特許第6068925号(P6068925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6068925
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】プローブの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20170116BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20170116BHJP
   H01L 21/66 20060101ALN20170116BHJP
【FI】
   G01R1/067 G
   G01R1/073 E
   !H01L21/66 B
【請求項の数】14
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2012-234066(P2012-234066)
(22)【出願日】2012年10月23日
(65)【公開番号】特開2014-85216(P2014-85216A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100152054
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 孝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100150898
【弁理士】
【氏名又は名称】祐成 篤哉
(74)【代理人】
【識別番号】100120569
【弁理士】
【氏名又は名称】大阿久 敦子
(72)【発明者】
【氏名】那須 美佳
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−191027(JP,A)
【文献】 特開2008−151515(JP,A)
【文献】 特開2011−157596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/067
G01R 1/073
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブの製造方法であって、
基台上に配置された犠牲層上に該犠牲層が露出する凹所を、前記プローブおよび該プローブに連結する固定タブの平面形状に対応するようにレジストで形成する第1の工程と、
前記凹所内にプローブ材料を堆積し、前記プローブおよび該プローブに連結する前記固定タブを形成する第2の工程と、
前記レジストを除去する第3の工程と、
エッチング処理により、前記犠牲層の一部を残してその残部を除去し、その残存する該犠牲層の一部により前記基台上に支持された前記プローブおよび前記固定タブを形成する第4の工程と、
前記プローブを前記基台から取り外す第5の工程と
を有し、
前記固定タブは、複数の支持板と、該複数の支持板の間を連結する1つ以上の連結部とを有して構成され、
第1の工程は、前記複数の支持板と前記1つ以上の連結部とを有する前記固定タブの平面形状に対応するように前記凹所の前記固定タブに対応する部分を形成することによって、前記凹所を形成し、
第4の工程は、前記プローブ下の前記犠牲層部分を残すことなく除去する一方、前記固定タブの前記複数の支持板のぞれぞれの下に前記犠牲層部分を残すことによって前記固定タブの下に前記犠牲層部分を残し、残存する該犠牲層部分を複数の支持点として、該基台上に支持された前記プローブおよび前記固定タブを形成することを特徴とするプローブの製造方法。
【請求項2】
前記連結部は、直線、曲線またはそれらの組み合わせからなる形状を有することを特徴とする請求項1に記載のプローブの製造方法。
【請求項3】
第4の工程は、前記複数の支持板のそれぞれの下に前記犠牲層部分を残すとともに、該複数の支持板の少なくとも一つの下には、互いに離間する複数の前記犠牲層部分を残すようにされ、
前記複数の支持板の下に残存する前記犠牲層部分の3点以上により前記基台上に支持された前記プローブおよび前記固定タブを形成することを特徴とする請求項1または2に記載のプローブの製造方法。
【請求項4】
前記プローブに連結する前記固定タブは、前記プローブに連結する第1の支持板と、該第1の支持板に連結する第2の支持板とを有して構成されて、該第1の支持板および該第2の支持板がそれぞれ前記固定タブの複数の支持板を構成し、該第1の支持板および該第2の支持板はそれぞれ、第4の工程の前記エッチング処理によって前記プローブ下の前記犠牲層部分が除去されたときに、該第1の支持板および該第2の支持板の下の前記犠牲層部分が残るのに充分な平面形状を有し、
第1の工程は、前記第1の支持板と前記第2の支持板と前記連結部とを有する前記固定タブの平面形状に対応するように前記凹所の該固定タブに対応する部分を形成して、前記プローブおよび該固定タブの平面形状に対応するように、前記凹所を形成し、
第4の工程は、前記プローブ下の前記犠牲層部分を残すことなく除去するとともに、前記第1の支持板および前記第2の支持板のぞれぞれの下に前記犠牲層部分を残すようにされ、該第1の支持板の下に残存する該犠牲層部分と、該第2の支持板の下に残存する該犠牲層部分とを2点の支持点として、前記基台上に支持された前記プローブおよび前記固定タブを形成し、
第5の工程は、前記プローブと前記固定タブの前記第1の支持板との間を分離して、該プローブを前記基台から取り外すよう構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のプローブの製造方法。
【請求項5】
前記固定タブは、第1の連結部を介して前記プローブに連結するとともに、前記第1の支持板と前記第2の支持板とを連結する第2の連結部を有し、
前記第2の連結部は、直線、曲線またはそれらの組み合わせからなる形状を有して前記複数の支持板の間を連結する連結部を構成し、
第1の工程は、前記第1の支持板、前記第2の支持板および前記第2の連結部を有する前記固定タブの平面形状に対応するように、前記凹所の前記固定タブに対応する部分を形成することを特徴とする請求項に記載のプローブの製造方法。
【請求項6】
前記プローブに連結する前記固定タブは、前記プローブに連結する第1の支持板と、該第1の支持板に連結する第2の支持板と、該第2の支持板に連結する第3の支持板とを有して構成されて、該第1の支持板、該第2の支持板および該第3の支持板がそれぞれ前記固定タブの複数の支持板を構成し、該第1の支持板、該第2の支持板および該第3の支持板はそれぞれ、第4の工程の前記エッチング処理によって前記プローブ下の前記犠牲層部分が除去されたときに、該第1の支持板、該第2の支持板および該第3の支持板の下の前記犠牲層部分が残るのに充分な平面形状を有し、
前記第1の工程は、前記第1の支持板、前記第2の支持板および前記第3の支持板と前記連結部とを有する前記固定タブの平面形状に対応するように前記凹所の該固定タブに対応する部分を形成して、前記プローブおよび該固定タブの平面形状に対応するように、前記凹所を形成し、
第4の工程は、前記プローブ下の前記犠牲層部分を残すことなく除去するとともに、前記第1の支持板、前記第2の支持板および前記第3の支持板のぞれぞれの下に前記犠牲層部分を残すようにされ、該第1の支持板の下に残存する該犠牲層部分、該第2の支持板の下に残存する該犠牲層部分および該第3の支持板の下に残存する該犠牲層部分を3点の支持点として、前記基台上に支持された前記プローブおよび前記固定タブを形成し、
第5の工程は、前記プローブと前記固定タブの前記第1の支持板との間を分離して、該プローブを前記基台から取り外すよう構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のプローブの製造方法。
【請求項7】
前記固定タブは、第1の連結部を介して前記プローブに連結するとともに、前記第1の支持板と前記第2の支持板とを連結する第2の連結部と、前記第2の支持板と前記第3の支持板とを連結する第3の連結部とを有し、
前記第2の連結部および前記第3の連結部は、互いに独立に、直線、曲線またはそれらの組み合わせからなる形状を有してそれぞれが前記複数の支持板の間を連結する連結部を構成し、
第1の工程は、前記第1の支持板、前記第2の支持板、前記第3の支持板、前記第2の連結部および前記第3の連結部を有する前記固定タブの平面形状に対応するように、前記凹所の前記固定タブに対応する部分を形成することを特徴とする請求項に記載のプローブの製造方法。
【請求項8】
プローブの製造方法であって、
基台上に配置された犠牲層上に該犠牲層が露出する凹所を、前記プローブおよび該プローブに連結する固定タブの平面形状に対応するようにレジストで形成する第1の工程と、
前記凹所内にプローブ材料を堆積し、前記プローブおよび該プローブに連結する前記固定タブを形成する第2の工程と、
前記レジストを除去する第3の工程と、
エッチング処理により、前記犠牲層の一部を残してその残部を除去し、その残存する該犠牲層の一部により前記基台上に支持された前記プローブおよび前記固定タブを形成する第4の工程と、
前記プローブを前記基台から取り外す第5の工程と
を有し、
前記固定タブは、1つの支持板を有して構成され、
第1の工程は、前記1つの支持板を有する前記固定タブの平面形状に対応するように前記凹所の前記固定タブに対応する部分を形成することによって、前記凹所を形成し、
第4の工程は、前記プローブ下の前記犠牲層部分を残すことなく除去する一方、前記固定タブの前記1つの支持板の下に該支持板の長手方向に離間する複数の前記犠牲層を残すことによって該固定タブの下に前記犠牲層部分を残し、残存する該犠牲層部分を複数の支持点として、該基台上に支持された前記プローブおよび前記固定タブを形成することを特徴とするプローブの製造方法。
【請求項9】
前記プローブは、本体部と、該本体部から横方向へ伸びるアーム部と、該アーム部に一体的に設けられ、該アーム部から縦方向へ伸長してその先端に針が設けられる針先部とを備え、全体に板状の形状を有し、
前記複数の支持板はそれぞれ、前記本体部の面積よりも大きな面積を有し、
第1の工程は、前記凹所の前記本体部に対応する部分の平面形状の面積よりも、前記固定タブに対応する部分の平面形状の面積が大きくなるように、該凹所を形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のプローブの製造方法。
【請求項10】
前記プローブは、本体部と、該本体部から横方向へ伸びるアーム部と、該アーム部に一体的に設けられ、該アーム部から縦方向へ伸長してその先端に針が設けられる針先部とを備え、全体に板状の形状を有し、
前記固定タブは、前記プローブの前記本体部の側部に連結する構造を有し、
第1の工程は、前記プローブおよび該プローブの前記本体部の側部に連結する固定タブの平面形状に対応するように、前記凹所を形成することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のプローブの製造方法。
【請求項11】
前記プローブは、本体部と、該本体部から横方向へ伸びるアーム部と、該アーム部に一体的に設けられ、該アーム部から縦方向へ伸長してその先端に針が設けられる針先部とを備え、全体に板状の形状を有し、
前記プローブの前記アーム部は、前記本体部と前記針先部との間で、該プローブの厚み方向に貫通し、且つ、該アーム部の長手方向に伸長する開口部が設けられ、
前記固定タブは、前記プローブの前記アーム部の前記開口部内に配置されて、該プローブと連結する構造を有し、
第1の工程は、前記プローブおよび該プローブの前記アーム部の前記開口部内に配置されて該プローブに連結する前記固定タブの平面形状に対応するように、前記凹所を形成することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のプローブの製造方法。
【請求項12】
前記固定タブを前記基台上に支持する前記複数の支持点は、それぞれが互いに離間するとともに、前記基台の面と平行な断面が、円、楕円、多角形および星形よりなる群から選択されたいずれかの断面形状を有し、
第1の工程は、第4の工程のエッチング処理によって前記複数の支持点のそれぞれが前記断面形状を有して構成されるように、前記凹所の前記固定タブの平面形状に対応する部分を形成することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のプローブの製造方法。
【請求項13】
前記固定タブを前記基台上に支持する前記複数の支持点は、それぞれが互いに離間するとともに、前記基台の面と平行な断面が等しい面積を有し、
第1の工程は、第4の工程のエッチング処理によって前記複数の支持点のそれぞれの前記断面の面積が等しくなるように、前記凹所の前記固定タブの平面形状に対応する部分を形成することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のプローブの製造方法。
【請求項14】
前記固定タブを前記基台上に支持する前記複数の支持点は、それぞれが互いに離間するとともに、前記基台の面と平行な断面が異なる面積を有し、
第1の工程は、第4の工程のエッチング処理によって前記複数の支持点のそれぞれの前記断面の面積が異なるように、前記凹所の前記固定タブの平面形状に対応する部分を形成することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のプローブの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路(IC)は、半導体ウエハ上に多数が形成され、その後、チップ毎に分離されて使用される。そのICは、そのチップ毎の分離に先立ち、性能評価のための電気的試験を行うのが通常である。
【0003】
この電気的試験には、上述したICのような各被検査体の電極に対して電気的接続を行うための複数のプローブを備えるプローブカードのようなプローブ組立体、すなわち電気的接続装置が用いられ、被検査体は電気的接続装置を経て試験手段であるテスタに接続される。
【0004】
この電気的接続装置に用いられる従来のプローブの1つとして、板状のプローブ本体部と、そのプローブ本体部に設けられたアーム部と、アーム部の先に設けられて被検査体の電極に当接される針先部とを備えるものがある(例えば、特許文献1を参照のこと。)。針本体部を靭性に優れた金属材料で形成することにより、針先部が被検査体の電極に押し付けられたとき、アーム部の弾性変形に伴って針先部を被検査体の電極上で滑らせることができる。この針先の滑りにより被検査体の電極上の酸化膜を削ることができる。すなわち、プローブのプローブ本体部に弾性変形を生じさせるオーバドライブを作用させることにより、針先部の先端で電極の酸化膜を除去し、両者の確実な電気的接触を得ることができる。
【0005】
このようなプローブの形成は、先ず、シリコンウエハを基台として、その基台上にフォトリソグラフィ技術を利用してプローブ全体の平面形状を感光性のフォトレジストで模る。次いで、そのレジストにより模られた基台上の凹所に所望とする金属材料を順次堆積する。そして、プローブを形成した後、プローブをその基台から取り外すことにより形成することができる(例えば、特許文献2および特許文献3を参照のこと。)。
【0006】
このとき、形成されたプローブを基台から取りはずために、エッチング技術が利用されている。例えば、基台表面には、プローブの材料と異なる、例えば、銅等の金属材料からなる犠牲層が形成され、その犠牲層上にプローブの材料が堆積される。そして、例えば、エッチング液を用いたウエットエッチによって、その犠牲層を除去することにより、形成されたプローブを基台から剥離して取り外すことができる。
【0007】
しかし、プローブは、多数が基台上に一括的に形成される。そのため、プローブ下層の犠牲層が完全に除去されるまでエッチングを行った場合、微細な多数のプローブがエッチング液中に浮遊することとなり、それらの取り扱いに困難が生じることになる。
【0008】
そのため、プローブ形成時のエッチング処理は、プローブと基台との間に、そのプローブを取り外し容易に支持する支持部として、必要な最小限の適量部分の犠牲層を残した状態で処理を終了することが望ましい。その場合、基台上に留まった状態のプローブをそれぞれ、工具を用いて剥離し、取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−190885号公報
【特許文献2】特開2008−164575号公報
【特許文献3】特開2008−191027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、その場合、上述したエッチング処理の時間が不足すると、多量の犠牲層が支持部としてプローブと基台との間に残ることになる。残存する多量の犠牲層(支持部)によって基台に付着したプローブを引き剥がすには、強い力が必要となる。また、そうした処理では、プローブを変形させてしまう虞がある。
【0011】
そこで、特許文献3に記載されるように、基台上にプローブを形成するに際し、レジストにより模られた基台上の凹所を所定の形状とし、そこにプローブの材料を堆積し、プローブとそれに連結するプローブ固定用の固定タブとを一体的に形成する方法が知られている。
【0012】
図1は、従来のプローブの製造方法を説明する図であり、図1(a)は、プローブと固定タブとを模式的に示す平面図であり、図1(b)は基台上のプローブと固定タブとを模式的に示す断面図である。
【0013】
図1では、プローブ1001の形状を、便宜上、模式的に示している。
図1(a)に示すように、基台(図1(a)中、図示されない。)上には、プローブ1001と、連結部1004を介してプローブ1001と連結する固定タブ1002とが形成される。
【0014】
この従来のプローブ1001の製造方法では、図1(b)に示すように、上述したエッチング処置により、プローブ1001と基台1005との間の犠牲層を残すことなく除去するとともに、所定の面積と形状の固定タブ1002と基台1005との間に、犠牲層の一部として、支持部1003を1点残す。固定タブ1002は、プローブ1001下の犠牲層部分がエッチング処理によって除去されたときに、その固定タブ1002下の犠牲層の一部が残存するのに十分な平面形状を有する。したがって、従来のプローブ1001の製造方法は、基台1005上のプローブ1001それぞれに対し、それに連結する固定タブ1002と基台1005との間にのみ、1点の支持部1003を残すかたちでエッチング処理を行う。
【0015】
その後、従来のプローブ1001の製造方法では、各プローブ1001を、基台1005上に支持部1003によってそれぞれ支持された固定タブ1002から分離する。プローブ1001の分離は、図1(a)の点線で模式的に示すように、連結部1004を所定の位置で分断することによって行われる。その結果、上述したような剥離処理による損傷を与えることなく、プローブ1001を基台1005から取り外すことができる。
【0016】
しかしながら、上述した従来のプローブの製造方法では、プローブ製造の工程で行われる加熱処理等によってプローブや固定タブに生じた応力が、その後のエッチング処理の工程で固定タブに集中することがある。そうした固定タブへの応力の集中は、固定タブに反りを生じさせることがある。その結果、製造工程の途中で、基台上に形成されたプローブが、固定タブに連結されたまま基台から剥離し、基台上から脱落することがあった。そして、プローブの製造歩留まりを低下させることがあった。
【0017】
そこで、基台上に形成されたプローブが、その製造の途中工程で、基台から脱落することを低減できるプローブの製造方法が求められている。
【0018】
本発明は、こうした従来のプローブの製造方法における、基台からのプローブの脱落の問題に鑑みてなされたものである。
【0019】
すなわち、本発明の目的は、基台からのプローブの脱落を低減するプローブの製造方法を提供することである。
【0020】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、プローブの製造方法であって、
基台上に配置された犠牲層上にその犠牲層が露出する凹所を、プローブおよびそのプローブに連結する固定タブの平面形状に対応するようにレジストで形成する第1の工程と、
レジストの凹所内にプローブ材料を堆積し、プローブおよびそのプローブに連結する固定タブを形成する第2の工程と、
レジストを除去する第3の工程と、
エッチング処理により、犠牲層の一部を残してその残部を除去し、その残存する犠牲層の一部により基台上に支持されたプローブおよび固定タブを形成する第4の工程と、
プローブを基台から取り外す第5の工程と
を有し、
第4の工程は、プローブ下の犠牲層部分を残すことなく除去する一方、固定タブの下に犠牲層部分を残し、残存するその犠牲層部分を複数の支持点として、基台上に支持されたプローブおよび固定タブを形成することを特徴とするプローブの製造方法に関する。
【0022】
本発明において、固定タブを基台上に支持する複数の支持点は、それぞれが互いに離間するとともに、基台の面と平行な断面が、円、楕円、多角形および星形よりなる群から選択されたいずれかの断面形状を有し、
第1の工程は、第4工程のエッチング処理によって複数の支持点のそれぞれが円、楕円、多角形および星形よりなる群から選択されたいずれかの断面形状を有して構成されるように、凹所の固定タブの平面形状に対応する部分を形成することが好ましい。
【0023】
本発明において、固定タブを基台上に支持する複数の支持点は、それぞれが互いに離間するとともに、基台の面と平行な断面が等しい面積を有し、
第1の工程は、第4工程のエッチング処理によって複数の支持点のそれぞれの断面の面積が等しくなるように、レジストの凹所の固定タブの平面形状に対応する部分を形成することが好ましい。
【0024】
本発明において、固定タブを基台上に支持する複数の支持点は、それぞれが互いに離間するとともに、基台の面と平行な断面が異なる面積を有し、
第1の工程は、第4工程のエッチング処理によって複数の支持点のそれぞれの断面の面積が異なるように、レジストの凹所の固定タブの平面形状に対応する部分を形成することが好ましい。
【0025】
本発明において、固定タブは、複数の支持板と、その複数の支持板の間の連結する1つ以上の連結部とを有して構成され、
第1の工程は、複数の支持板と1つ以上の連結部とを有する固定タブの平面形状に対応するように、レジストの凹所の固定タブに対応する部分を形成し、
第4の工程は、固定タブの複数の支持板のぞれぞれの下に犠牲層部分を残すことが好ましい。
【0026】
本発明において、連結部は、直線、曲線またはそれらの組み合わせからなる形状を有することが好ましい。
【0027】
本発明において、プローブに連結する固定タブは、そのプローブに連結する第1の支持板と、第1の支持板に連結する第2の支持板とを有して構成され、第1の支持板および第2の支持板はそれぞれ、第4の工程のエッチング処理によってプローブ下の犠牲層部分が除去されたときに、第1の支持板および第2の支持板の下の犠牲層部分が残るのに充分な平面形状を有し、
第1の工程は、プローブ並びに第1の支持板および第2の支持板を有する固定タブの平面形状に対応するように、レジストの凹所を形成し、
第4の工程は、プローブ下の犠牲層部分を残すことなく除去するとともに、第1の支持板および第2の支持板のぞれぞれの下に犠牲層部分を残すようにされ、第1の支持板の下に残存する犠牲層部分と、第2の支持板の下に残存する犠牲層部分とを2点の支持点として、基台上に支持されたプローブおよび固定タブを形成し、
第5の工程は、プローブと固定タブの第1の支持板との間を分離して、プローブを基台から取り外すよう構成されることが好ましい。
【0028】
本発明において、固定タブは、第1の連結部を介してプローブに連結するとともに、第1の支持板と第2の支持板と連結する第2の連結部を有し、
第2の連結部は、直線、曲線またはそれらの組み合わせからなる形状を有し、
第1の工程は、第1の支持板、第2の支持板および第2の連結部を有する固定タブの平面形状に対応するように、レジストの凹所の固定タブに対応する部分を形成することが好ましい。
【0029】
本発明において、第4の工程は、第1の支持板および第2の支持板のぞれぞれの下に犠牲層部分を残すとともに、第1の支持板および第2の支持板の少なくとも一方の下には、互いに離間する複数の犠牲層部分を残すようにされ、
第1の支持板および第2の支持板の下に残存する犠牲層部分の3点以上により基台上に支持されたプローブおよび固定タブを形成することが好ましい。
【0030】
本発明において、プローブに連結する固定タブは、プローブに連結する第1の支持板と、第1の支持板に連結する第2の支持板と第2の支持板に連結する第3の支持板を有して構成され、第1の支持板、第2の支持板および第3の支持板はそれぞれ、第4の工程のエッチング処理によってプローブ下の犠牲層部分が除去されたときに、第1の支持板、第2の支持板および第3の支持板の下の犠牲層部分が残るのに充分な平面形状を有し、
第1の工程は、プローブ並びに第1の支持板、第2の支持板および第3の支持板を有する固定タブの平面形状に対応するように、レジストの凹所を形成し、
第4工程は、プローブ下の犠牲層部分を残すことなく除去するとともに、第1の支持板、第2の支持板および第3の支持板のぞれぞれの下に犠牲層部分を残すようにされ、第1の支持板の下に残存する犠牲層部分、第2の支持板の下に残存する犠牲層部分および第3の支持板の下に残存する犠牲層部分を3点の支持点として、基台上に支持されたプローブおよび固定タブを形成し、
第5工程は、プローブと固定タブの第1の支持板との間を分離して、プローブを基台から取り外すよう構成されることが好ましい。
【0031】
本発明において、固定タブは、第1の連結部を介してプローブに連結するとともに、第1の支持板と第2の支持板とを連結する第2の連結部と、第2の支持板と第3の支持板とを連結する第3の連結部とを有し、
第2の連結部および第3の連結部は、互いに独立に、直線、曲線またはそれらの組み合わせからなる形状を有し、
第1の工程は、第1の支持板、第2の支持板、第3の支持板、第2連結部および第3の連結部を有する固定タブの平面形状に対応するように、レジストの凹所の固定タブに対応する部分を形成することが好ましい。
【0032】
本発明において、プローブは、本体部と、その本体部から横方向へ伸びるアーム部と、そのアーム部に一体的に設けられ、アーム部から縦方向へ伸長してその先端に針が設けられる針先部とを備え、全体に板状の形状を有し、
第1の支持板および第2の支持板はそれぞれ、本体部の面積よりも大きな面積を有し、
第1の工程は、レジストの凹所の本体部に対応する部分の平面形状の面積よりも、固定タブに対応する部分の平面形状の面積が大きくなるように、レジストの凹所を形成することが好ましい。
【0033】
本発明において、固定タブは、プローブの本体部の側部に連結する構造を有し、
第1の工程は、プローブおよびそのプローブの本体部の側部に連結する固定タブの平面形状に対応するように、レジストの凹所を形成することが好ましい。
【0034】
本発明において、プローブのアーム部は、本体部と針先部との間で、プローブの厚み方向に貫通し、且つ、アーム部の長手方向に伸長する開口部が設けられ、
固定タブは、プローブのアーム部の開口部内に配置されて、そのプローブと連結する構造を有し、
第1の工程は、プローブおよびそのプローブのアーム部の開口部内に配置されてそのプローブに連結する固定タブの平面形状に対応するように、レジストの凹所を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、基台からのプローブの脱落を低減するプローブの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】従来のプローブの製造方法を説明する図であり、(a)は、プローブと固定タブとを模式的に示す平面図であり、(b)は基台上のプローブと固定タブとを模式的に示す断面図である。
図2】本発明の実施形態のプローブ組立体を模式的に示す側面図である。
図3】本発明の実施形態のプローブを模式的に示す平面図である。
図4】(a)〜(e)は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法を示す工程図である。
図5】本発明の第1実施形態のプローブの製造方法によって製造されるプローブと第1の連結部と固定タブの構造を模式的に示す図である。
図6】本発明の第1実施形態のプローブの製造方法の途中段階で製造される基台上のプローブと固定タブとを説明する図であり、(a)は、プローブと固定タブとを模式的に示す平面図であり、(b)は基台上のプローブと固定タブとを模式的に示す断面図である。
図7】本発明の第1実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブの別の例を模式的に示す平面図である。
図8】本発明の第1実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブのさらに別の例を模式的に示す平面図である。
図9】本発明の第2実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブの第1例を模式的に示す平面図である。
図10】本発明の第2実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブの第2例を模式的に示す平面図である。
図11】本発明の第2実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブの第3例を模式的に示す平面図である。
図12】本発明の第2実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブの第4例を模式的に示す平面図である。
図13】本発明の第3実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブの第1例を模式的に示す平面図である。
図14】本発明の第3実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブの第2例を模式的に示す平面図である。
図15】本発明の第3実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブの第3例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明のプローブの製造方法によって製造される、本発明の実施形態のプローブは、複数がプローブカードのようなプローブ組立体に用いられて電気的接続装置を構成し、ICのような被検査体の電気的接続のために使用することができる。
【0038】
図2は、本発明の実施形態のプローブ組立体を模式的に示す側面図である。
【0039】
図2に示すように、本発明の実施形態のプローブ組立体10は、平面形状が全体に円形である配線基板12と、配線基板12の下面12aの中央部に取り付けられた矩形平面形状のプローブ基板14と、プローブ基板14の一方の面14aに取り付けられた多数のプローブ16とを備える。
【0040】
各プローブ16は、プローブ基板14の一方の面14a上に形成された対応する導電路(図示されない)のそれぞれの接続部(図示されない)に固着されている。プローブ基板14は、プローブ16が設けられた一方の面14aと反対側の面を配線基板12の下面12aに対向させて、配線基板12に固定されている。
【0041】
配線基板12は、内部に導電路(図されない)が組み込まれた電気絶縁性の材料からなる。配線基板12の上面の周縁部には、テスタ(図示されない)への接続端となる多数のテスタランド(図示されない)が設けられている。配線基板12に取り付けられたプローブ基板14の各プローブ16は、プローブ基板14の対応する導電路および配線基板12内の対応する導電路を経て、上述した配線基板12の対応する各テスタランドに電気的に接続される。これにより、各プローブ16は、配線基板12の対応するテスタランドを経て、上述したテスタに電気的に接続される。
【0042】
図3は、本発明の実施形態のプローブを模式的に示す平面図である。
【0043】
図3は、本発明の実施形態のプローブ16の一例を模式的に示している。したがって、後に説明する、製造時に形成される、固定タブとの間の分離痕は省略している。
【0044】
本発明の実施形態のプローブ16は、全体に平板状の形状を有する。プローブ16は、プローブ基板14(図3中には図示されない。)に設けられた接続部への取付け端22aを有する本体部22と、本体部22の下端から横方向に伸びるアーム部24と、アーム部24の先端から縦方向すなわち下方へ伸びる針先部26とを備え、針先部26の先端に針先26aが形成されている。この本体部22の側部には、後述する固体タブと間の分離痕が残るが、図示省略している。
【0045】
アーム部24には、図示の例では、本体部22と針先部26との間で、プローブ16の板厚方向に貫通し、且つ、アーム部24の長手方向に伸長する開口部28が形成されている。この開口部28により、アーム部24は互いに間隔をおいて並行する一対のアーム部分24a、24bに区画されている。開口部28は、図示の例では、その一端が本体部22に至るように形成されている。
【0046】
また、本体部22には、プローブ16の板厚方向に貫通する開口部30が形成されている。
【0047】
本発明の実施形態のプローブ16において、アーム部24の開口部28を設けない構造も可能であるが、プローブ16が被検査体(図示されない)に押圧されたときに、アーム部24に対して適正な弾性を付与できるように、図示のように開口部28を形成し、開口部28によって区画されるアーム部分24a、24bでアーム部24を構成することが好ましい。
【0048】
また、本発明の実施形態のプローブ16においては、本体部22に開口部30を設けない構造も可能である。しかし、後述するプローブ16の製造工程において、開口部30は、本体部22の下の犠牲層のエッチング処理による除去の促進に有効であり、本体部22に形成されることが好ましい。
【0049】
本発明の実施形態のプローブ16の針先26aは、上述したテスタを用いた、例えば、ICのような被検査体の電気検査のために、被検査体の電極に押圧される。このとき、プローブ16の針先26aは、両アーム部分24a、24bのしなり変形により、適正な弾性を伴って被検査体の電極(図示されない)に確実に接続される。
【0050】
以上に例示された構造の本発明の実施形態のプローブは、本発明のプローブの製造方法によって、例えば、シリコン結晶基板のような基台の上で、多数を一括的に製造することができる。
本発明のプローブの製造方法は、以下の第1〜第5の工程を有して構成される。
【0051】
(第1の工程)
表面に犠牲層の配置された基台を用い、プローブおよびそのプローブに連結する固定タブの平面形状に対応するように、レジストで、基台上の犠牲層上にその犠牲層が露出する凹所を形成する工程。
(第2の工程)
レジストで形成された凹所内にプローブ材料を堆積し、プローブおよびそのプローブに連結する固定タブを形成する工程。
(第3の工程)
基台上のレジストを除去する工程。
(第4の工程)
エッチング処理により、犠牲層の一部を残してその残部を除去し、その残存する犠牲層の一部により基台上に支持されたプローブおよび固定タブを形成する工程。
(第5の工程)
プローブを基台から取り外す工程。
【0052】
本発明のプローブの製造方法は、プローブを構成するプローブ材料を堆積する第2の工程で、プローブとともにそのプローブに連結する固定タブを形成する。そして、第3の工程でレジストを除去した後、第4の工程において、エッチング処理を行い、基台上に、犠牲層の一部により支持されたプローブと固定タブを形成する。このとき、プローブ下の犠牲層は第4の工程の最終段階で除去されており、犠牲層の一部は固定タブの下にのみ残存することになる。したがって、第4の工程の後の、基台上でのプローブの支持は、そのプローブに連結する固定タブが残存する犠牲層の一部によって固定タブが支持されることによって実現される。第2の工程で形成されたプローブは、第4の工程の後、固定タブに支持されて、基台上で浮いた状態になる。
【0053】
そのため、続く第5の工程では、プローブを基台から強い力で引きはがす作業は不要となり、例えば、プローブと固定タブの連結部分の脆弱な部分を折る等してプローブを固定タブから分離し、プローブを基台から取り外すことができる。
【0054】
以上の各工程を有して構成される本発明のプローブの製造方法は、第4の工程によって形成される基台上のプローブとそのプローブに連結する固定タブにおいて、従来技術にはない特徴を備える。
【0055】
すなわち、図1で説明した従来技術では、プローブ1001に連結する固定タブ1002と基台1005との間に、犠牲層の一部として、支持部1003を1点のみ残し、1点の支持部1003により固定タブ1002が基台1005上に支持される構造を形成する。この1点支持の構造は、上述したように、加熱等によって発生する応力が、その1点の支持部1003に集中して、反りを発生させる原因となる。
【0056】
一方、そのような従来技術に対し、本発明のプローブの製造方法では、プローブに連結する固定タブと基台との間で、離間した2点、3点またはそれ以上となる複数の支持部によって、複数点の固定タブの支持を実現する。その結果、固定タブに応力が発生しても、1点の支持点にその応力が集中することはない。固定タブでは、複数の支持点の間の連結部分にその応力を逃がすことができ、固定タブ等において反り等の発生を防止することができる。その結果、本発明のプローブの製造方法は、プローブが製造の途中で基台から脱落することを防止し、プローブを高い歩留まりで製造することができる。
【0057】
本発明のプローブの製造方法では、そうした複数の支持部による固定タブの支持を可能とするため、上述した第2の工程において形成される固定タブの構造を従来にはない新規な構造とする。そして、そのために、本発明のプローブの製造方法は、第1の工程において、レジストの凹所を、その新規な構造の固定タブの平面形状に対応する形状とする。
【0058】
以下、本発明の実施形態のプローブの製造方法について、詳しく説明する。尚、本発明の実施形態のプローブの製造方法では、基台上に多数のプローブを一括的に製造することができるが、図面および説明の簡素化のために、説明に使用する図面には、単一のプローブについての製造工程が便宜的に示されている。
【0059】
また、本発明の実施形態のプローブの製造方法では、途中段階で製造される、基台上に形成されたプローブとそのプローブに連結部を介して連結する固定タブの構造が、上述したように、従来技術にはない特徴的な構造となる。特に、基台上の固定タブの構造が特徴的なものとなる。したがって、本発明の実施形態のプローブの製造方法によって製造されるプローブは、例えば、上述した図3に示す構造を有するものであるが、図面においては、説明の便宜上、その構造を簡略化し、模式的に示すことがある。
【0060】
実施の形態1.
本発明の第1実施形態のプローブの製造方法は、途中の工程で製造される、基台上のプローブとそのプローブに連結する固定タブが、2つの支持部による、固定タブの2点支持によって基台上に固着される構造を有する。そして、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法は、例えば、上述した図3に示す構造のプローブ16を高い歩留まりで製造することができる。
【0061】
図4(a)〜(e)は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法を示す工程図である。
【0062】
本発明の第1実施形態のプローブの製造方法では、第1の工程として、図4(a)に示すように、基台32として、表面がエッチングにより鏡面処理されたシリコン結晶基板が準備される。
【0063】
そして、シリコン結晶基板である基台32上には、犠牲層42が形成される。犠牲層42は、例えば、銅を用い、例えば、スパッタ法等により形成することができる。その場合、銅からなる犠牲層42を成長するに先立って、犠牲層42の成長を促進するために、例えば、ニッケルのような接着層(図示されない)を、スパッタ法等により、基台32上に均一に形成することができる。
【0064】
基台32上、または、基台32上の接着層上には、上述したように、例えば、銅が、スパッタ法等により好適に堆積される。この銅等の堆積により、質および厚さ寸法が均一な犠牲層42が形成される。犠牲層42は、シード層等とも称され、形成材料としては、例えば、上述した銅の他に、銅とニッケルの合金等、後述するエッチング処理をする工程でエッチング可能な材料を選択して用いることができる。
【0065】
次に、犠牲層42上に感光材料からなるフォトレジスト材料が、例えば、スピンコート法により均一な厚さに塗布される。これにより、基台32の全面に均一な感光性のレジスト層(図示されない)が形成される。このレジスト層は、マスク(図示せず)を用いて選択露光され、その後、現像される。このマスクは、プローブ16および後述する第1の連結部34を介してプローブ16に連結する固定タブ36を含むそれら全体の平面形状に対応するパターンを有する。
【0066】
このマスクのパターンのレジスト層への転写により、基台32上には、凹所46aを備えたレジスト46が形成される。レジスト46の凹所46aは、プローブ16、第1の連結部34および固定タブ36からなる全体の平面形状に対応した平面形状を有する。そして、レジスト46は、その凹所46aの底面に犠牲層42を露出させるレジストパターンを形成している。
【0067】
このレジスト46の凹所46aは、上述した図3に示すプローブ16に対応する部分を有する。このプローブ16に対応する部分は、プローブ16の本体部22、アーム部24(一対のアーム部分24a、24b)および針先部26の平面形状に対応する各部分を有している。さらに、レジスト46は、本体部22に対応する部分およびアーム部24に対応する部分において、開口部30および開口部28を形成するためパターンを形成している。
【0068】
また、レジスト46の凹所46aは、プローブ16に対応する部分とともに、第1の連結部34および固定タブ36の平面形状にそれぞれ対応する各部分を有している。固定タブ36は、続く第2工程を説明する際に図5を用いて説明するように、第1の支持板51と第2の支持板53とそれらの間を連結する第2の連結部52とを有して構成される。したがって、本工程では、レジスト46の凹所46aを、上述したようにプローブ16の平面形状に対応するように形成するとともに、第1の支持板51と第2の支持板53とそれらの間を連結する第2の連結部52とを有して構成される固定タブ36の平面形状に対応するように形成する。
【0069】
次に、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法では、第2の工程として、図4(b)に示すように、レジスト46の凹所46a内に、プローブ材料を、例えば、電鋳法(電気メッキ法)により堆積する。その結果、本工程においては、凹所46a内にプローブ16、および、プローブ16に第1の連結部34を介して連結する固定タブ36が、犠牲層42上に固着して形成される。
【0070】
図5は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法によって製造されるプローブと第1の連結部と固定タブの構造を模式的に示す図である。
【0071】
図5では、プローブ16の形状を模式的に示す。そして、図5に示すように、固定タブ36は、第1の連結部34を介してプローブ16に連結する第1の支持板51と、第2の連結部52を介して第1の支持板51に連結する第2の支持板53とを含んで構成される。すなわち、固定タブ36は、第1の支持板51と第2の支持板53とそれらの間を連結する第2の連結部52とを有して構成される。第1の連結部34はその中央部付近に、後述する第5の工程でプローブ16が固定タブ36から分離されるときに分断される、他に比べて幅の狭い脆弱部分34aを有する。そして、固定タブ36は、図3に示したプローブ16の本体部22の、アーム部24の形成側とは反対側の側部に、第1の連結部34を介して連結する構造を有する。
【0072】
固定タブ36の第1の支持板51および第2の支持板53はそれぞれ、後述する本実施形態のプローブの製造方法の第4の工程のエッチング処理によって、プローブ16の本体部22下の犠牲層42部分が除去されたときに、第1の支持板51および第2の支持板53下の犠牲層42部分が残るのに充分な平面形状を有する。例えば、第1の支持板51および第2の支持板53はそれぞれ、図3に示すプローブ16の本体部22の面積よりも大きな面積を有するように構成することができる。尚、その場合の本体部22の面積とは、開口部30を除いた本体部22の面積となる。また、第1の支持板51および第2の支持板53はそれぞれ、図5に示す第1の連結部34および第2の連結部52のいずれよりも大きな平面形状を有する。
【0073】
上述した本実施形態のプローブの製造方法の第1の工程は、図4(a)に示すレジスト46の凹所46aを、プローブ16の本体部22、アーム部24(一対のアーム部分24a、24b)および針先部26の平面形状に対応するように形成する。そして、併せて、プローブ16に連結する、第1の支持板51と第2の支持板53とそれらの間を連結する第2の連結部52とを有して構成される固定タブ36の平面形状に対応するように形成する。その結果、続く図4(b)の第2の工程においては、上述した形状の固定タブ36の第1の支持板51(図4(b)中には、図示されない。)と第2の支持板53(図4(b)中には、図示されない。)とが実現される。
【0074】
プローブ材料としては、一種の材料のみを用いることができ、また、異種材料を組み合わせて用いることもできる。例えば、プローブ材料として金属材料を用いる場合、単体の金属を用いることができ、また、合金を用いることもできる。プローブ材料に用いることができる金属材料としては、具体的には、ニッケル、金、銀、錫、亜鉛、ロジウム、タングステン等の金属単体や、それらを含む、例えば、ニッケル燐合金等の合金、または、それら金属単体や合金を複数種組み合わせて形成されたもの等を挙げることができる。
【0075】
次に、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法では、第2の工程で、犠牲層42上にプローブ16、第1の連結部34および固定タブ36を一体的に形成した後、図4(c)に示すように、第3の工程として、レジスト46の除去が行われる。
【0076】
次に、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法では、このレジスト46の除去後、第4の工程として、エッチング処理を行う工程を有する。この第4の工程では、プローブ16を基台32上から取り外すために、犠牲層42のプローブ16下に位置する部分を除去するよう、エッチング液を用いたエッチング処理(ウェットエッチング処理)が施される。このウエットエッチング処理により、図4(d)に示されているように、まず、犠牲層42の、プローブ16、第1の連結部34および固定タブ36から露出する部分が、それらの縁部より浸食を受ける。
【0077】
そして、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法では、第4の工程における引き続きのエッチング処理により、図4(e)に示すように、犠牲層42がさらなる浸食を受ける。
【0078】
本発明の第1実施形態のプローブの製造方法の第4の工程のエッチング処理において、エッチング液による犠牲層42の浸食は、プローブ16、第1の連結部34および固定タブ36それぞれの縁部からそれぞれの中央部へ向けて進行する。このとき、上述したように、固定タブ36の第1の支持板51および第2の支持板53はそれぞれ、例えば、図3に示すプローブ16の本体部22の面積よりも大きな面積となる形状を有する。そして、アーム部24(一対のアーム部分24a、24b)および針先部26のいずれよりも、幅広の形状を有する。また、第1の支持板51および第2の支持板53はそれぞれ、図5に示す第1の連結部34および第2の連結部52のいずれよりも大きな平面形状を有する。
【0079】
その結果、図4(e)に示すように、犠牲層42は、プローブ16下および第1の連結部34下の部分で除去されても、固定タブ36の第1の支持板51下の中央部下の犠牲層部分42aが残存する。同様に、第2の支持板53下の中央部下の犠牲層部分42bが残存する。
【0080】
図6は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法の途中段階で製造される基台上のプローブと固定タブとを説明する図であり、図6(a)は、プローブと固定タブとを模式的に示す平面図であり、図6(b)は基台上のプローブと固定タブとを模式的に示す断面図である。
【0081】
図6(a)および図6(b)に示すように、第4の工程では、エッチング処理により、犠牲層42の一部を残してその残部を除去し、その残存する犠牲層42の一部によって基台32上に支持されたプローブ16および固定タブ36を形成する。
【0082】
図4(e)および図6(b)に示すように、エッチング処理の後の状態では、基台32から分離すべきプローブ16は、第1の連結部34と共に基台32から浮いた状態にあり、第1の連結部34に連結された固定タブ36の第1の支持板51および第2の支持板53が残存する犠牲層部分42a、42bを介して基台32に固着された状態にある。
【0083】
すなわち、第4の工程は、エッチング処理によって、プローブ16下の犠牲層42部分を残すことなく除去するとともに、固定タブ36の第1の支持板51および第2の支持板53のぞれぞれの下に犠牲層部分42a、42bを残すように行われる。そして、第4の工程では、第1の支持板51の下に残存する犠牲層部分42aを第1の支持点とし、第2の支持板53の下に残存する犠牲層部分42bを第2の支持点として、第1の支持点および第2の支持点の2点により基台32上に支持されたプローブ16および固定タブ36を形成する。
【0084】
したがって、プローブ16は、固定タブ36の第1の支持板51下の第1の支持点である犠牲層部分42aおよび第2の支持板53下の第2の支持点である犠牲層部分42bを用いて基台32上に保持されており、プローブ16が基台32から脱離することはない。
【0085】
また、第1の支持点である犠牲層部分42aと第2の支持点である犠牲層部分42bとは、それぞれ、固定タブ36の第1の支持板51の下と、第1の支持板51に第2の連結部52とを介して連結する第2の支持板53の下に形成される。第1の支持板51と第2の支持板53とは離間するように設けられ、第2の連結部52によって互いに連結されている。したがって、第1の支持点である犠牲層部分42aと第2の支持点である犠牲層部分42bとは、固定タブ36の下層で互いに離間して配置されている。
【0086】
このように、離間する2点の支持点として、第1の支持板51の下に犠牲層部分42aを形成し、第2の支持板53の下に犠牲層部分42bを形成することにより、固定タブ36に応力が生じても、その応力を、第1の支持板51と第2の支持板53との連結部分となる第2の連結部52に逃がすことができる。
【0087】
例えば、プローブ16の製造の工程でプローブ16の加熱処理が行われた場合、プローブ16や固定タブ36の2点の支持点である犠牲層部分42a、42bで応力が発生することがある。しかし、犠牲層部分42a、42bで発生した応力は、その部分に集中することなく、第1の支持板51および第2の支持板53を介してそれらを連結する第2の連結部52に逃げることができる。
【0088】
すなわち、本実施形態のプローブの製造方法の途中の工程で形成されるプローブ16とプローブ16に連結する固定タブ36では、固定タブ36が、犠牲層部分42a、42bを用いて、基台32上に2点で支持される。そして、固定タブ36を支持する犠牲層部分42a、42bに応力がかかっても、それらを連結する部分にその応力を逃がすことができ、反りの発生を抑えて、固定タブ36とともにプローブ16が基台32から脱落するのを防ぐことができる。そして、プローブ16の製造歩留まりの低下を抑制することができる。
【0089】
ここで、第1の支持板51および第2の支持板53の下に形成され、第1の支持点となる犠牲層部分42aと第2の支持点となる犠牲層部分42bとは、それらの形状を多様な形状とすることができる。そして特に、犠牲層部分42a、42bの、基台32面と平行な面の断面形状を、それぞれ独立に、多様な形状とすることができる。
【0090】
例えば、固定タブ36を基台32上に支持する犠牲層部分42a、42bは、それぞれ独立に、基台32面と平行な断面が、円、楕円、多角形および星形よりなる群から選択されたいずれかの形状を有することができる。
【0091】
犠牲層部分42a、42bは、上述したように、第4工程のエッチング処理によって形成されており、そのため、犠牲層部分42a、42bの形状、特にその断面形状は、その上に配置される第1の支持板51および第2の支持板53の形状によって制御される。したがって、第2の工程で形成される固定タブ36の第1の支持板51と第2の支持板53それぞれの形状を制御することで、第1の支持点である犠牲層部分42aと第2の支持点である犠牲層部分42bの断面形状を制御することができる。
【0092】
そして、第2の工程で形成される固定タブ36の第1の支持板51と第2の支持板53それぞれの形状は、図4(a)に示した第1の工程のレジスト46の凹所46aの形状によって決められる。したがって、犠牲層部分42a、42bの断面形状の制御は、第4の工程のエッチング処理の条件とともに、第1の工程のレジスト46の凹所46aの形状を制御することによって実現できる。
【0093】
すなわち、上述した第1の工程は、第4工程のエッチング処理によって2点の支持点となる犠牲層部分42a、42bのそれぞれが、上述した断面形状を有して構成されるように、レジスト46の凹所46aの固定タブ36の平面形状に対応する部分を形成することができる。
【0094】
また、第1の支持点である犠牲層部分42aと第2の支持点である犠牲層部分42bとは、図6に示すように、基台32面と平行な断面が等しい面積を有するように形成することが可能である。こうすることで、固定タブ36を支持する犠牲層部分42a、42bに応力がかかっても、それらを連結する部分、すなわち第2の連結部52に、その応力を効率よく逃がすことができる。
【0095】
しかし、第1の支持点である犠牲層部分42aと第2の支持点である犠牲層部分42bの断面積は、必ずしも等しくする必要はなく、上述した応力を逃がすことが可能であれば、犠牲層部分42a、42bの基台32の面と平行な断面が異なる面積を有するように形成することも可能である。
【0096】
その場合、上述した第1の工程は、第4工程のエッチング処理によって2点の支持点となる犠牲層部分42a、42bのそれぞれが、所望とする断面積を有して構成されるように、レジスト46の凹所46aの固定タブ36の平面形状に対応する部分を形成することができる。そのために、例えば、第1の支持板51と第2の支持板53とは、互いに、異なる面積および/または異なる形状となる。
【0097】
次に、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法は、基台32からのプローブ16の取り外しを行う。すなわち、実施形態のプローブの製造方法は、第4の工程で犠牲層部分42a、42bが残存する状態でエッチング処理を終了した後、第5の工程(図4中、図示されない。)として、プローブ16を、固定タブ36の第1の支持板51から分離し、基台32から取り外す。
【0098】
この第5の工程においては、プローブ16に従来のような強い剥離力を作用させることなく、プローブ16を基台32から取り外すことができる。このプローブ16を固定タブ36から分離するには、例えば、ピンセット、ヘラまたはナイフのような工具でプローブ16を下から保持し、これを全体的に持ち上げることにより、図6に示した第1の連結部34の最小幅部分、すなわち、第1の連結部34に形成された脆弱部分34aで折り取ることができる。また、プローブ16を形成するプローブ金属材料が磁性材料の場合、プローブ16の取り扱いに磁石を用いることができる。
【0099】
以上の各工程により、本発明の第1の実施形態のプローブの製造方法は、プローブ16の基台32からの脱落を防止し、優れた製造歩留まりでプローブ16の製造を行うことができが、さらに、その途中段階において、プローブ16の強度を高める工程を設けることも可能である。
【0100】
例えば、第1実施形態のプローブの製造方法は、第4の工程のエッチング処理の途中で、加熱工程を設けること可能である。すなわち、図4(d)に示すエッチング処理の後、図4(e)に示す、さらなるエッチング処理の前に、加熱処理工程を設けることができる。基台32上に支持されたプローブ16に対して熱処理を施すことにより、プローブ16の強度を高めることができる。
【0101】
このとき、加熱によってプローブ16に反り返り力が導入される懸念がある。こうした反り返り力の導入は、プローブの製造歩留まりの低下の原因となるため、その対策が求められる。
【0102】
したがって、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法は、こうした熱処理等により、基台32上のプローブ16に発生する反りを防止するため、プローブ16を基台32上で支持する補助支持部を設けることが可能である。例えば、図3のプローブ16の、針先部26のあるアーム部24の先端部分と基台との間に、補助支持部を設けることが可能である。
【0103】
この補助支持部は、第4の工程において、プローブ16下の犠牲層42をエッチング処理して除去するときに、残存する犠牲層42の一部として形成することができる。このような補助支持部を設けることにより、プローブ16は、相離れた2点で基台32上に支持されて、加熱による変形が抑制される。
【0104】
尚、プローブ16下の、例えば、上述した針先部26の下に犠牲層42の一部として保持支持部を形成するため、図4(d)に示すエッチング処理の前に、新たなレジスト形成処理を行い、そのレジストによる保護によって、エッチングの進行を抑え、犠牲層42の一部として残存する補助支持部を形成することができる。そして、形成された補助支持部は、図4(e)に示す、さらなるエッチング処理のより、除去することができる。
【0105】
以上の第1〜第5の工程により、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法は、プローブ16に連結する固定タブ36と基台32との間で、離間した2点の支持部による2点の支持を実現し、プローブ16の基台32からの脱落を防止し、優れた製造歩留まりでプローブ16の製造を行う。
【0106】
そして、そのために、第1実施形態のプローブの製造方法は、基台32上で第1の連結部34を介してプローブ16に連結する固定タブ36が、上述したように、第1の連結部34に連結する第1の支持板51と、第2の支持板53と、それらを連結する第2の連結部52とから構成される。この場合、固定タブ36の構造が重要となる。固定タブ36は図5および図6に例示されるが、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法では、固定タブ36の構造は、図5および図6に示されたものに限られるわけではない。
【0107】
例えば、固定タブ36において、第2の連結部52の形状は、図6に示す直線形状のみではなく、曲線、または、直線と曲線の組合せからなる構造とすることができる。
【0108】
図7は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブの別の例を模式的に示す平面図である。
【0109】
図7に示す別の例においては、第2の連結部52−2の構造のみが図6に示した例と異なっている。したがって、その他の共通する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明は省略する。尚、このことは、後述する図8に示す、さらに別の例についても同様である。
【0110】
図7に示す別の例において、基台(図示されない)上に形成されるプローブ16と固定タブ36−2では、第1の連結部34に連結する第1の支持板51と、第2の支持板53と、それらを連結する第2の連結部52−2とを有して構成される。第1の支持板51の下には、犠牲層部分42aが第1の支持部として形成され、第2の支持板53の下には、犠牲層部分42bが第2の支持部として形成されている。
【0111】
固定タブ36−2の第2の連結部52−2は、湾曲する曲線状に形成される。固定タブ36−2の第2の連結部52−2がこのような構造を有することにより、固定タブ36−2を支持する犠牲層部分42a、42bに応力がかかっても、それらを連結する第2の連結部52−2にその応力を効率良く逃がすことができる。
【0112】
図8は、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブのさらに別の例を模式的に示す平面図である。
【0113】
図8に示すさらに別の例において、基台(図示されない)上に形成されるプローブ16と固定タブ36−3では、第1の連結部34に連結する第1の支持板51と、第2の支持板53と、それらを連結する第2の連結部52−3とを有して構成される。第1の支持板51の下には、犠牲層部分42aが第1の支持部として形成され、第2の支持板53の下には、犠牲層部分42bが第2の支持部として形成されている。
【0114】
固定タブ36−3の第2の連結部52−3は、湾曲する曲線状に形成される。そして、第2の支持板53の配置位置が、図6の例および図7の別の例と異なっている。すなわち、プローブ16と第1の連結部34の連結部分と、第1の支持板51の中心部分との間を結ぶ直線上から、第2の支持板53の中心部分が外れるように第2の支持板53の配置がなされている。図8の例では、上述した直線上から上方に外れるように第2の支持板53が設けられ、その第2の支持板53と第1の支持板51との間を湾曲する第2の連結部52−3が連結する構造を有する。
【0115】
固定タブ36−3の第2の連結部52−3がこのような湾曲構造を有し、第2の支持板53を上述の配置とすることにより、固定タブ36−3を支持する犠牲層部分42a、42bに応力がかかっても、それらを連結する第2の連結部52−3にその応力を効率良く逃がすことができる。そしてさらに、基台32上での固定タブ36−3の形成面積をより小さくすることができ、基台上により多くのプローブ16を形成することができる。
【0116】
実施の形態2.
本発明の第2実施形態のプローブの製造方法は、途中の工程で製造される、基台上のプローブとそのプローブに連結する固定タブが、3つの支持部による、固定タブの3点支持によって基台上に固着される構造を有する。
【0117】
そして、本発明の第2実施形態のプローブの製造方法は、途中の工程で製造される、基台上のプローブとそのプローブに連結する固定タブが、上述した3点支持の構造であること以外、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法と同様となる。すなわち、本発明の第2実施形態のプローブの製造方法は、上述した第1実施形態のプローブの製造方法と同様の第1の工程〜第5の工程を有する。そして、第4工程の後、基台上のプローブとそのプローブに連結する固定タブが、3つの支持部による、固定タブの3点支持によって基台上に固着された状態で製造される。
【0118】
そのため、第1の工程では、上述したのと同様の方法で、レジストの凹所の固定タブの平面形状に対応する部分を、固定タブの3点支持に対応する形状とする。その結果、第2の工程では、上述したのと同様の方法に従い、プローブおよびそのプローブに連結する固定タブの形状が、上述の3点支持に対応する形状となる。そして、第4の工程で、上述したのと同様の方法により、基台上のプローブとそのプローブに連結する固定タブが、3つの支持部による、固定タブの3点支持によって基台上に固着される構造を実現する。
【0119】
したがって、以下の本発明の第2実施形態のプローブの製造方法の説明においては、主に、途中の工程で製造される、基台上のプローブとそのプローブに連結する固定タブの形状について説明する。そのとき、第1実施形態のプローブの製造方法と共通する構成要素については、同一の符号を用いるようにし、重複する説明は省略する。
【0120】
本発明の第2実施形態のプローブの製造方法においては、第1実施形態と同様に、例えば、上述した図3に示す構造のプローブ16を高い歩留まりで製造することができる。
【0121】
図9は、本発明の第2実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブの第1例を模式的に示す平面図である。
【0122】
図9に第1例として示される、基台(図示されない)上に形成されるプローブ16と固定タブ136は、上述したように、第1実施形態のプローブの製造方法と同様の第1工程〜第3の工程の後、第4の工程のエッチング処理によって形成される。尚、図9では、プローブ16の形状を模式的に示す。
【0123】
そして、図9に示すように、固定タブ136は、第1の連結部34を介してプローブ16に連結する第1の支持板151と、第2の連結部152を介して第1の支持板151に連結する第2の支持板153と、第3の連結部161を介して第2の支持板153と連結する第3の支持板162とを含んで構成される。すなわち、固定タブ136は、第1の支持板151、第2の支持板153、第3の支持板162、第1の支持板151と第2の支持板153との間を連結する第2の連結部152、および、第2の支持板153と第3の支持板162との間を連結する第3の連結部161を有して構成される。この固定タブ136は、図3に示したプローブ16の本体部22の、アーム部24の形成側とは反対側の側部に、第1の連結部34を介して連結する構造を有する。
【0124】
そして、第1の支持板151、第2の支持板153および第3の支持板162の下には、犠牲層42の一部である、犠牲層部分42c、42d、42eがそれぞれ形成され、それらが3つの支持部を構成している。すなわち、第1の支持板151の下には、犠牲層部分42cが第1の支持部として形成され、第2の支持板153の下には、犠牲層部分42dが第2の支持部として形成され、第3の支持板162の下には、犠牲層部分42eが第3の支持部として形成されている。
【0125】
その結果、第1の支持板151、第2の支持板153および第3の支持板162の下の、これら犠牲層部分42c、42d、42eの形成により、基台上のプローブ16とそのプローブ16に連結する固定タブ136が、3つの支持部による、固定タブ136の3点支持によって基台上に固着される構造を実現する。
【0126】
また、固定タブ136の第2の連結部152は、湾曲する曲線状に形成される。同様に、第3の連結部161も、湾曲する曲線状に形成される。
そして、プローブ16と第1の連結部34の連結部分、第1の支持板151の中心部分および、第2の支持板153の中心部分の間を結ぶ直線上から、第3の支持板162の中心部分が外れるように第3の支持板162の配置がなされている。図9の例では、上述した直線上から上方側に外れるように第3の支持板162が設けられる構造を有する。
【0127】
固定タブ136の第2の連結部152および第3の連結部161が上述のような湾曲構造を有し、また、第3の支持板162を上述の配置とすることにより、固定タブ136を支持する犠牲層部分42c、42d、42eに応力がかかっても、それらを連結する第2の連結部152および第3の連結部161にその応力を効率良く逃がすことができる。その結果、本発明の第2実施形態のプローブの製造方法は、プローブ16の基台からの脱落を防止し、優れた製造歩留まりでプローブの製造を行う。そしてさらに、基台上での固定タブ136の形成面積をより小さくすることができ、基台上により多くのプローブ16を形成することができる。
【0128】
また、第2実施形態のプローブの製造方法は、途中の工程で製造される基台上に形成されるプローブ16と固定タブ136において、第3の連結部161の形状を直線状に形成することも可能である。
【0129】
図10は、本発明の第2実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブの第2例を模式的に示す平面図である。
【0130】
図10に第2例として示される、基台(図示されない)上に形成されるプローブ16と固定タブ236は、第3の連結部161−2の構造が直線状とされているところが異なっている以外、上述した図9の第1例と同様の構造を有する。したがって、共通する構成要素に同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0131】
また、後述する、図11に第3例として示される、基台(図示されない)上に形成されるプローブ16と固定タブ336、および、図12に第4例として示される、基台(図示されない)上に形成されるプローブ16と固定タブ436においても、固定タブ336、436の構造が異なる以外、上述した図9の第1例と同様の構造を有する。したがって、共通する構成要素に同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0132】
固定タブ236の第2の連結部152は、湾曲する曲線状に形成される。一方、第3の連結部161−2は、直線状に形成される。
そして、プローブ16と第1の連結部34の連結部分、第1の支持板151の中心部分および、第2の支持板153の中心部分の間を結ぶ直線上から、第3の支持板162の中心部分が外れるように第3の支持板162の配置がなされている。図10の例では、上述した直線上から上方側に外れるように第3の支持板162が設けられる構造を有する。
【0133】
固定タブ136の第2の連結部152および第3の連結部161−2が上述のような構造を有し、また、第3の支持板162を上述の配置とすることにより、固定タブ136を支持する犠牲層部分42c、42d、42eに応力がかかっても、それらを連結する第2の連結部152および第3の連結部161−2にその応力を効率良く逃がすことができる。そしてさらに、基台上での固定タブ136の形成面積をより小さくすることができ、基台上により多くのプローブ16を形成することができる。
【0134】
次に、本発明の第2実施形態のプローブの製造の途中段階で製造される基台上のプローブと固定タブとにおいては、固定タブの構造をさらに別の構成とすることが可能である。すなわち、第2実施形態のプローブの製造の途中段階で製造される基台上のプローブと固定タブは、固定タブを構成する各支持板の下に、離間する複数の犠牲層部分を残存させて、支持点を複数設けることが可能である。
【0135】
例えば、固定タブを第1の支持板と第2の支持板の2つの支持板から構成し、そのうちの一方の下に離間する2つの犠牲層部分を残存させ、もう一方の下に1つの犠牲層部分を残存させることができる。そして、第1の支持板と第2の支持板の下の、合計して3つの犠牲層部分を支持点とし、3つの支持部による、固定タブの3点支持によって基台上にプローブと固定タブが固着される構造を有することができる。
【0136】
図11は、本発明の第2実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブの第3例を模式的に示す平面図である。
【0137】
図11に第3例として示される、基台(図示されない)上に形成されるプローブ16と固定タブ336は、上述したように、第1実施形態のプローブの製造方法と同様の第1工程〜第3の工程の後、第4の工程のエッチング処理によって形成される。尚、図11では、プローブ16の形状を模式的に示す。
【0138】
そして、図11に示すように、固定タブ336は、第1の連結部34を介してプローブ16に連結する第1の支持板351と、第2の連結部352を介して第1の支持板351に連結する第2の支持板353とを含んで構成される。すなわち、固定タブ336は、第1の支持板351、第2の支持板353、および、第1の支持板351と第2の支持板353との間を連結する第2の連結部352を有して構成される。この固定タブ336は、図3に示したプローブ16の本体部22の、アーム部24の形成側とは反対側の側部に、第1の連結部34を介して連結する構造を有する。
【0139】
そして、第1の支持板351は、小判状の形状を有し、第2の支持板353は円形状の形状を有する。
【0140】
そして、第1の支持板351の下には、犠牲層42の一部である、第1の支持板351の長手方向に離間する2つの犠牲層分42c、42dが形成されて第1の支持部と第2の支持部が形成される。第2の支持板353の下には、犠牲層42の一部である、犠牲層部分42eが形成され、第3の支持部が形成される。すなわち、第1の支持板351と第2の支持板353の下の、互いに離間する3つの犠牲層分42c、42d、42eが、固定タブ336を基板上に支持する、3つの支持部を構成している。
【0141】
その結果、第1の支持板351および第2の支持板353の下の、これら互いに離間する犠牲層部分42c、42d、42eの形成により、基台上のプローブ16とそのプローブ16に連結する固定タブ336が、3つの支持部による、固定タブ336の3点支持によって基台上に固着される構造を実現する。
【0142】
また、固定タブ336の第2の連結部352は、直線状に形成される。
そして、小判状の第1の支持板351の長手方向と第2の連結部352とが直交するように第2の支持板353が配置される。図11の例では、上述した第1の支持板351の上方側に第2の支持板353が設けられる構造を有する。その結果、図11に示す例では、犠牲層部分42cの中心部分と犠牲層部分42dの中心部分とを結ぶ直線が、犠牲層部分42dの中心部分と犠牲層部分42eの中心部分とを結ぶ直線と直交するようになる。
【0143】
固定タブ336の第1の支持板351、第2の支持板353および第2の連結部352が上述のような構造を有することにより、固定タブ336を支持する犠牲層部分42c、42d、42eに応力がかかっても、それらを連結する第1の支持板351の部分および第2の連結部352にその応力を効率良く逃がすことができる。その結果、本発明の第2実施形態のプローブの製造方法は、プローブ16の基台からの脱落を防止し、優れた製造歩留まりでプローブの製造を行う。そしてさらに、基台上での固定タブ336の形成面積をより小さくすることができ、基台上により多くのプローブ16を形成することができる。
【0144】
図12は、本発明の第2実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブの第4例を模式的に示す平面図である。
【0145】
図12に第4例として示される、基台(図示されない)上に形成されるプローブ16と固定タブ436は、上述したように、第1実施形態のプローブの製造方法と同様の第1工程〜第3の工程の後、第4の工程のエッチング処理によって形成される。尚、図12では、プローブ16の形状を模式的に示す。
【0146】
そして、図12に示すように、固定タブ436は、第1の連結部34を介してプローブ16に連結する第1の支持板451と、第2の連結部352を介して第1の支持板451に連結する第2の支持板353とを含んで構成される。すなわち、固定タブ436は、第1の支持板451、第2の支持板353、および、第1の支持板451と第2の支持板353との間を連結する第2の連結部352を有して構成される。この固定タブ436は、図3に示したプローブ16の本体部22の、アーム部24の形成側とは反対側の側部に、第1の連結部34を介して連結する構造を有する。
【0147】
そして、第1の支持板451は、図11の第3例の第1の支持板351と同様の小判状の形状を有し、さらに、犠牲層部分42cの形成部分と犠牲層部分42dの形成部分と間の中央部分に開口部460を有している。このような開口部460を設けることにより、第2実施形態のプローブの製造方法の第4の工程のエッチング処理において、犠牲層部分42cおよび犠牲層部分42dの形成を促進することができる。
【0148】
このような開口部460を第1の支持板451設けること以外、固定タブ436は、図11の第3例の固定タブ336と同様構造を有する。
【0149】
固定タブ436の第1の支持板451が、開口部460を備えた上述の構造を有することにより、第4の工程において、所望とする形状の犠牲層42c、42dの形成を促進できる。そして、固定タブ436を支持する犠牲層部分42c、42d、42eに応力がかかっても、それらを連結する第1の支持板451の部分および第2の連結部352にその応力を効率良く逃がすことができる。そしてさらに、基台上での固定タブ436の形成面積をより小さくすることができ、基台上により多くのプローブ16を形成することができる。
【0150】
実施の形態3.
上述した本発明の第1実施形態のプローブの製造方法は、途中の工程で製造される、基台上のプローブおよび固定タブにおける固定タブが、プローブの本体部の側部に連結される構造を有する。そして、2つの支持部による、固定タブの2点支持によって、プローブとそれに連結する固定タブが基台上に固着される構造を有していた。
【0151】
それに対し、本発明の第3実施形態のプローブの製造方法は、途中の工程で製造される、基台上のプローブおよび固定タブにおいて、固定タブがプローブのアーム部に設けられた開口部内に配置されて、プローブと連結する構造を有する。そして、基台上のプローブおよび固定タブは、複数の支持部による、固定タブの複数点支持によって、プローブと固体タブとがその基台上に固着される構造を有する。
【0152】
本発明の第3実施形態のプローブの製造方法は、途中の工程で製造される、基台上のプローブとそのプローブに連結する固定タブが、上述の構造であること以外、本発明の第1実施形態のプローブの製造方法と同様となる。すなわち、本発明の第3実施形態のプローブの製造方法は、上述した第1実施形態のプローブの製造方法と同様の第1の工程〜第5の工程を有する。そして、第4工程の後、基台上のプローブとそのプローブに連結する固定タブが、複数の支持部による、固定タブの複数点支持によって基台上に固着された状態で製造される。
【0153】
そのため、第1の工程では、上述したのと同様の方法で、レジストの凹所の固定タブの平面形状に対応する部分を、固定タブがプローブのアーム部に設けられた開口部内に配置される構造に対応する形状とする。その結果、第2の工程では、上述したのと同様の方法にしたがい、プローブおよびそのプローブに連結する固定タブの形状が、上述の構造に対応する形状となる。そして、第4の工程で、上述したのと同様の方法により、基台上のプローブとそのプローブのアーム部に設けられた開口部内に配置されてプローブに連結する固定タブが、2つの支持部による、固定タブの2点支持によって基台上に固着される構造を実現する。
【0154】
したがって、以下の本発明の第3実施形態のプローブの製造方法の説明においては、主に、途中の工程で製造される、基台上のプローブとそのプローブに連結する固定タブの形状について説明する。そのとき、第1実施形態のプローブの製造方法と共通する構成要素については、同一の符号を用いるようにし、重複する説明は省略する。
【0155】
本発明の第3実施形態のプローブの製造方法においては、第1実施形態と同様に、例えば、上述した図3に示す構造のプローブ16を高い歩留まりで製造することができる。
【0156】
図13は、本発明の第3実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブの第1例を模式的に示す平面図である。
【0157】
図13は、特徴が明確となるように固定タブ536等を模式的に示しており、例えば、プローブ16に対する固定タブ536の大きさの比率は、図13に示すものに限られるわけではなく、適宜変更し得るものとなる。
【0158】
図13に例示される、基台(図示されない)上に形成されるプローブ16と固定タブ536は、上述したように、第1実施形態のプローブの製造方法と同様の第1工程〜第3の工程の後、第4の工程のエッチング処理によって形成される。そして、第5の工程によってプローブ16と固定タブ536とが分離され、図3に示したのと同様のプローブ16を得ることができる。
【0159】
全体に平板状を呈するプローブ16は、図3にも示したように、開口部30を備えた本体部22と、本体部22の下端から横方向に伸びるアーム部24と、アーム部24の先端から縦方向すなわち下方へ伸びる針先部26とを備え、針先部26の先端に針先26aが形成されている。
【0160】
アーム部24には、本体部22と針先部26との間で、プローブ16の板厚方向に貫通し、且つ、アーム部24の長手方向に伸長する開口部28が形成されている。この開口部28により、アーム部24は互いに間隔をおいて並行する一対のアーム部分24a、24bに区画されている。開口部28の一端は、本体部22に至っている。
【0161】
図13に示す第1例では、固定タブ536は、プローブ16のアーム部24の開口部28内に配置されて、プローブ16の本体部22の開口部28を形成する側部と連結する構造を有する。
【0162】
そして、図13に示すように、固定タブ536は、第1の連結部534を介してプローブ16に連結する第1の支持板551と、第2の連結部552を介して第1の支持板551に連結する第2の支持板553とを含んで構成される。すなわち、固定タブ536は、第1の支持板551、第2の支持板553、および、第1の支持板551と第2の支持板553との間を連結する第2の連結部552を有して構成される。
【0163】
固定タブ536の第1の支持板551および第2の支持板553の下には、犠牲層42の一部である、犠牲層部分42f、42gがそれぞれ形成され、それらが2つの支持部を構成している。すなわち、第1の支持板551の下には、犠牲層部分42fが第1の支持部として形成され、第2の支持板553の下には、犠牲層部分42gが第2の支持部として形成されている。
以上の基台上の固定タブ536の構造は、第1実施形態のプローブの製造方法の途中の工程で製造される、図6の固定タブ36の構造と同様である。
【0164】
その結果、第1の支持板551および第2の支持板553の下の、これらの犠牲層部分42f、42gの形成により、基台上のプローブ16とそのプローブ16に連結する固定タブ536が、2つの支持部による、固定タブ536の2点支持によって基台上に固着される構造を実現する。
【0165】
固定タブ536が第1の支持板551と第2の支持板553とからなり、また、それらが第2の連結部552により連結される構造を有することにより、固定タブ536の第1の支持板を支持する犠牲層部分42fと第2の支持板を支持する犠牲層部分42gに応力がかかっても、それらを連結する第2の連結部152にその応力を逃がすことができる。その結果、本発明の第3実施形態のプローブの製造方法は、プローブ16の基台からの脱落を防止し、優れた製造歩留まりでプローブ16の製造を行うことができる。
【0166】
さらに、本発明の第3実施形態のプローブの製造方法は、基台上に形成する固体タブ536を、プローブ16のアーム部24の開口部28内に配置することにより、基台上でのプローブ16と固定タブ536の形成面積をより小さくすることができ、基台上により多くのプローブ16を形成することができる。
【0167】
そして、本発明の第3実施形態のプローブの製造方法は、第4の工程において、図13に示した基台上のプローブ16と固定タブ536とを製造した後、上述した第1実施形態および第2実施形態と同様に、基台からのプローブ16の取り外しを行うことができる。すなわち、実施形態のプローブの製造方法は、第4の工程で犠牲層部分42f、42gが残存する状態でエッチング処理を終了した後、第5の工程で、プローブ16を、固定タブ536の第1の支持板551から分離し、基台から取り外す。
【0168】
この第5の工程においては、プローブ16に従来のような強い剥離力を作用させることなく、プローブ16を基台から取り外すことができる。このプローブ16を固定タブ36から分離するには、上述した第1実施形態および第2実施形態と同様に、例えば、ピンセット、ヘラまたはナイフのような工具でプローブ16を下から保持し、これを全体的に持ち上げることにより、第1の連結部534の最小幅部分で折り取ることができる。また、プローブ16を形成するプローブ金属材料が磁性材料の場合、プローブ16の取り扱いに磁石を用いることができる。
【0169】
以上のように、本発明の第3実施形態のプローブの製造方法においては、途中の工程で製造される基台上のプローブ16と固定タブ536とにおいて、固定タブ536がプローブ16のアーム部24に設けられた開口部28内に配置されて、プローブ16と連結する構造を有するが、固定タブ536の構造は、図13に示されたものに限られるわけではない。固定タブ536は、プローブ16のアーム部24に設けられた開口部28内に配置され、犠牲層部分42f、42gによる2点支持の構造を実現するものであれば多様な構造を有することができる。
【0170】
以下、本発明の第3実施形態のプローブの製造方法の途中の工程で製造される基台上のプローブと固定タブの構造の別の例について、具体的に説明する。
【0171】
図14は、本発明の第3実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブの第2例を模式的に示す平面図である。
【0172】
図14に示す第2例においては、固定タブ636の構造のみが図13に示した第1例と異なっており、その他の共通する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明は省略する。尚、後述する図15に示す、第3例についても同様である。
【0173】
基台上の形成される固定タブ636は、プローブ16のアーム部24に設けられた開口部28内に配置されて、プローブ16の本体部22の開口部28を形成する側部と連結する構造を有する。
【0174】
そして、図14に示すように、固定タブ636は、第1の連結部634を介してプローブ16に連結する第1の支持板651を含んで構成される。第1の支持板651は、小判状の形状を有する。
【0175】
第1の支持板651の下には、犠牲層42の一部である、第1の支持板651の長手方向に離間する2つの犠牲層分42f、42gが形成されて第1の支持部および第2の支持部が形成される。すなわち、第1の支持板651の下の2つの犠牲層部分42f、42gが、固定タブ636を基板上に支持する、2つの支持部を構成している。
【0176】
その結果、第1の支持板651の下の犠牲層部分42f、42gによって、基台上のプローブ16とそのプローブ16に連結する固定タブ636とが、固定タブ636の2点支持によって基台上に固着される構造を実現する。
【0177】
固定タブ636の第1の支持板651が上述のような構造を有することにより、固定タブ636を支持する犠牲層部分42f、42gに応力がかかっても、それらを連結する第1の支持板651の部分にその応力を効率良く逃がすことができる。その結果、本発明の第3実施形態のプローブの製造方法は、プローブ16の基台からの脱落を防止し、優れた製造歩留まりでプローブ16の製造を行うことができる。
【0178】
さらに、本発明の第3実施形態のプローブの製造方法においては、基台上に形成する固体タブ636を、プローブ16のアーム部24に設けられた開口部28内に配置することにより、基台上でのプローブ16と固定タブ636の形成面積をより小さくすることができ、基台上により多くのプローブ16を形成することができる。
【0179】
そして、図14の基台上のプローブ16と固定タブ636は、上述した図13の第1例と同様に、基台からのプローブ16の取り外しを行うことができる。
【0180】
図15は、本発明の第3実施形態のプローブの製造方法で基台上に形成されるプローブと固定タブの第3例を模式的に示す平面図である。
【0181】
基台上の形成される固定タブ736は、プローブ16のアーム部24に設けられた開口部28内に配置されて、プローブ16の本体部22の開口部28を形成する側部と連結する構造を有する。
【0182】
そして、図15に示すように、固定タブ736は、第1の連結部734を介してプローブ16に連結する第1の支持板751を含んで構成される。第1の支持板751は、図14の第2例の第1の支持板651と同様の小判状の形状を有する。そして、第1の支持板751は、さらに、犠牲層42の残存部分である犠牲層部分42fの形成部分と、犠牲層42の残存部分である犠牲層部分42gの形成部分と間の中央部分に開口部760を有している。このような開口部760を設けることにより、第3実施形態のプローブの製造方法の第4の工程のエッチング処理において、犠牲層部分42fおよび犠牲層部分42gの形成を促進することができる。
【0183】
このような開口部760を第1の支持板751設けること以外、固定タブ736は、図14の第2例の固定タブ636と同様構造を有する。
【0184】
固定タブ736の第1の支持板751が、開口部760を備えた上述の構造を有することにより、第4の工程のエッチング処理において、所望とする形状の犠牲層42f、42gの形成を促進できる。
【0185】
そして、固定タブ736を支持する犠牲層部分42f、42gに応力がかかっても、それらを連結する第1の支持板751の部分にその応力を効率良く逃がすことができる。その結果、本発明の第3実施形態のプローブの製造方法においては、プローブ16の基台からの脱落を防止し、優れた製造歩留まりでプローブ16の製造を行うことができる。
【0186】
さらに、本発明の第3実施形態のプローブの製造方法においては、基台上に形成する固体タブ736を、プローブ16のアーム部24に設けられた開口部28内に配置することにより、基台上でのプローブ16と固定タブ736の形成面積をより小さくすることができ、基台上により多くのプローブ16を形成することができる。
【0187】
そして、図15の基台上のプローブ16と固定タブ736は、上述した図13の第1例と同様に、基台からのプローブ16の取り外しを行うことができる。
【実施例】
【0188】
以下、実施例に基づいて本発明の実施形態をより具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0189】
本発明の実施例においては、上述した本発明の第1実施形態のプローブの製造方法に従い、プローブを製造した。
【0190】
そして、製造工程の途中段階で製造される基台上のプローブと固定タブは、図3および図6に示したものとなるようにした。
【0191】
まず、表面がエッチングにより鏡面処理されたシリコン結晶基板を基台として準備した。
【0192】
準備された基台の上に、スパッタ法により銅からなる犠牲層を形成した。
【0193】
次に、犠牲層の上に、スピンコート法により、感光性材料からなるフォトレジスト材料を均一な厚さで塗布し、感光性のレジスト層を形成した。次いで、レジスト層に対し、マスクを用いた選択露光を行い、その後、現像を行った。このマスクは、プローブ、固定タブ、および、プローブと固定タブとを連結する第1の連結部を含むそれら全体の平面形状に対応するパターンを有する。このマスクのパターンのレジスト層への転写により、基台上には、プローブ、第1の連結部および固定タブからなる、それらの全体的な平面形状に対応した平面形状を有する凹所を備えたレジストが形成された。
【0194】
次に、レジストの凹所内に、ニッケルからなるプローブ材料を、電鋳法(電気メッキ法)により堆積した。そして、凹所内の犠牲層上に固着するように、プローブ、第1の連結部および固定タブを形成した。
【0195】
次に、レジストを除去し、犠牲層のウエットエッチング処理を行った。そして、このエッチング処理により、犠牲層の一部を残してその残部を除去し、その残存する犠牲層の一部によって基台上に支持されたプローブおよび固定タブを形成した。基台上のプローブおよび固定タブは、図6に示す構造を有する。すなわち、プローブは、固定タブの第1の支持板下の第1の支持点である犠牲層部分および第2の支持板下の第2の支持点である犠牲層部分を用い、基台上に保持された構造となる。
【0196】
次に、ピンセットを用いてプローブを下から保持し、これを全体的に持ち上げることにより第1の連結部で折り、プローブを固定タブから分離することで基台から取り外し、プローブを製造した。
【0197】
以上のプローブを製造する実施例において、製造途中のプローブの基台からの落下率は、2.1%と小さな値であった。
【0198】
次に、製造工程の途中段階で製造される基台上のプローブと固定タブが、図7に示したものとなるようにした以外は上述の例と同様の方法に従い、プローブを製造した。製造途中のプローブの基台からの落下率は、1.6%と小さな値であった。
【0199】
次に、製造工程の途中段階で製造される基台上のプローブと固定タブが、図8に示したものとなるようにした以外は上述の例と同様の方法に従い、プローブを製造した。製造途中のプローブの基台からの落下率は、2.1%と小さな値であった。
【0200】
次に、比較例として、製造工程の途中段階で製造される基台上のプローブと固定タブが、図1に示したものとなるようにした以外は上述の例と同様の方法に従い、プローブを製造した。尚、プローブの形状は、図3に示したものと同様とした。その結果、製造途中のプローブの基台からの落下率は、4.5%となり、上述の本発明の実施例と比べて大きな値であった。
【0201】
尚、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0202】
本発明によれば、高い生産性でプローブの製造を行うことができ、高い生産性で電気的接続装置を製造することができる。したがって、本発明の電気的接続装置は、生産性の向上が強く求められる民生用の電子機器に用いられる半導体装置の検査に特に有効である。
【符号の説明】
【0203】
10 プローブ組立体
12 配線基板
12a 下面
14 プローブ基板
14a 面
16、1001 プローブ
22 本体部
22a 取り付け端
24 アーム部
24a、24b アーム部分
26 針先部
26a 針先
28、30、460、760 開口部
32、1005 基台
34、534、634、734 第1の連結部
34a 脆弱部分
36、36−2、36−3、136、236、336、436、536、636、736、1002 固定タブ
42 犠牲層
42a、42b、42c、42d、42e、42f、42g 犠牲層部分
46 レジスト
46a 凹所
51、151、351、451、551、651、751 第1の支持板
52、52−2、52−3、152、352、552 第2の連結部
53、153、353、553 第2の支持板
161、161−2 第3の連結部
162 第3の支持板
1003 支持部
1004 連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15