特許第6069020号(P6069020)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6069020-シート貼付装置および貼付方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069020
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】シート貼付装置および貼付方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-31136(P2013-31136)
(22)【出願日】2013年2月20日
(65)【公開番号】特開2014-160769(P2014-160769A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2015年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 健
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−165364(JP,A)
【文献】 特開2003−276915(JP,A)
【文献】 特開昭61−130164(JP,A)
【文献】 特開2005−159044(JP,A)
【文献】 特開2011−178532(JP,A)
【文献】 特開2012−209395(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0146334(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着シートが帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、
前記剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離手段と、
前記剥離シートから剥離された接着シートを被着体に押圧して貼付する貼付手段と、
前記剥離手段で前記接着シートが剥離された剥離シートを回収する回収手段と、
前記回収手段に回収される前の剥離シートを弛ませて蓄積可能な蓄積手段とを備えていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記蓄積手段は、前記剥離シートを駆動機器で挟持する一対の保持部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
接着シートが帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す工程と、
前記剥離シートから前記接着シートを剥離する工程と、
前記剥離シートから剥離された接着シートを被着体に押圧して貼付する工程と、
前記接着シートが剥離された剥離シートを回収する工程と、
回収される前の剥離シートを弛ませて蓄積する工程とを実施することを特徴とするシート貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体に接着シートを貼付するシート貼付装置および貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程において、半導体ウェハ(以下、単にウェハという場合がある)に接着シートを貼付するシート貼付装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のシート貼付装置は、貼付けローラでウェハに貼付した帯状の原接着シートをカッタ刃でウェハ外形に沿って切断し、原接着シート巻取部(回収手段)で原接着シートの不要部分を巻き取って回収するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−158879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような従来装置では、回収手段が回収物で一杯になり、当該回収物を回収できなくなると、回収物を装置から取り外すために装置の操業を一旦停止しなければならず、単位時間あたりの処理能力が低下するという不都合がある。
【0005】
本発明の目的は、単位時間あたりの処理能力が低下することを防止できるシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシート貼付装置は、接着シートが帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離手段と、前記剥離シートから剥離された接着シートを被着体に押圧して貼付する貼付手段と、前記剥離手段で前記接着シートが剥離された剥離シートを回収する回収手段と、前記回収手段に回収される前の剥離シートを弛ませて蓄積可能な蓄積手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明のシート貼付装置において前記蓄積手段は、前記剥離シートを駆動機器で挟持する一対の保持部材を備えていることが好ましい。
【0008】
本発明のシート貼付方法は、接着シートが帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す工程と、前記剥離シートから前記接着シートを剥離する工程と、前記剥離シートから剥離された接着シートを被着体に押圧して貼付する工程と、前記接着シートが剥離された剥離シートを回収する工程と、回収される前の剥離シートを弛ませて蓄積する工程とを実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、蓄積手段を設けたことで、回収物を装置から取り外すときに、装置の操業を一旦停止する必要がなくなり、単位時間あたりの処理能力が低下することを防止することができる。
【0010】
本発明において、切断手段を設ければ、回収手段で回収された回収物を同手段で回収前の剥離シートから切り離すことができるため、回収手段から回収物の取り外しを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るシート貼付装置の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、水平面内の軸とし、Z軸は、水平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な図1の手前方向から観た場合を基準とし、方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸の紙面に直交する手前方向で「後」がその逆方向とする。
【0013】
図1において、シート貼付装置1は、基材シートBSの一方の面に接着剤層ADを有する接着シートASが帯状の剥離シートRLに仮着された原反RSを繰り出す繰出手段2と、剥離シートRLから接着シートASを剥離する剥離手段としての剥離板3と、剥離シートRLから剥離された接着シートASを被着体としてのウェハWFに押圧して貼付する貼付手段としての押圧ローラ4と、剥離板3で接着シートASが剥離された剥離シートRLを回収する回収手段5と、回収手段5に回収される前の剥離シートRLを蓄積可能な蓄積手段6と、回収手段5で回収される剥離シートRLを切断する切断手段7と、回収手段5で所定量の剥離シートRLが巻き取られたことを検知可能な検知手段8とを備え、ウェハWFを支持するテーブル92および当該テーブル92を押圧ローラ4に対して相対移動させる駆動機器としてのリニアモータ91からなる支持手段9の近傍に配置されている。
【0014】
繰出手段2は、原反RSを繰り出し可能に支持する支持ローラ21と、原反RSを案内するガイドローラ22と、駆動機器としての回動モータ23によって駆動される駆動ローラ24との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ25とを備えている。
【0015】
回収手段5は、駆動機器としての回動モータ51によって駆動され、剥離シートRLを回収物RBとして回収する回収ローラ52を備えている。
【0016】
蓄積手段6は、駆動機器としての直動モータ61の出力軸62に支持された第1保持部材63と、剥離シートRLを挟んで第1保持部材63の反対側に設けられ、駆動機器としての直動モータ64の出力軸65に支持された第2保持部材66とを備えている。
【0017】
切断手段7は、駆動機器としてのリニアモータ71のスライダ72に支持された切断刃73を備えている。
【0018】
検知手段8は、回収物RBの外径が所定値に達したことを検知可能なセンサ81を備えている。センサ81としては、エリアセンサやラインセンサ等の非接触型センサ、リミットスイッチ等の接触型センサ、またはカメラ等の撮像装置が例示できる。
【0019】
以上のシート貼付装置1において、ウェハWFに接着シートASを貼付する手順を説明する。
先ず、原反RSを図1中実線で示すようにセットする。次に、支持手段9によって搬送されるウェハWFが所定位置に達したことが図示しない光学センサや撮像手段等の検知手段に検知されると、繰出手段2が回動モータ23を駆動し、ウェハWFの移動速度と略同速で原反RSを繰り出すとともに、回収手段5が回動モータ51を駆動し、剥離シートRLに所定の張力を付与しつつ回収ローラ52で剥離シートRLを回収する。これにより、剥離板3で剥離シートRLから接着シートASが剥離され、当該接着シートASが押圧ローラ4でウェハWFに押圧されて貼付されるとともに、回収ローラ52の外周に回収物RBが形成される。
そして、接着シートASが貼付されたウェハWFは、図示しない搬送手段によって次の工程に搬送され、以降上記同様の動作を繰り返す。
【0020】
ここで、上記同様の動作が繰り返され、回収物RBの外径が所定値に達したことが検知手段8により検知されると、蓄積手段6が直動モータ61、64を駆動し、図1中二点鎖線で示すように、第1および第2保持部材63、66で剥離シートRLを挟持する。次いで、切断手段7がリニアモータ71を駆動し、切断刃73を前後方向に移動させて剥離シートRLを切断する。これにより、回収ローラ52で回収された回収物RBを同回収ローラ52で回収前の剥離シートRLから切り離すことができ、当該回収物RBを回収ローラ52から取り外すことができる。なお、図示しないカバーを設けた場合、切断手段7による剥離シートRLの切断動作が完了してからでなければ、当該カバーが開閉できないように制御するとよい。また、エリアセンサを設けた場合、当該エリアセンサが検出物を検出したときに、切断手段7による剥離シートRLの切断動作を中止したり、切断動作を行わなくしたりするように制御するとよい。
【0021】
ここで、回収物RBを取り外している間も、剥離シートRLが回収ローラ52に向けて送られ続けるが、図1中二点鎖線で示すように、第1保持部材63と第2保持部材66とで剥離シートRLを挟持しているため、駆動ローラ24と第1および第2保持部材63、66との間で剥離シートRLを弛ませて蓄積することができる。
【0022】
回収物RBが取り外し終わると、オペレータが図示しないスイッチや光学センサ等の入力手段を介して直動モータ61、64を駆動し、第1および第2保持部材63、66による剥離シートRLの挟持を解除する。その後、オペレータが剥離シートRLの先端部を回収ローラ52にセットすると、回収手段5が回動モータ51を駆動し、剥離シートRLに所定の張力が加わるまで当該剥離シートRLを再度回収ローラ52で巻き取る。なお、図示しないカバーやエリアセンサを設けた場合、回収手段5による剥離シートRLの回収は、カバーが閉塞されてから行うように制御したり、エリアセンサが検出物を検出しなくなってから行うように制御したりするとよい。
【0023】
以上のような本実施形態によれば、蓄積手段6を設けたことで、回収物RBをシート貼付装置1から取り外すときに、当該シート貼付装置1の操業を一旦停止する必要がなくなり、単位時間あたりの処理能力が低下することを防止することができる。
【0024】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0025】
例えば、剥離板3にかえて、ローラで剥離手段を構成してもよい。
さらに、押圧ローラ4にかえて、ブレード材、ゴム、樹脂、スポンジ等による押圧部材を採用してもよく、エア噴き付けにより押圧する構成を採用することもできる。
また、貼付手段は、接着シートASに押圧力を付与する駆動機器を押圧ローラ4に設けてもよいし、接着シートASに付与する押圧力を検知するロードセルや圧力計等の検知手段を備えてもよいし、ウェハWFの外形よりも大きい接着シートASを貼付した後、ウェハWFの外形に沿って接着シートASを切断する切断手段を備えてもよい。
【0026】
また、回収手段5は、剥離シートRLを回収可能な任意の構成を採用でき、例えば、剥離シートRLを巻き取ることなくランダムに回収したり、シュレッダのようなもので細かく切り刻んで回収したりする構成を採用してもよい。
【0027】
さらに、蓄積手段6は、剥離シートRLの回収を開始してから回動モータ23が所定の回転数に達したときに剥離シートRLが所定量巻き取られたと判断して、当該剥離シートRLを蓄積するようにしてもよい。
また、蓄積手段6は、第1および第2保持部材63、66で剥離シートRLを挟持するかわりに、回動モータ51の駆動を停止することで、駆動ローラ24と回収ローラ52との間で剥離シートRLを弛ませて当該剥離シートRLを蓄積してもよい。
さらに、第1および第2保持部材63、66のうちの一方を移動させないで固定したもので構成してもよい。
【0028】
また、切断手段7は、剥離シートRLを切断可能な任意の構成を採用でき、例えば、レーザーカッター等で構成してもよい。また、切断手段7のかわりに、人手で切断する構成でもよい。さらに、原反RSの接着シートASを全て貼付した後や、全てのウェハWFに接着シートASを貼付した後に、剥離シートRLを切断してもよい。
【0029】
さらに、本発明における被着体および接着シートASの種別や材質などは、特に限定されず、例えば、接着シートASは、基材シートBSと接着剤層ADとの間に中間層を有するものや、基材シートBSの上面にカバー層を有する等3層以上のもの、更には、基材シートBSを接着剤層ADから剥離することのできる所謂両面接着シートのようなものであってもよく、このような両面接着シートとしては、単層又は複層の中間層を有するものや、中間層のない単層又は複層のものであってよい。さらに、被着体が半導体ウェハであって、接着シートASが保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムなどであってもよい。この際、半導体ウェハは、シリコン半導体ウェハや化合物半導体ウェハ等が例示でき、このような半導体ウェハに貼付する接着シートASは、それらに限らず、任意のシート、フィルム、テープ等、任意の用途、形状の接着シート等が適用できる。さらに、被着体が光ディスクの基板であって、接着シートASが記録層を構成する樹脂層を有したものであってもよい。以上のように、被着体としては、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂板等、その他の被着体のみならず、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。
【0030】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0031】
1 シート貼付装置
2 繰出手段
3 剥離板(剥離手段)
4 押圧ローラ(貼付手段)
5 回収手段
6 蓄積手段
7 切断手段
AS 接着シート
RF 剥離シート
RS 原反
WF ウェハ(被着体)
図1