特許第6068937号(P6068937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6068937
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/56 20060101AFI20170116BHJP
   E06B 9/72 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   E06B9/56 A
   E06B9/72
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-245830(P2012-245830)
(22)【出願日】2012年11月7日
(65)【公開番号】特開2014-95188(P2014-95188A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118898
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 立昌
(72)【発明者】
【氏名】花井 祥延
(72)【発明者】
【氏名】石川 博之
【審査官】 小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−256959(JP,A)
【文献】 特開2004−257063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/56
E06B 9/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体をその開放方向側で巻き取る略筒状の巻取体と、固定軸に対し駆動回転体を回転させる回転駆動源とを備え、前記固定軸を回転不能部位に固定するとともに前記駆動回転体を前記巻取体内に挿入し、前記駆動回転体の回転によって前記巻取体を回転させるようにした開閉装置であって、
前記巻取体の周壁の内周部には、周方向に所定間隔をおいて複数のリブが設けられ、
前記駆動回転体の外周部には、前記複数のリブに対しそれぞれ嵌り合う複数の凹部が設けられ、
前記各リブの巻取体径方向の先端部と、前記各凹部の巻取体径方向の底面との間には、隙間が設けられ、
前記駆動回転体の外周部における周方向に隣り合う前記凹部の間の表面は、前記巻取体の内径よりも小さい円柱外周面状に形成され、この円柱外周面状の表面には、巻取体周方向において部分的に配置されるとともに前記巻取体の内周部との間で径方向へ押圧されるように被押圧部が設けられていることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記リブは、前記凹部に対し周方向の遊びを有する状態で嵌り合っていることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記巻取体の外周部には、前記開閉体の開放方向側の端部を止着する止着部が設けられ、
前記リブは、前記止着部の内周側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記被押圧部は、前記駆動回転体における前記円柱外周面状の表面に、巻取体軸方向へわたって突設していることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の開閉装置。
【請求項5】
前記被押圧部は、巻取体軸方向に沿う長尺状のガイド面を有し、このガイド面は、全長にわたって連続するとともに前記巻取体に対する挿入方向へゆくにしたがって突出量を徐々に低くしていることを特徴とする請求項4記載の開閉装置。
【請求項6】
前記被押圧部は、圧縮変形可能なシート材であり、前記駆動回転体における前記円柱外周面状の表面に接着されていることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取体内に挿入された駆動回転体によって巻取体を回転させるようにした開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、特許文献1に記載されたもののように、固定軸(43)に対し駆動回転体(53a)を回転させる回転駆動源(モータ4)を備え、巻取体(外筒ケース42)内に嵌め合せた前記駆動回転体(ドラムリング53a)を回転させることで、巻取体(外筒ケース42)を回転させて、該巻取体の外周に開閉体(シャッターカーテン2)を巻き取るようにしたシャッター装置がある。
【0003】
ところで、このようなシャッター装置では、製造段階において、前記駆動回転体を前記巻取体内に挿入する作業がし易いように、駆動回転体の外周面と巻取体の内周面との間には、隙間が設けられている。
このため、回転駆動源の駆動時に、駆動回転体に対し巻取体ががたついたり、駆動回転体に対し巻取体が偏心したり、これらがたつきや偏心に起因して、振動や騒音等を生じるおそれがある。
なお、前記従来技術では、前記巻取体と前記駆動回転体とをねじ止め固定しているが、前記のように隙間により偏心した場合には、この偏心が解消されないままねじ止めされるため、前記偏心に起因する振動や騒音等を解消することができない。また、長期間の運転によりねじが緩んだ場合には、巻取体ががたつくため、このがたつきに起因する振動や騒音を生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−214282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来事情に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、駆動回転体に対し巻取体ががたつくのを防ぐこと、駆動回転体に対し巻取体が偏心するのを防ぐこと、駆動回転体及び巻取体の回転に伴う騒音や振動等を防ぐこと等、が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための一手段は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体をその開放方向側で巻き取る略筒状の巻取体と、固定軸に対し駆動回転体を回転させる回転駆動源とを備え、前記固定軸を回転不能部位に固定するとともに前記駆動回転体を前記巻取体内に挿入し、前記駆動回転体の回転によって前記巻取体を回転させるようにした開閉装置であって、前記巻取体の周壁の内周部には、周方向に所定間隔をおいて複数のリブが設けられ、前記駆動回転体の外周部には、前記複数のリブに対しそれぞれ嵌り合う複数の凹部が設けられ、前記各リブの巻取体径方向の先端部と、前記各凹部の巻取体径方向の底面との間には、隙間が設けられ、前記駆動回転体の外周部における周方向に隣り合う前記凹部の間の表面は、前記巻取体の内径よりも小さい円柱外周面状に形成され、この円柱外周面状の表面には、巻取体周方向において部分的に配置されるとともに前記巻取体の内周部との間で径方向へ押圧されるように被押圧部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように構成されているので、駆動回転体に対する巻取体のがたつきや偏心等に起因して、騒音や振動が生じるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る開閉装置における巻取軸の一例を示す正面図である。
図2図1における(II)−(II)線断面図である。
図3】被押圧部の一例を示す側面図である。
図4】被押圧部の一例を示す平面図である。
図5】被押圧部の一例を示す正面図である。
図6】被押圧部の他例を示す側面図である。
図7】被押圧部の他例を示す平面図である。
図8】被押圧部の他例を示す正面図である。
図9】被押圧部の他例を示す正面図である。
図10】本発明に係る開閉装置における巻取軸の他例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態の第一の特徴は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体をその開放方向側で巻き取ったり繰り出したりする略筒状の巻取体と、固定軸に対し駆動回転体を回転させる回転駆動源とを備え、前記固定軸を回転不能部位に固定するとともに前記駆動回転体を前記巻取体内に挿入し、前記駆動回転体の回転によって前記巻取体を回転させるようにした開閉装置であって、前記巻取体の内周部と前記駆動回転体の外周部との間に、巻取体周方向において部分的に配置されるとともに前記内周部と前記外周部とによって径方向へ押圧されるように被押圧部を設けた。
この構成によれば、被押圧部によって巻取体内周部と駆動回転体外周部との間の隙間を埋めることができ、ひいては、巻取体が駆動回転体に対しがたつくようなことを防ぐことができる。
【0010】
第二の特徴としては、巻取体が駆動回転体に対し偏心するようなことを防ぐために、前記被押圧部は、巻取体周方向において略等間隔に複数設けられている。
【0011】
第三の特徴としては、駆動回転体を巻取体に挿入する際の作業をスムーズにするために、前記被押圧部を、巻取体径方向に圧縮変形されるようにした。
【0012】
第四の特徴としては、より組立作業性を向上するために、前記被押圧部を前記駆動回転体の外周部に固定した。
【0013】
第五の特徴としては、駆動回転体を巻取体に挿入する際の作業をよりスムーズにするために、前記被押圧部は、挿入方向へ向かって巻取体中心方向へ傾斜するガイド面を有する。
【0014】
第六の特徴としては、巻取体と駆動回転体との巻取体軸方向における接触面積を増やしてよりがたつきを減らすように、前記被押圧部は、巻取体軸方向に沿う長尺状に形成されている。
【0015】
第七の特徴としては、前記被押圧部の巻取体周方向の幅を、巻取体径方向へわたって略一定にした。
【0016】
また、後述する他の実施例の特徴としては、被押圧部の巻取体周方向の幅を、遠心方向へゆくにしたがって狭くする。この構成によれば、被押圧部の突端側を積極的に変形させて、駆動回転体を巻取体に挿入する際の作業を、更にスムーズに行うことができる。
【0017】
なお、本明細書中、「巻取体周方向」とは、上記巻取体の外周方向を意味する。また、「巻取体径方向」とは、上記巻取体の直径方向(換言すれば遠心方向及び求心方向)を意味する。また、「巻取体軸方向」とは、上記巻取体の中心軸の方向を意味する。
また、本明細書中、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の上記開閉体の厚さ方向を意味する。また、本明細書中において「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、上記開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。また、本明細書中において「開閉体開閉方向」とは、開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【0018】
次に、上記形態の特に好ましい実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0019】
この開閉装置は、空間を仕切るようにして開閉動作する開閉体10(図2参照)と、該開閉体10の横幅方向の端部を囲んで開閉方向へ案内するガイドレール(図示せず)と、該開閉体10をその開放方向側で巻き取ったり繰り出したりする巻取軸20(図1及び2参照)とを具備している。
【0020】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなるスラットを、開閉体開閉方向に複数並列させ、隣接するスラット同士の間で回動するように接続してなる開閉体本体11と、該開閉体本体11の閉鎖方向端部に接続された座板12とを具備している。なお、この開閉体10の材質は、当該開閉装置の用途等に応じて適宜に選定され、例えば、当該開閉装置を防火シャッターとして用いる場合には防火加工が施された金属板とする。
【0021】
巻取軸20は、開閉体10の開放方向側の端部が止着される巻取体21と、該巻取体21内の一端側に設けられたばね組立22と、同巻取体21内の他端側に設けられた回転駆動源23とを具備し、必要に応じて、図示しない収納ケース等に収められている。
【0022】
巻取体21は、開閉体10の横幅方向の略全長にわたる略筒状の部材であり、後述するばね組立22及び回転駆動源23を介して、双方向へ回転するように支持されている。
この巻取体21は、アルミニウム合金材料等から略筒状に成形され、その周壁の外周には、開閉体10の上端部を止着するための止着部21aが形成され、同周壁の内周には、回転駆動源23の駆動回転体23bに嵌り合う一対のリブ21b,21b等が突設される。
【0023】
止着部21aは、巻取体21における周方向の一部分を他の部分よりも厚肉に形成してなり、開閉体10の幅方向の全長に対応するように、巻取体21の軸方向へ連続している。
この止着部21aには、外周側から、開閉体10の上端部に挿通された止着具(例えば、ネジやボルト、リべット等)が止着される。
【0024】
一対のリブ21b,21bは、周方向に間隔を空けた二つの突起である。各リブ21bは、巻取体21の全長にわたって連続している。
これら一対のリブ21b,21bは、回転駆動源23の駆動回転体23bの外周部に対し、周方向の遊びを有する状態で嵌まり合っている。前記遊びは、製造時に駆動回転体23bを巻取体21に挿入する作業を容易に行うことができ、且つ、駆動回転体23bの回転力を効率よく巻取体21に伝達できるように、適宜に調整されている。
これら一対のリブ21b,21bは、周方向に所定間隔を置いて複数組(図示例によれば4つ)設けられている。
【0025】
また、ばね組立22は、図1に示すように、一端側を巻取軸20外に露出するようにして巻取軸20内の中心側に挿入された固定軸22aと、該固定軸22aの周りで自在に回転するように支持されるとともに外周部を巻取軸20内面に止着した回転体22bと、該回転体22bを固定軸22aに対し巻取り方向へ付勢するように装着された単数又は複数(図示例によれば2つ)のねじりコイルばね22cとを具備する。このばね組立22は、回転駆動源23の停止時に開閉体10が自重によって繰り出されないようにしたり、回転駆動源23の巻取り方向の回転力を補助したり等する。
【0026】
また、回転駆動源23は、図示しない収納ケース等の回転不能部位にブラケット等を介して回転不能に固定される固定軸23aと、該固定軸23aと一体的に設けられた略筒状の本体部23dと、該本体部23dの一端側(図1によれば右端側)で駆動回転する駆動回転体23bと、同本体部23dの他端側(図1によれば左端側)に回転自在に環装された環状キャップ23cと、を備えた回転式のモータであり、駆動回転体23bの外周部を巻取体21の内周部に回転不能に接続している。この回転駆動源23は、チューブラモータと呼称される場合がある。
【0027】
本体部23dは、略筒状のケース内に、回転式電動機及び遊星歯車等を含むギヤ部等を備え、前記回転式電動機の回転力を前記ギヤ部を介して駆動回転体23bに伝達する。
【0028】
駆動回転体23bは、合成樹脂材料によって略環状に成形され、その外周部に、巻取体21内周面のリブ21bを嵌め合せるための凹部23b1を有する。この凹部23b1は、周方向に所定間隔を置いて複数(図示例によれば4つ)設けられる。各凹部23b1は、一対のリブ21b,21bに遊嵌する凹状に形成され、駆動回転体23bの外周部を軸方向へ貫通している。
この駆動回転体23bは、回転駆動源23における本体部23dの一端側に回転可能に支持され、本体部23d内の図示しない遊星歯車の回転力が伝達されて駆動回転するようになっている。
【0029】
駆動回転体23bの外周部における周方向に隣り合う凹部23b1,23b1の間の表部23b3は、巻取体21の内径よりも小さい円柱外周面状に形成される。
そして、前記表部23b3には、巻取体周方向において部分的に配置されるとともに巻取体21の内周部と回転駆動源23の外周部とによって径方向へ押圧されるように、被押圧部23b2が突設されている。
【0030】
被押圧部23b2は、巻取体周方向において略等間隔に配置されるように、複数(図示例によれば4つ)設けられる。各被押圧部23b2の巻取体周方向の位置は、周方向に隣り合う凹部23b1,23b1の間の略中央寄りであって、樹脂成型用の注入口を避けた位置である。
【0031】
各被押圧部23b2は、駆動回転体23bの外周面における巻取体軸方向(図4及び図5によれば左右方向)の略全長へわたって連続して設けられる。
より詳細に説明すれば、各被押圧部23b2は、駆動回転体23bの外周面上における面取り部23bc以外の部分に、巻取体軸方向へわたって連続して設けられる(図5参照)。
【0032】
被押圧部23b2の形状について、より詳細に説明すれば、この被押圧部23b2の突端には、駆動回転体23bが巻取体21内へ容易に圧入されるように、挿入方向へ向かって巻取体中心方向へ傾斜するガイド面23b21が形成される。このガイド面23b21は、巻取体21に対する挿入方向(図1及び図5によれば右方向)へゆくにしたがって突出量を徐々に低くする傾斜面である(図5参照)。この被押圧部23b2の巻取体周方向の幅は、巻取体径方向へわたって略一定である(図3参照)。
この被押圧部23b2の遠心方向の突端部における巻取体周方向の角部分には、R面取り状の凸曲部23b22が形成される(図3参照)。この凸曲部23b22は、駆動回転体23bが巻取体21内へ圧入される際の摩擦抵抗を軽減する。
【0033】
前記構成の被押圧部23b2の挿入方向側の端部は、面取り部23bcに接続されている(図5参照)。
前記面取り部23bcは、駆動回転体23bの外周面における挿入方向(図1及び図5によれば右方向)の端部側に、周方向へわたって設けられる。この面取り部23bcは、図示例によれば、C面取り状に形成されるが、R面取り状やその他の凸曲面状でもよい。
【0034】
なお、図示例によれば、ガイド面23b21を挿入方向へ向かって徐々に低くなる単一の傾斜面としたが、他例としては、このガイド面を挿入方向側とその逆側(換言すれば巻取体軸方向の両側)の2箇所に設けて、駆動回転体23bの挿入方向が制限されないようにすることも可能である。
【0035】
また、環状キャップ23cは、回転駆動源23の本体部23dにおける他端側(図1によれば左側)に、本体部23dに対し自在に回転するように環状に装着されている。この環状キャップ23cと本体部23dの間には、環状キャップ23cの回転をスムーズにする潤滑剤(グリス等)が塗布される。
なお、図1中、符号23d1,23d2は、本体部23dの外周に設けられて環状キャップ23cの軸方向への移動を規制する突起である。すなわち、これら、突起23d1,23d2によれば、環状キャップ23cは、回転自在に維持された状態で、軸方向への移動が規制される。したがって、製造中に、環状キャップ23cが軸方向へずれたり外れたりするようなことを防ぐことができる。
【0036】
次に、上記構成の開閉装置について、特徴的な作用効果を詳細に説明する。
巻取体21内に回転駆動源23を組み付ける際、先ず、駆動回転体23bにおける面取り部23bc(図5参照)が、巻取体21の開口端部に挿入される。
駆動回転体23bが巻取体21内へ挿入されてゆくのに伴って、被押圧部23b2のテーパ―状のガイド面23b21が巻取体21内面に摺接し、さらに、被押圧部23b2が巻取体21内の奥側へ移動してゆく。この移動中、被押圧部23b2は、巻取体21内面に押圧されて若干圧縮変形する。この圧縮変形は、ガイド面23b21の突出量の大きい部分(図5によれば左寄りの部分)が少ない部分よりも著しい。そして、回転駆動源23は、環状キャップ23cが巻取軸20の開口端部に嵌り合うまで、巻取体21内へ挿入される。
【0037】
よって、上記構成の開閉装置によれば、巻取体21内へ駆動回転体23bを挿入する作業を、抵抗が少なく容易に行うことができる上、挿入後には、駆動回転体23bの外周部を巻取体21内周面に対し密着させることができる。
ひいては、当該開閉装置の製造後に、駆動回転体23bに対し巻取体21が径方向や周方向にがたついたり偏心したり等するのを低減することができ、前記がたつきや偏心等に起因する振動や騒音を防ぐことができる。
【0038】
次に、本発明に係る開閉装置の他の実施例について説明する。
以下の実施例は、上記実施例の一部を変更したものであるため、主に変更部分について詳細に説明し、重複する詳細説明は省略する。
【0039】
図6図8は、上記開閉装置における駆動回転体23bの被押圧部23b2を、被押圧部23b2’に置換したものである。
【0040】
被押圧部23b2’は、駆動回転体23b’における巻取体軸方向(図7によれば左右方向)の中央寄りに配置される。そして、この被押圧部23b2’の巻取体軸方向の両側には、巻取体21内径よりも小さい外径の表部23b3’を有することになる(図8参照)。
【0041】
被押圧部23b2’の形状についてより詳細に説明すれば、この被押圧部23b2’は、巻取体21の内周部に押圧された際に圧縮変形されるように、巻取体周方向の幅を遠心方向へゆくにしたがって徐々に狭くした突起状に形成される(図6参照)。
さらに、この被押圧部23b2’は、図7に例示するように、巻取体軸方向(図7によれば左右方向)の両端部がそれぞれ徐々に狭まる略船底状に形成される。
【0042】
さらに、この被押圧部23b2’は、図8に例示するように、巻取体軸方向(図8によれば左右方向)の両端部側に、巻取体中心方向へ傾斜するガイド面23b21’,23b21’を有する。これらガイド面23b21’を含む被押圧部23b2’の突端側は、図8に示すように、略円弧状を呈する。
なお、図示例によれば、ガイド面23b21’を巻取体軸方向の両端側に設けたが、このガイド面23b21’は、少なくとも、駆動回転体23b’が巻取体21内へ挿入される際の挿入方向側(図1によれば右方向側)に設けられていればよく、他例としては、ガイド面23b21’を片側(挿入方向側)のみに設けるようにしてもよい。
【0043】
図6図8に示す態様によれば、巻取体21内に回転駆動源23を組み付ける際、先ず、駆動回転体23b’における被押圧部23b2’以外の表部23b3’が、巻取体21の開口端部に挿入される。この際、前記表部23b3’は、巻取体21内径よりも小さな外径に形成されているため、巻取体21内へ容易に挿入される。
駆動回転体23bが巻取体21内へ挿入されてゆくのに伴って、被押圧部23b2’のガイド面23b21’が巻取体21内面に摺接し、さらに、被押圧部23b2’が巻取体21内の奥側へ移動してゆく。この移動中、被押圧部23b2’は、巻取体21内面に押圧されて圧縮変形する。そして、回転駆動源23は、環状キャップ23cが巻取軸20の開口端部に嵌り合うまで、巻取体21内へ挿入される。
【0044】
よって、図6図8に示す態様によれば、巻取体21内へ駆動回転体23b’を挿入する作業を、抵抗が少なく容易に行うことができる上、挿入後には、駆動回転体23b’の外周部を巻取体21内周面に対し密着させることができる。
ひいては、当該開閉装置の製造後に、駆動回転体23b’に対し巻取体21が径方向や周方向にがたついたり偏心したり等するのを低減することができ、前記がたつきや偏心等に起因する振動や騒音を防ぐことができる。
【0045】
また、図9に示す態様は、図6図8に示す態様における駆動回転体23b’の被押圧部23b2’を、被押圧部23b2”に置換したものである。
被押圧部23b2”は、巻取体軸方向(図9によれば左右方向)の両端部側に、巻取体中心方向へ略直線状に傾斜するガイド面23b21”,23b21”を有することで、略台形状の突起に形成される。この被押圧部23b2”の巻取体軸方向の両側には、巻取体21内径よりも小さい外径の表部23b3”を有する(図9参照)。
この被押圧部23b2”を備えた駆動回転体23b”は、巻取体21内へスムーズに挿入されて、駆動回転体23b”に対する巻取体21のがたつきや偏心を低減する。
【0046】
また、図10に示す態様は、図2に示す態様に対し、駆動回転体23bを駆動回転体25bに置換するとともに、被押圧部23b2を被押圧部24に置換した構成とされる。
駆動回転体25bは、上記回転駆動源23から被押圧部23b2を省いた形状に形成される。
被押圧部24は、例えば、エラストマー樹脂シート、ゴムシート、発泡ウレタンシート等、弾性変形によって圧縮変形可能なシート材であり、駆動回転体25b外周部における周方向に隣り合う凹部23b1,23b1間に、接着剤等によって接着される。
被押圧部24は、上記被押圧部23b2と同様に、駆動回転体25bの軸方向の幅よりも短く形成され、該幅の中央寄りに配置される(図示せず)。
【0047】
図10に示す態様によれば、巻取体21内に回転駆動源25を組み付ける際、駆動回転体25bが巻取体21内へ挿入されてゆくのに伴って、被押圧部24が巻取体21内面に押圧されて弾性変形する。
よって、巻取体21内へ駆動回転体25bを挿入する作業を、抵抗が少なく容易に行うことができる上、挿入後には、巻取体21内面と駆動回転体25b外面とを、弾性的に密着させることができる。
ひいては、当該開閉装置の製造後に、駆動回転体25bに対し巻取体21が径方向や周方向にがたついたり偏心したり等するのを被押圧部24によって低減できる上、被押圧部24が振動を吸収する作用も奏するため、騒音及び振動を効果的に防ぐことができる。
【0048】
なお、上記実施例によれば、被押圧部23b2(23b2’又は23b2”)が圧縮変形し易いように駆動回転体23b全体を合成樹脂材料から形成したが、他例としては、前記被押圧部を含む駆動回転体全体をアルミニウム等の金属材料により形成し、被押圧部が巻取体21内面に押圧されて塑性変形する態様や、被押圧部を圧縮変形し難い剛体によって形成し、巻取体21の内面を塑性変形させる態様等とすることも可能である。
【0049】
また、上記実施例によれば、被押圧部23b2(23b2’、23b2”又は24)を周方向に所定間隔置きに複数設けたが、他例としては、前記被押圧部を単数設けた態様や、複数の被押圧部を異なる間隔で設けた態様等とすることも可能である。
【0050】
また、上記実施例によれば、特に製造性を良好にするために、被押圧部23b2(23b2’、23b2”又は24)を回転駆動源23の駆動回転体23b(23b’、23b”又は25b)外周に固定したが、他例としては、前記被押圧部を巻取体21の内周面に固定した態様や、前記被押圧部を固定することなく巻取体21内周面と駆動回転体外周面との間に挟み込んだ態様とすることも可能である。
すなわち、回転駆動源23における駆動回転体の表部外径が巻取体21内径よりも小さな径になっており、駆動回転体を巻取体21内へ挿入したときに、前記被押圧部が巻取体21内面によって押圧密着、弾性密着または圧縮密着等の密着状態になればよく、その具体的態様は上記実施例以外の構成とすることも可能である。
【0051】
また、上記実施例によれば、被押圧部23b2(23b2’、23b2”又は24)を、回転駆動源23における駆動回転体23bの外周部に設けたが、他例としては、前記被押圧部を、駆動回転体23bの外周部に加えて、環状キャップ23cの外周部にも設けるようにすることが可能である。
【0052】
また、上記実施例によれば、開閉体10の一例として複数のスラットを連設してなるシャッターカーテンを示したが、この開閉体10の他例としては、単数もしくは複数のパネルや、シート状物、ネット状物を開閉方向へ配設してなる態様、あるいはスラット、パネル、パイプ、シート状物、ネット状物等を適宜に組み合わせてなる態様等としてもよい。
【0053】
また、上記実施例は、上記構成の巻取軸20をシャッター装置に適用した一例を示したが、他例としては、上記巻取軸20をオーニング装置や、その他の開閉装置適用することも可能である。
【0054】
また、図6図9に示す実施例は、被押圧部23b2’(又は23b2”)の突端側を遠心方向へゆくにしたがって狭くすることで、該突端側を積極的に圧縮変形させるようにしたが、圧縮変形のしすぎによる突端部のへたりやがたつき等を防止する観点からは、図3に示した態様のように、巻取体周方向の幅を、巻取体径方向へわたって略一定にするのが好ましい。
【符号の説明】
【0055】
10:開閉体
20:巻取軸
21:巻取体
22:ばね組立
23:回転駆動源
23a:固定軸
23b,23b’,25b:駆動回転体
23b2,23b2’,24:被押圧部
23b21,23b21’:ガイド面
図1
図2
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図10