特許第6068976号(P6068976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6068976
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】建設機械用インバータシステム
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/06 20060101AFI20170116BHJP
   H02P 29/024 20160101ALI20170116BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20170116BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   H02P27/06
   H02P29/024
   H02M7/48 M
   E02F9/20 Z
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-284795(P2012-284795)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-128156(P2014-128156A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年7月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】北村 佳昭
【審査官】 池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−011636(JP,A)
【文献】 特開2011−014282(JP,A)
【文献】 特開2012−065489(JP,A)
【文献】 特開2008−011683(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102064755(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0285334(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 27/06
E02F 9/20
H02M 7/48
H02P 29/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相電動機と、
前記三相電動機の各相に対応してそれぞれ設けられた3つのアームと、
前記アームと同じ構成を有する少なくとも1つの予備アームと、
前記アーム及び前記予備アームに制御信号を入力することによって、前記アーム及び前記予備アームの動作を制御する制御装置と、
前記3つのアームのいずれかが故障したときに、故障した前記アームを前記制御装置に識別させるためのセンサであって、前記三相電動機の各相と前記アームとを電気的に接続する物体の存在を接触または非接触により検出することで、前記三相電動機の各相と前記アームとが電気的に接続されているか否かを検出するアーム接続センサと、
を備え、
前記三相電動機の各相は、対応する前記アーム、及び、前記予備アームのいずれか一方と選択的に接続可能となっており、
前記制御装置は、前記アーム接続センサに基づいて故障した前記アームを識別し、故障した前記アームへの制御信号の入力を停止するとともに、故障した前記アームに入力していたのと同じ制御信号を、前記予備アームに入力することを特徴とする建設機械用インバータシステム。
【請求項2】
前記三相電動機の各相と前記予備アームとを電気的に接続する物体の存在を接触または非接触により検出することで、前記三相電動機の各相と前記予備アームとが電気的に接続されているか否かを検出する予備アーム接続センサを備え、
前記制御装置は、前記予備アーム接続センサに基づいて、前記三相電動機の相が、故障した前記アームから前記予備アームにつなぎ変えられたことを判断し、故障した前記アームに入力していたのと同じ制御信号を、つなぎ変えが行われた前記予備アームに入力する、
請求項1に記載の建設機械用インバータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設用機械において三相電動機を駆動する建設機械用インバータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のモータ駆動システムでは、ファンを回転させるための三相のDCブラシレスモータ(三相電動機)を駆動するインバータにおいて、DCブラシレスモータのある相に対して設けられたアームを構成する2つのスイッチング素子の一方が故障したときに、他方のスイッチング素子を常にオフの状態にして、DCブラシレスモータを駆動する。これにより、上記2つのスイッチング素子を介して、電源の両端が短絡してしまうのを防止しつつ、DCブラシレスモータの駆動を継続することができる。ただし、このとき、DCブラシレスモータにおいてトルクが発生しない区間が生じるので、DCブラシレスモータを起動させる際には、DCブラシレスモータの回転子を準正常なトルクが発生する区間に位置させた状態で固定してから、DCブラシレスモータの起動を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−246210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、上述したように、スイッチング素子の故障時に、電源の両端が短絡してしまうのを防止しつつ、三相電動機を駆動することができるが、三相電動機においてトルクが発生しない区間ある。そのため、特許文献1に記載されているように、三相電動機によりファンを回転させるだけであれば、起動時に回転子をトルクが発生する区間に位置させた状態で固定する必要がある以外はそれほど大きな問題とはならないが、例えば、三相電動機が建設機械の動作部分を動作させるためのものである場合には、所望のトルクが得られないと、建設機械の動作部分を正常に動作させることができない虞がある。また、建設機械の動作部分を動作させるための三相電動機では、建設機械による作業中に、回転と制動が繰り返し行われるため、回転させるときにその都度、三相電動機をトルクが発生する区間に位置させた状態で固定することは現実的ではない。
【0005】
ここで、故障したスイッチング素子をすぐに交換できれば問題はないが、建設機械では、一般に、多数の配管や電気接続ケーブルが、小さな空間内に高密度に収納されているため、建設機械による作業中にスイッチング素子が故障した場合に、作業現場でスイッチング素子の交換を行うことは困難であり、スイッチング素子の交換のためには、通常、建設機械を修理場に移動させる必要がある。そのため、スイッチング素子が故障したときには、長期間、当該建設機械による作業を行うことができなくなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、アームの故障時にも電動機を正常に動作させることが可能な建設機械用インバータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るインバータシステムは、三相電動機と、前記三相電動機の各相に対応してそれぞれ設けられた3つのアームと、前記アームと同じ構成を有する少なくとも1つの予備アームと、前記アーム及び前記予備アームに制御信号を入力することによって、前記アーム及び前記予備アームの動作を制御する制御装置と、前記3つのアームのいずれかが故障したときに、故障した前記アームを前記制御装置に識別させる故障アーム識別手段と、を備え、前記三相電動機の各相は、対応する前記アーム、及び、前記予備アームのいずれか一方に選択的に接続可能となっており、前記制御装置は、前記故障アーム識別手段に基づいて故障した前記アームを識別し、故障した前記アームへの制御信号の入力を停止するとともに、故障した前記アームに入力していたのと同じ制御信号を、前記予備アームに入力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、いずれかのアームが故障したときに、故障したアームにそれまで入力されていた制御信号が予備アームに入力されるため、三相電動機の故障したアームに対応する相を、故障したアームから予備アームにつなぎ変えることにより、三相電動機を正常に駆動することができる。このとき、制御装置から3つのアームに入力される制御信号は位相が互いに異なるが、本発明では、制御装置が、故障アーム識別手段に基づいて故障したアームを識別可能であるため、故障したアームへの制御信号の入力を停止するとともに、故障したアームに入力していたのと同じ信号を予備アームに入力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係るインバータシステムの構成を示す図である。
図2】第1実施形態において、U相が故障したときの三相電動機の接続の切換を示す図である。
図3】第2実施形態に係るインバータシステムの、三相電動機との接続部分の構成を示す図である。
図4】第2実施形態において、U相が故障したときの接続の切換を示す図である。
図5】変形例1の図2相当の図である。
図6】変形例2の図4相当の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の好適な第1実施形態について説明する。
【0011】
図1に示すように、第1実施形態に係るインバータシステム1は、三相電動機10、直流電源11、3つのアーム12U、12V、12W、予備アーム13、接続部14及びコントローラ15(制御装置)を備えている。
【0012】
三相電動機10は、例えば、ハイブリッドショベルにおいて、上部旋回体を旋回させるための三相電動機や、油圧ポンプを動作させるための三相電動機など、建設機械が備える三相電動機である。直流電源11は、2次電池などである。3つのアーム12U、12V、12Wは、直流電源11に対して並列に接続されている。各アーム12U、12V、12Wは、それぞれ、直流電源11に対して直列に接続された2つのスイッチング素子21、22を備えている。スイッチング素子21、22は、例えばトランジスタなどの半導体スイッチング素子であり、コントローラ15から入力された制御信号に応じて、両端が導通したオンの状態と、両端の導通が遮断されたオフの状態とが切り換えられる。
【0013】
予備アーム13は、直流電源11に対して、アーム12U、12V、12Wと並列に接続されている。予備アーム13は、アーム12U、12V、12Wと同様の構成を有するものであり、直流電源11に対して直列に接続された2つのスイッチング素子21、22を備えている。
【0014】
また、アーム12U、12V、12W及び予備アーム13には、共通のコンデンサ16が接続されている。また、アーム12U、12V、12W、及び、予備アーム13のスイッチング素子21、21には、それぞれ、個別の帰還ダイオード17が接続されている。帰還ダイオード17は、無効電力の処理などを行うために設けられたものである。
【0015】
接続部14は、3つのコネクタ23U、23V、23Wと、予備コネクタ24と、3つのリミットスイッチ25U、25V、25W(故障アーム識別手段)を備えている。コネクタ23U、23V、23Wは、それぞれ、アーム12U、12V、12Wの、2つのスイッチング素子21と22との間の部分と接続されている。また、コネクタ23U、23V、23Wには、アーム12U、12V、12Wが正常に動作している状態では、三相電動機10の各相(U相、V相、W相)につながる接続ケーブル9U、9V、9Wが接続されている。
【0016】
予備コネクタ24は、予備アーム13の2つのスイッチング素子21と22との間の部分に接続されている。予備コネクタ24には、後述するように、アーム12U、12V、12Wのいずれかが故障したときに、接続ケーブル9U、9V、9Wのうち故障したアームに対応する接続ケーブルが接続される。
【0017】
リミットスイッチ25U、25V、25Wは、それぞれ、コネクタ23U、23V、23Wに隣接して配置されている。リミットスイッチ25U、25V、25Wは、コネクタ23U、23V、23Wに接続ケーブル9U、9V、9Wが接続されている状態では、接続ケーブル9U、9V、9Wに押されてオンの状態になり、接続ケーブル9U、9V、9Wが予備コネクタ24につなぎかえられて、接続ケーブル9U、9V、9Wに押されなくなったときにオフの状態となる。そして、リミットスイッチ25U、25V、25Wは、それぞれ、オンの状態であるかオフの状態であるかを示す信号を、コントローラ15に送信する。
【0018】
コントローラ15は、リミットスイッチ25U、25V、25Wから入力された信号に基づいて、後述するように、アーム12U、12V、12W及び予備アーム13のスイッチング素子21、22のオンとオフの切換を制御する。
【0019】
ここで、インバータシステム1の動作について説明する。アーム12U、12V、12Wのいずれにおいてもスイッチング素子21、22が故障しておらず、アーム12U、12V、12Wが正常に動作している状態では、上述したように、コネクタ23U、23V、23Wに、それぞれ、接続ケーブル9U、9V、9Wが接続されている。この状態では、リミットスイッチ25U、25V、25Wのいずれからもコントローラ15にオンの信号が入力されている。このとき、コントローラ15は、直流電源11の直流電圧が、アーム12U、12V、12Wにおいて三相交流電圧に変換されてコネクタ23U、23V、23Wとの接続部分から出力されるように、アーム12U、12V、12Wのスイッチング素子21、22のオンとオフの切換を制御する。なお、このときのスイッチング素子21、22のオンとオフの切換の制御については、従来と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。そして、これにより、三相電動機10に三相交流電圧が供給され、三相電動機10が動作する。
【0020】
次に、アーム12U、12V、12Wのいずれかにおいて、スイッチング素子21、22の少なくとも一方が故障した場合について説明する。例えば、アーム12Uのスイッチング素子21、22の少なくとも一方が故障した場合には、図2に示すように、インバータシステム1を備えた建設機械の操作者等が、接続ケーブル9Uをコネクタ23Uから抜き、予備コネクタ24につなぎかえる。このとき、リミットスイッチ25V、25Wからコントローラ15に入力される信号はオンの信号のままであるが、リミットスイッチ25Uからコントローラ15に入力される信号はオフの状態に切り換わる。これにより、コントローラ15は、アーム12Uが故障したアームであることを識別することができるとともに、接続ケーブル9Uがコネクタ23Uから予備コネクタ24につなぎ変えられたと判断することができる。
【0021】
コントローラ15は、リミットスイッチ25Uからのオフの信号を受けて、アーム12Uのスイッチング素子21、22への制御信号の入力を停止するとともに、それまでアーム12Uのスイッチング素子21、22に向けて出力されていたのと同じ制御信号を、予備アーム13のスイッチング素子21、22に向けて出力する。これにより、コネクタ23U、23V及び予備コネクタ24から三相電動機10に出力される電圧及び位相は、それまで出力されていたものと同じになる。したがって、三相電動機10を、それまでと同様、正常に動作させることができる。
【0022】
そして、アーム12Uのスイッチング素子21、22が故障したときに、このように三相電動機10をそれまでと同様、正常に動作させることができるため、インバータシステム1を備えた建設機械を用いた作業を継続することができる。これにより、当該建設機械を用いた作業が長期間中断してしまうのを防止することができる。そして、当該建設機械においては、作業が完了した後に、作業現場から修理場に移動させて、故障したスイッチング素子21、22を交換する。
【0023】
なお、ここでは、アーム12Uのスイッチング素子21、22が故障した場合について説明したが、アーム12V、12Wのスイッチング素子21、22が故障した場合にも、上述したのと同様にして、三相電動機10を、それまでと同様、正常に動作させることができる。
【0024】
[第2実施形態]
次に、本発明の好適な第2実施形態について説明する。ただし、以下では、主に第1実施形態と異なる点について説明する。
【0025】
第2実施形態では、第1実施形態の接続部14(図1参照)の代わりに、接続切換装置40が設けられている。接続切換装置40は、図3に示すように、3つの電動機側配線41U、41V、41Wと、3つのアーム側配線42U、42V、42Wと、予備配線43と、3つの接続バー44U、44V、44Wとを備えている。なお、図3では、図面をわかりやすくするために、電動機側配線41U、41V、41W、アーム側配線42U、42V、42W、予備配線43及び接続バー44U、44V、44Wにハッチングを付している。
【0026】
電動機側配線41U、41V、41Wは、図3の左右方向に延びているとともに、図3の上下方向に配列されている。電動機側配線41U、41V、41Wは、図示しないコネクタなどを介して、それぞれ、接続ケーブル9U、9V、9W(図1参照)に接続されている。アーム側配線42U、42V、42Wは、図3の左右方向に延びているとともに、図3の上下方向に配列されている。また、アーム側配線42U、42V、42Wは、それぞれ、電動機側配線41U、41V、41Wから図3の下側にずれて配置されている。そして、アーム側配線42U、42V、42Wは、それぞれ、アーム12U、12V、12W(図1参照)のスイッチング素子21と22(図1参照)との間の部分に接続されている。
【0027】
予備配線43は、3つの取付部51U、51V、51Wと、連結部52とを備えている。3つの取付部51U、51V、51Wは、それぞれ、電動機側配線41U、41V、41Wから図3の上側にずれた位置であり、且つ、図3の左右方向に関して、アーム側配線42U、42V、42Wの右端部と同じ位置に配置されている。連結部52は、図3における3つの取付部51U、51V、51Wのすぐ左側に配置されており、図3の上下方向に延びて、取付部51U、51V、51Wを互いに連結している。また、連結部52は、図3の上側の先端部が図3の左側に折れ曲がっており、当該部分が予備アーム13(図1参照)の2つのスイッチング素子21と22(図1参照)との間の部分に接続されている。
【0028】
ここで、電動機側配線41U、41V、41W、アーム側配線42U、42V、42W、及び、予備配線43の図3の紙面垂直方向における位置関係について説明する。これらは、少なくとも、電動機側配線41U、41V、41Wの図3における左側の端部と、アーム側配線42U、42V、42Wの図3における右側の端部と、予備配線43の3つの取付部51U、51V、51Wとが、図3の紙面垂直方向において同じ位置にくるように配置されている。また、図3の紙面垂直方向から見て互いに重なるアーム側配線42U、42V、42Wと、連結部52とは、互いに接触しないように配置されている。
【0029】
具体的には、例えば、電動機側配線41U、41V、41Wと、予備配線43とが、図3の紙面垂直方向において同じ位置に配置されているとともに、アーム側配線42U、42V、42Wが、電動機側配線41U、41V、41W及び予備配線43よりも図3の紙面垂直方向手前側に配置されている。そして、アーム側配線42U、42V、42Wは、図3の右側の端部が、図3の紙面垂直方向において、電動機側配線41U、41V、41W及び予備配線43と、同じ位置にくるように曲げられている。
【0030】
あるいは、例えば、電動機側配線41U、41V、41Wと、アーム側配線42U、42V、42Wとが、図3の紙面垂直方向において同じ位置に位置しているとともに、予備配線43が、電動機側配線41U、41V、41W、及び、アーム側配線42U、42V、42Wよりも図3の紙面奥側に位置している。そして、予備配線43は、取付部51U、51V、51Wが、図3の紙面垂直方向において、電動機側配線41U、41V、41W、及び、アーム側配線42U、42V、42Wと同じ位置にくるように曲げられている。
【0031】
接続バー44Uは、その一方の端部が取付ネジ46で電動機側配線41Uに取り付けられることによって、電動機側配線41Uに接続されている。また、接続バー44Uは、取付ネジ46を緩めた状態で、取付ネジ46を中心として揺動させることができるようになっており、その他端部は、取付ネジ47で、アーム側配線42Uの図3における右側の端部、及び、取付部51Uのいずれかに選択的に取り付けられることによって、アーム側配線42U及び取付部51Uのいずれかに選択的に接続される。
【0032】
同様に、接続バー44Vは、その一方の端部が電動機側配線41Vに接続されているとともに、他方の端部が、アーム側配線42V及び取付部51Vのいずれかに選択的に接続される。また、接続バー44Wは、その一方の端部が電動機側配線41Wに接続されているとともに、他方の端部が、アーム側配線42W及び取付部51Wのいずれかに選択的に接続される。
【0033】
リミットスイッチ45U、45V、45Wは、電動機側配線41U、41V、41Wの図3における左端部と、アーム側配線42U、42V、42Wの図3における右端部との間にそれぞれ配置されている。そして、接続バー44U、44V、44Wにより、電動機側配線41U、41V、41Wと、アーム側配線42U、42V、42Wとがそれぞれ接続されている状態で、リミットスイッチ45U、45V、45Wは、それぞれ、接続バー44U、44V、44Wに押されてオンの状態となる。一方、接続バー44U、44V、44Wにより、電動機側配線41U、41V、41Wと取付部51U、51V、51Wとがそれぞれ接続されている状態では、リミットスイッチ45U、45V、45Wは接続バー44U、44V、44Wに押されず、オフの状態となる。また、リミットスイッチ45U、45V、45Wは、オンの状態であるかオフの状態であるかを示す信号を、それぞれ、コントローラ15(図1参照)に送信する。
【0034】
ここで、接続切換装置40における接続の切換について説明する。アーム12U、12V、12W(図1参照)のいずれにおいてもスイッチング素子21、22(図1参照)が故障しておらず、アーム12U、12V、12Wが正常に動作している状態では、接続バー44U、44V、44Wにより、電動機側配線41U、41V、41Wと、アーム側配線42U、42V、42Wとがそれぞれ接続されている。この状態では、リミットスイッチ45U、45V、45Wのいずれからもコントローラ15(図1参照)にオンの信号が入力され、コントローラ15からアーム12U、12V、12Wのスイッチング素子21、22に、第1実施形態と同様の制御信号が入力される。
【0035】
次に、アーム12U、12V、12Wのいずれかにおいて、スイッチング素子21、22の少なくとも一方が故障した場合について説明する。例えば、アーム12Uのスイッチング素子21、22の少なくとも一方が故障した場合には、図4に示すように、インバータシステム1を備えた建設機械の操作者等により、接続バー44Uが、アーム側配線42Uから取付部51Uにつなぎ変えられる。これにより、リミットスイッチ45V、45Wからコントローラ15に入力される信号はオンの信号のままであるが、リミットスイッチ45Uからコントローラ15に入力される信号はオフの状態に切り換わる。これにより、コントローラ15は、アーム12Uが故障したアームであることを識別することができるとともに、接続バー44Uがアーム側配線42Uから取付部51Uにつなぎ変えられたと判断することができる。
【0036】
コントローラ15は、リミットスイッチ45Uからのオフの信号を受けて、アーム12Uのスイッチング素子21、22への制御信号の入力を停止するとともに、それまで、アーム12Uのスイッチング素子21、22に入力されていたのと同じ制御信号を、予備アーム13のスイッチング素子21、22に向けて入力する。これにより、電動機側配線41U、41V、41Wから三相電動機10に出力される電圧及び位相が、それまでと同じになる。したがって、三相電動機10を、それまでと同様、正常に動作させることができる。
【0037】
なお、ここでは、アーム12Uのスイッチング素子21、22が故障した場合について説明したが、アーム12V、12Wのスイッチング素子21、22が故障した場合にも、上述したのと同様にして、三相電動機10を、それまでと同様、正常に動作させることができる。
【0038】
次に、第1、第2実施形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、第1、第2実施形態と同様の構成については、適宜その説明を省略する。
【0039】
第1、第2実施形態では、予備アーム13が1つだけ設けられていたが、予備アームが2つ以上設けられていてもよい。この場合には、3つのアーム12U、12V、12Wのうち2つ以上のアームにおいてスイッチング素子21、22が故障した場合でも、三相電動機10を故障したアームから予備アームにつなぎかえることにより、三相電動機10の駆動を継続することができる。
【0040】
また、第1、第2実施形態では、リミットスイッチが押されているか否かによって、コントローラ15に故障したアームを識別させたが、これには限られない。例えば、接続ケーブル9U、9V、9Wや接続バー44U、44V、44Wの存在を検知する光センサなど、リミットスイッチ以外の構成によって、コントローラ15に故障したアームを識別させてもよい。
【0041】
また、第1実施形態では、コントローラ15は、リミットスイッチ25U、25V、25Wがオンの状態からオフの状態に切り換わったときに、それぞれ、接続ケーブル9U、9V、9Wがコネクタ23U、23V、23Wから予備コネクタ24につなぎかえられたと判断しており、第2実施形態では、コントローラ15は、リミットスイッチ45U、45V、45Wがオンの状態からオフの状態に切り換わったときに、それぞれ、接続バー44U、44V、44Wがアーム側配線42U、42V、42Wから取付部51U、51V、51Wにつなぎ変えられたと判断したが、これには限られない。
【0042】
一変形例(変形例1)では、図5に示すように、第1実施形態において、予備コネクタ24のすぐ隣にリミットスイッチ61が設けられている。リミットスイッチ61は、予備コネクタ24に接続ケーブル9U、9V、9Wのいずれもが接続されていないときにはオフの状態となっており、予備コネクタ24に接続ケーブル9U、9V、9Wのいずれかが接続されたときに、当該接続ケーブルに押されてオンの状態に切り換わる。
【0043】
また、別の一変形例(変形例2)では、図6に示すように、第2実施形態において、電動機側配線41U、41V、41Wの図3における左端部と、取付部51U、51V、51Wとの間に、それぞれ、リミットスイッチ62U、62V、62W配置されている。リミットスイッチ62U、62V、62Wは、接続バー44U、44V、44Wがアーム側配線42U、42V、42Wに接続されているときには、それぞれ、オフの状態になっている。そして、接続バー44U、44V、44Wが取付部51U、51V、51Wに接続されたときに、それぞれ、リミットスイッチ62U、62V、62Wが接続バー44U、44V、44Wに押されてオンの状態に切り換わる。
【0044】
第1実施形態では、厳密には、リミットスイッチ25U、25V、25Wがオンの状態からオフの状態に切り換わったことから、それぞれ、接続ケーブル9U、9V、9Wがコネクタ23U、23V、23Wから抜かれたか否かを判断することはできるが、接続ケーブル9U、9V、9Wが予備コネクタ24につなぎ変えられたか否かまで判断することはできない。同様に、第2実施形態では、厳密には、リミットスイッチ45U、45V、45Wがオンの状態からオフの状態に切り換わったことから、それぞれ、接続バー44U、44V、44Wのアーム側配線42U、42V、42Wとの接続が切断されたか否かを判断することはできるが、接続バー44U、44V、44Wが取付部51U、51V、51Wにつなぎ変えられた否かまで判断することはできない。
【0045】
これに対して、変形例1では、リミットスイッチ25U、25V、25Wがオンからオフに切り換わったことと、リミットスイッチ61がオフからオンに切り換わったことから、接続ケーブル9U、9V、9Wがコネクタ23U、23V、23Wから予備コネクタ24につなぎかえられたか否かを正確に判断することができる。同様に、変形例2では、リミットスイッチ45U、45V、45Wがオンからオフに切り換わったことと、リミットスイッチ62U、62V、62Wがオフからオンに切り換わったことから、接続バー44U、44V、44Wがアーム側配線42U、42V、42Wから取付部51U、51V、51Wにつなぎ変えられたか否かを正確に判断することができる。
【0046】
また、第1実施形態では、接続ケーブル9U、9V、9Wの接続先を予備コネクタ24に切り換えることによって、三相電動機10の各相の接続先を切り換え、第2実施形態では、接続バー44U、44V、44Wの接続先を取付部51U、51V、51Wに切り換えることによって、三相電動機10の各相の接続先を切り換えたが、これには限られない。これら以外の構成によって、三相電動機10の各相の接続先を切り換えてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 インバータシステム
9U、9V、9W 接続ケーブル
10 三相電動機
12U、12V、12W アーム
13 予備アーム
15 コントローラ(制御装置)
25U、25V、25W リミットスイッチ(アーム接続センサ)
40 接続切換装置
45U、45V、45W リミットスイッチ(アーム接続センサ)
62U、62V、62W リミットスイッチ(予備アーム接続センサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6