養し、産生されたフォルマザン産物を10mM HClを含む20%SDS溶液100μLを各ウェルに添加して溶解し、570nmの吸光度をラボシステムズ マルチスキャンMS(DSファーマバイオメディカル株式会社製)で測定することにより行った。結果を
図1Aから
図1Cに示す。
図1Aは、前記(1)ウサギ筋肉から精製したGAPDHによる胃がん細胞MKN−7の増殖抑制効果を示し、
図1Bは、前記(2)ヒト赤血球から精製したGAPDHによる胃がん細胞MKN−7の増殖抑制効果を示し、
図1Cは、前記(3)リコンビナントのヒトGAPDHによる胃がん細胞MKN−7の増殖抑制効果を示す。
【0055】
図1Aから
図1Cの結果から、前記(1)ウサギ筋肉から精製したGAPDH、前記(2)ヒト赤血球から精製したGAPDH、及び前記(3)リコンビナントのヒトGAPDHのいずれも、数U/mL〜数十U/mLの濃度で細胞の増殖を50%以上抑制することが示された。なお、
図1Aから
図1Cにおける値は、同様な結果が得られた3回の独立した実験の代表的なもの測定値の平均値±SDである。統計解析には、スチューデントのt検定を用いた。
【0056】
(試験例2−1:がん細胞の増殖抑制)
試験例1において、GAPDHとして、前記(2)ヒト赤血球から精製したGAPDHを用い、がん細胞として、以下の8種類のがん細胞を用いた以外は、試験例1と同様にして、細胞増殖試験を行った。結果を
図2A及び
図2Bに示す。
・ ヒト胃がん細胞MKN−28(理研セルバンク)
・ ヒト前立腺がん細胞DU−145(ATCC)
・ ヒト肺がん細胞DMS114(ATCC)
・ ヒト肺がん細胞DMS273(DSファーマバイオメディカル株式会社)
・ ヒト大腸がん細胞HCC2998(ATCC)
・ ヒト膵がん細胞BxPC−3(ATCC)
・ ヒト膵がん細胞Capan−1(ATCC)
・ ヒト乳がん細胞MCF−7(ATCC)
図2A及び
図2Bの結果から、前記試験例1と異なるいずれのがん細胞株に対しても5U/mLで40%以上増殖を阻害することが示された。
【0057】
(試験例2−2:正常間質細胞の増殖に与える影響)
試験例1において、GAPDHとして、前記(2)ヒト赤血球から精製したGAPDHを用い、がん細胞に代えて以下の5種類の正常間質細胞を用いた以外は、試験例1と同様にして、細胞増殖試験を行った。結果を
図2Cに示す。
・ ヒト正常肺繊維芽細胞NHLF(タカラバイオ株式会社)
・ ヒト正常前立腺間質細胞PrSC(タカラバイオ株式会社)
・ ヒト正常胃間質細胞Hs738(ATCC)
・ ヒト正常乳腺間質細胞Hs371(ATCC)
・ ヒト正常膵間質細胞(DSファーマバイオメディカル株式会社)
図2Cの結果から、GAPDHが5U/mLでも、いずれの正常間質細胞の増殖をほとんど阻害しなかった。そのため、GAPDHは、がん細胞の増殖を選択的に抑制することができると考えられる。なお、
図2C中、「PS」は、前記ヒト正常膵間質細胞を表す。
【0058】
(試験例3:タンパク質合成阻害)
前記試験例1及び2の結果を受け、GAPDHによるがん細胞増殖抑制のメカニズムを調べるため、タンパク質合成の阻害について以下のようにして検討した。
前記ヒト胃がん細胞MKN−7を、1%透析血清、5μg/mL インスリン、5μg/mL トランスフェリン、1.4μM ヒドロコルチゾンを含むDMEMで5×10
4個/mLに分散させ、1mLずつ35mmディッシュに撒き、前記(2)ヒト赤血球から精製したGAPDHを5U/mLで加えて、37℃、5% CO
2で1日間培養した。
Kawada, M., Masuda, T., Ishizuka, M., and Takeuchi, T. 15−Deoxyspergualin inhibits Akt kinase activation and phosphatidylcholine synthesis. J. Biol. Chem.277, 27765−27771 (2002).に記載の方法により、前記培養した細胞の溶解液を調製し、リン酸化型p70S6K(以下、「P−p70S6K」と称することがある)、p70S6K、リン酸化型P−S235/236 RPS6(以下、「P−S235/236 RPS6」と称することがある)、リン酸化型P−S240/244 RPS6(以下、P−S240/244 RPS6と称することがある)、及びRPS6に対する抗体(いずれもCell signaling社製)を用いてウエスタンブロットを行った。結果を
図3に示す。前記
図3中、「−」は、GAPDHを用いなかった場合(コントロール)を示し、「+」は、GAPDHを用いた場合を示す。
なお、前記p70S6Kは、タンパク質合成の指標であるp70S6キナーゼであり、前記RPS6は、前記p70S6Kの基質であるS6リボゾームタンパクであり、前記P−S235/236 RPS6及び前記P−S240/244 RPS6は、前記RPSのリン酸化型である。
図3の結果から、GAPDHを用いた場合には、タンパク質合成の指標であるp70S6Kのリン酸化型が減少し、またその基質であるRPS6のP−S235/236 RPS6及びP−S240/244 RPS6が減少することが分かった。これらの結果から、GAPDH処理によってタンパク質の合成が阻害されることが分かった。
【0059】
(試験例4−1:GAPDHの細胞への結合−1)
ヒト胃がん細胞MKN−7に、Green fluorescence protein(GFP)発現ベクターであるpEGFP−C1(BD Biosciences社製)を、Lipfectamine試薬(Invitrogen社製)を用いて遺伝子導入し、安定的にGFPを発現した細胞をクローニングした。
【0060】
前記クローニングした細胞を1%透析血清、5μg/mL インスリン、5μg/mL トランスフェリン、1.4μM ヒドロコルチゾンを含むDMEMで5×10
4個/mLに分散させ、2mLずつカバーグラスを敷いた6ウェルプレートに撒き、5U/mLの前記(2)ヒト赤血球から精製したGAPDHを加えて、37℃、5% CO
2で1日間培養した。
なお、コントロールとして、GAPDHを加えなかった細胞についても同様に培養した。
【0061】
前記培養した細胞を、4%ホルムアルデヒドを含むPBSで固定した後、FBSで細胞をブロッキングし、1次抗体(抗GAPDH抗体(マウスIgG1、Santa Cruz社製))及び蛍光標識した2次抗体(Alexa 546抗マウスIgG1抗体、Molecular probes社製)で処理して免疫蛍光染色し、スライドグラスにマウントして蛍光顕微鏡(Leica DM IRB、Leica社製)で観察した。結果を
図4Aに示す。
図4Aの結果から、前記MKN−7の細胞に発現するGFPの蛍光パターン(
図4Aにおける「None」:GAPDHを用いていない)との比較から、外部から加えたGAPDHは細胞の表面、特に細胞と細胞が接着する面などに結合していると考えられた(
図4Aにおける「GAPDH 5U/ml」)。
【0062】
(試験例4−2:GAPDHの細胞への結合−2)
細胞外から加えたGAPDHが細胞内に入るかどうかを、以下のようにして作製した(4)FLAGタグを融合したヒトGAPDH(アミノ酸配列は、配列番号5で示されるものである。)を用い、以下のようにして検討した。
【0063】
<(4)FLAGタグを融合したヒトGAPDHの作製>
Hs738細胞(ATCC)のmRNAを、RNeasyキット(Qiagen社製)を用いて調製し、cDNA合成キット(Promega社製)を用いてcDNAを合成した。
前記cDNA、下記配列番号3及び4で表されるプライマー、及びPfx DNAポリメラーゼ(Invitrogen社製)を用いてPCRを行った。
sense primer 1(制限酵素NheIサイトを含む):
5’−TATGCTAGCGACTACAAGGACGACGACGACAAGATGGGGAAGGTGAAGGTCGGAG−3’(配列番号3)
antisense primer 2(制限酵素XhoIサイトを含む):
5’−TATCTCGAGTTACTCCTTGGAGGCCATGTGGG−3’(配列番号4)
前記PCR産物を制限酵素NheI及びXhoIで処理し、pET−17bベクター(Novagen社製)に挿入し、N末にFLAGタグを融合したヒトGAPDHの発現ベクターを作製した。
前記作製した発現ベクターで大腸菌BL21(DE3)を形質変換し、1mM IPTG存在下で培養した後、遠心にて大腸菌を回収し、5倍量のbuffer A(20mM Tris−HCl(pH8.0)、0.5M NaCl、10% glycerol、1mM PMSF、0.1% NP−40、2mM メルカプトエタノール)を加えて超音波処理して大腸菌を破砕した。
前記大腸菌を破砕した液に、抗FLAG M2アガロース(Sigma社製)を1mL加えて、4℃で2時間撹拌した。次いで、アガロースのゲルをbuffer Aで遠心洗浄した後、3mLのelution buffer(20mM Tris−HCl(pH8.0)、0.5M NaCl、10% glycerol、1mM PMSF、0.1% NP−40、2mM メルカプトエタノール、80μg/mL FLAG peptide(Sigma社製))を加えて、4℃で30分間撹拌した後、遠心して上清を回収した。前記上清をPBS中にて4℃で一晩透析し、タンパク質量を定量後、(4)FLAGタグを融合したヒトGAPDHとした。
【0064】
<検討>
前記試験例4−1と同様にして、安定的にGFPを発現したヒト胃がん細胞MKN−7をクローニングした。
【0065】
前記クローニングした細胞を1%透析血清、5μg/mL インスリン、5μg/mL トランスフェリン、1.4μM ヒドロコルチゾンを含むDMEMで5×10
4個/mLに分散させ、2mLずつカバーグラスを敷いた6ウェルプレートに撒き、1μg/mLの前記(4)FLAGタグを融合したヒトGAPDHを加えて、37℃、5% CO
2で1日間培養した。
【0066】
前記培養した細胞を、4%ホルムアルデヒドを含むPBSで固定した後、冷メタノールで更に固定して、細胞膜の透過性を上げた後、FBSで細胞をブロッキングし、1次抗体(抗FLAG M2抗体(マウスIgG1)、Sigma社製)及び蛍光標識した2次抗体(Alexa 546抗マウスIgG1抗体、Molecular probes社製)で処理して免疫蛍光染色し、スライドグラスにマウントして蛍光顕微鏡(Leica DM IRB、Leica社製)で観察した。結果を
図4Bに示す。
図4Bの結果から、MKN−7の細胞内のGFPの蛍光とは重ならず、前記(4)FLAGタグを融合したヒトGAPDHは細胞内に取り込まれていないことが分かった。
【0067】
(試験例5−1:GAPDHとE−カドヘリンとの結合−1)
前記試験例4−1と同様にして、安定的にGFPを発現したヒト胃がん細胞MKN−7をクローニングした。
【0068】
前記クローニングした細胞を1%透析血清、5μg/mL インスリン、5μg/mL トランスフェリン、1.4μM ヒドロコルチゾンを含むDMEMで5×10
4個/mLに分散させ、2mLずつカバーグラスを敷いた6ウェルプレートに撒き、5U/mLの前記(2)ヒト赤血球から精製したGAPDHを加えて、37℃、5% CO
2で1日間培養した。
【0069】
前記培養した細胞を、4%ホルムアルデヒドを含むPBSで固定した後、FBSで細胞をブロッキングし、1次抗体(抗GAPDH抗体(マウスIgG1、Santa Cruz社製))及び蛍光標識した2次抗体(Alexa 546抗マウスIgG1抗体、Molecular probes社製)による処理、又は、1次抗体(抗E−カドヘリン抗体(マウスIgG2a、Enzo Life Science社製))及び蛍光標識した2次抗体(Alexa 546抗マウスIgG2a抗体、Molecular probes社製)による処理によって免疫蛍光染色し、スライドグラスにマウントして蛍光顕微鏡(Leica DM IRB、Leica社製)で観察した。結果を
図5Aに示す。
図5A中、左側は、1次抗体として、抗GAPDH抗体を用いた場合の結果を示し、右側は、1次抗体として、抗E−カドヘリン抗体を用いた場合の結果を示す。
図5Aの結果から、一部のE−カドヘリンとGAPDHの結合部位が類似している可能性が示された。
【0070】
(試験例5−2:GAPDHとE−カドヘリンとの結合−2)
GAPDHとE−カドヘリンとが結合しているかについて、以下のようにして検討した。
【0071】
−細胞膜画分の調製−
ヒト胃がん細胞MKN−7細胞を、1%透析血清、5μg/mL インスリン、5μg/mL トランスフェリン、1.4μM ヒドロコルチゾンを含むDMEMで、37℃、5% CO
2でコンフルエントになるくらいまで培養した後、ProteoExtractキット(Calbiochem社製)を用いて、細胞膜画分を調製した。
【0072】
前記調製した細胞膜画分と、(i)5U/mLの前記(2)ヒト赤血球から精製したGAPDH、又は(ii)5μg/mLの前記(4)FLAGタグを融合したヒトGAPDHとを、2時間室温で混ぜた。
次いで、前記細胞膜画分と、前記(i)(2)ヒト赤血球から精製したGAPDHとを混ぜたものに対しては、抗GAPDH抗体(マウスIgG1、Santa Cruz社製)とprotein Gアガロースの複合体(Santa Cruz社製)を加え、前記細胞膜画分と、前記(ii)前記(4)FLAGタグを融合したヒトGAPDHとを混ぜたものに対しては、抗FLAG M2アガロース(Sigma社製)を加え、1時間室温で混ぜ、免疫沈降した。
【0073】
前記免疫沈降物をPBSで4回遠心洗浄し、抗E−カドヘリン抗体(マウスIgG2a、Enzo Life Science社製)を用いて、ウエスタンブロットを行った結果を
図5Bに示す。
図5B中、上段は、前記(ii)前記(4)FLAGタグを融合したヒトGAPDHを用いた免疫沈降物についての結果を示し、下段は、前記(i)(2)ヒト赤血球から精製したGAPDHを用いた免疫沈降物についての結果を示す。なお、
図5B中、「−」は、GAPDHを用いなかった場合(コントロール)を示し、「+」は、GAPDHを用いた場合を示す。
図5Bの結果から、GAPDHを用いた免疫沈降物中にE−カドヘリンが検出されることが分かった
【0074】
(試験例5−3:GAPDHとE−カドヘリンとの結合−3)
前記試験例4−1と同様にして、安定的にGFPを発現したヒト胃がん細胞MKN−7をクローニングした。
【0075】
前記クローニングした細胞を1%透析血清、5μg/mL インスリン、5μg/mL トランスフェリン、1.4μM ヒドロコルチゾンを含むDMEMで5×10
4個/mLに分散させ、2mLずつカバーグラスを敷いた6ウェルプレートに撒き、5U/mLの前記(2)ヒト赤血球から精製したGAPDHを加えて、37℃、5% CO
2で1日間培養した。
【0076】
前記培養した細胞を、4%ホルムアルデヒドを含むPBSで固定した後、FBSでブロッキングし、抗GAPDH抗体(マウスIgG1、Santa Cruz社製)及びAlexa 350抗マウスIgG1抗体(Molecular probes社製)、続いて、抗E−カドヘリン抗体(マウスIgG2a、Enzo Life Science社製)及びAlexa 546抗マウスIgG2a抗体(Molecular probes社製)により、二重免疫蛍光染色し、スライドグラスにマウントして蛍光顕微鏡(Leica DM IRB、Leica社製)で観察した。結果を
図5Cに示す。
図5C中、左側は、抗GAPDH抗体及びAlexa 350抗マウスIgG1抗体で免疫染色した結果を示し、中央は、抗E−カドヘリン抗体及びAlexa 546抗マウスIgG2a抗体で免疫染色した結果を示し、右側は、左側と中央とを重ね合わせた結果を示す。
図5Cの結果から、GAPDHの局在がE−カドヘリンと重なることが分かった。従って、GAPDHは細胞膜上のE−カドヘリンに結合することが示された。
【0077】
(試験例5−4:GAPDHとE−カドヘリンとの結合−4)
ヒトIgG1 Fc部分が融合したヒトリコンビナントE−カドヘリン(以下、「E−カドヘリン Fc Chimera」と称することがある。)(R&D Systems社製)を1.5μg/mLの濃度でPBSに溶かしたものを100μL/ウェルで96ウェルプレート(Nunc社製)に加え、37℃で1時間静置し、プレートをE−カドヘリン Fc Chimeraでコートした。
前記プレートをPBSで4回洗浄した後、1%BSAを含むPBSを100μL/ウェルで加えて、37℃で30分間静置し、ブロッキングした。前記ブロッキングしたプレートをPBSで4回洗浄した後、(2)ヒト赤血球から精製したGAPDH(Sigma社製)を0U/mL、2.5U/mL、5U/mLとなるようにPBSに溶かしたものを100μL/ウェルで加え、37℃で1時間静置した。
前記プレートをPBSで4回洗浄した後、各ウェルにウエスタンブロット用のSDSサンプルバッファーを加え、ウエスタンブロットによってウェルに結合したGAPDHを抗GAPDH抗体(Santa Cruz社製)によって検出した。結果を
図5Dに示す。
図5Dの結果から、E−カドヘリン Fc Chimeraをコートしたプレート(
図5中、「+」)からは、コートしなかったプレート(
図5中、「−」)に比べて顕著にGAPDHが検出された。従って、E−カドヘリンと、GAPDHとが結合することが確かめられた。
【0078】
以上の試験例の結果から、GAPDHは、E−カドヘリンに結合することで細胞間の接着に影響をおよぼし、その結果としてタンパク質の合成阻害、そして細胞増殖の阻害に至ると考えられる。