【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したプロセスおよびプラント、特に国際公開第2009/040594号に開示されているタイプのものと同様のプロセスおよびプラントに関連して、本出願人は、生産自体の高い運営自由度(operation flexibility)を保ちながら、サイズおよび構造が互いに異なるタイヤのための日常的な生産性を高めることを試みることが重要であると判断している。
【0010】
より具体的には、この文脈での「運営自由度」という用語によって、各タイヤに関して基本的な半製品(すなわち、連続的な細長い要素、またはエラストマー材料のみの適当なサイズに切断された要素、および要素自体の長手方向に沿って設けられた繊維または金属コードで補強されたエラストマー材料の適当なサイズに切断された要素)を使用することができ、これらの半製品が、エラストマー材料のタイプおよび/または繊維もしくは金属補強コードのタイプに関して互いに異なり、また個々のタイヤ内部での基本的な半製品のサイズおよび量に関しても異なることが意図されている。
【0011】
また、本出願人は、例えば上述した文献に従って想定されるプロセスおよび装置が、様々なワークステーションにおいてタイヤを処理するように意図された装置の能力を最適には活用できないことを確かめている。
【0012】
特に、1つのタイヤの作業開始と次のタイヤの作業開始の間に介在するサイクル時間が、他のワークステーションにおいて必要なサイクル時間に比べて大きいワークステーションがある。
【0013】
この文脈で、本出願人は、いくつかのワークステーションで必要な比較的大きなサイクル時間によって、プラント全体の生産性が条件付けられているようであるが、その一方で、他のワークステーションは、より高い生産性に対応することもでき、したがってそれらの実際の能力に従って活用されていないものと思われると認識した。
【0014】
また、本出願人は、プラント全体の生産性を改良し、それと同時に、基本的にはより短いサイクル時間を必要とする他のワークステーションをより良く活用できるように、特に通常はより高いサイクル時間を必要とするワークステーションにおいて、作業サイクルを完了するのに必要な時間を短縮することを狙いとする介入が必要であることを認識している。
【0015】
より詳細には、本出願人は、ワークステーションにおける形成ドラムの装荷(loading)および除荷(unloading)のための操作および機器を最適化することによって、製品品質および融通性に何ら不利益をもたらすことなく、作業サイクルを完了するのに必要な時間を大幅に短縮することができると考えている。
【0016】
より具体的には、本出願人は、ワークステーションの少なくとも1つにおいて、それぞれそのワークステーションに入る、およびそこから出る形成ドラムの少なくとも1つが、適切な作業位置に係合される前に、またはワークステーションから完全に離れるように移動される前に、中間移送位置に移送されるように企図される場合に、作業サイクルが完了するまでの時間が大幅に短縮し、それでもあらゆる設計仕様が保たれることに気付いた。
【課題を解決するための手段】
【0017】
より詳細には、第1の態様では、本発明は、タイヤを製造するためのプラントの生産サイクルを制御する方法であって、前記プラントが、複数の作業位置を提供し、少なくとも1つの第1の作業位置が、それぞれ近位位置および遠位位置である少なくとも2つの装荷/除荷位置に関連付けられ、前記作業位置および装荷/除荷位置をそれぞれ形成ドラムに関連付けることができる方法であって、
(i)前記少なくとも1つの第1の作業位置(4a)に第1の形成ドラムを装荷することと、
(ii)第2の形成ドラム(2b)を前記遠位装荷/除荷位置に装荷することと、
(iii)前記少なくとも1つの第1の作業位置(4a)で行われる作業の終了後、前記第1の形成ドラム(2a)を前記近位装荷/除荷位置に除荷することと
を含む方法に関する。
【0018】
第2の態様によれば、本発明は、加工するタイヤを担持するようにそれぞれ設計された複数の形成ドラムと、加工するタイヤに対して少なくとも1つの加工作業をそれぞれ行うように意図された少なくとも1つのワークステーションとの使用を伴うタイヤを構築するためのプロセスであって、
前記少なくとも1つのワークステーションの近くへの少なくとも1つの第1の形成ドラムおよび少なくとも1つの第2の形成ドラムの移送が、
− 第2の形成ドラムを進入位置から取り上げることであって、そのドラムが、ワークステーション自体の一部である第1の作業位置で前記加工作業の1つを施されることと、
− 第1の形成ドラムを第1の作業位置から取り上げることであって、そのドラムが、第1の作業位置自体で前記加工作業を施されることと、
− 第2の形成ドラムを第1の作業位置に係合することと、
− 第1の形成ドラムを退出位置に移送することと
を含み、
前記第2の形成ドラムおよび第1の形成ドラムの少なくとも一方が、それぞれ第1の作業位置に係合される前または退出位置に移送される前に中間移送位置に移送されるプロセスに関する。
【0019】
第3の態様によれば、本発明は、車両車輪用のタイヤを構築するためのプラントであって、
− 形成ドラムに関連付けることができる少なくとも1つの第1の作業位置を有する少なくとも1つのワークステーションと、
− 少なくとも2つの形成ドラムと、
− 前記形成ドラムのための少なくとも1つの中間取扱いデバイスと
を備え、
安定状態で(under steady conditions)、第1の形成ドラムが前記第1の作業位置に関連付けられ、第2の形成ドラムが前記中間取扱いデバイスに関連付けられ、
少なくとも前記第1の形成ドラムが、退出位置に移送される前に前記中間取扱いデバイスに関連付けられるプラントに関する。
【0020】
本発明者の見解では、このようにすると、少なくとも1つの主要取扱いデバイスが、ワークステーションから退出する形成ドラムの取外しおよびワークステーションに進入する形成ドラムの導入を実施する一方で、進入する形成ドラムまたは退出する形成ドラムを保持するために設計された少なくとも1つの補助取扱いデバイスを使用して、退出する形成ドラムの取外しと進入する形成ドラムの係合との間での時間の介在を最小限にすることができる。
【0021】
本発明は、前述の態様の少なくとも1つにおいて、本明細書で以下に述べる好ましい特徴の1つまたは複数を有することができる。
【0022】
以下の追加の機能を提供することができる。
(iv)それぞれ前記第2の形成ドラムと第1の形成ドラムに関連付けられる遠位と近位の装荷/除荷位置を相互に反転することと、
(v)先に行われた反転により定まった遠位位置から前記第1の形成ドラムを除荷すること。
【0023】
好ましくは、機能(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)が繰り返し行われる。
【0024】
少なくとも1つの第2の作業位置を、少なくとも2つの装荷/除荷位置それぞれに関連付けることができ、前記第1の作業位置および第2の作業位置がそれぞれ、他方の作業位置(4a、4b)とは異なる独立したアセンブリを形成する。
【0025】
好ましくは、少なくとも1つの第2の作業位置が提供され、前記第1の作業位置と第2の作業位置がどちらも同じ少なくとも2つの装荷/除荷位置に関連付けられる。
【0026】
また、以下の機能を提供することもできる。
(vi)遠位位置から第2の形成ドラムを除荷する機能。
【0027】
好ましくは、機能(vi)は、機能(iii)よりも先に行われる。
【0028】
好ましい一実施形態によれば、各形成ドラムは、各ワークステーションから次のワークステーションに移送される。
【0029】
好ましくは、第1の形成ドラムが第1の作業位置から取り上げられる前に、第2の形成ドラムが進入位置から取り上げられる。
【0030】
異なる好ましい一実施形態によれば、第1の形成ドラムが退出位置で解放される前に、第2の形成ドラムが第1の作業位置または中間移送位置で解放される。
【0031】
好ましくは、中間移送位置への第1の形成ドラムの移送と同時に、第2の形成ドラムが第1の作業位置で解放される。
【0032】
好ましくは、中間移送位置への前記第1の形成ドラムの移送が、支持構造によって担持される把持部材によって第1の形成ドラムを第1の作業位置から取り上げることを含み、前記支持構造が、第1の作業位置から中間移送位置への第1の形成ドラムの移動を行うために、第1の作業位置に対して第1の位置と第2の位置との間で交互に移動可能である、。
【0033】
好ましくは、第1の作業位置への前記第2の形成ドラムの係合が、支持構造によって担持される第1の把持部材によって第2の形成ドラムを中間移送位置から取り上げることを含み、前記支持構造が、第1の作業位置に対して第1の位置と第2の位置との間で交互に移動可能であり、中間移送位置から第1の作業位置への第2の形成ドラムの移動を行う。
【0034】
一変形形態では、第1の作業位置への第2の形成ドラムの係合が、第2の形成ドラムを進入位置から中間移送位置に移送することと、可動支持構造によって第2の把持部材と相互接続された第1の第1の把持部材によって第2の形成ドラムを中間移送位置から取り上げることと、可動支持構造を第1の作業位置に移動させて、前記第2の把持部材によって第1の形成ドラムを第1の作業位置から取り上げることと、前記第1の把持部材と第2の把持部材の相互位置決めを反転させて、第2の形成ドラムを第1の作業位置に導くことと、第1の形成ドラムを中間移送位置に移送するように、可動支持構造を第1の作業位置から離れるように移動させることとを含む。
【0035】
異なる好ましい一実施形態では、第3の形成ドラムを進入位置から取り上げ、そのドラムに、前記ワークステーションの一部である第2の作業位置において前記加工作業の1つを施すことと、ワークステーションにおいて加工作業を施された第4の形成ドラムを第2の作業位置から取り上げることと、中間移送ステーションへの第4の形成ドラムの移送と同時に、前記第2の作業位置に第3の形成ドラムを係合することとが提供される。
【0036】
好ましい一実施形態によれば、第3の形成ドラムと第4の形成ドラムの取上げが、それぞれ前記第1の把持部材と第2の把持部材によって行われる。
【0037】
より詳細には、好ましくは、第1の形成ドラムが中間移送位置に解放された後に、第3の形成ドラムが取り上げられる。
【0038】
好ましくは、第1の形成ドラムと第4の形成ドラムが、支持構造によって担持された第1の把持部材と第2の把持部材によって、それぞれ第1の作業位置と第2の作業位置から取り上げられ、上記支持構造が、第1の形成ドラムと第4の形成ドラムをそれぞれの作業位置から中間移送位置に移動させるように、作業位置に対して第1の位置と第2の位置の間で交互に移動可能である。
【0039】
さらなる一変形形態では、第1の形成ドラムと第4の形成ドラムが、それぞれ第1の支持構造および第2の支持構造によって担持された第1の把持部材と第2の把持部材によって、それぞれ第1の作業位置と第2の作業位置から取り上げられ、前記第1および第2の支持構造がそれぞれ、第1の形成ドラムと第4の形成ドラムをそれぞれの作業位置から中間移送位置に移動させるために、作業位置に対して第1の位置と第2の位置の間で交互に移動可能でる。
【0040】
好ましくは、第1の把持部材が中間移送位置にあるときに、第2の把持部材が第4の形成ドラムを取り上げる。
【0041】
好ましくは、前記第1の形成ドラムおよび第2の形成ドラムが、第1の形成ドラムが退出位置に移送される前に前記中間取扱いデバイスに関連付けられる。
【0042】
好ましくは、前記第1の形成ドラムおよび第2の形成ドラムが、前記第2の形成ドラムが前記第1の作業位置に関連付けられる前に前記中間取扱いデバイスに関連付けられる。
【0043】
より詳細には、中間取扱いデバイスは、好ましくは、第2の形成ドラムを中間移送位置から前記第1の作業位置に移送するように、および/または第1の形成ドラムを第1の作業位置から中間移送位置に移送するように設計される。
【0044】
また、第2の形成ドラムを進入位置から中間移送位置に移送するため、および/または第1の形成ドラムを中間移送位置から退出位置に移送するための、少なくとも1つの主要取扱いデバイスを提供することができる。
【0045】
好ましい一実施形態によれば、第2の形成ドラムを進入位置から第1の作業位置に移送するため、および/または第1の形成ドラムを第1の作業位置から退出位置に移送するための、少なくとも1つの主要取扱いデバイスも提供することができる。
【0046】
中間取扱いデバイスは、好ましくは、各形成ドラムと係合するのに適した少なくとも1つの第1の把持部材と、少なくとも1つの支持構造とを備え、支持構造が、前記第1の把持部材を担持し、前記少なくとも1つの第1の把持部材を中間移送位置と第1の作業位置の間で移動させるために、前記少なくとも1つの第1の作業位置に対して第1の位置と第2の位置の間で交互に移動可能である。
【0047】
一変形形態では、中間取扱いデバイスは、少なくとも2つの対称的に対置する(symmetrically opposite)把持部材を備える。
【0048】
好ましくは、中間取扱いデバイスは、前記第1の作業位置および第2の作業位置と連係される(interlocked)。
【0049】
好ましくは、前記第1の作業位置と第2の作業位置が、中間移送位置に対して対称的に配設される。
【0050】
1つの可能な実施形態では、前記中間取扱いデバイスが、ワークステーションの一部である前記第1の作業位置および第2の作業位置とそれぞれ連係する第1の把持部材および第2の把持部材を備える。
【0051】
好ましくは、前記把持部材がそれぞれ、他方の把持部材が中間移送位置にあるときに、それぞれの作業位置で動作する。
【0052】
好ましくは、前記少なくとも2つの把持部材が、第1の回転軸に従って支持構造にヒンジで連結された回転構造によって担持される。
【0053】
好ましくは、前記第1の回転軸が、把持部材に対して中央位置に配設される。
【0054】
好ましくは、支持構造が、前記第1の回転軸に直交する第2の回転軸の周りで回転可能である。
【0055】
好ましくは、支持構造が、第1の作業位置から離れる第1の方向に、および第1の方向に垂直な第2の方向に、移動可能である。
【0056】
好ましくは、前記主要取扱いデバイスがロボットアームを備える。
【0057】
さらなる特徴および利点は、本発明を具現化する、好ましいが排他的ではないいくつかの例の詳細な説明からより明らかになろう。そのような詳細な説明は、本明細書で以後、非限定的な例として与えられる添付図面を参照しながら行う。